JP2006145788A - ネガ型レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(i)〜(ii)の工程;(i)基板上に第1のレジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、該第1のレジスト層に密パターンを形成する選択的露光を施す工程;(ii)該第1のレジスト層の上に第2のレジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、該第2のレジスト層にパターンを形成する選択的露光を施す工程;を含むレジストパターンの形成において、前記第1又は第2のレジスト層に用いられるネガ型レジスト組成物であって、当該ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する前記第1又は第2のレジスト層を溶解しない有機溶剤(D)として、アルコール系有機溶剤に溶解したことを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【選択図】 図1
Description
また、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と架橋剤とを含有するネガ型と、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤と含有するポジ型とがある。
また、ひとつの基板上にライン状、ホール状などのパターンを形成する際に、隣接するパターンの間隔が狭い密パターンと、隣接するパターンの間隔が広い疎パターンとを形成する場合がある。
しかし、従来のレジストパターンの形成においては疎パターンを形成する際の焦点深度幅(DOF)が、密パターンを形成する際のDOFに対して、狭くなる傾向があるという問題があった。
例えば上層のパターンは下層に形成されたパターンよりも大きなサイズで形成する。例えば上下層にホールパターンを形成する場合、上層には、下層の密パターンに形成されるホールの直径より大きいパターンを形成し、かつこれら上下層のホールパターンが連結する様に形成する。すると、上層のホールパターンが形成されない上層を除去する範囲においては、下層の密パターンを露出させることができる。そして、上層を除去せずネガ化される範囲においては、下層の密パターンの一部が埋め込まれた状態となる。
すると、基板の上の一部には、下層に形成されたパターンと、これに連続する上層に形成されたパターンとからなる疎パターンが形成される。すなわち、このパターンにおいては、その下層に形成された密パターンを利用しているため、基板に接触する下層のパターンが所望のサイズで形成され、かつDOF特性を満足した疎パターンが得られる。
この様にしてひとつの基板の上に、密パターンと疎パターンとが混在するレジストパターンを形成できる。
その結果、密パターンと疎パターンのDOF特性のばらつきによる問題を抑制することができる。
すなわち、本発明の第1の態様は、下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のレジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、該第1のレジスト層に密パターンを形成する選択的露光を施す工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のレジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、該第2のレジスト層にパターンを形成する選択的露光を施す工程
を含むレジストパターンの形成において、前記第1又は第2のレジスト層に用いられるネガ型レジスト組成物であって、
当該ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する前記第1又は第2のレジスト層を溶解しない有機溶剤(D)として、アルコール系有機溶剤に溶解したことを特徴とするネガ型レジスト組成物である。
本発明の第2の態様は(A”)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を1価のアルコール系有機溶剤に溶解してなるネガ型レジスト組成物である。
本発明の第1の態様のネガ型レジスト組成物は、
下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のレジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、該第1のレジスト層に密パターンを形成する選択的露光を施す工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のレジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、該第2のレジスト層にパターンを形成する選択的露光を施す工程
を含むレジストパターンの形成において、前記第1又は第2のレジスト層に用いられるネガ型レジスト組成物であって、
当該ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する前記第1又は第2のレジスト層を溶解しない有機溶剤(D)として、アルコール系有機溶剤に溶解したことを特徴とするネガ型レジスト組成物である。
なお、以下の具体例は、第1のレジスト層を形成する第1のレジスト組成物としてポジ型レジスト組成物を用い、第2のレジスト層を形成する第2のレジスト組成物として本発明のネガ型レジスト組成物を用いているが、本発明のネガ型レジスト組成物を用いる限り、これに限定するものではない。
すなわち、
・第1のレジスト層:ポジ型、第2のレジスト層:ネガ型の組み合わせ、
・第1のレジスト層:ネガ型、第2のレジスト層:ポジ型の組み合わせ
・第1のレジスト層:ネガ型、第2のレジスト層:ネガ型の組み合わせ
のいずれでもよい。
ライン&スペースパターンの場合は、解像性、DOF特性の点においては、第1のレジスト層がポジ型であってもネガ型であってもよい。
また、第1のレジスト層をネガ型レジスト組成物を用いて形成すると、露光によって、ベース樹脂成分と架橋剤とが反応することで分子量が増大し、レジスト溶剤に溶けにくい強固な第1のレジスト層が形成されるので、ミキシングが生じにくくなる傾向があり、第2のレジスト層を形成するレジスト組成物の材料の選択の幅が広くなるという点で有利である。
第1の例は、下記(i−0)〜(ii−0)の工程
(i−0)基板上にポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光して、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部を形成する工程
(ii−0)該第1のレジスト層(下層)の上にネガ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層(上層)を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記密パターンの潜像部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法である。
疎パターンは、密パターンよりも隣接するパターンの間隔が広いものである。具体的には、例えばパターンの断面において、パターンの幅に対する、隣接するパターンの間隔の比が、好ましくは2以上、特に好ましくは3以上、さらには5以上であるものである。上限値は実質的には10以下である。
なお、パターンの幅や間隔は、基板とレジスト層との界面付近のサイズを示す
(i−0−1)ポジ型レジスト組成物塗布工程
塗布装置を用いて、基板1上に、露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、「酸発生剤」ということがある)を含む化学増幅型のポジ型レジスト組成物を塗布する(図2(a)参照)。
