JP2006165516A - 熱処理板の付着物検出方法,熱処理装置,プログラム及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

熱処理板の付着物検出方法,熱処理装置,プログラム及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱板に付着する微小な付着物を精度よく検出する。
【解決手段】熱板を複数の領域に区画する。付着物がない正常な状態の熱板にウェハWが載置された際の各領域の温度変動の積算値を収集する。この正常時の積算値に基づいて判別分析法におけるマハラノビスの基準空間を作成する。そして,実際の熱処理時に,ウェハWが熱板に載置されたときの各領域の温度変動の積算値を検出し,当該処理時の積算値と,予め求められていたマハラノビスの基準空間に基づいて,処理時の積算値についてのマハラノビスの距離を算出する。算出されたマハラノビスの距離とその閾値を比較し,熱板に付着物があるか否かを判定する。
【選択図】図13

Description

本発明は,基板を熱処理する熱処理板の付着物検出方法,熱処理装置,プログラム及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
に関する。
半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィー工程では,例えばウェハ上に塗布されたレジスト膜内の溶剤を蒸発させる加熱処理(プリベーキング),パターンの露光後にレジスト膜内の化学反応を促進させる加熱処理(ポストエクスポージャーベーキング),現像処理後の加熱処理(ポストベーキング)等の種々の加熱処理が行われている。
上記加熱処理は,通常,円盤状の熱板を備えた熱処理装置で行われ,予め所定温度に設定された熱板上にウェハを載置することによって行われている。しかしながら,例えば熱板上に塵埃などの付着物がある場合,熱板上に載置されるウェハは,その付着物の上に乗り上げて,ウェハ面内で均一に加熱されなくなる。ウェハは,均一に加熱されないと,例えば最終的にウェハ上に形成されるパターンの線幅もウェハ面内においてばらつき,歩留まりが低下する。このため,熱板上に付着物が付着した場合には,それを検出する必要があった。
加熱処理の際にウェハが熱板上に載置されると,熱板の熱がウェハに奪われて,熱板の温度が一時的に低下する。このことから,熱板上に付着物が付着するなどしてウェハが熱板上に適正に載置されなかった場合には,正常に載置された場合に比べて熱板からウェハの熱の移動が少ないため,熱板の温度変動が小さくなる。従来は,この現象を利用して,ウェハを熱板上に載置した際の熱板の温度変動の積算値を算出し,当該積算値と予め設定されている閾値とを比較することによって,熱板上の付着物を検出することができた(例えば,特許文献1参照。)。
しかしながら,上記方法を用いた場合,付着物による熱板温度の変動は小さいため,実際3mm以下程度の微小な付着物を検出することができなかった。また,より小さい付着物を検出するために閾値を厳格に設定すると,他の要因による熱板の僅かな温度変動により誤検知を起こし,付着物の検出を精度よくできなかった。近年は,レジストパターンの微細化が進んでおり,3mm以下の極めて微小な付着物であっても,最終的なパターンの寸法精度に大きな影響を与える。このため,微小な付着物の検出精度を向上する必要がある。
特開2002-50557号公報
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,極めて微小な付着物を過誤なく検出できる熱板などの熱処理板に対する付着物検出方法と,当該付着物検出方法を実施できる熱処理装置と,プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することをその目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,熱処理板を複数の領域に区画し,基板を載置した際の前記各領域の温度変動を検出し,領域間の相互的な熱移動による温度変動を加味しながら,総ての領域の温度変動を評価して,前記熱処理板における付着物の有無を判定することを特徴とする。
本発明によれば,熱処理板を複数の領域に分けて,各領域毎に温度変動を検出するので,付着物が付着したことによる温度異常がより顕著に表れ,付着物を検出し易くなる。また,領域間の相互的な熱移動による温度変動を加味しながら,総ての領域の温度変動を総合的に評価して,付着物の有無を判定するので,付着物の誤検知が減ってより正確に付着物を検出できる。この結果,微小な付着物を精度よく検出できる。
