JP2006150892A - 加熱殺菌処理包装用積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れた加熱殺菌処理包装用積層体の提供。
【解決手段】MFRが1〜30g/10分、融解ピーク温度が120〜145℃の結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a)と、密度が0.86〜0.90g/cm、MFRが0.5〜10g/10分のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(c)とが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(A)からなるA層と、MFRが1.0〜30g/10分、融解ピーク温度が125〜150℃のメタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(b)と成分(c)とが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(B)からなる少なくとも一面の表面層を構成するB層とからなり、A層の厚みが全厚みの50%以上である加熱殺菌処理包装用積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、加熱殺菌処理包装用積層体に関し、詳しくは透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れる加熱殺菌処理包装用積層体に関する。
近年の生活様式の変化、外食産業の発達により、いわゆるボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌済み包装の需要はますます増大している。その包装用フィルムにはヒートシール性、加熱殺菌時にフィルム内面同士が融着しない程度の耐熱性等の必須性能に加え、低温下での輸送時に包装用フィルムが破れない程度の耐衝撃性、内容物を確認するための透明性や、衛生性の観点からフィルム由来成分の内容物への移行が少ないことが求められている。これまでにもこれらの要求を満たすために種々の方法が検討されているが、高度な市場要求を満たすには至っていない。
例えば、特定のプロピレン・エチレンブロック共重合体を用い、耐熱性、耐衝撃性等のバランスを改良したレトルト食品包装用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)が、いずれもフィルムの透明性が不十分であった。
また、結晶性ポリプロピレンに特定の中和剤と特定の無機系不活性微粒子を配合し、透明性、アンチブロッキング性、滑り性を改良したレトルト用ポリプロピレン樹脂組成物およびレトルト用ポリプロピレンフィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、ここで用いられている結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックプロピレン・エチレンランダム共重合体もしくはシンジオタクチックプロピレン重合体であり、それらの重合体で充分な低温ヒートシールを付与させるためには、該重合体の融解ピーク温度を下げる必要があるが、耐ブロッキング性が低下し、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性、耐衝撃性のバランスは悪化し、レトルト食品包装用フィルムとして満足できないものになってしまう。
また、結晶性プロピレンランダム共重合体からなる樹脂組成物より得られる表面層を有する複層のレトルト食品包装用フィルム(例えば、特許文献4参照。)が提案され、これにより、透明性、耐衝撃性、食品衛生性の改善がなされている。しかし、表面層に用いられている結晶性プロピレンランダム共重合体は、チーグラー系の触媒で製造されたものであり、これだとレトルト処理後の透明性が低下することは明らかで、レトルト食品包装用フィルムとしては満足のいくレベルではない。
上述のように従来公知の方法では、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性、レトルト処理後の透明性、耐熱性を高度にバランスよく満たした加熱殺菌処理包装用積層体は得られていない。
特開平6−93062号公報 特開2000−186159号公報 特開平9−20846号公報 特開平11−179866号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れた加熱殺菌処理包装用積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と特定のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを含有する組成物からなる層と、メタロセン触媒を用いて重合された特定の結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と特定のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを含有する組成物からなる層を含む積層体が、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れた加熱殺菌処理包装用積層体として用いることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記特性を有する(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、下記特性を有する(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分とし、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(A)より得られるA層と、下記特性を有する(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、下記特性を有する(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分とし、(b)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(B)より得られるB層とからなり、少なくとも一面がB層からなる表面層で構成され、A層の厚みが全厚みの50%以上で構成されることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
(a)下記特性(a−1)〜(a−2)を有する結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
(a−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜30g/10分
(a−2)融解ピーク温度(Tm)が120〜145℃
(b)下記特性(b−1)〜(b−2)を有するメタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
(b−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1.0〜30g/10分
(b−2)融解ピーク温度(Tm)が125〜150℃
(c)下記特性(c−1)〜(c−2)を有するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー
(c−1)密度が0.86〜0.90g/cm
(c−2)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.5〜10g/10分