(i−0−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第1のレジスト層2を形成する(図2(a)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第1のレジスト層2の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
(i−0−3)露光工程
第1のレジスト層2を選択的に露光することにより、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部2a’を形成する。(図2(a)参照)。なお、「潜像部」とは露光された範囲をいうものとする。ポジ型レジスト組成物を用いた場合は露光部である。
すなわち、密パターン用のマスク(レチクル)3を用いて、第1のレジスト層2を選択的露光する。
なお、図2(a)は、ホールパターンが、パターンの幅D1と間隔L1とが約1:1のサイズで形成された密パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2には、パターンの幅D1の複数のホール2aが間隔L1で密に配置された密パターンを形成するように選択的露光が施される。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができるが、ArFエキシマレーザーが好適である(以下の露光工程についても同様である)。
(i−0−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第1のレジスト層2を加熱処理して、第1のレジスト層2中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、ポジ型レジスト組成物の基材成分が有する酸解離性溶解抑制基を脱離させる。但し、酸解離性溶解抑制基によっては、露光だけで該酸解離性溶解抑制基が脱離するものもある。よって、PEB工程は必ずしも必要ではない。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
塗布装置を用いて、第1のレジスト層2の上に酸発生剤をふくむ化学増幅型のネガ型レジスト組成物を塗布する(図2(b)参照)。
(ii−0−2)PAB(プレベーク)工程 塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図2(b)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
第2のレジスト層12に露光を施す。
すなわち、所望のマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光すると、潜像部12a’が形成される(図2(b)参照)。
なお、図2(b)は、ホールパターンが、パターンの幅D2と間隔L2とが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、図面中、左右の端部に位置する領域21は露光されず、かつこれらに挟まれた領域22においては、第2のレジスト層12に、パターンの幅D2のホール12aが、間隔L2で配置される様なマスク13を用いて選択的露光を施す。
なお、図2(b)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)D2は、第1のレジスト層2に形成されるホール2a(潜像部2a’)の直径(パターンの幅)D1より大きく設計されている。そして、ホール12aはその直下に形成されるホール2a(潜像部2a’)を含む範囲に形成される。
(ii−0−4)PEB(露光後加熱処理)工程
(ii−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、ネガ化させる(図2(b)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは2.38質量%)濃度のTMHA水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図4に示す領域22では、図2(c)に示す様に、まず第2のレジスト層12の未露光部分が除去されて疎パターンのホール12aが形成される。そして、このホール12aから侵入した現像液が、ホール12aの底面を構成している第1のレジスト層2に接触することにより、第1のレジスト層2の潜像部2a’が現像され除去されて露出する。すなわち、第1のレジスト層2の潜像部2a’がパターニングされる。これによりホール12aの直下のホール2aが形成される。
また、領域21では、選択的露光の際に光を当てていない為、第2のレジスト層12が現像液で現像され、第1のレジスト層2に形成された密パターンの潜像部2a’が現像されて、ホール2aが形成される。
これにより、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンが形成される。
すなわち、領域22において、ホール2aは、広いDOF特性を確保できる密パターンで形成されているため、所望のサイズで正確に形成することができる。そして、疎のホール12aにおいては、第1のレジスト層2に形成された密パターンの一部のホール2a上に形成されている。
すなわち、この方法は、現像により下層の第1のレジスト層2で形成した広いDOFの密パターンの一部を露出させパターニングし、疎のパターンとして利用するものである。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても、広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOF特性を有する疎パターンを得ることができる。
尚、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、下層(第1のレジスト層2)に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層2のパターンに依存する)。
ネガ型レジスト組成物等の材料については、以下に説明する第2の例と共通であるので、第2の例の工程例を説明した後にまとめて説明する。
第2の例は、下記(i’ −0)〜(ii’ −0)の工程
(i’ −0)基板上にポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’ −0)該第1のレジスト層の密パターン上にネガ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法である。
(i’−0−1)ポジ型レジスト組成物塗布工程
第1の例の(i−0−1)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−0−2)PAB(プレベーク)工程
第1の例の(i−0−2)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−0−3)露光工程
第1の例の(i−0−3)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−0−4)PEB(露光後加熱処理)工程
第1の例の(1−0−4)と同様である(図3(a)参照)。
第1のレジスト層2を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは2.38質量%)濃度のTMHA水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図3(b)に示す様に露光部分が除去されて、第1のレジスト層2には、パターンの幅D1と間隔L1とが約1:1のサイズで設計された複数のホール2aを有する密パターンが得られる。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2の全面に、パターンの幅D1のホール2aが、間隔L1で密に配置された密パターンが形成される。
