現在、多くの電子ディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)では、R(赤),G(緑),B(青)の3原色からなるサブピクセルを用いてカラー表示を実現している。図8は、上記のようなカラー表示方式を用いた、一般的な電子ディスプレイ(液晶ディスプレイ)の画素構造を示している。この図に示すように、R,G,Bの3原色からなるサブピクセルを用いてカラー表示を行う方式のディスプレイでは、各画素が、R,G,Bの各色をそれぞれ表示する3つのサブピクセルによって構成されている。
このようなカラー表示方式は、ディスプレイに要求されるほとんどの色再現域を表示することができるため、多くのディスプレイに採用されてきた。
ところで、近年、サブピクセル数を増やし4〜6色の色を各サブピクセルに適用することで、ディスプレイの色再現範囲を拡大する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、R,G,BにYを加えた4色のサブピクセル構成を採用することで、色再現範囲を拡大する技術が開示されている。
また、特許文献には、R,G,BにY,Cを加えた5色のサブピクセル構成、あるいは、R,G,BにY,C,Mを加えた6色のサブピクセル構成などが開示されている。
このように、サブピクセルの色数を増やすことにより、ディスプレイの色再現範囲を拡大することが可能である。しかしながら、色数(サブピクセル数)を増加させると、製造コストが増加してしまうという問題がある。
図9(a)〜図9(f)は、フォトリソグラフィー工程を用いた、一般的なR,G,B3原色のカラーフィルタの製造方法(製造工程)を説明するための説明図である。
まず、図9(a)に示すように、基板100上に、フォトリソグラフィー工程によってブラックマトリクス101が形成される。
次に、図9(b)に示すように、基板100上に、ブラックマトリクス101を覆うように、Rのフィルター層102が形成される。その後、図9(c)に示すように、Rのサブピクセルに対応する領域と、それに隣接するブラックマトリクス101上の一部とを除いて、フォトリソグラフィー工程によってRのフィルター層102が除去される。
次に、図9(d)に示すように、基板100上に、ブラックマトリクス101およびRのフィルター層102を覆うように、Gのフィルター層103が形成される。その後、図9(e)に示すように、Gのサブピクセルに対応する領域と、それに隣接するブラックマトリクス101上の一部とを除いて、フォトリソグラフィー工程によってGのフィルター層103が除去される。
次に、図9(f)に示すように、基板100上に、ブラックマトリクス101、Rのフィルター層102、Gのフィルター層103を覆うように、Bのフィルター層104が形成される。その後、図9(f)に示すように、Bのサブピクセルに対応する領域と、それに隣接するブラックマトリクス101上の一部とを除いて、フォトリソグラフィー工程によってBのフィルター層104が除去される。これにより、R,G,Bの3原色からなるカラーフィルタが形成される。
このように、従来のフォトリソグラフィー工程を用いたカラーフィルタの製造方法では、R,G,Bの3原色を有するカラーフィルタを形成する場合、R,G,Bの各色について1回ずつのフォトリソグラフィー工程、および、ブラックマトリクスを形成するためのフォトリソグラフィー工程が必要である。したがって、例えば、6原色を有するカラーフィルタを形成する場合には、ブラックマトリクスの形成工程を含めて、合計7回のフォトリソグラフィー工程が必要である。
一方、カラーフィルタの製造の方法として、インクジェット法も提案されている。インクジェット法では、フォトリソグラフィー工程を必要としないため、製造コストを抑えることができるといわれている。
図10(a)〜図10(d)に、一般的なインクジェット法によるR,G,B3原色のカラーフィルタの製造方法(製造工程)を説明するための説明図を示す。
まず、図10(a)に示すように、基板200上に、ブラックマトリクス201が形成される。
次に、図10(b)に示すように、Rのサブピクセルに対応する領域に、Rのインク202が吐出(インクジェット)され、焼成される。さらに、図10(c)に示すように、Gのサブピクセルに対応する領域に、Gのインク203が吐出され、焼成される。その後、図10(d)に示すように、Bのサブピクセルに対応する領域に、Bのインク204が吐出され、焼成される。これにより、R,G,Bの3原色からなるカラーフィルタが形成される。
このように、インクジェット法でも、色数(サブピクセル数)の分、形成工程(吐出工程および焼成工程)を繰り返す方法が一般的である。3色のインクを同時に吐出するプロセスも提案されてはいるが、技術的課題により、現状では3回に分ける方法が一般的である。
したがって、色数が増加すると、その分、製造コストが増加してしまう。例えば、色数を3色から6色に増やす場合には、3色のカラーフィルタを製造する場合の2倍近くの製造コストが必要になる。また、インクジェット装置としても、6色分のヘッド、供給系、インクタンク等が必要となるので、プロセスコストだけでなく、装置価格(設備コスト)も増加する。
これらの問題を解決する方法として、例えば特許文献3および4には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のカラーフィルタ層を有し、一部でいずれか2つのカラーフィルタ層が重なる部分を作ることで、C,M,Yに加えてR,G,Bの3原色を形成する技術が開示されている。つまり、C,M,YからR,G,Bの原色を形成することにより、C,M,Yの3色分のカラーフィルタ層形成工程で、6色のカラーフィルタ層を形成する方法が開示されている。
特開2001−209047(公開日:2001年8月3日)
WO03/088203(公開日:2003年10月23日)
特開平10−307205(公開日:1998年11月17日)
特開平11−337725(公開日:1999年12月10日)
しかしながら、上記特許文献3および4に記載の技術では、当該各特許文献においても指摘されているように、1層部と2層部(カラーフィルタ層が重なる部分)との間に、大きな段差が発生する。液晶ディスプレイの場合、カラーフィルタの段差は、液晶セル厚の段差となるため、このような段差があることは好ましくない。
上記特許文献3および4では、カラー層の厚さが0.2μm〜0.7μmでは問題ないとしているが、実際には、特に透過型のディスプレイの場合には、カラー層の厚さが上記の範囲内であっても表示上の問題になる。
また、テレビ向けの液晶ディスプレイでは、一般に、1μm〜3μm程度のカラーフィルタ層が採用されており、この場合、C,M,Yのカラーフィルタ層(1層部)とR,G,Bのカラーフィルタ層(2層部)との間の段差はさらに大きくなる。
このような段差を解消するために、カラーフィルタ層の上部に厚いオーバーコート膜を形成する方法もあるが、大きな段差を解消するためには、より厚いオーバーコート膜が必要となり、そのことがさらなる製造コストの増加を招いてしまう。