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、樹脂組成物(B)が、(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの合計100重量部に対し、高密度ポリエチレンを0.01〜5重量部配合されたものであることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、さらに耐熱性樹脂フィルムを積層したことを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、耐熱性樹脂フィルムが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びナイロンフィルムよりなる群から選ばれた耐熱性樹脂フィルムまたはそれらの積層体であることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明の加熱殺菌処理包装用積層体が、レトルト食品包装用積層体であることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体が提供される。
本発明の積層体は、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れた従来にない優れた性能の加熱殺菌処理包装用積層体である。
本発明の加熱殺菌処理包装用積層体は、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分として含有する樹脂組成物(A)からなるA層と、(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分として含有する樹脂組成物(B)からなるB層とからなる積層体であって、少なくとも一面はB層からなる表面層で構成される積層体である。以下に、各層を構成する樹脂組成物の成分、各層の構成について詳細に説明する。なお、本発明において、「とからなる」とは、必須の2層の他に本発明の効果を損なわない範囲において他の層を含み得ることを意味する。
1.樹脂組成物(A)
(1)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a)
本発明の積層体のA層を構成する樹脂組成物(A)に用いる(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンと1種又は2種以上のα−オレフィンとの結晶性ランダム共重合体であって、下記の特性(a−1)〜(a−2)を有する。
ここで、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数2〜10のα−オレフィンが挙げられる。
かかる結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−オクテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。好ましくは、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。更に好ましくは結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体が挙げられる。
(a−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)は、1〜30g/10分であり、好ましくは4.0〜20g/10分であり、より好ましくは5.0〜10g/10分である。MFRが1g/10分未満では押出特性が悪化し、生産性が低下するため好ましくなく、また、MFRが30g/10分を超えるとフィルム成形時の厚み精度が悪化しやすくなるため好ましくない。
ここで、メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)は、JIS K 7210(1995)(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
(a−2)融解ピーク温度(Tm)
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の融解ピーク温度(Tm)は、120〜145℃であり、好ましくは125〜145℃であり、さらに好ましくは130〜145℃である。Tmが120℃未満では、加熱殺菌処理時、特に110℃以上のレトルト処理時に包装用フィルムが変形し易くなり、耐熱性に劣る。
ここで、融解ピーク温度(Tm)は、DSCにより得られる融解ピーク温度を示す。
(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、従来公知であるマグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒を用いて、公知の方法により製造することができる。メタロセン触媒により重合されたものは、透明性、剛性、耐衝撃性のバランスが優れているので好適である。
メタロセン触媒としては、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)、メチルアルモキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物若しくはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のホウ素化合物若しくはイオン交換性層状珪酸塩等のメタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要に応じ使用するトリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。
本発明で用いる(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、市販品を用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製ノバッテクPP、ウィンテック等が例示できる。
なお、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体混合物として用いて良い。
(2)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(c)
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーは、下記の特性(c−1)〜(c−2)、好ましくはさらに(c−3)を有するエチレンとα−オレフィンとの(エチレンを主体とする)エラストマー系ランダム共重合体である。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数3〜10のα−オレフィンが挙げられ、1種類でも2種類以上でも用いることができる。本発明では、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1のα−オレフィンが好ましい。
(c−1)密度
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの密度は、0.86〜0.90g/cmであり、好ましくは0.86〜0.89g/cmである。密度が0.86g/cm未満のものは、フィルムがべたついたり耐ブロッキング性が悪化しやすい。また、密度が0.90g/cmを超えるのものは、透明性が悪くなり易く、また耐衝撃性が悪化しやすい。
ここで、密度は、JIS−K7112−1980に準拠して密度勾配管法により測定する値である。
(c−2)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーのメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.5〜10g/10分であり、好ましくは1.0〜10g/10分である。MFRが0.5g/10分未満のものは、押出特性が悪化しやすく、フィルムの生産性が悪化しやすい問題がある。10g/10分を超えるものは、耐衝撃性が悪化しやすくなる。
