JP2006156991A - 中空回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】両金属板の外周縁部どうしの間にろう付不良が発生することのない中空回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】全体が互いに積層状にろう付された2枚の金属板3,4からなり、両金属板3,4間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板を製造する方法である。上金属板3に、上方に膨出しかつ全体に膨出高さの等しい回路形成用膨出部11を形成する。上金属板3における回路形成用膨出部11よりも外側の外周縁部に、上方に膨出しかつ回路形成用膨出部11と膨出高さの等しい押え用膨出部20を形成する。両金属板3,4を、回路形成用膨出部11の開口を塞ぐように重ね合わせ、両金属板3,4を、その上下両側から治具21により挟着した状態でろう付する。
【選択図】図3

Description

この発明は中空回路基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、たとえばノート型パーソナルコンピュータ、二次元ディスプレイ装置、プロジェクタなどの電子機器の発熱電子部品などの発熱体から発せられる熱を放熱する液冷式放熱装置や、たとえばIPM(Intelligent Power Module)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタなどの発熱電子部品を冷却するのに用いられる平板状ヒートパイプとして使用される中空回路基板を製造する方法に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、図2の左右を左右といい、図2の下側を前、上側を後というものとする。
従来、電子機器の発熱電子部品から発せられる熱を放熱する方法として、片面が発熱電子部品に熱的に接触させられる受熱面となされたアルミニウム製放熱基板と、放熱基板の他面に一体に設けられた放熱フィンとよりなるものを使用し、放熱基板の受熱面に発熱電子部品を取り付け、冷却ファンにより放熱フィンに風を当てることによって、発熱電子部品から発せられる熱を放熱基板および放熱フィンを介して空気中に逃がす方法が広く採用されていた。
しかしながら、近年の電子機器では、小型化、高性能化により発熱電子部品の発熱量が増加する傾向にあり、従来の方法では十分な放熱性能が得られなくなってきている。また、ノート型パーソナルコンピュータ、二次元ディスプレイ装置、プロジェクタなどにおいては、冷却ファンによる騒音も大きくなり、これらの機器に求められるようになってきている静粛性を満たすことができない。
そこで、これらの問題を解決するために、たとえばノート型パーソナルコンピュータにおいては、液冷システムが採用されている。この液冷システムは、冷却液が満たされたウォータジャケットからなりかつCPU(発熱電子部品)に固定された受熱器と、両端が受熱器に接続されかつ冷却液を循環させる冷却液循環チューブとを備えており、受熱器がキーボードを有するパソコン本体部に配置され、冷却液循環チューブがパソコン本体部に開閉自在に設けられたディスプレイ装置まで延ばされたものである(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の液冷システムにおいては、冷却液循環チューブから放熱するだけであるので放熱面積が不足し、その結果放熱効率が悪いという問題がある。
そこで、本出願人は、先に、全体が互いに積層状にろう付された2枚のアルミニウム板からなり、かつ両アルミニウム板間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板を備えており、この中空回路基板の膨出状中空回路が冷却流体循環路となり、中空回路基板の片面に、冷却流体循環路内を流れる冷却流体により冷却する発熱体を熱的に接触させる受熱部が設けられている液冷式放熱装置を提案した(特許文献2参照)。
このような液冷式放熱装置は、キーボードを有する本体部と、本体部に開閉自在に設けられたディスプレイ装置とよりなるノート型パーソナルコンピュータにおいて、本体部のハウジング内に配置され、本体部のハウジング内に配置されたCPUが受熱部に熱的に接触させられるようになっている。
上述した液冷式放熱装置の中空回路基板は、中空回路を形成すべき2枚のアルミニウム板のうち少なくともいずれか一方をアルミニウムブレージングシートにより形成しておくとともに、少なくともいずれか一方のアルミニウム板に回路形成用膨出部を形成しておき、両アルミニウム板を重ね合わせ、板状治具により挟着した状態で両アルミニウム板をろう付することにより製造される。
しかしながら、このような製造方法によれば、両金属板の外周縁部どうしの重ね合わせ部においては、板状治具と回路形成用膨出部が形成された金属板との間に隙間が存在するので、両金属板を挟着する力が不足し、浮き上がりや反りが発生するおそれがある。
