JP2006148574A - アナログデジタル変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サンプルホールド回路を必要としないADコンバータを提供する。
【解決手段】 アナログデジタル変換器100において、基準電圧生成部30は、複数の粗い基準電圧と、密な基準電圧を生成する。第1変換部10は、粗い基準電圧と変換対象となる入力アナログ信号を比較し、上位ビットのデータを生成する。第1変換部10は、高速なラッチ型コンパレータにより構成される。第2変換部20は、密な基準電圧と入力アナログ信号を比較し、下位ビットのデータを生成する。第1変換部10と第2変換部20は、外部から入力される同一のクロック信号をトリガーとして入力アナログ信号Vinのサンプリング処理を行う。第1変換部10は、サンプリング処理の完了後、電圧比較を行い上位ビットのデータを生成する。第2変換部20は、密な基準電圧Vrfの安定後、電圧比較処理を行う。この一連の動作を、外部から入力されるクロック信号の1周期以内に行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アナログデジタル変換器に関し、特に2ステップフラッシュ型のアナログデジタル変換器に関する。
入力アナログ信号を量子化し、デジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(以下、ADコンバータという)は、様々なデジタル信号処理回路の基本となる重要な回路ブロックのひとつである。特に通信機器である携帯電話や、オーディオ機器などの内部に使用されるDSP(Digital Signal Processor)においては、ADコンバータによって信号処理速度や信号処理の精度が決定される場合がある。
ADコンバータには、フラッシュ型や2ステップフラッシュ型、ΔΣ型のADコンバータなど、回路形式の異なるいくつかのバリエーションが存在する。
このなかで、2ステップフラッシュ型のADコンバータは、第1段階として、粗い精度で設定された複数の基準電圧をもちいて上位ビットを判定し、第2段階として、その判定結果にもとづいて設定された複数の密な基準電圧をもちいて下位ビットを判定することによりデジタル変換を行う(特許文献1参照)。この2ステップフラッシュ型のADコンバータは、上位ビットと下位ビットを分けて変換するため、すべてのビットを同時に比較するフラッシュ型と比較して、コンパレータの数が減らすことができ、回路規模を小さくすることができる。また、特許文献2は、このような2ステップフラッシュ型のADコンバータを、チョッパ型コンパレータを用いて構成する技術について開示している。
特開昭62−285522号公報 特開平7−336223号公報
ここで、上記特許文献2に記載のチョッパ型コンパレータを用いた2ステップフラッシュ型ADコンバータは、粗い精度で上位ビットを判定した後に、密な精度で下位ビットを判定するため、下位ビットの判定が完了するまでの間、入力アナログ信号を固定しておく必要がある。
このために、このようなステップフラッシュ型ADコンバータは、入力アナログ信号を固定するためのサンプルホールド回路を備えている。しかしながらサンプルホールド回路は、面積が大きく、また電流を消費するため、ADコンバータを小型化、低消費電力化する障壁となっていた。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サンプルホールド回路を必要としないADコンバータの提供にある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のアナログデジタル変換器は、2ステップフラッシュ型ADコンバータであって、複数の粗い基準電圧と、複数の密な基準電圧を生成する基準電圧生成部と、複数の粗い基準電圧と変換対象となる入力アナログ信号を比較し、上位ビットのデータを生成する第1変換部と、複数の密な基準電圧と入力アナログ信号を比較し、下位ビットのデータを生成する第2変換部と、を備える。第1変換部と第2変換部は、外部から入力される同一のクロック信号をトリガーとして入力アナログ信号のサンプリング処理を行い、第1変換部は、入力アナログ信号のサンプリング処理の完了後、サンプリング処理された入力アナログ信号と粗い基準電圧との比較により上位ビットのデータを生成し、第2変換部は、入力アナログ信号のサンプリング処理から第2変換部における下位ビットのデータの生成までの処理をクロック信号の1周期内に完了する。