ここで、MFR(190℃、21.18N荷重)は、JIS K 7210(1995)(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
(c−3)エチレン含量
本発明の樹脂組成物(A)で必須成分として用いられる(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーのエチレン含量は、50重量%以上が好ましい。エチレン含量が50重量%未満のものは耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性に劣る。α−オレフィンの含有量は、該エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの密度に応じ適宜調整される。
(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの製造方法としては、上記の物性を満足するものが得られるのであれば、その製造方法は特に制限されず、重合触媒として、チタン系触媒、バナジウム系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒、フェノキシイミン系触媒のいずれを用いて製造しても良い。
市販品を用いても良く、例えば、日本ポリエチレン(株)製カーネル、三井化学(株)製タフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、JSR(株)製EPシリーズやEBMシリーズが例示できるほか、直鎖状低密度ポリエチレンもこの範疇にはいる。
本発明では、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーは、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上以上のエラストマーから構成されてもよい。
(3)その他の成分
本発明に用いられる樹脂組成物(A)には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候剤、核剤等の公知の添加剤や、フィルム性能調整の目的で少量のプロピレン単独重合体、プロピレン系ブロック共重合体、石油樹脂、ポリエチレンワックス、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンなどが添加されても良い。ここで、少量とは、結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーを合わせて100重量部としたとき、概ね10重量部以内を意味する。
なかでも、高密度ポリエチレンを配合することが、透明性、剛性の向上につながる点で望ましい。
(4)成分の組成割合
樹脂組成物(A)の主成分を構成する(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの組成割合(重量比率)は、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体:(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーが、70:30〜95:5、好ましくは75:25〜95:5、さらに好ましくは85:15〜93:7である。重量比率が70:30未満であるとフィルムの剛性が低下し、95:5を超えると耐衝撃性が悪化する。
(5)樹脂組成物(A)の製造
樹脂組成物(A)は、前記成分を必要量測定した後、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等公知の混合機で混合する方法、混合した後、さらに、一軸又は二軸押出機等の公知の混練機にて、温度160〜300℃、好ましくは180〜280℃で溶融混練してペレタイズすることによってペレット状にする方法等によって製造することができる。この際、樹脂組成物(A)は、それらを構成する前記成分を一度に混合して得てもよく、あらかじめ前記成分を、2もしくはそれ以上に分割して混合もしくはペレット化しておいたものを、使用時に混合して得ても良い。
2.樹脂組成物(B)
(1)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(b)
本発明の積層体のB層を構成する樹脂組成物(B)に用いる(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(以下、メタロセンランダム共重合体ということがある。)は、プロピレンと1種又は2種以上のα−オレフィンとの結晶性ランダム共重合体であって、下記の特性(b−1)〜(b−2)を有する。
ここで、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数2〜10のα−オレフィンが挙げられる。
かかる結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−オクテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。好ましくは、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、結晶性プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。更に好ましくは結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体が挙げられる。
(b−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)
本発明の樹脂組成物(B)で必須成分として用いられる(b)メタロセンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)は、1.0〜30g/10分であり、好ましくは4.0〜20g/10分であり、より好ましくは5.0〜10g/10分である。MFRが1.0g/10分未満では押出特性が悪化し、生産性が低下するため好ましくなく、また、MFRが30g/10分を超えるとフィルム成形時の厚み精度が悪化しやすくなるため好ましくない。
ここで、メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)は、JIS K 7210(1995)(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
(b−2)融解ピーク温度(Tm)
本発明の樹脂組成物(B)で必須成分として用いられる(b)メタロセンランダム共重合体の融解ピーク温度(Tm)は、125〜150℃であり、好ましくは130〜145℃であり、さらに好ましくは132〜143℃である。融解ピーク温度(Tm)が125℃未満では、加熱殺菌処理時、特に110℃以上のレトルト処理時に包装用フィルムが変形し易くなり、耐熱性に劣る。また、融解ピーク温度(Tm)が150℃を超えると、衝撃強度が劣る。
ここで、融解ピーク温度(Tm)は、DSCにより得られる融解ピーク温度を示す。
(b)メタロセンランダム共重合体は、メタロセン触媒を用いて共重合されたものであることを必須要件とする。
ここで、メタロセン触媒としては、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)、メチルアルモキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物若しくはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のホウ素化合物、ペンタフルオロフェノールと有機金属化合物との反応物若しくはイオン交換性層状珪酸塩等のメタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要に応じ使用するトリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物とからなる触媒等公知のメタロセン触媒を用いて、公知の方法により製造することができる。
マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒などのメタロセン触媒以外の触媒により重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いると、加熱殺菌処理後の透明性の低下、加熱殺菌処理後のヒートシール強度の低下が起こり好ましくない。
(b)メタロセンランダム共重合体としては、市販品を用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製ウィンテック等が例示できる。
(b)メタロセンランダム共重合体は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなっても良い。
(2)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(c)
本発明の樹脂組成物(B)で必須成分として用いられる(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーは、樹脂組成物(A)に使用される(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーを用いることができる。この際、前記特性を満足するものであれば、樹脂組成物(A)で用いた(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーと全く同じものであっても、種類の異なるものであっても良く、一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなってもよい。
(3)その他の成分
本発明の樹脂組成物(B)には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候剤、核剤等の公知の添加剤や、フィルム性能調整の目的で少量のプロピレン単独重合体、プロピレン系ブロック共重合体、石油樹脂、ポリエチレンワックス、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンなどが添加されても良い。ここで、少量とは、メタロセンランダム共重合体とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーを合わせて100重量部としたとき、概ね10重量部以内を意味する。特に、高密度ポリエチレンの配合が好ましい。
本発明の樹脂組成物(B)で好適に使用できる上記高密度ポリエチレンとしては、密度が好ましくは0.94〜0.98g/cmであり、より好ましくは0.95〜0.97g/cmである。高密度ポリエチレンの密度が0.94g/cm未満であると、フィルムの透明性が悪くなり、また、密度が0.98g/cmを超えると、耐衝撃性が悪化しやすい。
また、高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、10g/10分以上が好ましく、より好ましくは10〜100g/10分、さらに好ましくは15〜50g/10分である。高密度ポリエチレンのMFRが10g/10分未満のときポリエチレンの分散径が十分に小さくならず、フィルム表面に分散粒子が凹凸として反映されてしまうため透明性の悪化、フィッシュアイの発生につながる。
なお、高密度ポリエチレンを微分散させるためには、高密度ポリエチレンのMFRがメタロセンランダム共重合体のMFRより大きい方が望ましい。
本発明の樹脂組成物(B)で好適に使用できる高密度ポリエチレンの製造方法は、特に制限されず、市販品を用いることができる。市販品の例としては、日本ポリエチレン(株)製ノバテックHD等が挙げられる。高密度ポリエチレンは、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなってもよい。
高密度ポリエチレンを配合する場合は、成分(b)と成分(c)の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部がレトルト処理後の透明性維持の向上につながる点で好ましく、0.1〜3重量部がより好ましく、0.3〜1重量部が特に好ましい。高密度ポリエチレンの配合割合が、5重量部を超えると高密度ポリエチレンがフィルム中で連続層を形成し易くなり、フィルムの透明性が損なわれる場合があるので望ましくない。
(4)成分の組成割合
樹脂組成物(B)の主成分を構成する(b)メタロセンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの組成割合(重量比率)は、(b)メタロセンランダム共重合体:(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーが70:30〜95:5、好ましくは75:25〜95:5、さらに好ましくは85:15〜93:7である。重量比率が70:30未満であるとフィルムの剛性が低下し、95:5を超えると耐衝撃性が悪化する。
(5)樹脂組成物(B)の製造
樹脂組成物(B)は、前記成分を必要量測定した後、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等公知の混合機で混合する方法、混合した後、さらに、一軸又は二軸押出機等の公知の混練機にて、温度160〜300℃、好ましくは180〜280℃で溶融混練してペレタイズすることによってペレット状にする方法等によって製造することができる。この際、樹脂組成物(B)は、それらを構成する前記成分を一度に混合して得てもよく、あらかじめ前記成分を、2もしくはそれ以上に分割して混合もしくはペレット化しておいたものを、使用時に混合して得ても良い。
3.積層体
本発明の加熱殺菌処理包装用積層体は、上記樹脂組成物(A)からなるA層と、上記樹脂組成物(B)からなるB層とから構成される2層もしくは3層以上の多層構造積層体であり、かつ少なくとも一面がB層からなる表面層で構成されている。
本発明の積層体における層構成の具体例としては、例えば、A層/B層、A層/A層/B層、A層/B層/B層、B層/A層/B層、B層/A層/A層/B層等が挙げられる。
本発明の加熱殺菌処理包装用積層体の厚みは、通常10〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは、30〜150μmである。
この時、加熱殺菌処理包装用積層体を構成するA層の厚みは、全厚みの50%以上を占めていることが必要であり、60〜90%であることが好ましい。A層の厚みが50%未満であると耐衝撃性が悪化し易い。
また、本発明の加熱殺菌処理包装用積層体は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲でA層とB層以外の層を積層できる。なかでも、耐熱性樹脂フィルムを積層することが好ましい。また、必要に応じて、さらに、他の層を上記積層体の中間層、外層に加えることができる。
本発明で用いることのできる耐熱性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の耐熱性樹脂のフィルムまたはその積層フィルムを挙げることができる。耐熱性樹脂フィルムの具体例としては、例えば、1軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、1軸延伸ナイロンと2軸延伸ナイロンからなる積層フィルム、ポリエチレンテレフタレートとナイロンからなる積層フィルム、ポリエチレンテレフタレートと(1軸または2軸)延伸ナイロンからなる積層フィルム等を挙げることができる。好ましくは2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートと2軸延伸ナイロンとからなる積層フィルムが挙げられる。なかでも、レトルト食品包装用として、2軸延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートと2軸延伸ナイロンからなる積層フィルムが好適に使用できる。
