JP2006153622A - オートフォーカス装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】
レーザ光源からの光束で物体表面を照射し、その反射光を用いて物体表面位置に対する対物レンズの焦点位置を求める際、傷やスペックルなどによる散乱光の影響を抑制しオートフォーカスの精度と応答性を高め、オートフォーカス可能レンジを拡げる。
【解決手段】
レーザ光源2からの光束でレンズ3、シリンドリカルレンズ22、ビームスプリッタ4、対物レンズ5を介して対物レンズ5の焦点位置近傍に設置される物体6表面を照明する。この照明光はシリンドリカルレンズ22の作用によって、物体表面上でピントがあったときに円形状のボケ状となる。このボケ状照明光で得られた物体表面からの反射光を対物レンズ5、ビームスプリッタ4、結像レンズ7を経て物体表面と共役位置にある受光部8に投影する。受光部8はこの投影像を受光し、演算部にそれを伝えて物体表面位置に対する対物レンズの焦点位置を求める。


【選択図】 図7

Description

本発明はオートフォーカス装置に関するもので、レーザ光源からの光束で対物レンズの焦点位置近傍に設置する物体表面を照明し、その反射光を用いて物体表面位置に対する対物レンズの焦点位置を求めていくとき、その精度と応答性を向上し、さらにオートフォーカスを可能とするレンジを拡げるようにしたものである。
観察する物体の表面をレーザ光源を使用した光学系で照明し、その表面形状を測定する装置は各種の分野で使用されている。このような装置で問題となることの1つにオートフォーカス時の精度とその応答速度、及びオートフォーカスを可能とするレンジがあげられる。
この精度と速度を左右する原因の1つに散乱光の問題がある。この散乱光とはスペックル現象による干渉縞や、物体面に付けられたキズ、極端な凹凸(突起)などによって生じる部分的な高輝度反射光をいい、この散乱光が発生するとオートフォーカスの測定時に測定光の分布が影響を受けてしまい正確な測定が損なわれ、それに伴うフォーカス補正の応答速度が低下してしまう。上記したスペックル現象は周知のように、表面形状が不規則な物体の各点から散乱される反射光が互いにランダムな位相関係で、幾つも重なり合った結果生じる干渉縞と考えられていて、その不安定な発生状態がオートフォーカス精度を左右する原因となる。しかもこのスペックルはレーザを光源として使用する限り、レーザ光自身が持つ光の性質や測定する物体の表面粗さ程度とその角度、測定装置に加えられる各種の振動などによってどうしても発生してしまう。またこのスペックルはレーザ光源のスポットを絞って物体面への照射面積(フォーカスポイント)を小さくすればするほど発生しやすいという性質を持っている。従ってこのような散乱光の発生を抑えるための工夫、或いは発生してしまった散乱光を抑制し浄化するための手段を設置することが、オートフォーカスの精度と速度を向上することになる。
このような散乱光に対してこれまでは、観察する物体表面からの反射光を途中で加工するようにした散乱光浄化手段を新たに設置して対応するようにしているものが多い。例えば物体表面からの反射光をビデオ情報として取り出し、それをデジタル化して記憶し、そのデジタル画像の中から最大輝点となる位置を求めてその位置を、物体表面が存在する位置として認識するようにしたものがある(特許文献1)。また物体表面からの反射光を2つに分割して取りだし、それぞれを別個の検出器で検出できるよう2つの光学系を形成し、両者を比較するようにしたものも知られている(特許文献2)。しかしいずれも複雑な手段や特別の光学系を別途設置しなければならず、装置全体が大型化して高価となってしまっていた。
またオートフォーカス精度と応答性を向上するための手段としてシリンドリカルレンズを測定光学系中の受光部側に設置することが非点収差法として知られている。この方法は物体表面を照明した光束の反射光が受光部に投影される際に、その反射光束をシリンドリカルレンズの作用によって線状や円状に変更し、その変更された形状によって対物レンズ位置を算出するようにしている。このシリンドリカルレンズを光学系受光部側に設置するという方法は、受光部に投影される反射光の形状によって対物レンズの位置が求められるという利点をもたらし、オートフォーカスの精度と応答速度の向上に貢献する。しかし物体表面からの反射光をシリンドリカルレンズの作用によって前側焦線と後側焦線、両者の中間位置でのほぼ円形状ボケ像に変形して受光部に投影することになる。そのため散乱光が物体表面上で発生すれば、その散乱光もシリンドリカルレンズの作用を受けることになり、受光部はその散乱光と変形像を一緒に受光して混乱し、オートフォーカス時の対物レンズ位置をなかなか固定できず、その精度も不正確なものとなる。また受光部側にシリンドリカルレンズを設置するため光学系は拡大光学系となり、受光部側の倍率が高くなってオートフォーカス可能レンジが極めて狭ばめられ、過剰な検出精度になってフォーカスエラーを起こしやすい。
特開平7−55421号公報 特開平6−213658号公報
本発明はシリンドリカルレンズを測定光学系の照明側に設置し、非点収差法の利点を継承するにも係わらず受光部に投影される像の品質を向上し、散乱光の問題も解決して物体表面位置に対する対物レンズの焦点位置精度を高め、応答性の良いオートフォーカスとオートフォーカス可能レンジを拡げることのできる装置を求めることである。それも複雑な手段や特別の光学系を設置することなく小形で安価なオートフォーカス装置を求めることである。
上記目的を達成するため本発明は、レーザ光源からの光束を対物レンズに導くコリメータレンズと、コリメータレンズからの光束を受けて物体表面を照明する対物レンズと、前記光源と対物レンズ間に設置したシリンドリカルレンズとで形成した照明側光学系と、前記物体表面が照明側光学系で照明されたとき、シリンドリカルレンズの作用によって物体表面に生じる前側焦線、中間部円形状ボケ像、後側焦線を反射光として捉え、これを多分割フォトダイオードで構成した受光部に投影する結像レンズで形成した受光側光学系と、前記受光部に投影された反射光の検出形状に応じて前記対物レンズの焦点位置と物体表面間の距離を演算し、対物レンズ位置を補正するよう駆動制御部に伝える演算部とを備え、物体表面での反射光形状を受光側光学系の共役位置に設置した受光部で検出し、その検出形状に応じて物体表面位置に対する対物レンズ焦点位置を求めるようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明によるものは請求項1記載のオートフォーカス装置において、シリンドリカルレンズと対物レンズ間にビームスプリッタを設置し、このシリンドリカルレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズを経由して物体表面を照明するようにした照明側光学系と、前記物体表面からの反射光を前記対物レンズとビームスプリッタを経由して受光部に投影するようにした受光側光学系としたことを特徴とする。
