JP2006163376A - 近赤外線吸収フィルター - Google Patents
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Abstract
Description
また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビとして注目されているプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が、近赤外線を発生して、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、PDP用フィルターとしても800nm〜1100nmの近赤外線を吸収する赤外線吸収色素を含有したフィルターの要求がある。
すなわち、本発明の要旨は下記一般式(1)
で表される化合物からなる近赤外線吸収色素、該化合物を含む層を有する近赤外線吸収フィルター、及び該近赤外線吸収フィルターを用いた電子ディスプレイ用フィルターに存する。
(一般式(1)で表される化合物)
前記一般式(1)において、R1 は、置換基を有していても良い炭化水素基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、水素原子、シアノ基又はハロゲン原子である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられるが、特に好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
R2 は、置換基を有していても良い炭化水素基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良い炭化水素チオ基、置換基を有していても良いシリル基、水素原子、シアノ基又は又はハロゲン原子である。
上記炭化水素チオ基としては、1)アルキルチオ基;n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−メチルプロピルチオ基、2−メチルブチルチオ基、3−メチルブチルチオ基、シクロヘキシルメチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−エチルブチルチオ基、イソプロピルチオ基、2−ブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、3−ペンチルチオ基、1,1−ジメチルプロピルチオ基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基などがあげられ、このうち好ましくは炭素数10以下のアルキルチオ基、特に好ましくは、炭素数10以下の分岐鎖のアルキルチオ基である。2)アルケニルチオ基;プロペニルチオ基、ビニルチオ基、イソプロペニルチオ基、スチリルチオ基などがあげられ、このうち好ましくは炭素数12以下のアルケニルチオ基である。上記アルキニルチオ基としては、エチニルチオ基、1−ペンテニルチオ基、フェネチニルチオ基、t−ブチルエチニル基などがあげられ、このうち好ましくは炭素数12以下のアルキニルチオ基である。3)アリールチオ基;フェニルチオ基、p−tert−ブチルフェニルチオ基、o−トリルチオ基、メシチルチオ基、キシリルチオ基、クメニルチオ基、ナフチルチオ基などがあげられ、好ましくは炭素数12以下の単環又は2員環からなるアリールチオ基である。4)複素環チオ基;チエニルチオ基、フリルチオ基、ピラゾリルチオ基、ピロリイルチオ基、イソオキサゾリルチオ基、ピリジルチオ基、インドールイルチオ基などがあげられ好ましくは炭素数10以下の5員環からなる複素環チオ基である。上記カルボニル基としては、R1 であげたカルボニル基の具体例と同様のものがあげられる。上記シリル基としては、R1 であげたシリル基の具体例と同様のものがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられるが、特に、好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
該R1 の炭化水素基及びカルボニル基及びシリル基の置換基,また、該R2 の炭化水素基及び炭化水素チオ基及びカルボニル基及びシリル基の置換基、また、該Y1 及びY2 の炭化水素基の置換基としては、金属錯体の安定性に悪影響を与えない基であれば、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基及びシリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。
また、上記R1 とR2 及びY1 とY2 は、互いに連結して−CH2 −CH2 −、−CH2 −CH2 −CH2 −、CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −、−CH(Ph)−CH2 −、−CH(Me)−CH2 −等の置換基を有していても良いアルキレン基;−CH=CH−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−CH2 −CH2 −CH=CH−等の置換基を有していても良いアルケニレン基;−CH2 −S−CH2 −、−CH2 −O−CH2 −、−CH2 −C(=O)−CH2 −、−CH2 −CH2 −S−CH2 −CH2 −、−CH2 −CH2 −O−CH2 −CH2 −等の基を形成して環構造となっていても良い。
一般式(1)で表される化合物は、XRR' R''R''' R''''が配位して塩型をとっていても良い。Xは、第15族原子を表し、特に好ましくは、窒素原子、または、リン原子である。R' 、R''、R''' 、R''''は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。該脂肪族炭化水素基およびアリール基としては、R1 の脂肪族炭化水素基およびアリール基としてあげたものと同様の基が挙げられる。また、該脂肪族炭化水素基及びアリール基の置換基としては、R1 の置換基としてあげたものと同様の置換基が挙げられる。R' 、R''、R''' 、R''''として、中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基;フェニル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基があげられる。
