JP2006147545A - 同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブル - Google Patents

同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】内部導体と絶縁コア体の密着性の向上。
【解決手段】同軸ケーブルの内部導体と外部シールド層との間に介装され、内部導体を環状に被覆する環状部と、環状部から径外方向に延びる2本以上の柱状部とを備え、柱状部は、長手方向に沿って直線状、または、螺旋状に形成され、弗素系樹脂からなる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法であって、内部導体を回転,非回転,或いはSZ回転させつつ、クロスヘッドダイ中に挿通して、内部導体にの外周に弗素系樹脂を押出被覆する際に、(ダイの内径:柱状先端部を円環状に結んだ径)/(コア柱状部の仮想外径) で示される面積引き落とし率(Ho)が80以上300以下であり、かつ、(内部導体引出用ニップルの外径)/(内部導体の外径)で示される面積導線引き締め率(Hs)が70以上250以下であって、面積引き落とし率(Ho)が面積導線引き締め率(Hs)よりも大きくなるように設定する。
【選択図】図7

Description

この発明は、同軸ケーブル用樹脂絶縁コア体およびその製造方法並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブルに関するものである。
情報量の増大化や高速伝送化の流れを受けて、携帯情報端末のアンテナ配線や、LCDとCPUを結ぶ配線等に、同軸ケーブルが使われている。また、自動車のIT化、種々の測定器の高性能化に向けて高周波特性が優れた同軸ケーブルが求められている。
以上の様な種々の機器の高性能化、小型化の要求に伴い、使用される同軸ケーブルにも細径化、高性能化が要求されている。一般に良好な高周波特性(伝送損失が小さく、遅延時間が小さい)を持つ同軸ケーブルを得るためには、内部導体と外部シールド層の間に形成される電気絶縁性の被覆層(絶縁被覆層)の誘電率をできるだけ小さくすることが重要である。
誘電率を小さくすることにより、特性インピーダンスを、例えば、50Ω(一定値)とすると、内部導体径が同一であれば、シールド層の内径(ケーブルの外径)を小さくできることになり、シールド層の内径(ケーブルの外径)を一定にすれば、内部導体径を大きくして、電送損失などの高周波特性を改善することが可能になる。
そのために、絶縁被覆層には、弗素系樹脂やポリオレフィン樹脂などの低誘電率樹脂が用いられるが、誘電率の低減には、おのずから限界がある。これを更に改善する手段として、絶縁被覆層に空気を導入することが有効である。
空気を導入する方法としては、本発明者らが提案した絶縁被覆部をリブ付きラセン構造の絶縁コア体とする方法(特許文献1)、或いは、発泡した樹脂とする方法、多孔質化する方法などがある。樹脂を発泡させる方法や多孔質化する方法では、発泡率に制約があり、また、反射特性に影響を与える外径精度の維持が困難であるが、特許文献1の絶縁被覆部をリブ付きラセン構造とする方法は、特に、細径品を押し出す場合でも、絶縁被覆層の外径変動を小さくでき、電気特性、高周波特性の変動を少なくできるので好適である。
しかしながら、このような特許文献1の方法にも以下に説明する技術的な課題があった。
特開2004−55144号公報
すなわち、特許文献1に開示されている方法では、空気の割合(中空率)を大きくできるものの、内部導体の外周に絶縁被覆部を、単に押出す方法であると、外径精度が不充分な場合や内部導体と絶縁被覆部との間の密着力が不充分な場合があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外径精度が良く、且つ密着性を向上させることができる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いた同軸ケーブルを提供することにある。
上記目的を達成するために、同軸ケーブルの内部導体と外部シールド層との間に介装され、前記内部導体を環状に被覆する環状部と、前記環状部から径外方向に延びる2本以上の柱状部とを備え、前記柱状部は、長手方向に沿って直線状、または、螺旋状に形成される弗素系樹脂からなる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法であって、前記内部導体を回転,非回転,或いはSZ回転させつつ、クロスヘッドダイ中に挿通して、前記内部導体の外周に前記弗素系樹脂を押出被覆する際に、式1
(ダイの内径:柱状先端部を円環状に結んだ径)/(コア柱状部の仮想外径) …式1
で示される面積引き落とし率(Ho)および式2
内部導体引出用ニップルの外径)/(内部導体の外径) …式2
で示される面積導線引き締め率(H)の関係を、Ho>Hs
となるようにする。
本発明にかかる製造方法では、前記面積引き落とし率(Ho)が4以上300以下であり、かつ、前記面積導線引き締め率(Hs)を3以上250以下とすることができる。
前記内部導体は、前記クロスヘッドダイに挿通する手前で把持し、当該把持した部分をSZ状に回転させることにより、前記環状部から径外方向に延びる前記柱状部をSZ螺旋状に形成することができる。
前記内部導体は、前記クロスヘッドダイに回転供給しつつ、当該クロスヘッドダイに挿通する手前で把持し、当該把持した部分を回転させることにより、前記環状部から径外方向に延びる前記柱状部を螺旋状に形成することができる。
