JP2006152401A - マグネシウム合金素材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鍛造加工といった塑性加工性に優れる高Al含有のマグネシウム合金素材、この素材の製造方法、この素材に鍛造加工を施したマグネシウム合金成形体を提供する。
【解決手段】 質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなり、200℃における限界据込み率が50%以上であるマグネシウム合金素材である。このような素材は、上記組成を有する母材に350℃超450℃以下の溶体化処理を施し、この溶体化処理材を引き抜いた後、この引抜材に300℃以上450℃以下の焼鈍を施すことで得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鍛造加工性に優れる高Al含有のマグネシウム合金素材、この素材の製造方法、及びこの素材に鍛造加工を施したマグネシウム合金成形体に関するものである。
マグネシウム合金は、アルミニウムよりも軽く、比強度、比剛性が鋼やアルミニウムよりも優れており、航空機部品、自動車部品などの他、各種電気製品のボディーなどに広く利用されてきている。また、特許文献1に記載されるようにマグネシウム合金からなる押出材を引き抜くことで機械的特性に優れるマグネシウム合金ワイヤが得られるようになってきている。
特開2003-293069号公報
引き抜きにより得られたマグネシウム合金ワイヤは、特許文献1に記載されるように機械的特性に優れることから、ばね加工といった塑性加工を施すことができる。しかし、特許文献1では、ばね加工以外の塑性加工については十分な検討がなされていない。特に、Alの含有量が多いマグネシウム合金についての鍛造加工性については検討されていない。マグネシウム合金では、Alの含有量が多くなるほど塑性加工性が低下する。そのため、本発明者らが検討した結果、高Al含有のマグネシウム合金を用いて従来のマグネシウム合金ワイヤと同様の条件で製造したワイヤでは、鍛造加工性が低い、特に、200℃における限界据込み率が50%以上といった強加工での鍛造加工性が低いとの知見を得た。
そこで、本発明の主目的は、高Al含有のマグネシウム合金において鍛造加工性に優れるマグネシウム合金素材、及びこの素材の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記マグネシウム合金素材からなるマグネシウム合金成形体を提供することにある。
高Al含有のマグネシウム合金に対し、引抜前に特定条件の溶体化処理を施すと共に、引抜後に特定条件の焼鈍を施すことで、鍛造加工性に優れるマグネシウム合金素材が得られるとの知見に基づき、本発明を規定する。
即ち、本発明マグネシウム合金素材は、質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなり、200℃における限界据込み率が50%以上であることを特徴とする。このような強加工での鍛造加工性に優れる本発明マグネシウム合金素材は、以下の製造方法により得ることができる。即ち、本発明マグネシウム合金素材の製造方法は、質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金母材を用意する工程と、この母材に350℃超450℃以下の溶体化処理を施す工程と、溶体化処理が施された処理材を引き抜く工程と、引き抜かれた引抜材に300℃以上450℃以下の熱処理を施す工程とを具えることを特徴とする。
また、上記製造方法により得られるマグネシウム合金素材は、以下に示す少なくとも一つの特性を満たす。
1. 10μm×10μmの範囲内に1μm以上の析出物が3個以上20個以下である
2. 引張強度が330MPa以上であり、かつ伸びが13%以上である
ASTMにおけるAZ31材やAZ61材といったAl含有量が7.5質量%未満であるマグネシウム合金材は、マグネシウム合金のなかでも比較的塑性加工性に優れており、鍛造加工などの塑性加工を行うことができる。しかし、耐食性の向上を考慮すると、Alの含有量がより多いことが望まれる。ところが、Alの含有量の増加に伴い、塑性加工性が低下するため、従来の製造条件により得られた7.5質量%以上の高Al含有マグネシウム合金材では、200℃における限界据込み率が50%以上、特に60%以上といった強加工の鍛造加工を行うことがほとんどできなかった。そこで、本発明者ら、高Al含有マグネシウム合金に対し、鍛造加工性を高めるべく、種々検討した結果、析出物や機械的特性を制御することが好ましいとの知見を得た。この知見に基づき、本発明マグネシウム合金素材を規定する。また、このような鍛造加工性に優れる素材、特に強加工における鍛造加工性に優れる素材を得るべく、本発明マグネシウム合金素材の製造方法を規定する。以下、本発明を詳しく説明する。