A層、B層および耐熱樹脂フィルムからなる積層体の構成例としては、例えば、A層/B層/耐熱性樹脂フィルム、耐熱性樹脂フィルム/A層/B層、A層/A層/B層/耐熱性樹脂フィルム、耐熱性樹脂フィルム/A層/A層/B層、A層/B層/B層/耐熱性樹脂フィルム、耐熱性樹脂フィルム/A層/B層/B層、B層/A層/B層/耐熱性樹脂フィルム、B層/A層/A層/B層/耐熱性樹脂フィルム等を挙げることができる。また、必要に応じて、これらの積層体に、さらに他の層を中間層、外層として積層することができる。
なお、必要に応じて用いる耐熱性樹脂フィルムの厚みは、5〜40μmが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。耐熱性樹脂フィルムは、複数用いても良い。
A層、B層および必要に応じて耐熱性樹脂フィルムを積層する本発明の積層体の製造方法としては、複数の押出機に複数のダイリップを備えた水冷インフレ成形機、空冷インフレ成形機、Tダイ成形機による共押出法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等の公知の方法を用いることができる。A層、B層の積層は、共押出法が好ましく。また、A層及びB層の積層体と耐熱性樹脂フィルムとの積層は、ドライラミネート法、押出ラミネート法が好ましい。
各層の貼り合わせに接着剤を用いる場合には、エステル系、ウレタン系接着剤が好適に使用されるが、公知のもので衛生的に支障のないものであればそれ以外の使用も可能である。
本発明の加熱殺菌処理包装用積層体は、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性、耐ブロッキング性がバランスよく向上していて、従来にない優れた性能を有する。このような積層体は、一般の包装材料としての性能を十分具備しているのみならず、耐衝撃性、耐熱性、衛生性にも優れるため、加熱殺菌処理用積層体、特に、レトルト食品包装用積層体としての適性に優れる。
以下に実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた重合体の物性測定方法、フィルムの物性測定方法、実施例で用いた樹脂材料は以下の通りである。
I.測定法
1.重合体の物性測定
(1)メルトフローレート(MFR:単位g/10分):結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体およびメタロセンランダム共重合体については、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した。ポリエチレンおよびエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーについてはJIS K−7210−1995に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)融解ピーク温度(Tm:単位℃):示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度Tmを測定した。
(3)密度:厚さ1mmの金型を用い、230℃にて7分間予熱をかけた後、プレス成形機にて30kg/cmの圧力で3分間プレス成形した。3分経過の後、直ちに30℃に調整された別のプレス成形機にて50kg/cmの圧力で2分間冷却した。得られたプレスシートを23℃にて12時間以上状態調整した後、およそ5mm×5mmの大きさにカットした。カットしたプレスシートを105℃にて90分間状態調整した後、更に23℃にて12時間以上状態調整した後にJIS K7112−1980に準拠して密度勾配管法により測定した。
2.加熱殺菌処理包装用積層体の物性測定法
測定対象の積層体としては、温度23℃、湿度50%の雰囲気下7日間調整した積層体を用いた。
(1)引張弾性率(単位:MPa):下記の条件にて、積層体生産ラインの流れ方向(MD)および直交方向(TD)各々についての積層体(サンプル)の引張弾性率を測定し、得られた値を積層体の有する剛性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K7127−1989に準拠した。
サンプル長さ:150mm、サンプル幅:15mm、チャック間距離:100mm、クロスヘッド速度:1mm/分
(2)ヘイズ(単位:%):JIS K7105−1981に準拠し、測定した。
(3)ヒートシール温度(単位:℃):JIS Z1707−1995に準拠し、下記の方法により測定した。
23℃、湿度50%に調整された恒温恒湿室内に設置された、東洋精機製作所製熱傾斜試験機にトーマス循環式恒温油槽T−201Pより熱媒体として信越シリコーン製シリコーン油KF96を導入し、5mm×200mmのヒートシールバーに温度傾斜を付けないように、シールバーの温度調節を行った。各設定温度にて圧力2kg/cm、時間1秒のヒートシール条件でシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、ショッパー型引張試験機を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、300gの強度となる温度を求めた。低い温度でヒートシールした時の引張強度が高いほど低温ヒートシール性に優れることを意味する。
(4)ブロッキング強度(単位:g/10cm):実施例等により得られた積層体を、2cm(幅)×15cm(長)の試料フィルムにカッテングし、表面(コロナ処理面)同士を長さ5cmにわたり重ね、50g/cmの荷重下、40℃の雰囲気下で24時間放置した後、荷重を除き、23℃の温度に十分調整した後、ショッパー型引張試験機を用いて500mm/分の速度で試料の剪断剥離に要する力を測定した。数値の小さい方が耐ブロッキング性が良好である。
(5)衝撃強度(単位:kg・cm/cm):東洋精機製フィルムインパクトテスターを用い、単位フィルム(積層体)厚み当たりの貫通破壊に要した仕事量を測定した。具体的には、得られた積層体を23℃又は0℃の雰囲気下にそれぞれ24時間以上放置し、状態調整を行った後、23℃又は0℃にて積層体を直径50mmのホルダーに固定し、25.4mmφの半球型の金属貫通部を打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(kg・cm)から、その積層体の衝撃に対する脆さを測定した。
衝撃強度(kg・cm/cm)=仕事量/試験片厚み
3.加熱殺菌処理包装用積層体(耐熱性樹脂フィルム積層体)の物性測定法
(1)レトルト処理前の評価
積層体に耐熱性樹脂フィルムを最外面に積層して得られたラミ積層体を40℃、2日間で状態調整した後、MD方向120mm×TD方向100mmの大きさに2枚切り取り、MD方向、TD方向を合わせて、耐熱性樹脂フィルムが外側を向くように重ね合わせた後、図1に示すように、MD方向の2辺、TD方向の1辺を10mm幅で熱圧着(条件:200℃、2kg/cm、1.0秒)して、包装用積層袋を得た。この包装用積層袋をレトルト処理前品とした。ただし、図1において、1、2はラミ積層体(加熱殺菌処理包装用積層体)、3は熱融着部(ヒートシール部)、4はヒートシール強度測定用試験片である。
(i)レトルト処理前のヘイズ(単位:%):JIS K7105−1981に準拠し、測定した。
(ii)レトルト処理前のヒートシール強度(単位:N):JIS Z1707−1995に準拠し、下記の方法により測定した。
レトルト処理前の包装用積層袋から、図1に示すようにTD方向の熱圧着部が含まれるように、MD方向に平行に長さ100mm、TD方向幅15mmの試験片4を切り取り、該試験片4を図2に示すように、ショッパー型引張試験機を用いて引張速度500mm/分にて引き離し強度を求めた。
(2)レトルト処理後の評価
前記で得られた包装用積層袋に、次いで、水道水20mlを充填し、120℃×30分のレトルト処理条件を実施し、水道水を除去した後物性を評価した。