M1 は、4配位の形態をとりうる金属原子であれば特に限定されないが、好ましくはNi、Pd又はPtの10族金属原子;Co;Fe;Cu;Ag;Au又はZnが挙げられ、より好ましくは10族金属原子であり、特に好ましくはNi又はPdである。
本発明の近赤外線吸収フィルターには、さらに下記一般式(2)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる化合物を少なくとも1種類以上含有させることにより、750〜1050nmの範囲の近赤外線領域を幅広く吸収できるため、特に電子ディスプレイ用フィルターに用いる場合には好ましい。
R5 及びR6 は、それぞれ独立して、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い複素環基又は水素原子を示す。ここで、R5 とR6 は、互いに直接的に又は連結基を介して結ばれていても良い。M2 は、M1 で記載したのと同様の金属を用いることができる。
上記R5 とR6 の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、ネオペンチル基、2−エチルブチル基、イソプロピル基、2−ブチル基、シクロヘキシル基、3−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基;2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基が挙げられる。このうち好ましくは炭素数10以下の1級又は2級アルキル基、特に好ましくは炭素数10以下の1級アルキル基である。
上記R5 とR6 の脂肪族炭化水素基の置換基としては、先のR1 の置換基としてあげたものと同様の置換基が挙げられるが、特に好ましくは,無置換、ハロゲン原子(特に好ましくはフッ素原子)、シアノ基、アルコキシ基及びアリール基である。
上記R5 とR6 のアリール基及び複素環基としてはフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基又はフルオレニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラジニル基又はピラゾリル基等の5員又は6員単環若しくはそれらの縮合環が挙げられる。このうち好ましくは、置換基を有していても良いアリール基、より好ましくは、置換基を有していても良いフェニル基である。
R5 及びR6 が芳香環の場合、芳香環上の置換基同士は、隣り合う2個の置換基が一体となって、−(CH2 )3 −又は−(CH2 )4 −等の炭素数2〜5程度のアルキレン基、−OCH2 O−又は−O(CH2 )2 O−等の炭素数1〜4程度のアルキレンジオキシ基等を形成していても良い。
R7 及びR8 は、それぞれ独立して、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い複素環基又は水素原子を示す。ここで、R7 とR8 は、互いに直接的に又は連結基を介して結ばれていても良い。M3 は、M1 で記載したのと同様の金属を用いることができる。
上記R7 及びR8 の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基としては、先のR5 及びR6 の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基であげたものと同様のものがあげられる。上記R7 及びR8 の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基の置換基としては、先のR1 の置換基としてあげたものと同様の置換基があげられるが、特に好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基である。
R7 及びR8 は、直接、あるいは、連結基を介して互いに結ばれていても良いが、特に下記構造を有するような場合が好ましい。
R3 、R4 、R9 及びR10は、それぞれ独立して、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い複素環基又は水素原子を示す。ここで、R3 とR4 、及び、R9 とR10は、互いに直接的に又は連結基を介して結ばれていても良い。M4 は、M1 で記載したのと同様の金属を用いることができる。
上記C及びC’のアリール基及び複素環基の置換基としては、先のR1 の置換基としてあげたものと同様の置換基が挙げられるが、中でも好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していても良いヘテロアリール基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基又は置換基を有していても良いアミノ基があげられる。より具体的には、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン原子又はアリール基で置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基、トリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ピリジル基、チエニル基等の炭素数4〜8のヘテロアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜10のアリールオキシ基;または、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基で置換されていても良いアミノ基が挙げられる。
