JP2006153131A - スプリングクラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチばねの疲労破壊を防止することができるようにした耐久性に優れたスプリングクラッチを提供することである。
【解決手段】プーリ1の内側に組み込まれたプーリハブ2を出力軸4とその外側に嵌合されて回り止めされたスリーブ5とで形成する。スリーブ5とプーリ1との間に組み込まれたクラッチばね9の外周をプーリ1の内周に形成された円筒形のクラッチ面12に弾性接触する。このクラッチばね9を軸方向に2分割し、前記スリーブ5の外周にはその外側に設けられた分割クラッチばね9a、9bの末端が当接するストッパ面15aを設ける。プーリ1の一方向の回転時に分割クラッチばね9a、9bを拡径させてクラッチ面12に強く噛み込ませ、プーリ1の回転トルクをプーリハブ2に伝達し、その伝達トルクを分割クラッチばね9a、9bのそれぞれで受けて分割クラッチばね9a、9bの1個当りに付与されるトルク負荷を小さくすることにより耐久性の向上を図る。
【選択図】図1
【解決手段】プーリ1の内側に組み込まれたプーリハブ2を出力軸4とその外側に嵌合されて回り止めされたスリーブ5とで形成する。スリーブ5とプーリ1との間に組み込まれたクラッチばね9の外周をプーリ1の内周に形成された円筒形のクラッチ面12に弾性接触する。このクラッチばね9を軸方向に2分割し、前記スリーブ5の外周にはその外側に設けられた分割クラッチばね9a、9bの末端が当接するストッパ面15aを設ける。プーリ1の一方向の回転時に分割クラッチばね9a、9bを拡径させてクラッチ面12に強く噛み込ませ、プーリ1の回転トルクをプーリハブ2に伝達し、その伝達トルクを分割クラッチばね9a、9bのそれぞれで受けて分割クラッチばね9a、9bの1個当りに付与されるトルク負荷を小さくすることにより耐久性の向上を図る。
【選択図】図1
Description
この発明は、クラッチばねの拡径と縮径とによって入力側部材と出力側部材の相互間で回転トルクの伝達と遮断とを行なうスプリングクラッチに関するものである。
一般に、エンジンのクランク軸の回転をベルト伝動装置によってエンジン補機の回転軸に伝えるようにした補機駆動装置においては、エンジンを急減速した場合、エンジン補機の回転軸に取付けられたプーリも同様に急減速しようとする。このとき、エンジン補機がオルタネータの場合、そのオルタネータの回転軸は慣性力が大きいため、エンジンが急減速されても回転軸は急減速されることはなく、その回転軸上に取付けられたプーリは一定の速度で回り続けようとする。
この場合、クランク軸上のプーリとオルタネータの回転軸上のプーリ間に大きな回転速度差が生じ、ベルトの張力が増大して破損し易くなる。
また、クランク軸は1回転中において角速度が変化しており、その角速度変動に起因してプーリとベルトの間で滑りを生じ、その滑りによってベルトが摩耗し、耐久性が低下することになる。
そのような不都合を解消することができるようにしたクラッチプーリ装置を本件出願人は既に提案している(特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載されたクラッチプーリ装置においては、プーリとその内側に組み込まれたプーリハブとを軸受によって相対的に回転自在に支持し、上記プーリとプーリハブとの間に組み込まれたクラッチばねの外周をプーリの内周に形成された円筒形のクラッチ面に弾性接触させると共に、クラッチばねの末端部をプーリハブに係止し、上記プーリの一方向への回転時にクラッチばねを拡径させてクラッチ面に対する係合力を強め、そのクラッチばねを介してプーリの回転トルクをプーリハブに伝達するようにしている。
また、プーリハブの回転速度がプーリの回転速度を上回った場合に、クラッチばねを縮径させ、プーリのクラッチ面とクラッチばねの外周の接触部で滑りを生じさせてプーリをフリー回転させるようにしている。
特開2004−132436号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたクラッチプーリ装置においては、プーリハブの端部に形成されたうず巻き溝内にクラッチばねの末端部を挿入してプーリハブに係止する構造であるため、トルク伝達時にはクラッチばねの前記うず巻き溝の入口部と対応する位置に折れ曲がり部が形成され、その折れ曲がり部に伝達トルクが集中して大きな応力が発生する。このため、伝達トルクが繰り返し負荷された場合に上記折れ曲がり部が疲労により折損するおそれがあり、耐久性を向上させるうえにおいて改善すべき点が残されていた。