図3(c)に示す様に、塗布装置を用いて、密パターンが形成された第1のレジスト層2の上に酸発生剤を含む化学増幅型のネガ型レジスト組成物を塗布する。
すると、ホール2aの中にネガ型レジスト組成物が充填され、ホール2aが埋め込まれ、その上にレジスト膜が形成され、第1のレジスト層2はレジスト膜によって被覆される。(ii’−0−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図3(c)参照)。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さ(第1のレジスト層2の表面から第2のレジスト層12の表面までの長さ)は例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μm程度である。
すなわち、所望のマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光する。
なお、図3(c)は、図3(c)におけるホールパターンが、パターンの幅D2と間隔L2とが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、この例においても、第1の態様と同じマスクを用いて同じ範囲を露光し、図4に示す様に、領域21は露光せず、領域22において、第2のレジスト層12は、パターンの幅D2のホール12aが間隔L2で配置される様に選択的露光すると、潜像部12a’が形成される。
なお、図3(c)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)D2は、第1のレジスト層2に形成されるホール2aの直径(パターンの幅)D1より大きく設計されている。そして、ホール12aはその直下に形成されているホール2aを含む範囲に形成される。
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させつつ、ネガ化させる(図3(c)参照)。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理すると、図4に示す領域22では、図3(d)に示す様に、第2のレジスト層12の未露光部分が除去されて疎パターンのホール12aが形成される。
これにより、領域22では、ホール12aとその直下のホール2aとが連続する疎のホールパターンが形成される。また、領域21では、選択的露光の際に光を当てていない為、第2のレジスト層が現像液で現像され、第1のレジスト層の密パターンを埋め込んでいたネガ型レジストも同時に除去され、ホール2aが形成される。
すなわち、この方法は第1のレジスト層2に形成した広いDOFの密パターンを、第2のレジスト層12で埋め込み、選択的に露光して現像し、第2レジスト層12の一部を除去して、密パターンの一部を露出させることにより、この密パターンを疎のパターンとして利用するものである。なお、密パターンにおいて、第2のレジスト層12を除去しない部分は、第2のレジスト層12で埋め込まれた状態となる。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOFの疎パターンを得ることができる。
尚、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、第1のレジスト層(下層)2に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層のパターンに依存する)。
この様にして図4に示す様に、ひとつの基板上に密パターンの領域21と疎パターンの領域22とが両方形成されたいわゆる疎密混在パターンが得られる。
また、第1のレジスト層を一旦現像処理してから、第2のレジスト層を形成するので、第2のレジスト層が第1のレジスト層中の酸発生剤の影響を受けず、より高精度のパターンを形成できるという利点もある。プロセス2においても、プロセス1と同様に密パターンのホール2aを利用した疎パターンのホール12aが得られるので、DOF特性のばらつきの問題を解決することができる。
ネガ型レジスト組成物は、(A0)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を含有するネガ型レジスト組成物であることが好ましい。
そして、本発明のネガ型レジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する第1又は第2のレジスト層を溶解しないアルコール系有機溶剤に溶解したことを特徴とするネガ型レジスト組成物である。
すなわち、前記「ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する第1又は第2のレジスト層」(以下、便宜上「他のレジスト層」ということがある)とは、本発明のネガ型レジスト組成物にて第1のレジスト層を形成した場合は、第2のレジスト層のことを示し、本発明のネガ型レジスト組成物にて第2のレジスト層を形成した場合は第1のレジスト層を示す。
なお、本発明のネガ型レジスト組成物から1層のレジスト層のみを形成してもよいし、本発明のネガ型レジスト組成物を用いて2層のレジスト層を形成してもよい。2層を形成する場合は、第1のレジスト層を形成するネガ型レジスト組成物として、第2のレジスト層を溶解しない有機溶剤を用いたネガ型レジスト組成物を用い、第2のレジスト層を形成するネガ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤を用いたネガ型レジスト組成物を用いる。
本発明においては他のレジスト層を溶解しないアルコール系有機溶剤を用いる。これによりミキシングを抑制することができる。
この様なアルコール系有機溶剤としては、他のレジスト層と相溶性を有さない溶剤であればいずれも使用可能であるが、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、1価のアルコール系有機溶剤であることが好ましい。
他のレジスト層を溶解しないとは、好ましくは、例えば23℃条件下、膜厚0.2μmの他のレジスト層を形成し、これを有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても膜厚の変動が生じないことを示す。
沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
ここで1価のアルコール系有機溶剤とは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価のアルコール系有機溶剤、又は3価のアルコール系有機溶剤及びその誘導体は含まれない。
他の有機溶剤としては、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
なお、ネガ型レジスト組成物が他のレジスト層に接触することに関する影響を考慮すると、ネガ型レジスト組成物としては、感度の高いものが望ましい。
好ましいものとしては、以下の様なものが挙げられる。
「構成単位」とは、重合体(樹脂)を構成するモノマー単位を示す。
「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレ性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」は、α位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。なお、「アクリル酸から誘導される構成単位」、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボキシ基が結合している炭素原子のことである。
