JP2006151710A - 耐熱性被覆部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空不活性雰囲気又は還元雰囲気下において金属又はセラミックスの溶解焼結又は熱処理を行う際に、該金属又はセラミックスと反応や溶着を起こし難く耐熱性と緻密性が優れしかも炭素質材との密着性が優れた皮膜を被覆した耐熱性被覆部材を提供することである。
【解決手段】熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材である。
【選択図】なし

Description

本願発明は、真空不活性雰囲気又は還元雰囲気下において金属又はセラミックスを溶解焼結又は熱処理を行う際に使用する耐熱性被覆部材に関する。
超硬合金やサーメット等を真空焼結する際に用いる敷板には軽量で高温強度の高い炭素質材が多く使用されておりその表面にカーボンブラックや窒化アルミニウム等の粉末を塗布することにより超硬合金等との反応と溶着を防いでいる。これらの具体的な例として以下の特許文献1〜5が開示されている。
特許文献1は、炭素基板の上に酸化ジルコニウムとスピネル構造を有する金属酸化物等との皮膜を膜厚10〜100μm被覆してなる耐熱性複合材料が記載され、特許文献2は、20〜50wt%のZrOを含むY−ZrO複合物の溶射皮膜を形成した焼結用グラファイトトレーが、特許文献3は、20wt%以下のZrOを含有するY等を10μm以上の平均厚さ被覆したグラファイトトレーが、特許文献4は、希土類元素含有酸化物を主成分とする層、特許文献5は、ランタン系希土類金属酸化物を主成分とする層が提案されている。
特公昭61−43318号公報 特開2002―179485号公報 特表2000―509102号公報 特開2003―73794号公報 特開2003―82402号公報
特許文献1、2は、皮膜中にクラックが入りやすく、焼結に数回用いると皮膜が剥がれてしまう欠点があり、特許文献3は、Y外層の緻密性が劣るため、焼結に数回用いると皮膜が変質し、皮膜中にクラックが入り皮膜が剥がれてしまうとともに、焼結合金中のCやCoがY皮膜中に拡散し、焼結合金が溶着し易くなってしまう欠点がある。特許文献4、5は、狭義の希土類元素、即ち、原子番号57〜71までのランタン系希土類元素のみを用いており、Yを希土類元素として発明の範囲内に扱っていない。ランタン系希土類元素はYに比べて、酸化物の耐熱安定性が低いため、いずれも焼結に数回用いると皮膜中にクラックが入り、皮膜が剥がれてしまう欠点がある。
本発明が解決しようとする課題は、真空不活性雰囲気又は還元雰囲気下において金属又はセラミックスの溶解焼結又は熱処理を行う際に該金属又はセラミックスと反応や溶着を起こし難く耐熱性と緻密性が優れしかも炭素質材との密着性が優れた皮膜を被覆した耐熱性被覆部材を提供することである。
本願発明は、熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材である。本構成を採用することにより、金属又はセラミックスとの反応や溶着が起こり難い皮膜を炭素質材の表面に密着性良く被覆し耐熱性と緻密性が優れしかも繰り返し使用可能な回数が多い長寿命の耐熱性被覆部材を実現できる。
本願発明は、該皮膜中のW含有量が5〜15質量%であり、該皮膜の厚さが20〜200μmであり、該炭素質材と該皮膜の間に少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地層を設け、1475℃の真空雰囲気中で20時間保持した後に炭素質材と該皮膜及び/又は該下地層の界面近傍に皮膜及び/又は該下地層を形成する金属成分の炭化物が形成されていること、更に、該耐熱性被覆部材は、超硬合金又はサーメットを焼結するための焼結用冶具である。
本願発明によって、真空不活性雰囲気又は還元雰囲気下において金属又はセラミックスの溶解焼結又は熱処理を行う際に金属又はセラミックスとの反応や溶着が起こり難く耐熱性と緻密性が優れしかも炭素質材との密着性が優れた皮膜を実現し繰り返し使用出来る産業的に最適な耐熱性被覆部材を提供することができた。
本願発明は、基材として熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の黒鉛質或いはカーボン質の炭素質材を用いることにより軽量且つ高温強度の高い基材が実現でき、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆していることにより耐熱性と緻密性が高い皮膜を炭素質材の表面に密着性良く被覆することができるようになる。これにより、金属又はセラミックスが反応又は溶着し難くしかも寿命の長い耐熱性被覆部材が実現できる。更に好ましい炭素質材の熱膨張係数は4×10−6〜7.3×10−6/℃である。これはYの熱膨張係数が8.9×10−6℃であるから炭素質材の熱膨張係数が比較的大きい本願発明の皮膜の熱膨張係数に近づき炭素質材と皮膜間との熱膨張係数の差が小さいことからクラックや剥離等が発生し難くなりより長寿命の耐熱性被覆部材が実現できる。