このような問題の発生を防止するには、上記隙間にスペーサを配置することが有効であると考えられるが、この場合、スペーサを配置する作業が面倒であるという問題がある。また、アルミニウム板の形状や大きさが異なる場合には、それぞれのアルミニウム板に合わせてスペーサを用意しなければならず、スペーサのコストが高くなる。
特開2002−182797号公報 特開2005−167224号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、両金属板の外周縁部どうしの間にろう付不良が発生することのない中空回路基板の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)全体が互いに積層状にろう付された2枚の金属板からなり、両金属板間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板を製造する方法であって、
2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板に、全体に膨出高さの等しい回路形成用膨出部を形成し、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に、回路形成用膨出部と同方向に膨出し、かつ回路形成用膨出部と膨出高さの等しい押え用膨出部を形成し、両金属板を、回路形成用膨出部の開口を塞ぐように重ね合わせ、両金属板を、その上下両側から治具により挟着した状態でろう付することを特徴とする中空回路基板の製造方法。
2)押え用膨出部を、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に全周にわたって連続的に形成する上記1)記載の中空回路基板の製造方法。
3)押え用膨出部を、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に全周にわたって断続的に形成する上記1)記載の中空回路基板の製造方法。
4)押え用膨出部の横断面形状が、開口が他方の金属板側を向いた略U字状であり、金属板押え用膨出部における外側縁部に、他方の金属板に積層状に重なる重合部が一体に形成されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
5)金属板押え用膨出部の外側縁部が、他方の金属板から離隔させられている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
6)中空回路を形成すべき2枚の金属板がアルミニウムからなり、両金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板が、少なくとも片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成されており、アルミニウムブレージングシートのろう材層を利用して両金属板をろう付する上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
7)2枚の金属板からなる対を、複数対積層状に重ね合わせ、その上下両端側から治具により挟着した状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付する上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
8)回路形成用膨出部の頂壁に、内方に突出しかつ先端部が他方の金属板に当接する複数の突起が間隔をおいて形成されており、突起の先端部を他方の金属板にろう付する上記7)記載の中空回路基板の製造方法。
9)金属板の左右両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の左右方向の幅を、左右方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておき、上下に隣り合う対の突起を左右方向にずらすとともに、上下に隣り合う対の左右両側縁部の押え用膨出部を部分的に重ならせた状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付する上記8)記載の中空回路基板の製造方法。
10)金属板の前後両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の前後方向の幅を、前後方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておき、上下に隣り合う対の突起を前後方向にずらすとともに、上下に隣り合う対の前後両側縁部の押え用膨出部を部分的に重ならせた状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付するなっている上記8)記載の中空回路基板の製造方法。
