JP2006159620A - 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 - Google Patents
絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006159620A JP2006159620A JP2004354166A JP2004354166A JP2006159620A JP 2006159620 A JP2006159620 A JP 2006159620A JP 2004354166 A JP2004354166 A JP 2004354166A JP 2004354166 A JP2004354166 A JP 2004354166A JP 2006159620 A JP2006159620 A JP 2006159620A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- coating
- polyester
- layer
- ironing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
- Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】 所謂2ピース缶の被覆用フィルムとして適用可能な、良好な成形性を有し、密着性に優れた被覆用フィルムを提供することにあり、更に、このような特性を、巻き取った被覆用フィルム全長に亘って維持したフィルムロールを提供することにある。
【解決手段】 熱可塑性樹脂よりなるベースフィルムの一方の面に熱可塑性樹脂よりなる接着性樹脂層を設けた被覆用フィルムであって、該被覆用フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該被覆用フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入るフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 熱可塑性樹脂よりなるベースフィルムの一方の面に熱可塑性樹脂よりなる接着性樹脂層を設けた被覆用フィルムであって、該被覆用フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該被覆用フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入るフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明はフィルム被覆金属板に好適に用いられる熱可塑性樹脂フィルムに関する。特には、絞り・しごき缶の表面被覆に好適に用いられる熱可塑性樹脂フィルムに関する。さらに詳細には、絞り・しごき加工などの製缶加工性及び製缶加工安定性に優れた金属板貼り合せ成形加工用熱可塑性樹脂フィルムに関し、該熱可塑性樹脂フィルムをロール状に巻き取ったフィルムロールに関する。本発明は該熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板に関し、該被覆用フィルム被覆金属板を成形加工したフィルム被覆絞り・しごき缶に関する。
金属缶内壁面及び外壁面の腐食防止方法として、金属缶内壁面及び外壁面に熱可塑性樹脂フィルムを被覆する方法がある。例えば、特開平7―227946号公報(特許文献1)に、食品缶詰用の金属材料に被覆するためのポリエステルフィルムが開示されている。
上記ポリエステルフィルムは耐スクラッチ性に優れていて、例えば、金属板を円筒成形し、この円筒の上下開口部分に蓋体を巻締め加工するという製缶工程において、巻締め加工などにより被覆金属板を加工する時や、フィルムが被覆された金属板(以下、「フィルム被覆金属板」という)を移送する時に、フィルム表面にスクラッチ傷が発生したりして、商品価値を低下せしめるということが少なくて済む。
該ポリエステルフィルムは上記したように、巻締め加工時の耐スクラッチ性に優れ、かつ製缶後に食品を充填後、レトルト処理などの加熱温水処理を行った時のオリゴマー溶出量が少ないので、金属容器の内壁面に被覆するフィルムとして優れている。
食品用缶には、金属板を円筒成形してなる金属円筒の上下開口部に蓋体を取り付けてなる、所謂3ピース缶の他に、金属板を深絞り成形して容器部を形成し、この容器部の上面開口部に蓋体を巻締め加工してなる、所謂2ピース缶がある。
3ピース缶の場合には、フィルム被覆金属板は円筒状に成形されるだけであるが、2ピース缶の場合には、フィルム被覆金属板は、絞り・しごき成形されることになるため、2ピース缶に適用するには、フィルムが、金属板の成形に追随して成形されるという良好な成形性を有し、金属板に対する密着性が優れている必要がある。成形性が不十分であったり、金属板に対するフィルムの密着性が不十分な場合には、フィルムが金属板から剥がれるという、所謂デラミネート現象が起こったり、2ピース缶の容器部の作製時にフィルムが破れてしまう等の不具合が発生する。下記の数式1で表される缶壁部の加工度(板厚減少率とも呼ばれる)が高い加工に耐えるフィルムが必要である。
加工度(%)=((元板厚−缶壁部板厚)/元板厚))×100 …… 数式1
加工度(%)=((元板厚−缶壁部板厚)/元板厚))×100 …… 数式1
さらに、絞り加工では、深絞り成形用加工ポンチの下降・上昇を繰返しながらフィルム被覆金属板を容器状に加工していくので、容器内壁面側に被覆されるフィルムにおいてはポンチとの離型性が要求され、同様に容器外壁面に被覆されるフィルムにおいてはダイスとの離型性が要求される。即ち、2ピース缶用の被覆フィルムにおいて良好な製缶性を得るには、密着性と離型性という相反する要素を兼ね備える必要があり、この点で前出の特許文献1に開示されたポリエステルフィルムは、2ピース缶用の被覆フィルムとして使用するには不十分なものであった。
又、フィルム被覆金属板の製造工程において、ロール状に巻き取った金属板と、同じくロール状に巻き取ったフィルムロールを用い、両者を引き出しながら連続して被覆する場合、フィルムロールの全長に亘って上記特性を維持することが必要となる。
特開平7―227946号公報
本発明の目的はこのような事情に鑑みてなされたものであり、所謂2ピース缶の被覆用フィルムとして適用可能な、良好な成形性を有し、密着性に優れた被覆用フィルムを提供することにあり、更に、このような特性を、巻き取った被覆用フィルム全長に亘って維持したフィルムロールを提供することにある。又、該被覆用フィルムを用い、製缶加工安定性に優れたフィルム被覆金属板、及び外観特性や耐衝撃性にも優れるフィルム被覆金属容器を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、熱可塑性樹脂よりなるベースフィルムの一方の面に熱可塑性樹脂よりなる接着性樹脂層を設けた被覆用フィルムであって、該被覆用フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該被覆用フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入るフィルムである。
該フィルムロールは、原料チップ粒径を各々±20%の範囲にする事で達成される。さらにまた、本発明のフィルム及びフィルムロールは熱可塑性ポリエステル系樹脂からなることが好適である。そして前記フィルムをラミネートした金属板を用いてなるフィルムラミネート金属容器としては、2ピース缶であることが好適である。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、前記ベースフィルム及び前記接着性樹脂層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂よりなることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、前記ベースフィルムが、A層/B層の二層であっても良い。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、前記B層を構成するポリエステルのポリエステル原料成分のうち、全酸成分の2〜15モル%が炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であり、且つ該B層が、ベースフィルムにおける金属板との接着面側に形成されてなることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、前記接着性樹脂層が、被覆用フィルムにおける金属板との接着面側に形成されてなることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムロールは、前記の絞り・しごき缶被覆用フィルムを、少なくとも10,000m以上、ロール状に巻き取ってなることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板は、上記の絞り・しごき缶被覆用フィルムを金属板に被覆してなることが好ましい。
