JP2009078543A - 絞りしごき缶被覆用フイルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 2ピース缶用のラミネートフイルムとして適用できる、製缶における成形加工性に優れかつ低温保管時や移送時の耐衝撃性に優れた絞りしごき缶被覆用フイルム、フイルムラミネート金属板及びフイルムラミネート金属容器を提供することにある。
【解決手段】 ポリエステル系樹脂からなる基材層に非水性硬化型樹脂からなる被覆層を設けたポリエステル系樹脂フイルムであって、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル(A)10〜90重量%と、ポリエステル(A)とは異なる結晶性ポリエステル(B)90〜10重量%とを配合したポリエステル系樹脂組成物からなるフイルムにワックスを500ppm以上含有させており、前記基材層の示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピーク(Tc2)の半値幅w(℃)と高さh(mW)の比w/hが2.30(℃/mW)以下であること、さらに前記非水性硬化型樹脂の乾燥後のコート層厚みが、500nm〜5000nm厚みの範囲である事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は樹脂被覆金属板に好適な熱可塑性樹脂フイルムに関するものである。特には、絞りしごき缶の表面被覆に好適に用いられる熱可塑性樹脂フィルムに関する。さらに詳細には、絞り・しごき加工などの製缶加工性及び耐衝撃性に優れる絞りしごき缶被覆用フイルムに関するものである。
金属缶内壁面及び外壁面の腐食防止方法として、熱可塑性樹脂フイルムをラミネートする方法がある。例えば、特開平7―227946号公報に、食品缶詰め用の金属材料にラミネートするためのポリエステルフイルムが開示されている。
このポリエステルフイルムは耐スクラッチ性に優れていて、例えば、金属板を円筒成形し、この円筒の上下開口部分に蓋体を巻締め加工するという製缶工程において、フイルムがラミネートされた金属板(以下、「フイルムラミネート金属板」という)を移送する時や、巻締め加工などによりラミネート金属板を加工する時に、スクラッチ傷が発生したりして、商品価値を低下せしめるということがなくて済む。
また、このフイルムは巻締め加工時の耐性に優れ、かつ製缶後に食品を充填後、レトルト処理などの加熱温水処理を行った時のオリゴマー溶出量が少ないので、金属容器の内壁面にラミネートするポリエステルフイルムとして優れている。
ところで、食品用缶には、金属板を円筒成形してなる金属円筒の上下開口部に蓋体を取り付けてなる、所謂3ピース缶の他に、金属板を深絞り成形して容器部を形成し、この容器部の上面開口部に蓋体を巻締め加工してなる、所謂2ピース缶がある。
3ピース缶の場合には、フイルムラミネート金属板は円筒状に成形されるだけであるが、2ピース缶の場合には、フイルムラミネート金属板は、絞りしごき成形されることになる。従って2ピース缶に適用できるためには、金属板の成形に追随して成形されるという良好な成形性を有し、金属板に対する密着性が優れている必要がある。成形性が不十分であったり、金属板に対するフイルムの密着性が不十分な場合には、フイルムが金属板から剥がれるという、所謂デラミネート現象が起こったり、2ピース缶の容器部の作製時にフイルムが破れてしまったりするからである。
さらに、絞り加工では、ポンチの下降上昇を繰返しながらフイルムラミネート金属板を容器状に加工していくので、容器内壁面側にラミネートされるフイルムの場合にはポンチとの離型性、同様に容器外壁面の場合にはダイスとの離型性が要求される事となる。
そこで、ポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(I)、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(II)、および低分子量ポリマー(III)からなるフイルムであり、ポリエステル(I)と(II)の質量比(I)/(II)が80〜40/20〜60であり、フイルムが200℃〜223℃にポリエステル(I)の融点を、また、230℃〜256℃にポリエステル(II)の融点を有し、低分子量ポリマー(III)がポリエステル(I)、(II)と実質的に非相溶であり、その数平均分子量が1000〜8000でありその融点が100℃〜135℃であり、フイルム中の含有量が0.01〜1.0質量%であることを特徴とする金属板ラミネート用フイルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
特開2005−68360号公報
しかし、このフイルムは耐衝撃性が良くないという問題があった。
本発明の目的はこのような事情に鑑みてなされたものであり、所謂2ピース缶用のラミネートフイルムとして適用できる、製缶における成形加工性に優れかつ低温保管時や移送時の耐衝撃性に優れた絞りしごき缶被覆用フイルム、フイルムラミネート金属板及びフイルムラミネート金属容器を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の絞りしごき缶被覆用フイルムは、ポリエステル系樹脂からなる基材層に非水性硬化型樹脂からなる被覆層を設けたポリエステル系樹脂フイルムであって、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル(A)10〜90重量%と、ポリエステル(A)とは異なる結晶性ポリエステル(B)90〜10重量%とを配合したポリエステル系樹脂組成物からなるフイルムにワックスを500ppm以上含有させており、前記基材層の示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピーク(Tc2)の半値幅w(℃)と高さh(mW)の比w/hが2.30(℃/mW)以下であること、さらに前記非水性硬化型樹脂の被覆層厚みが、500nm〜5000nm厚みの範囲である事を特徴とする。
この場合において、該非水性硬化型樹脂に、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコールの内から一種、またはこれらから選ばれる2種類以上を併用された架橋剤を用いられてなる事が好適である。
