JP2006147199A - 燃料電池の電極及び膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池の電極及び膜電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】フラッディングを防止して高い反応効率及び出力を発揮することができる燃料電池システムを実現する。
【解決手段】カソード極は、ガス透過性を有する基材と、この基材の一面に形成され、触媒が担持されたカソード触媒層とを有している。カソード触媒層は、電子を伝導する性質である電子伝導性及びイオンを伝導する性質であるイオン伝導性を併せもつ混合伝導担体85と、この混合伝導担体85に担持され、触媒作用及び磁気作用を併せもつ磁性触媒6からなる磁力体5とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池のカソード極やアノード極を構成する電極と、その膜電極接合体とに関する。
従来、図18に示すような燃料電池システムの膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)90が知られている。この膜電極接合体90は、ナフィオン(登録商標、Nafion(Dupon社製))等の固体高分子膜からなる電解質膜91と、この電解質膜91の一面に接合されて空気が供給されるカソード極93と、電解質膜91の他面に接合されて水素等の燃料が供給されるアノード極92とを有している。
カソード極93は、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等のガス透過性のある基材と、この基材の電解質膜91側に形成され、白金(Pt)等の触媒が担持されたカソード触媒層93aとからなる。カソード極93におけるカソード触媒層93a以外の部分は基材によって構成されており、ここは非電解質側でカソード触媒層93aに空気を拡散するカソード拡散層93bとされている。
また、アノード極92も、上記基材と、この基材の電解質膜91側に形成され、触媒が担持されたアノード触媒層92aとからなる。アノード極92におけるアノード触媒層92a以外の部分も基材によって構成されており、ここは非電解質側でアノード触媒層92aに空気を拡散するアノード拡散層92bとされている。
そして、膜電極接合体90を図示しないセパレータで挟むことにより最小発電単位である燃料電池のセルが構成され、このセルが多数積層されて燃料電池スタックが構成される。カソード触媒層93aには空気供給手段によって空気が供給され、アノード触媒層92aには燃料供給手段等によって燃料が供給されるようになっている。こうして燃料電池システムが構成される。
この膜電極接合体90では、アノード触媒層92aにおける電気化学的反応により、燃料から水素イオン(H+;プロトン)と電子とが生成される。そして、プロトンは水分子を伴ったH3+の形で電解質膜91内をカソード触媒層93aに向かって移動する。また、電子は、燃料電池システムに接続された負荷を通り、カソード触媒層93aに流れる。一方、カソード触媒層93aにおいては、空気中に含まれる酸素とプロトンと電子とから水が生成される。このような電気化学的反応が連続して起こることにより、燃料電池システムは起電力を連続して発生することができる。
また、アノード触媒層92aは、電子及びプロトンの伝達ロスの改善のため、電子を伝導する性質である電子伝導性及びイオンを伝導する性質であるイオン伝導性を併せもつ必要がある。カソード触媒層93aも、電子及び酸素イオンの伝達ロスの改善のため、電子伝導性及びイオン伝導性を併せもつ必要がある。そのため、一般的な燃料電池システムでは、図19に示すように、ほぼ球形のカーボン粉末81に触媒82を担持してなる無数の触媒担持カーボン83と、各触媒担持カーボン83を互いに結合するとともに図示しない基材に結合する高分子電解質84とを含む。高分子電解質84としては、電解質膜91と同様のものが用いられ得る。
しかし、電子を伝導可能な電子伝導体であるカーボン粉末81と、イオンを伝導可能なイオン伝導体である高分子電解質84とを完全に均一に混合することは困難である。このため、その燃料電池システムでは、全ての触媒82へ電子及びプロトン又は電子及び酸素イオンを均等に伝達することができず、一部の触媒82が無駄になってしまうため、反応効率に制限を生じてしまう。
そこで、電子伝導性及びイオン伝導性を併せもつ混合伝導担体が提案されている(例えば、特許文献1〜8)。特許文献1〜4には有機系の混合伝導担体が開示されている。また、特許文献5〜8には無機系の混合伝導担体が開示されている。図20にこれらの混合伝導担体85を用いた触媒担持混合伝導体86を示す。これらの混合伝導担体85は電子伝導性及びイオン伝導性を併せもつものであり、この混合伝導担体85に触媒82を担持してなる従来の触媒担持混合伝導体86では、電子及びプロトン又は電子及び酸素イオンが好適に伝達し、全ての触媒82へ電子及びプロトン又は電子及び酸素イオンをほぼ均等に伝達することができることから、触媒82を無駄にせず、高い反応効率を実現することができると考えられる。
特開2001−202971号公報 特開2001−110428号公報 特開2003−68321号公報 特表2002−536787号公報 特開平10−255832号公報 特開平11−335165号公報 特開2000−251533号公報 特開2000−188117号公報