この態様によると、第1変換部に高速なコンパレータを用いることによって、第2変換部において、サンプリング処理から電圧比較処理までの時間を短縮することができ、サンプルホールド回路を必要としないため、ADコンバータを小型化することができる。
第1変換部は、入力アナログ信号のサンプリング処理を行い、サンプリング処理された入力アナログ信号と複数の粗い基準電圧を比較してその比較結果をラッチ可能な複数のラッチ型コンパレータを含んでもよい。
第2変換部は、チョッパ型コンパレータを含んでもよい。
第2変換部は、入力アナログ信号のサンプリング処理から所定時間経過した後に、入力アナログ信号と複数の密な基準電圧を比較してもよい。
第2変換部において、入力アナログ電圧をサンプリング処理を行ってから、基準電圧生成部から出力される密な基準電圧が安定するまで待った後に、電圧比較動作を行うことにより、より正確なAD変換を行うことができる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明に係るADコンバータによれば、サンプルホールド回路を必要としないため、回路規模を小さくすることができ、また消費電流を低減することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るADコンバータ100の構成を示すブロック図である。以降の図において、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜重複した説明を省略するものとする。
ADコンバータ100は、2ステップフラッシュ型のADコンバータであって、入力端子102に入力される入力アナログ信号Vinを8ビットで量子化して、出力端子104からデジタル出力信号Voutを出力する。
ADコンバータ100は、第1変換部10、第2変換部20、基準電圧生成部30、合成回路32を含む。2ステップフラッシュ型のADコンバータは、第1ステップとして、第1変換部10によって、複数の粗い基準電圧と入力アナログ信号を比較し、上位ビットを生成する。次に、第2ステップとして、第2変換部20によって複数の密な基準電圧と入力アナログ信号を比較して下位ビットを生成する。合成部30は、上位ビットと下位ビットを合成してデジタル信号を出力する。粗い基準電圧および密な基準電圧は、基準電圧生成部30によって生成される。
図2は、基準電圧生成部30の全体構成を示す回路図である。この基準電圧生成部30は、8ビット、256段階の基準電圧Vr0〜Vr256を生成する。本実施の形態においては、Vr0が最大電圧、Vr256が最小電圧に対応するものとする。各基準電圧Vrの差分ΔVrは、1LSBに対応した電圧となる。
基準電圧生成部30は、抵抗値の等しい複数の抵抗R1〜R256を含み、これらの抵抗がラダー状に直列に接続されており、両端に最大基準電圧VrefUおよび最小基準電圧VrefLが印加される。その結果、各抵抗R1〜R256の接続ノードには、両端に印加された電圧が分圧され、基準電圧Vr0〜Vr256が現れる。
以下、上位5ビットを1つのデータと考えた場合の1LSBを、下位ビットの1LSBと区別するために、添え字にuを付して、1LSBuと書く。したがって、1LSBu=8LSBが成り立つ。
基準電圧生成部30は、基準電圧Vr1〜Vr256のうち、3ビット、1LSBu(=8LSB)ごとに選択されたVr8、Vr16、Vr24・・・Vr(n×8)・・・Vr240、Vr248の31個の粗い基準電圧を、第1変換部10へと出力する。nは自然数である。
また、詳しくは後述するが、基準電圧Vr1〜Vr256のうち選択された12個の電圧が密な基準電圧Vrf1〜Vrf12として第2変換部20へと出力される。