さらにまた、この場合において、前記被覆層がコーティング処理により設けられる事が好適である。
また、この場合において、前記非水性硬化型樹脂はTgが40℃以上、70℃以下である事が好適である。
さらにまた、この場合において、前記ポリエステル系樹脂組成物の還元粘度が0.80以上である事が好適である
さらにまた、この場合において、前記フイルムを金属板に被覆してなる事を特徴とするフイルム被覆金属板が有用である。
さらにまた、この場合において、前記被覆金属板のフィルムをリメルト処理することが好適である。
さらにまた、この場合において、前記フイルム被覆金属板を製缶してなることを特徴とする絞りしごき缶が有用である。
本発明の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムは、2ピース缶用のラミネートフイルムとして使用した場合、金属との密着性や成形加工性に優れ、低温で衝撃を受けた際の耐衝撃性にも優れる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明におけるエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル(A)(以下、ポリエステルA)とは、ポリエステル成分の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステルをいい、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステルをいう。
ここで、ポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリマーであり、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分、例えばナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等の中から任意に選ばれるジカルボン酸成分を共重合してもよい。また、エチレングリコール以外のグリコール成分、例えばトリメチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSと宇野芳香族グリコール等の中から任意に選ばれるグリコール成分を共重合してもよい。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種類以上を併用してもよい。該ポリエステルAの融点は好ましくは240℃〜265℃である。
また、該ポリエステルAの還元粘度は好ましくは0.55〜0.90であり、より好ましくは0.58〜0.80である。還元粘度がこの範囲より小さくなると、実用に供することのできる機械的強度のフイルムが得られにくくなり好ましくなく、この範囲を超えても機械的強度の効果が変わらず、コスト的に不利になるので好ましくない。
本発明における結晶性ポリエステル(B)(以下、ポリエステルB)とはポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステル、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)系ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリエステル、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)系ポリエステル及びポリペンタメチレンテレフタレート(PPT)系ポリエステルの中から選択される1種または2種以上のポリエステルであり、好ましくはポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステル、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)系ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリエステル、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)系ポリエステル又はポリペンタメチレンテレフタレート(PPT)系ポリエステルである。ここで、ポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリマーである。これらの結晶性ポリエステルは、いずれもホモポリエステル(即ち、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリペンタメチレンテレフタレート(PPT))が好ましいが、該ホモポリエステルにその他のジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分がさらに共重合した共重合ポリエステルであってもよい。かかる共重合成分としてのジカルボン酸成分には、例えば、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等の中から任意のジカルボン酸成分があげられ、また、グリコール成分にはエチレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール等の中から選ばれる任意のグリコール成分があげられ、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分はそれぞれ2種以上を併用してもよい。なお、これらのジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分の共重合量はポリエステルの高結晶化性を損なわない範囲であり、通常、ポリエステル全体当たり20モル%以下である。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステルの融点は好ましくは215〜235℃、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)系ポリエステルの融点は好ましくは260〜275℃、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリエステルの融点は好ましくは230〜245℃、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)系ポリエステルの融点は好ましくは150〜170℃、ポリペンタメチレンテレフタレート(PPT)系ポリエステルの融点は好ましくは130〜150℃である。