本発明の被覆用フィルム被覆絞り・しごき缶は、上記の絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板を成形、加工してなることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムを特に2ピース缶の被覆用フィルムとして使用した場合、非常に良好な成形性と加工安定性を有する、密着性に優れた絞り・しごき缶被覆用フィルムを得ることが可能となる。又、ベースフィルムをポリエステルA層/ポリエステルB層の二層構成とし、該ポリエステルB層のポリエステル原料成分のうちの全酸成分の2〜15モル%を炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸とし、該ポリエステルB層を金属板との接着面側とする構成とすることにより、成型性及び加工安定性に優れ、かつ耐衝撃性に優れ、更に密着性に優れた絞り・しごき缶被覆用フィルムを得ることが可能となる。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、熱可塑性樹脂材料よりなるベースフィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の分析径を30mmΦとしたとき、不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入るフィルムである。
前記の不活性粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック等が好ましい。
前記不活性粒子の量としては1000ppm〜2000ppmの範囲にある事が好ましい。特に好ましくは1600ppm±200ppmである。これは絞り加工の際に、ポンチとの離型性を確保するために、1000ppm以上の滑剤量が好ましいからである。一方、2000ppmを超える量を含有しても、離型性の効果が変わらず、コスト的に不利になり、且つカジリ等の不具合が発生し好ましくない。
また、フィルムロールの長手方向で不活性粒子量が変動すると、製缶性が変動し
好ましくない。安定した製缶性を得る為には、フィルムの長手方向(例えば10,000m)で、1000ppm〜2000ppmの範囲に入っている事が必要であり、特に好ましくは1600ppm±200ppmの範囲である。
好ましくない。安定した製缶性を得る為には、フィルムの長手方向(例えば10,000m)で、1000ppm〜2000ppmの範囲に入っている事が必要であり、特に好ましくは1600ppm±200ppmの範囲である。
前記不活性粒子の平均粒径としては特に規定しないが、1〜3μmが好ましい。1μm未満ではポンチ離型性の改良効果が発現できないからである。逆に3μmを越えるとポンチ離型性の向上効果が飽和する一方、摩耗による滑剤の脱落が起こりやすくなったり、金属板とのラミネート時にフィルム破断が起こる場合があるからである。
本発明の積層フィルムのポリエステルA層には滑剤として、ワックスを用いることが好ましい。
また前記のワックスとしてはポリオレフィン系ワックス、ポリエステル系ワックス等の合成ワックス、カルナバワックス等の天然ワックス等が例示できる。
前記したように、2ピース缶の被覆用フィルムにおいて良好な製缶性を得るには、金属板に対する密着性と、成形加工用のポンチやダイスに対しての離型性という相反する要素を兼ね備える必要がある。本発明の被覆用フィルムは、金属板と接する側に接着性樹脂層を設けることで密着性を得るようにしている。この密着性は様々な要素によって影響されるが、該接着性樹脂層の厚みによっても左右される。従って、該接着性樹脂層の厚みを一定範囲に制御することは、被覆用フィルムの金属板に対する安定した密着性を得るために重要な要素となる。
本発明における接着性樹脂層は、熱可塑性樹脂からなる接着性樹脂層であり、好ましくは熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる接着性樹脂層である。Tgが60℃以上の水分散型共重合ポリエステル樹脂を塗布してなる事が好ましい。ここで、水分散型高分子とはそれ自身は水には不溶であるが、水系溶媒に分散または溶解することが出来る高分子化合物である。具体的には分子内に親水性基を有するモノマー成分を共重合した高分子化合物が挙げられる。このような高分子を用いることにより金属板との優れた密着強度を実現することが出来る。
また、有機溶剤を使用しないことにより、人体や環境への悪影響を低減することが出来る。該水分散型共重合ポリエステル層については、所謂コーティングにより、1nm〜50nmの厚みに制御されてなることが好ましい。コート厚みが1nm以下ではコート層が所謂膜割れを起こし、適正な樹脂膜を形成できず、50nmを超えても過剰品質であり、経済的に好ましくないからである。このコーティング処理に関しては、製膜中(インライン)の延伸膜でも製膜後(オフライン)のフィルムに処理してもどちらでも良い。本発明の水分散型高分子化合物としては、親水性基を有するモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が挙げられる。親水性基とは、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基または、それらの誘導体や金属塩基、エーテル基等であり、これらの基を分子内に含むモノマーを共重合し、水に分散可能な状態で存在するものである。
親水性基を含むモノマーとしては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のスルホン酸含有モノマーの金属塩等が挙げられる。
また、共重合ポリエステルに、親水性基を有するピニル系モノマーをグラフト重合させる方法がある。上記親水性基を有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基等を含むもの、親水性基に変化させることが出来る基としては酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを含むものが挙げられる。なかでもカルボキシル基を有するものが好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及びそれらの塩等のモノマーである。
該接着性樹脂層は、例えばグラビアコーティング法等により、ベースフィルムにコーティングされる。被覆用フィルムの、金属板に対する安定した密着性を得るために、接着性樹脂層は30nm±20nmの厚みに制御されていることが好ましい。
また、有機溶剤を使用しないことにより、人体や環境への悪影響を低減することが出来る。該水分散型共重合ポリエステル層については、所謂コーティングにより、1nm〜50nmの厚みに制御されてなることが好ましい。コート厚みが1nm以下ではコート層が所謂膜割れを起こし、適正な樹脂膜を形成できず、50nmを超えても過剰品質であり、経済的に好ましくないからである。このコーティング処理に関しては、製膜中(インライン)の延伸膜でも製膜後(オフライン)のフィルムに処理してもどちらでも良い。本発明の水分散型高分子化合物としては、親水性基を有するモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が挙げられる。親水性基とは、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基または、それらの誘導体や金属塩基、エーテル基等であり、これらの基を分子内に含むモノマーを共重合し、水に分散可能な状態で存在するものである。
親水性基を含むモノマーとしては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のスルホン酸含有モノマーの金属塩等が挙げられる。
また、共重合ポリエステルに、親水性基を有するピニル系モノマーをグラフト重合させる方法がある。上記親水性基を有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基等を含むもの、親水性基に変化させることが出来る基としては酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを含むものが挙げられる。なかでもカルボキシル基を有するものが好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及びそれらの塩等のモノマーである。