Yと伴にWを少量含有していることにより粒界等の一部にY12の液相等が出来Y等のY酸化物を主とする皮膜の緻密性が高まる。皮膜中のWと炭素質材中の炭素とが反応しWCやWC等Wの炭化物を作り皮膜と炭素質材間に優れた密着性が実現される。これに対して皮膜がYのみの酸化物からなっている場合は皮膜の緻密性が低くなり皮膜中に多くの気孔が存在するため炭素質材の表面が変質し易くなり耐熱性被覆部材の寿命が短くなる。
本願発明は、皮膜中のW含有量が5〜15質量%としたのは、緻密で耐熱性の優れる皮膜の形成が可能となり金属又はセラミックスが溶着し難くなりるからである。W含有量が5質量%未満になると皮膜の緻密性が劣り皮膜中に比較的多数の気孔が残るために金属又はセラミックスが溶着し易くなり寿命が短くなる欠点が現れる。またW含有量が15質量%を超えて多くなると皮膜の耐熱性が劣り炭素質材及び皮膜表面が変質し易くなるために耐熱性被覆部材の寿命が短くなる。
本発明の耐熱性被覆部材は、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜の厚さが20〜200μmである。これにより炭素質材の表面に金属又はセラミックスとの反応や溶着が起こり難く耐熱性と緻密性が優れ寿命の長い皮膜を安定して被覆することができる。皮膜の厚さが20μm未満になると炭素質材の表面から炭素が皮膜中を拡散して金属又はセラミックスと反応し金属又はセラミックスと炭素質材の間に溶着が発生し易くなる欠点が現れる。一方200μmを超えて厚いと皮膜中にクラックが入りやすくなり寿命が短くなる欠点が現れる。
本願発明の炭素質材と皮膜の間に少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地層が形成されていることにより炭素質材と皮膜との間に該下地層形成元素の炭化物が形成されやすくなり炭素質材と下地層との間更には炭素質材から皮膜の間に優れた密着性が得られ金属又はセラミックスの処理に使用可能な回数が多くなり好ましい。より好ましい形態としては下地層を構成する金属元素が少なくともYHfWのいずれか1種以上からなることである。これにより優れた耐熱性と伴に炭素質材と皮膜の間に優れた密着性が得られ更に耐熱性と寿命の長い耐熱性被覆部材が実現できる。更に最も好ましい形態は下地層を構成する金属元素がY及び/又はHfからなることである。これより最も優れた耐熱性及び炭素質材と皮膜間の密着性が得られ耐熱性と寿命の長い耐熱性被覆部材が実現できる。
Yは溶射等による成膜時にY金属粉末粒子の極表面が若干酸化されるものの内部は酸化され難く安定して炭素質材の表面にYを成膜出来る利点がある。またYは炭素元素と容易に反応し融点が2300℃と高く熱的に安定したYC2等のY炭化物を作るため炭素質材と下地膜との間に高い密着性と耐熱性が得られる特長がある。しかもY下地層とYを主としWを含有した酸化物からなる皮膜との界面近傍ではY金属が酸素と反応しY等のY酸化物を作るため下地層と皮膜の間にも優れた密着性と耐熱性が得られる。その結果炭素質材から皮膜の間に優れた密着性と耐熱性が得られる。このことから下地層を構成する金属元素がYであることが最も好ましい。
HfはHfCとHfO3の融点が夫々3890℃2810℃と高く下地層と炭素質材との界面近傍はHfC等のHf炭化物を作り下地層と皮膜との界面近傍ではHf2O3等のHf酸化物を作るため炭素質材から皮膜の間に優れた密着性と耐熱性が得られる。このため下地層を構成する金属元素がHfであることが好ましい。下地層全体がYやHfの炭化物や酸化物により形成されており金属形態のYやHfが検出されなくとも良く上記の理由でより好ましい状態である。
この他WCは、融点が2720℃と高いのに加えて、熱膨張係数が3.84×10−6℃である。Yの熱膨張係数は8.9×10−6/℃である。そこで、炭素質基板の上に下地層形成成分としてWを成膜してこれを炭素元素と反応させてWC等のW炭化物を作った後、その表面にYを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を形成する。すると熱膨張係数は炭素質基板の2×10−6〜7.3×10−6/℃からYを主としWを含有した酸化物膜の約8.9×10−6/℃まで略連続的に変化させることができる。このように作製した耐熱性被覆部材を繰り返し昇降温させても各界面にクラックや剥離が生じ難く優れた密着性が得られため本発明の好ましい形態である。
