JP2006199515A - 耐熱性被覆部材 - Google Patents

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敏夫 石井
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Abstract

【課題】真空、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下において金属又はセラミックスを保持し、溶解、焼結又は熱処理するための耐熱性被覆部材であり、軽量且つ耐熱性が優れ、該金属やセラミックスと反応や溶着を起こし難く、使用可能回数の多い耐熱性被覆部材を提供することである。
【解決手段】熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地膜と、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材である。
【選択図】なし

Description

本願発明は、真空、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下において金属又はセラミックスを溶解、焼結又は熱処理を行う際に使用する耐熱性被覆部材に関するものである。
超硬合金やサーメット等を真空焼結する際に用いる敷板には、軽量で高温強度の高い炭素質材が多く使用されており、超硬合金等との反応と溶着を防ぐために、該炭素質材の表面にカーボンブラックや窒化アルミニウム等の粉末を塗布して、一般に用いられている。しかし、この方法では、焼結に使用するたびに、先に使用した塗布膜を清掃除去し、再塗布を行う必要があり、作業性と信頼性が著しく低くなると言う欠点がある。このため、敷板の表面に被焼結材と反応や溶着を起こし難い皮膜を被覆した耐熱性被覆部材が従来から提案されている。これらの具体的な例として、特許文献1は、炭素基板の上にスピネル構造を有する金属酸化物と酸化ジルコニウムとの複合酸化物、もしくは、この複合酸化物に酸化イットリウム又は酸化カルシウムを含む複合酸化物からなる皮膜の例が、特許文献2は、20〜50wt%のZrOを含むY−ZrO複合物の溶射皮膜を形成した例が、特許文献3は、20wt%以下のZrOを含有するY又は相当体積量の他の耐熱酸化物例えばAl又はそれらを組み合わせた例が、特許文献4は、非酸化物系セラミックスや炭化物系材料からなる基材が希土類元素含有酸化物を主成分とする膜で被覆された例が、特許文献5は、炭素質素材の表面にランタン系希土類金属酸化物を主成分とする皮膜の例が各々記載されている。
特公昭61−43318号公報 特開2002―179485号公報 特表2000―509102号公報 特開2003―73794号公報 特開2003―82402号公報
しかし、これらの特許文献1、2に開示されている従来技術では、皮膜中にクラックが入りやすく、焼結に数回用いると皮膜が剥がれてしまい、特許文献3は、Yを主とする皮膜の緻密性が劣るため、焼結に数回用いると皮膜が変質し、皮膜中にクラックが入り皮膜が剥がれてしまうとともに、焼結合金中のCやCoがYを主とする皮膜中に拡散し、焼結合金が溶着し易くなってしまい、特許文献4、5は、狭義の希土類元素、即ち、原子番号57〜71までのランタン系希土類元素のみを用いており、Yを希土類元素として発明の範囲内に扱っていない。
本願発明が解決しようとする課題は、真空、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下において金属又はセラミックスを保持し、溶解、焼結又は熱処理するための耐熱性被覆部材であり、軽量且つ耐熱性が優れ、該金属やセラミックスと反応や溶着を起こし難く、使用可能回数の多い耐熱性被覆部材を提供することである。
本願発明は、熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地膜と、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材である。本構成を採用することによって、軽量でかつ耐熱性と高温度強度が優れる炭素質材の表面に、耐熱性と緻密性が優れ、金属又はセラミックスとの反応や溶着が起こり難い上層皮膜を密着性良く被覆することができ、真空、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下において繰り返し使用出来る耐熱性被覆部材を実現できることを見いだした。
