JP4672449B2 - レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
現在、化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂としては、たとえば露光光源としてKrFエキシマレーザー(248nm)を用いる場合は、KrFエキシマレーザーに対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)や、その水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護したPHS系樹脂が一般的に用いられている。また、露光光源としてArFエキシマレーザー(198nm)を用いる場合は、ArFエキシマレーザーに対する透明性が高い(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が一般的に用いられている(たとえば特許文献1参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ラフネスの低減されたレジストパターンを形成できるレジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するレジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、α−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位のみから構成され、ガラス転移点(Tg)が140〜200℃の樹脂(A1)と、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位を有し、ガラス転移点(Tg)が50〜115℃の樹脂(A2)とを含有することを特徴とするレジスト組成物である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明のレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という)とを含有するものである。
本発明のレジスト組成物は、(A)成分がアルカリ不溶性樹脂であり、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する、いわゆるポジ型であってもよく、また、(A)成分がアルカリ可溶性樹脂であり、酸の作用によりアルカリ不溶性となる、いわゆるネガ型であってもよい。本発明のレジスト組成物は、好ましくはポジ型である。
前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するメラミン、尿素またはグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤が用いられる。
(A)成分は、本発明の効果のためには、ガラス転移点(Tg)が140〜200℃の樹脂(A1)と、ガラス転移点(Tg)が50〜115℃の樹脂(A2)とを含有する必要がある。樹脂(A1)および樹脂(A2)を併用することによりラフネスが改善される。
樹脂(A1)のTgは、150〜195℃の範囲内であることがより好ましく、160〜190℃であることがさらに好ましく、165〜185℃であることが最も好ましい。
樹脂(A2)のTgは、60〜115℃の範囲内であることがより好ましく、70〜115℃であることがさらに好ましく、80〜110℃であることが最も好ましい。
一方、Tgが140〜200℃の樹脂(A1)と、Tgが50〜100℃の樹脂(A2)とを用いる本発明では、該樹脂を含むレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した際に、比較的Tgが高く、ベーク時に軟化しにくい樹脂(A1)によりレジストパターンの大まかな骨格が構成されるとともに、樹脂(A2)が、ベークにより軟化し、樹脂(A1)で構成される骨格の間に充填され、結果、表面の凹凸が平坦化され、ラフネスが低減されると考えられる。
(1)α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導される構成単位との比率を調節する方法
(2)(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の側鎖を選択する方法
(1)の方法では、樹脂中に含有されるα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位の比率を高くするほど、該樹脂のTgを高くすることができ、一方、アクリル酸エステルから誘導される構成単位の比率を高くするほど、該樹脂のTgを低くすることができる。
たとえばα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位のみからなる樹脂は、通常、120〜200℃程度のTgを有しており、一方、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のみからなる樹脂は、通常、50〜130℃程度のTgを有している。そのため、α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導される構成単位との比率を調節することにより、樹脂のTgを調節できる。
例えば、側鎖として後述するようなラクトン含有単環または多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含む樹脂の場合、そのラクトンの種類によってTgが変化する。例えば、(α−低級アルキル)アクリル酸のγ−ブチロラクトンエステルから誘導される構成単位(以下、GBL構成単位という)からなる樹脂と、(α−低級アルキル)アクリル酸のノルボルナンラクトンエステルから誘導される構成単位(以下、NL構成単位という)からなる樹脂とでは、前者のTgのほうが、後者のTgよりも低くなる。したがって、例えば、GBL構成単位を導入することにより、樹脂のTgを低くすることができる。逆に、NL構成単位を導入することにより、樹脂のTgを高くすることができる。
このように、樹脂のTgは、通常、側鎖の構造が嵩高いほど高くなる傾向がある。たとえば、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のような、側鎖が鎖状である(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を導入すると、樹脂のTgは低下する傾向がある。
樹脂(A1)としては、上記Tgを満たすものであれば特に限定されず、これまで、化学増幅型ポジ型レジスト用のベース樹脂として提案されている樹脂(ネガ型の場合はアルカリ可溶性樹脂、ポジ型の場合はアルカリ可溶性となり得る樹脂)が使用できる。特に、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性等のリソグラフィー特性に優れることから、樹脂(A1)が、ポジ型、ネガ型のいずれの場合にも、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することが好ましい。
「アクリル酸エステル」においては、α位(α位の炭素原子)に水素原子が結合している。「α−低級アルキルアクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルのα炭素原子に結合した水素原子が低級アルキル基で置換されたものを意味する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合している水素原子、または低級アルキル基における水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていても良い。すなわち、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位の炭素原子には、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基が結合していてもよい。なお、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位には、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が結合していることが好ましい。
「構成単位」とは、重合体(樹脂成分)を構成するモノマー単位を意味する。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂した構造の構成単位を意味する。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の、エチレン性二重結合に由来する2つの炭素原子が当該重合体の主鎖を構成することを意味する。