また、「アクリル酸から誘導される構成単位」は、α位の炭素原子に結合する水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換された構成単位や、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルから誘導される構成単位等も含む概念とする。
また、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、環状または分岐鎖状のアルキル基を包含するものとする。
(A0)成分としては、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a1)と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、水酸基含有脂環式基を含む構成単位(a2)とを有する樹脂成分(A)が好ましい。
構成単位(a1)を有することにより、ネガ型レジスト組成物において問題になりやすい膨潤抑制の効果が得られる。
構成単位(a1)において、脂環式基はフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシ基を有するアルキル基において、当該アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素によって置換されているものである。当該基においては、フッ素化によって水酸基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は直鎖または分岐鎖状であり、炭素数は特に限定するものではないが、例えば1〜20、好ましくは4〜16とされる。水酸基の数は特に限定するものではないが、通常は1つとされる。
中でも、当該アルキル基において、ヒドロキシ基が結合したα位の炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す)に、フッ素化されたアルキル基及び/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。そして、当該α位に結合するフッ素化されたアルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素で置換されていることが好ましい。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから1個水素原子を除いた基などが挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、さらに具体的には、単環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個又は2個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いたが好ましい。
多環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
アルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
フッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された基である。アルキル基の具体例は上記の説明と同様である。フッ素原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
Rにおいて、好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
また、n、m、pはそれぞれ1であることが好ましい。
(A)成分においては、構成単位(a2)を含むことにより、膨潤抑制の効果が向上する。また、エッチング耐性向上の効果が得られる。
(A)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、当該構成単位(a2)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B)酸発生剤から発生する酸の作用によって、(C)架橋剤と反応し、これにより当該(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
これらの説明は上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
水酸基は例えば1〜3個結合していることが好ましく、さらに好ましくは1個である。
また、脂環式基には炭素数1〜4のアルキル基が結合していてもよい。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから1個水素原子を除いた基などが挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、さらに具体的には、単環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
多環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
また、qは1〜3の整数であるが、1であることが好ましい。
また、水酸基の結合位置は特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
(A)成分においては、構成単位(a1)、構成単位(a2)に加えて、構成単位(a3)を有することが好ましい。
構成単位(a3)を有することにより、解像性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
構成単位(a3)は、環式構造を有しないことにより、構成単位(a2)と明らかに区別される。構成単位(a3)を有する(A)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、上述の構成単位(a2)の水酸基とともに、当該構成単位(a3)のヒドロキシアルキル基の水酸基が、(B)酸発生剤から発生する酸の作用によって、(C)架橋剤と反応し、これにより当該(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性2重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよく、構成単位(a3)において、これらのうち少なくとも1方あるいは両方が存在していることが好ましい。
R1において、アルキル基は、好ましくは炭素数が10以下の低級アルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜8の低級アルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
R1において、フッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換された基である。
R2において、アルキル基、ヒドロキシアルキル基は、R1と同様である。
中でも、構成単位(a3)が、効果向上の点及び膜密度が向上の点から、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと好ましい。そして、中でも(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステル又はα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと好ましい。そして、中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステル又はα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