本発明に於いて、当該結晶性ポリエステルBはポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステル、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)系ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリエステル、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)系ポリエステル及びポリペンタメチレンテレフタレート(PPT)系ポリエステルである。
本発明に於いて、結晶性ポリエステルBの還元粘度は0.80〜2.20が好ましく、より好ましくは0.85〜1.50である。還元粘度がこの範囲より小さくなると、実用に供することのできる機械的強度のフィルムが得られにくくなり好ましくなく、この範囲を超えても機械的強度の効果が変わらず、コスト的に不利になるので好ましくない。
本発明のポリエステルフイルムにおいて、エチレンテレフタレート環状三量体をはじめとする環状三量体の含有量は好ましくは0.7重量%以下である。これは、フィルムにおけるオリゴマーの析出を抑制するためである。後述するように、2ピース缶を製造する場合、本発明の積層フィルムは、無配向ポリエステルとするリメルト処理を経た後、絞り加工されることとなる。無配向ポリエステルでは、配向ポリエステルよりもオリゴマーが析出しやすい。従って、環状三量体が0.7重量%超含まれていると、例えば、このフイルムをラミネートしてなる2ピース缶に、飲料を充填し、レトルト処理などの加熱処理を行ったときに、ポリエステルからオリゴマーが多量に溶出し、更にこのオリゴマーが食品に移行して、食品の味やフレーバーに対して悪影響を及ぼすことになるからである。
ポリエステル中のエチレンテレフタレート環状三量体をはじめとする環状三量体の含有量を0.7重量%以下にする方法は特に限定せず、[1]積層フィルム形成後に、この積層フイルムから水または有機溶剤で環状三量体を抽出除去する方法、[2]環状三量体の少ないポリエステルを用いて、ポリエステルフイルムを構成する方法などが挙げられる。これらのうち、[2]の方法の方が経済的で好ましい。
上記[2]の方法において、環状三量体の含有量の少ないポリエステルを製造する方法も限定されず、固相重合法;重合後、減圧加熱処理により、あるいは水または有機溶剤による抽出により環状三量体を抽出除去する方法;及びこれらの方法を組合せた方法などが挙げられる。特に、固相重合法により環状三量体含有量の少ないポリエステルを製造した後、得られたポリエステルを水で抽出してさらに環状三量体を低減させる方法は、フイルム形成工程での環状三量体の生成量が押さえられるので最も好ましい。
本発明のポリエステルフイルムにおいて、ポリエステルAとポリエステルBとの配合割合(A/B)は、一般に10〜90重量%/90〜10重量%であり、好ましくは10〜70重量%/90〜30重量%、より好ましくは35〜65重量%/65〜35重量%である。かかる規程範囲を超えてポリエステル(A)の量が多いと(ポリエステル(B)の量が少ないと)フイルムの成形加工性が低下し、特にこれを金属板にラミネートしたラミネート金属板の製缶時に製缶不良を起して、フイルムが損傷しやすくなり、また、ポリエステルBの量が多いと(ポリエステルAの量が少ないと)フイルムをその融点付近または融点以上に溶融した後降温した場合のフイルム白化を十分に抑制できなくなってしまう。
図1は結晶性ポリエステルフイルムの示差走査熱量計(DSC)による降温時の再結晶化ピークを示すチャートを簡略化して示した図である。この図において、再結晶化ピーク1のベースラインLからピークトップtまでの高さをh(mW)とし、高さh/2での温度幅すなわち半値幅をw(℃)としたとき、半値幅wと高さhの比w/h(℃/mW)が定義される。
このように定義される再結晶化ピークの半値幅wと高さhの比w/hの値によって、ポリエステルフイルムの降温時における再結晶化過程での結晶化の速さを知ることができる。前記比w/hの値が小さいほど、結晶化速度が速いことを示すと考えられる。前記比w/hの値が小さいほど、フイルム系内においてポリエステル樹脂(A)と(B)とが適度に粗く分散されており、フイルムの結晶化速度が速いことを示すと考えられる。
本発明のポリエステルフイルムにおいて、前記比w/hの値が2.30(℃/mW)以下であると、フイルムの融点付近または融点以上からの降温時における冷却過程でのフイルムの結晶化速度が速いために、可視光の散乱には寄与しない程度に小さい微結晶がフイルム内部にすばやく多量にできるため、加工特性を維持しつつフイルムが白化しない。一方、前記比w/hの値が2.30(℃/mW)より大きくなると、降温時における冷却過程でのフイルムの結晶化速度が遅いために、微結晶が可視光を散乱させる大きさにまで成長し、そのためにフイルムの白化が生じると考えられる。
本発明のポリエステルフイルムにおいて、降温時の再結晶化ピークの前記比w/hの値は、2.30(℃/mW)が好ましく、2.10℃/mW以下がより好ましく、2.00以下がさらに好ましい。このような好ましい前記比w/hを有するポリエステルフイルムは、より好ましい耐白化性を示す。なお、前記比w/hの下限値は、特に定められないが、一般的に0.30℃/mW程度である。
本発明に於いて、示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピークの半値巾が2.30(℃/mW)以下を示すポリエステルフイルムは、フイルムの製造過程でのポリエステル混合物中のポリエステル(A)とポリエステル(B)の分散状態を調整する事によって達成できる。
本発明に於いて、半値巾を制御するには、ポリエステル(A)、ポリエステル(B)の結晶性の独立性が維持される事によって達成される。例えば、一軸または二軸スクリューを有する単一の押し出し機でPET(融点255℃)とPBT(融点220℃)のブレンドフィルムを製造する場合、押し出し機の温度は融点が高いPETの融点に対応して該融点以上に設定する必要がある。この場合、PBTの分解がより早く進行し、また、押し出し機の熱によって分子量が低下する事から、PETとの相溶性がより高くなってより均一化の方向に進み、微分散される。従って両者はその溶融、混合される過程で共重合化(エステル交換)しやすくなり、また、共重合化せずともそれぞれの結晶性が損なわれて互いの影響を強く受け合うことから、それぞれの結晶性の独立性が維持されにくくなり、フィルムの結晶化速度がおそくなり、白化の原因となる粗大球晶が発生しやすくなると考えられる。