請求項3の発明によるものは請求項1、2記載のオートフォーカス装置において、受光部をCCDとし、この受光部からの信号を画像処理部から演算部と表示部に伝えるようにしたことを特徴とする。
請求項4の発明によるものは請求項3記載のオートフォーカス装置において、レーザ光源の波長に対する対物レンズ毎の色収差補正値を算出し、これを画像処理部に記憶して受光部での反射光検出形状と色収差補正値によって物体表面に対する対物レンズ位置を求めるようにしたことを特徴とする。
本発明はレーザ光源からの光束で対物レンズの焦点位置近傍に設置される物体表面を照明し、その反射光を結像レンズで受光部に導く測定光学系を使用する。そしてこの光学系中の照明側は光源からの光束を対物レンズに導くコリメータレンズと、コリメータレンズからの光束を受けて物体表面を照明する対物レンズと、前記光源と対物レンズ間に設置したシリンドリカルレンズで構成する。それによって物体表面はシリンドリカルレンズを通して照明されるから、シリンドリカルレンズの作用によって生じる前側焦線と後側焦線、その中間部位置に生じるほぼ円形状のボケ像による照明を受ける。この中間部位置での円形照明光は物体表面上に焦点を結ぶことはできないから、シリンドリカルレンズを受光部側に設置して物体表面上で焦点を結び、ピントが合うようにした従来照明光に比して照射面積は拡大する。焦点を結ばないことと照射面積が拡大することでスペックルなどの散乱光の発生は減少するから、これだけでも散乱光の抑制が期待できる。そしてさらに物体表面を照明した円形ボケ像は物体表面位置に対する共役位置に設置される受光部に投影されるから、受光部上には物体表面の照明光と同じ品質の円形像が、受光部側から見ると共役の位置関係をもって投影される。そのため物体表面上にスペックルなどの散乱光が発生したとしても、その散乱光によって共役位置にピントの合った状態で投影される照明像が影響を受けることは少なく、あたかも散乱光を抑制したようになる。
それによって従来、受光部に投影された円形状のボケ像を測定光として算出していた物体表面位置に対する対物レンズ位置は、物体表面位置と共役位置に設置される受光部上に投影される円形状のピントの合った像を用いて算出できるようになり、安定した正確な表面位置を捉えられようになる。そのため対物レンズ焦点位置と物体表面位置間の距離を正確に測定し、対物レンズ位置補正の応答性を良くしたオートフォーカスを実施することが出来る。それも照明側光学系にシリンドリカルレンズを設置し縮小光学系としたので、物体面上でのオートフォーカス可能レンジを従来より拡げ、さらにフォーカスエラーの発生を抑えることが出来る。又、照明光学系の構成によってオートフォーカス可能レンジをコントロールできるので、受光側光学系の倍率が変化してもオートフォーカス可能レンジを自由に設定することが出来る。そして全体的には光源と対物レンズ間にシリンドリカルレンズを設置するだけという構成であるから、複雑な手段や特別の光学系を新たに設置することもなく、小形で経済的にも安価な装置を提供することが出来る。
図1は一般的な従来装置の測定光学系1を説明する図である。図Aにおいてレーザ光源2からの光はコリメータレンズ3、ビームスプリッタ4を経て対物レンズ5によりその焦点位置近傍に設置される物体6の表面を照明する。以後この光学系を照明側光学系という。物体6は表面を種々加工したプラスチックや金属のプレートなど各種のもので、プリント基板や動植物の試料も用いることが出来る。このような物体6表面の任意観察面が対物レンズ5の焦点位置近傍にあれば、その任意観察面からの反射光が対物レンズ5からビームスプリッタ4に向かい、そこで90度反転して結像レンズ7で集光され受光部8に達する。以後この光学系を受光側光学系という。よって測定光学系1は照明側光学系と受光側光学系によって形成される。受光部8は多分割フォトダイオード(図では4分割)などで構成される。
物体6の表面には微小な凹凸があり、図の例ではa、b、cの高さとしてある。今、b面と対物レンズ5の焦点位置が一致しているとすれば、そのb面位置と共役位置bfに設置された受光部8上にその反射光が結像レンズ7を介して投影される。物体6の光学系1光軸方向の位置と受光部8の設置位置は固定状態であるから、物体6のa面が対物レンズ5と対応する位置にセットされると、その高さ方向の差分に応じて投影される受光面位置も移動する。例えば物体面がb面からa面に移動すると投影される受光面位置もbfからafに移動する。従って位置bf上に設置される受光部8で、afに投影される像を受光することになるから、それはピンボケ状態となる。同じように物体6の表面位置がc面に移動するとb面からの移動した距離に応じて投影位置もbfからcfに移動する。従って位置bfの受光部8で、位置cfに投影される像を受光することになるからピンボケ状態となる。
図1Bは上記の説明を表としてまとめたもので、物体6の表面aが対物レンズ5のピント位置と一致しているとき像の受光位置は上記のように図1Aのafである。このaf上に投影される像品質はピントの合ったものであるから、図Bの表では受光位置af部に実線の〇として示してある。またaf上に投影される像を位置bf、cfで受光するとすればその像品質はピンボケとなるので点線〇としてある。同じように物体6のb面が対物レンズ5のピント位置と一致しているとすれば、そのb面上の反射光は結像レンズ7を介して位置bfに投影される。そのため図ではbf上の像をピントの合った実線〇として示し、位置af、cf上で同じ光束を受光するとすればピンボケとなるので点線〇として示してある。同様に物体6のc面が対物レンズ5のピント位置と一致している位置にセットされたとすれば、c面上の反射光は位置cfに投影されピントの合った実線〇となり、位置af、bf上ではピンボケの点線〇となる。
このように物体6の表面形状がa、b、cの様に移動すると、受光部8の位置も表面形状に合わせて位置af、bf、cfに移動する。そのため受光部8の位置をbfに固定すれば、対物レンズ5を物体表面形状a、b、cに合わせて光学系1光軸方向に移動させて常時ピントの合った物体表面を測定出来るようなオートフォーカス装置が要求される。
