JP2006154514A - カラーフィルタ基板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 オーバーコート層の比誘電率をA、樹脂ブラックマトリクスの比誘電率をBとした場合、Aは4.7以下で、且つ、Aに対するBの比B/Aが3.77以上である。
【選択図】 図1
Description
IPS方式のカラー液晶表示装置では、液晶が水平配向するため、表示特性に液晶の複屈折性が関与せず、広視野角を達成することができる。
図3(a)に示す従来のTN方式を用いたTFT液晶表示装置10では、縦電界11によって液晶12を駆動させるため、画素電極13の対向基板であるカラーフィルタ基板14上に共通電極15としてITOの蒸着膜等の透明電極が形成されている。
これに対し、図3(b)に示すIPS方式の液晶表示装置20では、横電界21によって液晶22を駆動させるため、画素電極23と同じ基板28上に共通電極25が形成されており、この場合、縦方向に電界が生じると液晶の配向を乱すことから、カラーフィルタ基板24は絶縁体でなければならない。
すなわち、IPS方式用カラーフィルタ基板24は透明電極を備えない。
また、遮光するためのブラックマトリックス層は、高電気抵抗とするため金属膜でなく、樹脂中に遮光剤を分散したいわゆる樹脂ブラックマトリックスが用いられている。
更に、IPS方式では、画素の保護と特にカラーフィルタの厳しい表面平滑性、及びカラーフィルタ層に含まれる不純物が液晶中へ溶出することを防止するためのバリアー性が要求されることから、通常、着色層上にオーバーコート層29が設けられる。
オーバーコート層は、透明性、表面平滑性、上下隣接層との密着性、耐光性、耐熱性、耐薬品性等の幅広い特性が要求され、これを形成するオーバーコート材としては、従来高電気抵抗の光又は熱硬化アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリグリシジルメタクリレート系樹脂、エポキシ樹脂等が用いられている。
このように、従来のIPS方式用カラーフィルタ基板のブラックマトリックス層、オーバーコート層は、駆動モードの特性上、絶縁体であることが望まれていたが、高抵抗膜であることから、液晶駆動時には、カラーフィルタ上に電荷が発生し、または電荷が蓄積し、これによって、長期の画面表示により発生する残留電荷の影響等により、画面の焼き付け(残像)を生じるという問題があった。
本発明はこれに対応するもので、イン・プレイン・スイッチング(IPS)モードの液晶表示装置において、従来、液晶駆動時に、カラーフィルタ上に電荷が発生し、または電荷が蓄積することに起因した、画面の焼き付け(残像)発生の問題を、改善できる液晶表示装置用のカラーフィルタ基板と、そのような液晶表示装置を提供しようとするものである。
そして、上記のカラーフィルタ基板であって、樹脂ブラックマトリクス上にオーバーコート層を形成している、樹脂ブラックマトリクスとオーバーコート層との多層体の比誘電率が4.7以下であることを特徴とするものである。
尚、ここで言う、比誘電率とは、20℃、周波数1kHzでの測定値を言う。
また、樹脂ブラックマトリクス用材料、オーバーコート層用材料については、顔料、顔料処理、添加剤、構成組成、組成比等により、比誘電率を所望の値に制御することができる。
本発明のカラーフィルタ基板は、このような構成にすることにより、イン・プレイン・スイッチング(IPS)モードの液晶表示装置において、従来、液晶駆動時に、カラーフィルタ上に電荷が発生し、または電荷が蓄積することに起因した、画面の焼き付け(残像)発生の問題を、改善できる液晶表示装置用のカラーフィルタ基板の提供を可能としている。
具体的には、オーバーコート層の比誘電率をA、樹脂ブラックマトリクスの比誘電率をBとした場合、Aは4.7以下で、且つ、Aに対するBの比B/Aが3.77以上であることにより、これを達成している。
詳しくは、樹脂ブラックマトリクスを高誘電率Bとし、オーバーコート層を低誘電率Aとして、オーバーコート層と樹脂ブラックマトリクスの誘電率に差をつける請求項1の構成とすることにより、残留電荷の滞留を抑制できるものとしている。
尚、TFTにて駆動される液晶表示装置に使用される液晶の比誘電率の最大成分は、通常、8〜12程度(少なくとも5.0以上)であり、オーバーコート層の比誘電率は、液晶の比誘電以下であることが好ましい。
また、樹脂ブラックマトリクスとオーバーコート層とからなる多層体として比誘電率を4.7以下と低く設定する請求項2の構成とすることにより、液晶駆動時に液晶中の電界を乱すことなく、また残像のない表示を行うことができるものとしている。
尚、カラーフィルタ基板構成材料の比誘電率が大きくなるにつれ、液晶とカラーフィルタ基板との界面において電界の向きが基板に平行な向きに大きくずれる、実効電界が低下するため、液晶のスイッチング効率が低下する。
特に、液晶に直接接する、もしくは配向膜を介して接する部分であるオーバーコート層はより低誘電率の材料であることが好ましい。
図1(a)は本発明のカラーフィルタ基板の実施の形態の1例の外観を示す断面図で、図1(b)は図1(a)のA1側からみた図で、図2は図1に示すカラーフィルタ基板を用いたIPS方式の液晶表示装置の表示パネルの1例の断面を示した図である。
尚、図1(a)は図1(b)のA2−A3側における断面図である。
図1〜図2中、100はカラーフィルタ基板、110は透明基板、120は着色層、121は第1の着色層、122は第2の着色層、123は第3の着色層、124は樹脂ブラックマトリクス(第4の着色層とも言う)、130はオーバーコート層(保護層とも言う)、150は多層体形成部、200は液晶表示パネル、201はTFT基板、210は透明基板、220は共通電極、230は画素電極、240は絶縁層、250は保護層、260、265は配向膜、270は液晶、280、285は偏光板、290は電界である。