また、上記特許文献3および4に記載の技術では、各色のパターンをフォトリソグラフィー技術によって形成している。この場合、C,M、Yの膜厚を、それぞれのサブピクセルごとに制御することは困難であるため、各色のバランスをとることが難しいという問題がある。すなわち、カラーフィルタの製造方法として一般的なフォトリソグラフィー法を用いる場合、1色(例えばR(Red))のカラーレジストを所望の膜厚にスピナーにて各サブプクセルについて一括塗布した後、120℃前後でプリベークされる。そして、ネガ型のカラーレジストの場合には、露光機にてRの色を残す場所のみに光が照射されるようなフォトマスクを通して露光される。さらに、露光後に現像処理を行うことにより、Rの領域のみにRのカラーレジストが残る。R,G,B3色のカラーフィルタの場合には、これらの工程を繰り返すことになる。このように、フォトリソグラフィー方式では、スピナーを用いて各サブピクセルについて各色のカラーレジストを一括形成するため、サブピクセルごとに膜厚を制御することは困難である。したがって、各色のバランスをとることが難しい。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数色のカラーフィルタ層を備えたカラーフィルタであって、各色のカラーフィルタ層間の段差が小さく、製造コストが安価なカラーフィルタ、それを備えた表示装置、ならびに上記カラーフィルタの製造方法を提供することにある。
本発明のカラーフィルタは、上記の課題を解決するために、互いに異なる複数色のカラーフィルタ層を備えた画素領域を有するカラーフィルタであって、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、複数色のカラー層が積層されてなり、上記積層されるカラー層のうち少なくとも1つは、他のカラーフィルタ層を形成するためのカラー層と同色かつ膜厚が異なることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記積層されるカラー層のうち少なくとも1つは、他のカラーフィルタ層を形成するためのカラー層と同色かつ膜厚が異なる。これにより、複数色のカラー層が積層されてなるカラーフィルタを含む場合でも、各カラーフィルタ層の膜厚(総厚)を任意に設定することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。また、複数のカラーフィルタ層に同色のカラー層を備え、上記同色のカラー層の膜厚をカラーフィルタ層ごとに設定することにより、色設計の自由度を向上させ、カラーフィルタの色再現範囲を拡大できる。
また、上記画素領域に備えられる各カラーフィルタ層は、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー層の組み合わせからなる構成としてもよい。この場合、上記各カラーフィルタ層は、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー層のうちいずれか1色の単層構造、または、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー層のうちいずれか2色以上の積層構造によって構成される。
上記の構成によれば、画素領域に備えられる複数色のカラーフィルタ層を、それより少ない色数のカラー層の組み合わせによって形成することができる。したがって、各カラーフィルタ層をそれぞれ単色のカラー層で形成する場合に比べて、カラー層の色数を削減できる。このため、カラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、4色以上のカラーフィルタ層を備えていてもよい。この場合、3色以下のカラー層を組み合わせることによって、上記4色以上のカラーフィルタ層を形成することができる。
また、上記画素領域に備えられる全てのカラーフィルタ層が、Y,M,Cのうち2色以上のカラー層の積層、または、Y,M,Cのうちいずれか1色のカラー層の単層から形成されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記画素領域に備えられる全てのカラーフィルタ層が、Y,M,Cのカラー層の組み合わせによって形成される。したがって、Y,M,Cの3色のカラー層によって、4色以上のカラーフィルタ層を形成することができ、カラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、Rのカラーフィルタ層と、Gのカラーフィルタ層と、Bのカラーフィルタ層とを備え、上記Rのカラーフィルタ層は、Yのカラー層とMのカラー層とが積層されてなり、上記Gのカラーフィルタ層は、Yのカラー層とCのカラー層とが積層されてなり、上記Bのカラーフィルタ層は、Cのカラー層とMのカラー層とが積層されてなる構成としてもよい。
上記の構成によれば、R,G,Bの3原色のカラーフィルタ層を含む4色以上の全てのカラーフィルタ層を、Y,M,Cのカラー層の組み合わせによって形成することができる。したがって、R,G,Bを含む4色以上のカラーフィルタ層を有するカラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、Y,M,Cのいずれかのカラー層の単層からなるカラーフィルタ層を備え、上記単層からなるカラーフィルタ層を構成するカラー層の膜厚は、当該カラー層と同色であって、かつ、上記R,G,Bのいずれかのカラーフィルタ層に含まれるカラー層の膜厚よりも厚い構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記Y,M,Cのうち2色のカラー層が積層されてなる(組み合わされてなる)R,G,Bのカラーフィルタ層の膜厚(総厚)と、上記Y,M,Cのいずれかのカラー層の単層からなるカラーフィルタ層の膜厚との差を小さくすることできる。例えば、R,G,Bのカラーフィルタ層の膜厚と、上記Y,M,Cのいずれかのカラー層の単層からなるカラーフィルタ層の膜厚とを、略等しく(表示上の問題とならない程度に小さく)することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。
例えば、上記画素領域は、Yのカラー層の単層からなるYのカラーフィルタ層と、Cのカラー層の単層からなるCのカラーフィルタ層とを備えている構成としてもよい。
この場合、R,G,B,Y,Cの5色のカラーフィルタ層を備えたカラーフィルタにおいて、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
また、上記の構成に加えて、上記画素領域は、Mのカラー層の単層からなるMのカラーフィルタ層をさらに備えている構成としてもよい。
この場合、R,G,B,Y,C,Mの6色のカラーフィルタ層を備えたカラーフィルタにおいて、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