該接着性樹脂層は、例えばグラビアコーティング法等により、ベースフィルムにコーティングされる。被覆用フィルムの、金属板に対する安定した密着性を得るために、接着性樹脂層は30nm±20nmの厚みに制御されていることが好ましい。
該接着性樹脂層の厚みを30nm±20nmの厚みに制御する方法は特に限定されないが、接着性樹脂層として使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂を水溶媒中に分散させてエマルジョンとし、その濃度を測定、管理しながらグラビアコーティング法等でベースフィルムに塗布する方法などが挙げられる。
また、該接着性樹脂層のコーティング処理に関しては、製膜中の延伸膜でも製膜後のベースフィルムに処理してもどちらでも良い。
本発明の被覆用フィルムのベースフィルムに用いる熱可塑性樹脂材料は特に限定されないが、耐熱性および保香性などの点から熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。それらの中で結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリブチレンテレフタレート(PBT)とを配合した混合ポリエステルを主成分として使用することが特に好ましい。
本発明の被覆用フィルムのベースフィルムに用いる不活性粒子の添加方法については特に限定されない。ベースフィルムを構成する熱可塑性樹脂材料の重合時に添加される所謂重合時添加したものを用いても良いし、ベース樹脂と混合し押し出し機により溶融混練した所謂マスターバッチ化したものを用いても良い。
本発明の被覆用フィルムのベースフィルムとして上記PETとPBTの混合ポリエステルを使用する場合、PET/PBT=20〜80/80〜20重量%、特にPET/PBT=40〜60/60〜40重量%の比率で配合することが好ましい。PBTの比率が20重量%未満であると、飲食料品の充填プロセスにおける温水処理によって被覆フィルムが不均一に白化するという外観不良をもたらす場合があり、80重量%を超えると前記の機能が飽和し、かつ生産性・原料コストの面からも経済的に不利になる可能性があるためである。
また今フィルムの製造方法としては、原料チップのサイズとして、不活性粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステル1種以上を混合した際に、不活性粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップを不活性粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±20%以内の範囲含まれるものとする事が好ましい。チップサイズが±20%を超えると、フイルム製膜工程にて、原料ブレンド比率のバラツキが大きくなり、所謂 原料偏析なる現象が発生するからである。この現象が起きた場合、該フィルムの不活性粒子量が変動し好ましくない。
前記の熱可塑性ポリエステル樹脂においては、融解ピークが200℃〜260℃の範囲内に存在することが好ましい。融解ピークが200℃未満であると製缶性や耐熱性が損なわれる可能性があり、260℃を超える場合はフィルムの製膜性が低下する可能性があるからである。融解ピークは、更に好ましくは220℃〜260℃である。製缶速度をあげた際には200℃近傍では収率が落ちる場合があるからである。該融解ピークは、示差走査熱量計(DSC)を用いて発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークとして観測される。該融解ピークは複数個存在してもよく、溶融押出し時の樹脂温度をコントロールし、エステル交換反応を抑制することなどで達成される。
又、上記PET/PBTの混合ポリエステルを使用する場合、PET、PBTそれぞれの融解に伴う吸熱ピーク(融解ピーク)が観測される。この場合のそれぞれの融解ピークも、200℃〜260℃の範囲内に存在することが好ましい。
又、本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムにおいては製缶ラインの防汚性、缶内面の場合における保香性等の点より、低分子量化合物含有量が少ないものほど好ましい。例えばベースフィルムとしてポリエステルフィルムを使用する場合、ベースフィルム中のエチレンテレフタレート環状三量体をはじめとするオリゴマー環状三量体の含有量は、好ましくは0.7重量%以下である。これはフィルムからオリゴマーが析出するのを抑制し、製缶ラインが汚染されにくくするためである。また、缶内面に用いる場合には飲料などの食料品を充填し、レトルト処理などの加熱処理を行ったときに、オリゴマーが多量に溶出し、更にこのオリゴマーが食品に移行して、食品の味やフレーバーに対して悪影響を及ぼすことを防ぐためである。
前記のオリゴマー環状三量体含有量を0.7重量%以下にする方法は特に限定せず、(1)フィルム形成後に、このフィルムから水または有機溶剤で環状三量体を抽出除去する方法、(2)環状三量体の少ないポリエステルを用いてフィルムを作成する方法などが挙げられる。これらのうち、(2)の方法が経済的で好ましい。
上記(2)の方法において、環状三量体の含有量の少ないポリエステルを製造する方法も限定されず、固相重合法;重合後、減圧加熱処理により、あるいは水または有機溶剤による抽出により環状三量体を抽出除去する方法;及びこれらの方法を組み合わせた方法などが挙げられる。特に、固相重合法により環状三量体含有量の少ないポリエステルを製造した後、得られたポリエステルを水で抽出してさらに環状三量体を低減させる方法は、フィルム形成工程での環状三量体の生成量も低減できるので最も好ましい。
本発明の被覆用フィルムのベースフィルムに用いられるポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などの従来公知の方法により合成される。これらの方法はそれぞれ、回分式および連続式のいずれの方法で行ってもよい。あるいは、分子量を高めるために固相重合法を用いてもよい。固相重合法は、前記のように環状三量体の含有量を低減させる点からも好ましい。このようにして合成されるポリエステルは、当該フィルムに1種類だけ含まれていてもよいし、2種以上が混合して含まれていてもよい。
上記ポリエステルを構成する成分としては、前記したようにPET/PBTの混合ポリエステルを用いるのが好ましいが、これに限定されるものではなく、本発明の被覆用フィルムの特性を損なわない範囲で、ポリエステルの原料成分としてどのジカルボン酸成分・ジオール成分を用いてもよい。
例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、その他オキシカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を用いることができる。
また、ジオール成分としてはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタンール等の脂環族グリコール、ビスフェンールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
前記ポリエステルには、上記化合物の他、必要に応じて、非相溶の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などの添加剤が含有され得る。熱安定剤には、ヒンダートフェノール系、リン系等の種類があり、これらを単独または複合にて0.01〜10重量%含有することが特に好ましい実施態様である。
また、前記ポリエステルは、昇温時の結晶化ピーク温度(Tc)が70〜100℃の範囲に存在することが好ましい。Tcが100℃を越えた場合、温水処理時に結晶白化を起こし易く、又、Tcが70℃未満では製膜性が悪化する場合がある。
前記各種成分を混合したときのポリエステルの極限粘度は、0.6〜1.2dl(デシリットル)/gの範囲であることが好ましい。極限粘度が0.6dl/g未満の場合には、得られるフィルムの力学特性が低下するおそれがあり、1.2dl/gを越えても力学特性の効果は変わらず、また原料のポリエステルの生産性も低下するので経済的に不利になる場合が多い。
