JP2006160884A - トレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】操縦安定性及び湿潤路面での制動性を低下させることなく、タイヤの転がり抵抗を低減することが可能なトレッド用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部と、下記平均組成式(I): (R1O)3-p-q2 p3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 q2 p(OR1)3-p-q ・・・ (I)
[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である]で表される硫黄含有シラン化合物1〜30質量部とを配合してなり、前記ゴム成分の少なくとも一部が、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることを特徴とするトレッド用ゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特に操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗を大幅に低減し、更に湿潤路面での制動性を向上させることが可能なタイヤのトレッド用ゴム組成物に関するものである。
一般に、ゴム組成物に使用される多数の充填剤の中でも、シリカは、カーボンブラックに比較して、タイヤの転がり抵抗を低くでき、且つタイヤの湿潤路面で制動性を改善できることが知られている。しかしながら、近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が更に強まりつつあることに加え、自動車の運転時の安全性を更に向上させるために、充填剤中シリカが70%以上を占めるゴム組成物をタイヤのトレッドに用いて、タイヤの転がり抵抗を大幅に低減しつつ、操縦安定性及び湿潤路面での制動性を大幅に向上させる技術が必要となっている。
上記シリカ配合ゴム組成物において、タイヤの転がり抵抗を低減する方法としては、充填剤の配合量を低減する手法が知られているが、充填剤の配合量を減らすと、ゴム組成物の弾性率が低下するため、かかるゴム組成物をタイヤのトレッドに用いると、タイヤの操縦安定性が悪化してしまう問題がある。
また、トレッドに用いるゴム組成物のゴム成分のガラス転移温度を下げることで、タイヤの転がり抵抗を低減できることが知られているが、この場合、同時にタイヤの湿潤路面での制動性が悪化してしまうという問題がある。
更に、近年、ポリマーの末端をシランカップリング剤と反応し易くした変性ポリマーが開発されているが、該変性ポリマーをゴム組成物のゴム成分として用いると、ゴム組成物の弾性率が低下して、タイヤの操縦安定性が悪化するという問題がある。
一方、特開2003−176378号公報(特許文献1)には、同一分子内にゴム成分に対する反応基aを1個以上有し且つ無機充填剤に対する吸着基bを2個以上有する化合物を用いることで、シリカ等の無機充填剤の共役ジエン系ゴムへの分散性を向上させて、貯蔵弾性率を向上させたゴム組成物が開示されている。
特開2003−176378号公報
しかしながら、上記従来技術では、タイヤの転がり抵抗を低減しようとすると、同時に操縦安定性や、湿潤路面での制動性が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、操縦安定性及び湿潤路面での制動性を低下させることなく、タイヤの転がり抵抗を低減することが可能なトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、シリカ配合ゴム組成物に、更に特定構造の硫黄含有シラン化合物を特定量配合した上、ゴム成分として分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いることで、該シリカ配合ゴム組成物をトレッドに適用したタイヤの操縦安定性及び湿潤路面での制動性を低下させることなく、転がり抵抗を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部と、下記平均組成式(I):
(R1O)3-p-q2 p3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 q2 p(OR1)3-p-q ・・・ (I)
[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である]で表される硫黄含有シラン化合物1〜30質量部とを配合してなり、前記ゴム成分の少なくとも一部が、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることを特徴とする。
本発明のトレッド用ゴム組成物の好適例においては、前記式(I)のxが平均値として2以上3以下である。また、式(I)のpが2で、qが1であることが好ましく、式(I)のR2がメチル基で、R3がビニル基であることが好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分の10質量%以上が前記分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体である。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記窒素を含む官能基が、下記式(II):
Figure 2006160884

[式中、R5は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]で表される置換アミノ基、及び下記式(III):
Figure 2006160884

[式中、R6は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す]で表される環状アミノ基からなる群から選択される。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体が、下記式(IV):
7 aZXb ・・・ (IV)
[式中、R7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]、又は下記式(V):
7 cde ・・・ (V)
[式中、R7、Z及びXは、上記と同義であり;cは0〜2(d+1)−1で、dは2以上で、eは1〜2(d+1)で、但し、c+e=2(d+1)である]で表されるカップリング剤から誘導される少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体が、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又は1,3-ブタジエンの単独重合体である。ここで、前記ビニル芳香族化合物としては、スチレンが好ましい。また、前記変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満であることが好ましく、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であることが好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を用いて重合したものである。ここで、該有機アルカリ金属化合物としては、アルキルリチウムが好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、更に、下記式(VI):
HOOC−CH=CH−COO−R8−CO−CH=CH−COOH ・・・ (VI)