また、上記各カラー層は、インクジェット法で吐出されたカラー材料からなるものであってもよい。
インクジェット方式では、カラー材料の吐出量を高精度に制御することができるので、各カラー層の膜厚を高精度に制御することができる。したがって、上記の構成によれば、各色のカラーフィルタ層間の段差をより小さくすることができる。
また、上記の構成では、各カラー層を形成するためのカラー材料がインクジェット方式で吐出され、少なくとも1つのカラーフィルタ層が複数色のカラー層の積層からなる。この場合、各カラーフィルタ層がそれぞれ単色のカラー材料がインクジェット方式で吐出されてなるカラー層である場合に比べて、製造工程において用いられるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できる。したがって、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
本発明のカラーフィルタは、上記の課題を解決するために、互いに異なる色のカラーフィルタ層を備えた複数のサブピクセル領域からなる画素領域を有するカラーフィルタであって、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、複数色のカラー材料が混合されてなり、上記混合されるカラー材料のうち少なくとも1つは、他のサブピクセル領域に備えられるカラーフィルタ層を形成するためのカラー材料と同色かつ量が異なることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記混合されるカラー材料のうち少なくとも1つは、他のカラーフィルタ層を形成するためのカラー材料と同色かつ量が異なる。これにより、複数色のカラー材料が混合されてなるカラーフィルタを含む場合でも、各カラーフィルタ層の膜厚(総厚)を任意に設定することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。また、同色のカラー材料の量を各サブピクセル領域ごとに設定することにより、色設計の自由度を向上させ、カラーフィルタの色再現範囲を拡大できる。
また、上記の構成によれば、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、複数色のカラー材料が混合されてなる。このように、上記カラー材料を混合する場合、各カラーフィルタ層がそれぞれ単色のカラー材料からなる構成に比べて、製造工程において用いられる、各サブピクセル領域にカラー材料を供給するための装置の構成を簡略化し、当該装置の設備費用および当該装置の調整やメンテナンス時間を低減できる。したがって、製造コストを低減できる。
また、上記画素領域に備えられる各カラーフィルタ層は、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー材料の組み合わせからなる構成としてもよい。この場合、上記各カラーフィルタ層は、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー材料のうちいずれか1色、または、当該各カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー材料のうちいずれか2色以上の混合によって構成される。
上記の構成によれば、画素領域に備えられる複数色のカラーフィルタ層を、それより少ない色数のカラー材料の組み合わせによって形成することができる。したがって、各カラーフィルタ層をそれぞれ単色のカラー材料で形成する場合に比べて、カラー材料の色数を削減できる。このため、カラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、4色以上のカラーフィルタ層を備えていてもよい。この場合、3色以下のカラー材料を組み合わせることによって、上記4色以上のカラーフィルタ層を形成することができる。
また、上記画素領域に備えられる全てのカラーフィルタ層が、Y,M,Cのうち2色以上のカラー材料が混合されてなるか、あるいは、Y,M,Cのうちいずれか1色のカラー材料からなる構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記画素領域に備えられる全てのカラーフィルタ層が、Y,M,Cのカラー材料の組み合わせによって形成される。したがって、Y,M,Cの3色のカラー材料によって、4色以上のカラーフィルタ層を形成することができ、カラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、上記画素領域は、Rのカラーフィルタ層と、Gのカラーフィルタ層と、Bのカラーフィルタ層とを備え、上記Rのカラーフィルタ層は、Yのカラー材料とMのカラー材料とが混合されてなり、上記Gのカラーフィルタ層は、Yのカラー材料とCのカラー材料とが混合されてなり、上記Bのカラーフィルタ層は、Cのカラー材料とMのカラー材料とが混合されてなる構成としてもよい。
上記の構成によれば、R,G,Bの3原色のカラーフィルタ層を含む4色以上の全てのカラーフィルタ層を、Y,M,Cのカラー材料の組み合わせによって形成することができる。したがって、R,G,Bを含む4色以上のカラーフィルタ層を有するカラーフィルタの製造コストを低減することができる。
また、上記画素領域は、Y,M,Cのうちいずれか1色のみのカラー材料からなるカラーフィルタ層を備え、上記1色のみのカラー材料からなるカラーフィルタ層に含まれるカラー材料の量は、当該カラー材料と同色であって、かつ、上記R,G,Bのいずれかのカラーフィルタ層に含まれるカラー材料の量よりも多い構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記Y,M,Cのうち2色のカラー材料が混合されてなる(組み合わされてなる)R,G,Bのカラーフィルタ層の膜厚(総厚)と、上記Y,M,Cのいずれか1色のみのカラー材料からなるカラーフィルタ層の膜厚との差を小さくすることできる。例えば、R,G,Bのカラーフィルタ層の膜厚と、上記Y,M,Cのいずれか1色のみのカラー材料からなるカラーフィルタ層の膜厚とを、略等しく(表示上の問題とならない程度に小さく)することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。
例えば、上記画素領域は、Yのカラー材料からなるYのカラーフィルタ層と、Cのカラー材料からなるCのカラーフィルタ層とを備えている構成としてもよい。
この場合、R,G,B,Y,Cの5色のカラーフィルタ層を備えたカラーフィルタにおいて、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
また、上記の構成に加えて、上記画素領域は、Mのカラー材料からなるMのカラーフィルタ層をさらに備えている構成としてもよい。
この場合、R,G,B,Y,C,Mの6色のカラーフィルタ層を備えたカラーフィルタにおいて、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
