JP2006147786A - 軟磁性膜およびその製造方法ならびに薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きい軟磁性膜を安定して製造する。
【解決手段】方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜を製造する。この軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aは80以上100未満である。また、軟磁性膜の飽和磁束密度は、2.0T以上である。また、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は、1.3重量%以下である。
【選択図】図14
【解決手段】方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜を製造する。この軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aは80以上100未満である。また、軟磁性膜の飽和磁束密度は、2.0T以上である。また、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は、1.3重量%以下である。
【選択図】図14
Description
本発明は、軟磁性膜およびその製造方法、ならびに軟磁性膜を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
近年、磁気ディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
また、磁気ディスク装置における記録方式には、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手磁気記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直磁気記録方式とがある。
長手磁気記録方式と垂直磁気記録方式のいずれにおいても、記録ヘッドは、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層とを備えている。高記録密度化のために、記録ヘッドには、トラック幅の縮小、すなわち媒体対向面における磁極層の端面の幅の縮小と、記録特性の向上が求められる。記録特性の向上とは、例えば、重ね書きの性能を表わすオーバーライト特性の向上である。トラック幅が小さくなるとオーバーライト特性は低下するので、トラック幅が小さくなるほど、オーバーライト特性の一層の向上が必要となる。オーバーライト特性を向上させるには、磁極層の材料として、飽和磁束密度の大きな材料を用いることが有効である。また、磁極層の材料には、軟磁気特性が良好なこと、すなわち保磁力が小さいことが求められる。
従来、磁極層の材料としては、FeNi系合金が多く用いられていた。しかし、Fe:18重量%、Ni:82重量%の組成や、Fe:50重量%、Ni:50重量%の組成のような従来のFeNi系合金では、十分な飽和磁束密度が得らないという問題点があった。
特許文献1には、Feの割合が70質量%以上90質量%以下で、飽和磁束密度が1.9T以上のFeNi合金膜や、Feの割合が78質量%以上85質量%以下で、飽和磁束密度が2.0T以上のFeNi合金膜等が記載されている。また、特許文献1には、パルス電流を用いた電気めっき法によって、上記FeNi合金膜を製造する技術が記載されている。
磁極層の材料としては、2.0T以上の飽和磁束密度を有するものが望ましい。特許文献1には、パルス電流を用いた電気めっき法によってFeNi合金膜を製造すると共に、FeNi合金膜におけるFeの割合を78質量%以上85質量%以下とすることにより、飽和磁束密度を2.0T以上にすることができると記載されている。しかしながら、めっき法によってFeNi合金膜を製造する場合には、めっき浴中のFeイオン濃度とNiイオン濃度の比率等によって、FeNi合金膜の組成が変動する。この組成が変動すると、FeNi合金膜の飽和磁束密度が変動する。特許文献1に記載された技術では、飽和磁束密度が2.0T以上となる組成の範囲が狭いため、飽和磁束密度が2.0T以上となるFeNi合金膜を安定して製造することが難しいという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きい軟磁性膜を安定して製造できるようにした軟磁性膜およびその製造方法、ならびに、この軟磁性膜を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明の軟磁性膜の製造方法は、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜を製造する方法であって、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、上記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aが80以上100未満となるように、軟磁性膜を製造するものである。
本発明の軟磁性膜の製造方法によれば、aが80以上100未満の広い組成範囲で、軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きい軟磁性膜を製造することが可能になる。
本発明の軟磁性膜の製造方法では、aが90以上100未満となるように、軟磁性膜を製造してもよい。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法では、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、1.3重量%以下とすることが好ましく、0.5重量%以下とすることがより好ましい。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法では、電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とすることが好ましい。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法では、めっき電流は、陰極に合金が析出するように作用する第1の方向の電流と第1の方向とは逆方向の第2の方向の電流とが交互に切り替わるものであり、且つ第1の方向の電流の電流密度の時間積分値は、第2の方向の電流の電流密度の時間積分値よりも大きいことが好ましい。
本発明の軟磁性膜は、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなり、電気めっき法によって製造されたものである。本発明の軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aは90以上100未満であり、飽和磁束密度は2.0T以上である。
本発明の軟磁性膜によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜における合金の組成範囲を広くすることができ、その結果、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になる。
本発明の軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は、1.3重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。
また、本発明の軟磁性膜において、保磁力は4×79.6A/m以下であることが好ましい。
また、本発明の軟磁性膜において、内部応力の大きさは500MPa以下であることが好ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法である。この製造方法は、コイルを形成する工程と、磁極層を形成する工程とを備えている。磁極層は、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜によって構成されている。軟磁性膜は、本発明の軟磁性膜の製造方法によって製造される。