なお、クラッチばねの線材を太くすることによって疲労破壊の防止に効果を挙げることができるが、クラッチの剛性が高くなり、クラッチばねのかみ込み性および組込み性が悪くなるという問題が発生する。
この発明の課題は、クラッチばねの疲労による破損を防止することができるようにした耐久性に優れたスプリングクラッチを提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、入力側部材とその内側に組み込まれた出力側部材とを軸受によって相対的に回転自在に支持し、上記出力側部材を、出力軸と、その出力軸の外側に嵌合されて回り止めされたスリーブとで形成し、上記スリーブと入力側部材間にクラッチばねを組込んでクラッチばねの外周を入力側部材の内周に形成された円筒形のクラッチ面に弾性接触し、上記入力側部材の一方向への回転時にクラッチばねを拡径させて入力側部材の回転を出力側部材に伝達し、入力側部材の他方向への回転時にクラッチばねを縮径させてクラッチばねの外周面とクラッチ面の接触部で滑りを生じさせるようにしたスプリングクラッチにおいて、前記クラッチばねを軸方向に複数に分割し、前記スリーブにはその外側に設けられた分割クラッチばねの末端部から回転トルクが伝達されるトルク伝達部を設けた構成を採用したのである。
ここで、クラッチばねの分割数をxとしたとき、360°/xに相当する角度だけ複数の分割クラッチばねの末端を周方向に位相をずらすと、入力側部材のクラッチ面に対する分割クラッチばねの噛み合い性の向上を図ることができる。
また、トルク伝達部として、スリーブの外周から径方向外方に向くストッパ面を設け、そのストッパ面にクラッチばねの末端を当接させる構成を採用すると、スリーブの端部にうず巻き溝を形成し、そのうず巻き溝にクラッチばねの末端部を挿入して係止する場合に比較してスプリングクラッチの軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
さらに、軸受を分割スリーブ間に配置すると、モーメント負荷の影響を減らし、複数の分割クラッチばねをクラッチ面に対して同時に精度よく係脱させることができる。
この発明に係るスプリングクラッチにおいて、前記スリーブを分割クラッチばねに対応して軸方向に複数に分割してもよい。前記入力側部材をゴムベルトで駆動されるプーリとすると、補機の駆動に適したクラッチ内蔵プーリを得ることができる。
上記のように、クラッチばねを軸方向に複数に分割したことによって、入力側部材から出力側部材へのトルク伝達時、その伝達トルクは複数の分割クラッチばねのそれぞれに負荷される。このため、一つの分割クラッチばねの端末部に付与される負荷トルクは小さくなり、上記端末部の疲労による折損を防止し、耐久性に優れたスプリングクラッチを得ることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は、この発明に係るスプリングクラッチを採用したクラッチプーリ装置を示す。このクラッチプーリ装置は、入力側部材としてのプーリ1と、そのプーリ1の内側に組み込まれた出力側部材としてのプーリハブ2とを有し、上記プーリ1の一端部内周に組み込まれた軸受3によってプーリハブ2が回転自在に支持されている。
プーリハブ2は、出力軸4とその外側に嵌合されたスリーブ5とから成り、上記出力軸4の外周には軸方向に延びる複数の突条6が形成され、一方、スリーブ5の内周には上記突条6が係合する回り止め溝7が形成され、その回り止め溝7と突条6の係合によってスリーブ5は回り止めされている。
出力軸4は、その両端部がスリーブ5の両端より外側に突出する長さとされ、その一端部が前記軸受3によって回転自在に支持されている。
ここで、軸受3はシール付き軸受が採用され、その軸受3によってプーリ1と出力軸4の一端部間が密閉されている。
また、出力軸4の他端部外周にはプーリ1の他端部内周に取付けたシール部材8の内周部が弾性接触し、そのシール部材8によってプーリ1と出力軸4の他端部間が密封されている。
スリーブ5の外周とプーリ1の内周間にはコイルスプリングから成るクラッチばね9が組み込まれている。このクラッチばね9とスリーブ5は軸方向に2分割され、その分割によって得られた2つの分割スリーブ5a、5b間および一方の分割スリーブ5aと軸受3間には合成樹脂の成形品から成る環状のガイドプレート10が組み込まれている。各ガイドプレート10は出力軸4に回り止めされている。
分割スリーブ5a、5bのそれぞれは合成樹脂の成形品から成り、一方の分割スリーブ5aの一端部外周にはフランジ11が設けられ、そのフランジ11間に分割クラッチばね9aが組み込まれている。また、他方の分割スリーブ5bの両端部外周にはフランジ11が設けられ、そのフランジ11間に分割クラッチばね9bが組み込まれている。