(i)レトルト処理後のヘイズ(単位:%):JIS K7105−1981に準拠し、測定した。
(ii)レトルト処理後のヒートシール強度(単位:N):JIS Z1707−1995に準拠し、下記の方法により測定した。
レトルト処理後の包装用積層袋から、図1に示すようにTD方向の熱圧着部が含まれるように、MD方向に平行に長さ100mm、TD方向幅15mmの試験片4を切り取り、該試験片4を図2に示すように、ショッパー型引張試験機を用いて引張速度500mm/分にてヒートシール強度を求めた。
レトルト処理前後のヘイズの差が小さいほど処理に対する影響が小さく優れており、また、レトルト処理前後でヒートシール強度の低下が小さいほど処理に対する影響が小さく優れている。
(3)レトルト処理後の融着性(耐熱性)
前記で得られた包装用積層袋に、内容物の充填なしで120℃×30分のレトルト処理条件を実施し、物性を評価した。レトルト処理後の包装用積層袋の内面(未処理面)同士の融着性を目視にて次の4段階で評価した。
◎:融着がなく非常に良好
○:多少融着は見られるが良好
△:融着が見られやや不良
×:融着がひどく、フィルムが板状に固着して不良
II.使用樹脂材料
1.結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、及び(b)メタロセンランダム共重合体として、以下のPP−1〜PP−6を用いた。
(1)PP−1(チーグラー触媒で重合した結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)商品名FX3A(融解ピーク温度Tm:138.0℃、MFR:8.0g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体)の未造粒パウダー
(2)PP−2(メタロセン触媒で重合したメタロセンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)商品名WFW4(融解ピーク温度Tm:135.0℃、MFR:7.0g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体)の未造粒パウダー
(3)PP−3(メタロセン触媒で重合したメタロセンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)商品名WMB3(融解ピーク温度Tm:141.9℃、MFR:7.9g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体)の未造粒パウダー
(4)PP−4(メタロセン触媒で重合したメタロセンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)商品名WFX4T(融解ピーク温度Tm:125.1℃、MFR:6.9g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体)の未造粒パウダー
(5)PP−5(メタロセン触媒で重合したメタロセンランダム共重合体):融解ピーク温度Tm:121.0℃、MFR:6.5g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体を下記方法にて製造した。
(i)化学処理イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gの化学処理珪酸塩を得た。
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機によりさらに乾燥した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き
回転数:2rpm、傾斜角;20/520、珪酸塩の供給速度;2.5g/分、ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流
乾燥温度:200℃(粉体温度)
(ii)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと日石三菱社製ヘプタン(以下ヘプタンという。)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2.18g(3.30mmol)にヘプタンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.0リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.17リットル添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
(iii)重合
内容積270リットルの撹拌式オートクレーブに液状プロピレンを38kg/hr、エチレンを1.6kg/hr、水素を0.2g/hr、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を9g/hrにて連続的に供給した。内温を60℃に保持し、上記予備重合触媒の流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)スラリーを一定量連続的に供給し、融解ピーク温度121.0℃、メルトフローレート6.5g/10分の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP−5)10kgを得た。
(6)PP−6(チーグラー触媒で重合した結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)商品名FA3EB(融解ピーク温度Tm:159.1℃、MFR:9.5g/10分)の未造粒パウダー
2.エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー
(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとして、以下のER−1〜ER−5を用いた。
(1)ER−1(エチレン・α−オレフィンランダム共重合体):三井化学(株)製タフマーA4085M(密度:0.88g/cm、MFR(190℃):3.6g/10分)
(2)ER−2(エチレン・α−オレフィンランダム共重合体):三井化学(株)製タフマーP0280M(密度:0.87g/cm、MFR(190℃):2.9g/10分)
(3)ER−3(エチレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリエチレン(株)製カーネルKS340T(密度:0.88g/cm、MFR(190℃):3.5g/10分)
(4)ER−4(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):三井化学(株)製タフマーXR110T(密度:0.89g/cm、MFR(190℃):3.2g/10分)
(5)ER−5(エチレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリエチレン(株)製ノバテックLL UF240(密度は0.92g/cm、MFR(190℃):2.1g/10分)
3.高密度ポリエチレン
ポリエチレンとして、以下のPE−1〜PE−2を用いた。
(1)PE−1(高密度ポリエチレン):日本ポリエチレン(株)製ノバテックHD HE490(密度:0.96g/cm、MFR(190℃):20g/10分)
(2)PE−2(高密度ポリエチレン):日本ポリエチレン(株)製ノバテックHD HY540(密度:0.96g/cm、MFR(190℃):1.0g/10分)
(実施例1)