11)上記1)〜10)のうちのいずれかに記載の方法により製造され、2枚の金属板間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板。
12)上記11)記載の中空回路基板の膨出状中空回路が冷却流体循環路となっており、中空回路基板の片面に、冷却流体循環路内を流れる冷却流体により冷却する発熱体を熱的に接触させる受熱部が設けられている液冷式放熱装置。
13)ハウジングと、ハウジング内に配置された発熱電子部品とを備えており、上記12)記載の液冷式放熱装置がハウジング内に配置され、発熱電子部品が、中空回路基板の受熱部に熱的に接触させられている電子機器。
14)キーボードを有する本体部と、本体部に開閉自在に設けられたディスプレイ装置とよりなり、本体部のハウジング内に上記12)記載の液冷式放熱装置が配置され、本体部のハウジング内に配置されたCPUが受熱部に熱的に接触させられているノート型パーソナルコンピュータ。
15)上記11)記載の中空回路基板の膨出状中空回路が無端状であり、膨出状中空回路内に作動液が封入されることにより、凝縮部および蒸発部を有するヒートパイプ部が形成されている平板状ヒートパイプ。
16)上記15)記載の平板状ヒートパイプの少なくとも一面におけるヒートパイプ部の凝縮部と対応する部分に、放熱フィンが取り付けられている放熱装置。
17)上記16)記載の放熱装置を備えており、放熱装置の平板状ヒートパイプの少なくともいずれか一面におけるヒートパイプ部の蒸発部に、発熱電子部品が熱的に接触させられている産業機械。
上記1)〜5)の中空回路基板の製造方法によれば、両金属板の外周縁部どうしが、治具により押え用膨出部を介して上下から押さえられるので、両金属板の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することはなく、ろう付不良の発生を防止することができる。また、押え用膨出部は金属板に一体に形成されているので、上述した金属板および治具とは別体のスペーサを配置する場合に比べて作業が容易になる。また、押え用膨出部を、回路形成用膨出部をプレス加工により形成する際に同時に形成することができるので、金属板の形状や大きさが異なる場合にも簡単に対応することができ、製造コストの上昇を抑えることができる。しかも、押え用膨出部により、ろう材やフラックスの外部への漏れが防止される。
上記6)の中空回路基板の製造方法によれば、中空回路を形成すべき2枚の金属板を比較的簡単にろう付することができる。
上記7)の中空回路基板の製造方法によれば、複数の中空回路基板を一括して製造することができるので、生産性が向上する。しかも、この場合であっても、各対の両金属板の外周縁部どうしが、上下に隣り合う対の金属板、または上下いずれかに隣り合う対の金属板と治具とにより、押え用膨出部を介して上下から押さえられるので、両金属板の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することはなく、ろう付不良の発生を防止することができる。また、上下1対の治具を用いるだけでよいので、製造コストが安くなる。さらに、押え用膨出部によりろう材の外部への漏れが防止されるので、隣り合う対の金属板どうしのろう付が防止される。
上記8)の中空回路基板の製造方法によれば、製造された中空回路基板における中空回路の耐圧性が向上する。
上記9)の中空回路基板の製造方法によれば、突起の先端を確実に他方の金属板にろう付することができる。すなわち、上下に隣り合う対における突起の位置が合致していると、突起の先端を他方の金属板に押し付ける力が不足することがあり、この場合突起の先端と他方の金属板との間にろう付不良が発生するおそれがある。また、金属板の左右両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の左右方向の幅を、左右方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておくと、上下に隣り合う対の突起を左右方向にずらしたとしても、上下に隣り合う対の左右両側縁部の押え用膨出部が部分的に重なるので、両金属板の外周縁部どうしが、押え用膨出部を介して上下から押さえられることになり、両金属板の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することはなく、ろう付不良の発生を防止することができる。
上記10)の中空回路基板の製造方法によれば、突起の先端を確実に他方の金属板にろう付することができる。すなわち、上下に隣り合う対における突起の位置が合致していると、突起の先端を他方の金属板に押し付ける力が不足することがあり、この場合突起の先端と他方の金属板との間にろう付不良が発生するおそれがある。また、金属板の前後両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の前後方向の幅を、前後方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておくと、上下に隣り合う対の突起を前後方向にずらしたとしても、上下に隣り合う対の前後両側縁部の押え用膨出部が部分的に重なるので、両金属板の外周縁部どうしが、押え用膨出部を介して上下から押さえられることになり、両金属板の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することはなく、ろう付不良の発生を防止することができる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明による方法により製造された中空回路基板を用いた液冷式放熱装置の全体構成を示し、図2〜図4は中空回路基板の製造方法を示す。