本発明において、樹脂(A1)は、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を、当該樹脂を構成する全構成単位の合計に対し、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%以上、最も好ましくは100モル%含むことが好ましい。
樹脂(A1)は、特に、α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位を、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、40モル%以上の割合で含有することが好ましく、50〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。下限値以上であることにより、当該樹脂のTgが140℃以上となる。また、エッチング耐性も良好である。
構成単位(a1)において、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位に結合している水素原子または低級アルキル基としては、上述した(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位に結合している水素原子または低級アルキル基の説明と同様である。
樹脂(A1)において、構成単位(a1)の(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα位には、低級アルキル基が結合していることが好ましく、特にメチル基が結合していることが好ましい。すなわち、構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を有するα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましく、特に酸解離性溶解抑制基を有するメタクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましい。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂として多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、または環状または鎖状のアルコキシアルキル基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「第3級アルキル基」とは、第3級炭素原子を有するアルキル基である。
「鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基」としては、例えばtert−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。
「環状の第3級アルキルエステルを形成する基」としては、後述する「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示するものと同様のものが挙げられる。
このような環状または鎖状のアルコキシアルキル基としては、1−メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−アダマントキシメチル基、1−メチルアダマントキシメチル基、4−オキソ−2−アダマントキシメチル基、1−アダマントキシエチル基、2−アダマントキシエチル基等が挙げられる。
本明細書及び特許請求の範囲における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味する。
脂肪族環式基としては、単環または多環のいずれでもよく、例えばArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。エッチング耐性の点からは多環の脂環式基が好ましい。また、脂環式基は炭化水素基であることが好ましく、特に飽和の炭化水素基(脂環式基)であることが好ましい。
単環の脂環式基としては、例えば、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。多環の脂環式基としては、例えばビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。多環の脂環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、トリシクロデカンからの1個の水素原子を除いたトリシクロデカニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
R1の低級アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖または分岐状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも、工業的に入手が容易であることから、メチル基またはエチル基が好ましい。
環状の第3級アルキル基としては、前述の「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示したものと同じであり、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基等を挙げることができる。
また、基−COOR4は、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、アクリレート構成単位のカルボキシル基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合していてよい。
樹脂(A1)中、構成単位(a1)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%であることが好ましく、30〜50モル%がより好ましく、35〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
ここで、ラクトン含有単環または多環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)において、α位の炭素原子に結合しているのは、低級アルキル基または水素原子である。α位の炭素原子に結合している低級アルキル基は、構成単位(a1)の説明と同様である。
樹脂(A1)において、構成単位(a2)のα位の炭素原子に結合しているのは低級アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。すなわち、構成単位(a2)は、ラクトン含有単環または多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましく、特にラクトン含有単環または多環式基を含むメタクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましく、ラクトン含有単環式基を含むメタクリル酸エステルから誘導される構成単位であることがTgの調節の観点から最も好ましい。
構成単位(a2)として、より具体的には、例えば以下の一般式(IV)〜(VII)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
式(IV)中において、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基であり、好ましくは水素原子である。R5、R6において、低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
樹脂(A1)中、構成単位(a2)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましく、30〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3)により、樹脂(A1)全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a3)において、α位の炭素原子に結合しているのは、低級アルキル基または水素原子である。α位の炭素原子に結合している低級アルキル基は、構成単位(a1)の説明と同様である。
樹脂(A1)において、構成単位(a3)のα位の炭素原子に結合しているのは低級アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
多環式基としては、前述の「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示した脂肪族環式基のうち、多環式のものから適宜選択して用いることができる。
構成単位(a3)としては、下記一般式(VIII)〜(IX)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中でも、nが1であり、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
これらの中でも、kが1であるものが好ましい。また、シアノ基がノルボルナニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