図2は図1に示した測定装置の受光側光学系にオートフォーカス機能を組み込んだときの説明図である。図中9は受光側光学系のビームスプリッタ4と結像レンズ7間に設置したシリンドリカルレンズで、物体6面上での反射光が対物レンズ5、ビームスプリッタ4を経てシリンドリカルレンズ9に伝えられ、結像レンズ7を通して受光部8上に投影される。詳細については後述するが、物体6面上での反射光がシリンドリカルレンズ9の作用を受けた後に結像レンズ7によって受光部8上に投影されると、それが図1Aの位置afかcf上に投影されたと演算部10が判断すれば、演算部10はそれを信号として駆動制御部11に伝え対物レンズ5を光軸方向に移動して位置bf上に投影されるよう対物レンズ5の位置を補正する。物体6面上での反射光が位置bf上に投影されたと演算部10が判断すると、演算部10はそれを駆動制御部11に伝え対物レンズ5を所定の位置で停止する。尚、対物レンズ5を光軸方向に移動させる具体的な手段は本発明の主旨とは異なるので以下の説明も含めて全て省略する。
図3は図2の光学系で受光部側の投影状態を説明する図である。図Aは図1A、図2と同様に測定光学系1中の受光側光学系側面図を示していて、図Bはその一部平面図である。図において対物レンズ5の焦点位置が物体のb面と一致しているとしたとき、b面上での反射光は、対物レンズ5、ビームスプリッタ4、シリンドリカルレンズ9、結像レンズ7を経て位置8cに線状の像12を結ぶ。この線状の像12は結像レンズ7とシリンドリカルレンズ9によって形成される前側焦線である。また上記物体6面上での反射光は位置8cの光軸延長線上の位置8aに線状の像13を結ぶ。この線状の像13は結像レンズ7によって形成される後側焦線で、前記の前側焦線12に対し90度回転したものとなる。この前側焦線12位置8cと後側焦線13位置8a間の距離(非点隔差)はシリンドリカルレンズ9や結像レンズ7の性能によって異なるが、上記物体b面での反射光は両位置8c、8a間の中程で、ほぼ円形状のボケ像14を形成する。つまり対物レンズ5で照明された物体b面での光束は、位置8cで焦点を結びピントの合った横方向の線状前側焦線12となり、次いで徐々にピントがずれていき中程の位置8bでほぼ円形状のボケ像14となる。そして徐々に線状になってピントが合っていき、位置8aで縦方向のピントの合った線状の後側焦線13となる。図A、Bでは上記中間ボケ像14をピントの合っていない像として点線○で示したが、この中間ボケ像14の位置8bを図1で述べた位置bfとし、ここに受光部8を設置したとすれば、物体6表面がa〜cと移動することで受光部8に投影される像の形状と品質は変化していく。この変化の状態を物体表面a、b、c毎に模式的にまとめたのが図3Cである。
この図3Cにおいてまず対物レンズ5のピント位置が物体6のb面と一致しているときについて説明する。このとき前側焦線12は位置cfに像12aとして投影されるが、この位置は受光面位置bfと離れているのでピンボケとなる。図ではこれを点線○として表している。中間ボケ像14は受光部8位置と一致する位置bfに像14aとして投影されるが、中間ボケ像14a自身はピントの合っていないボケ像であるからボケ像のまま受光部8に投影される。図ではこれを点線の○としてある。後側焦線13は位置afに像13aとして投影されるが、受光面位置bfと離れているのでピンボケとなる。図ではこれを点線の○として表してある。従って前側焦線12aと中間ボケ像14aと後側焦線13aの三者は全てピンボケ状態で受光部8に投影されることになる。
次に対物レンズ5のピント位置が物体表面aと一致しているときについて説明する。この場合、前側焦線12はピントの合った状態で位置bfに像12aとして投影され受光部8によって検出される。図ではピントの合っている像であることを示すため実線の○としてある。中間ボケ像14は位置afに像14aとして投影されるが、その位置は受光部位置bfと離れているのでピンボケとなる。後側焦線13もピンボケ像13aとして投影される。物体6のc面が対物レンズ5のピント位置と一致しているときは、後側焦線13が位置bfに像13aとして投影されピントの合った状態で実線○として投影される。中間ボケ像14は位置cfに像14aとして投影されるがその位置が受光部位置bfと離れているのでピンボケとなる。前側焦線12もピンボケ像12aとして投影される。
このようにこの例の場合、位置bfに設置された受光部8には、対物レンズ5のピント位置が物体6のa面と一致しているとき前側焦線としての像12aが実線○として投影され、対物レンズ5のピント位置がb面と一致しているときは中間ボケ像14aが点線○として投影される。そしてピント位置がc面と一致しているときは後側焦線としての像13aが実線○として投影される。この投影された3つの像の内、「線」として投影される2つの像12a、13aはピントが合った状態で受光部8で検出されるが、残りの中間像14aは像として形成されない中間位置での像であり、そのため像自身が安定せずスペックルなど外部要因によって変化しやすい状態の像となる。従って受光部の受光結果を受けて動作する演算部10は外部要因によって変化しやすい像14aからの指令を受けることになり、正確な値を算出することが出来ず、バラツキのある対物レンズ5位置情報を出力してオートフォーカスの精度と応答性を維持することが出来ない。
更に上記光学系1は受光側光学系中にシリンドリカルレンズ9を設置し、物体面上の照明用光点を拡大して使用するという光学系となっている。そのため前側焦線12位置cfと後側焦線13位置af間で規定される焦点深度(オートフォーカス可能レンジ)は限定された狭いものとなってしまい、それがフォーカスエラーを誘引する原因となる。
図4は上記した受光部8と、この受光部8からの信号を受けて演算する演算部10の関係を示した説明図である。今、図3Aのように物体6のb面が対物レンズ5の焦点位置近傍に位置していて、スペックル等が一切発生せず安定した状態にあると仮定したとき、物体6のb面を照明する対物レンズ5の光点6pは図4Aのように通常10〜50μm程度のフォーカスポイントとなる。この光点6pによって照明された物体表面6の反射光は、中間ボケ像14aとなって位置bf上の受光部8に投影される。図4Bではこのピントの合っていない投影像を点線○で示したが、その投影位置は受光部8を構成する4つのフォトダイオードpa〜pdの中心部となるよう調整する。このような状態で投影されると演算部10は受光部8を構成するフォトダイオードpa〜pdからの出力を受けて、
((pa+pc)−(pb+pd))/(pa+pb+pc+pd)・・・・1式
の除算を実施する。中間ボケ像14aが図4Bのように受光部8の中心部に投影されれば、除算の結果は基本的には「0」となる。この「0」が出力されると図2の駆動制御部11は「0」信号のため動作せず、対物レンズ5は静止したままで移動しない。それによって対物レンズ5の焦点位置と測定する物体のb面位置は一致していて、両者間の距離は「0」と認識される。
実際には前記したようにピンボケの中間ボケ像14aが測定光として検出されるため、ボケによって受光部の検出値が安定せず演算部10の演算結果にバラツキが生じ、「0」が算出されないまま対物レンズ5を光軸上で上下動する状態を繰り返し、フォーカスエラーを引き起こす。この点についてはスペックル問題と合わせて後に詳しく説明する。
