JP2006145669A - 電気化学型表示素子及びこれを用いた電気化学型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性、質感がきわめて紙に近く表示斑の少ない反射型の電気化学型表示素子を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明である電極3を有する2枚の基板1,2を、電極を内側にして相対向させた基板間に、イオン伝導体(P)5を有する電気化学型表示素子であって、イオン伝導体が、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物との複合体に、電解液を保持させたイオン伝導体であり、イオン伝導体と電極を有する基板の少なくとも一方との間に、電解液と相溶する溶媒を含有する密着樹脂層(2)6を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、視認性、質感がきわめて紙に近い、反射型の表示素子及びこれを用いた表示装置を提供する。
表示素子に関して現在までに多種多様な技術が研究開発されている。その中でも視認性が高く目に優しいといわれている反射光による表示素子についても種々の方法が検討されている。反射光による表示素子は、周囲の明るさに表示面が追随する、指向性のある垂直光が目に進入しない等の理由のため、目が疲れにくく長時間の使用に耐える点が最大の長所として挙げられている。この長所を十分に発揮するには、光散乱による自然で柔らかい、紙に近い白さをいかにして出すかが重要である。そのため、表示面の視認性、質感をいかにして紙に近づけるかが最大の開発目標の一つとなっている。
反射型表示素子の技術のひとつである液晶を用いた表示素子は、現在最も広く用いられている技術であるが、本方式は偏光子を必要とするため、反射光強度が大きく減衰し、表示面の白さは紙には到底及ばない。加えて、視野角依存性が生じる問題もある。
また、他の表示方式としては、色相の及び帯電特性の異なる2色の領域を有する粒子(2色粒子)を回転させることにより表示を行う、いわゆる粒子回転型ディスプレーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。2色回転粒子はその構造上、視面側が明色(たとえば白)の場合は、その反対側は暗色(たとえば黒)になる。また、2色粒子を密に配列させても必ず隙間が生じてしまう。そのため、明色表示の際の視面から来た光が配列した2色粒子により生じた隙間に入ると、反対側の暗色面に光の大部分が吸収されてしまうために、光の反射効率が低く、紙に近い白さを出すことは困難である。
また、粒子泳動法を用いた表示素子の場合では、一般に酸化チタン等の顔料微粒子を表示装置の視面側に移動させることにより白表示を行っている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら本方式では、白さを出すための機構が紙とは根本的に異なるため、粒状感が生じる等の理由により、紙のような自然な白さを出すことができない。
一方、反射光を利用する他の表示素子として、電圧印加により、固体や液体に生じる可逆的な色相の変化を利用する電気化学型表示素子が知られている。本素子では着色表示の際の色相がクリアで視野角依存性もない優れた表示を行うことが可能である。透明電極上に存在している電気化学的な酸化還元により変色する高分子材料層と、この高分子材料層と接触し酸化チタン等の着色剤を含有した高分子固体電解質層を有する、エレクトロクロミック型表示素子が知られている(例えば、特許文献3参照。)。また同特許文献には、酸化チタン等の着色剤及び発色剤としての金属イオンを含有した高分子固体電解質層を電極間に挟んだ、エレクトロデポシション型表示素子について記載されている。また、銀塩(発色剤)と支持電解質とを溶媒に溶解させた電解液に、酸化チタンや酸化マグネシウム等の白色の半導体または絶縁体粉末を分散させ、この液体を透明電極に挟み込む構成の、エレクトロデポジション型表示装置について記載されている(例えば、特許文献4。)。
特許文献3及び4のいずれの方法についても、表示素子に白色度を与えるためには、いわゆる白色顔料を用いているため、いずれの表示素子でも視認性および質感は、紙とは大きく異なっている。また、電気化学表示素子は、表示を行う際に対向電極間をイオンがスムーズに移動する必要があるが、特許文献3に示された高分子電解質を用いた方式では電解液を用いた場合に比してイオン伝導度が低くなるため、表示の応答速度が遅くなる上、駆動電圧が上昇してしまう可能性がある。また、イオン伝導性の温度依存性が液体の電解質を用いた場合に比して大きいため、広い温度領域特に低温度での安定した駆動がしにくくなる。一方、特許文献4のように電解液を表示素子中に液体状態のまま用いると、表示素子が破損した際に漏洩等が起き易く安全性に問題が生じる上、白色粉末が偏在することで、均一な白色度を出せなくなる恐れがある。
米国特許4126854号 特開平1−86116号公報 特開平14−258327号公報 米国特許4240716号
本発明者らは、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物との複合体に保持された電解液とを有するイオン伝導体(以下、イオン伝導体(P)と言う。)を2枚の基板間に挟持した電気化学型表示素子が、視認性、質感がきわめて紙に近いことを見出した。しかし、イオン伝導体は表面が湿潤しているため密着性が強く、ITO電極等の平滑な電極面に一度設置すると移動させにくい。このため、空気層が混入しないようにイオン伝導体(P)を電極面に設置することが難しく、空気層が混入した部位は全く電極反応を起こさないため表示斑となったり、効率的な消発色が妨げられたりすることが課題であることを見出した。