本発明マグネシウム合金素材は、Alを7.5質量%以上10.5質量%以下含有するマグネシウム合金を用いて製造される。Al以外に更に、質量%でMn:0.1〜2.0%、Zn:0.1〜7.0%から選択される元素を1種以上含むマグネシウム合金を適用してもよい。具体的には、例えば、ASTM記号におけるAZ系、AM系などが利用できる。AZ系では、例えば、AZ80、AZ91が挙げられる。AM系では、例えば、AM100などが挙げられる。更に、質量%でSi:0.01〜5.0%、Ca:0.01〜5.0%から選択される元素を1種以上含んだものを利用してもよい。これらの元素を添加することで、難燃性の向上を図ることができる。なお、不純物は、Fe、Cu、Niなどが挙げられ、これらの含有量は、合計で0.01質量%以下であることが好ましい。
マグネシウム単体では十分な強度を得ることが難しいが、上記の添加元素を含むことで好ましい強度が得られる。また、このようなマグネシウム合金を用いて上記製造方法により製造することで、鍛造加工といった塑性加工性に優れる高Al含有のマグネシウム合金素材を得ることができる。
本発明マグネシウム素材は、線状体、又は棒状体の線材(ワイヤ)とする。横断面形状は、円形状でもよいし、非円形状、例えば、楕円や矩形、多角形の異形であってもよい。本発明素材の断面形状を非円形状にするには、引き抜きの際に用いる伸線ダイスの形状を変えることで容易に対応できる。
そして、本発明マグネシウム合金素材は、鍛造加工といった塑性加工性を向上するべく、上記のように析出物を制御する。具体的には、10μm×10μmの範囲内に1μm以上の析出物が3個以上20個以下とする。より好ましくは、10個以上18個以下である。また、析出物の最大径は3μm以下であることがより好ましい。引抜前の溶体化処理や引抜後の熱処理により、Mg17Al12といった金属間化合物が析出される。析出される金属間化合物のうち粗大なものは、鍛造加工の際、割れなどの起点となり鍛造加工性の低下を招く。従って、本発明では、1μm以上といった粗大な金属間化合物の個数を規定する。このような粗大な析出物は、少ない方が好ましく、その大きさや個数は、溶体化処理や焼鈍といった熱処理条件により制御することができる。具体的には、溶体化温度を350℃超450℃以下、好ましくは380℃以上420℃以下とし、焼鈍温度を300℃以上450℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下とすることで、析出物を小さめにする、特に、最大径を3μm以下とすることができる。加えて、粗大な析出物の個数を低減する、特に、1μm以上の析出物を20個以下とすることができる。溶体化温度が350℃以下の場合、Alの固溶化を十分に行うことができず、個数が1,2個と少なくても最大径が8μm以上といった非常に大きな析出物が存在する恐れがある。このような大きな析出物は、割れなどの起点となるため、鍛造加工性の低下を招く。溶体化温度が450℃超では、合金が溶融したり燃焼する恐れがあり好ましくない。焼鈍温度が300℃未満では、1μm以上の析出物が20個超となり、割れなどが生じ易くなり、また、温度が低過ぎると、熱処理不足により機械的特性の低下を招き、鍛造加工性の向上効果が得られにくい。焼鈍温度が450℃超では、合金が溶融したり燃焼する恐れがあり好ましくない。
上記析出物は、10μm×10μmの範囲内で測定する。より具体的には、素材の横断面において、任意の一箇所以上でSEMを用いて倍率:1000〜5000倍で組織観察を行い、上記規定範囲内に存在する析出物においてその「長さ」を測定し、長さが1μm以上の析出物の個数を求める。断面における析出物は円形状や矩形状などの種々の形状があり、その長さは種々測定できるが、本発明では、その長さのうち、最も長いものを析出物の「長さ」として採用する。複数箇所において析出物の個数を求めた場合、その平均を用いてもよい。複数断面(例えば、2断面以上)について行ってもよいし、一断面につき複数箇所(例えば、5箇所以上)について行ってもよい。また、範囲内に存在する各析出物の「長さ」のうち、最も大きな値をその範囲における最大径とするとよい。複数箇所で測定を行った場合も測定した全ての長さのうち、最も大きな値を最大径とするとよい。