本発明のベースフィルムとしてのポリエステルフィルムは、前記構成の単層フィルムとして用いる以外に、別の層を積層して用いることに何ら制限を受けない。即ち、前記構成の単層フィルムをA層、積層する別の層をB層としてA層/B層の二層構成としても良い。積層方法も特に制限はなく、多層押出し法で製造してもよいし、押出し被覆法等で製造してもよい。特に該B層のポリエステル原料成分を後記するような構成とし、該B層を金属板と接する側の層として扱うことは好ましい実施態様である。この場合、前出の接着性樹脂層は、該B層上に設けることになる。
本発明の被覆用フィルムにおいて、ベースフィルムとして熱可塑性ポリエステル樹脂を用い、上記したようなA層/B層の二層構成とする場合、該B層は、該B層のポリエステル原料成分中の全酸成分の2〜15モル%が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。又、ベースとなる樹脂は特に限定されないが、耐熱性および保香性などの点からポリエチレンテレフタレートを主成分として用いることが好ましい。例えばジカルボン酸成分としてテレフタル酸と炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いた共重合ポリエチレンテレフタレート(共重合PET)を構成成分とした、混合ポリエステル樹脂を用いることができる。詳細には原料成分中のジカルボン酸成分がテレフタル酸単位(a)モル%、ダイマー酸(炭素数36個)単位(b)モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PET(c)重量%と、上層樹脂組成とを混合した、混合ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ここでa、b、cは、a+b=100、b×c÷100=5〜15となるように設定すれば良く、例えばa=90、b=10、c=60で配合した場合、B層のポリエステル原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸の割合は、全酸成分の6モル%となる。
又、上記A層/B層の二層構成とする場合、ポリエステルA層とポリエステルB層の層比率は30〜70/70〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは50〜60/50〜40重量%の比率である。ポリエステルB層の比率が30重量%未満では、耐衝撃吸収層としてのポリエステルB層が薄くなるため、低温(約5℃)での耐衝撃性向上の効果が得られないおそれがあり、70重量%を超えると逆にポリエステルB層が厚くなりすぎて製膜性、耐熱性が低下する場合がある。
上記ポリエステルB層においては、融解ピークが200℃以上でポリエステルA層の融解ピーク以下の範囲内に存在することが好ましい。融解ピークが200℃未満であるとA層の場合と同様に製缶性や耐熱性が損なわれる可能性があり、融解ピークがポリエステルA層の融解ピークを超える場合は過度の熱をA層に与えなければならないことになり、フィルム強度が低下し、フィルム生産時の破損や、フィルムを金属へラミネートする際の破れの原因となる可能性があるからである。
上記ポリエステルB層を構成する成分としては、前記したようにポリエステル原料成分中に炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を2〜15モル%含むことが好ましく、ベース樹脂としてはポリエチレンテレフタレートを主成分としたポリエステルを使用するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、本被覆用フィルムのベースフィルムとしての特性を損なわない範囲で、どのジカルボン酸成分・ジオール成分を用いてもよい。
上記ポリエステルB層を構成するポリエステル原料成分中のジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、その他オキシカルボン酸、長鎖脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を用いることができる。
また、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタンール等の脂環族グリコール、ビスフェンールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
尚、このポリエステルB層を構成するポリエステルの合成方法として従来の方法を使用できることや、上記要件を満たす範囲内でポリエステル組成物に必要に応じて他の添加剤が含有され得ること、ポリエステル組成物の極限粘度等については前記したポリエステルA層についての記述内容と同様である。
本発明の被覆用フィルムのベースフィルムは、二軸延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。ここで、二軸延伸法としては、遂次二軸延伸、同時二軸延伸、それらを組み合わせたいずれの方法であってもよい。そして遂次二軸延伸の場合は、一般的には縦方向に延伸した後、横方向に延伸する方法が採用されているが、逆の順序で延伸する方法で実施してもかまわない。また二軸延伸後、熱処理によりポリエステルの配向を固定することが好ましいが、二軸延伸後、熱処理工程を供する前に長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。さらに、延伸工程またはその前後において、ベースフィルムの片面または両面にコロナ放電処理や所定の塗布処理を施すことも何ら制限を受けない。
本発明のフィルム被覆金属板は、本発明の被覆用フィルムを金属板に被覆したものである。被覆用フィルムを金属板と被覆する方法は特に限定せず、例えば、ドライラミネート法、サーマルラミネート法などを採用することができる。具体的には被覆用フィルムの接着性樹脂層のガラス転移点以上に金属板を加熱し、その金属板の表面に被覆用フィルムを接触させ、かかる状態でニップロール間を通過させる。次いで、10〜40℃で急冷硬化させることにより、被覆する。ニップロールを通過させた後、必要に応じて、ベースフィルムの融点以上で再溶融(リメルト)してもよい。
また、フィルムの被覆は金属板の片面だけに行っても、両面に行ってもよい。両面被覆の場合は同時に被覆しても遂次で被覆してもよい。
本発明において、用いるベースフィルムを二軸延伸フィルムとし、かつフィルム被覆金属板を2ピース缶に適用する場合、被覆の後にポリエステルの分子配向を除去するために、ベースフィルムを構成するポリエステルの融点(融解ピーク)以上で加熱するリメルト(再溶融)処理を行うことが好ましい。リメルト直後には冷却水等の使用による急冷却を実施することが好ましい。なぜならば、リメルト後、大気中への放冷等を例とした除冷却のみではポリエステルが冷却固化する過程で結晶化が起こり易く、その後の製缶プロセスにおいて絞り・しごき加工を受ける際、ポリエステルがその加工による変形に追随しにくくなり、結果として製缶できなくなる場合があるからである。
前記リメルト処理後のX線観察による分子配向度は10%以下で、実質的に無配向と言えるものである。つまり、ポリエステルが配向状態にある二軸延伸フィルムでは、塑性変形しにくく、且つ、延びにくいため、容器部を形成するための絞り成形工程を実施しにくくなり、場合によっては絞り・しごき成形時に金属板から剥がれるというデラミネート現象が起こり易くなり、破れ、削れ等が発生する可能性が高くなる。一方、実質的に無配向であれば、被覆している金属板の変形に追随できるので、デラミネートや破れ等を生じることなく、2ピース缶用として金属の塑性変形を伴う成形を行うことができる。
本発明では使用する金属板として、ティンフリースティール等の表面処理鋼板、あるいはアルミニウム板又はアルミニウム合金板、あるいは表面処理を施したアルミニウム板又はアルミニウム合金板が使用できる。また、その厚さは、特に限定しないが、材料の費用や製缶加工速度等に代表される経済性、一方では材料強度の確保の点から、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜400μmである。
本発明では金属板上の被覆用フィルム厚みは特に限定されないが、10〜50μmが被覆効果(防錆性)および耐衝撃性、さらには経済性の点から好ましい実施態様である。該被覆用フィルム厚みが10μm未満では、耐衝撃性が得られない可能性が高く、50μmを超えた場合は過剰品質であり、経済的に好ましくない場合が多い。
本発明のフィルム被覆金属容器は、本発明の二軸延伸タイプ又は無配向タイプの被覆用フィルムを被覆したフィルム被覆金属板を、適宜成形してなる金属容器であり、その容器の形状、金属容器を成形する方法は、特に限定しない。具体的には、天地蓋を巻き締めて内容物を充填する、所謂3ピース缶は勿論、金属板を絞り成形して容器部を形成する2ピース缶などが挙げられる。