図1に戻る。第1変換部10は、全8ビットの内、上位5ビットを判定する変換部であって、第1比較部12および第1補正回路14を含む。
第1比較部12は、複数のコンパレータCMPc1〜CMPc31を含んでおり、これらの複数のコンパレータCMPc1〜CMPc31には、それぞれ、基準電圧生成部30により生成される複数の粗い基準電圧Vr8、Vr16、Vr24・・・Vr(n×8)・・・Vr240、Vr248が入力されている。以下、複数の同一構成要素を区別するために付した番号は、特にそれらを区別する必要の無い場合、適宜省略する。
コンパレータCMPc1〜CMPc31は、入力電圧のサンプリング処理の後、瞬時に電圧比較を行い、出力をラッチすることが可能なラッチ型コンパレータにより構成されている。このラッチ型コンパレータについては、たとえば、特開平4−309011などに詳細が記載されている。本実施の形態においては、コンパレータCMPc1〜CMPc31は、外部から入力されるクロック信号CKがローレベルからハイレベルに遷移すると電圧比較を開始し、ハイレベルからローレベルに切り替わると同時にその出力をラッチする。
複数のコンパレータCMPc1〜CMPc31には、入力端子102に入力された入力アナログ信号Vinがそれぞれ印加されており、各コンパレータCMPc1〜CMPc31は、入力アナログ信号Vinと、粗い基準電圧Vr8〜248とを比較する。その結果、各コンパレータCMPc1〜CMPc31からは上位5ビットに対応する出力信号Sc1〜Sc31が出力される。本実施の形態においては、コンパレータCMPcは、Vin>Vrのとき出力信号Scをハイレベルに、Vin<Vrのとき出力信号Scをローレベルに設定する。
たとえば、入力アナログ信号Vinが、Vr16とVr32の範囲にあるときには、出力信号Sc1およびSc2がローレベルとなり、その他の出力信号Sc3〜Sc31がハイレベルとなる。各コンパレータCMPc1〜CMPc31の出力信号Sc1〜Sc31は、第1補正回路14へと送出される。
第1補正回路14は、出力信号Sc1〜Sc31にもとづいて、ビット誤りなどを修正する。たとえば、第1比較部12から出力された出力信号Scをチェックし、出力信号Sc1〜Sc3およびSc5がローレベルであり、残りの出力信号Scがすべてハイレベルであった場合、出力信号Sc5をハイレベルに設定し直すなどの処理を行う。
第1補正回路14は、補正後の出力信号Sc’を合成回路32および基準電圧生成部30へ出力する。さらに、第1補正回路14は、合成回路32に対して選択信号Vselを出力する。詳細は後述するが、この選択信号Vselは、上位5ビットの判定結果が奇数であったか、偶数であったかを合成回路32へと通知するための信号である。
なお、図中、合成回路32および基準電圧生成部30へと出力される補正後の出力信号Sc’は、実際には31個の出力信号Sc1’〜Sc31’が簡略化して示されたものである。
第2変換部20は、第1変換部10による上位5ビットの生成後、下位3ビットを生成する変換部であって、第2比較部22および第2補正回路24を含む。
この第2変換部20は、第1変換部10によって判定された上位5ビットに続く下位3ビットを判定する。この第2変換部20は、下位3ビットを判定するために、上位ビットの1LSBu(=8LSB)の範囲に加え、上下に6LSBのオーバーラップ量をもっており、第2変換部20は、8+6+6=20LSBの範囲で電圧比較を行う。
すなわち、第1変換部10による上位5ビットの判定の結果、量子化値が8×nから8×n+8の間であると判定されたとする。このとき、第2変換部20は、8×n−6から8×n+14の各量子化値について大小関係の判定を行う。
たとえば、第1変換部10の判定の結果、n=3であると判定された場合、量子化値は24〜32の間をとるはずであるが、本実施の形態に係るADコンバータ100では、第2変換部20において、量子化値18〜38の範囲について判定を行うこととなる。同様に、n=2のとき、量子化値10〜30の20LSBの範囲について判定を行う。