また、本発明は、上記製造方法により得られた同軸ケーブル用絶縁コア体であって、前記柱状部の仮想外径変動係数(CV値)が1.5%以下であり、単線の前記内部導体と前記絶縁コア体との密着力が、前記内部導体の表面積あたり10g/mm 以上有している。
さらに、本発明は、請求項5記載の同軸ケーブル用絶縁コア体の外周に、外部シールド層を設けて同軸ケーブルとする。
上記構成の同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブルによれば、絶縁被覆部の中空率を上げ、誘電率、tanδを小さくできると共に、コア絶縁被覆層の外径変動を小さくでき、また、絶縁被覆と内部導体との密着性を上げることができる。その結果、電気特性、高周波特性の変動が少ない、高性能な同軸ケーブルを得ることができる。
以下、本発明に係る同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブルを実施例および具体例により詳細に説明する。図1は、本発明に係る同軸ケーブル用絶縁コア体および同軸ケーブルの一実施例を示している。
同図に示した同軸ケーブル10は、内部導体12と、絶縁コア体14と、外部シールド層16とを備えている。
内部導体12は、例えば、円形断面の単銅線から構成されている。絶縁コア体14は、内部導体12の外周を覆うように形成された電気絶縁性のものであって、本実施例の場合には、内部導体12の外周を覆う環状部20と、環状部20から径外方向に、放射状に延びる3個の柱状部22とを有している。
この絶縁コア体14は、例えば、PTFE、FEP、PFA等の弗素系樹脂から構成され、これらの弗素系樹脂を用いて後述する製造方法により、内部導体12の外周に押し出し成形して、環状部20と柱状部22とを同時に一体形成することができる。
本実施例の場合、絶縁コア体14は、中心から外方に延びる3個の柱状部22を有していて、各柱状部22は、その横断面形状は、先端側が先細状になった略三角形状に形成されている。
各柱状部22は、横断面内において等角度間隔(120°)で放射状に伸びており、同軸ケーブル10の長手軸方向に沿って、この間隔を維持しながら、1方向に旋回する螺旋や、所定角度間隔ごとに旋回方向が反転するSZ螺旋状、ないしは、直線状に形成される。
なお、柱状部22の数は、3〜8本が好ましく、特に、螺旋化する際のトルクを考慮すると、対角線上に一対の柱状部22が重なることがない、奇数本がより好ましい。また、螺旋のピッチは、同軸ケーブル10を曲げたときに、内部導体の芯ズレを防ぐために、絶縁コア体14の外径の10〜20倍が有効である。
外部シールド層16は、絶縁コア体14の柱状部22の外周に接するようにして設けられていて、外部シールド層16の内部には、柱状部22で周方向に区画され、同軸ケーブル10の長手方向に連続した3個の空隙部24が設けられている。
この場合、空隙部24は、内部導体12を中心として、3個が周方向に均等配置されており、横断面において、内部導体12とシールド導体16を除いた部分の面積に対し、面積比で50%以上を占めるようにすることが望ましい。
外部シールド層16は、通常行われている方法にて形成され、例えば、メッシュ状の金属編組線,金属パイプ,金属テープの巻き付け,金属テープの縦添え,あるいは、テープと編組線の組合わせであって良い。
なお、外部シールド層16の外周には、これを覆うようにして保護被覆層を設けることができるが、この保護被覆層は、必ずしも設ける必要はないが、これを設ける場合には、例えば、FEP、PFA等の弗素系樹脂、或いはアモルファスポリオレフィン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の合成樹脂を、外部シールド層16の外周に押し出し成形して、形成することができる。
また、本実施例の同軸ケーブル用絶縁コア体14は、柱状部22の仮想外径変動係数(CV値)が1.5%以下であり、単線の内部導体12と絶縁コア体14との密着力は、内部導体12の表面積あたり10g/mm以上有している。
このような構成の絶縁コア体14は、以下の図2〜図7に示す製造方法により製造することができる。これらの図に示した製造方法では、図2に示すように、回転繰り出し機30と、把持装置32と、押出し機34と、冷却器36と、引取機38と、回転巻取機40とが用いられ、これらの装置は、この順に配置されている。
回転繰り出し機30は、内部導体12を巻き付けたボビンが装着されていて、内部導体12を繰り出しながら回転駆動され、内部導体12に所定方向の回転力を付与する。内部導体12は、把持装置32を挿通させて、押出し機34のクロスヘッドダイ42に挿入される。
把持装置32の詳細を図3〜図6に示している。把持装置32は、押出し機34の直前の上流側に設置され、支持台44上に設置支持されていて、内部導体12の把持機構部32aと、この把持機構部32aの回転機構部32bとを備えている。
把持機構部32aは、図4に示すように、支持台44上に立設された一対の支柱46に設けられベアリング48を介して、回転自在に支持されており、その詳細を図5および図6に示している。これらの図に示した把持機構部32aは、一端が開口した概略凹形の枠体320aと、一対で組となる複数の鋼製ローラー321aと、一対の中空軸部322aとを有している。