本例のカラーフィルタ基板は、図1に示すように、樹脂ブラックマトリクス124を含む着色層120上にオーバーコート層130を配設している、TFT駆動型のIPSタイプの液晶表示装置用のカラーフィルタ基板であり、オーバーコート層130の比誘電率をA、樹脂ブラックマトリクス124の比誘電率をBとした場合、Aは4.7以下で、且つ、Aに対するBの比B/Aが3.77以上である。
そして更に、樹脂ブラックマトリクス124上に直接オーバーコート層130を形成している、樹脂ブラックマトリクスとオーバーコート層との多層体の比誘電率が4.7以下である。
本例においては、樹脂ブラックマトリクス124を高誘電率Bとし、オーバーコート層130を低誘電率Aとして、オーバーコート層130と樹脂ブラックマトリクス124の誘電率に差をつける構成とすることにより、残留電荷の滞留を抑制できるものとしている。
また、樹脂ブラックマトリクス124とオーバーコート層130とからなる多層体(図1(a)の150参照)として、比誘電率を4.7以下と低く設定していることにより、IPSタイプの液晶表示装置に供され、液晶駆動する際、液晶中の電界を乱すことなく、また残像のない表示を行うことができるものとしている。
尚、TFTにて駆動される液晶表示装置に使用される液晶の比誘電率の最大成分は、通常、8〜12程度(少なくとも5.0以上)であり、オーバーコート層の比誘電率は、液晶の比誘電以下にしてある。
IPS方式の液晶パネル200は、表示側基板であるカラーフィルタ基板100とTFT基板201とを対向させて1〜10μm程度の間隙部を設け、当該間隙部内に液晶270を充填し、その周囲をシール材(図示していない)で密封した構造をとっている。
カラーフィルタ基板100には、透明基板110上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された樹脂ブラックマトリックス124と、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層121〜123を所定順序に配列した画素と、オーバーコート層130が、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。
カラーフィルタ基板100には、表示特性を向上させる点から透明基板110とオーバーコート層130の間に位相差層(光学補償層)(図示せず)を設けてもよい。
位相差層は、具体的には例えば、透明基板110と樹脂ブラックマトリックス層124及び画素の間、又は、樹脂ブラックマトリックス及び画素とオーバーコート層130の間に設けることができる。
また、カラーフィルタ基板100及びこれと対向するTFT基板201の内面側には配向膜260、265が設けられる。
さらに、カラーフィルタ基板100とTFT基板201の間のギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーとしてガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子(図示せず)が分散されている。
尚、ここで、このスペーサーは上述した粒子に限定されるものではなく、例えばいずれかの基板側に形成された柱状凸部からなるスペーサーであっても良い。
又、カラーフィルタ基板100とTFT基板201の外側にはそれぞれ偏向板280、285が配設されている。
このように、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルタ基板100の背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
樹脂ブラックマトリクス124の比誘電率Bの値とオーバーコート130の比誘電率Aの値を種々変えた組で、実際にカラーフィルタ基板100を作製し、更に、液晶表示装置のパネルとして残像評価をした。
結果を、表1を挙げておく。
尚、各組の樹脂ブラックマトリクス用材料、オーバーコート層用材料については、顔料、顔料処理、添加剤、構成組成、組成比等により、比誘電率を制御して得た。
焼き付け残像の評価は以下のようにして行った。
<焼き付け残像の評価>
60℃で表示エリア上に固定パターンを48時間印加した後、パターン印加を止めて、表示残像( 焼き付け残像) を観察し評価した。
ただし、評価基準は以下の通りである。
◎:残像が確認できないレベル。
○:10秒以内で焼き付け残像が消失する軽微な残像レベル。
△:10秒以上、30秒未満で焼き付け残像が消失する残像レベル。
×:30秒以上で焼き付け残像が消失する残像レベル、もしくは、残像が消失しないレベル。
各オーバーコート層用材料OC−1、OC−2、OC−3の調製は、下記のようにして、重合体1を合成して得た後、それぞれ、前記重合体1に、光硬化性化合物、エポキシ樹脂、重合開始剤等を加え、これらの組成を変えて、混合し、撹拌して行った。
(重合体1の合成)