これらのエステル交換を抑制するにおいては、熱安定剤・酸化防止剤等の添加剤を含有する事及び、溶融押出し時の樹脂温度をコントロールする事で達成される。
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルとその他の結晶性ポリエステルとを含むフィルム組成物中でのエステル交換反応等の副反応を抑制する手段としては種々の手段が知られているが、工業的フィルム生産の場で応用するには、有機リン化合物(触媒)を添加する方法がポリエステル(A)とポリエステル(B)の共重合化抑制の点から好ましく、本発明に於いても、かかる有機リン化合物(触媒)の添加によりエステル交換反応の抑制効果を高める事ができる。
本発明では、かかる有機リン化合物(触媒)としては、押し出し機(混合機台)内での安定性を考えると融点が200℃以上のものが好ましく、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキシド、メチルジフエニルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等が上げられ、これらの中でも、分子量200以上のものが特に好ましい。かかる有機リン化合物は1種又は2種以上を使用することができ、その添加量はリン化合物の種類にもよるが、一般的にはブレンドするポリエステルの全量に対して、0.01〜0.3重量%程度が好ましい。さらに0.1〜0.3重量%の範囲が好ましい。また、かかる有機リン化合物はあらかじめ樹脂に予備混連しておくのが好ましく、少なくともポリエステルAのチップに予備混連しておくのがより好ましい。
該有機リン化合物は、ポリエステルフイルムを飲料缶など食品用途に使用する場合は、FDA(米国食品医薬品局)、ポリオレフィン等衛生協議会などの基準を満たす化合物及び量で使用する必要がある。
本発明のポリエステルフイルムの還元粘度(ηsp/c)は好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.90以上、最も好ましくは0.95以上である。0.80未満では、金属板にラミネート後のフィルムの硬度が不足し、加工時に傷がつきやすくなったり、製缶時にアルミやスチール板が変形したり、部分的に破壊される原因となる。還元粘度がかかる数値を満たし、かつ再結晶化ピーク温度(Tc2)が前述の数値を満たす事で、フイルムの耐擦傷性がさらに向上する。
本発明のポリエステルフイルムには滑剤として、不活性無機粒子や架橋高分子粒子等を用いることが好ましい。また該不活性粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック等が好ましい。
架橋高分子粒子としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系単量体、スチレンやアルキル置換スチレン等のスチレン系単量体等と、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメチルアクリレート等の架橋性単量体との共重合体;メラミン系樹脂;ベンゾグアナミン系樹脂;フェノール系樹脂;シリコン含有系樹脂等が例示できる。
前記粒子系滑剤の平均粒径としては、1〜3μmが好ましい。1μm未満ではポンチ離型性の改良効果が発現できないからである。逆に3μmを越えるとポンチ離型性の向上効果が飽和する一方、摩耗による滑剤の脱落が起こりやすくなったり、金属板とのラミネート時にフイルム破断が起こる場合があるからである。
滑剤の量としては0.01〜2重量%の範囲で添加するのが好ましい。これは絞り加工の際に、ポンチとの離型性を確保するために、0.01重量%以上の滑剤量が好ましいからである。一方、2重量%を超える量を含有しても、離型性の効果が変わらず、コスト的に不利になるだけだからである。
また、ワックスを用いることは製缶時の滑り性の効果を最少量で得られるので好適である。ワックスを用いる際には、500ppm〜2000ppmの範囲で添加されることが好ましい実施様態である。さらに800〜2000ppmの範囲が好ましい。500ppm未満では、50℃環境下での鋼球を滑走子とするフイルム表面との動摩擦係数が0.30以下とならず成形加工性を得られず、2000ppmを越えて含有しても成形加工性の効果が変わらず、コスト的に不利になるからである。
また前記のワックスとしてはポリオレフィン系ワックス、ポリエステル系ワックス等の合成ワックス、カルナバワックス等の天然ワックス等が例示できる。
このとき、前記ワックスの分子量は10000以下が好ましい。
また、上記ポリエステルフイルムには、上記化合物の他、必要に応じて、無機微粒子、非相溶の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などの添加剤が含有され得る。ポリエステル中に、酸化防止剤を0.01〜1重量%含有することは好ましい実施態様である。
次に、非水性硬化型樹脂について説明する。本発明における非水性硬化型樹脂は、Tgが40℃以上であり且つ、70℃以下であることが好ましい。Tgが低いと被覆層の強度が十分でなく、Tgが高いと耐衝撃性が十分でない。
また、被覆層厚みは500nmから5000nmの厚みに制御されてなることが好ましい。さらに1000〜5000nmの範囲が好ましい。
被覆層厚みが500nm未満では耐衝撃性を付与できず、低温で衝撃を受けた際に被覆層が割れ、缶の腐蝕が発生する原因となり品質上好ましくない。また、5000nm厚みを超えてコート層を設けても耐衝撃性の効果が変わらず、コスト的に不利になるからである。
非水性硬化型樹脂からなる被覆層は、基材層にコーティング処理をすることより設けるのが好適である。
このコーティング処理に関しては、製膜中(インライン)の延伸膜でも製膜後(オフライン)のフイルムに処理してもどちらでも良い。
非水性硬化型樹脂をコーティング処理に用いるには、非水性硬化型樹脂を溶剤に溶解させるのが好適である。
コーティング処理は非水性硬化型樹脂の溶液を基材層に塗布後、140〜180℃の温度で5〜20秒間熱処理を行うことが望ましい。