本願発明によって、真空、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下において金属又はセラミックスを保持し溶解、焼結又は熱処理するための耐熱性被覆部材であり、軽量且つ耐熱性が優れ、該金属やセラミックスと反応や溶着を起こし難く、使用可能回数の多い耐熱性被覆部材を提供することができた。
本願発明は、基材に熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の黒鉛質或いはカーボン質の炭素質材を用いることにより軽量且つ耐熱性が優れた基材が実現でき、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜を被覆することにより、金属又はセラミックスが耐熱性被覆部材と反応や溶着し難くなり、該上層皮膜と炭素質材製基材の間に、少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地膜を介することにより、該上層皮膜と炭素質材製基材の間に優れた密着性が得られ、金属又はセラミックスが溶着し難く、高温で繰り返し使用することの出来る、優れた特性を有する耐熱性被覆部材が実現できる。
炭素質材の熱膨張係数が4×10−6〜7.3×10−6/℃であることにより、熱膨張係数が8.9×10−6/℃と熱膨張係数が比較的大きいYを主とする上層皮膜の熱膨張係数と基材の熱膨張係数の差異が小さくなり、上層皮膜中にクラックや膜剥離が発生し難くなり、より繰り返し使用回数の多い耐熱性被覆部材が実現できる。本願発明の耐熱性被覆部材は、下地膜の平均厚さが5〜15μmであることにより、炭素質材とYを主とする上層皮膜との間により優れた密着性が得られ、更に寿命の長い耐熱性被覆部材を実現でき好ましい。下地膜の平均厚さが5μm未満の時は下地膜を挿入する効果が低下し、15μmを越えて厚いと耐熱安定性が低下する。
本願発明のYを主とする酸化物からなる上層皮膜の厚さは、20〜200μmであることにより、金属又はセラミックスとの反応や溶着が起こり難く、しかも繰り返し使用可能回数のより多い耐熱性被覆部材を実現でき好ましい。上層皮膜の厚さが20μm未満になると炭素質材の表面から炭素が上層皮膜中を拡散して、金属又はセラミックスと反応し、金属又はセラミックスが溶着し易くなる欠点が現れ、200μmを越えて厚いと、上層皮膜中にクラックが入りやすくなり、寿命が短くなる欠点が現れる。
本願発明の炭素質材と下地膜との界面近傍に下地膜含有元素の炭化物が形成されていることによって、より優れた密着性が得られ、より繰り返し使用可能回数が多くなり、好ましい。この理由は、炭素質材と下地膜の界面付近に、YC、HfC、WC、WC、MoC、MoC、HfC、NbC、ZrC等の下地膜含有元素の炭化物が形成されているため、炭素質材〜下地膜の間に、夫々に共通の元素が存在しており、より高い密着性が得られるためである。
本願発明の耐熱性被覆部材は、少なくとも1500℃以上の真空雰囲気中に45時間以上保持する熱処理により、炭素質材と下地膜との界面近傍に、下地膜含有元素の炭化物が形成されることによって、例えば当初の炭素質材−下地膜−Yを主とする上層皮膜間の密着性が劣り、高温での繰り返し使用回数が少ないとしても、該熱処理を行うことにより、炭素質材−下地膜−Yを主とする上層皮膜間の密着性を大幅に改善することが出来るため、高温での繰り返し使用回数が格段に多くなり、好ましい。この理由は、少なくとも1500℃以上の真空雰囲気中で45時間以上保持することにより、炭素質材と下地膜間に元素の相互拡散が生じ、両者の界面付近に、YC、HfC、WC、WC、MoC、MoC、HfC、NbC、ZrC等の下地膜含有元素の炭化物が形成されるため、両者間に優れた密着性が実現されるからである。
本願発明の耐熱性被覆部材は、超硬合金又はサーメットを焼結するためのセッター、トレー、サヤ等の焼結用冶具に適用する場合、焼結時の炭素雰囲気を制御し易く、しかも超硬合金やサーメット中のCoに起因する溶着を防止する効果が得られ、好ましい。