上記R3 、R4 、R9 及びR10の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基としては、先のR5 及びR6 の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基であげたものと同様のものがあげられる。上記R3 、R4 、R9 及びR10の脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基の置換基としては、先のR1 の置換基としてあげたものと同様の置換基があげられるが、特に好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基である。
前記一般式(4)で表される色素の好ましい具体例として、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
また、式(5)は、 XR' R''R''' R''''が配位して塩型を形成してもよく、ここでXは、第15族原子を表し、特に好ましくは、窒素原子、または、リン原子である。R' 、R''、R''' 、R''''は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。該脂肪族炭化水素基およびアリール基としては、R1 の脂肪族炭化水素基およびアリール基としてあげたものと同様の基が挙げられる。また、該脂肪族炭化水素基及びアリール基の置換基としては、R1 の置換基としてあげたものと同様の置換基が挙げられる。R' 、R''、R''' 、R''''として、中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基;フェニル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基があげられる。
一般式(5)は、塩を形成しているものも塩を形成していないものも好ましい。
一般式(5)で表される色素の好ましい具体例として、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
また、上記R11〜R14の脂肪族炭化水素基及びアリール基及び複素環基の置換基が、一体となって、−(CH2 )3 −又は−(CH2 )4 −等の炭素数2〜5程度のアルキレン基、−OCH2 O−又は−O(CH2 )2 O−等の炭素数1〜4程度のアルキレンジオキシ基等を形成していても良い。
一般式(6)で表される色素の好ましい具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(7)におけるM7 は、フタロシアニン骨格と錯体を形成出来る元素であれば、特に限定されないが、好ましくは銅原子、バナジウムオキシ基又は塩化スズ基が挙げられる。また一般式(7)で表される化合物は酸により塩を形成していてもよい。
該R31〜R34の脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の置換基としては、R1 であげたものと同様のものがあげられる。
また、式(8)は、XR' R''R''' R''''が配位して塩型を形成してもよく、ここでXは、第15族原子を表し、特に好ましくは、窒素原子、または、リン原子である。R’、R''、R''' 、R''''は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。該脂肪族炭化水素基およびアリール基としては、R1 の脂肪族炭化水素基およびアリール基としてあげたものと同様の基が挙げられる。また、該脂肪族炭化水素基及びアリール基の置換基としては、R1 〜R2 の置換基としてあげたものと同様の置換基が挙げられる。R' 、R''、R''' 、R''''として、中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基;フェニル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基があげられる。
一般式(8)は、塩を形成していないものの方が塩を形成しているものより好ましい。一般式(8)で表される色素の好ましい具体例として、下記で表される化合物があげられる。
Xは陰イオンを示し、具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、6フッ化アンチモン酸イオン、硝酸アニオン、ヘキサフルオロフォスフェイトアニオン、テトラフルオロボレートアニオンで表される1価の陰イオンを示す。
また、上記一般式(2)〜(6)、(8)で表される化合物のモル吸光係数は、通常通常5000以上、好ましくは8000以上のものである。
一般式(7)に記載のフタロシアニン化合物としては、分子量900〜3000、好ましくは、1000〜2500のものである。
一般式(9)に記載のジインモニウム化合物としては、分子量600〜3000、好ましくは、900〜2100のものである。
また、上記一般式(9)で表される化合物のモル吸光係数は、通常70000以上、好ましくは90000以上のものである。
尚、上記化合物(2)は、例えば、Russ.J.Gen.Chem.,66巻、1842頁(1996年)に記載の方法で合成でき、上記化合物(3)は、例えば、特開2001−89492号公報に記載の方法で合成でき、化合物(4)は 例えば、J.Am.Chem.Soc.,88卷、5201頁(1966年)に記載の方法より合成でき、化合物(5)は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,88卷、43頁及び4870頁(1966年)に記載の方法で合成でき、化合物(6)は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,87卷、1483頁(1965年)に記載の方法で合成でき、化合物(7)は、例えば、The Porphyrin Handbook(2003)に記載の方法で合成でき、化合物(8)は、例えば、J.Mater.Chem.,1861頁(1994)に記載の方法で合成でき、化合物(9)は、例えば、特開昭61−246391号公報に記載の方法で合成できる。
さらに、本発明の近赤外線吸収フィルターは、耐光性富士フィルム(株)社製UVカットフィルターを装着した状態でのキセノンランプによる280時間耐光性試験後の色素残存率も優れたものであり、好ましくは色素残存率が70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上となるものである。