枠体320aは、平面形状が概略長方形に形成れさていて、長手方向の両端に一対の中空軸部322aが同軸上に固設されている。一対の中空軸部322aは、一方が他方側よりも若干長くなっているものの、これ以外は、実質的に同一構成のものであって、長手方向の中心軸が同軸状になるように、枠体320aに固設されている。
この中空軸部322a内には、内部導体12が中心軸上に挿通されるとともに、各中空軸部322aの中間位置の外周には、支柱46に取付けられたベアリング48が嵌着されることにより、枠体320aが中空軸部322aの中心軸上に回転自在に支持される。
鋼製ローラー321aは、一対の組で内部導体12を中心にして、その両側からこれを挟持するように配置され、かつ、複数の組が内部導体12の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて列状に配置される。なお、図5,6に示した例では、3組の鋼製ローラー321aが一列状に配置されているが、この列数は、2以上であれば3に限る必要はない。
3列状に配置された鋼製ローラー321aは、図5において、上方側の3個が固定プレート323aに回転自在に支持されており、下方側の3個が可動プレート324aに回転自在に支持されている。
固定プレート323aと可動プレート324aは、同じ長さの平板であって、枠体320aの長手方向に延設されている。これらのプレート323a,324aは、枠体320aの短手方向に延設された一対のガイドロッド325aに支持されている。
この場合、固定プレート323aは、ガイドロッド325aに固定され、可動プレート324aは、固定プレート323aに近接離間できるようにガイドロッド325aに取付けられている。
可動プレート324aの側面には、3個の圧縮コイルバネ326aが当接し、各圧縮コイルバネ326aには、圧縮量を調整する調整ネジ327aが装着されている。調整ネジ327aは、枠体320aに貫通形成されたネジ孔に螺着されている。この構成により、調整ネジ327aのねじ込み量を変えると、可動プレート324aと固定プレート323aの間隔が変化し、その結果、一対の鋼製ローラー321a間の間隔が調整できるようになっている。
各鋼製ローラー321aには、外周面に周回形成されたV字状溝328aを有している。このV字状溝328aには、内部導体12が挿通されるものであり、本実施例の場合、開放角度が90°に設定されている。
また、このV字状溝328aの深さは、内部導体12の半径と同等の深さになっている。このように構成したV字状溝328aを用いて、一対の鋼製321aで内部導体12を挟持すると、内部導体12とV字状溝328aの接点が4箇所で対称になり、応力が均等に分散されてより一層滑りにくくなる。なお、V字状溝328aの開放角度は、90°に限る必要はなく、例えば、90°〜120°の範囲内で任意に設定することができる。
一方、回転機構部32bは、図3,4に示すように、駆動用モータ320bと、原動および従動プーリ321b,322bと、タイミングベルト323bとを備えている。駆動用モータ320bは、支持台44上に固定設置されている。
駆動モータ320bの回転軸に原動プーリ321bが固設され、把持機構部32aの一方の中空軸部322aの端部に従動プーリ322bが固設され、原動プーリ321bと従動プーリ322bとの間にタイミングベルト323bが捲回されている。
駆動用モータ320bは、例えば、所定回転毎に回転方向が反転するように駆動され、これにより、タイミングベルト323bを介して連結されている中空軸部322aが揺動回転され、その結果、内部導体12を鋼製ローラー321a間に挟持している把持機構部32aの枠体320aが所定の周期で揺動回転させられ、これにより、内部導体12に所定の回転が加えられる。
把持装置32の下流側に配置された押出し機34のクロスヘッドダイ42の詳細を図7に示している。同図に示したクロスヘッドダイ42は、口金部42aと、ダイブロック42bと、ニップル42cと、パイプ42dとを備えている。
ニップル42cの中心軸上には、挿通孔が貫通形成され、この挿通孔内には、パイプ42dが挿入固定されていて、パイプ42d内には、把持装置32を通過した内部導体12が挿通される。
口金部42aは、ダイ42の先端がに配置され、中心軸上に製造しようとする絶縁コア体14と相似形断面の貫通孔が形成されおり、その詳細を図8に示している。ダイブロック42bは、ニップル42cの外周に配置され、これらの界面には、絶縁コア体14を形成するための弗素系樹脂Aを押出す押出し経路42eが形成されている。
冷却器36は、押出し機34で内部導体12の外周に押し出された弗素系樹脂Aを冷却固化させるものであり、引取機38は、製造された絶縁コア体14を所定の速度で引き取り、回転巻取機40は、絶縁コア体14を巻き取りつつ、絶縁コア体14に回転繰り出し機30と同期した回転を与える。
図2に示した製造方法では、内部導体12に回転繰り出し機30で回転させつつ、クロスヘッドダイ42に挿通して、弗素系樹脂Aを押出すことにより、内部導体12を環状に被覆する環状部20と、環状部20から径外方向に延びる3本の柱状部22からなる絶縁コア体14を製造する。
この際に、把持装置32は、内部導体12を鋼製ローラー321a間に挟持するだけで、回転機構部32bは、駆動させないようにする。このようにすることにより、内部導体12に回転繰り出し機30により、一方向の回転が加えられるので、この回転により形成される柱状部22は、所定のピッチの螺旋状に形成される。
この場合、弗素系樹脂Aは、口金部42aの先端から所定距離だけ離間した前方位置で内部導体12の外周に接触するようになる。