また、上記各カラー材料は、上記サブピクセル領域にインクジェット法で吐出されたものであってもよい。
インクジェット方式では、カラー材料の吐出量を高精度に制御することができるので、各カラー層の膜厚を高精度に制御することができる。したがって、上記の構成によれば、各色のカラーフィルタ層間の段差をより小さくすることができる。
また、上記の構成では、各カラーフィルタ層を形成するためのカラー材料が各サブピクセル領域にインクジェット方式で吐出され、少なくとも1つのカラーフィルタ層がサブピクセル領域内で複数色のカラー材料を混合されてなる。この場合、各カラーフィルタ層がそれぞれ単色のカラー材料がインクジェット方式で吐出されてなるカラー層である場合に比べて、製造工程において用いられるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できる。したがって、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
本発明のカラーフィルタは、上記の課題を解決するために、互いに異なる色のカラーフィルタ層を備えた複数のサブピクセル領域からなる画素領域を有するカラーフィルタであって、上記各カラーフィルタ層は、上記各サブピクセル領域にインクジェット法で吐出されたカラー材料からなり、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料が当該サブピクセル内で混合されるか、あるいは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料からそれぞれ形成される複数色のカラー層が積層されてなることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料が当該サブピクセル内で混合されるか、あるいは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料からそれぞれ形成される複数色のカラー層が積層されてなる。これにより、上記各サブピクセル領域に、それぞれ異なる色のカラー材料を吐出する場合に比べて、吐出するカラー材料の色数を削減することができる。したがって、製造工程において用いるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できるので、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
また、上記各カラーフィルタ層の平均膜厚の最大値と最小値との差が、0.2μm未満であることが好ましい。この場合、上記各カラーフィルタの段差が、表示上の問題となることを確実に防止できる。
本発明の表示パネルは、上記したいずれかのカラーフィルタを備えている。また、本発明の表示装置は、上記したいずれかのカラーフィルタを備えている。また、本発明の表示装置は、光シャッター型の表示装置であってもよい。
上記の構成によれば、各色のカラーフィルタ層間の段差が小さいカラーフィルタを用いているので、表示性能の優れた表示パネルまたは表示装置を実現できる。また、製造コストが安価なカラーフィルタを用いているので、表示パネルまたは表示装置のコストを低減できる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記の課題を解決するために、互いに異なる色のカラーフィルタ層を備えた複数のサブピクセル領域からなる画素領域を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記各サブピクセル領域に、インクジェット法によって上記各カラーフィルタ層を形成するための複数色のカラー材料を吐出する吐出工程を含み、上記吐出工程において、上記複数のサブピクセル領域のうち少なくとも1つに、互いに異なる2色以上のカラー材料を吐出することを特徴としている。
上記の製造方法によれば、上記複数のサブピクセル領域のうち少なくとも1つに、互いに異なる2色以上のカラー材料を吐出する。これにより、上記各サブピクセル領域に、それぞれ異なる色のカラー材料を吐出する場合に比べて、吐出するカラー材料の色数を削減することができる。したがって、製造工程において用いるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できるので、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
また、上記吐出工程において上記複数色のカラー材料を色ごとに順次吐出するカラーフィルタの製造方法であって、上記色ごとに吐出したカラー材料を焼成してカラー層を形成した後に、次の色のカラー材料を、当該カラー材料を吐出すべき各サブピクセル領域に吐出するようにしてもよい。
上記の製造方法によれば、上記カラーフィルタのうち少なくとも1つを、複数色のカラー層を積層することによって形成できる。
あるいは、上記少なくとも1つのサブピクセル領域に吐出された2色以上のカラー材料を、当該サブピクセル領域において混合させるようにしてもよい。
上記の製造方法によれば、上記カラーフィルタのうち少なくとも1つを、サブピクセル領域において複数色のカラー材料を混合することによって形成できる。
また、上記少なくとも1つのサブピクセル領域に形成するカラーフィルタ層の色に応じて、当該サブピクセル領域に吐出する上記2色以上のカラー材料それぞれの量を設定してもよい。
この場合、色設計の自由度を向上させ、カラーフィルタの色再現範囲を拡大できる。
また、上記各サブピクセル領域に備えられる各カラーフィルタ層の膜厚が略等しくなるように、上記各色のカラー材料の各サブピクセル領域に対する吐出量を設定してもよい。ここで、各カラーフィルタ層の膜厚が略等しいとは、各カラーフィルタ層の膜厚差によって生じる段差が、表示上の問題を引き起こさない程度に小さいことを意味する。
上記の製造方法によれば、各カラーフィルタ層の膜厚が略等しくすることにより、各カラーフィルタ層の段差が表示上の問題を引き起こすことを防止することができる。
本発明のカラーフィルタは、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、複数色のカラー層が積層されてなり、上記積層されるカラー層のうち少なくとも1つは、他のカラーフィルタ層を形成するためのカラー層と同色かつ膜厚が異なる。
それゆえ、複数色のカラー層が積層されてなるカラーフィルタを含む場合でも、各カラーフィルタ層の膜厚(総厚)を任意に設定することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。
本発明のカラーフィルタは、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、複数色のカラー材料が混合されてなり、上記混合されるカラー材料のうち少なくとも1つは、他のサブピクセル領域に備えられるカラーフィルタ層を形成するためのカラー材料と同色かつ量が異なる。