本発明のフィルム被覆金属容器は、前述したように3ピース缶であっても良いが、本発明のフィルム被覆金属板を成形、加工してなる2ピース缶であるのが好ましい。
本発明の金属容器において、本発明の被覆用フィルムは、金属容器の内壁面側になるように成形してもよいし、外壁面側になるように成形してもよい。
尚、絞り・しごき成形を行う場合、必要に応じて、加工ポンチが接触するフィルム表面に、潤滑剤を塗布してもよい。
本発明のフィルム被覆金属容器には、必要に応じて印刷等を施してもよく、また製缶工程・印刷工程等の後、再リメルト処理を行ってもかまわない。
以下、実施例をもとに本発明を説明する。
以下に本発明における各種評価方法を示す。
(1)ポリエステルの熱特性
ポリエステル組成物を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とし昇温結晶化時の頂点温度をTc(℃)とした。
ポリエステル組成物を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とし昇温結晶化時の頂点温度をTc(℃)とした。
(2)ポリエステルの不活性粒子量
フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出した。理学電機製蛍光エックス線装置を用い、分析径を30mmΦとして各試料1枚を上面及び下面から測定し、PET用検量線を用いて不活性粒子量に換算した。
フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出した。理学電機製蛍光エックス線装置を用い、分析径を30mmΦとして各試料1枚を上面及び下面から測定し、PET用検量線を用いて不活性粒子量に換算した。
(3)缶内面樹脂と加工ポンチの離型性(製缶性)
実施例1、2、比較例1、2で得られたリメルトアルミ板をn=10で製缶し、成形缶上部に起る座屈程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:缶開口部の座屈未発生
×:缶開口部円周の1/3以上に座屈発生
実施例1、2、比較例1、2で得られたリメルトアルミ板をn=10で製缶し、成形缶上部に起る座屈程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:缶開口部の座屈未発生
×:缶開口部円周の1/3以上に座屈発生
(4)耐衝撃性
耐衝撃性テストは、流通段階や保管時に予想される外部からの衝撃を想定したテストで、次のように行った。実施例1、2、比較例2で得られたリメルトアルミ板を製缶して得た缶を280℃で40秒加熱後水中急冷した缶の胴壁中央部より7cm角のサンプルを切り出す。このサンプルの評価をしない面に対して先端径10mmの重り(600g)を高さ10cmから落して衝撃を付与する。ついで衝撃を与えた部分、かつ評価を実施する面を7%の希塩酸に浸漬させ、3日後に該部の腐蝕状態を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:腐蝕未発生
×:腐蝕発生
耐衝撃性テストは、流通段階や保管時に予想される外部からの衝撃を想定したテストで、次のように行った。実施例1、2、比較例2で得られたリメルトアルミ板を製缶して得た缶を280℃で40秒加熱後水中急冷した缶の胴壁中央部より7cm角のサンプルを切り出す。このサンプルの評価をしない面に対して先端径10mmの重り(600g)を高さ10cmから落して衝撃を付与する。ついで衝撃を与えた部分、かつ評価を実施する面を7%の希塩酸に浸漬させ、3日後に該部の腐蝕状態を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:腐蝕未発生
×:腐蝕発生
その他、原料成分の確認は以下のように行った。
(5)共重合ポリエステルの組成比
サンプル約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(9/1;体積比)0.7mlに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。
(5)共重合ポリエステルの組成比
サンプル約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(9/1;体積比)0.7mlに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。
(6)不活性粒子の平均粒径
真空乾燥機にて終夜乾燥させた被覆用フィルム試料にイオンプラズマエッチング処理を行い、ベースフィルムのA,B層中に含有されている不活性粒子を露出させた。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。写真撮影された粒子のコントラストが弱い場合には、OHPフィルムに粒子の輪郭を極細マジックペンでトレースし、該トレース像を画像処理装置にて粒子の円相当径を求めた。
また、ポリエステルに粒子を添加する前の紛体状態の粒子は、SEM試料台に両面テープを張り、その上に紛体を薄くのせ、カーボン蒸着後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。
真空乾燥機にて終夜乾燥させた被覆用フィルム試料にイオンプラズマエッチング処理を行い、ベースフィルムのA,B層中に含有されている不活性粒子を露出させた。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。写真撮影された粒子のコントラストが弱い場合には、OHPフィルムに粒子の輪郭を極細マジックペンでトレースし、該トレース像を画像処理装置にて粒子の円相当径を求めた。
また、ポリエステルに粒子を添加する前の紛体状態の粒子は、SEM試料台に両面テープを張り、その上に紛体を薄くのせ、カーボン蒸着後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。
(7)ポリエチレンテレフタレート中のオリゴマー(環状三量体 )含有量
フィルムから採取された所定量の樹脂をo−クロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液を液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給して前記樹脂に含まれるオリゴマー(環状三量体 )量を求め、この値を測定に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、前記樹脂中に含まれるオリゴマー量(環状三量体 )とする。
液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体 )量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体 )を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001mg/ml〜0.50mg/mlの範囲が好ましい。
液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
フィルムから採取された所定量の樹脂をo−クロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液を液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給して前記樹脂に含まれるオリゴマー(環状三量体 )量を求め、この値を測定に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、前記樹脂中に含まれるオリゴマー量(環状三量体 )とする。
液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体 )量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体 )を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001mg/ml〜0.50mg/mlの範囲が好ましい。
液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
[実施例1]