[式中、R8は、式−R9O−で示される基{ここで、R9は炭素数2〜36のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基である}、式−(R10O)s−で示される基{ここで、R10は炭素数2〜4のアルキレン基であり;sはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜60の数である}、式−CH2CH(OH)CH2O−で示される基又は式−(R11O−COR12−COO−)t11O−で示される基{ここで、R11は炭素数2〜18のアルキレン基,アルケニレン基,2価の芳香族炭化水素基又は−(R13O)u13−で示される基(ここで、R13は炭素数2〜4のアルキレン基で;uはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数である)で;R12は炭素数2〜18のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基で;tは平均値で1〜30の数である}である]で表される化合物を含むことが好ましい。
また、本発明のタイヤは、上記トレッド用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、ゴム成分として分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用い、且つ特定構造の硫黄含有シラン化合物を特定量配合してなり、タイヤの操縦安定性及び湿潤路面での制動性を低下させることなく、転がり抵抗を低減することが可能なシリカ配合トレッド用ゴム組成物を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部と、上記平均組成式(I)で表される硫黄含有シラン化合物1〜30質量部とを配合してなり、前記ゴム成分の少なくとも一部が、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることを特徴とする。本発明のトレッド用ゴム組成物においては、上記式(I)の硫黄含有シラン化合物がシリカのゴム成分への分散性を向上させ、また、該式(I)の硫黄含有シラン化合物がシリカとゴム成分との反応性を向上させるため、ゴム組成物の弾性率が低下することなく、ヒステリシスロスが低下している。このため、本発明のトレッド用ゴム組成物を用いることで、操縦安定性を低下させることなく、転がり抵抗を低減することができる。
また、ゴム組成物のヒステリシスロスが低下することで、通常、湿潤路面での制動性が低下するが、上記分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体が、高温域でのヒステリシスロスを低減しつつ低温域でのヒステリシスロスを上昇させるため、転がり抵抗を低減しつつ、湿潤路面での制動性を改善することができる。そのため、シリカ配合ゴム組成物に、式(I)の硫黄含有シラン化合物と分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体とを組み合わせて使用することで、操縦安定性及び湿潤路面での制動性を低下させることなく、タイヤの転がり抵抗を低減することが可能なトレッド用ゴム組成物が得られる。
本発明のトレッド用ゴム組成物のゴム成分は、少なくとも一部が、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であり、ゴム成分の10質量%以上が分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体の含有率が10質量%未満では、ゴム組成物の高温域でのヒステリシスロスを低減しつつ低温域でのヒステリシスロスを上昇させる効果が小さい。ここで、上記ゴム成分は、上記変性共役ジエン系重合体以外のポリマー、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等を含んでもよい。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として用いる変性共役ジエン系重合体は、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する限り特に制限はなく、窒素を含む官能基を5つ以上有することが好ましく、6つ以上有することが更に好ましい。窒素を含む官能基の数が5つ以上の場合、充填剤の分散性を改良する効果が大きく、ゴム組成物の破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を大きく向上させることができる。また、窒素を含む官能基としては、上記式(II)の置換アミノ基及び上記式(III)の環状アミノ基が好ましい。窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体は、例えば、有機アルカリ金属化合物と二級アミンとから生成させたアルカリ金属アミド化合物を重合開始剤として用いてアニオン重合を行い、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位(活性末端)である共役ジエン系重合体を製造し、次に、重合活性部位をカップリング剤でカップリングするか、変性剤として含窒素化合物を用いて重合活性部位を変性することで得られる。ここで、有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。なお、重合開始剤としての有機アルカリ金属化合物の使用量は、単量体100g当り0.2〜20mmolの範囲が好ましい。また、二級アミンは、有機アルカリ金属化合物と当量用いるのが好ましい。また、アルカリ金属アミド化合物は、有機アルカリ金属化合物と二級アミンから予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。
上記有機リチウム化合物と二級アミンとから、式:Li−AM[式中、AMは、上記式(II)で表される置換アミノ基又は式(III)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を生成させ、該リチウムアミド化合物を重合開始剤として用いることで、式(II)で表される置換アミノ基及び式(III)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素を含む官能基が重合開始末端に導入された変性共役ジエン系重合体が得られる。
式(II)において、R5は、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3-フェニル-1-プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、R5は、それぞれ同一でも異なってもよい。
また、式(III)において、R6は、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R6として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N-アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