ところで、膜電極接合体90のアノード触媒層92aにおいて生成されたプロトンは、水分子を伴って電解質膜91内をカソード触媒層93aに向かって移動することから、アノード触媒層92a及び電解質膜91のアノード触媒層92a側では、含水率が低下して乾燥しがちな状態になり、プロトンの移動が阻害され、燃料電池システムの出力が低下しやすい。また、カソード触媒層93aでは、プロトンとともに移動した水と電気化学的反応で生じた生成水とにより水が過剰となり、空気の拡散が阻害される(以下、「フラッディング」という。)ため、これによっても燃料電池システムの出力が低下しやすい。
このため、アノード触媒層92a及び電解質膜91の乾燥の問題については水素を加湿装置によって加湿することにより解決できるが、カソード触媒層93aでは電池反応に伴う生成水と、アノード極92からカソード極93へのプロトンの移動に伴う水とにより、フラッディングが生じ易くなって出力が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フラッディングを防止して高い反応効率及び出力を発揮することができる燃料電池システムを実現することを解決すべき課題としている。
本発明の燃料電池の電極は、ガス透過性を有する基材と、該基材の一面に形成され、触媒が担持された触媒層とを有する燃料電池の電極において、
前記触媒層は、電子を伝導する性質である電子伝導性及びイオンを伝導する性質であるイオン伝導性を併せもつ混合伝導担体と、該混合伝導担体に担持され、磁気作用をもつ磁力体とを含むことを特徴とする。
本発明の電極は触媒層が混合伝導担体と磁力体とを含んでいる。
この電極における混合伝導担体は、上記特許文献1〜8と同様、電子伝導性及びイオン伝導性を併せもっているため、電子及びプロトン又は酸素イオンが好適に伝達し、全ての触媒へ電子及びプロトン又は酸素イオンをほぼ均等に伝達することができることから、触媒を無駄にせず、高い反応効率を実現できる。
特に、この電極では、図1に示すように、混合伝導担体85に磁気作用をもつ磁力体5が担持されている。このため、この電極を用いた燃料電池システムは、(1)水素を燃料として用いる場合と、(2)メタノール等の燃料を直接用いる場合とにおいて、以下の作用を生じる。
(1)水素を燃料として用いる場合
磁力体5近傍の数nmの領域では、距離をRとした場合、1/Rに比例する桁違いに大きな磁場勾配が生じ、その結果、磁気力と比例関係をもつ磁場と磁場勾配との積が非常に大きくなる。このため、酸素は、常磁性体として、磁力体5から重力の約103倍に相当する105N/m3程度の非常に大きな吸引力を受ける。他方、電気化学的反応後に触媒の表面に生じる水は、磁力体5が発生する磁気力により、反磁性体として、磁力体からやはり重力の約103倍に相当する106N/m3程度の非常に大きな排斥力を受ける。
このため、水素を燃料として用いる燃料電池システムのカソード極にこの電極を用いた場合には、酸素を常磁性体として吸引しつつ水を反磁性体として排斥することができる。このため、電気化学的反応をする触媒の活性点から障害物としての水が排斥され、そこに酸素を速やかに供給することができるため、フラッディングが抑制され、燃料電池システムの出力向上を実現できる。
(2)メタノール等の燃料を直接用いる場合
未反応の燃料は、アノード極に担持された磁力体5の磁気作用により、反磁性体として、やはり大きな排斥力を受ける。このため、未反応の燃料は、アノード極の触媒によって水素イオン、電子等により確実に分解される。換言すれば、未反応の燃料のクロスオーバー現象が抑制される。
また、未反応の燃料は、カソード極に担持された磁力体5の磁気作用により、反磁性体として、やはり大きな排斥力を受ける。このため、未反応の燃料は電解質層との界面付近から電解質層側に戻され、これによってもクロスオーバー現象が抑制される。電解質層側に戻された燃料は、電解質層における骨格間の隙間を通過してアノード極に至り、水素イオン、電子及び二酸化炭素を確実に生成する。
さらに、燃料はカソード極の触媒に近づくことができず、燃料がカソード極において酸化されない。このため、カソード極で電子を生じることがなく、カソード極に形成されたプラスの電荷が有効に出力に現れることとなる。
また、カソード極に酸素を常磁性体として吸引することもできる。また、電解質層からカソード極に移動しようとする自由水やカソード極において触媒の表面に生じる生成水も、反磁性体として、排斥することができる。さらに、燃料がカソード極における触媒の活性点上の障害物とならない。このため、そこに酸素を速やかに供給することができるとともに、フラッディングが抑制される。この点においても、直接型燃料電池システムの出力が上昇する。
したがって、この電極を採用した燃料電池システムは、フラッディングを防止して高い反応効率及び出力を発揮することができる。
また、この電極は、高分子電解質を用いるとしても、混合伝導担体85に触媒82及び磁力体5又は後述の磁性触媒6を担持してなる触媒担持混合伝導体30を基材に結合するに足る分だけその高分子電解質を用いればよく、ガスの供給を阻害し難く、性能の低下を極力防止することができる。さらに、この電極は、高分子電解質によって寸法変化を伴い難いため、担持された触媒を脱落し難い。