それゆえ、複数色のカラー材料が混合されてなるカラーフィルタを含む場合でも、各カラーフィルタ層の膜厚(総厚)を任意に設定することができる。したがって、各色のカラーフィルタ層間の段差を小さくできる。
また、製造工程において用いられる、各サブピクセル領域にカラー材料を供給するための装置の構成を簡略化し、当該装置の設備費用および当該装置の調整やメンテナンス時間を低減できるので、製造コストを低減できる。
本発明のカラーフィルタは、上記各カラーフィルタ層は、上記各サブピクセル領域にインクジェット法で吐出されたカラー材料からなり、上記カラーフィルタ層のうち少なくとも1つは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料が当該サブピクセル内で混合されるか、あるいは、当該カラーフィルタ層が形成されるサブピクセル領域に吐出された複数色のカラー材料からそれぞれ形成される複数色のカラー層が積層されてなる。
それゆえ、上記各サブピクセル領域に、それぞれ異なる色のカラー材料を吐出する場合に比べて、吐出するカラー材料の色数を削減することができる。したがって、製造工程において用いるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できるので、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
また、本発明のカラーフィルタを、表示パネルや表示装置(例えば光シャッター型の表示装置)に備えることにより、表示性能の優れた安価な表示パネルや表示装置を実現できる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記各サブピクセル領域に、インクジェット法によって上記各カラーフィルタ層を形成するための複数色のカラー材料を吐出する吐出工程を含み、上記吐出工程において、上記複数のサブピクセル領域のうち少なくとも1つに、互いに異なる2色以上のカラー材料を吐出する。
それゆえ、上記各サブピクセル領域に、それぞれ異なる色のカラー材料を吐出する場合に比べて、吐出するカラー材料の色数を削減することができる。したがって、製造工程において用いるインクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を簡略化できるので、インクジェット装置の設備費用を低減できる。また、インクジェット装置の調整やメンテナンス時間を短縮することによって、製造コストを低減できる。
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態にかかるカラーフィルタは、液晶表示装置(表示装置)の表示パネルに備えられるものである。
図2は、本実施形態にかかるカラーフィルタを備えてなる表示パネル30を有する液晶表示装置(表示装置)21の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、液晶表示装置21は、データ入力部22、データ変換部23、液晶駆動波形生成部24、ソース駆動部25、ゲート駆動部26、液晶表示パネル(表示パネル)30、バックライト(図示せず)を備えている。
液晶表示装置21は、例えば、テレビ(TV)チューナー等の画像データを出力する機器に接続されるものである。なお、本実施形態にかかる液晶表示装置21は、37型WXGAの液晶表示パネル30を備えている。
データ入力部22は、入力された映像信号(入力信号)を、液晶表示パネル30の解像度に応じたディジタル信号に変換を行い、変換したディジタル信号をデータ変換部23に伝送する。また、データ入力部22は、映像信号に応じたクロック信号やスタートパルス等の制御信号を液晶駆動波形生成部24に伝送する。
データ変換部23は、ピクセル単位のデータを、液晶表示パネル30の各サブピクセルに適合するように変換し、変換したデータをソース駆動部25に伝送する。
液晶駆動波形生成部24は、ソース駆動部25およびゲート駆動部26を駆動させるための制御信号を生成して、その信号をソース駆動部25およびゲート駆動部26に伝送する。
ソース駆動部25は、液晶表示パネル30のそれぞれのサブピクセルに印加するための信号電圧を生成し、液晶表示パネル30に備えられる複数のソースバスライン(図示せず)に生成した信号電圧を印加する。
ゲート駆動部26は、液晶表示パネル30の各サブピクセルに備えられるTFT(スイッチング素子)を開閉させる信号を生成し、液晶表示パネル30に備えられる複数のゲートバスライン(図示せず)に生成した信号に応じた電圧を印加する。
液晶表示パネル30は、ソース駆動部25に接続された複数のソースバスラインとゲート駆動部26に接続された複数のゲートバスライン(いずれも図示せず)とが直交することによって形成される格子状の各矩形部に配置されたサブピクセルの状態が変化することによって、透過光の強さを変化させて表示を行う。
図3は、液晶表示パネル30の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、液晶表示パネル30は、カラーフィルタ(CF)基板31、カラーフィルタ部(カラーフィルタ)32、対向電極(電極)33、TFT基板34、画素電極35、TFT(スイッチング素子)36、液晶層37、偏向板38、偏向板39からなる。
カラーフィルタ基板31とTFT基板34とは互いに対向するように配置されている。また、カラーフィルタ基板31におけるTFT基板34との対向面には、カラーフィルタ部32が形成されている。なお、カラーフィルタ部32は、R(赤),G(緑),Y(イエロー),C(シアン),B(ブルー)の5色に対応する5つのサブピクセル領域と、各サブピクセル領域を隔てるブラックマトリクス46とから構成されている(詳細は後述する)。また、カラーフィルタ部32におけるTFT基板34側の面を覆うように、対向電極33が形成されている。また、カラーフィルタ基板31におけるTFT基板34との対向面とは反対側の面には、偏向板38が形成されている。
TFT基板34におけるカラーフィルタ基板31との対向面には、画素電極35とTFT(Thin Film Transistor)36とが、1画素について5組ずつ形成されている。そして、1組の画素電極35およびTFT36と、それに対向するカラーフィルタ層およびその表面に設けられた対向電極33と、それらに挟まれた液晶層37とによって、サブピクセルが構成される。また、TFT基板34におけるカラーフィルタ基板31との対向面とは反対側の面には、偏向板39が形成されている。また、液晶表示装置21では、液晶表示パネル30の偏向板39側に隣接するように、バックライト40が備えられる。
TFT36は、例えばFET(電界効果型トランジスタ)からなり、ゲート電極がゲートバスラインに接続され、ドレイン電極がソースバスラインに接続され、ソース電極が画素電極35に接続されている。なお、対向電極33は、全サブピクセルについて共通の共通電極線(図示せず)に接続されている。