図4Eは受光部に投影された像と演算部10からの出力信号の関係を説明したもので、横軸は対物レンズ5のZ方向の位置を表し、縦軸は演算部10の出力電圧を示している。受光部8での受光状態が図4Bのように4つのフォトダイオードの中心部にあり、「0」を出力できる状態にあれば、横軸と縦軸の交点「0」位置16が演算部10からの出力電圧となり、その結果、駆動制御部11は動作しない。しかし物体6のa面位置に対物レンズ5のピント位置が一致し、図3Cのa面欄のように前側焦線12aが位置bfに丁度投影されたとすると、その光束形状は図4Cの様に右肩上がりの斜体像12aとなる。この斜体像12aは前記した横方向の前側焦線12に相当するが、図ではこれを45度時計方向に回転させた状態で受光部8に投影された時を示している。この斜体像12aはピントの合っている像であるから像の品質は鮮明であり、外部要因の影響を受けても変化しにくいので図4Cでは実線の楕円状として示してある。このような斜体像12aを受光部8の4分割フォトダイオードが検出すると、その出力は(pa+pc)<(pb+pd)となる。従って演算部10が実施する1式の演算結果はマイナスとなり、図4E上で縦軸を中心として左側での判定となる。仮に1式の結果を−4vとしたとき、その時の対物レンズ5位置17を測定すると横軸のように−0.4mmが得られる。そのため図上、交点「0」位置16とレンズ位置17間の距離が物体b面位置とa面位置間の高さ方向の距離となる。
こうして得られた−4vの信号が演算部10から駆動制御部11に伝えられると、駆動制御部11は−0.4mm分だけ対物レンズ5を光軸上で光源側に移動させていく。この移動に伴って受光部8で受ける光束は次第に図4Bの円形像14aに近づき、レンズ位置17が交点位置16方向に徐々に近づいていく。そして最終的には図4Bの円形像14aとなって駆動制御部11からの信号も停止する。
次に物体6のc面位置が対物レンズ5のピント位置にセットされたときについて説明する。この場合、受光部8に導かれるc面での反射光束は図3Cのc面欄のように後側焦線13aが位置bfに丁度投影される。この像13aが受光部8に投影されると、その光束形状は図4Dの様に左肩上がりの斜体像13aとなる。この斜体像13aは前記した縦方向の後側焦線13に相当するが、図ではこれを45度反時計方向に回転して受光部8に投影された状態となっている。そしてこの斜体像13aはピントの合っている像であるから像の品質は鮮明であり、外部要因を受けても変化しにくいので図4Dでは実線の楕円状として示してある。このような斜体像13aを受光部8で検出するとその出力は(pa+pc)>(pb+pd)となって、1式の演算結果はプラスとなり図4Eの縦軸を中心として右側での判定となる。仮に1式の演算結果が+4vであったとすれば、その時の対物レンス18位置を測定すると横軸のように+0.4mmが得られる。そのため図上、交点「0」位置16とレンズ位置18間の距離が物体c面とb面間の高さ方向の距離となる。こうして得られた+4vの信号が演算部10から駆動制御部11に伝えられると、駆動制御部11は+0.4mm分だけ対物レンズ5を光軸上で光源と反対側に移動する。この移動に伴って受光部8で受ける光束が次第に図4Bの円形像14aに近づくと、レンズ位置18は交点位置16方向に徐々に近づき、最終的には図4Bの円形像14aとなって駆動制御部11からの信号も停止する。
以上のように対物レンズ5の焦点位置と物体6表面の位置関係は、図4Eの様にレンズ位置17、交点16、レンズ位置18を結ぶライン19によって決定され、このライン19上で対物レンズ5を光軸方向に移動させることになる。物体面に対する対物レンズ5の位置精度を高めるには、対物レンズ5をこのライン19に沿って正確に移動させることであり、そのためには物体表面上での反射光束が受光部8上に投影されたとき、その投影像12a、14a、13aのそれぞれを明瞭に区別し識別できることが重要となる。逆にこの識別が混乱すると、対物レンズ5は光軸上でどちらの方向に移動するのか曖昧となり、応答性が低下してしまうことになる。
中間ボケ像14aを受光部8が検出すると、それはボケ像であるためスペックルなどの外部要因によって変化しやすく、受光部8と演算部10で行われる測定に影響が生じる。一般的に対物レンズ5焦点位置と物体6表面間の距離は、1〜3μm程度の範囲にあるときピントの合った状態を保持する関係にある。ところがこのピントの合った状態に近づけば近づくほど、つまり対物レンズ5の焦点位置と物体表面位置が一致してくるほどスペックルが発生しやすい環境となる。また発生するスペックルのパターンサイズは光源による物体表面上の照射面積(フォーカスポイント)に反比例するとされているから、ピントが一致してきて照射面積が小さくなるにしたがってスペックルパターンは大きくなり、それに伴って物体表面からの反射光分布に歪みが生じ識別に影響を生じてくる。従って物体面上での対物レンズ5ピント位置が一致してくるほど前記した図4の投影像12a、14a、13aの明確な区別が困難になりやすく、演算部10の出力はバラツキを持った不安定なものとなる。
傷などによって発生する散乱光の対策は比較的一義的に対処することができるが、スペックルの発生は予測不能であるだけに問題として残される。
図5は上記したようなスペックルが発生したとき受光部8に投影される中間ボケ像14aの状態を説明する図である。図においてAは図4Bと同様のもので受光部8上に物体面での反射光束、例えばb面上での反射光がスペックルのない状態で投影された場合を示している。この投影された光束14aは中間ボケ像であるから、その品質は不安定で不明瞭のため図では点線○となっている。しかし基本的には受光部8の中心部に投影されるので受光部8からの出力は(pa+pc)=(pb+pd)であり、前記1式による除算結果は「0」となるはずである。図のB〜Eはスペックル20が発生したときの幾つかの例を示したもので、Bは受光部8のpa部にスペックル20−1が発生し、その結果、図の右側に示したように投影像14aのpa部に欠落が生じた像14a1となり、(pa+pc)<(pb+pd)として認識されてしまう例である。そのため本来円形状の像14aとして受光部8に投影されたにもかかわらず、スペックル20−1によって演算部10は図4Cの斜体像12aに類似したものと判断してしまい焦点誤差を発生する。Cは受光部8のpa、pb部に幾つかの小さなスペックル20−2が群として発生したもので、やはりボケ像14aとして認識されるべきものが、pa、pb部の一部が欠落した像14a2として認識されてしまう。しかしこの場合、演算部10は(pa+pc)≒(pb+pd)と判断するので対物レンズ5は移動しない。同じくDはpb、pd部にスペックル20−3が発生して、その結果、図4Dの斜体像13aに類似した像14a3とされ、(pa+pc)>(pb+pd)と認識されて焦点誤差を発生してしまう。Eはpa、pb、pc、pd部にスペックル20−4が発生し、その結果図4のA、B、Cに属さない中空形状の像14a4となってしまっている。このように、また幾つかの条件の積み重ねによってはBからEに例示したものだけでなく、その形状、サイズが様々に変化した多種のスペックルが発生する。そのため受光部8からの出力は不安定となり演算部10の演算は信頼性の低いものとなる。