本願発明の上層皮膜や下地膜の被覆は、プラズマ溶射法を用いる事が好ましい。この理由は、より高温で、厚い上層皮膜を形成できるからである。本願発明の耐熱性被覆部材は、下地膜を構成する元素が少なくともY、Hf、Wのいずれか1種以上であることが、優れた耐熱性とともに、炭素質材と上層皮膜の間により優れた密着性が得られ、繰り返し使用可能回数の多い耐熱性被覆部材が実現でき好ましい。下地膜を構成する元素がY及び/又はHfであることが、炭素質材と上層皮膜の間に最も優れた密着性が得られ、最も繰り返し使用可能回数の多い耐熱性被覆部材が実現でき好ましい。Yが好ましい理由は、一般に金属粉末を溶射すると、溶射中に金属粉末が酸化されてしまうため、出来上がった上層皮膜の密着性が低くなるという欠点があるのに対して、Yの金属粉末は粒子の極表面のみが酸化され、その内部が酸化され難い特性を有しているためである。即ち下地膜にYを用いると、Y金属を安定して炭素質材の表面に溶射出来るため、溶射時にY金属が炭素質材中の炭素元素と容易に反応し、炭素質材と下地膜の間に優れた密着性が実現でき、しかもYC等のYの炭化物は2300℃の高融点で耐熱安定性が優れているため、優れた耐熱性も得られるためである。Hfが好ましい理由は、炭素質材中の炭素元素とHfが反応し、3890℃の高融点であるHfC等の炭化物が炭素質材製基板とを作ると、炭素質材と下地膜の間に優れた密着性が実現でき、しかも、下地膜膜とYを主とする上層皮膜の間にも2810℃の高融点のHfO等のHf酸化物が形成されるため、炭素質材−下地膜−Y間に、より優れた密着性が得られるためである。Wが好ましい理由は、WCの熱膨張係数が3.84×10−6/℃と小さく、基板に用いている炭素質材の2×10−6〜7.3×10−6/℃の熱膨張係数により近いためである。即ち、炭素質材表面にWを溶射し、炭素質材と下地膜との界面近傍にWの炭化物が形成されると、炭素質材から下地膜間の熱膨張係数のマッチングが良くなり、その結果両者の界面近傍にクラックや剥離が生じ難く、優れた密着性が得られるためである。しかも、Wからなる下地膜とYを主とする酸化物からなる上層皮膜との間にもY12等のWとYの化合物が形成されやすくなり、下地膜と該上層皮膜間にも優れた密着性が得られるためである。
本願発明の耐熱性被覆部材は、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜中にAl及び/又はZrをトータル10質量%以下含有していても良い。Alを含有することにより、該上層皮膜の緻密性が高まる長所が現れるが、耐熱性が低下する欠点が現れる。Zrを含有することにより、2680℃のZrOの融点が2400℃のYの融点より高いために、該上層皮膜の耐熱性が高まる長所が現れるが、クラックが入りやすくなる欠点が現れる。本願発明の耐熱性被覆部材は、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜の表面側に、更にYb等の希土類やZr、Al等の酸化物からなる上層皮膜を被覆しても良い。これらの上層皮膜を更に被覆することにより、本願発明の耐熱性被覆部材を用いて処理する金属やセラミックスにあわせて更に耐反応性や耐溶着性を高めるように上層皮膜構成を設計出来る。
本願発明の耐熱性被覆部材における上層皮膜の被覆方法は、上記のプラズマ溶射法以外にも、CVD法、塗布粉末やアルコキシド膜の焼成法などを挙げることができる。次に、本願発明の耐熱性被覆部材を実施例により具体的に説明するが、それら実施例により本願発明が限定されるものではない。
炭素質材の熱膨張係数の効果を明らかにするために、表1に示すような本発明例、比較例を作成した。
Figure 2006199515
表1に示す様に、熱膨張係数が夫々2、3.1、4、5、6、7.3×10−6/℃で、嵩比重が1.68〜1.99である炭素質材を基材に用い、その表面をSiCと粒を用いてグリットブラスト処理した後、平均粒径が30μmのY金属粉末を10μm厚溶射し下地膜とした。次いで、平均粒径が0.9μmのY粉末を100μm厚溶射しY上層皮膜を被覆することにより本発明例1〜6を作製した。溶射は、プラズマ溶射法により、主プラズマガスにAr、第2ガスにHeを用い、電流600A、電圧35V、大気雰囲気中で溶射した。それぞれの膜厚は溶射時間により制御した。