このように、第2変換部20における下位ビット判定をオーバーラップの範囲を設けて判定を行うことにより、第1変換部10における変換誤差を補正することができる。
なお、本実施の形態に係るADコンバータ100では、上位ビットの1LSBuは下位ビットの8LSBに相当するため、第2変換部20において設定されるオーバーラップ量±6LSBは、上位ビットの1/2LSB(=4LSB)より大きく設定されることになる。
20LSBの範囲で電圧比較を行い下位ビットを判定するために、第2比較部22は、12個のコンパレータCMPf1〜CMPf12を含む。これらのコンパレータCMPfは、インターポレーティング型(補間型)のコンパレータであって、入力された密な基準電圧Vrf1〜Vrf12と入力アナログ信号Vinを比較し、2倍の精度で補間して出力する。
基準電圧生成部30は、2LSBに相当する2×ΔVr刻みに設定された密な基準電圧Vrf1〜Vrf12を生成し、第2比較部22へと出力している。第2比較部22は、入力アナログ信号Vinと密な基準電圧Vrf1〜Vrf12とをそれぞれ比較し、出力する。複数の出力結果のうち、両端については、補間精度が低いため使用せず、20個の出力信号Sf1〜Sf20を判定結果として出力する。この出力信号Sf1〜Sf20は、2LSB刻みの密な基準電圧Vrfを2倍の精度で量子化したものであるから、第2変換部20は結局、1LSB刻みで20LSBの範囲で量子化して下位3ビットを生成することになる。
図3は、チョッパ型コンパレータを用いて構成したインターポレーティング型のコンパレータを示す回路図である。
図中、破線で囲んだ基本ユニット300であるチョッパ型コンパレータCMPfiは以下のようにして動作する。まず、スイッチSWxとスイッチSWzがオンし、容量Cxを充電することによって入力電圧Vinのサンプリング処理が行われる。次に、スイッチSWx、SWzをオフすると、容量Cxに蓄えられた電荷が保存されるため、容量Cxの両端の電圧が一定に保たれる。このとき、スイッチSWyをオンすることにより、容量Cxの一端には、比較信号Vrfiが印加されることになるため、容量Cxの他端の電圧、すなわちインバータINV200の入力電圧は、2つの信号VinおよびVrfiに応じて変動することになる。インバータINV200は、その電圧変動を増幅することによって、入力信号Vinと基準電圧Vrfiの電圧比較を行い、比較結果をハイレベルまたはローレベルとして出力する。
図3のインターポレーティング型のコンパレータは、破線で囲まれる基本ユニット300を容量Cyを介して複数接続することによって、基準電圧VrfiおよびVrf(i+1)に加えて、電圧(Vrfi+Vrfi+1)/2と入力電圧Vinを比較し、その結果をインバータINV202〜INV204から出力することで補間を行うことができる。
上述のように、基準電圧生成部30から出力される複数の密な基準電圧Vrf1〜Vrf12は、2LSBに相当する2×ΔVr刻みとなっている。これらの密な基準電圧Vrf1〜Vrf12は、第1補正回路14から送出される補正後の出力信号Sc’にもとづいて決定される。
図4は、第2変換部20により生成される下位3ビットおよびオーバーラップ量を示す図であり、第1変換部10により生成された上位5ビットと、密な基準電圧Vrf1〜Vrf12との対応関係を示す図である。図4の縦軸は量子化値を表しており、また、図中nは、第1変換部10により得られた上位5ビットを10進数で示した値である。
n=2のとき、基準電圧生成部30は、奇数番目の接続ノードから基準電圧Vr9、Vr11、Vr13・・・Vr27、Vr29、Vr31をそれぞれ密な基準電圧Vrf1、Vrf2、Vrf3・・・Vrf10、Vrf11、Vrf12として出力する。
n=3のときには、基準電圧生成部30は、偶数番目の接続ノードから基準電圧Vr16、Vr18、Vr20・・・Vr34、Vr36、Vr38をそれぞれ密な基準電圧Vrf1、Vrf2、Vrf3・・・Vrf10、Vrf11、Vrf12として出力する。
また、n=4のときには、基準電圧生成部30は、奇数番目の接続ノードから基準電圧Vr25、Vr27、Vr29・・・Vr43、Vr45、Vr47をそれぞれ密な基準電圧Vrf1、Vrf2、Vrf3・・・Vrf10、Vrf11、Vrf12として出力する。
