JP5052921B2 - 高分子化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
高分子化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法Info
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、かかる露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等の高いリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。例えばポジ型の化学増幅型レジストとしては、酸発生剤成分と、該酸発生剤から発生した酸の作用により解離する酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分とを含有するものが一般的に用いられている。
ポジ型の場合、該アクリル系樹脂としては、特許文献1に示されるように、酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する樹脂が用いられており、該構成単位としては、第3級エステル型の酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(例えば2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の第3級エステル化合物から誘導される構成単位)が主に用いられている。また、近年、アセタール型の酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(たとえば1−アダマントキシメチル(メタ)アクリレート等の2−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート)が注目され始めている(特許文献2参照)。アセタール型の酸解離性溶解抑制基は、前記3級エステル型の酸解離性溶解抑制基に比べて解離エネルギーが低く、解離しやすいため、レジストの感度や解像性の向上に寄与するとされている。
また、現在、化学増幅型レジスト用のベース樹脂としては、通常、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を含有するものが用いられている。たとえばポジ型の場合には、通常、上述した酸解離性溶解抑制基を有する構成単位のほか、水酸基等の極性基を有する構成単位、ラクトン構造を有する構成単位等を含むものが用いられている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、新規な高分子化合物およびポジ型レジスト組成物、ならびに該ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、水酸基が結合した炭素原子が第1級炭素原子または第2級炭素原子である水酸基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)と、下記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1)とを有し、前記構成単位(a0)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位を含むことを特徴とする高分子化合物である。
前記樹脂成分(A)が、水酸基が結合した炭素原子が第1級炭素原子または第2級炭素原子である水酸基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)と、下記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1)とを有し、前記構成単位(a0)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位を含む高分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
本発明の高分子化合物(以下、高分子化合物(A1)という。)は、水酸基が結合した炭素原子が第1級炭素原子または第2級炭素原子である水酸基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)と、上記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1)とを有する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
構成単位(a0)は、水酸基が結合した炭素原子が第1級炭素原子または第2級炭素原子である水酸基含有脂肪族炭化水素基を含む。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「水酸基含有脂肪族炭化水素基」とは、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された脂肪族炭化水素基である。
水酸基含有脂肪族炭化水素基が含有する水酸基の数は、脂肪族炭化水素基の炭素数によっても異なり、特に限定されないが、1個であることが、レジストパターン形状に優れることから好ましい。
水酸基含有脂肪族炭化水素基において、水酸基が結合した炭素原子は、第1級炭素原子または第2級炭素原子である。つまり、構成単位(a0)は、第1級炭素原子に結合した水酸基(以下、1級水酸基ということがある。)または第2級炭素原子に結合した水酸基(以下、2級水酸基ということがある。)を含み、かつ第3級炭素原子に結合した水酸基(以下、3級水酸基ということがある。)は含まない。
(1)直鎖状または分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基。
(2)環状のモノヒドロキシアルキル基。
(3)直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に前記(2)が結合した基。
(4)環状のアルキレン基に前記(1)が結合した基。
(1)において、水酸基は、第1級炭素原子または第2級炭素原子に結合していればよく、特に限定するものではないが、アルキル基の末端、つまり第1級炭素原子に結合していることが好ましい。
該環状のアルキル基は、置換基として、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有していてもよい。
(2)の具体例としては、たとえば以下の基が例示できる。
具体的には、たとえばメチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、1,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基等が挙げられる。
特に、本発明の効果に優れることから、当該水酸基含有脂肪族炭化水素基の、前記カルボニルオキシ基末端の酸素原子に結合する炭素原子が、1級炭素原子であることが好ましい。
構成単位(a0)としては、特に、下記一般式(a0−1)で表される構成単位が好ましい。
R1の脂肪族炭化水素基としては、たとえば、前記(1)〜(4)から水酸基を除いた基が挙げられる。
本発明においては、特に、R1が、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、モノシクロアルキル基から1個の水素原子を除いた基、またはビシクロアルキル基から1個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基、シクロアルキル基から1個の水素原子を除いた基、またはノルボルニル基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(a0−1−1)中、tは1〜5の整数であり、2又は3が特に好ましい。
式(a0−1−2)中、水酸基の結合位置は、シクロヘキシル基の2〜6位のいずれかであり、2、3または4位が好ましい。
式(a0−1−3)中、水酸基の結合位置は、ノルボルニル基の3、5、6または7位であり、5または6位が好ましく、6位がより好ましい。
高分子化合物(A1)中の構成単位(a0)の割合は、当該高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、3〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、感度、レジストパターン形状等が向上する。また、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスがよく、リソグラフィー特性が良好である。
構成単位(a1)は、下記一般式(a1−1)で表される。かかる構成単位(a1)においては、後述する本発明のポジ型レジスト組成物において高分子化合物(A1)とともに配合される酸発生剤成分(B)から露光により酸が発生すると、当該酸の作用により、式(a1−1)中のカルボニル基に結合した酸素原子と、R1’が結合した炭素原子との間の結合が切断され、OHを含む末端部分(−CH(R1’)−O−(CH2)n−Y)が解離する。当該末端部分が解離することにより、高分子化合物(A1)全体の、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
R1’のアルキル基としては、前記Rのアルキル基と同じものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。本発明においては、R1’が水素原子であることが好ましい。
nは0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
Yのアルキル基としては、前記Rのアルキル基と同じものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができる。
ここで、「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、特に、2−アダマンチル基が好ましい。