本発明の耐熱性被覆部材は超硬合金又はサーメットを焼結するためのセッタートレーサヤ等の焼結用冶具に適用する場合焼結時の炭素雰囲気を制御し易くしかも超硬合金やサーメット中のCoに起因する溶着を防止する効果が得られ好ましい。
本発明の耐熱性被覆部材を真空中1475℃で20時間熱処理することによって、炭素質材と皮膜又は下地層の界面近傍に皮膜又は下地層を形成する金属成分の炭化物が形成される。これにより優れた密着性が得られ金属又はセラミックスの処理に繰り返し使用可能な回数が最も多くなり好ましい。この理由は、各溶射膜を熱処理によって熱的に安定化させることによって炭素質材と皮膜又は下地層の界面近傍に炭化物が形成されているからである。この炭化物は、炭素質材中の炭素とYC、HfC、WC、WC、MoC、MoC、TaC、NbC、ZrC等の皮膜又は下地層を形成する金属とが反応して形成されたものである。
本発明の耐熱性被覆部材は、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜の表面側にWを含有しないYを主とした酸化物からなる皮膜を被覆しても良い。Wを含有しないYを主とした酸化物からなる皮膜を被覆することにより皮膜表面の化学安定性が高まり化学安定性が高まる長所が現れる。しかし、皮膜中に気孔が多くなり膜表面に異物が付着し易くなる欠点を有する。Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜の表面側に、Zr・Yb等の希土類Al等の酸化物からなる皮膜を更に被覆しても良い。これらの皮膜を、更に、被覆することにより本発明の耐熱性被覆部材を用いて処理する金属やセラミックスにあわせて、更に、耐反応性や耐溶着性を高めることが出来る。Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜中にZr及び/又はAlを10質量%以下含有していても良い。Zrを含有することにより皮膜の耐熱性が高まる長所が現れるがクラックが入りやすくなる欠点を有する。Alを含有することにより皮膜中の気孔が減少し膜表面に異物が付着し難くなる長所が現れるが耐熱性が低下する欠点を有する。
本発明の耐熱性被覆部材における下地層や皮膜の形成方法として、溶射法、化学蒸着法、塗布粉末やアルコキシド膜の焼成法などを挙げることができる。特に、プラズマ溶射法は、より高温で厚膜の皮膜を密着性良く形成できるため下地層や皮膜の形成方法として好ましい。本願発明の耐熱性被覆部材を実施例により具体的に説明するがそれら実施例により本発明が限定されるものではない。
第1に、炭素質材の表面はSiCと粒を用いたグリットブラストにより軽く荒らす処理を施した。第2に平均粒径が約25μmのY粉末を金属成分比で89質量%平均粒径が1μmのW粉末を11質量%の割合でヘンシェルミキサーにより10分間混合し混合粉を作製した。第3にこの混合粉末を溶射法によってブラスト処理した炭素質材に溶射し所定膜厚の溶射膜を形成した。溶射膜の膜厚は溶射時間により制御した。以上の工程により本発明例1〜31を製作した。
溶射法にはプラズマ溶射法を採用し主プラズマガスにArガス第2ガスにHeガスを用い電流600A電圧35V大気雰囲気中で行った。ここで作製した耐熱性被覆部材の皮膜の評価は、耐熱性被覆部材を表面に対して垂直に破断した面を走査電子顕微鏡(日立製作所製S−4200以下SEMと記す。)を用いて観察し評価した。観察によって下地層と皮膜の膜厚を求めた。またエネルギー分散型X線分析装置(堀場製作所製S−792X1以下EDXと記す。)により各皮膜の組成を分析した。皮膜組成は分析された金属成分の総和を100%として各金属成分を質量%で表した。下地層の膜厚はSEMにより界面が観察される時はそこまでの膜厚またはEDXにより分析した時下地層形成金属が1質量%以上検出される所までを膜厚とした。表1に使用した炭素質材の熱膨張係数各皮膜組成の分析結果膜厚を示す。また炭素質材のかさ比重は1.68〜1.99であった。
Figure 2006151710
耐熱性被覆部材として実用される場合の皮膜状態を分析するため溶射膜を被覆した各耐熱性被覆部材を真空中1475℃で20時間熱処理し各溶射膜を熱的に安定化させた。炭素質材と皮膜間又は炭素質材と下地層との界面に形成されている化合物をEDX及びX線回折装置(理学電気(株)製RTB−300)を用いた2θ−θ法とにより評価した。X線源は、CuのKα1線波長λ=0.154nmを用い、装置に内蔵されたソフトによりKα2線とノイズとを除去して測定した。本測定は、皮膜表面を機械的に研磨することにより表面の皮膜と下地層の大部分を除去し下地層が5μm弱残っている部分をEDXやX線回折により評価した。表1にEDXとX線回折の評価結果を併記した。