このように、基準電圧生成部30は、第1変換部10により生成された上位ビットが互いに1LSBu異なる、すなわちnが1異なる隣接する電圧範囲については、密な基準電圧Vrfを、互いにΔVrシフトさせ、交互に出力する。
基準電圧生成部30は、上位5ビットの判定結果である補正後の出力信号Sc’に応じて、密な基準電圧Vrfを切り替えて出力する。
図5は、密な基準電圧Vrf1〜Vrf12を生成する基準電圧生成部30の構成の一部を示す回路図である。基準電圧生成部30は、上述のように、抵抗R1〜R256を含み、各抵抗の接続ノードには基準電圧Vr1〜Vr256が現れている。i番目の基準電圧Vriが現れる接続ノードをNDiとする。
基準電圧生成部30は、密な基準電圧Vrf1〜Vrf12を出力するための出力端子OUT1〜OUT12を備える。図4に示したように、密な基準電圧Vrf1〜Vrf12は、第1変換部10により判定された上位5ビットに応じて変化する。そのため、出力端子OUT1〜OUT12と、各抵抗の接続ノード間にはスイッチSWが設けられており、スイッチの接続状態によって、出力端子OUT1〜OUT12から出力される密な基準電圧Vrf1〜Vrf12が切り替えられる。このスイッチSWのオンオフ状態は、第1補正回路14から送出される補正後の出力信号Sc’にもとづいて制御される。図中、出力信号Sc’は、1本の信号線で示されているが、実際には各スイッチSWごとにオンオフを制御する複数の信号である。
スイッチSWは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などにより構成することができ、電圧経路にドレイン端子およびソース端子を接続し、ゲート端子にオンオフを切り替える出力信号Sc’を入力することによりトランスファーゲートとして利用することができる。
ここで、偶数i(=8×n+2×m)番目の接続ノードNDiに着目する。ここで、nおよびmは整数である。このi番目の接続ノードNDiは、j=(m+1)番目およびj=(m+9)番目の出力端子OUTjとスイッチSWia、SWibを介して接続されている。たとえば、基準電圧Vr36が出力される36番目の接続ノードND36は、スイッチSW36aおよびスイッチSW36bを介して出力端子OUT3およびOUT11と接続される。なお、ここで整数nは、上位5ビットを10進数で表したものに他ならない。
同様に、奇数i(=8×n+2×m+1)番目の接続ノードNDiには、j=(m+1)番目およびj=(m+9)番目の出力端子OUTjと接続されている。たとえば、基準電圧Vr31が出力される31番目の接続ノードND31は、スイッチSW31aおよびスイッチSW31bを介して、出力端子OUT4および出力端子OUT12と接続されている。
基準電圧生成部30を上記の構成とすることにより、2個ごとの接続ノードNDに現れる2×ΔVr刻みの電圧を、上位5ビットを表すnが1異なるごとに、互いにΔVrシフトさせて出力することができ、各接続ノードND1〜ND256それぞれに接続されるスイッチの数も2つ以下とすることができる。
基準電圧生成部30は、第1変換部10の出力信号Sc’にもとづいてスイッチSWのオンオフを制御することによって、出力端子OUT1〜OUT12に接続される接続ノードNDを切り替えることにより、密な基準電圧Vrfを切り替える。
図4に示すように、第1変換部10により判定された上位5ビットを10進数で表した数字がn=3のとき、SW16a、SW18a・・・SW38aがオンし、その他のスイッチがオフすることによって、出力端子OUT1〜OUT12からは、密な基準電圧としてVr16、Vr18・・・Vr38が出力される。
また、n=4のとき、スイッチSW25b、SW27b・・・SW47bがオンし、他のスイッチがオフすることにより出力端子OUTからVr25、Vr27・・・Vr47が出力される。
このようにnが奇数のときには偶数番目の接続ノードNDiに接続されるスイッチSWiaがオンし、nが偶数のときには奇数番目の接続ノードNDiに接続されるスイッチSWibがオンする。