ここで、引き落とし率は、細径且つ異形の絶縁コア体14を精度良く成形するため、口金部42aのノズル孔から出た樹脂を大きく引き落とすようにしている。また、口金部42aのノズル内で樹脂の流速を遅くすることで、メルトフラクチャーの発生を防ぐ。
さらに、複雑且つ微細なリブ形状を安定して押し出す必要があり、このようなリブ形状の為ノズル孔も微細になり、結果として引き落とし率を大きくしないとメルトフラクチャーなどにより安定したリブ形状を維持できないことになる。引き落とし率は、総じて300倍以下が好ましい。これより大きくすると被覆切れが発生しやすくなると共に、ダイスが巨大化し不経済である。
また、クロスヘッドダイ42の構造は、プレッシャーの要素を入れたクロスヘッドダイとし、煙突鞘芯でドラフト前の溶融樹脂Aの形状をコントロールする。目標形状で引き落とした際に樹脂Aが内部導体12である銅線に確実に密着させるノズル構造としている。これにより異形であるにもかかわらず外径精度を高めることができる。
この場合の弗素樹脂Aの粘度は、リブを傾斜させない、また、外径精度を維持向上するためには、MFR30以下が好ましい。本実施例の場合、面積引き落とし率(Ho)と面積導体引き締め率(Hs)とが以下のように設定される。
面積引き落とし率(Ho)は、以下の式1で求められる。
(ダイの内径:柱状先端部を円環状に結んだ径)/(コア柱状部の仮想外径)
=(D /D ) …式1
面積導体引き締め率(Hs)は、以下の式2で求められる。
(内部導体引出用ニップルの外径)/(内部導体の外径)
=(D /D ) …式2
ここで、Dは、内部導体12の外径であり、また、Dは、図9に示すように、コア柱状部の仮想外径であり、Dは、図8に示すように、柱状先端部を円環状に結んだ径であり、Dは、図8に示すように、内部導体引出用ニップルの外径である。
式1で示される面積引き落とし率(Ho)は、80以上300以下に設定され、かつ、式2で示される面積導体引き締め率(Hs)は、70以上250以下に設定され、さらに、面積引き落とし率(Ho)が面積導体引き締め率(Hs)よりも大きくなるよう設定される。
本実施例の場合、面積引き落とし率(Ho)と面積導体引き締め率(Hs)との関係は、面積引き落とし率(Ho)>面積導体引き締め率(Hs)の関係を満足すればよい。
図10は、本発明にかかる同軸用絶縁コア体の製造方法に関する他の実施例を示しており、上記実施例と同一もしくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
同図に示した製造方法では、上記実施例と同様に、把持装置32と、押出し機34と、冷却機36と、引取機38とが用いられ、これらの装置は、この順に配置されているが、回転繰り出し機30に替えて、非回転式の繰り出し機31が用いられ、また、回転巻取機40に替えて、非回転式の巻取機41が用いられる。
把持装置32は、上記実施例と同じ構成のものであって、把持機構部32aと回転機構部32bとを備えている。押出し機34は、上記実施例と同様に、クロスヘッドダイ42を備えている。
繰り出し機31に捲回されている内部導体12は、把持装置32の把持機構部32aの鋼製ローラー321a間に挟持されて、押出し機31のクロスヘッドダイ42のニップル42c内に挿通される。
クロスヘッドダイ42の経路42eから溶融状態の弗素系樹脂Aが内部導体12の外周に供給されて、これが冷却器36により冷却固化されることで、環状部20と柱状部22とを備えた絶縁コア体14が製造され、得られた絶縁コア体14が巻取機41に巻き取られる。
この場合、把持装置32の回転機構部32bは、所定角度間隔ごとに反転駆動され、これに伴って、把持機構部32aの鋼製ローラー321a間に挟持されている内部導体12が同じように回転駆動されるので、絶縁コア体14の柱状部22は、旋回方向が反転するSZ螺旋状に形成される。
なお、本実施例の場合にも、面積引き落とし率(Ho)と面積導体引き締め率(Hs)とは、上記実施例と同様に設定される。また、柱状部22を直線状に形成する場合には、把持装置32の回転機構部32bを非回転状態とすればよい。
次に、本発明かかる製造方法のより具体的な実施例について説明する。
〔具体例1〕
本具体例は、図2〜図9に示した製造方法の具体例であって、内部導体12を直径Dが、0.193mmの単銅線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁コア体14の製造方法である。
この具体例では、0.193mm銀メッキ銅線を内部導体12として使用した。これを回転繰り出し機30により毎分650回転しながら繰り出し、押出し機34の前に設けた把持装置32に導き、更に、押出し機34のクロスヘッドダイス42に通した。このときに用いたダイス口金34(ノズル)の形状を図8に示す。(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、4.8mm、内部導体12が通るパイプ径Dは,1.81mmとした。)
内部導体12を回転しながら通過させ、引き取り速度15m/min、の速度で引取機38(キャプスタン型回転引き取り機)により引き取りつつ、回転繰り出し機30と同一方向に、毎分650回転で回転巻取機40で巻取りながら、350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1、MFR=25、※尚、使用する樹脂の溶融粘度(MFR)は比較的高い方が異形構造を維持しやすいことから30以下の樹脂が望ましい。)の押出被覆を行い図9に示すような各リブの平均仮想外接円D’=0.48mm、ラセンピッチ16.9mmの異形形状の絶縁コア体14を得た。