本発明の軟磁性膜の製造方法によれば、軟磁性膜を構成する合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aが80以上100未満の広い組成範囲で、軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きい軟磁性膜を製造することが可能になる。これにより、本発明によれば、軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きい軟磁性膜を安定して製造することが可能になるという効果を奏する。また、本発明によれば、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って上記の軟磁性膜を製造することにより、軟磁性膜の内部応力を小さくすることができるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、1.3重量%以下とした場合には、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することができるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、0.5重量%以下とした場合には、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を、より安定して製造することができるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜の製造方法において、電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とした場合には、軟磁性膜の保磁力および内部応力を小さくすることができ、且つ軟磁性膜の成膜速度を大きくすることができるという効果を奏する。
本発明の軟磁性膜によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜における合金の組成範囲を広くすることができる。これにより、本発明によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、1.3重量%以下とした場合には、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を、より確実に製造することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、0.5重量%以下とした場合には、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を、より安定して製造することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜において、保磁力を4×79.6A/m以下とした場合には、特に軟磁気特性が良好な軟磁性膜を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明の軟磁性膜において、内部応力の大きさを500MPa以下とした場合には、軟磁性膜の下地からの剥離や軟磁性膜におけるクラックの発生を防止することができるという効果を奏する。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、軟磁気特性が良好で、飽和磁束密度が大きく、且つ内部応力の小さな磁極層を備えた薄膜磁気ヘッドを安定して製造することが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本実施の形態に係る軟磁性膜よりなる磁極層を備えた薄膜磁気ヘッドの一例について説明する。ここでは、薄膜磁気ヘッドの一例として、垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを挙げる。図1は本例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図1は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図1において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図2は、本例の薄膜磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
図1および図2に示したように、本例の薄膜磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッドと記す。)は、アルティック(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に形成されたアルミナ(Al2O3)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に、絶縁層4を介して形成された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に絶縁層4を介して形成された磁性材料よりなる上部シールド層6とを備えている。
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面(エアベアリング面)20に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、上部シールド層6の上に形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる非磁性層18と、この非磁性層18の上に形成された磁性材料よりなる磁性層19と、この磁性層19の上に形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる非磁性層7と、この非磁性層7の上に形成された磁性材料よりなるヨーク層8と、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、ヨーク層8の周囲に配置された非磁性層9とを備えている。ヨーク層8の媒体対向面20側の端部は、媒体対向面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク層8および非磁性層9の上面は平坦化されている。
磁気ヘッドは、更に、ヨーク層8および非磁性層9の上面の上に配置された磁性材料よりなる磁極層10と、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、磁極層10の周囲に配置された非磁性層11とを備えている。磁極層10の下面は、ヨーク層8の上面に接している。また、磁極層10および非磁性層11の上面は平坦化されている。
磁気ヘッドは、更に、磁極層10および非磁性層11の上において、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、後述する薄膜コイル14を配置すべき位置に形成された非磁性層12と、アルミナ等の非磁性の材料よりなり、非磁性層12を覆うように形成されたギャップ層13と、非磁性層12の上方であってギャップ層13の上に配置された薄膜コイル14と、この薄膜コイル14を覆うように形成された絶縁層15とを備えている。薄膜コイル14は、平面渦巻き形状をなしている。ギャップ層13には、薄膜コイル14の中心部に対応する位置に開口部が形成されている。絶縁層15は媒体対向面20に露出していない。なお、非磁性層18、ギャップ層13は、非磁性導電層であってもよい。
磁気ヘッドは、更に、磁性材料よりなり、磁極層10、ギャップ層13および絶縁層15の上に形成された記録シールド層16と、この記録シールド層16を覆うように形成された保護層17とを備えている。記録シールド層16は、ギャップ層13に形成された開口部を通して磁極層10に連結されている。また、記録シールド層16の媒体対向面20側の端部は、媒体対向面20に配置されている。