上記熱処理板に対する付着物検出方法は,付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の各領域における温度変動の積算値を複数収集する工程と,前記収集した正常時の温度変動の積算値に基づいてマハラノビスの基準空間を形成する工程と,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際に前記各領域の温度変動の積算値を検出する工程と,前記検出された熱処理時の温度変動の積算値と前記マハラノビスの基準空間に基づいて,前記熱処理時の温度変動の積算値のマハラノビスの距離を算出する工程と,前記マハラノビスの距離とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程とを有していてもよい。かかる場合,判別分析法におけるマハラノビスの距離を用いて熱処理板の温度変動が解析されるので,付着物の有無の判定をより正確に行うことができる。
別の観点による本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,熱処理板は,複数の領域に区画されており,熱処理板に基板を載置した際の前記各領域の温度を検出する工程と,前記各領域毎に設定温度と検出温度との差を算出し,その設定温度と検出温度の差の総ての領域の総和を算出する工程と,前記総和とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程と,を有することを特徴とする。
本発明によれば,熱処理板を複数の領域に分けて,各領域毎に温度を検出するので,付着物が付着したことによる温度異常がより顕著に表れ,付着物を検出し易くなる。また,各領域毎の設定温度と検出温度との差を足した総和に基づいて付着物の有無を判定するので,結果的に総ての領域の温度変動が総合的に評価されることになり,より正確に付着物を検出できる。この結果,微小な付着物を精度よく検出できる。
別の観点による本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,熱処理板は,複数の領域に区画されており,付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の前記熱処理板の各領域の温度変動の積算値を複数収集する工程と,前記収集した正常時の各領域の温度変動の積算値に基づいて,正常時における前記領域相互間の温度変動の積算値差の閾値を,総ての領域の組み合わせについて定める工程と,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際に前記熱処理板の領域相互間の温度変動の積算値差を検出する工程と,前記熱処理時の領域相互間の積算値差と前記正常時の閾値とを比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程と,を有することを特徴とする。
本発明によれば,総ての組み合わせの各領域相互間の温度変動の積算値差に基づいて付着物の有無を判定するので,結果的に総ての領域の温度変動が総合的に評価されることになり,より正確に付着物を検出できる。この結果,微小な付着物を精度よく検出できる。
別の観点による本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,熱処理板は,複数の領域に区画されており,基板を載置した際の前記各領域の温度変動を取得し,当該取得した総ての領域の温度変動を評価して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部を有することを特徴とする。
本発明によれば,熱処理板が複数の領域に区画されているので,付着物による各領域の温度変動が顕著に表れる。また,総ての領域の温度変動を総合的に評価して,付着物の有無を判定できるので,例えば隣り合う領域間の相互的な温度変動を考慮して,より厳密に付着物の有無を判定できる。この結果,微小な付着物を精度よく検出できる。
前記制御部は,付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の各領域における温度変動の積算値を複数収集し,前記収集した正常時の温度変動の積算値に基づいてマハラノビスの基準空間を形成し,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際に前記各領域の温度変動の積算値を検出し,前記検出された熱処理時の温度変動の積算値と前記マハラノビスの基準空間に基づいて,前記熱処理時の温度変動の積算値のマハラノビスの距離を算出し,前記マハラノビスの距離とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定できてもよい。
別の観点による本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,熱処理板は,複数の領域に区画されており,熱処理板に基板を載置した際の前記各領域の温度を検出する検出部と,前記各領域毎に設定温度と検出温度との差を算出し,その設定温度と検出温度の差の総ての領域の総和を算出し,前記総和とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部と,を有することを特徴とする。