下地膜含有元素の効果を明らかにするため、本発明例3と同じ炭素質材、下地膜厚、皮膜元素、皮膜厚さを有するものの、下地膜に含有される元素が夫々異なっている本発明例7〜12を作製した。また、下地膜の膜厚の効果、及び炭素質材と下地膜の間又は少なくとも下地膜の一部に化合物が形成される効果を明らかにするために、本発明例3と同じ炭素質材、下地膜元素、皮膜元素、皮膜厚さを有するものの、下地膜の膜厚が異なっている本発明例13〜18を作製した。Yを主とする酸化物からなる皮膜の膜厚の効果を明らかにするため、本発明例3と同じ炭素質材、下地膜元素、下地膜厚、皮膜元素を有するものの、皮膜の膜厚のみが異なっている本発明例19〜26を作製した。熱処理により、炭素質材と下地膜の間、又は/及び少なくとも下地膜の一部に化合物が形成される効果を明らかにするために、本発明例13と同じ炭素質材、下地膜元素、下地膜厚、皮膜元素、皮膜膜厚を有する本発明例27を作製し、真空中、1500℃で45時間保持する熱処理を行った。炭素質材の熱膨張係数が本発明の範囲外である場合との差異を明らかにするため、熱膨張係数が1.5×10−6/℃である炭素質材を用いた以外は、全てが本発明例3と同じである比較例28を作製した。また、下地膜を形成しない場合との差異を明らかにするため、下地膜を形成せずに直接、本発明例3と同じYを主とする酸化物からなる皮膜を形成した比較例29を作製した。また、本発明以外の元素を下地膜に用いた場合との差異を明らかにするため、下地膜としてTiを10μm厚溶射した後、本発明例3と同じYを主とする酸化物からなる皮膜を被覆した比較例30を作製した。また、本発明以外の元素を皮膜に用いた場合との差異を明らかにするため、本発明例3と同じ下地膜を有するものの、皮膜として平均粒径30μmのZrO粉末を約100μm厚溶射した比較例31を作製した。
作製した耐熱性被覆部材の構成を評価するため、耐熱性被覆部材を基板に略垂直に破断し、その破断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−4200、以下、SEMと記す。)によって下地膜と上層皮膜の厚さを観察し、同時に、エネルギー分散型X線分析装置(堀場製作所製S−792X1、以下、EDXと記す。)により各膜及びそれらの界面の組成を分析した。分析の結果、本発明例1〜12、比較例28は、下地膜がそれぞれ10μm厚で、Y、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrからなり、上層皮膜はYとOとが検出され、Y等のYの酸化物からなる上層皮膜が100μm形成されていた。比較例29と30は、Y酸化物からなる上層皮膜が100μm厚形成されているものの、比較例29は下地膜がなく、比較例30はYではなく、Tiからなる下地膜が10μm厚形成されていた。比較例31は、Yからなる下地膜が10μm厚形成されているものの、上層皮膜がYを主とする酸化物からなっておらず、Zrを主とする酸化物からなる上層皮膜が100μm厚形成されていた。これら、下地膜と上層皮膜の組成と膜厚の評価結果を表1にあわせて示す。
本発明例1〜27と比較例28〜31の、それぞれの炭素質材と下地膜との界面に形成されている化合物の組成をEDXにより測定し、生成物を理学電気製のX線回折装置(RTB−300)により2θ−θ法で評価した。X線源にはCuのKα線(波長λ=0.154nm)を用い、装置に内蔵されたソフトによりKα線とノイズとを除去して測定した。炭素質材と下地膜間に形成されている化合物の同定は、上層皮膜表面を機械的に研磨し、部材表面のYを主とする酸化物からなる上層皮膜及び下地膜の大部分を除去した後、該下地膜が5μm弱残っている部分をX線回折評価することにより行なった。その結果、表1に示すように、本発明例1〜12、14〜26、比較例28、30、31には、下地膜の一部乃至は炭素質材と下地膜の界面付近にそれぞれ下地膜含有元素の炭化物であるYC(JCPDSファイル番号11−602)、HfC(同、33−592)、WC(同、25−1047)やWC(同、35−776)、TaC(同、35−807)、MoC(同、35−787)やMoC(同、20−748)、NbC(同、10−181)、ZrC(同、35−784)等が形成されていたが、本発明例13と比較例29にはYの炭化物が形成されず、Yの酸化物が形成されていた。