また、本発明マグネシウム合金素材は、鍛造加工を向上するべく、析出物以外の特性として、機械的特性を制御する。具体的には、引張強度を330MPa以上、伸びを13%以上とする。より好ましくは、引張強度:360MPa以上、伸び:15%以上である。引張強度が330MPa未満又は伸びが13%未満では、鍛造加工性の向上効果が得られにくい。特に上限を設けないが、本発明製造方法により製造する場合、引張強度は、420MPa程度、伸びは、18%程度が得られる。機械的特性は、上記のように引抜前後に施す熱処理条件により制御することができる。具体的には、溶体化温度を350℃超450℃以下、好ましくは380℃以上420℃以下とし、焼鈍温度を300℃超450℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下とすることで、強度と靭性に優れた素材とすることができる。溶体化温度が350℃以下の場合、強度及び靭性が低く、450℃超の場合、合金が溶融したり燃焼する恐れがあり好ましくない。焼鈍温度が300℃未満では、靭性が低めになり、450℃超では、合金が溶融したり燃焼する恐れがあり好ましくない。
上記のように析出物の規定及び機械的特性の規定のうち、少なくとも一方を満たす本発明マグネシウム合金素材は、優れた鍛造加工性を有する。具体的には、200℃における限界据込み率が50%以上である。本発明において限界据込み率は、「鍛造」(社団法人日本塑性加工学会編、コロナ社出版1995年8月155-156ページ)に記載される「金属材料の冷間据込み性試験方法(暫定基準)」に準じ、耐圧板により試験片を圧縮する際、試験片を200℃に加熱した状態で行うものとする。
このような本発明マグネシウム合金素材は、特定量のAlを含有するマグネシウム合金からなる母材に特定条件の溶体化処理、引抜加工、特定条件の焼鈍を順に施すことで得られる。利用する母材は、鋳造材を押し出した押出材、鋳造材を圧延した圧延材などが挙げられる。押し出しや圧延を行う前に別途、溶体化処理(以下、この溶体化処理をプレ処理と呼ぶ)を施してもよい。このプレ処理条件としては、例えば、温度:380〜420℃、保持時間:1〜20時間が挙げられる。
そして、伸線ダイスを用いて引抜加工前の上記母材に対し、本発明では、溶体化処理を施す。この溶体化処理は、温度:350℃超450℃以下とする。より好ましくは、380℃以上420℃以下である。保持時間は、1〜30時間が挙げられ、好ましくは、5〜20時間である。
更に、上記溶体化処理材を引き抜いた引抜材に対し、本発明では、焼鈍を施す。この焼鈍は、温度:300℃以上450℃以下とする。より好ましくは、300℃以上400℃以下である。保持時間は、5〜60分が挙げられ、好ましくは、20〜30分である。
本発明は、引抜前後において、上記特定条件で熱処理を施すことで、200℃における限界据込み率が50%以上といった鍛造加工性に優れるマグネシウム合金素材を提供することができる。また、上記特定条件で熱処理を施すことで、析出物の制御や機械的特性の制御を行うことができる。
引き抜き条件としては、加工温度への昇温速度:1℃/sec〜100℃/sec、加工温度:100℃以上300℃以下(より好ましく150℃〜200℃)、線速:1m/min以上、1パスあたりの加工度(断面減少率):10%以上、トータル加工度(断面減少率):15%以上、引抜加工後の冷却速度:0.1℃/sec以上が挙げられる。加工温度が100℃未満であると、引き抜き途中で断線する恐れがあり、加工温度が高いほど引抜加工性が向上して好ましいが、300℃を超えると強度の低下を招く恐れがある。1パスあたりの加工度を10%以上とすることで、強度に優れた素材とすることができる。より好ましい1パス当たりの加工度は20%以上である。ただし、加工度が大きくなりすぎると実際に加工できないため、1パス当たりの加工度の上限は30%程度以下である。また、引抜加工は、1パスのみとしてもよいが、伸線ダイスを複数用いて、多段階に行うこともできる。このとき、トータルの断面減少率は15%以上、特に、25%以上とすることが好ましい。冷却速度が0.1℃/secを下回ると結晶粒の成長を促進してしまうため、好ましくない。冷却手段には衝風などが挙げられ、冷却速度の調整は風速、風量などにより行うことができる。
なお、多パスの引抜加工を行う場合は、1パスごとに上記焼鈍を行ってもよいし、数パスごとに焼鈍を行ってもよいし、全パス終了後のみに焼鈍を行ってもよい。少なくとも最終パス終了後に焼鈍を行う。
上記鍛造加工性に優れた本発明マグネシウム合金素材は、鍛造加工用素材に適する。特に、本発明素材は、限界据込み率が50%以上といった強加工が可能である。このような本発明マグネシウム合金素材に鍛造加工が施されて得られた本発明マグネシウム合金成形体は、軽量で、かつ強度や剛性に加え、耐食性にも優れるものであるため、例えば、自転車のクランクなどの自転車用部品、その他自動車部品などに好適に利用できる。