本発明の非水性硬化型樹脂としては、融点もしくは分解温度が250℃以上、より好ましくは300℃以上のものを使用するのがよく、たとえばシリコン系、エポキシ系、尿素系、アクリル系、ウレタン系、不飽和ポリエステル系、アルキッド系およびそれらの各種変性樹脂等の種々の硬化反応性樹脂を一種類以上使用することができる。
本発明においてはエポキシ化合物、メラミン系樹脂、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール等の架橋剤を添加する事がよりこのましい実施態様である。本発明においてはこれらから選ばれる1種または2種類以上を併用して用いる事が必要である。
エポキシ化合物としては、ジエチレングリコールジグリシジールエーテル、グリセリンジグリシジールエーテル、ビスフェノールAジグリシジールエーテルなどの2官能誘導体、トリメチロールプロパントリグリシジールエーテルなどの3官能誘導体などが挙げられる。なおエポキシ化合物は、原料にエピクロヒドリンを使用する関係から塩素イオンの残留が避けられないので、可能な限り塩素イオンを除去したものが望ましい。
メラミン系樹脂としては、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、トリスメトキシメチルメラミン、ヘキサキスメトキシメチルメラミンなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネートなどのような芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ブタンジイソシアネートなどのような脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体が挙げられ、反応性を調整し塗工液の安定性を高める点でブロックイソシアネート化合物が好ましい。
シランカップリング剤としては、エポキシアルキルシラン、アミノアルキルシラン類が挙げられ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。
ポリエチレンイミンとしては、一級、二級、三級アミンからなる枝分かれ構造を有する高極性・高密度ポリアミンが挙げられる。そのほかに水溶性樹脂としてポリビニルアルコール樹脂などが挙げられ、ポリビニルアルコール樹脂はケン化度が89%以上、分子量が100〜1000であるものが望ましい。
上記非水性硬化型樹脂と架橋剤との質量比(A/B)は、95/5〜50/50であることが必要であり、90/10〜60/40であることが好ましい。架橋剤が5%未満であると密着性が良好でなくなることがあり、また50%を超えると硬化反応が過度に進み、逆に耐衝撃性を低下させてしまう事となる為である。
なお、架橋剤の触媒として、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、ポリアミン、ポリエチレンイミン誘導体などのエポキシ開環反応触媒、バラトルエンスルホン酸のようなメラミン架橋用触媒、イミダゾール、有機錫化合物などのウレタン架橋用触媒等を用いてもよい。これらの触媒の量は特に規定されない。
本発明のポリエステルフイルムはニ軸延伸フイルムであっても、無延伸フイルムであってもよい。ここで、ニ軸延伸法としては、遂次ニ軸延伸、同時ニ軸延伸、それらを組合せたいずれの方法であってもよい。そして遂次ニ軸延伸の場合は、一般的には縦方向に延伸した後、横方向に延伸する方法が採用されているが、逆の順序で延伸する方法で実施してもかまわない。またニ軸延伸後、熱処理によりポリエステルの配向を固定することが好ましいが、二軸延伸後、熱処理工程を供する前に長手方向および/または幅方向に再延伸を行なってもよい。さらに、延伸工程またはその前後において、フイルムの片面または両面にコロナ放電処理を施すことも何ら制限を受けない。
また、本発明においては、好ましくは延伸終了後に140〜270℃、好ましくは140〜200℃において熱処理する。この時縦かつ/または横方向に2%以上緩和させながら熱処理することで、製缶時の操業性を向上させることができる。
本発明のフイルムラミネート金属板は、本発明のポリエステルフイルムを、被覆層側が金属板側となるようにラミネートするのが好ましい。被覆層の密着性により絞り成形時に成形加工性を発揮できるからである。
ポリエステル積層フイルムの金属板へのラミネート方法は特に限定しない。例えば、ドライラミネート法、サーマルラミネート法などを採用することができる。具体的には220℃に予熱した金属板に、上記で作製したポリエステル積層フイルムのポリエステルC層が金属板と接するように、ニップロール間を通過させてラミネートした後、10〜40℃の範囲、例えば20℃の水槽中で急冷固化させることによりラミネートさせる方法である。
また、フイルムのラミネートは金属板の片面だけに行っても、両面に行ってもよい。両面ラミネートの場合は同時にラミネートしても遂次でラミネートしてもよい。
本発明中のニ軸延伸フイルムラミネート金属板を2ピース缶に適用する場合、ラミネート後、ポリエステルの配向を除去するために、フイルムを構成するポリエステルの融点以上、例えば270℃で加熱した後、急冷するというリメルト処理を行なうことが好ましい。リメルト処理後のX線観察による配向度は、10%以下で、実質的に無配向と言えるものである。つまり、ポリエステルが配向状態にある2軸延伸フイルムでは、塑性変形したり、延びにくいため、容器部を形成するための絞り成形工程を行いにくくなり、ひどい場合には、絞りしごき成形時に金属板から剥がれるというデラミネート現象が起こったり、破れたり、削れたりするからである。一方、実質的に無配向であれば、ラミネートしている金属板の変形に追随できるので、デラミネートや破れ等を生じることなく、2ピース缶のように、金属の塑性変形を伴う成形を行なうことができるからである。
本発明のフイルムラミネート金属容器は、本発明の二軸延伸タイプ又は無配向タイプのフイルムラミネート金属板を、適宜成形してなる金属容器であり、その容器の形状、金属容器を成形する方法は、特に限定しない。具体的には、天地蓋を巻き締めて内容物を充填する、いわゆる3ピース缶は勿論、金属板を絞り成形して容器部を形成する2ピース缶などが挙げられる。