基材としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等を採用することができる。
混合伝導担体は、上記特許文献1〜8と同様、電子を伝導可能な電子伝導体と、該電子伝導体と一体をなし、イオンを伝導可能なイオン伝導体とからなり得る。
電子伝導体及びイオン伝導体は無機系であることが好ましい。かかる混合伝導担体は、耐熱性及び耐水性を発揮する。
発明者らの試験によれば、電子伝導体は炭素系であり得る。より詳細に言えば、炭素系は、二重結合又は三重結合を含む炭素の連続的な結合をもつものであり得る。すなわち、主鎖に炭素の二重結合又は三重結合及び両者を有し、その主鎖が電子伝導機能に寄与するタイプのほか、側鎖を介して電子を伝導させるタイプの炭素系を採用することができる。
このような炭素系はπ結合を有する有機化合物を炭化したものであることが好ましい。π結合を有する有機化合物としては、脂肪族系炭化水素、芳香族系炭化水素及びこれらの誘導体を採用することができる。これらの有機化合物の代表的なものとしては、ポリアセチレン、レソルシノール、フェノール、2−フェニルフェノール、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチォフェン、フェニルホスホン酸、フェニルシランアルコキシド類、ピロガロール及びジヒドロキシビフェニルの少なくとも1種を用いることができる。
なお、電子伝導体は、グラファイトやカーボンナノチューブ等の炭素系や金、パラジウム、白金、マグネシウム、リチウム、チタニウム等の金属やその合金を含む金属系も含み得る。
イオン伝導体は、リン元素を含む化合物、イオウ元素を含む化合物、カルボン酸、ホウ酸及び無機固体酸の少なくとも1種であり得る。特に、リン元素を含む化合物、リン酸、リン酸エステル、硫酸、硫酸エステル、スルフォン酸、水素化酸化タングステン、水素化酸化レニウム、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニア、タングストリン酸、タングスト珪酸及び酸化ケイ素の少なくとも一つを用いることができる。
電子伝導体とイオン伝導体との固定の態様として、共有結合、インターカレーション及び包接が考えられるが、製造過程の条件によりこれらの各態様が混在する可能性もある。また、電子伝導体及びイオン伝導体の材料の種類に応じて、固定化の状態が共有結合、包接、インターカレーションをとるか否かも変化する。例えば、電子伝導体に有機化合物を炭化して無機系としたものを用いた場合には、共有結合が主になると考えられる。他の例として、電子伝導体に金属系を選んだ場合、イオン伝導体として無機系特に酸化物を選択すれば、共有結合又は包接で固定化が可能となる。
電子伝導体とイオン伝導体とが共有結合により固定された状態を図2〜4に例示する。混合伝導担体85は電子伝導体1とイオン伝導体2とが共有結合されており、混合伝導担体85には触媒82又は磁力体5が担持されている。混合伝導担体85に触媒82を担持しない場合には、磁力体5を磁性触媒6とする。電子伝導体1とイオン伝導体2とは距離が非常に近接するので、図示のとおり、ナノオーダの触媒82又は磁力体5(6)に対してともに接触することができる。このため、触媒反応に必要な電子とプロトン又は酸素イオンとを過不足なく供給することが可能となる。
このような触媒担持混合伝導体30は次のようにして製造され得る。まず、π結合を備えた有機化合物とイオン伝導体とを重合させた高分子前駆体を形成する。この高分子前駆体において、有機化合物の骨格をなす炭素は、それ同士が重合してπ結合を有する電子伝導性の主鎖を形成するとともに、イオン伝導体との間にも共有結合を形成し、このイオン伝導体が電子伝導体の炭素主鎖を架橋する構成となると考えられる。充分な量のイオン伝導体を配合することにより、炭素主鎖に共有結合したイオン伝導体同士の距離が小さくなり、その間においてイオン伝導性が生じることとなる。
また、π結合を備えた有機化合物の重合体中にイオン伝導体を分散させた前駆体を準備してもよい。有機化合物とイオン伝導体との重合度が小さい場合、結果として、有機化合物の重合体中にイオン伝導体が分散された前駆体となる。また、重合度が不十分な場合、電子伝導体を構成する有機化合物に共有結合したイオン伝導体とこれから分離して実施的に分散状態にあるイオン伝導体とが並存する前駆体となる。
このような前駆体を不活性雰囲気下で焼成する。不活性雰囲気は、前駆体をアルゴンガス、窒素ガス若しくはヘリウムガス流通下におくこと又は真空化におくことにより達成できる。かかる不活性雰囲気下で前駆体を加熱すると、有機成分が炭化して無機物となる。これにより、電子伝導性が確保される。有機成分の主鎖がπ結合を有するものであるとき、高い電子伝導性が得られる。加熱温度及び加熱時間は前駆体の特性に応じて適宜選択される。
加熱と同時に又は加熱後に、熱以外の高エネルギーを付加することもできる。高エネルギーとしては、プラズマ照射、マイクロ波照射、超音波照射等を挙げることができる。
そして、電子伝導性のある炭素骨格にイオン伝導体が安定して固定化される。これにより、イオン伝導性が確保される。イオン伝導性は、イオン伝導体が近接することにより得られると考えられる。図2〜4に示すように、イオン伝導体2が炭素骨格を架橋する場合は、イオン伝導体2の位置が固定されるので、イオン伝導体2同士の相互作用によりイオン伝導性が確保される。