第2比較部22は、このようにして基準電圧生成部30から出力された12個の密な基準電圧Vrf1〜Vrf12と入力アナログ信号Vinとをそれぞれ比較し、密な基準電圧Vrfの2倍の精度で量子化された出力信号Sf1〜Sf20の20個の信号を出力する。
ここで、基準電圧生成部30から出力される複数の密な基準電圧Vrf1〜Vrf12と、第2変換部20から出力される出力信号Sf1〜Sf20の関係に着目する。
図4に示すように、上位5ビットを表すnが偶数のときと奇数のときでは、密な基準電圧Vrf〜Vrf12は互いにΔVrシフトして生成される。
nが偶数のときには、8LSB(=1LSBu)の範囲に対して±7LSBのオーバーラップ範囲を含む22LSBをカバーするようにして密な基準電圧Vrfが出力される。
一方、nが奇数のときには、8LSBの範囲に対して+6LSB、−8LSBのオーバーラップ範囲を含む22LSBをカバーするようにして密な基準電圧Vrfが出力される。
図6(a)、(b)はそれぞれ、上位5ビットを表すnが奇数のとき、偶数のときの第2比較部22の動作状態を示す図である。
図6(a)に示すように、nが偶数のときには、密な基準電圧Vrf1、Vrf2・・・Vrf5、Vrf6・・・Vrf11、Vrf12はそれぞれ、−7LSB、−5LSB・・・1LSB、3LSB・・・13LSB、15LSBに対応した電圧となる。
一方、図6(b)に示すように、nが奇数のときには、密な基準電圧Vrf1、Vrf2・・・Vrf5、Vrf6・・・Vrf11、Vrf12はそれぞれ、−8LSB、−6LSB・・・0LSB、2LSB・・・12LSB、14LSBに対応した電圧となる。
ここで、−5LSB〜13LSBに対応する基準電圧と入力アナログ信号の比較結果が20LSBの範囲で量子化した下位3ビットのデータを表すことになる。したがって、第2比較部22から出力される出力信号Sf1〜Sf20は、nが偶数のとき、図6(a)に示すように、Sf1〜Sf19が下位3ビットを表すデータとなり、nが奇数のときには、図6(b)に示すように、Sf2〜Sf20が下位3ビットを表すデータとなる。
第2比較部22から出力される下位3ビットに相当する出力信号Sf1〜Sf20は、第2補正回路24へと送出される。第2補正回路24は第1補正回路14と同様に、ビット誤りなどの訂正を行い、訂正後の出力信号Sf’を合成回路32に出力する。
合成回路32は、上位5ビットを表す出力信号Sc1’〜Sc31’と、下位3ビットを表す出力信号Sf1’〜Sf20を合成して入力アナログ信号Vinをデジタル変換した8ビットのデジタル信号Voutを出力する。
この合成回路32は、第1補正回路14から出力される選択信号Vselを参照し、第1変換部10による判定の結果、上位5ビットを表すnが奇数であったか、偶数であったかを識別する。
合成回路32は、nが偶数のとき、第2補正回路24から出力される補正後の出力信号Sf1’〜Sf20’のうちSf1’〜Sf19’を下位3ビットのデータとして、出力信号Sc1’〜Sc31’と合成し、8ビットのデジタル信号を生成する。
また、合成回路32は、nが奇数のとき、第2補正回路24から出力される補正後の出力信号Sf1’〜Sf20’のうちSf2’〜Sf20’を下位3ビットのデータとして、出力信号Sc1’〜Sc31’と合成し、8ビットのデジタル信号を生成する。
以上のように構成されたADコンバータ100の動作について説明する。
図7は、ADコンバータ100の動作を表すタイミングチャートである。
ADコンバータ100には、基準となるクロック信号CLKが入力されている。図中、φ1は、第1比較部12のコンパレータCMPc1〜CMPc31がサンプリング処理および電圧比較動作を行うタイミングを、φ2は、第2比較部22のコンパレータCMPf1〜CMPf12がサンプリング処理を行うタイミングを、φ2’は、第2比較部22のコンパレータCMPf1〜CMPf12が電圧比較を行うタイミングを指示する信号である。これらのタイミング信号φ1、φ2、φ2’は、外部から入力されたクロック信号CLKにもとづき、ADコンバータ100の内部で生成される。