以上説明したように、本例の磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面20と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドは記録媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端側)に配置され、記録ヘッドは記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。この磁気ヘッドでは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面20側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層6と、MR素子5と下部シールド層3との間およびMR素子5と上部シールド層6との間に設けられた絶縁層4とを備えている。
記録ヘッドは、ヨーク層8、磁極層10、ギャップ層13、薄膜コイル14および記録シールド層16を備えている。薄膜コイル14は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極層10は、媒体対向面20に配置された端面を有し、薄膜コイル14によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。図2に示したように、媒体対向面20に配置された磁極層10の端面の形状は、ギャップ層13側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状になっている。これにより、スキューに起因して、あるトラックへの情報の書き込み時に隣接トラックの情報が消去される現象を抑制することができる。なお、スキューとは、円盤状の記録媒体における円形のトラックの接線に対する磁気ヘッドの傾きのことである。
記録シールド層16は、媒体対向面20に配置された端面を有している。媒体対向面20において、記録シールド層16の端面は、磁極層10の端面に対して、ギャップ層13の厚さによる所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。ギャップ層13の厚さは、例えば15〜100nmの範囲内である。また、記録シールド層16は、媒体対向面20から離れた位置において磁極層10に磁気的に連結されている。ギャップ層13は、非磁性材料よりなり、磁極層10と記録シールド層16との間に設けられている。薄膜コイル14の少なくとも一部は、磁極層10および記録シールド層16に対して絶縁された状態で、磁極層10と記録シールド層16との間に配置されている。
図3は、磁極層10の平面図である。図3に示したように、磁極層10は、一端部が媒体対向面20に配置されたトラック幅規定部10Aと、このトラック幅規定部10Aの他端部に連結され、トラック幅規定部10Aよりも大きな幅を有する幅広部10Bとを有している。トラック幅規定部10Aの上面の幅は、ほぼ一定になっている。媒体対向面20におけるトラック幅規定部10Aの上面の幅は、トラック幅を規定する。幅広部10Bの幅は、例えば、トラック幅規定部10Aとの境界位置ではトラック幅規定部10Aの幅と等しく、媒体対向面20から離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。ここで、媒体対向面20に垂直な方向についてのトラック幅規定部10Aの長さをネックハイトと呼ぶ。
媒体対向面20におけるトラック幅規定部10Aの上面の幅、すなわちトラック幅は、例えば0.08〜0.30μmの範囲内である。ネックハイトは、例えば0.05〜0.5μmの範囲内である。幅広部10Bの最大の幅は、例えば5〜30μmの範囲内である。磁極層10の厚さは、0.15〜0.4μmの範囲内であることが好ましい。
図3には、磁極層10の磁区構造の一例を示している。図3において、符号21a〜21fは磁壁を示し、矢印は磁区内の磁化の方向を表している。この例では、図3に示したように、幅広部10Bにおいて、一端部がトラック幅規定部10Aの他端部近傍に配置されて、媒体対向面20に垂直な方向に延びる磁壁21bが形成されている。
なお、磁気ヘッドは、以下のような種々の変更が可能である。まず、ヨーク層8は設けられていなくてもよい。また、図1に示した平面渦巻き形状のコイル14の他に、磁性層19と磁極層10との間に、これらに対して絶縁された状態で、もう1つの平面渦巻き形状のコイルを設けてもよい。この場合、磁性層19と磁極層10は接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。また、コイル14の代わりに、磁極層10を中心にして螺旋状に配置されたコイルを設けてもよい。また、記録シールド層16は、1つの層によって形成されていてもよいし、複数の層によって形成されていてもよい。また、媒体対向面20に配置された磁極層10の端面の形状は、矩形であってもよい。また、記録シールド層16の代わりに、上部シールド層6と磁極層10との間に補助磁極層を設け、薄膜コイル14の代わりに、補助磁極層と磁極層10との間に薄膜コイルを設けてもよい。なお、この場合、補助磁極層と磁極層10は、媒体対向面20から離れた位置において磁気的に連結される。また、媒体対向面20において、補助磁極層の端面と磁極層10の端面は、非磁性層を介して離れた位置に配置される。
次に、本例の磁気ヘッドの製造方法について説明する。この製造方法では、まず、基板1の上に、絶縁層2および下部シールド層3を順に形成する。次に、下部シールド層3の上に、絶縁層4およびMR素子5を形成する。次に、絶縁層4の上に上部シールド層6を形成する。次に、上部シールド層6の上に、非磁性層18、磁性層19および非磁性層7を順に形成する。
次に、非磁性層7の上にヨーク層8を形成する。次に、ヨーク層8を覆うように、非磁性層9を形成する。次に、ヨーク層8の上面が露出するまで、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって非磁性層9を研磨する。これにより、ヨーク層8および非磁性層9の上面が平坦化される。
次に、ヨーク層8および非磁性層9の上面の上に磁極層10を形成する。次に、磁極層10を覆うように、非磁性層11を形成する。次に、磁極層10の上面が露出するまで、例えばCMPによって非磁性層11を研磨する。これにより、磁極層10および非磁性層11の上面が平坦化される。
次に、磁極層10および非磁性層11の上に、非磁性層12およびギャップ層13を順に形成する。次に、非磁性層12の上方であってギャップ層13の上に、薄膜コイル14を形成する。次に、薄膜コイル14を覆うように、絶縁層15を形成する。次に、磁極層10、ギャップ層13および絶縁層15の上に、記録シールド層16を形成する。次に、記録シールド層16を覆うように、保護層17を形成する。
次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面20の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
磁極層10は、本実施の形態に係る軟磁性膜によって構成されている。以下、本実施の形態に係る軟磁性膜について詳しく説明する。本実施の形態に係る軟磁性膜は、主要元素が鉄(Fe)およびニッケル(Ni)である合金よりなり、電気めっき法によって製造されたものである。この軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aは80以上100未満である。また、軟磁性膜の飽和磁束密度は、2.0T以上である。なお、本実施の形態に係る軟磁性膜は、特に、aが90以上100未満となる合金よりなるものであってもよい。