これにより、ゲート駆動部26によってゲートバスラインが選択されると、そのゲートバスラインに接続されたTFT36が導通し、ソース駆動部25からソースバスラインに出力される信号電圧が、そのTFT36に対応するサブピクセルに印加される。また、各サブピクセルは、上記ゲートバスラインの選択期間が終了してTFT36が遮断されている間も、理想的には、遮断時の電圧を保持し続ける。このように各サブピクセルに電圧を印加することで、各サブピクセルにおける液晶層37に封入された液晶分子の配置が変化し、バックライトから入射される光の透過光量が変化する。すなわち、液晶表示装置21は、液晶層37に電界を印加することによって光の透過状態を変化させる、光シャッター型の表示装置である。
次に、カラーフィルタ部32について説明する。図1は、カラーフィルタ基板31およびカラーフィルタ部32の1画素に対応する部分を示す断面図であり、図4はその平面図である。これらの図に示すように、カラーフィルタ部32は、1画素に対応する部分が、カラーフィルタ基板31上に形成された、それぞれR(赤),G(緑),Y(イエロー),C(シアン),B(ブルー)の5色に対応する5つのサブピクセル領域と、各サブピクセル領域を隔てるブラックマトリクス46とから構成される。各サブピクセル領域の大きさは、縦600μm×横120μmである。また、各サブピクセル領域には、R(赤),G(緑),Y(イエロー),C(シアン),B(ブルー)のカラーフィルタ層41〜45のいずれかが形成されている。
なお、図1に示したように、カラーフィルタ1におけるR,G,Bのカラーフィルタ層41,42,45は、それぞれ、Yのカラー層41YとMのカラー層41M、Yのカラー層42YとCのカラー層42C、Cのカラー層45CとMのカラー層45Mの積層構造によって形成されている。一方、Yのカラーフィルタ層43およびCのカラーフィルタ層44は、それぞれ、Yのカラー層43Y、Cのカラー層44Cの単層構造によって形成されている。
ここで、カラーフィルタ部32の製造方法(製造プロセス)について説明する。図5(a)〜図5(d)は、カラーフィルタ部32の製造工程を示す断面図である。
まず、図5(a)に示すように、例えばガラス基板などからなるカラーフィルタ基板31上に、ブラックマトリクス46を形成する。なお、ブラックマトリクス46を、以降の工程において各カラー層をインクジェット方式で形成する際にカラーフィルタ基板31上に吐出されたインクを堰き止めるバンク機能を有するように、各サブピクセル領域を取り囲む枠状に形成する。ここでは、ブラックマトリクス46の幅(図5(a)における基板面水平方向の幅)を30μm、膜厚(図5(a)における基板面垂直方向の厚さ)を4.0μmとした。
ブラックマトリクス46の材質は、特に限定されるものではなく、例えば樹脂材料を用いて形成すればよい。また、樹脂材料に、撥水材料を積層したブラックマトリクスを用いてもよい。この場合には、バンク機能に加えて撥水機能(撥水バンク機能)を有することになる。あるいは、金属材料からなるブラックマトリクス上に、樹脂膜を形成したものをブラックマトリクス46として用いてもよい。例えば、膜厚0.2μmのCrメタル(バンク機能を有するブラックマトリクス)上に、膜厚3.8μmの撥水性の樹脂膜バンク(撥水バンク)を形成する構造としてもよい。
次に、図5(b)に示すように、Rのカラーフィルタ層41、Gのカラーフィルタ層42、Yのカラーフィルタ層43を形成するサブピクセル領域に、Y色のカラーインク材料(カラー材料)を、インクジェット装置を用いてインクジェット法により吐出する。
ここで、各サブピクセル領域へのY色のカラーインクの吐出量は、各サブピクセル領域に形成するカラーフィルタ層の最終の仕上がり膜厚が3.0μmになるように調整する。すなわち、下記表1に示すように、Yのカラーフィルタ層43を形成するサブピクセル領域にはY色のカラーインクを3.0μmの膜厚となるように吐出し、Gのカラーフィルタ層42を形成するサブピクセル領域にはY色のカラーインクを1.0μmの膜厚となるように吐出し、Rのカラーフィルタ層41を形成するサブピクセル領域にはY色のカラーインクを1.2μmの膜厚となるように吐出する。
さらに、上記のようにY色のカラーインクを吐出した後、焼成を行い、Y材料(Y色のカラーインク)を安定化させ、Yのカラー層41Y,42Y,43Yを形成する。
次に、図5(c)に示すように、Rのカラーフィルタ層41、Bのカラーフィルタ層45を形成するサブピクセル領域に、M色のカラーインク材料を、インクジェット装置を用いてインクジェット法により吐出する。
ここで、各サブピクセル領域へのM色のカラーインクの吐出量は、Y色のカラーインクの場合と同様、各サブピクセル領域に形成するカラーフィルタ層の最終の仕上がり膜厚が3μmとなるように調整する。すなわち、上記表1に示すように、Rのカラーフィルタ層41を形成するサブピクセル領域には、M色のカラーインクを1.8μmの膜厚となるように吐出し、Bのカラーフィルタ層45を形成するサブピクセル領域には、M色のカラーインクを1.4μmの膜厚となるように吐出する。
そして、上記のようにM色のカラーインクを吐出した後、焼成を行い、M材料(M色のカラーインク)を安定化させ、Mのカラー層41M,45Mを形成する。
次に、図5(d)に示すように、Gのカラーフィルタ層42、Cのカラーフィルタ層44、Bのカラーフィルタ層45を形成するサブピクセル領域に、C色のカラーインク材料を、インクジェット装置を用いてインクジェット法により吐出する。
ここで、各サブピクセル領域へのC色のカラーインクの吐出量は、Y色およびM色のカラーインクの場合と同様、各サブピクセル領域に形成するカラーフィルタ層の最終の仕上がり膜厚が3μmとなるように調整する。すなわち、上記表1に示すように、Gのカラーフィルタ層42を形成するサブピクセル領域にはM色のカラーインクを2.0μmの膜厚となるように吐出し、Cのカラーフィルタ層44を形成するサブピクセル領域にはC色のカラーインクを3.0μmの膜厚となるように吐出し、Bのカラーフィルタ層45を形成するサブピクセル領域にはC色のカラーインクを1.6μmの膜厚となるように吐出する。
そして、上記のようにC色のカラーインクを吐出した後、焼成を行い、C材料(C色のカラーインク)を安定化させ、Cのカラー層42C,44C,45Cを形成する。これにより、図5(d)に示すように、各サブピクセル領域に、膜厚の均等なR,G,Y,C,Bのカラーフィルタ層41〜45が形成される。
図6は、上記のカラーフィルタ製造工程において用いたY,M,Cの各カラーインクのカラースペクトルと、上記の積層条件で形成したR,G,Bの各カラーフィルタ層のカラースペクトルとを示すグラフである。
また、図7は、上記のように形成したカラーフィルタ部32を用いた液晶表示パネル30における色再現範囲を示すグラフであり、下記表2は各色の色度座標を示している。なお、色再現範囲の測定には、バックライト(光源)40として、シャープ株式会社製の液晶テレビ「アクオス(登録商標)LC−22AA1」搭載のバックライトを使用した。