上記の説明は物体6のb面についての場合であったが、a面の前側焦線12やC面の後側焦線13の時もスペックルは発生する。しかしその場合、図4C、Dにも示したように斜体像12a、13aはピントの合った実線〇の像であるから、スペックルが発生したとしても、像品質は中間ボケ像14aに比してはるかに安定した鮮明な状態を維持する。従ってオートフォーカス可能レンジの両終端部では、つまり物体表面形状の再現をあまり要求しない終端部では鮮明な像12a、13aとして検出できるが、物体表面形状として忠実に検出したい中間部では不鮮明なボケ像14aとなってしまうという矛盾した状態となる。
図6は受光部8に投影された中間ボケ像14aによって生じる演算部10のバラツキを説明するもので、そのAは図4Eと同じように横軸が対物レンズ5のZ方向の位置を、縦軸が演算部10の出力電圧を示している。受光部8での受光状態が図4Bのとき演算部10が正しく「0」を出力できれば、図4Eのようにライン19は交点16を通過し対物レンズ5も「0」点で停止する。しかし中間ボケ像14aは前記したように品質の不安定な光束であるから、図5で説明したようなスペックルが発生すれば余計にその影響を受けてしまう。そのため受光部8の出力はバラツキが発生する。この状態を説明するため図6Bでは受光部8上に投影された中間ボケ像を14a5とし、その外形を波状にした点線○として示してある。このように不安定な中間ボケ像14a5が受光部に投影されると、ライン19は図6Aのように交点16近域でふくらんで交点16を通過する事が出来ず、ライン19aや19bの様なバラツキを発生する。このバラツキがゆらぎとなって演算部10は「0」を演算することが出来ず、対物レンズ5は交点16上で停止することが出来なくなる。逆にオートフォーカスのレンジを設定するレンズ位置17、18付近では安定して認識され、演算部10は図4C、Dのように斜体像12a、13aを正しく判定する。
図7は実施例1の測定光学系1側面図を示した光学系概略図である。図において22は照明側光学系中に設置したシリンドリカルレンズで、光源2からの光束はコリメータレンズ3を経た後、このシリンドリカルレンズ22を通過してビームスプリッタ4と対物レン
ズ5を経て物体表面6を照明する。そのため物体表面6はシリンドリカルレンズ22を通して照明されるから、前側焦線と後側焦線、その中間部位置に生じるほぼ円形状のボケ像による照明を受ける。そしてこの照明光学系で照明された物体面上での反射光束は対物レンズ5、ビームスプリッタ4、結像レンズ7による受光側光学系を経て物体面と共役位置に設置される受光部8に達する。前記物体表面での中間ボケ像は図2の場合とは異なってピントが合ってくるほどボケてくるから、図4Aの物体6表面上で焦点を結ぶ光点6pに比してフォーカスポイントが拡大する。焦点を結ばないこととフォーカスポイントが拡大することで物体表面上でのフォーカスポイントの高さ方向位置を選択することが出来るから、傷やスペックルなどの散乱光の発生が抑制されたような状態となる。さらにこの物体表面での反射光は結像レンズ7によって共役位置に設置される受光部8上にピントの合った像として結像する。従って外部要因によって変化しにくい像に変質し、強化された安定した像として受光部に投影される。またシリンドリカルレンズ22を照明側光学系中に設置したので光学系全体は縮小系となり、焦点深度が深くなってオートフォーカス可能レンジを拡げることができ、フォーカスエラーの発生を抑えることが出来る。また照明側光学系の構成を適宜設計することによってオートフォーカス可能レンジをコントロールできるから、受光側光学系の倍率が変化してもオートフォーカスのレンジを自由に設定しやすくなる。
このような円形状の中間ボケ像を受光した受光部8は、その出力を演算部10に伝へ演算部10は前記1式を安定した状態で実行し、物体表面位置に対する対物レンズ5焦点位置を算出する。尚、図ではシリンドリカルレンズ22や他の各種レンズ3、5、7を単眼状のものとして示してあるが、その構成枚数や組み合わせについては適宜選択する事が出来る。また対物レンズ5は倍率の異なるものに変換自在であり、シリンドリカルレンズ22の設置位置も光源2とコリメータレンズ3間とする事が出来る。
図8は図7に示した光学系1の照明側光学系を説明する図である。図Aは図7の測定光学系1中、照明光学系の側面図で、図Bはその正面図である。図7のコリメータレンズ3からの光束は図8のシリンドリカルレンズ22を経てビームスプリッタ4、対物レンズ5を経て位置6−1cに線状の像23を結ぶ。この線状の像23は対物レンズ5とシリンドリカルレンズ22によって形成されるピントの合った前側焦線である。また照明光は位置6−1cの光軸延長線上の位置6−1aにピントの合った線状の像24を結ぶ。この線状の像24は対物レンズ5によって形成される後側焦線で、前記の前側焦線23に対し90度回転した像となる。この前側焦線23位置6−1cと後側焦線24位置6−1a間の距離はシリンドリカルレンズ22や対物レンズ5の性能によって異なるが、両位置6−1c、6−1a間の中程の位置6−1bには、ほぼ円形状のボケ像25が形成される。図ではこれを点線の〇として示してあるが、光源2からの光束は、まず位置6−1cで焦点を結びピントの合った横方向の線状前側焦線23となり、次いで徐々にピントがずれていき中程の位置6−1bで円形状のボケ像25となる。そして徐々に線状になって位置6−1aでピントの合った縦方向の線状後側焦線24となる。
図8Bでは点線で示した物体6(この図で物体は側面図となっていて図7とは物体の向きが左右逆となっている)のb面が中間ボケ像25により照明された状態となっている。この状態のとき物体面と照明光の関係を図9Aに示した。この図9Aにおいてb面がボケ像25によって照明されたときa面は前側焦線23位置となり、c面は後側焦線位置となる。従って物体面を照明する光はa面とc面とがピントの合った照明光23、24であり、b面はボケ像25による照明となる。