異形絶縁コア体14の形状については、PFA樹脂の吐出コントロールを、製造ライン上のキャパシタンスモニタ(製品名:CAPAC−HS:ズンバッハ製)により一定のキャパシタンスとなるようフィードバックさせる事で行った。更にカメラ(製品名XV−1000:キーエンス株式会社製)により撮影した画像を処理し、偏芯の有無を解析モニタリングしながらフィードバック制御を行った。
得られたケーブルの引き落とし率をノズル孔部の大きさと被覆樹脂断面積から計算した結果、
*面積引き落とし率(Ho)=99.8であった。
更に内部導体12に対する煙突鞘芯部分の断面積比率を求めた所
*面積導体引き締め率(Hs)=88.0であった。
Ho>Hsが成り立つ場合、引き落とされた樹脂が銅線を引き締める力が働き異形絶縁コア体14のリブ(柱状部22)の外形精度を安定させることが可能になる。 得られた絶縁コア体14の外径精度を確認した。まず、絶縁コア体14を3センチごとにカットし連続した計20点をマイクロスコ−プ(製品名:HV−8000、キーエンス製)により各リブ(柱状部22)を頂点とする仮想外接円を求めた結果、平均外径0.483mm、標準偏差0.004mm、CV値0.83%と良好な外径安定性であった。CV値が1.5%を切れば同軸ケーブルでの特性に悪影響がない。
絶縁コア体14の中空率は60%であった。更に被覆した樹脂と内部導体12との密着力を測定した所、10mm長さで134g、導体表面積あたり22.1g/mm であった。密着力は、銅線の円周長さ、測定長に比例し、導体表面積あたり10g/mm 以上あれば樹脂と銅線の線膨張の違いによる端部の剥離による突き出しがない。
この場合の密着力の試験方法を図11に示す。この試験では、得られた絶縁コア体14は、コア部分を剥いて、中心導体12を所定長さ露出させて、この部分を引張試験機に取付る。この際に、ノズル孔内に中心導体12を通して、中心導体12を把持した後に、ノズルを下向きに移動させたときの荷重を測定した。被覆層長は、10mmでの引き抜き強力を測定した。
この場合、図12のチャートで示すように、最大応力値を中心導体12と絶縁コア体14との接触面積(中心導体12の表面積:単位mm )で割った値を上記密着力とした。
〔具体例2〕
内部導体12を0.193mm(D)の銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁コア体の製造方法であり、図10に示した実施例に相当する具体例である。
中心導体12をクロスヘッドダイス42前に設けた把持装置32の把持機構部32aの鋼製ローラー321a間に挟持し、回転機構部32bにて反転角度360度、毎分81往復でSZ撚りをかけながらクロスヘッドダイス42に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、4.8mm、銅線の通るパイプ径Dは、1.81mmとした。)のノズルに、引き取り速度2.75m/min、の速度で通過させながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D’=0.48mm、反転ピッチ17.0mmの異形形状の絶縁コア体14を得た。
引き取りは絶縁コア体の軸方向には非回転のネルソンローラーにて行った。
引き落とし率Ho=99.8、面積導線引き締め率Hs=88.0として、Ho>Hsが成り立つようにした。被覆樹脂の引き抜き強力は、125g(20.6g/mm )と必要十分であった。
得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径0.480mm、標準偏差0.006mm、CV値1.25%と良好な外径安定性であった。絶縁コア体14の中空率は60%であった。
〔具体例3〕
(煙突鞘芯押出/SZ回転供給によるラセンリブ)
内部導体12を0.193mm(D)の銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁コア体の製造方法であり、図10に示した実施例に相当する具体例である。
中心導体12をクロスヘッドダイス42前に設けた把持装置32の把持機構部32aの鋼製ローラー321a間に挟持し、回転機構部32bにて反転角度360度、毎分81往復でSZ撚りをかけながらクロスヘッドダイス42に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、7.2mm、銅線の通るパイプ径Dは、2.715mmとした。)のノズルに、引き取り速度2.75m/min、の速度で通過させながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D=0.48mm、半転ピッチ17.0mmの異形形状の絶縁コア体14を得た。
面積引き落とし率Ho=225、面積導線引き締め率Hs=198として、Ho>Hsが成り立つようにした。被覆樹脂の引き抜き強力は、131g(21.8g/mm )と必要十分であった。
得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径0.479mm、標準偏差0.005mm、CV値1.04%と良好な外径安定性であった。絶縁コア体14の中空率は60%であった。
〔具体例4〕
(0.5Dストレートコア)