なお、上記のように形成した液晶表示パネル30のNTSC比は96.8%であった。つまり、現行の一般的なR,G,Bのサブピクセルを備えた液晶テレビではEBU規格準拠を目指しているため、NTSC比は72%前後であるのに対して、液晶表示パネル30では、色再現範囲を大幅に拡大することができた。
また、上記のように形成したR,G,Bのカラーフィルタ層からなる3色のサブピクセルを用いた液晶表示パネルのNTSC比は、88.8%であった。つまり、サブピクセルの色数を3色から5色に増やすことにより、色再現範囲を大幅に拡大することができた。なお、この3色のサブピクセルを用いた液晶表示パネルでは、輝度が、上記5色のサブピクセルを用いた液晶表示パネル30に対して42%、上記現行の一般的な液晶テレビに対して40〜50%に低下した。これは、YとCの輝度値(Y値)が大きいためであると考えられる。
したがって、サブピクセルの色数を増やすこと(例えば4色〜6色とすること)により、色の利用効率を確保しながら色再現範囲を拡大することができる。なお、3色の場合でもカラーフィルタ層の膜厚を厚くすれば色再現範囲は広がるが、輝度が低下してしまう。
以上のように、本実施形態にかかるカラーフィルタ1は、R,G,Y,C,Bのカラーフィルタ層41〜45を有しており、R,G,Bのカラーフィルタ層41,42,45は、それぞれ、Yのカラー層41YとMのカラー層41M、Yのカラー層42YとCのカラー層42C、Cのカラー層45CとMのカラー層45Mの積層構造によって形成されている。
このような複数色のカラー層の積層構造によってカラーフィルタ層を形成することにより、所望の色のカラーフィルタ層を実現できる。
なお、本実施形態では、上記表1に示したように、Rのカラーフィルタ層を形成するYのカラー層41Yと、Gのカラーフィルタ層42を形成するYのカラー層42Yと、Yのカラーフィルタ層43を形成するYのカラー層43Yとは、それぞれ膜厚が異なっている。同様に、Cのカラー層42C、44C、45Cの膜厚はそれぞれ異なっており、Mのカラー層41Mと45Mとの膜厚も互いに異なっている。
このように、各カラーフィルタ層の色に応じて、各サブピクセル領域に形成するカラー層の膜厚をそれぞれ設定することにより、所望の色のカラーフィルタ層を実現できる。
また、本実施形態では、各サブピクセルにおけるカラーフィルタ層の膜厚を3.0μmとしているが、これに限るものではなく、適宜変更してもよい。ただし、製造を容易にするために、各サブピクセルにおけるカラーフィルタ層の膜厚を3.0μm程度とすることが好ましい。
また、各サブピクセルにおけるカラーフィルタ層の膜厚は互いに略等しいことが好ましい。例えば、各カラーフィルタ層の平均膜厚の最大値と最小値との差が、0.2μm未満であることが好ましい。これにより、各カラーフィルタ間の段差を表示上の問題とならない程度に小さくすることができる。したがって、各カラーフィルタ層の平均膜厚の最大値と最小値との差が0.2μm未満となるように、各色のカラー材料の各サブピクセル領域に対する吐出量を設定することが好ましい。
また、本実施形態にかかるカラーフィルタ1は、R,G,Y,C,Bの5色のカラーフィルタ層41〜45を、Y,C,Mの3色のカラー層によって形成している。すなわち、カラーフィルタ1に含まれる複数色のカラーフィルタ層を、カラーフィルタ層の色数よりも少ない色数のカラー層の組み合わせによって、形成している。これにより、各カラーフィルタ層を、カラーフィルタ層の色数と同数のカラー層によって形成する場合に比べて、製造コストを低減できる。
また、本実施形態にかかるカラーフィルタ1では、各カラーフィルタ層41〜45は、単色のカラー層からなる単層構造、または、2色のカラー層の積層構造によって形成されている。ただし、各カラーフィルタ層の構成はこれに限るものではなく、例えば、3色以上のカラー層の積層構造からなるカラーフィルタ層を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、R,G,Y,C,Bの5色のカラーフィルタ層41〜45を備えたカラーフィルタ1について説明したが、これに限るものではない。
例えば、上記5色のカラーフィルタ層41〜45に加えて、Mのカラーフィルタ層を設け、1画素領域にR,G,Y,C,B,Mの6色のカラーフィルタ層を備える構成としてもよい。この場合、Mのカラーフィルタ層については、Mのカラー層の単層構造とすればよい。また、上記5色のカラーフィルタ層41〜45に加えて、複数色のカラー層の積層構造からなるカラーフィルタ層を設けてもよい。あるいは、上記R,G,Y,C,Bの5色のカラーフィルタ層41〜45のうちいずれか1つ以上を設けない構成としてもよい。また、上記5色のカラーフィルタ層41〜45のうちいずれか1つ以上を、他の色のカラーフィルタ層に代えてもよい。
また、各カラーフィルタ層41〜45は、Y,M,Cのカラーインクがインクジェット方式によって吐出され、焼成されてなる。このように、インクジェット方式を用いて各カラー層を形成することにより、各カラー層の膜厚を適切に制御できるので、膜厚の安定したカラーフィルタ層を形成することができる。
また、各サブピクセルにおけるカラーフィルタ層の膜厚を変更する場合、複数色のカラー層の積層構造によって形成するカラーフィルタ層では、各色のカラー層の膜厚を、所望のカラーフィルタ層の色を実現できるように適宜設定すればよい。例えば、カラーフィルタ層の色が所望の色になるように、各カラー層の膜厚を、当該各膜厚とスペクトルとに応じて計算して設定すればよい。
また、本実施形態では、複数色のカラーインク材料からなるカラーフィルタ層を形成する場合に、1色目のカラーインク材料を吐出した後にそれを焼成して1色目のカラー層を形成し、この1色目のカラー層の上に2色目のカラーインク材料を吐出した後にそれを焼成して2色目のカラー層を形成している。例えば、Rのサブピクセル領域に、Yのカラーインク材料を吐出した後にそれを焼成してYのカラー層41Yを形成し、その上にMのカラーインク材料を吐出した後にそれを焼成してMのカラー層41Mを形成し、これによってYのカラー層41YとMのカラー層41Mとの積層構造からなるRのカラーフィルタ層41を形成している。
しかしながら、各カラーフィルタ層の形成方法はこれに限るものではない。例えば、1色目のカラーインク材料を吐出した後、それと同じ領域に2色目のカラーインク材料を吐出し、両者を混合させた後にそれを焼成することにより、複数色のカラーインク材料からなるカラーフィルタ層を形成してもよい。すなわち、複数色のカラーインク材料を同一のサブピクセル領域に吐出して混合させた後に、それを焼成することで、複数色のカラーインク材料からなるカラーフィルタ層を形成してもよい。
例えば、Rのカラーフィルタ層41を形成する場合に、Rのサブピクセル領域にYのカラーインク材料を吐出し、それと同じ領域にMのカラーインク材料を吐出し、Yのカラーインク材料とMのカラーインク材料とを混合させた後に、当該混合させたカラーインク材料を焼成することにより、Rのカラーフィルタ層41を形成してもよい。