本発明によれば,各領域の設定温度と検出温度との差を足した総和に基づいて付着物の有無を判定するので,結果的に総ての領域の温度変動が総合的に評価されることになり,より正確に付着物を検出できる。この結果,微小な付着物を精度よく検出できる。
別の観点による本発明は,基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,熱処理板は,複数の領域に区画されており,基板を載置した際の前記各領域の温度変動を検出する検出部と,付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の前記熱処理板の各領域の温度変動の積算値を複数収集し,前記収集した正常時の各領域の温度変動の積算値に基づいて,正常時における前記領域相互間の温度変動の積算値差の閾値を,総ての領域の組み合わせについて定め,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際の前記熱処理板の領域相互間の温度変動の積算値差を検出し,前記熱処理時の領域相互間の積算値差と前記正常時の閾値とを比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部と,を有することを特徴とする。
別の観点による本発明によれば,請求項5〜8のいずれかに記載の熱処理装置における制御部の機能を,コンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。また,別の観点による本発明によれば,請求項5〜8のいずれかに記載の熱処理装置における制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
本発明によれば,微小な付着物の検出が精度よく行われるので,熱処理板に付着物が付着した状態で熱処理が継続されることがなく,歩留まりが向上される。
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる熱処理装置が搭載された塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図であり,図2は,塗布現像処理システム1の正面図であり,図3は,塗布現像処理システム1の背面図である。
塗布現像処理システム1は,図1に示すように例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と,フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられている図示しない露光装置との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイス部4とを一体に接続した構成を有している。
カセットステーション2では,カセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。カセットステーション2には,搬送路6上をX方向に向かって移動可能なウェハ搬送体7が設けられている。ウェハ搬送体7は,カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり,X方向に配列された各カセットC内のウェハWに対して選択的にアクセスできる。
ウェハ搬送体7は,ウェハWの位置合わせを行うアライメント機能を備えている。ウェハ搬送体7は,後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置32に対してもアクセスしてウェハWを搬送できる。
処理ステーション3では,その中心部に主搬送装置13が設けられており,この主搬送装置13の周辺には,各種処理装置が多段に配置されて処理装置群が構成されている。塗布現像処理システム1においては,4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第1及び第2の処理装置群G1,G2は,塗布現像処理システム1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセットステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置群G4は,インターフェイス部4に隣接して配置されている。さらにオプションとして破線で示した第5の処理装置群G5を背面側に別途配置可能となっている。主搬送装置13は,これらの処理装置群G1〜G5内に配置されている後述する各種処理装置に対してウェハWを搬送できる。
第1の処理装置群G1では,例えば図2に示すように,ウェハWにレジスト液を塗布するレジスト塗布装置17と,露光後のウェハWを現像処理する現像処理装置18とが下から順に2段に配置されている。第2の処理装置群G2も同様に,レジスト塗布装置19と,現像処理装置20とが下から順に2段に積み重ねられている。