以上説明したように本発明マグネシウム合金素材によれば、高Al含有材でありながら、鍛造加工といった塑性加工を行うことができるという特有の効果を奏し得る。特に、強加工の鍛造加工を施すことができる。更に、本発明マグネシウム合金素材の製造方法によれば、上記鍛造加工性に優れるマグネシウム合金素材を生産性よく製造することができる。そして、本発明マグネシウム合金素材に鍛造加工を施したマグネシウム合金成形体は、軽量で高強度であり、耐食性が求められる種々の分野の材料として好適に利用することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例1)
AZ91相当合金(質量%でAl:9.0%、Zn:0.7%、Mn:0.32%を含み、残部がMg及び不純物)を用意し、各合金を溶解鋳造して押し出し、直径φ15mmの押出材を得た。この押出材にプレ処理(410℃×1時間)を施した後、スウェージング処理を施して直径φ13mmの棒状の母材を得た。得られた母材に410℃×7時間の溶体化処理を施した後、引抜加工を行い、直径φ7mmの引抜材を得た。引抜加工は、加工温度:150〜200℃、加工温度への昇温速度:20℃/sec、1パスあたりの加工度:10〜15%(トータル加工度:71%)、線速:3m/min、引抜後の冷却速度:約1℃/secとした。得られた引抜材に表1に示す温度にて焼鈍を行い(保持時間:1時間)、マグネシウム合金素材を得た。
得られたマグネシウム合金素材を横方向に切断して組織観察(SEMを利用、倍率:5000倍)を行い、析出物の最大径(μm)と、1μm以上の析出物の個数(個/100μm2)を調べた。具体的には、断面において任意の箇所で特定面積(10μm×10μm)内に存在するの析出物についてそれぞれ長さを求めた。この「長さ」は、その析出物の長さのうち、最も大きいものを採用し、この最も大きい「長さ」が1μm以上の析出物の個数を調べた。また、この例では、異なる2断面のそれぞれ1箇所において1μm以上の析出物の個数を調べ、2断面の平均個数を表1の析出物の分布に示す。そして、調べた析出物の「長さ」のうち、最も大きい値を最大径とした。
また、得られたマグネシウム合金素材について引張強度TS(MPa)と伸びEL(%)を測定した。その結果を表1に示す。
更に、得られたマグネシウム合金素材に対し、鍛造加工性を評価した。評価は、「鍛造」(社団法人日本塑性加工学会編、コロナ社出版1995年8月155-156ページ)に記載される金属材料の冷間据込み性試験方法に準じ、試験片を200℃に加熱し、歪み速度0.1/secとして行い、限界据込み率(%)を求めることで行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006152401
表1に示すように300℃以上450℃以下の焼鈍を施したマグネシウム合金素材(試料No.1-4〜1-7)は、限界据込み率が70%以上と優れた鍛造加工性を示すことがわかる。特に、これらの素材のうち、300〜400℃の焼鈍を施した素材は、より鍛造加工性に優れていた。また、これらの素材(試料No.1-4〜1-7)は、1μm以上の析出物が3〜20個で、引張強度330MPa以上、伸び13%以上を満たすものであることがわかる。
これに対し、焼鈍温度が300℃未満のマグネシウム合金素材(試料No.1-1〜1-3)では、上記試料No.1-4〜1-7と比較して、限界据込み率が低く、鍛造加工性が劣っていることがわかる。また、1μm以上の析出物が多かったり、機械的特性に劣っていることがわかる。なお、得られた引抜材に対し、480℃の温度にて焼鈍を実施したが、引抜材の一部が溶融又は燃焼してしまい、析出物の測定や据込試験を行うことが可能な試料が得られなかった。
(試験例2)
AZ91相当合金(質量%でAl:9.1%、Zn:0.7%、Mn:0.55%を含み、残部がMg及び不純物)を用意し、各合金を溶解鋳造して直径φ15mmの鋳造材を得た。この鋳造材にプレ処理(410℃×1時間)を施した後、スウェージング処理を施して直径φ13mmの棒状の母材を得た。得られた母材に表2に示す条件で溶体化処理を施した後(保持時間:7時間)、引抜加工を行い、直径φ7mmの引抜材を得た。引抜加工は、試験例1と同様の条件で行った。得られた引抜材に350℃で焼鈍を行い(保持時間:1時間)、マグネシウム合金素材を得た。
得られたマグネシウム合金素材に対し、試験例1と同様にして、析出物の最大径(μm)、1μm以上の析出物の個数(個/100μm2)、引張強度TS(MPa)、伸びEL(%)を調べた。その結果を表2に示す。また、得られたマグネシウム合金素材に対し、鍛造加工性を評価した。評価は、試験例1と同様の条件で据込み試験を行い、限界据込み率(%)を求めることで行った。その結果を表2に示す。
Figure 2006152401
表2に示すように350℃超450℃以下の溶体化処理を施したマグネシウム合金素材(試料No.2-3〜2-6)は、限界据込み率が70%以上と優れた鍛造加工性を示すことがわかる。特に、これらの素材のうち、380〜420℃の溶体化処理を施した素材は、より鍛造加工性に優れていた。また、これらの素材(試料No.2-3〜2-6)は、1μm以上の析出物が3〜20個、及び引張強度330MPa以上でかつ伸び13%以上を満たすものであることがわかる。