なお、複数色のカラーインク材料をサブピクセル内で混合する場合、上記混合する各カラーインク材料の量は、形成するカラーフィルタ層の色に応じて適宜設定すればよい。また、この場合、複数色のカラー層の積層構造からなるカラーフィルタ層を形成する場合と同様、各カラーフィルタ層の膜厚が互いに略等しくなるようにすることが好ましい。
例えば、各カラーフィルタ層の膜厚を3.0μmとする場合、各カラーインク材料の混合比(体積比)を、上記表1に示した各カラー層の膜厚比と同様に設定すればよい。例えば、Rのカラーフィルタ層41を形成する場合、Yのカラーインク材料の吐出量とMのカラーインク材料の吐出量との体積比が1.2:1.8となり、最終的に形成されるカラーフィルタ層41の膜厚が3.0μmとなるように各カラーインク材料の吐出量を設定すればよい。
このように、各サブピクセル領域内に複数色のカラーインク材料を吐出してから混合することによってカラーフィルタ層を形成する場合、あるいは、各サブピクセル内に複数色のカラー層を積層してカラーフィルタ層を形成する場合には、各カラーフィルタ層をそれぞれ単色のカラーインク材料を吐出して形成する場合に比べて、インクジェット装置の構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系の数など)を低減できる。したがって、したがって、インクジェット装置の装置コスト(設備費用)低減することができる。また、吐出するカラーインク材料の色数を少なくすることで装置構成(ノズル、ヘッド、インクタンク、インク供給系)を簡略化することにより、装置の調整やメンテナンス時間を短縮し、製造コストを低減できる。例えば、ヘッド調整(色間、ヘッド間の吐出位置の補正)の工程数は色数に比例して増加するので、ヘッド数を低減することによってそれに要する時間を短縮できる。
また、一般に、カラーフィルタに要求される色は、アプリケーションやセットメーカーごとに異なるため、各カラーフィルタ層の色の切り替えが頻繁に必要である。このため、従来のように、各色のサブピクセル領域にそれぞれ単色のカラーインク材料を吐出する方法では、必要とするカラーフィルタ層の色が変更になった場合、カラーインク材料(色材料)自体を変更する必要があった。
これに対して、本実施形態のように、各サブピクセル領域内に複数色のカラーインク材料を吐出する場合(複数色のカラーインク材料の混合、または、複数色のカラー層の積層により各色のカラーフィルタ層を形成する場合)には、必要とするカラーフィルタ層の色が変更になった場合に、そのカラーフィルタ層を形成するサブピクセル領域に吐出するカラーインク材料の比(複数色のカラー層の膜厚比または複数色のカラーインク材料の混合比)を変更することで必要な色を得ることができる。
また、本実施形態では、各カラーフィルタ層の膜厚3.0μmに対して、ブラックマトリクス46の膜厚を4.0μmとしているが、これに限るものではなく、例えば、ブラックマトリクス46の膜厚と各カラーフィルタ層の膜厚とが同じであってもよい。
なお、ブラックマトリクス46の膜厚を各カラーフィルタ層の膜厚よりもわずかに大きくすることにより、ブラックマトリクス46をバンクとして適切に機能させることができる。すなわち、各サブピクセル領域にインクジェット方式でカラー材料を吐出する際、ブラックマトリクス46によって、カラー材料が他のサブピクセルに流出することを確実に防止できる。
ただし、ブラックマトリクス46の膜厚と各カラーフィルタ層の膜厚との差が大きすぎると、両者の段差によって、液晶ディスプレイ(液晶表示装置)とした場合に液晶の配向が乱れる場合がある。そして、このような液晶の配向の乱れを防止するために、オーバーコート層による平坦化が必要となり、製造費用の増加を招いてしまう。このため、ブラックマトリクス46の膜厚を各カラーフィルタ層の膜厚よりも大きくする場合には、液晶の配向の乱れを生じさせないように、両者の差を0.5μm〜1μmの範囲内とすることが好ましい。
また、本実施形態では、37型WXGAパネル(表示パネル)に適用するためのカラーフィルタについて説明したが、これに限るものではない。他のサイズのパネル(表示パネル)に適用してもよく、また、各サブピクセルのサイズは、適用する表示パネルのサイズ等に応じて適宜変更すればよい。
また、本実施形態では、テレビ(TV)チューナー等の画像データを出力する機器に接続される表示装置について説明したが、これに限るものではない。例えば、ビデオテープやDVD等の記録媒体に記録された画像データを表示するためのものであってもよく、あるいは、パーソナルコンピュータに接続される表示装置であってもよい。また、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System;登録商標)、PDA(personal digital assistants)、ビデオカメラ、デジタルカメラなどに備えられる表示装置であってもよい。
また、本実施形態では、本発明のカラーフィルタ(カラーフィルタ基板31およびカラーフィルタ部32)を液晶表示装置(液晶表示パネル)に備える場合について説明したが、本発明のカラーフィルタの適用対象はこれに限るものではない。カラーフィルタを必要とするあらゆる表示装置に適用することができる。例えば、本発明のカラーフィルタを、液晶表示装置以外の光シャッター型の表示装置に用いてもよい。
本実施形態では、各カラーフィルタ層の形成にインクジェット法を用いている。また、従来のインクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法では、各サブピクセル(各サブピクセル領域)にはそれぞれ特定の色のみが配置されるが、本実施形態では、複数の色をサブピクセル領域内で混合、もしくは積層することにより当該サブピクセル領域に形成するカラーフィルタ層の透過波長ピークを変更している。
また、本実施形態にかかるカラーフィルタは、4色〜6色のサブピクセル領域(カラーフィルタ層)を有するカラーフィルタにおいて、インクジェット顔料(カラー材料)には、補色系顔料Y、M、Cの3色を採用し、R,G,Yのサブピクセル領域にY色を、G、B、Cのサブピクセル領域にC色を、R,B、Mのサブピクセル領域にM色を吐出し、各色のカラーフィルタ層を層状に形成している。
また、各顔料(カラー材料)の吐出量は、当該色の顔料が配置されるサブピクセル領域のうち少なくとも1つのサブピクセル領域について異なっている。これにより、カラーフィルタ全体の段差を抑制することが可能となる。また、吐出量を各サブピクセル領域で変更することにより、色設計の自由度を向上させ、結果的にディスプレイの色再現範囲を拡大できる。
また、カラーフィルタ層を複数色のカラー材料を混合することによって形成する場合には、各カラー材料を完全に混合することが好ましい。また、カラーフィルタ層を複数色のカラー層を積層することによって形成する場合には、積層する各カラー層を完全に平坦にすることが好ましい。各カラー材料を完全に混合すること、あるいは、積層する各カラー層を完全に平坦にすることにより、理想的な色を実現できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。