内部導体を0.193mm(D)単線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁コア体14の具体例を示す。
0.193mm銀メッキ銅線を内部導体12とし、これをクロスヘッドダイスに導き図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、4.8mm、銅線の通るパイプ径Dは、1.81mmとした。)のノズルに通過させ、引き取り速度11m/minの速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1、MFR=25(なお、使用する樹脂の溶融粘度(MFR)は比較的高い方が異形構造を維持しやすい事から30以下の樹脂が望ましい。))の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの仮想外接円平均D=0.48mmの異形絶縁コア体14を得た。被覆樹脂の吐出コントロールは、製造ライン上のキャパシタンスモニタやカメラによる外径測定からフィードバックし、制御を行った。
面積引き落とし率 Ho= 100、面積導線引き締め率 Hs = 88.4であり、 Ho>Hsの関係が成り立つ。得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径0.485mm、標準偏差0.004mm CV値 0.82%と良好な外径安定性を示した。絶縁コア体14の中空率は65%であった。被覆樹脂の引き抜き強力は131g(21.8g/mm )と必要十分であった。
〔具体例5〕
内部導体12を0.90mm(D)の銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を2.2mmとした絶縁絶縁コア体の例を示す。
0.90mm銀メッキ銅被覆鋼線を内部導体12とし、クロスヘッドダイス42に導き図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、22.0mm、銅線の通るパイプ径Dは、8.4mmとした。)のノズルに、引き取り速度2m/min、の速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D=2.2mmの異形絶縁コア体14を得た。
面積引き落とし率Ho=100、面積導線引き締め率Hs=87.1であり、Ho>Hsの関係が成り立つ。被覆樹脂の引き抜き強力は、442g(15.0g/mm )と必要十分であった。
得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を測定したところ、平均外径2.41mm、標準偏差0.02mm、CV値0.83%と良好な外径安定性であった。
〔比較例1〕
内部導体を0.193mm(D)単線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした具体例と同様な絶縁コア体であるが銅線引き締めのない比較例を示す。
0.193mm銀メッキ銅線を内部導体とし、これをクロスヘッド代に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、4.8mm、銅線の通るパイプ径Dは、2.01mmとした。)のノズルに通過させ、引き取り速度11m/minの速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D=0.48mmの異形絶縁コア体を得た。
この場合、面積引き落とし率Ho=100、面積導線引き締め率Hs=108.5であり、Ho>Hsが成り立たなかった。この結果、押出された樹脂が内部導体にほとんど密着出来なかった。被覆樹脂の引き抜き強力は30g(5g/mm )と弱くコネクタ加工時などに問題となる可能性がある。得られたケーブルを具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径0.483mm、標準偏差0.01mm、CV値2.08%と外径安定性に問題があった。
〔比較例2〕
内部導体を0.193mm(D)単線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした具体例と同様の絶縁コア体であるが引き落とし率が大きすぎる場合の例を示す。
193mm銀メッキ銅線を内部導体とし、これをクロスヘッドダイスに導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、9.6mm、銅線の通るパイプ径Dは、3.62mmとした。)のノズルに通過させ、引き取り速度11m/minの速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1)の押出被覆を行ったが、被覆切れが発生し、絶縁コア体が得られなかった。この場合(目標径まで引き落とした場合)の面積引き落とし率Ho=400、Ho=352であった。
〔比較例3〕
内部導体を0.193mm(D)銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁コア体の例を示す。