図10は、物体表面の前側焦線23、中間ボケ像25、後側焦線24が受光部8に投影されたときの像品質を説明するものである。図においてまず中間ボケ像25が物体6のb面を照明しているときについて説明する。この場合、前側焦線23は図9Aのように物体側のa面相当位置に形成され、それが結像レンズ7を介して受光部側のaf位置に23aとして投影される。中間ボケ像25はb面を照明しているから結像レンズ7によって受光部側の位置bfに中間ボケ像25aとして投影される。そして後側焦線24は図9Aのように物体側のc面相当位置に形成され、それが結像レンズ7を介して受光部側の位置cfに24aとして投影される。受光面は物体と共役位置であるbfに設置されるから物体上の2つの焦線23、24は、受光面と離れた位置af、cfにボケ状態の像23a、24aとして投影され、中間ボケ像25は受光面8上にピントの合った品質の強化された中間像25aとして投影される。図10では受光側の2つの焦線23a、24aを点線の○とし、中間像25aを実線○として表してある。
次に図10で前側焦線23が物体6のa面と一致しているときについて説明する。この場合、前側焦線23はピントの合った状態で受光部側の位置bfに実線○の像23aとして投影される。中間のボケ像25は受光部側の位置cfに点線○の中間ボケ像25aとして投影される。後側焦線24も点線○のボケ像24aとして投影される。物体6のc面が後側焦線24と一致しているときは、後側焦線24が受光部側の位置bfに24aとしてピントの合った実線○として投影される。中間ボケ像25は受光部側の位置afに点線○のボケ像25aとして投影され、前側焦線23も点線○像23aとして投影される。
上記のように位置bfに設置される受光部8には、物体a面の前側焦線23aと物体b面の中間ボケ像25aと物体c面の後側焦線24aがピントの合った実線○の像として投影される。従ってこれまで受光部8上の不鮮明な中間ボケ像14aで算出していた物体表面に対する対物レンズ位置は、ピントの合った外部要因に影響されない安定した中間像25aで算出できるようになる。また前記a面の光束23a、c面の光束24aも明瞭に区別し識別することができるから、全体として安定した正確な物体表面を捉えることが出来る。
図11は上記した受光部8に投影される図10のb面像25aと、図3Cのb面像14aの品質について比較する説明図である。図11Aは図10のb面の場合で、結像レンズ7によって物体面と共役位置bfに設置される受光部上に中間ボケ像25aが投影された状態を示している。この場合、物体側の中間ボケ像25がその共役位置である受光部上に像25aとしてそのまま投影されるから、その品質は中間ボケ像25と同程度となる。しかしピントの結ぶべき位置に投影されるから品質が強化され安定した像となる。そのため図では実線の○としてある。これに対し図11Bに示した図3Cのb面の場合は、像として形成されない前側焦線12位置cfと後側焦線13位置afのほぼ中間部位置に中間ボケ像14aとして投影される。従って像14aの品質は物体上に結像した像が投影されているにもかかわらず、安定しないボケ状態のままであり外部要因の影響を受けやすい。図ではこれを点線の○として示してある。
図11Cは上記した図3Cのb面像14aと、図10のb面像25a品質についてさらに説明するものである。一方の点線カーブ27は図3Cに示したb面の中間ボケ像14aが受光部に投影されたときの像濃度を示している。もう1つの実線カーブ28は図10のb面の中間ボケ像25aが受光部に投影されたときの像濃度を示している。前者はピンボケ像で、しかも像濃度は低いのでスペックルの影響を受けやすく、脚部を含めて全体として像周囲の境界が不鮮明になっている。これに対し後者の実線カーブ28はピントの合った実線○の像であり、像濃度は全体として物体面と同様な立ち上がりで物体面と共役位置にあるので像周囲の境界も鮮明となっている。従って図6Aで説明したライン19a、19bのようなバラツキが発生することはなくなり、散乱光も抑制され浄化されるようになる。
図9Aにおいて前側焦線23が物体6のa面を照明すると、受光部8側には図9Bの様に斜体上の像23aが投影される。この像23aは図4Cの像12aに相当するもので、このような斜体像23aを受光部8の4分割フォトダイオードが検出すると、その出力は(pa+pc)<(pb+pd)となる。従って演算部10が実施する前記1式の結果はマイナスとなり、対物レンズ5の位置を図4Eの位置17と判定し、駆動制御部11に対物レンズ5を光源側に移動するよう指令する。なお斜体像23aの方向は4分割フォトダイオード8に対するものなので、物体の形状に合わせて縦または横方向にすることもできる。
図9Aのc面を後側焦線24が照明すると、受光部8側には図9Dのように斜体像24aが投影される。この像24aは図4Dの像13aに相当するもので、このような斜体像24a
を受光部8の4分割フォトダイオードが検出すると、その出力は(pa+pc)>(pb+pd)となる。すると演算部10は対物レンズ5の位置を図4Eの位置18と判定し、駆動制御部11に対物レンズ5を物体側に移動するよう指令する。そして図9Cのように受光部の中心部で円形状の中間ボケ像25aを検出すると、演算部10は前記1式を実行し「0」を出力して駆動制御部11は対物レンズ5を位置16で停止する。
このように受光部8に投影された反射光の検出形状23a、25a、24aが明瞭に区別されて認識されると、図4Eのライン19上で現在位置が迅速に把握され、対物レンズの焦点位置と物体表面間の距離が演算され、対物レンズ5の位置を補正するための方向と距離が算出されてオートフォーカスを実施する。実際に図7に示した対物レンズ5の倍率を50倍として図9Aの物体b面を照明したところ光束25の径は0.1μmであった。これに対し図2で物体b面を照明した光束6p(図4A)の径は0.03μmであった。そしてオートフォーカスの可能レンジは前者が20μmであったのに対し、後者はわずか3μmであった。
図12は物体6面を照明する光束の品質と形状、その光束が受光部8に投影されたときの像品質と形状について説明する図である。図においてA欄は図2の場合を示していて、B欄は図7の場合を示している。
A欄物体側6の中央列30は、物体6のb面上に対物レンズ5からの光点6pがピントの合った状態で照明しているときである。この状態のとき物体6−b面自身は対物レンズ5のピント位置と合っているから、図では光点6Pを実線の〇で、物体6−b面を四角状の実線で表してある。この光点6pが受光部8側に投影されると、シリンドリカルレンズ9の作用によって図の列30のように光点6pが点線の中間ボケ像14aとなり、物体面6−b自身もボケ状態の点線となる。これに対しB欄として示した図7の場合は、物体6側の列30のように対物レンズ5からの光束は中間のボケ像25で点線となるが、物体面6−b自身は実線である。このボケ像25と物体面6−bが受光部8側に投影されると、図の受光部8側、列30のように中間ボケ像25はボケ状態ではあるがピントの合った実線〇の像25aとして投影され、物体面6−b自身もシリンドリカルレンズ22の作用を受けないから実線のピントの合った状態で投影される。