樹脂(A1)中、構成単位(a3)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a4)としては、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではない。
例えば多環の脂肪族炭化水素基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該多環の脂肪族炭化水素基は、例えば、前述の「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示した脂肪族環式基のうち、多環式のものから適宜選択して用いることができる。特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易い等の点で好ましい。構成単位(a4)における多環の脂肪族炭化水素基としては、酸非解離性基であることが最も好ましい。
本発明においては、特に、樹脂(A1)が、酸解離性溶解抑制基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1m)と、ラクトン含有単環または多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2m)と、極性基含有多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3m)とを有する共重合体(A1−1)であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
なお、上付文字mはα−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位を示す。
共重合体(A1−1)としては、特に、下記一般式(A1−11)で表される3つの構成単位を有する共重合体が、本願発明の効果に優れるため好ましい。
R1’は上記式(I)中のR1と同様である。
また、樹脂(A1)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された樹脂は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
樹脂(A1)のMw/数平均分子量(Mn)は、特に限定するものではないが、好ましくは1.0〜6.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。この範囲よりも大きいと解像性、パターン形状が劣化するおそれがある。
(A)成分中、樹脂(A1)の割合は、40〜98質量%であることが好ましく、45〜98質量%がより好ましく、50〜95質量%がさらに好ましい。樹脂(A1)の割合が40質量%以上、98質量%以下であると、リソグラフィー特性が良好である。
樹脂(A2)としては、上記Tgを満たすものであれば特に限定されず、これまで、化学増幅型ポジ型レジスト用のベース樹脂として提案されている樹脂(ネガ型の場合はアルカリ可溶性樹脂、ポジ型の場合はアルカリ可溶性となり得る樹脂)が使用できる。特に、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性等のリソグラフィー特性に優れることから、樹脂(A1)と同様、樹脂(A2)が、ポジ型、ネガ型のいずれの場合にも、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することが好ましい。
樹脂(A2)は、特に、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対し、30モル%以上の割合で含有することが好ましく、50〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%が特に好ましく、80〜100モル%が最も好ましい。下限値以上であることにより、当該樹脂のTgが100℃以下となる。
構成単位(a1’)としては、上述した樹脂(A1)の構成単位(a1)と同様のものが挙げられる。
樹脂(A2)において、構成単位(a1’)のα位には、水素原子が結合していることが好ましい。すなわち、構成単位(a1’)は、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましい。
樹脂(A2)中、構成単位(a1’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%であることが好ましく、30〜50モル%がより好ましく、35〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a2’)としては、上述した樹脂(A1)の構成単位(a2)と同様のものが挙げられる。
樹脂(A2)において、構成単位(a2’)のα位の炭素原子に結合しているのは水素原子であることが好ましい。すなわち、構成単位(a2’)は、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましく、ラクトン含有単環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが最も好ましい。
構成単位(a2’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂(A2)中、構成単位(a2’)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましく、30〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3’)としては、上述した樹脂(A1)の構成単位(a3)と同様のものが挙げられる。
樹脂(A2)において、構成単位(a3’)のα位の炭素原子に結合しているのは水素原子であってもよく、低級アルキル基であってもよい。工業上入手しやすい等の点で、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
構成単位(a3’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂(A2)中、構成単位(a3’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a4’)としては、上述の構成単位(a1’)〜(a3’)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、例えば、上述した樹脂(A1)の構成単位(a4)と同様のものが挙げられる。
構成単位(a4’)を有する場合、樹脂(A2)中、構成単位(a4’)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、1〜25モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
本発明においては、特に、樹脂(A2)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1a)と、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2a)と、極性基含有多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)とを有する共重合体(A2−1)であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
なお、上付文字aはアクリル酸エステルから誘導される構成単位を示す。
共重合体(A2−1)としては、特に、下記一般式(A2−11)で表される3つの構成単位を有する共重合体が、本願発明の効果に優れるため好ましい。
R1’’は上記式(I)中のR1と同様である。
樹脂(A2)のMw/Mnは、特に限定するものではないが、好ましくは1.0〜6.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。この範囲よりも大きいと解像性、パターン形状が劣化するおそれがある。
(A)成分中、樹脂(A2)の割合は、2〜60質量%であることが好ましく、2〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましい。樹脂(A2)の割合が2質量%以上、60質量%以下であると、リソグラフィー特性が良好である。
通常、樹脂(A1):樹脂(A2)=40:60〜98:2(質量比)の範囲内とすると、本発明の効果に優れるため好ましく、45:55〜98:2がより好ましく、50:50〜95:5がさらに好ましい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R31としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R32のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R35の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R32のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは好ましくは2である。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