本発明例27は熱処理前にはYの炭化物が形成されず、Yの酸化物が形成されていたが、これを真空中、1500℃で45時間保持する熱処理を行うと、炭素質材と下地膜の界面近傍にYC等のY炭化物が形成されていた。本発明例8は、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜の大部分を除去した時、上記と同様のX線回折評価を行った結果、該上層皮膜と下地膜との界面近傍にY12(同、15−447)等のWとYの酸化物も形成されていた。これら、界面の評価結果を表1にあわせて示す。
本発明例1〜27と比較例28〜31との差異を評価するため、下地膜と上層皮膜を溶射したままの本発明例1〜26と比較例28〜31及び真空中、1500℃で45時間熱処理した後の本発明例27を敷板に用いて、WC−6質量%Co−0.3質量%V−0.6質量%Crの組成で、直径が3.75mm、長さ125mmの超硬合金からなる成形体100本を、真空中で1475℃に一時間保持する焼結テストを行った。この焼結、テストを多数回行い、100本中1本以上の超硬合金材が各耐熱性被覆部材と溶着を起こすまでの回数を求め、これを耐熱性被覆部材の使用可能回数とした。その評価結果を表1にあわせて示す。用いた敷板の寸法は縦300mm、横300mm、厚さ7mmとした。
表1より、本発明例1〜6と比較例28とを比較する。ともに同じ下地膜とYを主とする酸化膜からなる上層皮膜を有しているものの、炭素質材の熱膨張係数が1.5×10−6/℃と小さい比較例28の焼結テスト使用可能回数が45回であるのに対して、炭素質材の熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃である本発明例1〜6の使用可能回数は135回以上と、比較例28に比べて使用可能回数が3倍以上長く、耐熱性被覆部材として格段に優れている。略同じ膜厚の上層皮膜を有する本発明例3及び7〜12と比較例29〜31とを比較する。ともに上層皮膜としてYを主とする酸化膜が100μm厚形成されているものの、下地膜が形成されていない比較例29と、Tiからなる下地膜が形成されている比較例30の焼結テスト使用可能回数がそれぞれ35回と25回であり、ZrOからなる上層皮膜を100μm厚被覆している比較例31の使用可能回数が20回であるのに対して、膜厚10μmのY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrからなる下地膜の上に100μm厚のYを主とする酸化膜が形成されている本発明例3及び7〜12の使用可能回数は115回以上と比較例29〜31に比べて使用可能回数が2.7倍以上長く、耐熱性被覆部材として格段に優れていた。
本発明例1〜6内を比較すると、ともに同じ下地膜と、Yを主とする酸化膜からなる上層皮膜を有しているものの、炭素質材の熱膨張係数が4×10−6/℃未満である本発明例1と2の焼結テスト使用可能回数が140回以下であるのに対して、炭素質材の熱膨張係数が4×10−6〜7.3×10−6/℃の範囲内にある本発明例3〜6の使用可能回数は215回以上と、本発明例1、2の1.5倍以上多く優れていた。本発明例3及び7〜12内を比較すると、下地膜にTa、Mo、Nb、Zrを溶射した本発明例9〜12の使用可能回数が130回以下であるのに対して、下地膜にY、Hf、Wを溶射した本発明例3、7、8は使用可能回数が165回以上と1.3倍以上多く優れていた。更には、下地膜にWを溶射した本発明例8の使用可能回数が165回であるのに対して、下地膜にY又はHfを溶射した本発明例3と7とは使用可能回数が210回以上であり、更に1.3倍以上多く最も優れていた。下地膜に含有される元素及び上層皮膜に含有される元素と膜厚とがそれぞれ同じであるものの、下地膜の厚さのみが異なる本発明例13〜18内を比較する。まず、本発明例13と14を比較すると、本発明例13は下地膜の厚さが3μmであり、焼結テスト使用可能回数が95回であるのに対して、本発明例14は下地膜の厚さが5μmであり、使用可能な回数が150回と1.6倍多く、優れていた。本発明例17と18を比較すると、本発明例18は下地膜の厚さが18μmであり、焼結テスト使用可能回数が100回であるのに対して、本発明例17は下地膜の厚さが15μmであり、使用可能回数が150回と1.5倍多く、優れていた。即ち、本発明例は下地膜の厚さが5〜15μmであることが好ましい。