100重量部のPP−1に対し、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガフォス168)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム(耕正製、商品名Ca−St)を0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて750rpm、2分間混合後、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、PP−1ペレットを得た。次に、90重量部のPP−1ペレットと10重量部のER−1とを、リボンミキサーに投入し、60rpm、1分間撹拌し、A層用の樹脂組成物(A1)を得た。
また、100重量部のPP−2に対し、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガフォス168)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム(耕正製、商品名Ca−St)を0.05重量部、アンチブロッキング剤として合成シリカ(富士シリシア社製、商品名サイリシア430)を0.15重量部配合し、ヘンシェルミキサーにて750rpm、2分間混合後、池貝製作所製PCM30mmφ二軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、PP−2ペレットを得た。次に、90重量部のPP−2ペレットと10重量部のER−1を配合し、リボンミキサーにて60rpm、1分間撹拌し、B層用の樹脂組成物(B1)を得た。
続いて、得られた樹脂組成物(A1)および樹脂組成物(B1)を、押出温度230℃に設定したプラコー社製20mmφ、35mmφ、20mmφ三種三層Tダイ成形機を用いてB層/A層/B層よりなる積層体に製造した。この際、樹脂組成物(A1)は、35mmφ押出機(中間層)に投入し、樹脂組成物(B1)は、残り2基の20mmφ押出機(両表面層)に投入し、幅300mmのTダイから溶融押出した後、35℃に調整された直径300mmのチルロールに巻き付けながら冷却固化し、毎分8mの速度で引き取り、厚さ60μmのB層/A層/B層よりなるように調整した。
引き続き得られた積層体のエアナイフ面にコロナ処理を施し、JIS K6768による濡れ張力が、成形直後の値で42mN/mとなるように処理し、この後、コロナ処理を施した面を表面、反対面を裏面と定めた。
該積層体の物性を、前記測定法に準拠し測定した。表1にその評価結果を示す。
さらに、耐熱性樹脂フィルムとして、厚み15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを用い、エステル系接着剤を仲介して、該積層体の表面に耐熱性樹脂フィルムを、ドライラミネート加工により貼り合わせてラミ積層体を得た。
該ラミ積層体の物性を、前記測定法に準拠し測定した。表1にその評価結果を示す。
(実施例2)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(B1)を構成しているPP−2をPP−3に代えた樹脂組成物(B2)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、樹脂組成物(A1)を構成しているPP−1をPP−4に代えた樹脂組成物(A2)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、樹脂組成物(A1)を構成しているPP−1をPP−2に代えた樹脂組成物(A3)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、90重量部のPP−1ペレット、10重量部のER−1および0.5重量部のPE−1をリボンミキサーに投入して60rpm、1分間撹拌した樹脂組成物(A4)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の樹脂組成物(A1)および樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(A1)および樹脂組成物(B1)を構成しているER−1をER−2に代えた樹脂組成物(A5)および樹脂組成物(B3)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の樹脂組成物(A1)および樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(A1)および樹脂組成物(B1)を構成しているER−1をER−3に代えた樹脂組成物(A6)および樹脂組成物(B4)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、80重量部のPP−1ペレットと20重量部のER−1からなる樹脂組成物(A7)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、80重量部のPP−1ペレットと20重量部のER−1からなる樹脂組成物(B5)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、90重量部のPP−1ペレット、10重量部ER−1および1.0重量部のPE−1を、リボンミキサーに投入して60rpm、1分間撹拌した樹脂組成物(B6)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例10の樹脂組成物(A1)の代わりに、90重量部のPP−2ペレットと10重量部のER−1および0.5重量部のPE−1を、リボンミキサーに投入して60rpm、1分間撹拌した樹脂組成物(A8)を用いた以外は実施例10と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(B1)を構成しているPP−2をPP−1に代えた樹脂組成物(B7)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(B7)を構成している結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒により重合されたものでなかったため、ドライラミネート加工により2軸延伸ナイロンフィルムと貼り合わせた後の積層体におけるレトルト処理後のヘイズが高くなり透明性が悪化した。
(比較例2)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(B1)を構成しているPP−2をPP−5に代えた樹脂組成物(B8)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(B8)を構成しているメタロセンランダム共重合体は、融解ピーク温度が125℃未満であったため、ドライラミネート加工により2軸延伸ナイロンフィルムと貼り合わせた後の積層体におけるレトルト処理後の融着性が悪化し実施例より耐熱性が劣った。
(比較例3)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、樹脂組成物(A1)を構成しているPP−1をPP−6に代えた樹脂組成物(A9)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(A9)を構成している結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、融解ピーク温度が150℃より高かったため、耐衝撃性が低下した。
(比較例4)
実施例1の樹脂組成物(A1)の代わりに、65重量部のPP−1ペレットと35重量部のER−1からなる樹脂組成物(A10)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(A10)を構成するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、配合比が高すぎたため、剛性が低下した。