第3の処理装置群G3では,例えば図3に示すように,ウェハWを冷却処理するクーリング装置30,レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置31,ウェハWを待機させるエクステンション装置32,レジスト液中の溶剤を乾燥させるプリベーキング装置33,34及び現像処理後の加熱処理を施すポストベーキング装置35,36等が下から順に例えば7段に重ねられている。
第4の処理装置群G4では,例えばクーリング装置40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,クーリング装置43,本実施の形態にかかる熱処理装置としてのポストエクスポージャーベーキング装置(以下「PEB装置」とする。)44,45,ポストベーキング装置46,47等が下から順に例えば8段に積み重ねられている。
図1に示すようにインターフェイス部4の中央部には,ウェハ搬送体50が設けられている。ウェハ搬送体50はX方向(図1中の上下方向),Z方向(鉛直方向)の移動とθ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転が自在にできるように構成されており,第4の処理装置群G4に属するエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,周辺露光装置51及び図示しない露光装置に対してアクセスして,ウェハWを搬送できる。
次に上述したPEB装置44の構成について説明する。図4に示すように,PEB装置44は,上側に位置して上下動自在な蓋体60と,下側に位置して蓋体60と一体となって処理室Sを形成する熱板収容部61とを有している。
蓋体60は,中心部に向かって次第に高くなる略円錐状の形態を有し,頂上部には,排気部60aが設けられている。処理室S内の雰囲気は,排気部60aから均一に排気される。
熱板収容部61の中央には,ウェハWを載置して加熱する熱処理板としての熱板63が設けられている。熱板63は,厚みのある略円盤形状を有している。熱板63の表面には,ウェハWが載置された際にウェハWを支持する支持ピン64が複数箇所に設けられている。
熱板63は,図5に示すように複数,例えば5つの領域63a,63b,63c,63d,63eに区画されている。熱板63は,例えば平面から見て中心部に位置して円形の領域63aと,その周囲を円弧状に4等分した領域63b〜63eに区画されている。
熱板63の各領域63a〜63eには,給電により発熱するヒータ65が個別に内蔵され,各領域63a〜63e毎に加熱できる。各領域63a〜63eには,検出部としての温度センサ66がそれぞれ設けられている。温度センサ66の検出結果は,ヒータ制御装置67に出力できる。ヒータ制御装置67は,温度センサ66の検出結果に基づいて,各領域63a〜63eの温度が所定の設定温度になるように,ヒータ65への給電量を調整できる。
図4に示すように熱板63の下方には,ウェハWを搬入出する際にウェハWを支持し,昇降させるための昇降ピン70が設けられている。昇降ピン70は,昇降駆動機構71により上下に移動自在に構成されている。熱板63の中央部付近には,熱板63を鉛直方向に貫通する貫通孔72が形成されており,昇降ピン70が貫通孔72を貫通し,熱板63上に突出できるようになっている。
熱板収容部61は,熱板63の外周部を収容して支持する環状の支持部材80と,その支持部材80を下から支持する支持台81を有している。支持部材80には,熱板63の熱を外部に逃がさないように断熱材が使用されている。また,支持台81は,上面が開口した略筒状に形成されている。
熱板収容部61は,支持部材80とその支持台81とを囲む略筒状のサポートリング82を有している。サポートリング82の上面には,処理室S内に向けて例えば不活性ガスを噴出する吹き出し口82aが形成されており,吹き出し口82aからの不活性ガスの噴出により,処理室S内をパージすることができる。また,サポートリング82の外方には,熱板収容部61の外周となる円筒状のケース83が設けられている。
ヒータ制御部67に出力された熱板63の各領域63a〜63eの温度は,例えば装置制御部90に出力できる。装置制御部90は,例えばCPUやメモリなどを備えた汎用コンピュータの機能を有している。以下で説明される装置制御部90の機能は,例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体からインストールされたプログラムにより実行される。装置制御部90は,例えば図6に示すように演算部100と,ヒータ制御装置67から出力された各領域63a〜63eの温度データを格納する温度データ格納部101と,付着物がない正常な状態の熱板63にウェハWが載置された際の各領域63a〜63eの温度変動の積算値(以下,「正常積算値」とする)を判別用の基礎データとして格納する基礎データ格納部102と,判定用の基礎データから作成される後述する判別分析法におけるマハラノビスの基準空間を格納する基準空間格納部103と,実際処理されているウェハWが熱板63に載置された際の各領域63a〜63eの積算値(以下,「判別積算値」とする)を判別対象データとして格納する判別対象データ格納部104と,後述するマハラノビスの距離の閾値を格納する閾値格納部105と,各種プログラムを格納したプログラム格納部106を有している。