本発明の金属容器において、本発明のポリエステルフイルムは、金属容器の内壁面側になるように成形してもよいし、外壁面側になるように成形してもよい。但し、2ピース缶の場合には、その絞り加工適正の点から、密着性に優れている水分散型子共重合ポリエステル樹脂層が金属面と接するように、容器内壁面側に用いることが好適である。
尚、絞りしごき成形を行なう場合、必要に応じて、ポンチが接触するフイルム表面に、潤滑剤を塗布してもよい。
本発明のフイルムラミネート金属容器には、必要に応じて印刷等を施してもよく、また製缶工程・印刷工程等の後、再リメルト処理を行ってもかまわない。
また、本発明におけるポリエステルには、必要に応じて酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,可塑剤,顔料,帯電防止剤,潤滑剤,結晶核剤,無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
本発明では金属板として、ティンフリースティール等の表面処理鋼板あるいはアルミニウム板又はアルミニウム合金板あるいは表面処理を施したアルミニウム板又はアルミニウム合金板が使用できる。
以下、実施例をもとに本発明を説明するが、下記に限定されるものではない。
以下に本発明における各種評価方法を示す。
・ ポリエステルの融点、フイルムの結晶化温度および結晶化ピークの半値幅
マックサイエンス社製DSC3100Sを使用し、ポリエステルフイルムをサンプルパンに入れ、パンの蓋をし、窒素ガス雰囲気下で室温から280℃に20℃/分の昇温速度で昇温測定した。このときに現れる融解ピークのピークトップの温度をポリエステルフイルムの融点とし、低温側ピークのピークトップの温度をTmL(℃)、高温側ピークのピークトップの温度をTmH(℃)として示した。
次に、280℃になったサンプルをそのまま1分間保持し、その後に20℃/分の速度で室温まで降温測定した。このときの再結晶化ピークのピークトップの温度を結晶化温度 Tc2とした。また図1に示されるように、この結晶化ピーク1のベースラインLからピークトップtまでの熱量である高さh(mW)とし、高さh/2での半値幅w(℃)としたとき、半値幅wと高さhの比w/h(℃/mW)を求めた。
・ 還元粘度(ηsp/c)
ポリマー0.125gをフェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて25℃で測定した。単位はdl/gである。
(3)ポリエステルの不活性粒子量
試料として切り出した。理学電機製蛍光エックス線装置(装置名:ZSX100e)を用い、分析径を30mmΦとして各試料1枚を上面及び下面から測定し、PET用検量線を用いて不活性粒子量に換算した。
(4)不活性粒子の平均粒径
真空乾燥機にて終夜乾燥させた被覆用フイルム試料にイオンプラズマエッチング処理を行い、ベースフイルムの(I),(II)層中に含有されている不活性粒子を露出させた。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。写真撮影された粒子のコントラストが弱い場合には、OHPフィルムに粒子の輪郭を極細マジックペンでトレースし、該トレース像を画像処理装置にて粒子の円相当径を求めた。
また、ポリエステルに粒子を添加する前の紛体状態の粒子は、SEM試料台に両面テープを張り、その上に紛体を薄くのせ、カーボン蒸着後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。
(5)製缶性
実施例・比較例で得たリメルトアルミ板をn=10で製缶し、成形缶上部に起る座屈程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:缶開口部の座屈未発生
△:缶開口部円周の約1/3に座屈発生
×:缶開口部円周の1/3以上に座屈発生
(6)耐衝撃性[1]
実施例・比較例で得たリメルト板を製缶して得た缶を280℃で40秒加熱後水中急冷した缶の胴壁中央部より7cm角のサンプルを各10枚切り出した。このサンプルの缶外面に相当する面に先端径10mmの重り(600g)を高さ10cmから落させて衝撃を与えた後、衝撃部を水酸化ナトリウム水溶液に浸し、金属端面を陽極にし直流12Vを30Sec通電させた際の電流値を測定し、以下の基準で評価した。
×:7枚以上が5mA以上
△:7枚以上が1mA以上
○:7枚以上が1mA未満
(7)耐衝撃性[2]
実施例・比較例で得たリメルトアルミ板を製缶して得た缶を280℃で40秒加熱後水中急冷した缶の胴壁中央部より7cm角のサンプルを切り出す。このサンプルの缶外面に相当する面に先端径10mmの重り(600g)を高さ10cmから落して衝撃を付与する。ついで7%の希塩酸を満たしたガラス容器上にサンプルを置き(サンプルの凸部が浸漬する状態で置き)、3日後に凸部の腐蝕状態を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○以上を実用性ありと評価した。
◎:サンプル100個のうち、95個以上が腐蝕未発生
○:サンプル100個のうち、80〜94個が腐蝕未発生
△:サンプル100個のうち、70〜79個が腐蝕未発生
×:サンプル100個のうち、31個以上に何らかの腐蝕あり
(8)リメルト白化
実施例・比較例で得たリメルトアルミ板を目視で観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○以上を実用性ありと評価した。
(評価)
◎・・・熱処理前後で全く白化が認められず、フィルムの光沢(度合い)が高い。
○・・・やや白化が見られるが、フィルム面の光沢(度合い)は高い。
△・・・白化が見られ、フィルム面の光沢(度合い)は低い。
×・・・白化が著しく、フィルム面の光沢(度合い)は低い。
(9)290℃リメルト白化
フイルムを以下の条件でアルミ板(厚み0.26mmの3004系合金板)にラミネートし、290℃で1分間ギアオーブン中に放置する。そのあと25℃の空気を風速20m/分でラミネート板のフイルム面にあてることにより冷却したものを目視で判定した。
(ラミネート条件)
ラミネート温度:220℃、線圧:10N/cm
評価基準は以下のとおり設定し、○以上を実用性ありと評価した。
(評価)
◎・・・熱処理前後で全く白化が認められず、フィルムの光沢(度合い)が高い。
○・・・やや白化が見られるが、フィルム面の光沢(度合い)は高い。
△・・・白化が見られ、フイルム面の光沢(度合い)は低い。