基準となるクロック信号CLKがローレベルからハイレベルに遷移すると、タイミング信号φ1がハイレベルとなる。タイミング信号φ1がハイレベルの期間、第1比較部12のコンパレータCMPc1〜CMPc31は入力アナログ信号Vinのサンプリング処理を行う。その後、タイミング信号φ1がローレベルに遷移すると同時に、コンパレータCMPc1〜CMPc31は、電圧比較を行う。上述のようにコンパレータCMPc1〜CMPc31は、チョッパ型コンパレータに代えて高速なラッチ型コンパレータを用いて構成されているため、高速な電圧比較を行い、その比較結果をラッチすることができる。
タイミング信号φ1がハイレベルとなると同時に、タイミング信号φ2もハイレベルに立ち上がる。このタイミング信号φ2をトリガーとして、第2比較部22のコンパレータCMPf1〜CMPf12は入力アナログ信号Vinのサンプリング処理を行う。
タイミング信号φ1がローレベルに遷移し、第1変換部10による電圧比較によって上位3ビットの量子化が行われると、出力信号Sc1’〜Sc31’が合成回路32および基準電圧生成部30に出力される。この出力信号Sc1’〜Sc31’によって基準電圧生成部30においてオンすべきスイッチSWが選択され、密な基準電圧Vrf1〜Vrf12が出力される。密な基準電圧Vrf1〜Vrf12が第2比較部22に対して出力され、電圧が安定するのを待って、タイミング信号φ2’がハイレベルに遷移する。タイミング信号φ2’がハイレベルとなると、第2比較部22のコンパレータCMPf1〜CMPf12は電圧比較を行い、下位3ビットのデータに対応する出力信号Sf1〜Sf20を出力する。この出力信号Sf1〜Sf20は、第2補正回路24により補正され、補正後の出力信号Sf1’〜Sf20’が合成回路32へと出力される。
合成回路32は、選択信号Vselにもとづいて、出力信号Sf1’〜Sf20’から下位3ビットのデータを取得し、上位5ビットを表す出力信号Sc1’〜Sc31’と合成して、入力アナログ信号Vinを8ビットで量子化した出力信号Voutを出力する。
以上のように、本実施の形態に係るADコンバータ100は、上位ビットの変換を行う第1比較部12に、従来のチョッパ型コンパレータに代えて、高速な電圧比較を行うことが可能なラッチ型コンパレータを用いている。その結果、第2比較部22のコンパレータがサンプリング処理の完了後、速やかに電圧比較動作に移行できるため、第1比較部12および第2比較部22において同時にサンプリング処理を行った場合でも、第2比較部22の入力電圧Vinが変動するのを抑えることができる。そのため、従来のチョッパ型コンパレータを用いたADコンバータのように、入力段にサンプルホールド回路を必要としないため、回路規模を小さくすることができ、消費電流の低減を図ることが可能となる。
さらに、本実施の形態に係るADコンバータ100において、基準電圧生成部30は、第2変換部20に対して複数の密な基準電圧Vrfを2LSB刻みにて出力しており、かつ、上位ビットが1LSBu異なるごとに、奇数番目の接続ノードと偶数番目の接続ノードから交互に密な基準電圧Vrfを出力している。そのため、第2変換部20におけるオーバーラップ量を1/2LSBu(=4LSB)以上に設定した場合でも、基準電圧生成部30において、各接続ノードNDに接続されるスイッチを2個以下とすることができ、回路規模の増加を抑えることができる。
逆に言えば、本実施の形態に係るADコンバータ100によれば、オーバーラップ量を増加させても、基準電圧生成部30内部に設けられるスイッチの数が増加しないため、回路規模を増加を抑えつつ、AD変換の精度を向上することができる。
これは、特に、本実施の形態のように、第1変換部10の第1比較部12のコンパレータとして、高速であるが精度が低いラッチ型コンパレータなどを用いる際に、上位ビットの生成において誤差が発生した場合でも、下位ビットの生成において、オーバーラップ量を増加させることによって、AD変換の精度を保持できることを意味するため、全体として、従来のチョッパ型コンパレータにより構成した2ステップフラッシュADコンバータと同等の変換精度を保持しつつ、サンプルホールド回路を省略することができるため、回路規模を縮小することができる。