分割クラッチばね9a、9bのそれぞれは断面が角形の線材から成り、その外周はプーリ1の内周に形成された円筒形のクラッチ面12に弾性接触し、その接触部は軸受3とシール部材8間に封入されたグリースによって潤滑される。
分割スリーブ5a、5bとその外側に設けられた分割クラッチばね9a、9bの相互間には、プーリ1の一方向の回転トルクを各分割スリーブ5a、5bに伝達するトルク伝達部13が設けられている。
図2は、分割スリーブ5aと分割クラッチばね9aの相互間に設けられたトルク伝達部13を示す。このトルク伝達部13は分割スリーブ5aの一端部外周に嵌合凹部14を形成し、その嵌合凹部14にストッパ片15の一部を嵌合して固定し、そのストッパ片15の一側のストッパ面15aに分割クラッチばね9aの末端を衝合させて、分割クラッチばね9aの末端が周方向の一方にずれ動くのを防止する構成としている。
ここで、分割スリーブ5bとその外側に設けられた分割クラッチばね9bの相互間に設けられたトルク伝達部13は上述のトルク伝達部13と同一の構成であるため、図では省略している。
なお、分割クラッチばね9a、9bの末端部を分割スリーブ5a、5bに連結して、上記末端部のずれ動きを防止するようにしてもよい。
実施の形態で示すクラッチプーリ装置は上記の構造から成り、エンジン補機としてのオルタネータの駆動に際しては、そのオルタネータの回転軸にプーリハブ2を取付けて回り止めし、プーリ1の外周にかけられるベルトを介してクランクシャフトの回転をプーリ1に伝達する。
上記のような使用状態において、クランクシャフトが回転すると、プーリ1が図2の矢印で示す方向に回転する。このとき、分割クランクばね9a、9bがクラッチ面12との接触により拡径して、クラッチ面12に対する圧接係合力が増大し、その分割クラッチばね9a、9bを介してプーリ1の回転がプーリハブ2に伝達され、オルタネータの回転軸が回転される。
オルタネータの駆動時、エンジンの急減速等によってプーリハブ2の回転速度がプーリ1の回転速度を上回ると、分割クラッチばね9a、9bが縮径してクラッチ面12に対する圧接係合力が弱くなり、各分割クラッチばね9a、9bとクラッチ面12の接触部において滑りが生じ、プーリ1はフリー回転する。
このように、プーリハブ2の回転速度がプーリ1の回転速度を上回るとプーリ1がフリー回転するため、プーリ1とベルトの接触部での滑りが防止される。
実施の形態で示すように、クラッチばね9を軸方向に2分割して2つの分割クラッチばね9a、9bを設けたことにより、プーリ1からプーリハブ2へのトルク伝達時、その伝達トルクは2つの分割クラッチばね9a、9bに負荷されることになる。このため、一つの分割クラッチばね9a、9bの端末部に負荷される負荷トルクは小さく、上記伝達トルクが繰り返し負荷されても端末部が疲労によって折損することもなく、耐久性に優れたクラッチプーリ装置を得ることができる。
また、分割スリーブ5a、5bの一端部外周にストッパ片15を取付け、そのストッパ片15の一側のストッパ面15aに分割クラッチばね9a、9bの末端を衝合させ、その衝合部からプーリハブ2にトルク伝達することにより、分割スリーブの端部にうず巻き溝を形成し、そのうず巻き溝にクラッチばねの末端部を挿入し、かつ係止して、その係止部からプーリハブ2にトルク伝達を行なう場合に比較してクラッチプーリ装置の軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
図4は、クラッチプーリ装置の他の実施形態を示す。この実施形態では、分割クラッチばね9a、9bの末端を周方向に180°位相をずらした構成としている。このように、分割クラッチばね9a、9bの末端の位相を180°ずらすことによって、各分割クラッチばね9a、9bのクラッチ面12に対する噛み合い性の向上を図ることができる。
図5は、クラッチプーリ装置のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、分割スリーブ5a、5b間に軸受3を配置し、プーリ1と出力軸4の両端部間をシール部材8で密封している。
上記のように、プーリ1とプーリハブ2とを相対的に回転自在に支持する軸受3を分割スリーブ5a、5b間に配置すると、モーメント負荷の影響を減らし、2つの分割クラッチばね9a、9bをクラッチ面12に対して同時に精度よく係脱することができる。
各実施の形態では、スリーブ5およびクラッチばね9を軸方向に2分割したが、分割数はこれに限定されるものではなく、3つ以上に分割してもよい。