図1において、液冷式放熱装置(1)は、互いに積層状に接合された上下2枚の高熱伝導性板、ここではアルミニウム製金属板(3)(4)からなる平らな中空回路基板(2)を備えており、中空回路基板基板(2)の両金属板(3)(4)間に中空回路としての冷却流体循環路(5)が形成されている。
中空回路基板(2)の冷却流体循環路(5)内には、不凍液などのアルミニウムに対して非腐食性を有する冷却流体が封入されており、冷却流体は、中空回路基板(2)の下面に取り付けられた循環ポンプ(7)により冷却流体循環路(5)内を循環させられるようになっている。中空回路基板(2)の下面には、冷却流体循環路(5)の一部を含むように、受熱部(8)および放熱部(9)が設けられている。また、中空回路基板(2)の冷却流体循環路(5)の途中には、図示しない膨張タンク部(図示略)が設けられている。
中空回路基板(2)を構成する両金属板(3)(4)のうちの少なくともいずれか一方の金属板は、他方の金属板を向いた面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、両金属板(3)(4)は、アルミニウムブレージングシートのろう材層を利用してろう付されている。なお、一方の金属板のみがアルミニウムブレージングシートからなる場合、他方の金属板はアルミニウムベア材からなる。
上金属板(3)には上方に膨出した回路形成用膨出部(11)が形成されており、回路形成用膨出部(11)の下方への開口が下金属板(4)により塞がれることによって、冷却流体循環路(5)が形成されている。回路形成用膨出部(11)は、上金属板(3)の周縁部にほぼ全周にわたって形成され、かつ両端が近接している第1の部分(12)と、第1部分(12)に連なってその内方に所定の広がりをもって形成された第2および第3の部分(13)(14)とよりなる。第2および第3部分(13)(14)の頂壁に、それぞれ内方に突出しかつ先端部が下金属板(4)にろう付された多数の突起(15)が形成されている。回路形成用膨出部(11)の膨出高さは全体に等しくなっている。また、上金属板(3)には、回路形成用膨出部(11)を避けるように複数の貫通穴(16)が形成されている。
下金属板(4)は全体に平坦な平板状であり、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)における第1部分(12)の両端を中空回路基板(2)の下面に開口させる貫通穴(17)が形成されている。一方の貫通穴(17)に循環ポンプ(7)の吐出口が、他方の貫通穴(17)に循環ポンプ(7)の吸込口がそれぞれ接続されている。下金属板(4)の下面における上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)の第2部分(13)の中央部と対応する位置に受熱部(8)が設けられている。また、下金属板(4)の下面には、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)における第1部分(12)の一部分を含むように、アルミニウム製のコルゲート状放熱フィン(18)がろう付されており、これにより中空回路基板(2)の下面に、冷却流体循環路(5)の一部を含むように放熱部(9)が設けられている。
図示しない膨張タンク部は、冷却流体中に気泡状態で含まれる空気を取り入れて保持しうるとともに、冷却流体が加熱されて膨張した際に冷却流体を流入させて内圧上昇による冷却流体循環路(5)の破損を防止しうる構造となっている。また、膨張タンク部内に余剰の冷却流体を入れておくことにより、冷却流体が減少した際の冷却効率の低下を防止することが可能になる。
上述した液冷式放熱装置(1)は、たとえばキーボードを有するパソコン本体部と、パソコン本体部に開閉自在に設けられたディスプレイ装置とを備えたノート型パーソナルコンピュータにおいて、パソコン本体部のハウジング内に配置され、CPU(19)(発熱電子部品)が液冷式放熱装置(1)の中空回路基板(2)下面の受熱部(8)に熱的に接触させられる。ノート型パーソナルコンピュータの起動時には、循環ポンプ(7)により冷却流体が冷却流体循環路(5)内を循環させられる。CPU(19)から発せられた熱は、下金属板(4)を経て冷却流体に伝わる。そして、冷却流体が、冷却流体循環路(5)を循環して受熱部(8)に戻るまでの間に、冷却流体の有する熱が上下金属板(3)(4)を経て外部に放熱され、特に放熱部(9)において下金属板(4)および放熱フィン(18)を経て放熱され、その結果冷却流体が冷却される。このような動作を繰り返してCPU(19)から発せられる熱が放熱される。