次に、下地膜に含有される元素と膜厚及び上層皮膜に含有される元素とがそれぞれ同じであるものの、上層皮膜の厚さのみが異なる本発明例19〜26内を比較する。まず、本発明例19と20を比較すると、本発明例19は上層皮膜の厚さが15μmであり、焼結テスト使用可能回数が100回であるのに対して、本発明例20は上層皮膜の厚さが20μmであり、使用可能回数が155回と1.6倍多く、優れていた。本発明例26と25を比較すると、本発明例26は上層皮膜の厚さが220μmであり、使用可能回数が100回であるのに対して、本発明例25は上層皮膜の厚さが200μmであり、使用可能回数が155回と1.6倍多く、優れていた。即ち、本願発明は上層皮膜の厚さが20〜200μmであることが好ましい。下地膜に含有される元素と、上層皮膜に含有される元素と膜厚とがそれぞれ同じであるものの、炭素質材と下地膜の界面近傍に、YC等のY炭化物が形成されず、Yの酸化物が形成されている本発明例13の焼結テスト使用可能回数が95回であるのに対して、炭素質材と下地膜の界面近傍に、YC等のY炭化物が形成されている本発明例14は使用可能回数が150回と1.6倍多く、優れていた。即ち、本願発明は、炭素質材と下地膜の界面近傍に下地膜含有元素の炭化物が形成されていることが好ましい。本発明例13と本発明例27とは、炭素質材、下地膜、上層皮膜のいずれもが全く同じであるが、本発明例13はそのまま敷板に用いたのに対して、本発明例27は真空中、1500℃で45時間、熱処理した後に、敷板として用いた。その結果、本発明例13の焼結テスト使用可能回数が95回であったのに対して、熱処理後に用いた本発明例27は140回と本発明例13の1.5倍多く、優れていた。即ち、本願発明は、真空中、1500℃以上で45時間以上、熱処理した後に、炭素質材と下地膜の界面近傍に下地膜含有元素の炭化物が形成されることが好ましい。

Claims (6)

  1. 熱膨張係数が2×10−6〜7.3×10−6/℃の炭素質材の表面に、少なくともY、Hf、W、Ta、Mo、Nb、Zrの1種以上を含有する下地膜と、Yを主とする酸化物からなる上層皮膜を被覆してなることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  2. 請求項1記載の耐熱性被覆部材において、該下地膜の平均厚さが5〜15μmであることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  3. 請求項1又は2記載の耐熱性被覆部材において、該上層皮膜の平均厚さが20〜200μmであることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の耐熱性被覆部材において、少なくとも該炭素質材と該下地膜との界面近傍に、該下地膜含有元素の炭化物が形成されていることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  5. 請求項1乃至3いずれかに記載の耐熱性被覆部材において、該炭素質材と該下地膜との界面近傍に、該下地膜含有元素の炭化物が形成されることを特徴とする耐熱性被覆部材。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載の耐熱性被覆部材において、該耐熱性被覆部材が超硬合金又はサーメットを焼結するための焼結用冶具であることを特徴とする耐熱性被覆部材。
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JP2000509102A (ja) * 1996-04-23 2000-07-18 サンドビック アクティエボラーグ 焼結トレー
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