なお、aが100の場合、すなわち軟磁性膜の主要元素が鉄のみの場合は、軟磁性膜が酸化しやすくなるため、本実施の形態では、aを100未満としている。合金よりなる軟磁性膜を安定して製造できるように、aが80以上99以下、あるいはaが90以上99以下となるように軟磁性膜を製造するようにしてもよい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜において、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は、1.3重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素としては、例えば、B、C、N、O、S、Clがある。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜において、内部応力の大きさは500MPa以下であることが好ましい。また、本実施の形態に係る軟磁性膜において、保磁力は4×79.6A/m以下であることが好ましい。
次に、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法について説明する。本実施の形態では、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、前述のように、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aが80以上100未満となるように、軟磁性膜を製造する。後で詳しく説明するが、合金の組成の調整は、例えば、めっき浴のpHと、めっき浴中の全金属イオンモル濃度に対するFeイオンモル濃度の比率(以下、FN比と言う。)を調整することによって行う。
本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、aが90以上100未満となるように、軟磁性膜を製造してもよい。また、本実施の形態では、合金よりなる軟磁性膜を安定して製造できるように、aが80以上99以下、あるいはaが90以上99以下となるように軟磁性膜を製造してもよい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、1.3重量%以下とすることが好ましく、0.5重量%以下とすることがより好ましい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とすることが好ましい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、めっき電流は、陰極に合金が析出するように作用する第1の方向の電流と第1の方向とは逆方向の第2の方向の電流とが交互に切り替わるものであり、且つ第1の方向の電流の電流密度の時間積分値は、第2の方向の電流の電流密度の時間積分値よりも大きいことが好ましい。これにより、軟磁性膜の成長を確実に進行させることができる。
次に、本実施の形態に係る軟磁性膜およびその製造方法の効果について説明する。本実施の形態に係る軟磁性膜は、主要元素が鉄およびニッケルである合金(以下、FeNi合金と言う。)よりなり、電気めっき法によって製造されたものである。本実施の形態に係る軟磁性膜は、軟磁気特性が良好、すなわち保磁力が小さく、且つ2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有するという特徴を有する。
ところで、電気めっき法によってFeNi合金よりなる軟磁性膜を製造する場合には、めっき浴中のFeイオン濃度とNiイオン濃度の比率等によって、軟磁性膜の組成が変動する。この組成が変動すると、軟磁性膜の飽和磁束密度が変動する。従って、飽和磁束密度が2.0T以上となるFeNi合金の組成範囲が狭いと、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが困難になる。
これに対し、本実施の形態では、飽和磁束密度が2.0T以上となるFeNi合金の組成範囲は、aが80以上100未満の広い範囲である。従って、本実施の形態によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になる。このような広い組成範囲で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜が得られることは、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法の特徴によるものである。
なお、特許文献1には、パルス電流を用いた電気めっき法によってFeNi合金膜を製造すると共に、FeNi合金膜におけるFeの割合を78質量%以上、85質量%以下とすることにより、飽和磁束密度を2.0T以上にすることができると記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、Feの割合が85質量%を超えた組成範囲では、2.0T以上の飽和磁束密度を有するFeNi合金膜は得られていない。また、特許文献1には、Feの割合が90質量%以上のFeNi合金膜は開示されていない。また、特許文献1の図8からは、特許文献1に記載された技術によると、Feの割合が80質量%を超えた組成範囲では、Feの割合が増えるほど、飽和磁束密度が低下すると推測される。
本実施の形態によれば、特許文献1に開示されていない、aが90以上100未満の組成範囲においても、飽和磁束密度が2.0T以上となるFeNi合金よりなる軟磁性膜を得ることができる。従って、本実施の形態によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜におけるFeNi合金の組成範囲を広くすることができ、これにより、軟磁気特性が良好で、2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になる。
また、本実施の形態では、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を、1.3重量%以下とすることが好ましい。これにより、軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくすることができ、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になる。また、上記FeNi合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は、0.5重量%以下とすることがより好ましい。これにより、軟磁性膜の飽和磁束密度をより大きくすることができ、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜をより安定して製造することが可能になる。これらの効果については、後で詳しく説明する。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜において、保磁力を4×79.6A/m以下とした場合には、特に軟磁気特性が良好な軟磁性膜を得ることができる。また、磁気ヘッドの磁極層10を構成する軟磁性膜の保磁力を4×79.6A/m以下とすることにより、磁極層10において良好な軟磁気特性を得ることができる。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜において、内部応力の大きさを500MPa以下とした場合には、軟磁性膜の下地からの剥離や軟磁性膜におけるクラックの発生を防止することができる。また、磁気ヘッドの磁極層10を構成する軟磁性膜の内部応力の大きさを500MPa以下とすることにより、磁極層10を安定して形成することが可能になると共に、磁極層10において良好な軟磁気特性を安定して得ることが可能になる。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法によれば、軟磁性膜を構成するFeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aが80以上100未満の広い組成範囲で、軟磁気特性が良好で、2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有する軟磁性膜を安定して製造することが可能になる。また、本実施の形態によれば、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って上記の軟磁性膜を製造することにより、軟磁性膜の内部応力を小さくすることができる。これについては、後で詳しく説明する。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法において、電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とした場合には、軟磁性膜の保磁力および内部応力を小さくすることができ、且つ軟磁性膜の成膜速度を大きくすることができる。これについても、後で詳しく説明する。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、軟磁気特性が良好で、2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有し、且つ内部応力の小さな磁極層を備えた磁気ヘッドを安定して製造することが可能になる。