以下、中空回路基板(2)の製造方法について、図2〜図4を参照して説明する。
まず、上金属板(3)にプレス加工を施すことにより、回路形成用膨出部(11)、突起(15)および貫通穴(16)を一括して形成する。また、このプレス加工の際に、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)よりも外側の外周縁部に、上方に膨出しかつ回路形成用膨出部(11)と膨出高さの等しい押え用膨出部(20)を全周にわたって連続的に形成する(図2参照)。また、下金属板(4)に貫通穴(17)を形成する。
押え用膨出部(20)における上金属板(3)の左右両側縁部に形成されている第1部分(20A)の横断面形状は、それぞれ開口が下方を向いた略U字状であり、押え用膨出部(20A)の外側縁部に、下金属板(4)に積層状に重なりうる重合部(20a)が一体に形成されている(図3参照)。また、上金属板(3)の左右両側縁部に形成されている第1部分(20A)の頂面は平坦面であり、この平坦な頂面の左右方向の幅は、左右方向に隣り合う突起(15)の間隔よりも大きくなっている。一方、押え用膨出部(20)における上金属板(3)の前後両側縁部に形成されている第2部分(20B)の外側縁部は、下金属板(4)から離隔させられている(図4参照)。また、第2部分(20B)の頂面は平坦面であり、この平坦な頂面の前後方向の幅は、左右両側縁部に形成されている第1部分(20A)の幅よりも狭くなっている。なお、広幅の第1部分(20A)の外側縁部を下金属板(4)から離隔させてもよく、狭幅の第2部分(20B)の横断面形状を開口が下方を向いた略U字状とし、かつ押え用膨出部(20A)における外側縁部に、下金属板(4)に積層状に重なりうる重合部を一体に形成しておいてもよい。
ついで、両金属板(3)(4)を、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)の下方への開口が下金属板(4)により塞がれるように重ね合わせ、両金属板(3)(4)を、その上下両側から治具(21)により挟着した状態で仮止めする。このとき、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしが、治具(21)により押え用膨出部(20)を介して上下から押さえられるので、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することが防止され、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしが密着する(図3および図4参照)。
その後、炉中において所定温度に加熱することにより、両金属板(3)(4)どうしを、少なくともいずれか一方の金属板を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層を利用してろう付する。このとき、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしの重ね合わせ部が密着しているので、ここにろう付不良が発生することが防止される。また、押え用膨出部(20)の働きにより、ろう材およびフラックスの外部への漏れが防止される。こうして、中空回路基板(2)が製造される。
なお、液冷式放熱装置(1)の放熱フィン(18)の中空回路基板(2)へのろう付は、上述した中空回路基板(2)の製造と同時に行ってもよい。
上記実施形態においては、上金属板(3)だけに回路形成用膨出部(11)が形成されているが、これに限定されるものではなく、下金属板(4)にも下方膨出状でかつ膨出高さが全体に等しい回路形成用膨出部が形成されていてもよい。この場合、下金属板(4)における回路形成用膨出部によりも外側の外周縁部に、下方に膨出しかつ回路形成用膨出部と膨出高さの等しい押え用膨出部を形成しておく。
また、中空回路基板(2)は、図5に示す方法によっても製造することができる。
図5において、両金属板(3)(4)を、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)の下方への開口が下金属板(4)により塞がれるように重ね合わせてなる複数の対(30)を、複数対積層状に重ね合わせる。このとき、上下に隣り合う対(30)の突起(15)を左右方向にずらしておく。上下に隣り合う対(30)の突起(15)を左右方向にずらしたとしても、上金属板(3)の左右両側縁部に形成されている押え用膨出部(20A)の左右方向の幅が、左右方向に隣り合う突起(15)間の間隔よりも大きくなっているので、上下に隣り合う対(30)の押え用膨出部(20A)が部分的に重なる。この状態で、すべての金属板(3)(4)を、その上下両側から治具(21)により挟着した状態で仮止めする。このとき、各対(30)における両金属板(3)(4)の外周縁部どうしが、上下に隣り合う対(30)の金属板(3)(4)、または上下いずれかに隣り合う対(30)の金属板(3)(4)と治具(21)とにより、押え用膨出部(20A)(20B)を介して上下から押さえられることになり、両金属板(20)の外周縁部どうしの重ね合わせ部において、浮き上がりや反りが発生することが防止され、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしが密着する。