高分子化合物(A1)中、構成単位(a1)の割合は、高分子化合物(A1)を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、30〜60モル%がさらに好ましく、45〜60であることが最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
高分子化合物(A1)は、前記構成単位(a0)および(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を含むことが好ましい。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、高分子化合物(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基としては、前記構成単位(a0)において、(3)で挙げた直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基と同じものが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を示す。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)、(a2−2)または(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。なかでも、前記化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)または(a2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
高分子化合物(A1)中、構成単位(a2)の割合は、高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
高分子化合物(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)〜(a2)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。該他の構成単位は、上述の構成単位(a0)〜(a2)に分類されないものであれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。該他の構成単位の具体例としては、たとえば下記に示す構成単位(a3)、(a4)、(a1’)等が挙げられる。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、前記構成単位(a0)に該当しない構成単位である。構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
式(a3−2)中、k’は1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、lは1であることが好ましい。s’は1であることが好ましい。t’は1であることが好ましい。式(a3−3)においては、アクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
構成単位(a1’)は、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、かつ前記構成単位(a1)に該当しない構成単位である。
構成単位(a1’)としては、これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂用として提案されているものを使用することができる。一般的には、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位;アセタール型酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(ただし構成単位(a1)に該当するものは除く。)などが広く知られている。
「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1’)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の、置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R2’のアルキル基としては、上記R1’のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R1’,R2’のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記一般式(a1−3)で表される構成単位の具体例としては、下記式(a1−3−1)〜(a1−3−24)で表される構成単位が挙げられる。
上記一般式(a1−4)で表される構成単位の具体例としては、下記式(a1−4−1)〜(a1−4−30)で表される構成単位が挙げられる。
sは0〜2の整数であり、0または1が好ましく、0が最も好ましい。−CH2−O−(CH2)S−の結合位置は特に限定されないが、アダマンタン骨格の1位または2位であることが好ましく、2位であることが最も好ましい。
また、高分子化合物(A1)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された樹脂は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、高分子化合物(A1)の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。Mnは数平均分子量を示す。
高分子化合物(A1)は、たとえば放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)とともにポジ型レジスト組成物に配合された場合、露光(放射線の照射)により酸発生剤成分(B)から酸が発生すると、該酸の作用により、構成単位(a1)中の−CH(R1’)−O−(CH2)n−Yが解離する。その結果、高分子化合物(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
したがって、高分子化合物(A1)は、化学増幅型のポジ型レジスト組成物のベース樹脂として有用であり、下記本発明のポジ型レジスト組成物の(A)成分として好適に用いることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の、露光部のアルカリ現像液に対する可溶性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
(A)成分は、上述した本発明の高分子化合物(A1)を含有する。
(A)成分において、高分子化合物(A1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分中の高分子化合物(A1)の割合は、(A)成分の総質量に対し、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、100質量%であってもよい。
かかる樹脂(A2)としては、特に限定されず、化学増幅型ポジ型レジスト組成物用のベース樹脂として従来から知られている多数のもの、たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂から任意に選択して用いればよい。
樹脂(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(該フッ化アルキル基中のフッ素原子および水素原子の合計数に対するフッ素原子数の割合(%))は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基(直鎖状または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基(パーフルオロアルキル基)が、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖状もしくは環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、上記の中でもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン、トリアルキルアミンが好ましく、トリアルキルアミンがより好ましい。トリアルキルアミンの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
(S)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、感度が高く、形成されるレジストパターンの形状も、断面形状の矩形性が高く、良好なものである。また、解像性も良好であり、たとえば、本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、ラインアンドスペース(L/S)パターンのライン幅が120nm以下の微細なレジストパターンを形成できる。
かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、前記構成単位(a0)を含有することにより、高分子化合物(A1)の分子内での各構成単位の分布の均一性が向上することが考えられる。
すなわち、従来、ポジ型レジスト組成物に用いられているベース樹脂は、通常、複数のモノマーを共重合させて製造されているが、その際、各モノマーの反応性等の違いにより、各構成単位の比率(組成)のばらつきや、分子内での分布の偏りが生じることが指摘されている。たとえば、ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(J.Photopolym.Sci.Technol.),第19巻,第5号,第657−662頁(2006)には、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MAdMA)と、γ−ブチロラクトンメタクリレート(GBLMA)との共重合解析において、MAdMA−GBLMA共重合体中に、MAdMAのホモポリマーが多数存在することが報告されている。そして、このことがリソグラフィー特性のばらつきを生じさせていたと推測される。
これに対し、本発明においては、特定の2種の構成単位(a0)および(a1)を組み合わせることにより、各構成単位の比率(組成)のばらつきや、分子内での分布の偏りが改善され、これによって上記効果が得られると推測される。