イオン伝導体は、炭素骨格より脱離した場合及び前駆体の状態から炭素骨格に結合していない場合は、炭素主鎖の間にインターカレートされるか又は炭素主鎖が形成する網目構造の中に包接されると考えられる。これらの場合においても、イオン伝導体同士が近接していれば、イオン伝導性が得られると考えられる。
また、イオン伝導体がリンを含む場合、前駆体を焼成する前にこれを加温又は加圧加温することが好ましい。前駆体を加温又は加圧加温することにより、焼成後のリン含有量が増大する。前駆体を加温又は加圧加温する方法は特に限定されるものではなく、一般的な手法を用いることができる。
還流法を用いるのは、沸騰状態で加温する場合、発生する蒸気を冷却液化して反応容器に戻すため、反応容器に冷却器を設置するのが望ましいからである。この還流法によれば、前駆体の雰囲気を何ら加圧することなく、その温度を上げることができる。加温の温度及び時間は前駆体の特性に応じて適宜選択される。
前駆体を加圧加温する方法も特に限定されるものではないが、オートクレーブを用いることが作業性等の見地から好ましい。前駆体の雰囲気圧力及び温度は前駆体の特性に応じて適宜選択される。
こうして得られる混合伝導担体は、電子伝導機能とイオン伝導機能とを併せもち、室温程度の低温度域においても機能する。また、この混合伝導担体は、水存在下でも、安定して電子伝導機能とイオン伝導機能とを発揮する。
そして、図1に示すように、かかる混合伝導担体85に触媒82又は磁力体5を担持し、触媒担持混合伝導体30が得られる。混合伝導担体85に触媒82を担持しない場合には磁力体5を磁性触媒6とする。担持の方法は特に限定されず、周知の方法が採用される。
磁力体5は磁気作用をもつものである。この磁力体としては、鉄、コバルト、ニッケル、鉄−コバルト合金、鉄−ニッケル合金、アルニコ等、一元系金属又は二元系以上の多元系合金の永久磁石を採用することができる。
特に、磁力体5は、触媒作用及び磁気作用を併せもつ磁性触媒6であることが好ましい。永久磁石を磁力体5とした場合、永久磁石が単に分散、配置されているに過ぎないこととなる。この場合、酸素を吸引し、燃料や水を排斥する永久磁石と、触媒作用を行う触媒とが必ずしも近くにないものとなるため、出力向上を必ずしも実現し得ないと思われる。この点、磁力体5が磁性触媒6である場合、その磁気作用により、酸素を常磁性体として吸引しつつ燃料及び水を反磁性体として排斥することができる。この際、磁性触媒6自体が酸素を吸引し、燃料及び水を排斥するとともに、カソード極で還元反応を促進して電気化学的反応の触媒作用を行う。このため、燃料電池システムの出力向上をより確実に実現できる。
なお、直接型燃料電池システムにおいては、アノード極の磁力体5は未反応の燃料を排斥するものであるため、その磁力体5が触媒作用も併せもつと、未反応の燃料が水素イオン等に分解され難くなるおそれがある。このため、アノード極の磁力体は、カソード極の磁力体5よりも、触媒作用を併せもつ必要性に乏しい。
発明者らの試験結果によれば、磁性触媒6としてはfct構造を主相とするPt合金を採用することができる。fct構造のPt合金は、図5に示すように、PtとFe、Co等の他の合金金属とが層構造をなすPt合金である。図6に示すように、Ptと他の合金金属とが層構造をなさない立方晶系面心立方格子(fcc)構造のPt合金を高温下の熱処理に供することにより、fct構造のPt合金が得られる。一般的に、合金化直後のPt合金は、準安定相である不規則なfcc構造をとり、これは軟磁気特性を示す。しかし、これを高温下の熱処理に供することにより、安定相である規則的なfct構造が形成され、Ku〜7×107erg/ccの高い一軸結晶磁気異方性を示す高い保磁気力を有するものとなる。
より具体的には、磁性触媒6としては、Pt−Fe合金を採用することができる。Pt−Fe合金の状態図を図7に示す。図7に示されるように、熱処理温度を900°Cとすると、Pt/Fe=35/65〜54/46(at%)の範囲で磁気作用を奏するfct構造を主相とするPt−Fe合金が得られる。発明者らの試験によれば、熱処理温度を1300°Cとすることにより、Pt/Fe=41/59〜74/26(at%)の範囲で磁気作用を奏するfct構造を主相とするPt−Fe合金が得られた。Pt/Fe=38.5/61.5(at%)のPt−Fe合金を1046°Cで100時間熱処理し、水で急冷したfct構造を主相とするPt−Fe合金の磁化曲線図を図8に示す。図8より、このfct構造を主相とするPt−Fe合金は、−3.8〜3.8kOeの高い保磁気力を有することがわかる。発明者らの推察によれば、Pt/Fe=40/60〜75/25(at%)の組成を有するPt−Fe合金を採用することが好ましい。また、保磁気力が絶対値で2kOe以上のPt−Fe合金を採用することが好ましい。さらに、粒径が1〜10nmのPt−Fe合金を採用することが好ましい。この種のPt−Fe合金は水溶液反応を基礎とする逆ミセル法、有機金属を用いる合成法等によって得られる。