0.193mm銀メッキ銅線を中心導体とし、これを把持装置32にて反転角度360度、毎分81往復でSZ撚りをかけながらクロスヘッドダイス42に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、2.4mm、銅線の通るパイプ径Dは、0.905mmとした。)のノズルに、引き取り速度2.75m/min、の速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D=0.48mm、半転ピッチ17.0mmの異形絶縁コア体を得た。しかしリブ部分でメルトフラクチャーが発生した為、面積引き落とし率Ho=25.0、面積導線引き締め率Hs=22.0であり、Ho>Hsが成り立つものの、外径変動が大きかった。被覆樹脂の引き抜き強力は、67.2g(11.3g/mm )と必要十分であった。
得られたケーブルを具他例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径0.480mm、標準偏差0.01mm、CV値2.08%と非常に外径が不安定であった。絶縁コア体の中空率は60%であった。
〔比較例4〕
内部導体を0.193mm(D)単線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.48mmとした絶縁絶縁コア体であるが煙突鞘芯を設けずプレッシャーダイスとした。なお、この場合、プレッシャーダイスでは、溶融した樹脂が内部導体と口金部内で接触する構造になっている。
193mm銀メッキ銅線を内部導体とし、これをクロスヘッド代に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円Dは、4.8mm)のノズルに通過させ、引き取り速度11m/minの速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D=0.48mmの異形絶縁コア体を得た。しかし偏芯が大きく仮想外接円の中央から大きくずれ、絶縁層として利用できなかった。
〔具体例6〕
具体例1で得られた絶縁コア体14を内径0.48mm、外径0.68mmの銅パイプに入れセミリジットの同軸ケーブルとした。に得られたケーブル1mをVNA(ベクトルネットワークアナライザ:アジレント製:8720ES)に接続しs21及びSWRの測定を行った。SWRに関してはケーブルがストレート状態と曲げ直径φ8.8mm(ケーブル径の4倍)の2点を測定し曲げによる影響を確認した。測定の結果、伝送特性は−2.4dB/m・10GHzと良好であり、SWRについても両サンプルとも1.10と良好な結果であり、曲げによる影響は無かった。
〔比較例5〕
比較例1で得られた絶縁コア体を内径0.48mm、外径0.68mmの銅パイプに入れセミリジットの同軸ケーブルとした。得られたケーブル1mをVNA(ベクトルネットワークアナライザ:アジレント製:8720ES)に接続しSWRの測定を行った。測定の結果、SWRが1.3(10GHz)と反射波が大きく、実使用には不適なケーブルとなった。
〔具体例7〕
内部導体12を0.94mm(D1)の銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を2.4mmとした絶縁コア体の製造方法。中心導体12をクロスヘッドダイス42に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円D3は、5.04mm、銅線の通るパイプ径D4は、1.81mmとした。)のノズルに、引き取り速度1.9m/min、の速度で通過させながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D’=2.4mmの絶縁コア体14を得た。
得られたケーブルの引き落とし率をノズル孔部の大きさと被覆樹脂断面積から計算した結果、面積引き落とし率(Ho)=4.41であった。更に内部導体12に対する煙突鞘芯部分の断面積比率を求めた所、面積導体引き締め率(Hs)=3.71であった。
得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径2.40mm、標準偏差0.020mm、CV値0.83%と良好な外径安定性であった。絶縁コア体14の中空率は50%であった。
〔具体例8〕
内部導体12を0.94mm(D1)の銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を2.4mmとした絶縁コア体の製造方法。中心導体12をクロスヘッドダイス42に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円D3は、8.45mm、銅線の通るパイプ径D4は、2.76mmとした。)のノズルに、引き取り速度3.8m/min、の速度で通過させながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1 MFR=25)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D’=2.4mmの絶縁コア体14を得た。
得られたケーブルの引き落とし率をノズル孔部の大きさと被覆樹脂断面積から計算した結果、面積引き落とし率(Ho)=12.40であった。更に内部導体12に対する煙突鞘芯部分の断面積比率を求めた所、面積導体引き締め率(Hs)=8.62であった。
また、得られた絶縁コア体14を具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径2.40mm、標準偏差0.020mm、CV値0.83%と良好な外径安定性であった。絶縁コア体14の中空率は50%であった。
〔比較例6〕