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、実施の形態では、第1変換部10より生成された上位ビットnが奇数の場合と偶数の場合でスイッチSWiaとSWibを切り替えることによって第2比較部22の共通のコンパレータを用いたがこれには限定されない。すなわち、第2比較部22に、上位ビットnが奇数と偶数の場合でそれぞれ使用するコンパレータを別々に設けてもよい。この場合でも、基準電圧生成部30の抵抗Rの1つの接続ノードNDに接続されるスイッチSWの数を2個以下とすることができ、さらに、配線を、従来の2ステップフラッシュ型のADコンバータと同様にすることができる。
本実施の形態において、ADコンバータ100を構成する素子はすべて一体集積化されていてもよく、複数の集積回路に分けて構成されていても良い。どの部分を集積化するかは、コストや占有面積などによって決めればよい。
本発明の実施の形態に係るADコンバータの構成を示すブロック図である。 基準電圧生成部の全体構成を示す回路図である。 チョッパ型コンパレータを用いて構成したインターポレーティング型コンパレータを示す回路図である。 第2変換部により生成される下位ビットおよびオーバーラップ量を示す図であり、第1変換部により生成された上位ビットと、密な基準電圧Vrf〜Vrfとの対応関係を示す図である。 基準電圧生成部の構成の一部を示す回路図である。 図6(a)、(b)はそれぞれ、上位ビットを表すnが奇数のとき、偶数のときの第2比較部の動作状態を示す図である。 ADコンバータの動作を表すタイミングチャートである。
符号の説明
100 ADコンバータ、 10 第1変換部、 12 第1比較部、 14 第1補正回路、 20 第2変換部、 22 第2比較部、 24 第2補正回路、 CMPc コンパレータ、 CMPf コンパレータ、 30 基準電圧生成部、 32 合成回路。

Claims (4)

  1. 2ステップフラッシュ型アナログデジタル変換器であって、
    複数の粗い基準電圧と、複数の密な基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
    前記複数の粗い基準電圧と変換対象となる入力アナログ信号を比較し、上位ビットのデータを生成する第1変換部と、
    前記複数の密な基準電圧と前記入力アナログ信号を比較し、下位ビットのデータを生成する第2変換部と、を備え、
    前記第1変換部と前記第2変換部は、外部から入力される同一のクロック信号をトリガーとして前記入力アナログ信号のサンプリング処理を行い、前記第1変換部は、前記入力アナログ信号のサンプリング処理の完了後、サンプリング処理された前記入力アナログ信号と前記粗い基準電圧との比較により上位ビットのデータを生成し、前記第2変換部は、前記入力アナログ信号のサンプリング処理から前記第2変換部における下位ビットのデータの生成までの処理を前記クロック信号の1周期内に完了することを特徴とするアナログデジタル変換器。
  2. 前記第1変換部は、前記入力アナログ信号のサンプリング処理を行い、サンプリング処理された前記入力アナログ信号と前記複数の粗い基準電圧を比較してその比較結果をラッチ可能な複数のラッチ型コンパレータを含むことを特徴とする請求項1に記載のアナログデジタル変換器。
  3. 前記第2変換部は、チョッパ型コンパレータを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアナログデジタル変換器。
  4. 前記第2変換部は、前記入力アナログ信号のサンプリング処理から所定時間経過した後に、前記入力アナログ信号と前記複数の密な基準電圧を比較することを特徴とする請求項1または2に記載のアナログデジタル変換器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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