×・・・白化が著しく、フイルム面の光沢(度合い)は低い。
(10)50℃環境下での鋼球を滑走子とした動摩擦測定(鋼球μ)
リメルトアルミ板の測定箇所に、50℃の環境下にて鋼球3個(JIS B1501規格に準じる。直径12.7mmΦ)を三角形状に頂点間の距離が各25mmとなるように配置、固定させ、前記測定箇所と3点で接触(各鋼球で頂点1点ずつ接触)するように滑走子(重量=0.5kg)をセットし、200mm/分で滑走させた時の動摩擦係数を測定した。
(実施例1)
〔ポリエステルA〕
PET:ポリエチレンテレフタレート(還元粘度=0.75)
投入口、温度計、圧力計及び精留塔付留出管、撹拌翼を備えた反応装置にテレフタル酸100重量部に対して、エチレングリコール82重量部(エチレングリコール/テレフタル酸のモル比=2.2)、酸成分に対して酸化ゲルマニウムをGe元素として0.05モル%、酢酸マグネシウムをMg元素として0.05モル%、そして、平均粒径1.3μmの無定形シリカ粒子0.23重量部を仕込み、撹拌しながら窒素を導入し系内の圧力を0.3MPaに保ち、温度230℃〜250℃で生成する水を系外に留去しながらエステル化反応を行った。反応終了後、250℃にて、リン酸トリメチルをP量として0.04モル%加え、昇温しながら徐々に減圧し、275℃、1.0hPa以下の真空下で重縮合反応を行い、得られた固有粘度0.75のポリエステル(PET)樹脂を用いた。
〔ポリエステルB〕
PBT:ポリブチレンテレフタレート(還元粘度=1.30)
投入口、温度計、圧力計及び精留塔付留出管、撹拌翼を備えた反応装置に、テレフタル酸100重量部に対して、1,4−ブタンジオール86重量部(1,4−ブタンジオール/テレフタル酸のモル比=1.6)、テトラノルマルブチルチタネート0.05重量部、ブチルヒドロキシスズオキサイド0.025重量部を仕込み、190℃〜230℃で生成する水を系外に留出しながらエステル化反応を行った。反応終了後、テトラノルマルブチルチタネート0.05重量部、およびリン酸0.025重量部を添加し250℃、減圧下(1.0hPa以下)で重縮合反応を行い、得られたポリエステル(PBT)樹脂を用いた。
ポリエステルA/ポリエステルB=40/60(重量%)、ポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックスNL−500)を1000ppm添加し、有機リン化合物(トリメチルホスフェート 味の素ファインテクノ社製 TMP)を0.15重量%加えた原料を100℃で24時間乾燥したものを用いた。
単軸押出機を用いて270℃で溶融させた後、Tダイより冷却ロール上に押出し、樹脂の未延伸シートを得た。この未延伸シートを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。該フイルムに対して、グラビアコーティング法にて、コート層厚みが700nmとなるように調整した非水性硬化型ポリエステル樹脂コート液(東洋紡製 バイロン50AS)をコーティングし、160℃にて8秒間、乾燥した。
〔フイルムラミネート金属板の作製〕
220℃に予熱したアルミ板(厚み0.26mmの3004系合金板)の両面に、上記で作製したポリエステルフイルムの非水性硬化型樹脂層がアルミ板と接するように、ニップロール間を通過させて、線圧10N/cmでラミネートした後、熱処理を行い、直後に20℃の水槽中で急冷し、両面にフイルムがラミネートされたアルミ板を得た。ラミネート時には、初期密着性や張力変動、ニップロールへの巻付け等もなく、本実施例の積層フイルムのラミネート適性は良好であった。
次に該フイルムラミネートアルミ板を、270℃で40秒加熱した後空冷し更に水中急冷して、リメルトアルミ板を作製した。できあがったリメルトアルミ板は50℃鋼球滑り性も良好であり、熱処理後の急冷時にもフィルムの白化による外観変化はなかった。
〔フイルムラミネート金属容器の作製〕
上記で作製したリメルトアルミ板を、板厚減少率30%となるように、絞りしごき成形を行なって、フイルムラミネート金属容器を成形した。成形時には、フイルムの剥離や破れはなく、金型との離型性等も良好であった。さらに外面を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で急冷した。
このようにして成形した容器に飲料を充填し、タブの付いた蓋を巻き締め接合し、2ピース飲料缶を製造した。
できた飲料缶は、製缶性に優れ、また飲料へのオリゴマーの溶出やフイルムからの析出もなく、さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフイルムの破れ等はなかった。
(実施例2)
ポリエステルの混合比をポリエステルA/ポリエステルB=50/50(重量%)とした以外は実施例1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、実施例1と同様に製缶性に優れ、また飲料へのオリゴマーの溶出やフイルムからの析出もなく、さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフイルムの破れ等はなかった。
(実施例3)
コート処方として、非水性硬化型ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン50AS)とエポキシ系架橋剤(DIC社製 CR−5L)を80/20の質量比で混合したものを用いた以外は実施例−1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、実施例1と同様に製缶性に優れ、また飲料へのオリゴマーの溶出やフイルムからの析出もなく、さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフイルムの破れ等はなかった。
(実施例4)
コート処方として、非水性硬化型樹脂(東洋紡製 バイロン50AS)とエポキシ系架橋剤(DIC社製 CR−5L)を80/20の質量比で混合し、コート厚みを2000nmに調整した以外は実施例1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、実施例1と同様に製缶性に優れ、また飲料へのオリゴマーの溶出やフイルムからの析出もなく、さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフイルムの破れ等はなかった。