次に、本実施の形態に係る軟磁性膜およびその製造方法の効果を確認するために行った第1ないし第3の実験の結果について説明する。
第1の実験は、電気めっきによって軟磁性膜を製造する際のめっき電流の形態の違いによる軟磁性膜の特性の違いを調べた実験である。第1の実験では、本実施の形態における実施例の製造方法と比較例の製造方法により、それぞれ4つの軟磁性膜の試料を製造した。いずれの試料も、FeNi合金よりなる。
図8は、実施例の製造方法におけるめっき電流の波形を示している。図8において、横軸は時間、縦軸は電流密度を表している。図8に示したように、実施例の製造方法では、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いた。実施例では、特に、めっき電流の波形を矩形波形状とした。図8では、陽極の電位が陰極の電位よりも高いときの電流密度を正の値で表し、陰極の電位が陽極の電位よりも高いときの電流密度を負の値で表している。陽極の電位が陰極の電位よりも高いときの電流は、めっき浴内では陽極から陰極へ向かう方向に流れる。以下、この方向を第1の方向と言う。この第1の方向の電流は、陰極に合金が析出するように作用する。陰極の電位が陽極の電位よりも高いときの電流は、第1の方向とは逆方向に流れる。以下、この方向を第2の方向と言う。第2の方向の電流は、陰極に析出した合金が溶解するように作用する。実施例におけるめっき電流は、第1の方向の電流と第2の方向の電流とが交互に切り替わるものである。また、第1の方向の電流の電流密度の時間積分値は、第2の方向の電流の電流密度の時間積分値よりも大きい。実施例では、特に、第1の方向の電流の電流密度のピーク値を28.7mA/cm2とし、第1の方向の電流の1回の持続時間を25ミリ秒とし、第2の方向の電流の電流密度のピーク値を−9.6mA/cm2とし、第2の方向の電流の1回の持続時間を15ミリ秒とした。
図9は、比較例の製造方法におけるめっき電流の波形を示している。図9において、横軸は時間、縦軸は電流密度を表している。図9に示したように、比較例の製造方法では、電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いた。このめっき電流の波形は矩形波形状である。比較例におけるめっき電流は、めっき浴内では陽極から陰極へ向かう方向に流れる。比較例におけるめっき電流では、電流が流れる状態と電流が流れない状態とが交互に現れる。比較例では、電流が流れる状態のときの電流密度のピーク値を28.7mA/cm2とし、電流が流れる状態の1回の持続時間および電流が流れない状態の1回の持続時間を、いずれも25ミリ秒とした。
実施例および比較例におけるめっき浴の組成を、以下の表に示す。実施例と比較例のいずれにおいても、めっき浴の温度は20℃とし、陽極はFeとした。
また、実施例と比較例のいずれにおいても、めっき浴のpHを2.0、2.1、2.2、2.3の4種類として、4つずつ試料を製造した。また、実施例と比較例のいずれにおいても、基板の上にめっき用の電極膜を形成した後、この電極膜の上に、電気めっき法によってFeNi合金よりなる軟磁性膜を形成した。基板としては、厚さ2mmのガラス製基板または厚さ0.6mmのSi製基板を用いた。また、電極膜は、スパッタ法によって形成した厚さ5nmのTi層の上に、スパッタ法によって形成した厚さ100nmのCu層を積層したものを用いた。また、軟磁性膜の厚さは0.5μmとした。
第1の実験では、実施例の製造方法によって製造された4つの試料と比較例の製造方法によって製造された4つの試料について、試料を構成するFeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合と、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたときの、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素(以下、不純物元素と言う。)の割合と、試料の飽和磁束密度とを調べた。その結果を、下記の表に示す。この表において、「pH」は、試料を製造する際のめっき浴のpHを表している。また、「Fe(重量%)」は、上記鉄の割合(単位は重量%)を表している。また、「不純物(重量%)」は、上記不純物元素の割合(単位は重量%)を表している。また、「Bs(T)」は、試料の飽和磁束密度(単位はT)を表している。
図10は、第1の実験によって得られた上記鉄の割合と試料の飽和磁束密度との関係を示している。図10において、横軸は鉄の割合を表し、縦軸は飽和磁束密度を表している。図10から、実施例のように方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造することにより、比較例のように電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくすることができることが分かる。また、図10から、実施例のように方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造することにより、広い組成範囲で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造することが可能であることが分かる。
図11は、第1の実験によって得られた上記鉄の割合と不純物元素の割合との関係を示している。図11において、横軸は鉄の割合を表し、縦軸は不純物元素の割合を表している。図11から、実施例のように方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造することにより、比較例のように電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、不純物元素の割合を小さくすることができることが分かる。
図12は、第1の実験によって得られた上記不純物元素の割合と試料の飽和磁束密度との関係を示している。図12において、横軸は不純物元素の割合を表し、縦軸は飽和磁束密度を表している。図12から、不純物元素の割合が少ないほど、飽和磁束密度が大きくなることが分かる。2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜をより確実に製造するためには、不純物元素の割合を1.3重量%以下にすることが好ましい。また、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜をより安定して製造するためには、不純物元素の割合を0.5重量%以下にすることが好ましい。
図11から分かるように、比較例では、不純物元素の割合を1.3重量%以下にすることはできないが、実施例では、不純物元素の割合を1.3重量%以下にすることができる。更に、実施例において、めっき浴のpHを2.0〜2.1の範囲内とした場合には、不純物元素の割合を0.5重量%以下にすることができる。
以上の第1の実験から、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造した場合には、不純物元素の割合が小さくなり、その結果、軟磁性膜の飽和磁束密度が大きくなると考えられる。