本発明の近赤外線吸収フィルターの製造方法としては、透明基板に近赤外線吸収色素を含む塗工液をコーティングする方法、近赤外線吸収色素をバインダー樹脂と溶融混錬してフィルム状に成形する方法などが挙られるが、近赤外線吸収色素に対する負荷を低減するため、塗工液をコーティングする方法の方が好ましい。
(基板)
本発明の近赤外線吸収フィルターを構成する透明基板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない基材であればよく、特に制限はない。その具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましい。
透明基板は、これらの樹脂を、射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などなどの成形方法を用い、フィルム状に成形したものが用いられる。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積層されていても良い。
更に、透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施してもよい。
(近赤外線吸収色素層)
近赤外線吸収色素を含む塗工液は、近赤外線吸収色素をバインダー樹脂とともに溶剤中に溶解又は分散させることにより、調製することができる。また、分散させる場合、近赤外線吸収色素を必要に応じて分散剤を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、バインダーとともに、溶剤に分散させて調製することもできる。
分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用量は、近赤外線吸収色素に対して、通常0〜100重量%、好ましくは0〜70重量%である。
溶媒としては、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類、テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類あるいはこれらの混合物を用いることができる。
近赤外線吸収色素を含む層は、乾燥後の膜厚が、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布される。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、さらに紫外線カット層を設けることにより、近赤外線吸収色素との相乗効果によって、近赤外線吸収フィルターの耐光性を著しく向上させることができる。紫外線カット層としては、400nm以下の波長の紫外線を効率よくカットできるものであり、350nmの波長の光を70%以上吸収できることが好ましい。紫外線カット層の種類については、特に制限されないが、好ましくは紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム(紫外線カットフィルム)が好ましい。
また、紫外線カットフィルムは、市販のUVカットフィルターを使用することもでき、例えば、富士フィルム(株)のSC−38、SC−39、SC−42、三菱レーヨン(株)のアクリプレン等が挙げられる。上記のUVカットフィルター、SC−39、アクリプレンは、ともに350nmの波長を99%以上吸収する紫外線カットフィルムである。
また、本発明により得られる近赤外線吸収フィルターは、本発明のディスプレイパネル用フィルター以外にも、熱線遮断フィルム、サングラス、保護眼鏡、リモコン受光器など幅広い用途に使用することができる。
さらに、本発明の近赤外線吸収フィルターは、必要に応じて、電磁波カット層、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止層(ノングレア層)、色調補正層をを設け、電子ディスプレイ用、より好ましくはプラズマディスプレイパネル用フィルターとして使用することができる。
(電磁波カット層)
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる電磁波カット層としては、金属酸化物等の蒸着あるいはスパッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウムスズ(ITO)が一般的であるが、誘導体層と金属層を基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層より3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。基材としては、本発明の近赤外線吸収フィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリングして電磁波カット層を設けた後に、本発明の近赤外線吸収フィルターと貼り合わせても良い。
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる反射防止層としては、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる色調補正層としては、プラズマディスプレイから発せられる590〜600nmの波長域のネオンオレンジ光をカットできれば特に限定されず、公知のスクアリリウム系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、メチン系化合物、ピロメテン系化合物、ジピロメテン系化合物等の化合物を含有させる。また、消光時のディスプレイの色がニュートラルグレーになるようにその他の色素を添加することもある。
また、上述の各層の他にぎらつき防止層(ノングレア層)も設けてもよい。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
(製造例1)
EI MS:462
λmax :890nm(in THF)
1H NMR(CDCl3)1.60−1.63(d,12H)4.19−4.30(m,2H)7.38−7.49(m,3H)7.87−7.94(m,2H)8.83(s,1H)
(製造例2)
EI MS:538
λmax :908nm(in THF)