(A)成分は、構成単位(a1)、及び構成単位(a2)に加えて、さらに、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を有することが好ましい。
また、構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a4)に加えて、さらに構成単位(a3)を組み合せて用いても良い。
特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
これらの説明は上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
(A)成分において、構成単位(a1)乃至構成単位(a4)は、例えば以下の様に4種類の組み合わせを選択する様にすると好ましい。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位(カルボキシ基が結合した炭素原子)に水素原子が結合していることが好ましい。その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合しており、かつ構成単位(a4)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。
その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合しており、かつ構成単位(a4)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。
その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
(A)成分にて構成単位(a1)乃至構成単位(a4)を組み合わせるにおいて、上述の様に(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に分類される4種類の組み合わせを選択する様にすると好ましい。そこで、これらについて、以下にそれぞれ好ましい各構成単位の割合を示す。
(イ) 構成単位(a1)と構成単位(a2)の組み合わせ
少なくとも構成単位(a1)と構成単位(a2)の2つを必須とし、好ましくはこれら2つの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を
満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは
30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜55モル%である。
構成単位(a2)の割合は、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜7
0モル%であり、最も好ましくは45〜65モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。
構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a3)を有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましく
は30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜55モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは10〜50
モル%、さらに好ましくは20〜40モル%である。
構成単位(a3)の割合は、好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは10〜4
0モル%、最も好ましくは15〜35モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。そして、特に構成単位(a2)と構成単位(a3)とをバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
構成単位(a1)、(a2)、(a4)を有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは20〜85モル%、さらに好ましく
は30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜50モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは14〜70モル%、さらに好ましくは15〜50
モル%であり、最も好ましくは30〜50モル%である。
構成単位(a4)の割合は、好ましくは1〜70モル%、さらに好ましくは3〜50モル%であり、最も好ましくは5〜20モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。また、レジストパターン形状が良好となる。
また、(a1)、(a2)及び(a4)をバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
構成単位(a1)乃至構成単位(a4)を全て有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは10〜85モル%、さらに好ましくは20〜70モル%であり、最も好ましくは25〜50モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは20〜70モル%であり、最も好ましくは30〜50モル%である。
構成単位(a3)の割合は、好ましくは4〜70モル%、さらに好ましくは7〜50モル%であり、最も好ましくは10〜30モル%である。
構成単位(a4)の割合は、好ましくは1〜70モル%、さらに好ましくは3〜50モル%であり、最も好ましくは5〜20モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果がさらに向上する。また、レジストパターン形状が良好となる。
また、構成単位(a1)乃至構成単位(a4)をバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
ここで主成分とは好ましくはこれらから選択される構成単位の合計が70モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、中でも好ましいのは、100%である。
(A)成分の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量)は、好ましくは2000〜30000、さらに好ましくは2000〜10000、最も好ましくは3000〜8000とされる。この範囲とすることにより、膨潤の抑制、これによるマイクロブリッジの抑制の点から好ましい。また、高解像性の点から好ましい。分子量は低い方が良好な特性が得られる傾向がある。
(A)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A0)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。そして、(A0)成分は(A)成分以外の樹脂を用いることもできる。
(A0)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
(B)成分
(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H)などを挙げることができる。
Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は例えば1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