方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造することにより、不純物元素の割合が小さくなる理由は、以下のように考えられる。方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合には、めっき電流の方向が第2の方向のときに、陰極において陽極反応が生じ、不純物元素がイオン化される。そのため、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合には、電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、陰極に析出するFeNi合金に不純物元素が取り込まれることが抑制されると考えられる。
また、不純物元素の割合が小さくなることにより、軟磁性膜の飽和磁束密度が大きくなるのは、FeNi合金中の磁性元素の密度が大きくなるためと考えられる。
また、第1の実験では、実施例と比較例とで、軟磁性膜の内部応力の大きさおよび軟磁性膜における平均結晶粒径を調べた。下記の表には、実施例における1つの試料および比較例における1つの試料について、それぞれ、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合、内部応力の大きさおよび平均結晶粒径を示している。
上記の表に示した結果から、実施例のように方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造することにより、比較例のように電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、軟磁性膜の内部応力を小さくすることができると共に軟磁性膜における平均結晶粒径を大きくすることができることが分かる。このように、めっき電流の形態によって、軟磁性膜の内部応力の大きさや軟磁性膜における平均結晶粒径が異なる理由は、以下のように考えられる。電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合には、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、FeNi合金に取り込まれる不純物元素の量が多くなるため、微細な結晶粒が形成され、その結果、内部応力が大きくなると考えられる。逆に、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合には、電流の方向は変化しないパルス状のめっき電流を用いて軟磁性膜を製造する場合に比べて、FeNi合金に取り込まれる不純物元素の量が少なくなるため、結晶粒径が大きくなり、その結果、内部応力が小さくなると考えられる。
次に、第2の実験について説明する。第2の実験は、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を実現できるFeNi合金の組成範囲を調べた実験である。第2の実験では、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、FeNi合金よりなる軟磁性膜を製造した。第2の実験におけるめっき電流の条件は、第1の実験における実施例と同様である。
第2の実験におけるめっき浴の組成を、以下の表に示す。第2の実験では、めっき浴の温度は20℃とし、陽極はFeとした。
また、第2の実験では、基板の上にめっき用の電極膜を形成した後、この電極膜の上に、電気めっき法によってFeNi合金よりなる軟磁性膜を形成した。その際の条件は、第1の実験と同様である。
また、第2の実験では、めっき浴のpHと、FN比を調整することによって、種々の組成のFeNi合金からなる試料を製造した。なお、FN比は、[Fe2+]/([Fe2+]+[Ni2+])により求められる。第2の実験では、めっき浴のpHを2.0、2.1、2.2、2.4、2.6の5種類とし、FN比を0.321、0.486、0.598、0.749の4種類とした。そして、第2の実験では、めっき浴のpHとFN比の組み合わせが異なる20個の試料を製造し、これらを構成するFeNi合金の組成を調べた。下記の表に、各試料におけるめっき浴のpHとFN比の組み合わせと、各試料を構成するFeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合(重量%)との関係を示す。
また、上記の表に示しためっき浴のpHとFN比と鉄の割合との関係を図13に示す。図13において、横軸はFN比を表し、縦軸は鉄の割合を表している。図13から、めっき浴のpHとFN比を調整することによって、軟磁性膜を構成するFeNi合金の組成を調整できることが分かる。
第2の実験では、製造した20個の飽和磁束密度を調べた。図14は、各試料における鉄の割合と飽和磁束密度との関係を示している。図14において、横軸は鉄の割合を表し、縦軸は飽和磁束密度を表している。図14から、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、FeNi合金よりなる軟磁性膜を製造することにより、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合が80重量%以上100重量%未満の広い組成範囲で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造することが可能であることが分かる。このように広い組成範囲で、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造することが可能になったのは、前述のように、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行うことにより、FeNi合金に不純物元素が取り込まれることが抑制されたためであると考えられる。
次に、第3の実験について説明する。第3の実験は、本実施の形態に係る製造方法によって軟磁性膜を製造する際のめっき浴のpHの好ましい範囲を調べた実験である。第3の実験では、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、FeNi合金よりなる軟磁性膜を製造した。第3の実験におけるめっき電流の条件は、第1の実験における実施例と同様である。
第3の実験におけるめっき浴の条件は、第2の実験と同様である。また、第3の実験では、基板の上にめっき用の電極膜を形成した後、この電極膜の上に、電気めっき法によってFeNi合金よりなる軟磁性膜を形成した。その際の条件は、第1の実験と同様である。
第3の実験では、めっき浴のpHとめっき浴中の全金属イオンモル濃度を調整することによって、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合が90重量%以上100重量%未満となるFeNi合金からなる複数の試料を製造した。第3の実験では、めっき浴のpHを2.0、2.1、2.2、2.4、2.6の5種類とし、全金属イオンモル濃度を0.074M、0.15M、0.38Mの3種類とした。なお、Mは、モル濃度の単位で、mol/dm3を表す。第3の実験では、めっき浴のpHとめっき浴中の全金属イオンモル濃度の組み合わせが異なる15個の試料を製造し、これらの保磁力と内部応力とを調べた。
図15は、上記の15個の試料について、製造時のめっき浴のpHとめっき浴中の全金属イオンモル濃度と試料の保磁力との関係を示している。図15において、横軸はめっき浴のpHを表し、縦軸は保磁力を表している。図15から、めっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とすることにより、保磁力を4×79.6A/m以下とすることができることが分かる。
また、図15から、めっき浴中の全金属イオンモル濃度が小さい方が、保磁力が小さくなることが分かる。しかし、全金属イオンモル濃度が小さすぎると、軟磁性膜の成膜速度が低下したり、軟磁性膜を構成するFeNi合金の組成の安定性が低下するので、全金属イオンモル濃度が小さすぎることは、軟磁性膜の製造プロセス上は好ましくない。