その後、炉中において所定温度に加熱することにより、両金属板(3)(4)どうしを、少なくともいずれか一方の金属板を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層を利用してろう付する。このとき、両金属板(3)(4)の外周縁部どうしの重ね合わせ部が密着しているので、ここにろう付不良が発生することが防止される。また、押え用膨出部(20A)(20B)の働きにより、ろう材の漏れが防止されるので、隣り合う対(30)の金属板(3)(4)のろう付が阻止される。こうして、複数の中空回路基板(2)が一括して製造される。
図5に示す方法においても、下金属板(4)にも下方膨出状でかつ膨出高さが全体に等しい回路形成用膨出部が形成されていてもよい。この場合、下金属板(4)における回路形成用膨出部によりも外側の外周縁部に、下方に膨出しかつ回路形成用膨出部と膨出高さの等しい押え用膨出部を形成しておく。
図5に示す方法において、上金属板(3)の左右両側縁部に形成されている押え用膨出部(20A)の左右方向の幅を、左右方向に隣り合う突起(15)間の間隔よりも大きくすることに代えて、上金属板(3)の前後両側縁部に形成されている押え用膨出部(20B)の前後方向の幅を、前後方向に隣り合う突起(15)間の間隔よりも大きくしておいてもよい。この場合、両金属板(3)(4)を、上金属板(3)の回路形成用膨出部(11)の下方への開口が下金属板(4)により塞がれてなる複数の対(30)を、上下に隣り合う対(30)の突起(15)が前後方向にずれるとともに、上下に隣り合う対(30)の前後両側縁部の押え用膨出部(20B)が部分的に重なるように、複数対積層状に重ね合わせる。すると、図5に示す方法で述べたのと同様な効果が得られる。
上記実施形態においては、上金属板の回路形成用膨出部(11)よりも外側の外周縁部に、上方に膨出しかつ回路形成用膨出部(11)と膨出高さの等しい押え用膨出部(20)を全周にわたって連続的に形成しているが、これに限定されるものではなく、押え用膨出部は全周にわたって断続的に形成しておいてもよい。
また、上記実施形態においては、この発明の方法により製造された中空回路基板が液冷式放熱装置に用いられているが、この発明の方法により製造された中空回路基板は平板状ヒートパイプにも用いることができる。この場合、中空回路が無端状となされるとともにその内部に作動液が封入され、これにより凝縮部および蒸発部を有するヒートパイプ部が形成される。平板状ヒートパイプは、中空回路基板の少なくとも一面におけるヒートパイプ部の凝縮部と対応する部分に、放熱フィンが取り付けられ、たとえば放熱装置として用いられる。放熱装置は、平板状ヒートパイプの中空回路基板のいずれかの面におけるヒートパイプ部の蒸発部と対応する部分に、発熱電子部品が熱的に接触させられた状態で産業機械、たとえばCNC(コンピュータ数値制御)工作機械に用いられる。CNC工作機械の発熱電子部品は、たとえば制御装置の発熱電子部品である。
この発明による方法で製造された中空回路基板を用いた液冷式放熱装置の分解斜視図である。 この発明による製造方法において、プレス加工を施すことにより回路形成用膨出部、突起、貫通穴および押え用膨出部を形成した上金属板を示す平面図である。 この発明による製造方法において、両金属板を重ね合わせた状態を示す図2のA−A線に相当する部分で切断した一部省略拡大断面図である。 この発明による製造方法において、両金属板を重ね合わせた状態を示す図2のB−B線に相当する部分で切断した一部省略拡大断面図である。 この発明による製造方法の他の実施形態を示す図3相当の断面図である。
符号の説明
(1):液冷式放熱装置
(2):中空回路基板
(3):上金属板
(4):下金属板
(5):冷却流体循環路(中空回路)
(8):受熱部
(11):回路形成用膨出部
(20):押え用膨出部
(20A):第1部分
(20a):重合部
(20B):第2部分

Claims (17)

  1. 全体が互いに積層状にろう付された2枚の金属板からなり、両金属板間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板を製造する方法であって、