(比較例1)
ポリエステルA/ポリエステルB=40/60(重量%)、ポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックスNL−500)を1000ppm添加した原料を100℃で24時間乾燥したものを用いた。
単軸押出機を用いて290℃で溶融させた後、Tダイより冷却ロール上に押出し、樹脂の未延伸シートを得た。この未延伸シートを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μmの二軸延伸フイルムを得た。該フイルムに対して、グラビアコーティング法にて、コート層厚みが700nmとなるように調整した非水性硬化型ポリエステル樹脂コート液(東洋紡製 バイロン50AS)をコーティングし、160℃にて8秒間、乾燥した。
これ以降の製缶工程、評価については実施例1に準ずる。
できた飲料缶は、耐衝撃性は良好であるが、リメルト白化性、製缶性において実施例での品質には及ばなかった。
(比較例2)
コート処方として、非水性硬化型ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン50AS)とメラミン系架橋剤(DIC社製 ベッカミン M−3)を80/20の質量比で混合したものを用い、コート厚みを300nmに調整した以外は実施例1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、製缶性、リメルト白化は良好であるが、耐衝撃性において実施例での品質には及ばなかった。
(比較例3)
ポリエステルA/ポリエステルC=40/60(重量%)、ポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックスNL−500)を1000ppm添加し、有機リン化合物(トリメチルホスフェート 味の素ファインテクノ社製 TMP)を0.15重量%加えた原料を100℃で24時間乾燥したものを用いた。ポリエステルCには、イソフタル酸10モル%共重合PETを用いた。それ以外は実施例1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、耐衝撃性は良好であるが、リメルト白化性、製缶性において実施例での品質には及ばなかった。
(比較例4)
ポリエステルA/ポリエステルB=40/60(重量%)、ポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックスNL−500)を100ppm添加し、有機リン化合物(トリメチルホスフェート 味の素ファインテクノ社製 TMP)を0.15重量%加えた原料を100℃で24時間乾燥したものを用いた。それ以外は実施例1に準じ、2ピース飲料缶を製造した。できた飲料缶は、耐衝撃性、リメルト白化性は良好であるが、製缶性において実施例での品質には及ばなかった。
上記結果を表1、表2に示す。
本願発明の絞りしごき缶被覆用フイルムは、製缶における成形加工性及び耐レトルト処理性にも優れかつ低温保管時や移送時の耐衝撃性に優れるため、2ピース缶用のラミネートフイルムとして利用することができ、産業界に寄与すること大である。
半値幅wと高さhの比w/h(℃/mW)の計算方法の説明図である。

Claims (8)

  1. ポリエステル系樹脂からなる基材層に非水性硬化型樹脂からなる被覆層を設けたポリエステル系樹脂フイルムであって、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル(A)10〜90重量%と、ポリエステル(A)とは異なる結晶性ポリエステル(B)90〜10重量%とを配合したポリエステル系樹脂組成物からなるフイルムにワックスを500ppm以上含有させており、前記基材層の示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピーク(Tc2)の半値幅w(℃)と高さh(mW)の比w/hが2.30(℃/mW)以下であること、さらに前記非水性硬化型樹脂の被覆層厚みが、500nm〜5000nm厚みの範囲である事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
  2. 請求項1に記載の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムであって、前記被覆層が非水性硬化型樹脂とエポキシ化合物、メラミン系樹脂、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコールの内から一種、またはこれらから選ばれる2種類以上の架橋剤を含む事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
  3. 請求項1に記載の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムであって、前記被覆層がコーティング処理により設ける事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
  4. 請求項1に記載の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムであって、前記非水性硬化型樹脂のTgが40℃以上、70℃以下である事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
  5. 請求項1に記載の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムであって、前記ポリエステル系樹脂組成物の還元粘度が0.80以上である事を特徴とする絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルム。
  6. 請求項1、2、3、4あるいは5記載の絞りしごき缶被覆用ポリエステルフイルムを金属板に被覆したことを特徴とする絞りしごき缶用金属板。
  7. 請求項6記載の絞りしごき缶用金属板をであって、前記フィルムをリメルト処理したことを特徴とする絞りしごき缶用金属板。
  8. 請求項6記載の絞りしごき缶用金属板を製缶してなることを特徴とする絞りしごき缶。
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