また、実施の形態ではスリーブ5を分割クラッチばね9a、9bに対応して軸方向に複数に分割したが、分割せずに単一のものであってもよい。この場合、上記スリーブ5に分割クラッチばねに対応してストッパ面を設けることにより、実施の形態で示すスプリングクラッチと同じ作用効果を得ることができる。
1 プーリ(入力側部材)
2 プーリハブ(出力側部材)
3 軸受
4 出力軸
5 スリーブ
5a、5b 分割スリーブ
9 クラッチばね
9a、9b 分割クラッチばね
12 クラッチ面
13 トルク伝達部
15a ストッパ面
2 プーリハブ(出力側部材)
3 軸受
4 出力軸
5 スリーブ
5a、5b 分割スリーブ
9 クラッチばね
9a、9b 分割クラッチばね
12 クラッチ面
13 トルク伝達部
15a ストッパ面
Claims (6)
- 入力側部材とその内側に組み込まれた出力側部材とを軸受によって相対的に回転自在に支持し、上記出力側部材を、出力軸と、その出力軸の外側に嵌合されて回り止めされたスリーブとで形成し、上記スリーブと入力側部材間にクラッチばねを組込んでクラッチばねの外周を入力側部材の内周に形成された円筒形のクラッチ面に弾性接触し、上記入力側部材の一方向への回転時にクラッチばねを拡径させて入力側部材の回転を出力側部材に伝達し、入力側部材の他方向への回転時にクラッチばねを縮径させてクラッチばねの外周面とクラッチ面の接触部で滑りを生じさせるようにしたスプリングクラッチにおいて、前記クラッチばねを軸方向に複数に分割し、前記スリーブにはその外側に設けられた分割クラッチばねの末端部から回転トルクが伝達されるトルク伝達部を設けたことを特徴とするスプリングクラッチ。
- 前記クラッチばねの分割数をxとしたとき、360°/xに相当する角度分だけ複数の分割クラッチばねの末端を周方向に位相をずらした請求項1に記載のスプリングクラッチ。
- 前記トルク伝達部が、分割クラッチばねの末端が当接されるストッパ面から成る請求項1又は2に記載のスプリングクラッチ。
- 前記スリーブを分割クラッチばねに対応して軸方向に複数に分割した請求項1乃至3のいずれかに記載のスプリングクラッチ。
- 前記軸受を分割スリーブ間に配置した請求項1乃至4のいずれかに記載のスプリングクラッチ。
- 前記入力側部材がゴムベルトによって駆動されるプーリである請求項1乃至5のいずれかに記載のスプリングクラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004344051A JP2006153131A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | スプリングクラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004344051A JP2006153131A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | スプリングクラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006153131A true JP2006153131A (ja) | 2006-06-15 |
Family
ID=36631680
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004344051A Pending JP2006153131A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | スプリングクラッチ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006153131A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012229769A (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-22 | Nok Corp | トルク変動吸収プーリユニット |
-
2004
- 2004-11-29 JP JP2004344051A patent/JP2006153131A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012229769A (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-22 | Nok Corp | トルク変動吸収プーリユニット |
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