(比較例5)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、65重量部のPP−2ペレットと35重量部のER−1からなる樹脂組成物(B9)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(B9)を構成するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合比が高くなりすぎたため、ドライラミネート加工により2軸延伸ナイロンフィルムと貼り合わせた後の積層体におけるレトルト処理後のヒートシール強度が低下した。
(比較例6)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(B1)を構成するER−1をER−4に代えた樹脂組成物(B10)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(B10)を構成するエラストマーがエチレン・α−オレフィンランダム共重合体ではなく、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いたため、実施例に比べ低温での衝撃強度が悪化した。
(比較例7)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、樹脂組成物(B1)を構成しているER−1をER−5に代えた樹脂組成物(B11)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
樹脂組成物(B11)を構成するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、密度が0.90g/cmを超えているため、透明性が悪化し、また、衝撃強度が悪化した。
(実施例12)
実施例1の樹脂組成物(B1)の代わりに、90重量部のPP−1ペレット、10重量部のER−1および1.0重量部のPE−2を、リボンミキサーに投入して60rpm、1分間撹拌した樹脂組成物(B12)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
ラミ積層体の物性は他の実施例と同様に優れていたが、樹脂組成物(B12)の高密度ポリエチレンのメルトフローレートが低いため、高密度ポリエチレンの分散径が十分に小さくならず、フィルム表面に分散粒子が凹凸として若干反映し、ヘイズが若干高くなり透明性が若干悪化した。
(実施例13)
実施例1の樹脂組成物(B1)において、90重量部のPP−1ペレット、10重量部のER−1および6重量部のPE−1を、リボンミキサーに投入して60rpm、1分間撹拌した樹脂組成物(B13)に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体およびラミ積層体を得、その物性を測定した。その結果を表2に示す。
ラミ積層体の物性は他の実施例と同様に優れていたが、樹脂組成物(B13)の高密度ポリエチレンの配合量が多かったため、表面層に若干の凹凸が発生し、ヘイズも高目となり透明性が若干悪化した。また、衝撃強度も若干低下した。
Figure 2006150892
Figure 2006150892
本発明の加熱殺菌処理包装用積層体は、透明性、剛性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐熱性に優れているので、一般の包装材料としての性能を十分具備しているのみならず、レトルト処理前後の透明性、ヒートシール強度の低下が少なく、耐熱性にも優れるため、レトルト食品包装用積層体として好適に用いることができる。
加熱殺菌処理包装用ラミ積層袋のヒートシール強度を測定するための試験片採取の説明図である。 加熱殺菌処理包装用ラミ積層袋のヒートシール強度を測定するための試験片の説明図である。
符号の説明
1、2 加熱殺菌処理包装用積層体
3 ヒートシール部
4 ヒートシール測定用試験片

Claims (8)

  1. 下記特性を有する(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、下記特性を有する(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分とし、(a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(A)より得られるA層と、下記特性を有する(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、下記特性を有する(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとを主成分とし、(b)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとが70:30〜95:5の重量比率で構成される樹脂組成物(B)より得られるB層とからなり、少なくとも一面がB層からなる表面層で構成され、A層の厚みが全厚みの50%以上で構成されることを特徴とする加熱殺菌処理包装用積層体。
    (a)下記特性(a−1)〜(a−2)を有する結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
    (a−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜30g/10分
    (a−2)融解ピーク温度(Tm)が120〜145℃
    (b)下記特性(b−1)〜(b−2)を有するメタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
    (b−1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1.0〜30g/10分
    (b−2)融解ピーク温度(Tm)が125〜150℃
    (c)下記特性(c−1)〜(c−2)を有するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー
    (c−1)密度が0.86〜0.90g/cm
    (c−2)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.5〜10g/10分
  2. 樹脂組成物(B)が、(b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と(c)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの合計100重量部に対し、高密度ポリエチレンを0.01〜5重量部配合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  3. (b)メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  4. (a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合された結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  5. (a)結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  6. さらに耐熱性樹脂フィルムを積層したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  7. 耐熱性樹脂フィルムが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びナイロンフィルムよりなる群から選ばれた耐熱性樹脂フィルムまたはそれらの積層体であることを特徴とする請求項6に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
  8. 加熱殺菌処理包装用積層体が、レトルト食品包装用積層体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱殺菌処理包装用積層体。
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