また、磁性触媒6としては、Pt−Co合金を採用することもできる。Pt−Co合金の状態図を図9に示す。図9に示されるように、Pt/Co=40/60〜73/27(at%)の範囲で磁気作用を奏するfct構造を主相とするPt−Co合金が得られる。また、50Pt−50Co合金の磁化曲線図を図10に示す。図10より、このPt−Co合金も高い保磁気力を有することがわかる。発明者らの推察によれば、Pt/Co=40/60〜75/25(at%)の組成を有するPt−Co合金を採用することが好ましい。また、保磁気力が絶対値で2kOe以上のPt−Co合金を採用することが好ましい。さらに、粒径が1〜10nmのPt−Co合金を採用することが好ましい。この種のPt−Co合金も水溶液反応を基礎とする逆ミセル法、有機金属を用いる合成法等によって得られる。
こうして得られた触媒担持混合伝導体30を水あるいはアルコール等に分散させ、これらが混合したペーストを作製し、このペーストを基材の片面へ塗布することができる。ペーストには、PTFEや高分子電解質の溶液等を添加することもできる。こうして混合伝導担体及び磁力体を含む触媒層をもつ電極を製造することができる。この電極をカソード電極及び/又はアノード電極とし、これらの電極間に電解質膜を接合することで膜電極接合体が得られる。
本発明の燃料電池の膜電極接合体は、電解質膜と、該電解質膜の一面に触媒層が接合されて空気が供給されるカソード極と、該電解質膜の他面に触媒層が接合されて燃料が供給されるアノード極とを有する燃料電池の膜電極接合体において、前記カソード極及び前記アノード極の少なくとも一方が上記電極であることを特徴とする。
本発明の膜電極接合体が(1)水素を燃料として用いる燃料電池システムに採用される場合、カソード極が上記電極とされ得る。これにより、この燃料電池システムは、触媒や磁性触媒6を無駄にせず、高い反応効率を実現できるとともに、フラッディングが抑制され、出力向上を実現できる。
また、本発明の膜電極接合体が(2)メタノール等の燃料を直接用いる直接型燃料電池システムに採用される場合、カソード極及びアノード極の少なくとも一方が上記電極とされ得る。これにより、この直接型燃料電池システムも、触媒や磁性触媒6を無駄にせず、高い反応効率を実現できるとともに、フラッディングが抑制され、出力向上を実現できる。また、この直接型燃料電池システムは、未反応の燃料のクロスオーバー現象を抑制し、電解質層側に戻した燃料によって水素イオン、電子及び二酸化炭素を確実に生成し、カソード極に形成されたプラスの電荷を有効に出力とすることができる。
したがって、この膜電極接合体を採用した燃料電池システムは、フラッディングを防止して高い反応効率及び出力を発揮することができる。
カソード極及びアノード極の少なくとも一方は、基材の他面に形成され、空気又は燃料を拡散する拡散層を有することが好ましい。カソード拡散層により空気を拡散してカソード触媒層に供給し、アノード拡散層により燃料を拡散してアノード触媒層に供給することができるため、燃料電池システムがより高い出力を発揮することができる。
触媒層は、電解質層側で強い磁気力を奏するように構成されていることが好ましい。この場合、水素を燃料として用いる燃料電池システムのカソード極にこの電極を採用すれば、自由水が電解質層側からカソード触媒層に移動し難くなる。また、この燃料電池システムでは、カソード触媒層の電解質層側での磁気力が強いため、生成水は速やかにカソード触媒層の電解質層側から移動する。これらのため、自由水や生成水が邪魔になり難く、酸素がカソード触媒層に供給され易くなる。また、この燃料電池システムでは、空気がカソード触媒層まで移動し易い。このため、燃料電池システムの出力がより確実に向上する。
以下、本発明を燃料電池システムに具体化する実施例1〜11を比較例1〜4とともに試験1〜4により説明する。
(実施例1)
「第1工程」
二重結合を有する有機化合物として、化1に化学式を示すレソルシノールを第1の出発原料として用いた。また、プロトン伝導体として、化2に化学式を示すリン酸トリメチルを第2の出発原料として用いた。
Figure 2006147199
Figure 2006147199
そして、化3に示すように、レソルシノールにホルムアルデヒドを求核付加反応させ、レソルシノールに−CH2OHを導入した第1化合物を得る。レソルシノールとホルムアルデヒドとのモル比は1:2である。
Figure 2006147199
また、化4に示すように、リン酸トリメチルにエチルアルコール、水及び塩酸を添加し、加水分解した溶液である第2化合物を得る。
Figure 2006147199
そして、第1化合物に第2化合物を添加する。この際、レソルシノールとリン酸トリメチルとのモル比は5:2とする。この後、この混合物に触媒としてのNa2CO3を添加する。この混合物を密封下、室温で数時間放置した後、さらに密封下、70°Cで2日間放置してゲル化する。このゲルを密封下、90°Cで1日間放置後、大気開放下、120°Cで数時間放置する。こうして、脱水縮重合及び乾燥させ、前駆体を得る。この前駆体は化5の化学式を有しているものと推定される。また以上の反応及び前駆体の構造を図11に模式的に示す。
Figure 2006147199
「第2工程」
その前駆体を窒素ガス雰囲気下、500°Cで4時間熱処理し、実施例1の混合伝導担体85を得る。この混合伝導担体85は、図2に示すように、グラファイトに類似した骨格を有する電子伝導体1とリン酸基のプロトン伝導体2とが交互に並ぶ構成となっている。得られた混合伝導担体85は一旦ボールミル等により粉砕される。
(実施例2)
上記前駆体を窒素ガス雰囲気下、800°Cで4時間熱処理し、実施例2の混合伝導担体85を得る。