プログラム格納部106には,例えば温度データ格納部101に格納された温度データに基づいて各種温度変動の積算値を算出する積算値算出プログラムと,判別用の基礎データに基づいて多変量解析の判別分析法におけるマハラノビスの基準空間を作成する基準空間作成プログラムと,判別対象データとマハラノビスの基準空間に基づいて判別分析法におけるマハラノビスの距離を算出するマハラノビスの距離算出プログラムと,マハラノビスの距離とその閾値とを比較して付着物の有無を判定する判定プログラムなどが格納されている。
本実施の形態における温度変動の積算値は,図7に示すように設定温度Tに温度調整された熱板63上にウェハWが載置された際に設定温度Tから一時的低下する熱板63の温度曲線T(s)と,設定温度Tとで囲まれる面積(図7に示す斜線部)で示される。つまり,温度変動の積算値は,図8に示す次式(1)を用いて算出できる。
本実施の形態では,判別対象となる判別積算値の異常,つまり熱板63に対する付着物の付着を,多変量解析の判別分析法であるマハラノビスの距離を用いて検出する。マハラノビスの距離は,判別積算値の異常の程度を表す尺度であり,マハラノビスの基準空間は,その単位として表される。
ここで,マハラノビスの距離の算出方法について説明する。マハラノビスの距離を算出するには,予めマハラノビスの基準空間を作成しておく必要がある。マハラノビスの基準空間は,各領域63a〜63eの温度変動の正常積算値を複数収集し,当該収集された複数の正常積算値からなる判別用の基礎データに基づいて作成される。例えば図9に示すように複数のウェハWに対する各領域63a〜63eの正常積算値I’(n,m)(nはウェハNo(n=1,2,3・・k),mは領域符号(m=a,b,c,d,e))が算出され,当該正常積算値I’(n,m)のデータ群から各領域63a〜63e毎の正常積算値I’(n,m)の平均値Mと標準偏差σが算出される。さらに,図10に示すように,各正常積算値I’(n,m)毎に,(正常積算値I’(n,m)−平均値M)/標準偏差σで示される標準得点L(n,m)が算出されて,正常積算値I’(n,m)が基準化される。この標準得点L(n,m)を行列要素とする標準得点行列Lからその相関行列Rと,当該相関行列Rの相関逆行列R−1が作成される。この相関逆行列R−1によってマハラノビスの基準空間が表される。
マハラノビスの距離は,マハラノビスの基準空間と,検査時に検出される各領域63a〜63eの図11に示す判別積算値Iに基づいて算出される。先ず,判別積算値Iが,前記正常積算値I’(n,m)と同様の計算式(判別積算値I−平均値M)/標準偏差σ(平均値M,標準偏差σは,正常積算値I’(n,m)のもの)で基準化され,標準得点Uが算出される。そして,図12に示すように標準得点Uを行列要素する行列Uが作成され,マハラノビスの距離Dは,式D=UR−1(Uは行列Uの転置行列)によって算出される。
以上のように構成された塗布現像処理システム1で行われるフォトリソグラフィー工程では,先ず,ウェハ搬送体7によってカセットCから未処理のウェハWが一枚ずつ順次取り出され,第3の処理装置群G3に属するアドヒージョン装置31に搬送される。各ウェハWは,アドヒージョン装置31においてレジスト液との密着性を向上させるHMDSなどの密着強化剤が塗布され,主搬送装置13によってクーリング装置30に搬送され,所定の温度に冷却される。その後,ウェハWは,レジスト塗布装置17,プリベーキング装置34に順次搬送され,所定の処理が施される。その後,ウェハWは,主搬送装置13によってエクステンション・クーリング装置41に搬送され,ウェハ搬送体50によって周辺露光装置51を経て露光装置(図示せず)に搬送される。露光処理の終了したウェハWは,ウェハ搬送体50によりエクステンション装置42に搬送され,PEB装置44に搬送される。PEB装置44において,加熱処理の終了したウェハWは,主搬送装置13によりクーリング装置43,現像処理装置18,ポストベーキング装置35,クーリング装置30に順次搬送され,各装置において所定の処理が施される。その後,ウェハWは,エクステンション装置32を介して,ウェハ搬送体7によってカセットCに戻され,一連の塗布現像処理が終了する。
次に,上述のPEB装置44における熱板63に対する付着物の検出プロセスについて説明する。図13は,かかる検出プロセスを示すフロー図である。