重合槽中にベンジルメタクリレートを15.6重量部、スチレンを37.0重量部、アクリル酸を30.5重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを16.9重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を200重量部、仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2' −アゾビス(イソブチロニトリル)を0.8重量部、添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下で、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。さらに得られた溶液に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9重量部、トリエチルアミンを0.5重量部、及び、ハイドロキノンを0.1重量部、添加し、100℃で5時間攪拌し、目的とする重合体1(固形分37.2%)を得た。
黒顔料:TMブラック#9550(大日精化工業製)、分散剤:(Disperbyk111(ビックケミー製)、重合体:VR60(昭和高分子製)、光硬化性化合物:SR399E(日本化薬製)、添加剤:L−20(総研化学製)、重合開始剤:イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカル製)、溶剤:エチレングリコールモノブチルエーテル等を用い、組成を変えて、樹脂ブラックマトリクス用材料M−1〜M−7を作製した。
先ず、厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に、上記の樹脂ブラックマトリックス用材料をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光層を形成し、更に、該遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域に樹脂ブラックマトリックスを形成した。
次いで、樹脂ブラックマトリックスを形成した基板上に、下記表2の赤色パターン用組成物をスピンコーティング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。
次いで、赤色パターン用樹脂組成物の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色パターン用樹脂組成物の塗膜の未硬化部分のみを除去した。
その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して赤色画素を形成すべき領域に赤色のレリーフパターンを形成した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、オーバーコート用材料の塗膜の未硬化部分のみを除去した。
その後、基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施してオーバーコート層を形成した。
柱状スペーサー用樹脂組成物の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて、ブラックマトリックス上のスペーサーの形成領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、柱状スペーサー用樹脂組成物の塗膜の未硬化部分のみを除去した。
その後、基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して固定スペーサーを形成した。
更に、固定スペーサーを含む表面に、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリウレタン系およびポリ尿素系の有機化合物のなかの少なくとも1種を含む材料からなる配向膜を形成し、カラーフィルタ基板を得た。
110 透明基板
120 着色層
121 第1の着色層
122 第2の着色層
123 第3の着色層
124 樹脂ブラックマトリクス(第4の着色層とも言う)
130 オーバーコート層(保護層とも言う)
150 多層体形成部
200 液晶表示パネル
201 TFT基板
210 透明基板
220 共通電極
230 画素電極
240 絶縁層
250 保護層
260、265 配向膜
270 液晶
280、285 偏光板
290 電界
10 TFT液晶表示装置
11 縦電界
12 液晶
13 画素電極
14 カラーフィルタ基板
15 共通電極
18 透明基板
20 IPS方式の液晶表示装置
21 横電界
22 液晶
23 画素電極
24 カラーフィルタ基板
25 共通電極
28 透明基板
Claims (3)
- 樹脂ブラックマトリクスを含む着色層上にオーバーコート層を配設しているIPSタイプの液晶表示装置用のカラーフィルタ基板であって、オーバーコート層の比誘電率をA、樹脂ブラックマトリクスの比誘電率をBとした場合、Aは4.7以下で、且つ、Aに対するBの比B/Aが3.77以上であることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 請求項1に記載のカラーフィルタ基板であって、樹脂ブラックマトリクス上にオーバーコート層を形成している、樹脂ブラックマトリクスとオーバーコート層との多層体の比誘電率が4.7以下であることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 樹脂ブラックマトリクスを含む着色層上にオーバーコート層を配設しているカラーフィルタ基板を備えたIPSタイプの液晶表示装置であって、前記カラーフィルタ基板が、請求項1ないし2のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板であることを特徴とする液晶表示装置。
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