(実施例3)
上記前駆体を窒素ガス雰囲気下、1000°Cで4時間熱処理し、実施例3の混合伝導担体85を得る。
(試験1)
実施例1〜3の混合伝導担体85をプレスによって加工成形して板状の測定用試料とした。プロトン伝導体であるリン酸トリメチルを添加しない比較例1〜3の電極用組成物も同様に製造し、これら比較例1〜3の電極用組成物も板状の測定用試料とした。
「電子伝導度」
実施例1〜3及び比較例1〜3の測定用試料を集電板で挟み込み、これに1A、3A又は5Aの直流電流を印加した時の電圧に基づいて比抵抗(Ω・cm)を算出した。n=1の結果を表1及び表2に示す。熱処理温度が500°Cである比較例1の測定用試料は、40MΩ・cm以上の電子比抵抗を示す絶縁体であった。
Figure 2006147199
Figure 2006147199
表1及び表2より、実施例1〜3の測定用試料は、熱処理温度が800°C又は1000°Cの場合に、優れた電子伝導性を有することがわかる。
「プロトン伝導度」
図12に示すように、実施例1〜3及び比較例1〜3の測定用試料Tをナフィオン(登録商標)からなるイオン交換膜11a、11bで挟み込む。また、一面にPtからなる触媒層12a、13aをもつカーボンクロス12、13を用意し、これらの各触媒層12a、13a側でイオン交換膜11a、11bを挟み込む。そして、イオン交換膜11a、11bによって電子をブロッキングしながら、60°C、飽和湿度雰囲気下、窒素及び水素雰囲気中において、カーボンクロス12、13間に電圧を印加し、その応答電流からプロトン伝導度(S/cm)を算出した。n=1の結果を結果を表3及び表4に示す。
この結果は測定系のイオン交換膜等の他の部材の抵抗及び接触抵抗の全てを反映しているものであるため、実施例1〜3の測定用試料自体のプロトン伝導度は、この結果以上であることは明らかである。一方、比較例1〜3の測定用試料のプロトン伝導度は測定下限である。
Figure 2006147199
Figure 2006147199
また、実施例1の測定用試料における印加電圧と応答電流の時間推移との関係を図13に示す。図13より、実施例1の測定用試料に電圧を印加した場合、窒素中では電流が流れず、水素ガスに変更した場合に電流が流れることがわかる。実施例1〜3の測定用試料も同様であり、優れたプロトン伝導性を有することがわかる。一方、比較例1〜3の測定用試料は応答電流が流れない。
(試験2)
「第3工程」
一方、磁力体5として、磁性触媒6を用意する。この磁性触媒6は、平均粒径が5nm、Pt/Fe=50/50(at%)のPt−Fe合金を熱処理し、水で急冷したfct構造を主相とするものである。
「第4工程」
上記混合伝導担体85の外周面に磁性触媒6を担持し、実施例1の触媒担持混合伝導体30を得る。磁性触媒6の担持密度は30質量%である。なお、担持はコロイド法や含浸法等により行なった。
作製された触媒担持混合伝導体30を水等に分散し、これらが混合したカソード極用ペーストを作製した。カソード極用ペーストには、PTFEやナフィオン(登録商標)の溶液が添加されている。図14に示すように、このカソード極用ペーストをカーボンクロスからなる基材10の片面へ塗布し、乾燥させることによりカソード触媒層22aとした。こうして実施例1のカソード極22を製造した。カソード極22におけるカソード触媒層22a以外の部分は基材10によって構成されており、ここは非電解質側でカソード触媒層22aに空気を拡散するカソード拡散層とされている。
一方、40wt%で白金担持したカーボン粉末を水等に分散し、アノード極用ペーストを作製した。アノード極用ペーストには、ナフィオン(登録商標)の溶液が添加されている。このアノード極用ペーストをカーボンクロスからなる基材10の片面へ塗布し、乾燥させることによりアノード触媒層21aとした。こうしてアノード極21を製造した。アノード極21におけるアノード触媒層21a以外の部分も基材10によって構成されており、ここは非電解質側でアノード触媒層21aに空気を拡散するアノード拡散層とされている。
その後、ナフィオン(登録商標)からなる電解質膜23を積層し、ホットプレスにて接合し、MEA20を得た。得られたMEA20を集電板31、32で挟み込み、さらに両端に冷却板33、34を設けてセパレータ35、36で挟み込んだ。両セパレータ35、36には、冷却水通路35a、35b、36a、36bと、ガス通路35c、35d、36c、36dとが形成されている。
(試験3)
図14に示す装置を用い、アノード触媒層21aへ水素ガスを導入するとともに、実施例1及び比較例4のカソード触媒層22aへ空気を大気圧にて導入し、50°CにおけるMEA20としての特性を測定した。比較例4のカソード触媒層22aは、実施例1で用いた混合伝導担体85の外周面にPtを担持して得たカソード極用ペーストを用いたものである。Ptの担持密度は30質量%である。結果を図15に示す。
図15より、実施例1のカソード触媒層22aを用いたセルは、比較例4のカソード触媒層22aを用いたセルよりも、所望の電流−電圧特性を奏することがわかる。これにより、発電反応が生じているため、作製した触媒担持混合伝導体30は触媒活性を有することがわかる。
(試験4)