A欄物体側29列は対物レンズ5が列30の状態にあるとき、物体のa面がセットされた場合を示していて、物体面6−a自身は対物レンズ5のピント位置と合っていないから点線となり、照明光も点線のボケ像12となる。これが受光部8側に投影されると図のようにシリンドリカルレンズ9の作用を受けてピントの合った斜体の前側焦線12aとなる。そして物体面6−a自身も前側焦線12aと同じ様にシリンドリカルレンズ9の作用を受けるから斜体になった点線となる。これに対しB欄29列の物体6側ではピントの合った前側焦線23で照明されるが、物体面6−a自身はA欄の物体側と同じ点線である。これが受光部8側に投影されるとB欄29列のように光束23はピントの合わない点線の前側焦線23aとして投影され、物体面自身も点線として投影される。
A欄物体側31列は対物レンズ5が列30の状態にあるとき、物体のc面がセットされた場合を示していて、物体面6−c自身は対物レンズ5のピント位置と合っていないから点線となり、照明光も点線のボケ像13となる。これが受光側8に投影されると図のようにシリンドリカルレンズ9の作用を受けるからボケ像13がピントの合った実線の後側焦線13aとなり、物体面6−c自身も斜体になった点線となる。これに対しB欄31列の物体6側ではピントの合った後側焦線24で照明されるが、物体面6−c自身は点線である。これが受光部8側に投影されると光束24はピントの合わない点線の後側焦線24aとして投影され、物体面自身も点線として投影される。
このようにA欄では物体6側が受光部8側に投影されることによって像品質、形状が全て変化するのに対し、B欄では物体側と受光側が皆同じ形状となっていて、列30での中間ボケ像25aは品質が向上している。このことが前記した像23a、25a、24aの識別化を助け、オートフォーカス精度と応答性の向上となる。また物体面6−b自身も実線状態を持続するが、その効果については次の実施例2で説明する。
図13は実施例2を説明するための光学系概略図で、側定光学系1の側面図となっている。図において光源2からの光束は図7と同様にコリメータレンズ3、シリンドリカルレンズ22、ビームスプリッタ4、対物レンズ5という照明側光学系を経て物体6の表面を照明する。その照明光は図8、図9で説明したように前側焦線23、中間ボケ像25、後側焦線24となり、その反射光が対物レンズ5、ビームスプリッタ4、結像レンズ7という受光側光学系を経てCCDで構成した受光部8−1に投影される。投影される像は図9B、C、Dの像23a、25a、24aようになり、その信号が画像処理部32に伝えられる。画像処理部32はその信号から受光光束の形状を検出して信号線33から演算部10に伝える。演算部10は図7の場合と同様に、図4Eに示したライン19上の位置を算出して駆動制御部11より対物レンズ5に移動を指令する。この実施例2では上記のように受光部8−1をCCDで構成する。そのため受光部8−1での受光状態を画像処理部32で検出し、その結果を実施例1の4分割フォトダイオードが受光したのと同等の信号として演算部10に送り出す。演算部10はこの信号を受けて前記1式を実行し対物レンズ5の位置補正を指令する。こうして物体表面の状態に応じてオートフォーカスを実施していく。
一方、画像処理部32は別の信号線34を介して表示部35に画像情報を伝える。この画像情報について説明する。受光部8−1に投影される像は、図9、10などで説明した物体表面からの反射像23a、25a、24aだけでなく、物体6表面自身の像も図12B欄受光部8側に示した様に投影される。そのため図13では照明側光学系中に第2照明光学系36とハーフミラー37を設置し、物体6面をさらに照明するようにしてある。この第2光学系36で照明される物体面、例えば図12B欄30列に示した物体面6−b自身は、前記のようにピントの合った四角状の実線で表される状態にあるから、受光部8−1にはそのピントの合った物体面6−b自身の像も投影される。受光部8−1に投影されたピントの合った物体面自身の信号は画像処理部32に向かって画像処理され、その画像情報が信号線34から表示部35に伝えられる。このとき受光部8−1に同時に投影されているピントの合った中間ボケ像25aは画像処理部32より演算部10に伝えられる。従って表示部35上で物体面自身の状況を確認しながら、同時的にそのボケ像25aに応じたオートフォーカスを実施していく事が出来る。即ち、受光部8−1をCCDとした画像処理法を採用すれば、通常は対物レンズ5の光軸上移動方向を瞬時に決定する機能が失われる。しかし非点収差法による像23a、25a、24aを同時に受光部8−1に投影することによってそれは救済され、対物レンズの移動方向を瞬時に判断し決定することが出来る。
図12B欄29列と31列の受光部8側では物体表面が点線で示される状態にある。そのため受光部8−1、画像処理部32から伝えられて表示部35に表示される物体表面像はピントが合わない。しかし投影像23a、24aを検出し対物レンズ5を光軸上で順次移動していくことによって、徐々にB欄30列の状態に近づいていく。そして物体面6と対物レンズ5のピントが一致したとき最良の状態での物体面自身像を表示部35上で確認することが出来る。このことは図13の受光側光学系中に図7の4分割フォトダイオードで構成した受光部8を別に設置し、これを切替手段によってCCDで構成した受光部8−1と交互に切り替えて使用するというような操作をしなくとも済む。このようにCCDを受光部8−1として設置することは、装置全体を小形で単純な構造とすることに貢献する。
一方、A欄30列では物体面6−b自身が点線で表記されるピントの合っていない状態にあるから、受光部8−1上でもこれをピントの合った像として検出することが出来ない。ピントの合った照明光6pもピントの合わない点線像14aとして受光部8に投影されるから、結局、物体面6−b自身の像も投影像14aもピントの合った像として検出することが出来ない。そのため表示部35を設置したとしても物体面を確認することとが出来ず、対物レンズ5を物体面に対してピントを合わせることが出来ない。
尚、CCDを受光部8−1として設置したときも図5で説明したようなスペックル20は発生する。しかし既に述べたようにこのスペックルは抑制され浄化されたように作用するので、前記実施例1と同じ効果を受けることが出来る。