上記有機リチウム化合物としては、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチル-フェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n-ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、二級アミンとしては、式(II)の置換アミノ基を重合開始末端に導入する場合は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジアリルアミン、ブチルイソプロピルアミン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、メチルヘキシルアミン、エチルヘキシルアミン等を用いることが好ましく、式(III)の環状アミノ基を重合開始末端に導入する場合は、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2-(2-エチルヘキシル)ピロリジン、3-(2-プロピル)ピロリジン、3,5-ビス(2-エチルヘキシル)ピペリジン、4-フェニルピペリジン、7-デシル-1-アザシクロトリデカン、3,3-ジメチル-1-アザシクロテトラデカン、4-ドデシル-1-アザシクロオクタン、4-(2-フェニルブチル)-1-アザシクロオクタン、3-エチル-5-シクロヘキシル-1-アザシクロヘプタン、4-ヘキシル-1-アザシクロヘプタン、9-イソアミル-1-アザシクロヘプタデカン、2-メチル-1-アザシクロヘプタデセ-9-エン、3-イソブチル-1-アザシクロドデカン、2-メチル-7-t-ブチル-1-アザシクロドデカン、5-ノニル-1-アザシクロドデカン、8-(4'-メチルフェニル)-5-ペンチル-3-アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1-ブチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8-エチル-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1-プロピル-3-アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3-(t-ブチル)-7-アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5-トリメチル-3-アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンを用いることが好ましい。
上記有機リチウム化合物と二級アミンとから生成させるリチウムアミド化合物として、具体的には、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ-2-エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられ、これらの中でも、リチウムヘキサメチレンイミドが好ましい。
また、窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体において、共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体、及び共役ジエン化合物の単独重合体が好ましく、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体、及び1,3-ブタジエンの単独重合体が特に好ましい。
単量体としての上記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。一方、単量体としての上記ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン及び2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。これらビニル芳香族化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機アルカリ金属化合物及び二級アミンを用いて、アニオン重合により共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物単独で、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との混合物を重合させることで共役ジエン系重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
上記アニオン重合は、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。該ランダマイザーは、共役ジエン化合物のミクロ構造を制御することができ、例えば、単量体としてブタジエンを用いた重合体のブタジエン単位の1,2-結合含量を制御したり、単量体としてスチレンとブタジエンを用いた共重合体のブタジエン単位とスチレン単位とをランダム化する等の作用を有する。上記ランダマイザーとしては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、カリウム-t-アミレート、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-t-アミレート等が挙げられる。これらランダマイザーの使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1モル当り0.01〜100モル当量の範囲が好ましい。
上記アニオン重合は、溶液重合、気相重合、バルク重合のいずれで実施してもよいが、溶液重合の場合、溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、単量体として、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を併用する場合、単量体混合物中のビニル芳香族化合物の含有率は、3〜50質量%の範囲が好ましく、4〜45質量%の範囲が更に好ましい。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。
上記アニオン重合の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うことが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧することが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いることが好ましい。
上記重合活性部位(活性末端)を有する共役ジエン系重合体をカップリングするのに用いるカップリング剤としては、上記式(IV)又は上記式(V)で表されるカップリング剤が好ましい。式(IV)又は式(V)のカップリング剤で変性した共役ジエン系重合体は、少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。式(IV)及び式(V)において、R7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、該R7として、具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。また、Zは、スズ又はケイ素であり、Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素である。
式(IV)において、aは0〜3の整数で、bは1〜4の整数であり、但し、a+b=4である。式(IV)のカップリング剤として、具体的には、四塩化スズ、R7SnCl3、R7 2SnCl2、R7 3SnCl、四塩化ケイ素、R7SiCl3、R7 2SiCl2、R7 3SiCl等が好ましく、四塩化スズ及び四塩化ケイ素が特に好ましい。一方、式(V)において、cは0〜2(d+1)−1の整数で、dは2以上の整数で、eは1〜2(d+1)の整数で、但し、c+e=2(d+1)である。式(V)のカップリング剤として、具体的には、Si2Cl6、Si3Cl8、R7Si2Cl5、R7 2Si2Cl4、R7 3Si2Cl3等が挙げられ、Si2Cl6が特に好ましい。
上記式(IV)又は式(V)のカップリング剤を用いることで、該カップリング剤中のXの数(即ち、b又はe)と同数の活性末端を有する共役ジエン系重合体をカップリングすることができる。従って、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体を製造するためには、式(IV)のb及び式(V)のeは2以上であることが好ましく、5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を製造するためには、式(V)で表され、eが5以上のカップリング剤を用いることが好ましい。