[ポリエステルフィルム(ベースフィルム)の作製]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、固相重合法にて合成したポリエチレンテレフタレート(PET)と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用い、同じく固相重合法にて合成したポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET(東洋紡(株)製 SG554)/PBT(東レ(株)製 1200S)=30/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)がフィルムとして1500ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステル1種以上を混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いた。ポリエステルB層としてジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETを60重量%とPET16重量%、PBT24重量%を混合した、ポリエステル組成物Bを用いた。共重合ポリエステルの組成比は、前述の1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して確認した。
ポリエステル組成物Bにおける原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=60になるため、10×60÷100=6、即ち全酸成分の6モル%となる。
[ポリエステルフィルム(ベースフィルム)の作製]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、固相重合法にて合成したポリエチレンテレフタレート(PET)と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用い、同じく固相重合法にて合成したポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET(東洋紡(株)製 SG554)/PBT(東レ(株)製 1200S)=30/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)がフィルムとして1500ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステル1種以上を混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いた。ポリエステルB層としてジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETを60重量%とPET16重量%、PBT24重量%を混合した、ポリエステル組成物Bを用いた。共重合ポリエステルの組成比は、前述の1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して確認した。
ポリエステル組成物Bにおける原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=60になるため、10×60÷100=6、即ち全酸成分の6モル%となる。
このポリエステル組成物A及びポリエステル組成物Bをそれぞれパドルドライヤで乾燥させ、別々の単軸式押出機直上の漏斗状のホッパに供給し、それぞれ押出機内で溶融させた。それぞれの溶融体を、ポリエステル組成物A/ポリエステル組成物B=60/40重量%の比率となるようそれぞれの押出機から押し出し、ダイ内で合流させた後、押し出し急冷して未延伸二層ベースフィルムを得た。この未延伸二層ベースフィルムの一部を切り取り、熱特性を測定した。結果は表1に示した。又、得られた未延伸ベースフィルムを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μmの二軸延伸ベースフィルムを得た。その後、該ベースフィルムに対して、グラビアコーティング法にて、接着性樹脂層厚みが30nmとなるように濃度調整した熱可塑性ポリエステル系樹脂よりなるコーティング液(東洋紡(株)製、「商品名;バイロナール」を溶媒中に分散させたもの)をコーティングし、160℃にて8秒間、乾燥して実施例1の被覆用フィルムを得た。得られた被覆用フィルムを10,000m以上、ロール状に巻き取ってフィルムロ−ルを得た。そのフィルムロールから前記した方法で試料を切り出し、シリカ粒子量を蛍光X線法にて測定した。シリカ粒子の平均量は設定どおり1500ppmであった。試料100点のシリカ粒子量のバラツキは、最大200ppmであった。結果は表−1に示した。
[フィルム被覆金属板の作製]
予熱したアルミ板の両面に、前記の被覆用フィルムを、接着性樹脂層側を金属板と貼り合わせニップロール間を通過させ、かつ押圧しながら被覆した後、熱処理を行い、直後に10〜40℃の水槽中で急冷し、両面にフィルムが被覆されたアルミ板を得た。被覆時には、初期密着性が良好で、張力変動やニップロールへの巻付き等の不具合もなく、本実施例の被覆用フィルムは被覆適性が良好であった。しかる後、該被覆用フィルム被覆アルミ板を、275℃で加熱・再溶融した後、水中急冷してリメルトアルミ板を作製した。
予熱したアルミ板の両面に、前記の被覆用フィルムを、接着性樹脂層側を金属板と貼り合わせニップロール間を通過させ、かつ押圧しながら被覆した後、熱処理を行い、直後に10〜40℃の水槽中で急冷し、両面にフィルムが被覆されたアルミ板を得た。被覆時には、初期密着性が良好で、張力変動やニップロールへの巻付き等の不具合もなく、本実施例の被覆用フィルムは被覆適性が良好であった。しかる後、該被覆用フィルム被覆アルミ板を、275℃で加熱・再溶融した後、水中急冷してリメルトアルミ板を作製した。
[フィルム被覆金属容器の作製]
作製したリメルトアルミ板を、板厚減少率30%となるように、絞り・しごき成形を行って、フィルム被覆金属容器を成形した。成形時には、被覆用フィルムの剥離や破れはなく、金型との離型性も良好であり、極めて良好なものであった。しかる後、この被覆用フィルム被覆金属容器を前記の通り加熱・再溶融した後、水中急冷したが、この時点においても被覆用フィルム部の白化による外観不良は生じず、良好なものであった。さらに外面を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で急冷した。
作製したリメルトアルミ板を、板厚減少率30%となるように、絞り・しごき成形を行って、フィルム被覆金属容器を成形した。成形時には、被覆用フィルムの剥離や破れはなく、金型との離型性も良好であり、極めて良好なものであった。しかる後、この被覆用フィルム被覆金属容器を前記の通り加熱・再溶融した後、水中急冷したが、この時点においても被覆用フィルム部の白化による外観不良は生じず、良好なものであった。さらに外面を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で急冷した。
このようにして成形した容器に飲料を充填し、タブの付いた蓋を巻き締め接合後、80℃で30分間温水処理をして、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、製缶性は良好で、また飲料へのオリゴマーの溶出や被覆用フィルムからのオリゴマー析出もなかった。また、時間経過に伴う密着性低下も発生せず、耐衝撃性テストにおいてもフィルムの破れ等は発生しなかった。結果は表1に示した。
[実施例2]
PET(東洋紡(株)製 SG554)/PBT(東レ(株)製 1200S)=30/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)がフィルムとして1200ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いたポリエステルB層としてジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETを20重量%とPET48重量%、PBT32重量%を混合した、ポリエステル組成物Bを用いた。共重合ポリエステルの組成比は、前述の1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して確認した。
ポリエステル組成物Bにおける原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=20になるため、10×60÷100=2、即ち全酸成分の2モル%となる。