(製造例3)
EI MS:498
λmax :882nm(in THF)
(製造例4)
EI MS:442
λmax :866nm(in THF)
(製造例5)
EI MS:440
λmax :894nm(in THF)
(製造例6)
EI MS:492
λmax :910nm(in THF)
(製造例7)
EI MS:608
λmax :913nm(in THF)
実施例1
例示化合物1(34.3mg)をトルエン0.80gに添加し、これらの中にアクリル系樹脂(オプトレッソOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度25重量%)3.2gを添加し、超音波をかけて溶解させ、濾過後、この塗工液を、バーコータ(No.18;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得た。
更に、耐熱性および耐湿熱性を評価するため、80℃の恒温槽および、60℃、湿度90%の恒温恒湿槽に500時間入れて耐熱性及び耐湿熱性の試験(904nmにおける照射前後の吸収強度の測定)を実施したところ、色素残存率(照射後の強度÷照射前の強度×100)はそれぞれ、95.5%及び99.9%と良好な耐熱性および耐湿熱性を示し、フィルターの色変化はなかった。
例示化合物2(34.3mg)をトルエン0.80gに添加し、これらの中にアクリル系樹脂(オプトレッソOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度25重量%)3.2gを添加し、超音波をかけて溶解させ、濾過後、この塗工液を、バーコータ(No.18;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得た。
更に、耐熱性および耐湿熱性を評価するため、80℃の恒温槽および、60℃、湿度90%の恒温恒湿槽に500時間入れて耐熱性及び耐湿熱性の試験(912nmにおける照射前後の吸収強度の測定)を実施したところ、色素残存率(照射後の強度÷照射前の強度×100)はそれぞれ、97.3%及び99.2%と良好な耐熱性および耐湿熱性を示し、フィルターの色変化はなかった。
実施例3
例示化合物71(34.3mg)をトルエン0.80gに添加し、これらの中にアクリル系樹脂(オプトレッソOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度25重量%)3.2gを添加し、超音波をかけて溶解させ、濾過後、この塗工液を、バーコータ(No.18;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得た。
更に、耐熱性および耐湿熱性を評価するため、80℃の恒温槽および、60℃、湿度90%の恒温恒湿槽に500時間入れて耐熱性及び耐湿熱性の試験(916nmにおける照射前後の吸収強度の測定)を実施したところ、色素残存率(照射後の強度÷照射前の強度×100)はそれぞれ、88.5%及び94.1%と良好な耐熱性および耐湿熱性を示し、フィルターの色変化はなかった。
実施例4
例示化合物1(λmax :904nm)138.0mg及び化合物2(λmax :1005nm)63.0mgをトルエン2.5gに添加し、これらの中にアクリル系樹脂(オプトレッソOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度25重量%)10.0gを添加し、超音波をかけて溶解させ、濾過して塗工液を得た。例示化合物1と化合物2の極大吸収は、これらを混合する前と同様な極大吸収を示した。この塗工液を、バーコータ(No.18;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得た。
更に、耐熱性および耐湿熱性を評価するため、80℃の恒温槽および、60℃、湿度90%の恒温恒湿槽に500時間入れて耐熱性及び耐湿熱性の試験を行ったところ、試験後も800−1000nmの領域を有効に遮蔽しており、フィルターの色変化もなかった。(図2、図3)
このフィルターに、富士写真フィルム(株)製UVカットフィルター(SC−39)を装着し、キセノンロングライフフェードメーター(FAL−25AX−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、280時間照射し、試験後測定したところ、800−1000nmの領域を有効に遮蔽しており、フィルター色変化もなかった。(図4)
比較例1
例示化合物1にかえて、下記のジチオール金属錯体(化合物9)(λmax :922nm)を用いた以外は、実施例3と同様に塗工液を製造したところ、該塗工液は946nmに最大吸収波長を有した。
比較例2
例示化合物1にかえて、下記のジチオール金属錯体(化合物10)(λmax :878nm)を用いた以外は、実施例3と同様に塗工液を製造した。該塗工液は922nmに吸収波長を有した。
Claims (7)
- 下記一般式(1)
で表される化合物を含む層を有することを特徴とする近赤外線吸収フィルター。 - 一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)
で表される化合物、下記一般式(3)
で表される化合物、下記一般式(4)
で表される化合物、下記一般式(5)
で表される化合物、下記一般式(6)
で表される化合物、下記一般式(7)
で表される化合物、下記一般式(8)
で表される化合物、および下記一般式(9)
で表される化合物からなる群より選ばれる化合物のうち1種類以上とを含有する層を有する請求項1に記載の近赤外線吸収フィルター。 - さらに紫外線カット層を有する請求項1または2に記載の近赤外線吸収フィルター。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルターを用いたことを特徴とする電子ディスプレイ用フィルター。
- 下記一般式(1’)
で表されることを特徴とする化合物。 - M1 が第10族原子または第11族原子である請求項5に記載の化合物。
- 請求項5または6に記載の化合物からなることを特徴とする近赤外線吸収色素。
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