本発明のレジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のレジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(PAB)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
PABおよびPEBの温度は、より好ましくは90〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるホトレジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
製造例1〜4,比較製造例1
下記表1に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物溶液(レジスト1〜3,レジスト1’)を調製した。
(A)−1:下記式(1)で表される共重合体(Mw=11000、Mw/Mn=1.7、Tg=180℃)。
(A)−2:下記式(2)で表される共重合体(Mw=9000、Mw/Mn=2.1、Tg=100℃)。
(A)−3:下記式(3)で表される共重合体(Mw=12900、Mw/Mn=2.0、Tg=90℃)。
上記(A)−1〜(A)−3は、構成単位に相当するモノマー成分を、公知の重合方法(テトラヒドロフランに溶解したのち、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)添加して、還流させることにより合成した)により合成した。
尚、実施例において用いた各(A)成分のTgは、熱分析装置TG/DTA6200(Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。
(B)−1:4−メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B)−2:トリ(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(D)−1:トリエタノールアミン
(S)−1:PGMEA:EL=6:4(質量比)の混合溶剤
(S)−2:γ−ブチロラクトン
製造例1〜3および比較製造例1で得たレジスト1〜3およびレジスト1’を用いて、以下の手順でレジストパターンを形成した。
まず、有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、表2に示すレジストをスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、表2に示すPAB温度で90秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥させることにより膜厚270nmのレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.6,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーンレクチル)を介して選択的に照射した。
そして、表2に示すPEB温度で90秒間の露光後加熱(PEB)を行った後、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後、純水を用いて30秒間リンスし、振り切り乾燥を行ってレジストパターン(ラインアンドスペース(L/S)パターン(ターゲット:120nm、ピッチ:240nm))を形成した。
このようにして得られたL/Sパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、目視によりLERを下記の基準で評価した。その結果を表2に示した。
◎:ラフネスが低減されたレジストパターンであった。
○:ラフネスが若干見受けられるものの、実用上問題のないレジストパターンであった。
△:ラフネスが非常に多く見受けられた。
一方、(A)成分として(A)−1のみを用いたレジスト1’を用いた比較例2では、ラフネスが顕著に見られた。
Claims (14)
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するレジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、α−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位のみから構成され、ガラス転移点(Tg)が140〜200℃の樹脂(A1)と、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位を有し、ガラス転移点(Tg)が50〜115℃の樹脂(A2)とを含有することを特徴とするレジスト組成物。 - 前記樹脂(A1)が、酸解離性溶解抑制基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a1)を有する請求項1記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A1)が、ラクトン含有単環または多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a2)を有する請求項2記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A1)が、極性基含有多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a3)を有する請求項2または3記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A1)が、酸解離性溶解抑制基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位と、ラクトン含有単環または多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位と、極性基含有多環式基を含むα−低級アルキルアクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位とを有する共重合体である請求項4記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)中の前記樹脂(A1)の割合が40〜98質量%である請求項1〜5のいずれか一項記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A2)が、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を30モル%以上の割合で含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A2)が、酸解離性溶解抑制基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a1’)を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A2)が、ラクトン含有単環または多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a2’)を有する請求項8記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A2)が、極性基含有多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位(a3’)を有する請求項8または9記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A2)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位と、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位と、極性基含有多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[前記低級アルキルの炭素原子数は1〜5である。]から誘導される構成単位とを有する共重合体である請求項10記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)中の前記樹脂(A2)の割合が2〜60質量%である請求項1〜11のいずれか一項記載のレジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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