図16は、めっき浴中の全金属イオンモル濃度を0.38Mとして製造した5個の試料について、製造時のめっき浴のpHと試料の内部応力との関係を示している。図16において、横軸はめっき浴のpHを表し、縦軸は内部応力を表している。なお、図16において、内部応力の値は、引張り応力のときは正の値で示し、圧縮応力のときは負の値で示している。図16から、めっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とすることにより、内部応力の大きさを500MPa以下とすることができることが分かる。軟磁性膜の内部応力の大きさを500MPa以下とすることにより、軟磁性膜の下地からの剥離や軟磁性膜におけるクラックの発生を防止することができる。また、磁気ヘッドの磁極層10を構成する軟磁性膜の内部応力の大きさを500MPa以下とすることにより、磁極層10を安定して形成することが可能になると共に、磁極層10において良好な軟磁気特性を安定して得ることが可能になる。
第3の実験では、更に、本実施の形態に係る製造方法によって軟磁性膜を製造する際のめっき浴のpHと軟磁性膜の成膜速度との関係を調べた。ここで、めっき浴のpHを、1.8〜2.6の範囲で変化させた。図17は、この実験におけるめっき浴のpHと軟磁性膜の成膜速度との関係を示している。図17において、横軸はめっき浴のpHを表し、縦軸は成膜速度を表している。図17から、めっき浴のpHが小さくなるほど、成膜速度が小さくなることが分かる。めっき浴のpHが2.0よりも小さくなると、1μmの厚さの軟磁性膜を製造するのに、およそ25分以上の時間を要してしまい、生産性が低くなる。従って、生産性の観点から、軟磁性膜の成膜速度は0.04μm/分以上であることが好ましく、そのためには、めっき浴のpHは2.0以上であることが好ましい。
以上の第3の実験から、本実施の形態において、めっき浴のpHは、2.0〜2.2の範囲内とすることが好ましい。
第1ないし第3の実験から分かるように、本実施の形態によれば、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合が80重量%以上100重量%未満の組成範囲内のFeNi合金よりなる軟磁性膜を製造すると共に、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を1.3重量%以下に抑えることにより、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合が80重量%以上100重量%未満の広い組成範囲で、2.0T以上という大きな飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造することが可能になる。
また、本実施の形態によれば、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って上記の軟磁性膜を製造することにより、軟磁性膜の内部応力を小さくすることができ、磁気ヘッドの磁極層10に適した軟磁性膜を製造することが可能になる。
また、本実施の形態において、電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とした場合には、軟磁性膜の保磁力および内部応力を小さくすることができ、且つ軟磁性膜の成膜速度を大きくすることができる。
なお、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法における条件は、方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、FeNi合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合が80重量%以上100重量%未満の組成範囲内のFeNi合金よりなり、2.0T以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜を製造できる条件であれば、第1ないし第3の実験において示した条件に限られない。
例えば、本実施の形態におけるめっき電流の波形は、図8に示した矩形波形状に限らず、方向が交互に切り替わるものであればよい。本実施の形態におけるめっき電流の波形は、例えば、図18に示したような波形であってもよい。図18において、横軸は時間、縦軸は電流密度を表している。図18に示しためっき電流の波形は、電流密度が正の値のときの電流密度のピーク値が、電流密度が負の値のときの電流密度のピーク値よりも大きくなる正弦波形状である。
また、本実施の形態におけるめっき浴のpHは、上記の軟磁性膜を製造できる条件であれば、2.0〜2.2の範囲外の値であってもよい。
また、めっき浴におけるFeイオンとNiイオンの供給源は、硫酸塩に限らず、塩化物塩等の他の塩であってもよい。
また、めっき浴における導電塩は、塩化ナトリウムに限らず、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウム等の他の塩であってもよい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、軟磁性膜の保磁力が4×79.6A/m以下となるように、条件をより厳しく最適化することが好ましい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、軟磁性膜の内部応力の大きさが500MPa以下となるように、条件をより厳しく最適化することが好ましい。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法では、軟磁性膜の成膜速度が0.04μm/分以上となるように、条件をより厳しく最適化することが好ましい。
ところで、垂直磁気記録用の磁気ヘッドでは、記録動作時以外のときに磁極層の残留磁化に起因して磁極層より発生される磁界によって、記録媒体に記録されている情報が消去される現象(以下、ポールイレーズ現象という。)が生じる場合があることが知られていた。そして、磁極層の材料として、FeCo系合金、CoNiFe系合金、FeC、FeN等の高飽和磁束密度材料を用いると、ポールイレーズ現象が生じやすいことが分かった。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極層10の飽和磁束密度を大きくでき、且つポールイレーズ現象の発生を抑制することが可能になる。以下、その理由を説明する。本実施の形態では、磁極層10を、本実施の形態に係る軟磁性膜の製造方法によって製造される軟磁性膜によって構成する。この磁極層10では、上記の高飽和磁束密度材料を用いて形成した磁極層に比べて、異方性磁界が小さくなる。その結果、図3に示したように、磁極層10では、トラック幅規定部10Aがピンニングサイトとなって、幅広部10Bにおいて、媒体対向面20に垂直な方向に延びる磁壁21bが形成されやすくなる。磁壁21bが生じている場合、記録動作時における磁極層10の磁化の方向の変化は、回転磁化モードではなく、磁壁移動モードによって行われると考えられる。この場合、コイル14が発生する磁界に対する磁壁移動の応答性が悪いと、記録動作後においてもトラック幅規定部10Aの媒体対向面20側の端面から磁束が発生し、その結果、ポールイレーズ現象が発生しやすくなると考えられる。
本実施の形態では、磁極層10の異方性磁界が小さいため、磁壁21bが形成されやすくなるが、コイル14が発生する磁界に対する磁壁移動の応答性がよくなり、これにより、ポールイレーズ現象の発生を抑制することが可能になる。
また、本実施の形態に係る軟磁性膜を構成するFeNi合金の組成範囲では、FeNi合金の磁歪定数は正の値になる。ここで、磁極層10の内部応力が引張り応力となるように磁極層10を形成すると、トラック幅規定部10Aにおいて、磁化を媒体対向面20に平行な方向に向けようとする磁気異方性が発生する。これにより、ポールイレーズ現象の発生を抑制することが可能になる。
また、本実施の形態において、磁極層10の保磁力が大きいと、コイル14が発生する磁界に対する磁壁移動の応答性が悪化し、ポールイレーズ現象が発生しやすくなる。従って、磁極層10となる軟磁性膜の保磁力を4×79.6A/m以下とすることにより、ポールイレーズ現象の発生をより確実に抑制することが可能になる。