これに対し、溶体化温度が350℃以下のマグネシウム合金素材(試料No.2-2)、引抜前に溶体化処理を行っていないマグネシウム合金素材(試料No.2-1)では、上記試料No.2-3〜2-6と比較して、限界据込み率が低く、鍛造加工性が劣っていることがわかる。また、これらの素材は、最大径が非常に大きな析出物が存在したり、機械的特性に劣っていることがわかる。なお、溶体化温度を480℃とした場合、溶体化処理時に燃焼してしまい、組織観察や機械的特性を調べることができなかった。
(試験例3)
AM100相当合金(質量%でAl:10.3%、Zn:0.2%、Mn:0.1%を含み、残部がMg及び不純物)を用意し、各合金を溶解鋳造して押し出し、直径φ15mmの押出材を得た。この押出材にプレ処理(410℃×1時間)を施した後、スウェージング処理を施して直径φ13mmの棒状の母材を得た。得られた母材に410℃×7時間の溶体化処理を施した後、引抜加工を行い、直径φ7mmの引抜材を得た。引抜加工は、試験例1と同様の条件とした。得られた引抜材に350℃×1時間の焼鈍を行い、マグネシウム合金素材を得た。得られたマグネシウム合金素材に対し、試験例1と同様にして、析出物の最大径(μm)、1μm以上の析出物の個数(個/100μm2)、引張強度TS(MPa)、伸びEL(%)、限界据込み率(%)を求めた。その結果、最大径の最大値:2.8μm、個数:20個/100μm2、TS:369MPa、EL:15%、限界据込み率:80%であり、鍛造加工性に優れていた。
これら試験例1〜3により、高Al含有のマグネシウム合金素材を得るには、引抜前後における熱処理条件を特定することで、鍛造加工性に優れた素材とすることができることが確認された。
本発明マグネシウム合金素材は、鍛造加工用素材として好適である。特に、比較的強加工の鍛造加工性に優れるため、強加工を行う鍛造加工用素材として利用することができる。また、本発明マグネシウム合金素材の製造方法は、上記鍛造加工性に優れる素材の製造に適する。この素材に鍛造加工を施した本発明成形体は、例えば、自転車のクランクといった自転車部品や、種々の自動車部品に利用することができる。

Claims (8)

  1. 質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金素材であって、
    200℃における限界据込み率が50%以上であることを特徴とするマグネシウム合金素材。
  2. 質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金素材であって、
    10μm×10μmの範囲内に1μm以上の析出物が3個以上20個以下であることを特徴とするマグネシウム合金素材。
  3. 析出物の最大径が3μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のマグネシウム合金素材。
  4. 質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金素材であって、
    引張強度が330MPa以上であり、かつ伸びが13%以上であることを特徴とするマグネシウム合金素材。
  5. 更に、質量%でMn:0.1〜2.0%、Zn:0.1〜7.0%から選択される元素を1種以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマグネシウム合金素材。
  6. 質量%でAl:7.5〜10.5%を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金母材を用意する工程と、
    前記母材に350℃超450℃以下の溶体化処理を施す工程と、
    前記溶体化処理が施された処理材を引き抜く工程と、
    前記引き抜かれた引抜材に300℃以上450℃以下の焼鈍を施す工程とを具え、
    200℃における限界据込み率が50%以上であるマグネシウム合金素材を製造することを特徴とするマグネシウム合金素材の製造方法。
  7. 更に、質量%でMn:0.1〜2.0%、Zn:0.1〜7.0%から選択される元素を1種以上含む母材を用いることを特徴とする請求項6に記載のマグネシウム合金素材の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム合金素材に鍛造加工を施して製造されたことを特徴とするマグネシウム合金成形体。
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