一方、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体を変性剤で変性して、窒素含有官能基を複数有する変性共役ジエン系重合体を得るにあたって、該変性剤としては、N,N'-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン、4-ジメチルアミノベンジリデンアニリン等の窒素含有化合物を用いることができる。また、変性剤として、窒素を含む官能基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いることもでき、具体的には、イミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イミン(アミジン)基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物等が挙げられる。
上記イミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物等を挙げることができ、これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に好ましい。
また、上記イミン(アミジン)基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
更に、上記イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
上記変性剤の使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1molに対し、通常0.1〜3.0molの範囲であり、0.3〜1.5molの範囲が好ましい。また、上記変性剤による変性反応は、溶液反応で行うことが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。
上記変性共役ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満であることが好ましい。変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量が5万未満では、耐破壊特性及び耐摩耗性に劣り、70万以上では、加工性が著しく悪化する。
また、上記変性共役ジエン系重合体は、示差走査熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移点(Tg)が0℃以下であることが好ましい。変性共役ジエン系重合体のガラス転移点が0℃を超えると、低温でのゴム特性が著しく悪化する。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜200質量部含有する。シリカの配合量が10質量部未満では、タイヤの転がり抵抗を低減する効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性を向上させる効果が低く、200質量部を超えると、ゴム組成物の未加硫粘度が上昇して作業性が悪化する。本発明のトレッド用ゴム組成物に使用するシリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、耐破壊性の改良効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性(ウェットグリップ性)及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。また、上記シリカは、BET表面積が40〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観から、BET表面積が80〜300m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、上記平均組成式(I)で表される硫黄含有シラン化合物を1〜30質量部含有する。式(I)の硫黄含有シラン化合物の配合量が1質量部未満では、シリカのゴム成分への分散性を改善する効果、及びゴム組成物の未加硫粘度を低下させる効果が小さい。また、式(I)の硫黄含有シラン化合物の配合量が30質量部を超えると、ゴム組成物のコストが高くなる。ここで、上記式(I)の硫黄含有シラン化合物の配合量は、効果とコストの観点から、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部の範囲が更に好ましい。
上記式(I)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基であって、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。ここで、R1とR2とは、同一でも異なってもよい。
式(I)中のR3は、それぞれ炭素数2〜4のアルケニル基であって、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2-プロペニル基)、イソプロペニル基等が挙げられ、これらの中でも、ビニル基が好ましい。
また、R4は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であって、該2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、i-ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、フェニレン基、メチルフェニルエチレン基等が挙げられる。
更に、pは0〜2の整数で、qは1〜3の整数で、pとqとは、p+q≦3の関係を満たす。また、xは平均値として1以上4未満の数である。ここで、xは、平均値として2以上4未満であることが好ましく、2以上3以下であることが更に好ましい。
上記硫黄含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、無水硫化ナトリウム(Na2S)と硫黄とを不活性ガス雰囲気下、エタノール等の極性溶媒中で反応させて多硫化ナトリウムを得、次に、該多硫化ナトリウムと、下記式(VII):
(R1O)3-p-q2 p3 qSi−R4−X' ・・・ (VII)
[式中、R1、R2、R3、R4、p及びqは上記と同義で、X'はハロゲン原子である]で表されるシラン化合物とを反応させることで得られる。この方法では、多硫化ナトリウムの硫黄数に分布が有る場合、生成物の硫黄数にも分布が生じるが、該硫黄数は平均値として1以上4未満であればよい。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、更に上記式(VI)で表される化合物を含むことが好ましい。トレッド用ゴム組成物に式(VI)の化合物を配合することで、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させることなく、ゴム組成物の弾性率を向上させることができる。ここで、該式(VI)の化合物の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜20質量部の範囲が好ましく、0.5〜10質量部の範囲が更に好ましく、1〜5質量部の範囲がより一層好ましい。式(VI)の化合物の配合量が0.5質量部未満では、ゴム組成物の弾性率を向上させる効果が小さく、タイヤのドライ操縦安定性及び耐摩耗性を充分に向上させることができず、20質量部を超えると、著しく弾性率が向上し、またコスト高となる。
式(VI)中、R8は、式−R9O−で示される基、式−(R10O)s−で示される基、式−CH2CH(OH)CH2O−で示される基又は式−(R11O−COR12−COO−)t11O−で示される基である。ここで、R9は、炭素数2〜36のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜18のアルキレン基又はフェニレン基、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキレン基である。また、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、sはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜60の数であり、好ましくは2〜40、更に好ましくは4〜30の数である。R11は、炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族炭化水素基又は−(R13O)u13−で示される基である(ここで、R13は炭素数2〜4のアルキレン基で;uはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜15の数である)。R12は、炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基である。tは、平均値で1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15の数である。