以下、図1および図2に示した磁気ヘッドを含むスライダ、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置について説明する。まず、図4を参照して、スライダ210について説明する。磁気ディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体である磁気ディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図1における基板1および保護層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、磁気ディスクに対向するようになっている。この一面には、エアベアリング面20が形成されている。磁気ディスクが図4におけるz方向に回転すると、磁気ディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図4におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によって磁気ディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図4におけるx方向は、磁気ディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図4における左下の端部)の近傍には、図1および図2に示した磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図5を参照して、ヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図5は、ヘッドアームアセンブリを示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図6および図7を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と磁気ディスク装置について説明する。図6は磁気ディスク装置の要部を示す説明図、図7は磁気ディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、磁気ディスク装置に組み込まれる。磁気ディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚の磁気ディスク262を有している。各磁気ディスク262毎に、磁気ディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、スライダ210を支持すると共に磁気ディスク262に対して位置決めする。
磁気ディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210を磁気ディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、磁気ディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、磁気ディスク262に記録されている情報を再生する。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の軟磁性膜は、垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドにおける磁極層に限らず、長手磁気記録用の薄膜磁気ヘッドにおける磁極層にも適用することができる。
また、本発明の軟磁性膜は、薄膜磁気ヘッドにおける磁極層に限らず、良好な軟磁気特性と大きな飽和磁束密度とが要求される軟磁性膜全般に適用することができる。
3…下部シールド層、4…絶縁層、5…MR素子、6…上部シールド層、7…非磁性層、8…ヨーク層、10…磁極層、13…ギャップ層、14…薄膜コイル、16…記録シールド層。
Claims (12)
- 主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜を製造する方法であって、
方向が交互に切り替わるめっき電流を用いて電気めっきを行って、前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aが80以上100未満となるように、前記軟磁性膜を製造することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。 - aが90以上100未満となるように、前記軟磁性膜を製造することを特徴とする請求項1記載の軟磁性膜の製造方法。
- 前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、前記合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を1.3重量%以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の軟磁性膜の製造方法。
- 前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、前記合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合を0.5重量%以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の軟磁性膜の製造方法。
- 前記電気めっきに使用されるめっき浴のpHを2.0〜2.2の範囲内とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
- 前記めっき電流は、陰極に合金が析出するように作用する第1の方向の電流と第1の方向とは逆方向の第2の方向の電流とが交互に切り替わるものであり、且つ第1の方向の電流の時間積分値は、第2の方向の電流の時間積分値よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
- 主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなり、電気めっき法によって製造された軟磁性膜であって、
前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計に対する鉄の割合とニッケルの割合をそれぞれa重量%、(100−a)重量%と表したときに、aは90以上100未満であり、
飽和磁束密度が2.0T以上であることを特徴とする軟磁性膜。 - 前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、前記合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は1.3重量%以下であることを特徴とする請求項7記載の軟磁性膜。
- 前記合金に含まれる鉄およびニッケルの合計を100重量%としたとき、前記合金に含まれる鉄およびニッケル以外の元素の割合は0.5重量%以下であることを特徴とする請求項7記載の軟磁性膜。
- 保磁力が4×79.6A/m以下であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の軟磁性膜。
- 内部応力の大きさが500MPa以下であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の軟磁性膜。
- 記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、前記コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層とを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
前記コイルを形成する工程と、前記磁極層を形成する工程とを備え、
前記磁極層は、主要元素が鉄およびニッケルである合金よりなる軟磁性膜によって構成され、
前記軟磁性膜は、請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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