図14に示す装置において、触媒担持混合伝導体30近傍における酸素又は空気へ作用する室温での磁気力をシミュレーションする。この結果を図16に示す。実線が空気へ作用する磁気力を示し、破線が純酸素へ作用する磁気力を示す。図16より、酸素や空気は、触媒担持混合伝導体30近傍の数nmの領域では、常磁性体として、磁性触媒6である磁力体5から105N/m3程度の非常に大きな吸引力を受けることがわかる。
また、この装置において、触媒担持混合伝導体30近傍における水へ作用する室温での磁気力をシミュレーションする。この結果を図17に示す。図17より、水は、磁性触媒6である磁力体5が発生する磁気力により、反磁性体として、磁性触媒6からやはり106N/m3程度の非常に大きな排斥力を受けることがわかる。
以上の試験1〜4より、実施例1のカソード極22を採用した燃料電池システムは、フラッディングを行わずに高い反応効率及び出力を発揮できることがわかる。実施例2、3の触媒担持混合伝導体30として作製して用いた場合も同様であると考えられる。
上記触媒担持混合伝導体30としては、以下の実施例4〜11のものを採用することもできる。
(実施例4)
実施例1の第1工程において得られたゲルを粉砕し、第2化合物中、温度200°Cのオイルバスで4時間還流した。得られた試料をろ過、乾燥し、不活性ガス雰囲気下で熱処理(1000℃、4時間)した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例5)
実施例1の第1工程において得られた混合物に炭酸ナトリウムを添加し、室温で3時間攪拌後、60°Cで24時間、さらに80°Cで24時間放置した。この後、オートクレーブ中において、試料を3〜4MPaの加圧下、150°Cで6時間加熱した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例6)
30ccの純水と5ccのエタノールとの混合溶液にフェノール2gを溶解し、ホルムアルデヒド溶液3.15ccをさらに添加した。この後、リン酸トリメチル溶液を4.89cc添加し、1時間攪拌後、炭酸ナトリウム0.089gを添加し、室温で終夜攪拌した。密封下、70°Cで24時間放置後、溶媒を除去した。得られた試料を窒素ガス雰囲気下で500°C、4時間熱処理を施した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例7)
8ccの純水にピロガロール2gを溶解し、ホルムアルデヒド溶液2.36ccをさらに添加した。この後、リン酸トリメチル溶液を3.65cc添加し、1時間攪拌後、炭酸ナトリウム0.0167gを添加し、室温で3時間攪拌した。密封下、50°Cで24時間静置後、更に80°Cで72時間静置した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例8)
体積比1/1のエタノール/水混合溶液12ccにジヒドロキシビフェニルを3g溶解し、ホルムアルデヒド溶液4.84ccをさらに添加した。この後、リン酸トリメチル溶液を7.49cc添加し、1時間攪拌後、炭酸ナトリウム0.0683gを添加し、室温で3時間攪拌した。密封下、50°Cで24時間静置後、更に80°Cで72時間静置した。溶媒を蒸発させ、得られた試料に対して窒素ガス雰囲気下で500°C、4時間熱処理を施した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例9)
12ccの純水にレソルシノール3gを溶解し、ホルムアルデヒド溶液4.05ccを添加した。攪拌しながらリン酸水溶液0.736ccを徐々に添加した。密封下、70°Cで24時間放置後、溶媒を除去した。得られた試料に対して窒素ガス雰囲気下で1000°C、4時間熱処理を施した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例10)
12ccの純水にレソルシノール3gを溶解し、ホルムアルデヒド溶液4.05ccをさらに添加した。この後、炭酸ナトリウム0.028gを添加した。密封下、50°Cで24時間、80°Cで72時間放置後、ゲルを粉砕した。粉砕したゲルを0.1Nの塩酸水溶液、純水、エタノールの順で洗浄した。そして、50ccのエタノールに1.5gのタングストリン酸を溶かした溶液を用意し、この溶液に洗浄したゲルを浸漬させた。50°Cで48時間浸漬させたゲルに対し、窒素ガス雰囲気下で700°C、4時間熱処理を施した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例11)
12ccの純水にレソルシノール3gを溶解し、ホルムアルデヒド溶液4.05ccをさらに添加した。体積比1/1のエタノール/純水に溶かした溶液を用意し、フェニルホスホン酸2.18gをその溶液に添加し、更に炭酸ナトリウムを0.114g添加した。室温で12時間攪拌後、密封下にて60°Cで24時間、80°Cで48時間の順で放置した。得られたゲルに対して窒素ガス雰囲気下で800°C、4時間熱処理を施した。こうして得られた混合伝導担体85を用いて触媒担持混合伝導体30とした。他の条件は実施例1と同様である。