Xのアルキレン基の炭素数またはY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほどレジスト溶媒への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基またはY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R11〜R13のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R11〜R13のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R11〜R13のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R11〜R13のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
R11〜R13のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R11〜R13はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
なお、後述するポジ型レジスト組成物においても、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤成分の中から任意に選択して用いることができる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素を用いたものをエチレン尿素系架橋剤、プロピレン尿素を用いたものをプロピレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。
具体的にはヘキサメトキシメチルメラミン、ビスメトキシメチル尿素、ビスメトキシメチルビスメトキシエチレン尿素、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリルなどを挙げることができる。
グリコールウリル系架橋剤としては、さらに具体的には例えばモノ,ジ,トリ又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどがある。なお、「モノ,ジ,トリ及び/又はテトラ・・・」とはモノ体、ジ体、トリ体、及びテトラ体の1種または2種以上が含まれてればよいことを示し、特には、トリ体やテトラ体が好ましい。
また、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルも好ましい。
そして、コントラスト、解像性の点から、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリルが最も好ましい。この架橋剤は、例えば市販品「Mx270」(製品名、三和ケミカル社製)として入手することができる。このものはトリ体、テトラ体がほとんどであり、また、単量体、二量体、三量体の混合物である。
ネガ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A0)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンのようなアルキルアルコールアミンが最も好ましい。
前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A0)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
ネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本発明の第2の態様のネガ型レジスト組成物は、(A”)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を1価のアルコール系有機溶剤に溶解してなるネガ型レジスト組成物である。
本態様のネガ型レジスト組成物は、1価のアルコール系有機溶剤を用いていることが特徴である。1価のアルコール系有機溶剤を用いることで、前記ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する他のレジスト層とのミキシングを防ぐことができる。
ネガ型レジスト組成物の(A”)成分としては、従来のネガ型レジスト組成物に用いられている樹脂成分を用いることができる。
該樹脂成分としては、アルカリ現像液に可溶であり、かつ架橋剤成分との相互作用によりアルカリ不溶となるものであればよく、これまでネガ型レジスト組成物のアルカリ可溶性樹脂成分として用いられているものの中から任意に選ぶことができる。
例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸から誘導される構成単位、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位、少なくともフッ素化されたヒドロキシアルキル基と、脂環式基とを含有するアルカリ可溶性樹脂成分等が挙げられる。
第1の態様のネガ型レジスト組成物の(A)成分の説明と同様である。
(B)成分
第1の態様のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
(C)成分
第1の態様のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
(D)成分
第1の態様のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
(E)成分
第1の態様のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
本実施形態においては、1価のアルコール系有機溶剤を用いる。1価のアルコール系有機溶剤は、ネガ型レジスト組成物からなるレジスト層に接触する他のレジスト層を溶解しない有機溶剤である。これによりミキシングを抑制することができる。
この様な1価のアルコール系有機溶剤としては、他のレジスト層と相溶性を有さない溶剤であればいずれも使用可能である。
他のレジスト層を溶解しないとは、好ましくは、例えば23℃条件下、膜厚0.2μmの第1のレジスト層を形成し、これを有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても膜厚の変動が生じないことを示す
1価のアルコール系有機溶剤は、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点からもが好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価のアルコール系有機溶剤が好ましく、中でも1級の1価のアルコール系有機溶剤が最も好ましい。
沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
ここで1価のアルコール系有機溶剤とは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価のアルコール系有機溶剤、又は3価のアルコール系有機溶剤及びその誘導体は含まれない。
1価のアルコール系有機溶剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
他の有機溶剤としては、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
他のレジスト層を形成するレジスト組成物として、ポジ型レジスト組成物を用いる場合において、好ましいものについて説明する。