先ず,付着物のない正常な状態の熱板63にウェハWが載置され,そのときの各領域63a〜63eの温度変動のデータが装置制御部90の温度データ格納部101に格納される。この正常時の温度データの収集は,複数のウェハWについて行われる(図13の工程S1)。次に,積算値算出プログラムにより,温度データ格納部101に格納されている正常時の温度データ群に基づいて各正常積算値I’(n,m)が算出され,基礎データ格納部102に格納される(図13の工程2)。続いて,基準空間作成プログラムにより,正常積算値I’(n,m)から平均値M,標準偏差σ,標準得点L(n,m),相関行列R,相関逆行列R−1が算出され,マハラノビスの基準空間が作成される(図13の工程S3)。作成されたマハラノビスの基準空間のデータは,基準空間格納部103に格納される。
そして,塗布現像処理システム1の稼働中の実際のウェハ処理において,PEB装置44においてウェハWが熱板63上に載置されると,各領域63a〜63eの温度変動のデータが温度センサ66により検出され,ヒータ制御装置67を介して温度データ格納部101に格納される(図13の工程S4)。積算値算出プログラムにより,各領域63a〜63eの温度変動の判別積算値I(I,I,I,I,I)が算出され,判別対象データ格納部104に格納される(図13の工程S5)。続いて,マハラノビスの距離算出プログラムにより,判別積算値Iから標準得点Uが算出され,標準得点U,相関逆行列R−1からマハラノビスの距離Dが算出される(図13の工程S6)。算出されたマハラノビスの距離Dは,判定プログラムによって,閾値格納部105の閾値と比較され,閾値を超えていれば熱板63上に付着物有りと判定され,閾値以下であれば熱板63上に付着物無しと判定される(図13の工程S7)。この判別積算値Iの算出,マハラノビスの距離Dの算出及び付着物の有無の判定は,例えばロット毎に連続的に処理されるウェハWが熱板63上に載置される度に行われる。なお,熱板63上に付着物が検出された場合には,装置制御部90からアラームが出力され,例えば塗布現像処理システム1の動作が一時的に停止される。
以上の実施の形態によれば,マハラノビスの距離を用いて,熱板63の隣り合う領域間の相互作用による温度変動を加味しつつ,領域63a〜63eの温度変動を総合評価することによって,熱板63上の付着物を検出するようにしたので,より微小な付着物を過誤なく検出できる。また,マハラノビスの距離を用いたので,例えば複数ある熱処理装置の熱板温度に機差がある場合であっても,標準化された同じ閾値を用いて付着物の有無を判定できる。
以上の実施の形態では,マハラノビスの距離を用いて熱板63上の付着物を検出していたが,他の方法を用いて熱板63の各領域63a〜63eの温度変動を総合評価して熱板63上の付着物を検出してもよい。かかる一例として,例えば処理中のウェハWが熱板63上に載置された際に,熱板63の各領域63a〜63eの温度が温度センサ66により検出され,装置制御部90において,各領域63a〜63e毎に,図14に示す熱板63の設定温度Tと,検出温度T(s)との例えば最大温度差Tが算出される。そして,各領域63a〜63eの最大温度差Tの総和が求められ,当該最大温度差Tの総和と,予め定められていた閾値とを比較することによって熱板63上の付着物の有無が判定される。例えば熱板63上に付着物が付着している場合,正常時に比べて載置されたウェハWによって熱板63の熱が奪われず,熱板63の検出温度が高くなるので,総ての領域63a〜63eの最大温度差Tの総和は小さくなる。したがって,総ての領域63a〜63eの最大温度差Tの総和が閾値より小さい場合に,熱板63上に付着物が付着していることが確認できる。かかる例においても,熱板63の総ての領域63a〜63eの温度変動を総合評価することによって,熱板63上の付着物が検出されるので,より微小な付着物を過誤なく検出できる。
また,別の例として,熱板63の各領域63a〜63e相互間の温度変動の積算値の差(積算値差)に基づいて,熱板63上の付着物を検出してもよい。かかる場合,例えばプログラム格納部106には,例えばヒータ制御装置67から出力された熱板63の各領域63a〜63eの温度データに基づいて,各領域63a〜63eの温度変動の積算値と,各領域63a〜63e相互間の温度変動の積算値差を算出する積算値算出プログラムと,正常時の各領域63a〜63e相互間の積算値差から,各領域63a〜63e間の積算値差の閾値を設定する閾値設定プログラムと,熱処理時の各領域63a〜63e間の積算値差と前記正常時の閾値を比較して付着物の有無を判定する判定プログラムなどが格納されている。