以上において、本発明を実施例1〜11に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜11に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、上記混合伝導担体85として、上記特許文献1〜8開示のものを採用することもできる。これらによっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は電気自動車等の移動用電源、あるいは据え置き用電源に利用可能である。
本発明の触媒担持混合伝導体の構成並びにメタノール、酸素及び水への磁気力を示す概念図である。 本発明の触媒担持混合伝導体の構造を示す模式図である。 本発明の触媒担持混合伝導体の構造を示す模式図である。 本発明の触媒担持混合伝導体の構造を示す模式図である。 fct構造のPt合金の模式構造図である。 fcc構造のPt合金の模式構造図である。 Pt−Fe合金の状態図である。 fct構造を主相とするPt−Fe合金の磁化曲線図である。 Pt−Co合金の状態図である。 Pt−Co合金の磁化曲線図である。 実施例1の前駆体を得るための反応及び前駆体の構造を示す模式図である。 試験1に係り、測定用試料のプロトン伝導度を測定するための構成の模式断面図である。 試験1に係り、実施例1の測定用試料における印加電圧と応答電流の時間推移との関係を示すグラフである。 試験3、4に係り、燃料電池のセルの特性を測定する装置を示す断面図である。 試験3に係り、実施例1のカソード触媒層を有するセルと比較例のカソード触媒層を有するセルとの特性を比較するグラフである。 試験4に係り、触媒担持混合伝導体近傍の酸素又は空気に作用する吸引力を示すグラフである。 試験4に係り、触媒担持混合伝導体近傍の水に作用する排斥力を示すグラフである。 従来に係り、膜電極接合体の模式図である。 従来の触媒担持カーボンを示す模式図である。 従来の触媒担持混合伝導体を示す模式図である。
符号の説明
10…基材(拡散層)
21…アノード極
22…カソード極
22a…カソード触媒層
85…混合伝導担体
5…磁力体
1…電子伝導体
2…イオン伝導体(プロトン伝導体)
6…磁性触媒
20…MEA

Claims (14)

  1. ガス透過性を有する基材と、該基材の一面に形成され、触媒が担持された触媒層とを有する燃料電池の電極において、
    前記触媒層は、電子を伝導する性質である電子伝導性及びイオンを伝導する性質であるイオン伝導性を併せもつ混合伝導担体と、該混合伝導担体に担持され、磁気作用をもつ磁力体とを含むことを特徴とする燃料電池の電極。
  2. 前記混合伝導担体は、電子を伝導可能な電子伝導体と、該電子伝導体と一体をなし、イオンを伝導可能なイオン伝導体とからなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の電極。
  3. 前記電子伝導体及び前記イオン伝導体は無機系であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池の電極。
  4. 前記電子伝導体は炭素系であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池の電極。
  5. 前記炭素系は、二重結合又は三重結合を含む炭素の連続的な結合をもつことを特徴とする請求項4記載の燃料電池の電極。
  6. 前記炭素系は、脂肪族系炭化水素、芳香族系炭化水素及びそれらの誘導体の少なくとも1種を炭素化したものであることを特徴とする請求項3記載の燃料電池の電極。
  7. 前記炭素系は、ポリアセチレン、レソルシノール、フェノール、2−フェニルフェノール、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチォフェン、フェニルホスホン酸、フェニルシランアルコキシド類、ピロガロール及びジヒドロキシビフェニルの少なくとも1種を炭素化したものであることを特徴とする請求項2記載の燃料電池の電極。
  8. 前記イオン伝導体は、リン元素を含む化合物、イオウ元素を含む化合物、カルボン酸、ホウ酸及び無機固体酸の少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池の電極。
  9. 前記磁力体は、触媒作用及び磁気作用を併せもつ磁性触媒であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の燃料電池の電極。
  10. 前記磁性触媒はfct構造を主相とするPt合金であることを特徴とする請求項9記載の燃料電池の電極。
  11. 前記磁性触媒はPt−Fe合金であることを特徴とする請求項10記載の燃料電池の電極。
  12. 前記磁性触媒はPt−Co合金であることを特徴とする請求項10記載の燃料電池の電極。
  13. 電解質膜と、該電解質膜の一面に触媒層が接合されて空気が供給されるカソード極と、該電解質膜の他面に触媒層が接合されて燃料が供給されるアノード極とを有する燃料電池の膜電極接合体において、
    前記カソード極及び前記アノード極の少なくとも一方が請求項1乃至12のいずれか1項記載の電極であることを特徴とする燃料電池の膜電極接合体。
  14. 前記カソード極及び前記アノード極の少なくとも一方は、前記基材の他面に形成され、前記空気又は前記燃料を拡散する拡散層を有することを特徴とする請求項13記載の燃料電池の膜電極接合体。
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