    2枚の金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板に、全体に膨出高さの等しい回路形成用膨出部を形成し、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に、回路形成用膨出部と同方向に膨出し、かつ回路形成用膨出部と膨出高さの等しい押え用膨出部を形成し、両金属板を、回路形成用膨出部の開口を塞ぐように重ね合わせ、両金属板を、その上下両側から治具により挟着した状態でろう付することを特徴とする中空回路基板の製造方法。
  2. 押え用膨出部を、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に全周にわたって連続的に形成する請求項1記載の中空回路基板の製造方法。
  3. 押え用膨出部を、回路形成用膨出部が形成された金属板における回路形成用膨出部よりも外側の外周縁部に全周にわたって断続的に形成する請求項1記載の中空回路基板の製造方法。
  4. 押え用膨出部の横断面形状が、開口が他方の金属板側を向いた略U字状であり、金属板押え用膨出部における外側縁部に、他方の金属板に積層状に重なる重合部が一体に形成されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
  5. 金属板押え用膨出部の外側縁部が、他方の金属板から離隔させられている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
  6. 中空回路を形成すべき2枚の金属板がアルミニウムからなり、両金属板のうち少なくともいずれか一方の金属板が、少なくとも片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成されており、アルミニウムブレージングシートのろう材層を利用して両金属板をろう付する請求項1〜5のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
  7. 2枚の金属板からなる対を、複数対積層状に重ね合わせ、その上下両端側から治具により挟着した状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付する請求項1〜6のうちのいずれかに記載の中空回路基板の製造方法。
  8. 回路形成用膨出部の頂壁に、内方に突出しかつ先端部が他方の金属板に当接する複数の突起が間隔をおいて形成されており、突起の先端部を他方の金属板にろう付する請求項7記載の中空回路基板の製造方法。
  9. 金属板の左右両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の左右方向の幅を、左右方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておき、上下に隣り合う対の突起を左右方向にずらすとともに、上下に隣り合う対の左右両側縁部の押え用膨出部を部分的に重ならせた状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付する請求項8記載の中空回路基板の製造方法。
  10. 金属板の前後両側縁部に形成されている押え用膨出部の頂面を平坦面としておき、この平坦な頂面の前後方向の幅を、前後方向に隣り合う突起間の間隔よりも大きくしておき、上下に隣り合う対の突起を前後方向にずらすとともに、上下に隣り合う対の前後両側縁部の押え用膨出部を部分的に重ならせた状態で、各対の2枚の金属板どうしをろう付する請求項8記載の中空回路基板の製造方法。
  11. 請求項1〜10のうちのいずれかに記載の方法により製造され、2枚の金属板間に膨出状中空回路が形成されている中空回路基板。
  12. 請求項11記載の中空回路基板の膨出状中空回路が冷却流体循環路となっており、中空回路基板の片面に、冷却流体循環路内を流れる冷却流体により冷却する発熱体を熱的に接触させる受熱部が設けられている液冷式放熱装置。
  13. ハウジングと、ハウジング内に配置された発熱電子部品とを備えており、請求項12記載の液冷式放熱装置がハウジング内に配置され、発熱電子部品が、中空回路基板の受熱部に熱的に接触させられている電子機器。
  14. キーボードを有する本体部と、本体部に開閉自在に設けられたディスプレイ装置とよりなり、本体部のハウジング内に請求項12記載の液冷式放熱装置が配置され、本体部のハウジング内に配置されたCPUが受熱部に熱的に接触させられているノート型パーソナルコンピュータ。
  15. 請求項11記載の中空回路基板の膨出状中空回路が無端状であり、膨出状中空回路内に作動液が封入されることにより、凝縮部および蒸発部を有するヒートパイプ部が形成されている平板状ヒートパイプ。
  16. 請求項15記載の平板状ヒートパイプの少なくとも一面におけるヒートパイプ部の凝縮部と対応する部分に、放熱フィンが取り付けられている放熱装置。
  17. 請求項16記載の放熱装置を備えており、放熱装置の平板状ヒートパイプの少なくともいずれか一面におけるヒートパイプ部の蒸発部に、発熱電子部品が熱的に接触させられている産業機械。
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