以下のポジ型レジスト組成物の説明において、用語の意義は以下の通りである。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステル等のα−低級アルキルアクリル酸エステルと、アクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。ここで、「α−低級アルキルアクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルのα炭素原子に結合した水素原子が低級アルキル基で置換されたものを意味する。
「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、α−低級アルキルアクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
前記(A0’)成分が、(A’)(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分であると好ましい。
さらには、(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)とラクトン環を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)を有することが好ましい。
また、(A’)成分が、さらに極性基含有多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3’)を有することが好ましい。
構成単位(a1’)において、α炭素原子に結合しているのは、水素原子または低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
そして、中でも水素原子またはメチル基が好ましい。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばArFエキシマレーザーのレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、アクリル酸のカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、及び環状又は鎖状のアルコキシアルキルを形成する基が広く知られている。
鎖状の第3級アルキルエステルを形成する酸解離性溶解抑制基としては、例えばt−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。
なお、構成単位(a1’)としては、環状、特に、「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」を含む構成単位が好ましい。脂環式基としては、単環、または多環のいずれでもよく、例えばArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができるが、エッチング耐性の点からは多環の脂環式基が好ましい。また、脂環式基は炭化水素基が好ましく、飽和であることが好ましい。
単環の脂環式基としては、例えば、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。多環の脂環式基としては、例えばビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、単環のものとしては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。多環のものとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、トリシクロデカンからの1個の水素原子を除いたトリシクロデカニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
前記R21としては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。その中でも、メチル基、エチル基であることが工業的に入手が容易であることから好ましい。
環状の第3級アルキル基としては、前述の「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示したものと同じであり、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基等を挙げることができる。
また、基−COOR24は、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、アクリレート構成単位のカルボキシ基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。
構成単位(a1’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であり、35〜45モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a2’)において、α炭素原子に結合しているのは、水素原子または低級アルキル基であり、構成単位(a1’)と同様である。
構成単位(a2’)としては、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン環からなる単環式基またはラクトン環を有する多環の環式基が結合した構成単位が挙げられる。なお、このときラクトン環とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ここではラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
そして、構成単位(a2’)としては、具体的には例えば、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた単環式基や、ラクトン環含有ビシクロアルカンから水素原子を1つを除いた多環式基を有するもの等が挙げられる。
式(IV’)中において、R25、R26は、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基であり、好ましくは水素原子である。
R25、R26において、低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
また、一般式(IV’)〜(VII’)で表される構成単位の中でも、(IV’)で表される構成単位が好ましく、(IV’)で表される構成単位の中でもR0がメチル基、R25、R26が水素原子であり、メタクリル酸エステルとγ−ブチロラクトンとのエステル結合の位置が、そのラクトン環状のα位であるα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンであることが最も好ましい。
構成単位(a2’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは20〜50モル%含まれていると好ましく、30〜45モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3’)により、(A’)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a3’)において、α炭素原子に結合するのは、低級アルキル基、水素原子のうち、いずれでもよい。低級アルキル基については、上記と同様である。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
多環式基としては、多環式の脂環式炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、構成単位(a1’)において例示したものと同様の多数の多環式基から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、n’が1であり、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