更に画像処理部32の機能について説明する。対物レンズ5を任意倍率のものに変換するとレンズ構成や材質差などによってレーザ光源2の波長に対する色収差が変化し、物体表面上での第2照明光学系36と光源2からの光束の焦点位置に差異が生じる。この差異が生じると画像処理部32は第2照明光学系36からの光束と光源2からの光束の、どちらの光束を基準として図4Eに示したライン19上の対物レンズ5位置を算出するか判断に困難が生じ、対物レンズ位置補正に狂いが生じる。従って光源2の波長に対する対物レンズ毎の色収差を予め算出し、又は実測しながらその値を色収差による補正値として画像処理部32に記憶するようにすれば、その補正値で調整された対物レンズ位置を求めることが出来る。予め補正値を記憶させる場合には図13のキーボードやその他の入力部38から補正値を入力し制御部39より画像処理部32に記憶させる。このように色収差による誤差の補正値を記憶することによって、この記憶値と受光部8−1からの反射光検出形状の両方で物体表面に対する対物レンズ位置を求めることが出来る。それによって対物レンズを他の倍率に変換したとき色収差に煩わされない正確な対物レンズ5位置を得ることが出来る。これは対物レンズ5の倍率を変換するときだけでなく、光源36、2を他種のものに変換したようなときや、メーカの異なる対物レンズ同志を使用するようなときにも対応することが出来る。これの場合も含めてここでは単に対物レンズの色収差補正値の記憶と表現する。
図14は実施例3を説明する光学系概略図で、測定光学系1の側面図となっている。この実施例3は照明側光学系からビームスプリッタ4を取り除き、物体6に対して斜め方向からの光で照明するようにしたものである。図において光源からの光束は、図7、13と同様にコリメータレンズ3、シリンドリカルレンズ22、対物レンズ5という照明側光学系を経て物体6の表面を斜め方向から照明する。この照明光は図8、9で説明したように前側焦線23、中間ボケ像25、後側焦線24となり、その反射光を受光側対物レンズ40、結像レンズ7という受光側光学系の共役位置に設置した受光部8に投影する。投影された像は図9のB、C、Dの像23a、25a、24aのようになり、その信号が演算部10に伝えられる。演算部10は伝えられた信号から図4Eのライン19上で対物レンズ5位置を算出し、駆動制御部11より受光側光学系40aに移動を指令する。駆動制御部11からの移動指令信号は図7、13と同様に対物レンズ5に伝えるようにして、この対物レンズ5の移動量に応じて受光側光学系40aを移動するようにしてもよい。
この実施例3では、測定光学系1の構成を物体6表面の斜め方向から照明するようにしたことを特徴としている。それによって物体表面が曲面になっているような場合に威力を発揮し、実施例1、2より正確な測定を実施することが出来る。また照明側光学系と受光側光学系を別個の独立した光学系として取り扱うことが出来、実施例1、2のビームスプリッタ4も除去しているので、よりシンプルな構造の光学系1とすることが出来る。
以上、実施例1、2、3に基づいて説明してきたが、測定光学系1の構造はこれらの例だけでなく、用途に応じて種々変換できることは明らかである。また実施例1では受光部8を4分割フォトダイオードとして説明したが、2分割フォトダイオードなど測定精度に応じて選択することが出来る。この場合演算部10で行われる前記した1式の演算は、分割数に応じたものとなる。
従来の一般的な測定装置を説明する光学系概略図。 従来装置のオートフォーカス機能を説明する光学系概略図。 図2の光学系での受光部側投影状態を説明する図。 受光部に投影される像と演算部の関係を説明する図。 受光部上の投影像とスペックルの関係を説明する図。 演算部に生じるバラツキを説明する図。 実施例1を説明する光学系概略図。 図7の測定光学系中、照明側光学系を説明する図。 物体側照明光と受光部側の投影像について説明する図。 受光部に投影される像品質を説明する図。 図10の投影像と図3Cの投影像を比較する説明図。 物体側の照明光と受光部側の投影像について説明する図。 実施例2を説明する光学系概略図。 実施例3を説明する光学系概略図。
符号の説明
1・・・測定光学系 2・・・半導体レーザ光源 3・・・レンズ 4・・・ビームスプリッタ 5・・・対物レンズ 6・・・物体 7・・・結像レンズ 8・・・受光部 9・・・シリンドリカルレンズ 10・・・演算部 11・・・駆動制御部 12・・・前側焦線 13・・・後測焦線 14・・・中間ボケ像 16・・・交点 17・・・レンズ位置 18・・・レンズ位置 19・・・ライン 20・・・スペックル 22・・・シリンドリカルレンズ 23・・・前側焦線 24・・・後側焦線 25・・・中間ボケ像 27・・・カーブ 28・・・カーブ 32・・・画像処理部 33・・・信号線 34・・・信号線 35・・・表示部 36・・・第2照明光学系 37・・・ハーフミラー 38・・・入力部 39・・・制御部 40・・・対物レンズ 40a・・・受光側光学系

Claims (4)

  1. レーザ光源からの光束を対物レンズに導くコリメータレンズと、コリメータレンズからの光束を受けて物体表面を照明する対物レンズと、前記光源と対物レンズ間に設置したシリンドリカルレンズとで形成した照明側光学系と、
    前記物体表面が照明側光学系で照明されたとき、シリンドリカルレンズの作用によって物体表面に生じる前側焦線、中間部円形状ボケ像、後側焦線を反射光として捉え、これを多分割フォトダイオードで構成した受光部に投影する結像レンズで形成した受光側光学系と、前記受光部に投影された反射光の検出形状に応じて前記対物レンズの焦点位置と物体表面間の距離を演算し、対物レンズ位置を補正するよう駆動制御部に伝える演算部とを備え、物体表面での反射光形状を受光側光学系の共役位置に設置した受光部で検出し、その検出形状に応じて物体表面位置に対する対物レンズ焦点位置を求めるようにしたことを特徴とするオートフォーカス装置。
  2. シリンドリカルレンズと対物レンズ間にビームスプリッタを設置し、このシリンドリカルレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズを経由して物体表面を照明するようにした照明側光学系と、前記物体表面からの反射光を前記対物レンズとビームスプリッタを経由して受光部に投影するようにした受光側光学系としたことを特徴とする前記請求項1記載のオートフォーカス装置。
  3. 受光部をCCDとし、この受光部からの信号を画像処理部から演算部と表示部に伝えるようにしたことを特徴とする前記請求項1、2記載のオートフォーカス装置。
  4. レーザ光源の波長に対する対物レンズ毎の色収差補正値を算出し、これを画像処理部に記憶して受光部での反射光検出形状とこの色収差補正値によって物体表面に対する対物レンズ位置を求めるようにしたことを特徴とする前記請求項3記載のオートフォーカス装置。
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