式(VI)で表される化合物の具体例としては、グリセリンジマレエート、1,4-ブタンジオールジマレエート、1,6-ヘキサンジオールジマレエート等のアルキレンジオールのジマレエート;1,6-ヘキサンジオールジフマレート等のアルキレンジオールのジフマレート;PEG200ジマレエート,PEG600ジマレエート等のポリオキシアルキレングリコールのジマレエート(ここでPEG200、PEG600とは、それぞれ平均分子量200又は600のポリエチレングリコールを示す);両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンマレエート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)マレエート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/マレイン酸ポリエステル;両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンアジペートマレエート、PEG600ジフマレート等のポリオキシアルキレングリコールのジフマレート;両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンフマレート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)フマレート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/フマル酸ポリエステル等が挙げられる。
上記式(VI)の化合物は、分子量250以上であることが好ましく、更には250〜5000の範囲であること、特には250〜3000の範囲であることが好ましい。この範囲であると引火点が高く、安全上望ましいばかりでなく、発煙が少なく作業環境上も好ましい。なお、上記式(VI)の化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のトレッド用ゴム組成物には、上記ゴム成分、シリカ、式(I)の硫黄含有シラン化合物、式(VI)の化合物の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のトレッド用ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、シリカ及び式(I)の硫黄含有シラン化合物と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、上述のトレッド用ゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とし、十分な操縦安定性及び湿潤路面での制動性を有しつつ、転がり抵抗が低減されている。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
まず、以下の方法で分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体及び硫黄含有シラン化合物を合成した。
<変性共役ジエン系重合体合成例>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 10gと共に、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.24mmol及びヘキサメチレンイミン(HMI)0.48mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.48mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤として四塩化スズ(TTC)0.12mmolを速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性共役ジエン系重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、得られた重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めたところ、該重合体は、変性反応前の数平均分子量が221×103で、変性反応後の重量平均分子量が662×103であった。また、得られた変性重合体は、赤外法(モレロ法)で求めたビニル結合量が58%であり、1H-NMRスペクトルの積分比より求めた結合スチレン含有量が20%であった。更に、パーキンエルマー社製の示差熱分析機(DSC)7型装置を用い、重合体を-100℃まで冷却した後に10℃/minの昇温速度で昇温して、重合体のガラス転移点を測定したところ、ガラス転移点が-38℃であった。
<硫黄含有シラン化合物合成例>
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07mol)、硫黄2.24g(0.07mol)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を撹拌しながら、ビニル(3-クロロプロピル)ジメチルシラン[CH2=CH(CH3)2Si−(CH2)3−Cl]22.8g(0.14mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間更に撹拌を続けた。撹拌終了後、反応液を冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。得られた溶液を赤外吸収スペクトル分析(IR分析)、1H核磁気共鳴スペクトル分析(1H-NMR分析)及び超臨界クロマトグラフィー分析したところ、平均組成式[CH2=CH(CH3)2Si−(CH2)3−S2−(CH2)3−Si(CH3)2CH=CH2]で表される化合物であることを確認した。
次に、表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をトレッドに用い、通常の加硫条件で加硫して、サイズ205/55R16のタイヤを試作し、下記に示す方法で転がり抵抗性、乾燥路面での操縦安定性、湿潤路面での制動性を評価した。結果を表1に示す。
(1)転がり抵抗性
転がり抵抗は、スチール平滑面を有する外径1707.6mm、幅350mmの回転ドラムを用い、460kgの荷重の作用下で、80km/hの速度で回転させたときの惰行法をもって測定して評価した。測定値は比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が小さく、良好であることを示す。
(2)乾燥路面での操縦安定性
乾燥した路面のテストコースにて実車走行を行い、駆動性、制動性、ハンドル応答性、操縦時の制御性を総合評価し、1〜10点の評点をつけ、各項目を平均して操縦安定性の評点とした。指数値が大きい程、操縦安定性が良好であることを示す。
(3)湿潤路面での制動性
乗用車の4輪に試験タイヤ(内圧:196kPa)を装着し、テストコースで70kmの初速度にて湿潤路面上での制動距離を測定し、比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100として指数で表した。指数値が大きい程、制動距離が短く、湿潤路面制動性が良好であることを示す。
Figure 2006160884
*1 JSR社製, SL563.