図15は,かかる例の検出プロセスを示すフローを示す。先ず,熱板63上に付着物が付着していない正常時に,ウェハWが熱板63上に載置され,熱板63の各領域63a〜63eの温度変動が検出される(図15の工程H1)。続いて,各領域63a〜63eの温度変動の積算値が算出され,それらの積算値から総ての領域間についての積算値差が算出される(図15の工程H2)このようにして正常時における各領域相互間の温度変動の積算値差が,複数のウェハWについて収集され,当該各領域間の複数の積算値差から,図16に示すように各領域間毎に閾値が設定される(図15の工程H3)。そして,付着物の検査時には,処理ウェハWが熱板63上に載置され,各領域63a〜63eの温度変動が検出され(図15の工程H4),各領域63a〜63e間の積算値差が算出される(図15の工程H5)。加熱処理時の各領域63a〜63e間の積算値差と閾値が比較され,各領域63a〜63e相互間の積算値差が閾値以下であれば,付着物なしと判定され,各領域63a〜63e相互間の積算値差が閾値を超えていれば付着物ありと判定される(図15の工程H6)。かかる例によっても,熱板63の領域63a〜63eの温度変動が総合的に評価されて熱板63上の付着物が検出されるので,より微小な付着物を過誤なく検出できる。
上記例において,熱板63の領域63a〜63e相互間の温度変動の積算値差に基づいて,付着物の有無を判断していたが,各領域63a〜63e毎に正常時の温度変動の積算値の許容範囲を定め,熱処理時の各領域63a〜63eの温度変動の積算値と前記正常時の許容範囲とを比較し,熱板63上の付着物を検出するようにしてもよい。かかる場合,例えば図17に示すように,正常時の各領域63a〜63eの温度変動の積算値の許容範囲を定める。そして,熱処理時における各領域63a〜63eの温度変動の積算値と,正常時の積算値の許容範囲とを比較し,熱処理時の各領域63a〜63eの積算値が許容範囲内であれば,付着物なしと判定され,各領域63a〜63eの積算値が許容範囲外であれば付着物ありと判定される。なお,この例において,付着物による影響が受けやすい熱板63の外周部の領域63b〜63eにおいてのみ,熱処理時の温度変動の積算値と正常時の許容範囲を比較してもよい。
以上,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば本実施の形態で記載した熱板63は,5つに分割されていたが,その数は任意に選択できる。また,本実施の形態では,PEB装置44の熱板63の付着物を検出する例であったが,熱板を備えた他の加熱処理装置や,ウェハWを載置して冷却する冷却板を備えた冷却処理装置にも本発明は適用できる。さらに,本発明は,ウェハ以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ),フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板の熱処理装置にも適用できる。
本発明は,熱処理板上に付着した微小な付着物を精度よく検出する際に有用である。
本実施の形態における塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。 図1の塗布現像処理システムの正面図である。 図1の塗布現像処理システムの背面図である。 PEB装置の構成の概略を示す縦断面の説明図である。 PEB装置の熱板の平面図である。 装置制御部の構成を示すブロック図である。 温度変動の積算値を説明するためのグラフである。 温度変動の積算値の計算式である。 各領域の正常積算値を示す表である。 各領域の標準得点を示す表である。 各領域の判別積算値と標準得点を示す表である。 マハラノビスの距離を算出するための行列Uである。 付着物の検出フロー図である。 最大温度差を示す温度変動のグラフである。 他の付着物の検出フロー図である。 正常時における各領域相互間の温度変動の積算値差の閾値を示す表である。 各領域の温度変動の許容範囲を示す表である。
符号の説明
1 塗布現像処理システム
44 PEB装置
63 熱板
63a〜63e 領域
65 ヒータ
66 温度センサ
67 ヒータ制御装置
90 装置制御部
W ウェハ

Claims (10)

  1. 基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,
    熱処理板を複数の領域に区画し,基板を載置した際の前記各領域の温度変動を検出し,領域間の相互的な熱移動による温度変動を加味しながら,総ての領域の温度変動を評価して,前記熱処理板における付着物の有無を判定することを特徴とする,熱処理板の付着物検出方法。
  2. 付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の各領域における温度変動の積算値を複数収集する工程と,
    前記収集した正常時の温度変動の積算値に基づいてマハラノビスの基準空間を形成する工程と,
    熱処理時に基板を熱処理板に載置した際に前記各領域の温度変動の積算値を検出する工程と,
    前記検出された熱処理時の温度変動の積算値と前記マハラノビスの基準空間に基づいて,前記熱処理時の温度変動の積算値のマハラノビスの距離を算出する工程と,
    前記マハラノビスの距離とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程と,を有することを特徴とする,請求項1に記載の熱処理板の付着物検出方法。