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本明細書および特許請求の範囲において、「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。これらの中でも、上記ポジ型レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
下記合成例1〜3では、モノマーとして、下記[化合物1]〜[化合物6]を用いた。
27.20gの[化合物1]、50.00gの[化合物2]、5.20gの[化合物3]を、123.60gの乳酸エチルに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601(重合開始剤)を、モノマー濃度に対して3.8モル%となるように加えた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル68.67gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール溶液に滴下し、共重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた共重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を得た。これを高分子化合物1とする。
高分子化合物1の構造を下記に示す。高分子化合物1について、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、ポリマー組成(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l1/m1/n1=40.0/50.7/9.3であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は7,300であり、分散度は1.54であった。
27.20gの[化合物1]、40.00gの[化合物2]を、100.80gの乳酸エチルに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601を、モノマー濃度に対して3.8モル%となるように加えた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル56.0gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール溶液に滴下し、共重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた共重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を得た。これを高分子化合物2とする。
高分子化合物2の構造を下記に示す。高分子化合物2について、13C−NMRを測定した結果、ポリマー組成は、l2/m2=54.0/46.0であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は13,600であり、分散度は1.85であった。
27.20gの[化合物1]、37.44gの[化合物4]、10.40gの[化合物3]を112.56gの乳酸エチルに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601を、モノマー濃度に対して3.8モル%となるように加えた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル62.53gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール溶液に滴下し、共重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた共重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を得た。これを高分子化合物3とする。
高分子化合物3の構造を下記に示す。高分子化合物3について、13C−NMRを測定した結果、ポリマー組成は、l3/m3/n3=41.9/38.4/19.7であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は7,500であり、分散度は1.49であった。
40.32gの[化合物5]、50.00gの[化合物2]、5.20gの[化合物3]を、143.28gの乳酸エチルに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601を、モノマー濃度に対して7モル%となるように加えた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル79.6gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール/水溶液に滴下し、共重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた共重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を得た。これを高分子化合物4とする。
高分子化合物4の構造を下記に示す。高分子化合物4について、13C−NMRを測定した結果、ポリマー組成は、l4/m4/n4=47.1/42.6/10.3であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は5,400であり、分散度は2.04であった。
30.24gの[化合物5]、50.00gの[化合物2]、18.88gの[化合物6]を、148.68gの乳酸エチルに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601を、モノマー濃度に対して7モル%となるように加えた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル82.6gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。その後、反応液を大量のメタノール/水溶液に滴下し、共重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた共重合体を室温下で減圧乾燥し、白色粉体を得た。これを高分子化合物5とする。
高分子化合物5の構造を下記に示す。高分子化合物5について、13C−NMRを測定した結果、ポリマー組成(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l5/m5/n5=46.6/31.6/21.8であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は5,800であり、分散度は1.95であった。
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(B)−1:下記式(B)−1で表される化合物。
(B)−2:下記式(B)−2で表される化合物。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(S)−1:PGMEA。
<解像性>
8インチシリコンウェーハ上に、有機反射防止膜組成物AR−46(ローム・アンド・ハース社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚31nmの有機反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、表2に示す膜厚のレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像した。
その結果、いずれのポジ型レジスト組成物を用いた例でも、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、LSパターンという。)が形成された。
前記解像性の評価において、ライン幅120nm、ピッチ240nmのLSパターンが形成される最適露光量(単位:mJ/cm2(単位面積当たりのエネルギー量))、すなわち感度を求めた。その結果を表2に示す。
前記解像性の評価で形成したLSパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果を表2に示す。
また、高分子化合物4を用いた実施例2のポジ型レジスト組成物は、比較例3に比べて、感度が高く、また、形成されるレジストパターン形状も、ライン側壁の垂直性が高く、断面の矩形性が高い、良好な形状であった。一方、モノマーとして第3級炭素原子に結合した水素原子を有する[化合物6]を使用した高分子化合物5を用いた比較例3は、感度が低く、レジストパターン形状もよくなかった。
Claims (6)
- さらに、ラクトン含有環式基を有する構成単位(a2)を含む請求項1に記載の高分子化合物。
- 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、水酸基が結合した炭素原子が第1級炭素原子または第2級炭素原子である水酸基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)と、下記一般式(a1−1)で表される構成単位(a1)とを有し、前記構成単位(a0)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位を含む高分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- 前記高分子化合物(A1)が、さらに、ラクトン含有環式基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を含む請求項3に記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項3又は4に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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