ポリエステル組成物A及びポリエステル組成物Bをそれぞれパドルドライヤで乾燥させ、別々の単軸式押出機直上の漏斗状のホッパに供給し、それぞれ押出機内で溶融させた。それぞれの溶融体を、ポリエステル組成物A/ポリエステル組成物B=50/50重量%の比率となるようそれぞれの押出機から押し出し、ダイ内で合流させた後、押し出し急冷して未延伸二層ベースフィルムを得た。この未延伸二層ベースフィルムの一部を切り取り、熱特性を測定した。結果は表1に示した。
又、得られた未延伸二層ベースフィルムを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μm(ポリエステルA層の厚み10μm、ポリエステルB層の厚み10μm)の二軸延伸二層ベースフィルムを得た。
該二層ベースフィルムに対して、実施例1で使用したものと同じコーティング液をポリエステルB層側にグラビアコーティング法にてコーティングし、160℃にて8秒間、乾燥して実施例2の、ベースフィルムが二層構成となった被覆用フィルムを得た。得られた被覆用フィルムを10,000m以上、ロール状に巻き取ってフィルムロ−ルを得た。そのフィルムロールから前記した方法で試料を切り出し、シリカ粒子量を蛍光X線法にて測定した。シリカ粒子の平均量は設定どおり1500ppmであった。試料100点の不活性粒子量のバラツキは、最大200ppmであった。結果は表−1に示した。そしてこれ以後の金属板被覆工程、製缶工程、評価については実施例1と同様に行った。
PET(東洋紡(株)製 SG554)/PBT(東レ(株)製 1200S)=30/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)がフィルムとして1200ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いたポリエステルB層としてジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETを20重量%とPET48重量%、PBT32重量%を混合した、ポリエステル組成物Bを用いた。共重合ポリエステルの組成比は、前述の1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して確認した。
ポリエステル組成物Bにおける原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=20になるため、10×60÷100=2、即ち全酸成分の2モル%となる。
ポリエステル組成物A及びポリエステル組成物Bをそれぞれパドルドライヤで乾燥させ、別々の単軸式押出機直上の漏斗状のホッパに供給し、それぞれ押出機内で溶融させた。それぞれの溶融体を、ポリエステル組成物A/ポリエステル組成物B=50/50重量%の比率となるようそれぞれの押出機から押し出し、ダイ内で合流させた後、押し出し急冷して未延伸二層ベースフィルムを得た。この未延伸二層ベースフィルムの一部を切り取り、熱特性を測定した。結果は表1に示した。
又、得られた未延伸二層ベースフィルムを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μm(ポリエステルA層の厚み10μm、ポリエステルB層の厚み10μm)の二軸延伸二層ベースフィルムを得た。
該二層ベースフィルムに対して、実施例1で使用したものと同じコーティング液をポリエステルB層側にグラビアコーティング法にてコーティングし、160℃にて8秒間、乾燥して実施例2の、ベースフィルムが二層構成となった被覆用フィルムを得た。得られた被覆用フィルムを10,000m以上、ロール状に巻き取ってフィルムロ−ルを得た。そのフィルムロールから前記した方法で試料を切り出し、シリカ粒子量を蛍光X線法にて測定した。シリカ粒子の平均量は設定どおり1500ppmであった。試料100点の不活性粒子量のバラツキは、最大200ppmであった。結果は表−1に示した。そしてこれ以後の金属板被覆工程、製缶工程、評価については実施例1と同様に行った。
このようにして作成された缶は、実施例1と同様に、製缶加工性が極めて良好で、飲料へのオリゴマーの溶出や被覆用フィルムからのオリゴマー析出もなかった。さらに時間経過による密着性低下も起こらず、耐衝撃性テストにおいても被覆用フィルムの破れ等は発生しなかった。各種測定結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1と同様の凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)をフィルムとして800ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いた
他の組成・製膜工程・製缶工程・評価については実施例1と同様に行った。
実施例1と同様の凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)をフィルムとして800ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±10%以内の範囲のものを用いた
他の組成・製膜工程・製缶工程・評価については実施例1と同様に行った。
このようにして作成した被覆用フィルムのベースフィルムの熱特性は表1に示したとおりであった。又、シリカ粒子の平均量は設定どおり800ppmであった。試料100点のシリカ粒子量のバラツキは、最大200ppmであった。該被覆用フィルムを用いて作成した被覆金属板、フィルム被覆金属缶は、シリカ粒子量が少ない為
接着性樹脂層が厚いため金属板との離型性が悪く、製缶工程においてフィルム破れ等が発生し、実施例1に比較して製缶加工性に劣り、収率が低くなった。比較例1においては正常なフィルム被覆金属缶が作成できなかったため、耐衝撃性テストは行わなかった。評価結果は表1に示した。
接着性樹脂層が厚いため金属板との離型性が悪く、製缶工程においてフィルム破れ等が発生し、実施例1に比較して製缶加工性に劣り、収率が低くなった。比較例1においては正常なフィルム被覆金属缶が作成できなかったため、耐衝撃性テストは行わなかった。評価結果は表1に示した。
[比較例2]
実施例1と同様の凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)をフィルムとして1200ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±30%の範囲のものを用いた以外は、組成・製膜工程・製缶工程・評価については実施例2と同様に行った。
実施例1と同様の凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)をフィルムとして1200ppm含有するようにPETベースのマスターバッチを10%混合した。熱安定剤3重量%を含有させ、極限粘度0.7、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物(ポリエステル組成物A)を用いた。原料のチップサイズとしてはシリカ粒子を含むポリエステルとそれ以外のポリエステルを混合した際に、シリカ粒子を含むポリエステル以外のポリエステルの原料チップをシリカ粒子を含むポリエステルの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対しそれぞれ±30%の範囲のものを用いた以外は、組成・製膜工程・製缶工程・評価については実施例2と同様に行った。
このようにして作成した、ベースフィルムが二層構成となった比較例2の被覆用フィルムのベースフィルムの熱特性は表1に示したとおりであった。又、シリカ粒子のの平均量は1200ppmであった。また試料100点のシリカ粒子量のバラツキは、最大400ppmであった。この被覆用フィルムを用いて作成した被覆金属板、フィルム被覆金属缶は、シリカ粒子の少ない部分では比較例1と同様に製缶加工性に劣り、収率が悪くなった。シリカ粒子量、バラツキが好適範囲で、フィルム剥れ等がなくフィルム被覆金属缶として作成できたものについては耐衝撃性テストでのフィルムの破れ等は発生しなかったが、フィルムロール全体としては収率の点で好ましいものではなかった。評価結果は表1に示した。