内部導体を0.94mm(D1)銀メッキ銅被覆鋼線、異形被覆の目標外径(仮想外接円)を0.94mmとした具体例と同様な絶縁コア体であるが銅線引き締めのない比較例を示す。
0.94mm銀メッキ銅被覆鋼線を内部導体とし、これをクロスヘッド代に導き、図8に示す形状(この場合、図8に示すノズルの仮想外接円D3は、5.04mm、銅線の通るパイプ径D4は、2.01mmとした。)のノズルに通過させ、引き取り速度1.9m/minの速度で引き取りながら350度の押出温度にてPFA樹脂(商品名 AP−201:ダイキン工業製、誘電率2.1)の押出被覆を行い、図9に示すような各リブの平均仮想外接円D2=2.4mmの異形絶縁コア体を得た。
この場合、面積引き落とし率Ho=4.42、面積導線引き締め率Hs=4.57であり、Ho>Hsが成り立たなかった。この結果、押出された樹脂が内部導体にほとんど密着出来なかった。被覆樹脂の引き抜き強力は300g(1g/mm2 )と弱くコネクタ加工時などに問題となる可能性がある。
得られたケーブルを具体例1と同様の方法で外径変動を調査したところ、平均外径2.40mm、標準偏差0.05mm、CV値2.08%と外径安定性に問題があった。
本発明にかかる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法および同軸ケーブル用絶縁コア体並びに同絶縁コア体を用いる同軸ケーブルによれば、絶縁被覆部の中空率を上げ、誘電率、tanδを小さくできると共に、コア絶縁被覆層の外径変動を小さくでき、また、絶縁被覆と内部導体との密着性を上げることができるので、この種の分野において有効に活用することができる。
本発明にかかる製造方法で得られる同軸ケーブルおよび同軸ケーブル用絶縁コア体の一例を示す断面図である。 本発明にかかる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法で使用する製造装置の全体配置を示す側面図である。 図2の把持装置の側面説明図である。 図2の正面図である。 図4に示した把持機構部の拡大上面図である。 図5の側面図である。 図2に示した押出し機のクロスヘッドダイの断面説明図である。 図7に示したクロスヘッドダイの口金部の断面図である。 本発明にかかる製造方法で得られる絶縁コア体の断面説明図である。 本発明にかかる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法の他の実施例で使用する製造装置の全体配置を示す側面図である。 本発明にかかる同軸ケーブル用絶縁コア体の密着力の試験方法を示す説明図である。 図11に示した試験方法で得られる応力値のチャート図である。
符号の説明
A 弗素系樹脂
10 同軸ケーブル
12 内部導体
14 絶縁コア体
16 外部シールド層
18 保護被覆層
20 環状部
22 柱状部

Claims (6)

  1. 同軸ケーブルの内部導体と外部シールド層との間に介装され、前記内部導体を環状に被覆する環状部と、前記環状部から径外方向に延びる2本以上の柱状部とを備え、前記柱状部は、長手方向に沿って直線状、または、螺旋状に形成される弗素系樹脂からなる同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法であって、
    前記内部導体を回転,非回転,或いはSZ回転させつつ、クロスヘッドダイ中に挿通して、前記内部導体の外周に前記弗素系樹脂を押出被覆する際に、式1
    (ダイの内径:柱状先端部を円環状に結んだ径)/(コア柱状部の仮想外径) …式1
    で示される面積引き落とし率(Ho)
    および式2
    (内部導体引出用ニップルの外径)/(内部導体の外径) …式2
    で示される面積導線引き締め率(Hs)の関係を、
    Ho>Hs
    となるようにすることを特徴とする同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法。
  2. 前記面積引き落とし率(Ho)が4以上300以下であり、
    かつ、前記面積導線引き締め率(Hs)を3以上250以下とすることを特徴とする請求項1記載の同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法。
  3. 前記内部導体は、前記クロスヘッドダイに挿通する手前で把持し、当該把持した部分をSZ状に回転させることにより、前記環状部から径外方向に延びる前記柱状部をSZ螺旋状に形成することを特徴とする請求項1または2記載の同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法。
  4. 前記内部導体は、前記クロスヘッドダイに回転供給しつつ、当該クロスヘッドダイに挿通する手前で把持し、当該把持した部分を回転させることにより、前記環状部から径外方向に延びる前記柱状部を螺旋状に形成することを特徴とする請求項1記載の同軸ケーブル用絶縁コア体の製造方法。
  5. 請求項1〜4の製造方法により得られた同軸ケーブル用コアであって、
    前記柱状部の仮想外径変動係数(CV値)が1.5%以下であり、
    単線の前記内部導体と前記絶縁コア体との密着力が、前記内部導体の表面積あたり10g/mm以上有すること特徴とする同軸ケーブル用絶縁コア体。
  6. 請求項5記載の同軸ケーブル用絶縁コア体の外周に、外部シールド層を設けることを特徴とする同軸ケーブル。
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