*2 上記の方法で合成した変性共役ジエン系重合体.
*3 東海カーボン(株)製, 「シースト7HM」.
*4 日本シリカ工業(株)製, 「ニップシールAQ」, BET表面積=210m2/g.
*5 (CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2.2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3, デグッサ製, Si75.
*6 上記の方法で合成した硫黄含有シラン化合物.
*7 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*8 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
*9 1,3-ジフェニルグアニジン.
表1から明らかなように、式(I)の硫黄含有シラン化合物と分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体とを含むゴム組成物をトレッドに用いた実施例のタイヤは、操縦安定性が十分に維持されている上、比較例1のタイヤに比べて転がり抵抗が著しく低く、湿潤路面での制動性が向上していた。
一方、式(I)の硫黄含有シラン化合物を含まないゴム組成物をトレッドに用いた比較例1〜4のタイヤは、実施例のタイヤに比べ、転がり抵抗が大きく、湿潤路面での制動性も悪かった。また、式(I)の硫黄含有シラン化合物を含むものの、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体を含まないゴム組成物をトレッドに用いた比較例5〜7のタイヤは、実施例のタイヤに比べ、転がり抵抗の低減幅、湿潤路面での制動性の向上幅が小さかった。

Claims (15)

  1. ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部と、下記平均組成式(I):
    (R1O)3-p-q2 p3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 q2 p(OR1)3-p-q ・・・ (I)
    [式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である]で表される硫黄含有シラン化合物1〜30質量部とを配合してなり、
    前記ゴム成分の少なくとも一部が、分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることを特徴とするトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記式(I)のxが平均値として2以上3以下であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記式(I)のpが2で、qが1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. 前記式(I)のR2がメチル基で、R3がビニル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. 前記ゴム成分の10質量%以上が前記分子中に窒素を含む官能基を2つ以上有する変性共役ジエン系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 前記窒素を含む官能基が、下記式(II):
    Figure 2006160884

    [式中、R5は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]で表される置換アミノ基、及び下記式(III):
    Figure 2006160884

    [式中、R6は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す]で表される環状アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  7. 前記変性共役ジエン系重合体が、下記式(IV):
    7 aZXb ・・・ (IV)
    [式中、R7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]、又は下記式(V):
    7 cde ・・・ (V)
    [式中、R7、Z及びXは、上記と同義であり;cは0〜2(d+1)−1で、dは2以上で、eは1〜2(d+1)で、但し、c+e=2(d+1)である]で表されるカップリング剤から誘導される少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有することを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  8. 前記共役ジエン系重合体が、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又は1,3-ブタジエンの単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  9. 前記ビニル芳香族化合物がスチレンであることを特徴とする請求項8に記載のトレッド用ゴム組成物。
  10. 前記変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  11. 前記変性共役ジエン系重合体は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  12. 前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を用いて重合したものであることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  13. 前記有機アルカリ金属化合物がアルキルリチウムであることを特徴とする請求項12に記載のトレッド用ゴム組成物。
  14. 更に、下記式(VI):
    HOOC−CH=CH−COO−R8−CO−CH=CH−COOH ・・・ (VI)
    [式中、R8は、式−R9O−で示される基{ここで、R9は炭素数2〜36のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基である}、式−(R10O)s−で示される基{ここで、R10は炭素数2〜4のアルキレン基であり;sはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜60の数である}、式−CH2CH(OH)CH2O−で示される基又は式−(R11O−COR12−COO−)t11O−で示される基{ここで、R11は炭素数2〜18のアルキレン基,アルケニレン基,2価の芳香族炭化水素基又は−(R13O)u13−で示される基(ここで、R13は炭素数2〜4のアルキレン基で;uはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数である)で;R12は炭素数2〜18のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基で;tは平均値で1〜30の数である}である]で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物を用いたタイヤ。
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