各耐熱性被覆部材の使用可能回数を評価するため、寸法が縦300mm、横300mm、厚さ7mmの各耐熱性被覆部材を真空中1475℃で20時間熱処理し各溶射膜を熱的に安定化させた後組成がWC−8質量%Co−0.3質量%V−0.6質量%Crで直径が3.75mm長さ125mmの超硬合金成形体100本を各耐熱性被覆部材の上に配列した。この耐熱性被覆部材を焼結装置内に装填し、焼結条件を真空中1450℃、1時間保持とし、この焼結条件を複数回行った。そして100本中1本以上の超硬合金材が各耐熱性被覆部材と溶着を起こすまでの回数を求めこれを耐熱性被覆部材の使用可能回数とした。表1に評価結果を併記した。
本発明例1〜6の使用可能回数は、120回以上であり、比較例32の55回に比べて2.1倍以上長く耐熱性被覆部材として格段に優れていた。この理由は、炭素質材の熱膨張係数に着目すると、本発明例1〜6は2×10−6〜7.3×10−6/℃の範囲内にありしかもYを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆していたからである。これによって超硬合金成形体との反応や溶着が起こり難く耐熱性と緻密性が優れ繰り返し使用した場合でも密着性に優れていた。比較例32は、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆していたにも拘わらず熱膨張係数が1.5×10−6/℃と小さいため皮膜間との熱膨張係数の差が大きいために皮膜にクラックが発生しその箇所から溶着が発生し寿命となった。本発明例1〜6内を比較すると、本発明例3〜6の使用可能回数は205回以上であり、本発明例12の135回以下に対して1.5倍以上多く優れていた。本発明例3〜6の熱膨張係数が4×10−6〜7.3×10−6/℃の範囲内にあることによって皮膜間との熱膨張係数の差が小さくクラックや剥離等が発生し難くなりより長寿命が得られたのである。本発明例4及び本発明例7〜14と比較例33とを比較した。同じ熱膨張係数の炭素質材の表面に同じ膜厚の皮膜が被覆されているが、皮膜中のW含有の有無が異なっている本発明例4及び7〜14の使用可能回数は115回以上であり、比較例33の45回に対して2.6倍以上長く耐熱性被覆部材として優れていた。この理由は、皮膜中のW含有の有無に着目すると本発明例4及び7〜14はWを皮膜中に1質量%以上含有していたが比較例33はWを含有しておらず100%Yの酸化物から構成されていたからである。皮膜中のWの含有によって緻密で耐熱性の優れる皮膜が得られ超硬合金成形体との溶着が起こりにくくなったのである。本発明例4及び本発明例7〜14は、皮膜中に含有されているW含有量が異なっている本発明例9の使用可能回数は195回であり、本発明例78の夫々115回、150回に対して1.3倍以上多く優れていた。この理由は、皮膜中のW含有の有無に着目すると本発明例9のW含有量は5質量%であり、本発明例7、8は、夫々1質量%、3質量%であったからである。W含有量が5質量%未満になると皮膜の緻密性が劣り皮膜中に比較的多数の気孔が残るために金属又はセラミックスが溶着し易くなり寿命が短くなった。これより皮膜中に含有されるW含有量の下限値は5質量%であることが好ましい。本発明例11の使用可能回数は200回であり本発明例121314の145回以下に対して1.3倍以上多く優れていた。この理由は皮膜中のW含有の有無に着目すると本発明例11のW含有量は15質量%であり本発明例12、13、14は、16質量%以上であったからである。W含有量が15質量%を超えて多くなると皮膜の耐熱性が劣り炭素質材及び皮膜表面が変質し易くなるために耐熱性被覆部材の寿命が短くなったのである。これより皮膜中に含有されるW含有量の上限値は15質量%であることが好ましい。皮膜中に含有されているW量は5〜15質量%とすることによって緻密で耐熱性の優れる皮膜の形成が可能となり超硬合金成形体が溶着し難くなったのである。
本発明例7と比較例34とは、本発明例7の使用可能回数は115回であり、比較例34の40回に対して2.9倍以上長く耐熱性被覆部材として優れていた。この理由は皮膜の組成に着目すると本発明例7はYを主としWを含有した酸化物からなっているのに対し比較例34はZrを主としWを含有した酸化物からなっていた。Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆していることにより耐熱性と緻密性が高い皮膜を炭素質材の表面に密着性良く被覆することができた。本発明例4及び15〜23は、皮膜の膜厚が異なっており、本発明例16の使用可能回数が205回であり、本発明例15の120回と比べて1.7倍以上と多く優れていた。この理由は皮膜の厚さに注目すると本発明例16は20μmであり本発明例15は10μmであったからである。皮膜の厚さが20μm未満になると炭素質材の表面から炭素が皮膜中を拡散して超硬合金成形体と反応し超硬合金成形体と炭素質材との間に溶着が発生し易くなった。