  3. 基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,
    熱処理板は,複数の領域に区画されており,
    熱処理板に基板を載置した際の前記各領域の温度を検出する工程と,
    前記各領域毎に設定温度と検出温度との差を算出し,その設定温度と検出温度の差の総ての領域の総和を算出する工程と,
    前記総和とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程と,を有することを特徴とする,熱処理板の付着物検出方法。
  4. 基板を載置して熱処理する熱処理板に対して付着した付着物を検出する方法であって,
    熱処理板は,複数の領域に区画されており,
    付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の前記熱処理板の各領域の温度変動の積算値を複数収集する工程と,
    前記収集した正常時の各領域の温度変動の積算値に基づいて,正常時における前記領域相互間の温度変動の積算値差の閾値を,総ての領域の組み合わせについて定める工程と,
    熱処理時に基板を熱処理板に載置した際に前記熱処理板の領域相互間の温度変動の積算値差を検出する工程と,
    前記熱処理時の領域相互間の積算値差と前記正常時の閾値とを比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する工程と,を有することを特徴とする,熱処理板の付着物検出方法。
  5. 基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,
    熱処理板は,複数の領域に区画されており,
    基板を載置した際の前記各領域の温度変動を検出する検出部と,
    前記検出部による検出結果に基づいて,前記領域間の相互的な熱移動による温度変動を加味しながら,総ての領域の温度変動を評価して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部と,を有することを特徴とする,熱処理装置。
  6. 前記制御部は,付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の各領域における温度変動の積算値を複数収集し,前記収集した正常時の温度変動の積算値に基づいてマハラノビスの基準空間を形成し,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際の前記各領域の温度変動の積算値と前記マハラノビスの基準空間に基づいて,前記熱処理時の温度変動の積算値のマハラノビスの距離を算出し,前記マハラノビスの距離とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定できることを特徴とする,請求項5に記載の熱処理装置。
  7. 基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,
    熱処理板は,複数の領域に区画されており,
    熱処理板に基板を載置した際の前記各領域の温度を検出する検出部と,
    前記各領域毎に設定温度と検出温度との差を算出し,その設定温度と検出温度の差の総ての領域の総和を算出し,前記総和とその閾値を比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部と,を有することを特徴とする,熱処理装置。
  8. 基板を載置して熱処理する熱処理板を有する熱処理装置であって,
    熱処理板は,複数の領域に区画されており,
    基板を載置した際の前記各領域の温度変動を検出する検出部と,
    付着物のない正常な状態の熱処理板に基板を載置した際の前記熱処理板の各領域の温度変動の積算値を複数収集し,前記収集した正常時の各領域の温度変動の積算値に基づいて,正常時における前記領域相互間の温度変動の積算値差の閾値を,総ての領域の組み合わせについて定め,熱処理時に基板を熱処理板に載置した際の前記熱処理板の領域相互間の温度変動の積算値差を検出し,前記熱処理時の領域相互間の積算値差と前記正常時の閾値とを比較して,前記熱処理板における付着物の有無を判定する制御部と,を有することを特徴とする,熱処理装置。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の熱処理装置における制御部の機能を,コンピュータに実現させるためのプログラム。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の熱処理装置における制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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