これらの中でも、kが1であるものが好ましい。また、シアノ基がノルボルナニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3’)は、(A’)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%含まれていると好ましく、20〜30モル%が最も好ましい。
下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A’)成分は、前記構成単位(a1’)〜(a3’)以外の構成単位を含んでいてもよいが、好適にはこれらの構成単位の合計が全構成単位中70モル%以上、好ましくは80モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
構成単位(a1’)〜(a3’)以外の他の構成単位(a4’)としては、上述の構成単位(a1’)〜(a3’)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではない。
構成単位(a4’)として、具体的には、下記(X)〜(XII)の構造のものを例示することができる。
構成単位(a4’)を有する場合、構成単位(a4’)は、(A’)成分中、全構成単位の合計に対して1〜25モル%、好ましくは5〜20モル%の範囲で含まれていると好ましい。
そして、(A’)成分は、例えば各構成単位に係るモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
下限値は特に限定するものではないが、パターン倒れの抑制、解像性向上等の点で、好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上とされる。
(A0’)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。そして、(A0’)成分は(A’)成分以外の樹脂を用いることもできる。
(A0’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
ネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
ネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
(E)成分
ネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
ポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
ネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂1と樹脂2との混合物100質量部(質量比1:1)、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを3.0質量部、含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.15質量部、及びその他の成分として界面活性剤(商品名 R−08:大日本インキ化学社製)を0.1質量部を有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒(質量比6:4)に溶解して固形分濃度10質量%のポジ型レジスト組成物とした。
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂3を100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを2.0質量部、及び含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.1質量部を有機溶剤としてイソブタノールに溶解して固形分濃度6質量%のネガ型レジスト組成物とした。
そして、前記参考例で調整したポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で115℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚300nmレジスト層を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して140nmの1:1のデンスホールパターンを形成した。
次に、形成した前記デンスホールパターン上に、参考例で調整したネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布した後、ホットプレート上で80℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。その際に、下層のレジスト層とミキシングは発生していなかった。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥することで、140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンと、140nmの疎パターンとを共に有する疎密混在パターンを形成することができた。
Claims (7)
- 下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のレジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、該第1のレジスト層に密パターンを形成する選択的露光を施す工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のレジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、該第2のレジスト層にパターンを形成する選択的露光を施す工程
を含むレジストパターンの形成において、前記第1又は第2のレジスト層に用いられるネガ型レジスト組成物であって、
当該ネガ型レジスト組成物から形成されるレジスト層と接触する前記第1又は第2のレジスト層を溶解しない有機溶剤(D)として、アルコール系有機溶剤に溶解したことを特徴とするネガ型レジスト組成物。 - 前記第1又は第2のレジスト層に用いられるネガ型レジスト組成物ではないレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である請求項1記載のネガ型レジスト組成物。
- 前記第1のレジスト組成物がポジ型レジスト組成物であり、前記第2のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である請求項1又は2記載のネガ型レジスト組成物。
- 前記(D)成分が、イソブタノールおよび/またはn−ブタノールである請求項1〜3のいずれか一項に記載のネガ型レジスト組成物。
- 前記ネガ型レジスト組成物において、アルカリ可溶性樹脂成分(A0)、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型レジスト組成物。
- 前記(A0)成分がフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a1)と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、水酸基含有脂環式基を含む構成単位(a2)とを有する樹脂成分(A)である請求項5記載のネガ型レジスト組成物。
- (A”)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を1価のアルコール系有機溶剤に溶解してなるネガ型レジスト組成物。
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