本発明例22の使用可能回数は200回であり、本発明例23の115回と比べて1.7倍以上と多く優れていた。この理由は皮膜の厚さに注目すると本発明例22は200μmであり、本発明例23は210μmであった。200μmを超えて厚いと皮膜中にクラックが入りやすくなり寿命が短くなるからである。皮膜の厚さが20〜200μmであることにより超硬合金成形体との反応や溶着が起こり難く耐熱性と緻密性が優れ寿命の長い皮膜を安定して被覆することが可能となった。本発明例24〜31の下地層又は炭素質材と下地層との界面近傍のEDXとX線回折の結果、夫々YC2、HfC、WC、WC、TaC、MoC、MoC、NbC、ZrC、TiC等の下地層形成元素の炭化物が15μm厚形成されていた。そこで本発明例24〜31は、炭素質材と皮膜の間における下地層の有無が異なっている。本発明例24〜30の使用可能回数は260回以上であり、本発明例22本発明例31の200回以下に対して1.3倍以上多く優れていた。この理由は炭素質材と皮膜の間における下地層の有無に着目すると本発明例24〜30には炭素質材と皮膜の間にY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrからなる下地層が形成されていたのに対し、本発明例22には形成されおらず本発明例31は下地層形成元素がTiであったためである。炭素質材と皮膜の間にY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrからなる下地層が形成されていることにより優れた密着性が得られ超硬合金成形体との処理に使用可能な回数が多くなったのである。
本発明例24〜26の使用可能回数は、355回以上であり、本発明例27〜30の270回以下に対して1.3倍以上多く優れていた。この理由は、下地層の構成元素に着目すると本発明例24〜26は、Y、Hf、Wからなる下地層が形成されていたのに対し、本発明例27〜30は、Ta、Mo、Nb、Zrからなる下地層が形成されていたからである。優れた耐熱性と伴に炭素質材と皮膜の間に優れた密着性が得られ更に耐熱性と寿命の長くなったのである。炭素質材と皮膜の間にY、Hf、Wからなる下地層が形成されていることがより好ましいのである。本発明例24と25の使用可能回数は465回以上であり本発明例26の355回に対して1.3倍以上多く優れていた。この理由は下地層の構成元素に着目すると本発明例24と25はYやHfからなる下地層が形成されていたのに対し、本発明例26はWからなる下地層が形成されていたからである。炭素質材と皮膜の間にY及び/又はHfからなる下地層が形成されていることによって最も優れた耐熱性及び炭素質材と皮膜間の密着性が得られ耐熱性と寿命とが最も長くなる。本発明例7と8は、炭素質材と皮膜との界面近傍の形態が異なっていた。本発明例8の使用可能回数は150回であり本発明例7の115回に対して1.3倍多く優れていた。この理由は、炭素質材と皮膜との界面近傍の形態に着目すると、本発明例8は1475℃の真空雰囲気中で20時間保持したことによって炭素質材と皮膜の界面近傍にWCやWC2等の皮膜を形成する金属成分の炭化物が形成されていたのに対し、本発明例7は形成されていなかったからである。各溶射膜を熱処理によって熱的に安定化させることによって炭素質材と皮膜又は下地層の界面近傍に炭化物が形成されて密着性が改善された。

Claims (5)

  1. 熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、Yを主としWを含有した酸化物からなる皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  2. 請求項1記載の耐熱性被覆部材において、該皮膜中のW含有量が5〜15質量%であることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  3. 請求項1又は2記載の耐熱性被覆部材において、該皮膜の厚さが20〜200μmであることとを特徴とする耐熱性被覆部材。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の耐熱性被覆部材において、該炭素質材と該皮膜の間に少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地層が形成されていることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の耐熱性被覆部材において、該耐熱性被覆部材が超硬合金又はサーメットを焼結するための焼結用冶具であることを特徴とする耐熱性被覆部材。
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