以上、説明したように、本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムを特に2ピース缶の被覆用フィルムとして使用することで、良好な成形性を有する、密着性に優れた絞り・しごき缶被覆用フィルムを得ることが可能となった。又、ベースフィルムは、熱可塑性樹脂よりなるベースフィルムの一方の面に熱可塑性樹脂よりなる接着性樹脂層を設けた被覆用フィルムであって、該被覆用フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該被覆用フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の分析径を30mmΦとしたとき、平均粒径1〜3μmの不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入るフィルムとする構成とした上で、該B層に熱可塑性樹脂コーティングをすることにより、より良好な成形性を有する、更に密着性に優れた絞り・しごき缶被覆用フィルムを得ることが可能となった。更に、本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムを用いることにより、製缶加工安定性に優れた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板を得ることができ、本発明の絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板を用いることにより、外観特性や耐衝撃性にも優れるフィルム被覆絞り・しごき缶を得ることが可能となった。
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂よりなるベースフィルムの一方の面に熱可塑性樹脂よりなる接着性樹脂層を設けた被覆用フィルムであって、該フィルムを10,000m以上巻き取ってなるフィルムロールから該フィルムを引き出しながらフィルムロールの長手方向に100m間隔にて試料として100点切り出し、切り出された100点の試料の、不活性粒子量が1000ppm〜2000ppmの範囲に入ることを特徴とする絞り・しごき缶被覆用フィルム。
- 前記ベースフィルム及び前記接着性樹脂層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂よりなることを特徴とする請求項1記載の絞り・しごき缶被覆用フィルム。
- 前記ベースフィルムが、A層/B層の二層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絞り・しごき缶被覆用フィルム。
- 前記ベースフィルムのB層を構成するポリエステルのポリエステル原料成分のうち、全酸成分の2〜15モル%が炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であり、且つ該B層が、ベースフィルムにおける金属板との接着面側に形成されてなることを特徴とする請求項3記載の絞り・しごき缶被覆用フィルム。
- 前記接着性樹脂層が、被覆用フィルムにおける金属板との接着面側に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の絞り・しごき缶被覆用フィルム。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の絞り・しごき缶被覆用フィルムを、少なくとも10,000m以上、ロール状に巻き取ってなることを特徴とする絞り・しごき缶被覆用フィルムロール。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の絞り・しごき缶被覆用フィルムを金属板に被覆してなることを特徴とする絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板。
- 請求項7記載のフィルム被覆金属板を成形、加工してなることを特徴とするフィルム被覆絞り・しごき缶。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004354166A JP2006159620A (ja) | 2004-12-07 | 2004-12-07 | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004354166A JP2006159620A (ja) | 2004-12-07 | 2004-12-07 | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006159620A true JP2006159620A (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=36662147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004354166A Pending JP2006159620A (ja) | 2004-12-07 | 2004-12-07 | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006159620A (ja) |
-
2004
- 2004-12-07 JP JP2004354166A patent/JP2006159620A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006199917A (ja) | 金属板貼合せ用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板及び金属容器 | |
JP4825072B2 (ja) | 金属板ラミネート用フィルム | |
JP2009041024A (ja) | 金属板ラミネート用フィルム | |
JP2006199915A (ja) | 金属板貼合せ用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板及び金属容器 | |
JP4009467B2 (ja) | 金属板ラミネート用フィルム、フィルムラミネート金属板、および金属容器 | |
JP2010168432A (ja) | 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム | |
JP2004131564A (ja) | 絞りしごき缶被覆用フィルム | |
JP2006159621A (ja) | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 | |
JP2006007746A (ja) | 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器 | |
JP2006160999A (ja) | 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板、および金属容器 | |
JPH11207909A (ja) | 金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム | |
JP4910273B2 (ja) | 絞りしごきアルミニウム缶被覆用フィルム及びこれを用いた絞りしごき缶用アルミニウム板、並びに絞りしごきアルミニウム缶 | |
JP2006159620A (ja) | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 | |
JP4784071B2 (ja) | 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶 | |
JP4635575B2 (ja) | 絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶 | |
JP2009221315A (ja) | 金属板ラミネート用フィルム、フィルムラミネート金属板、および金属容器 | |
JP2009078543A (ja) | 絞りしごき缶被覆用フイルム | |
JPH11254626A (ja) | ポリエステル積層フィルム並びにこれを用いたフィルムラミネ―ト金属板及び金属容器 | |
JP3991259B2 (ja) | 金属板貼り合せ成形加工用ポリエステルフィルム | |
JP4591057B2 (ja) | 絞りしごき缶被覆用フィルム、絞りしごき缶用金属板及び絞りしごき缶 | |
JP2006181913A (ja) | 耐レトルト密着性に優れた絞りしごき缶被覆用フィルム | |
JP5326372B2 (ja) | 金属板ラミネート用フイルム | |
JP2007261023A (ja) | 金属板ラミネート用フィルム | |
JP7037108B2 (ja) | 金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム | |
JP2006199916A (ja) | 金属板貼合せ用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板及び金属容器 |