このため、本発明は視認性、質感がきわめて紙に近く、表示斑の少ない反射型の電気化学型表示素子ならびに表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、イオン伝導体(P)を2枚の基板間に挟持した電気化学型表示素子が、視認性、質感がきわめて紙に近いこと、及びこのイオン伝導体(P)と電極を有する基板との間に、密着樹脂層(2)を設けることにより、表示斑の低減および効率的な消着色が行なわれることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、少なくとも一方が透明または半透明である電極を有する2枚の基板を、該電極を内側にして相対向させた基板間に、イオン伝導体を有する電気化学型表示素子であって、前記イオン伝導体が、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物との複合体に、電解液(1)を保持させたイオン伝導体であり、前記イオン伝導体と電極を有する基板の少なくとも一方との間に、密着樹脂層(2)を有することを特徴とする電気化学型表示素子を提供する。
また、該電気化学型表示素子を用いた電気化学型表示装置を提供する。
本発明により、視認性、質感がきわめて紙に近く、イオン伝導体(P)と電極基板との間に密着樹脂層(2)を設けたことにより、イオン伝導体と電極との密着性が優れるため表示斑が少なく、効率的な消着色が可能な反射型の電気化学型表示素子ならびに表示装置を提供することができる。
以下、本発明で製造した電気化学型表示素子について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の電気化学型表示素子の一実施形態を示す概略断面図である。本発明の電気化学型表示素子の実施形態の一つは、電気化学的な酸化還元により消発色する消発色剤(以下、消発色剤と言う。)を含有する電解液(1)を保持したイオン伝導体(P)を有する表示素子である。図1では電気化学型表示素子は、透明基板1と、その上に設けられた透明電極3と、透明電極3の上に設けられたイオン伝導体(P)5と、対向基板2と、その上に設けられた対向電極4と、対向電極4とイオン伝導体(P)5との間に設けられた密着樹脂層(2)(背面側密着樹脂層)6と、封止材8とから概略構成されている。
図2では電気化学型表示素子は、透明電極3とイオン伝導体(P)5との間に設けられた密着樹脂層(2)(視面側密着樹脂層)7を有している。図3では電気化学型表示素子は、イオン伝導体(P)5と2枚の基板の双方に密着樹脂層(2)(背面側密着樹脂層)6および密着樹脂層(2)(視面側密着樹脂層)7を有している。
図4は、イオン伝導体(P)中に消発色剤を有する代わりに、透明電極3の上に設けられた消発色材料層9を有している。また本図では密着層6が対向電極と該媒体との間に設置されている。樹脂密着層の設置位置については図2のように、樹脂密着層7が消発色層9と該媒体の間に設置されてもよいし、図3のように該媒体の上下ともに樹脂密着層6、7が設置されていてもよい(いずれも図示せず)。
(基板)
本実施形態に用いられる基板としては、視面側に用いる透明基板1の材料については、表面が平滑で、光の透過率が高く、電極を設置できるものであれば特に限定されない。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチックシートやガラス板等を挙げることができる。視面の反対側に用いる対向基板2の場合は、光透過率が高い必要はなく、透明基板1と同様の材料を用いてもよい。
(電極)
本実施形態に用いられる電極としては、視面側に位置する透明電極3は透明である必要がある。このような電極3としては、現在最も広く用いられているITO(インジウム・スズ酸化物)の他にATO(アンチモン・スズ酸化物)、TO(酸化スズ)、ZO(酸化亜鉛)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、FTO(フッ素・スズ酸化物)等を例示することができる。一方、透明電極と対向する対向電極4は必ずしも透明である必要はない。そのため上記金属酸化物の他、電気化学的に安定な金属類、例えば、白金、金、銀、コバルト、パラジウム、銅、ビスマス等や炭素材料を用いることもできる。
(封止材)
封止材8は、電極3、4間のギャップを保持すると共に、イオン伝導体(P)5に空気中の水分、酸素や二酸化炭素が混入することを防止する役割を有する。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂といった熱や紫外線による圧着硬化が可能で、ガスバリア性を有する樹脂等が挙げられる。
(イオン伝導体(P))
本実施形態に係るイオン伝導体(P)とは、ポリアミド、ポリウレタン、及びポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の有機ポリマーと、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物との有機無機複合体に電解液(1)を保持させた白色のイオン伝導体である。
この有機無機複合体が、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(A)と、珪酸アルカリ及び/または2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(B)とを混合攪拌し、重縮合反応させることにより得られた有機ポリマーと無機化合物との複合体を用いることが好ましい。
この製造方法で製造された有機無機複合体は、単に有機ポリマーと無機化合物とを混ぜ合わせた構造とは異なり、サブミクロン〜ナノメートルオーダーの無機化合物の微粒子が、マトリックスとしての有機ポリマーに微分散した構造の有機無機複合体である。無機化合物の微粒子の表面積が極めて大きく、また、無機化合物の含有量が有機無機複合体に対して多いことから、この有機無機複合体は、自重の4〜25倍の質量の電解液を保持することができる。このため、この有機無機複合体を用いたイオン伝導体(P)は、支持電解質を溶解させた液体に近いイオン伝導性を有する一方で、電子的には絶縁性を保つことができる。コントラストのより高い電気化学型表示素子を得るためには、イオン伝導体(P)は有機無機複合体の5〜20倍の質量の電解液を保持していることが好ましい。
また、このイオン伝導体(P)の厚さは、100〜1500μmであるのが好ましい。100μm以下であると、表示素子の隠蔽性や白色度が不十分である問題が生じ、1500μmより厚いとイオンの移動距離が長くなることにより、応答性が悪くなる恐れがある。
(有機無機複合体)
本発明でのイオン伝導体(P)に用いる有機無機複合体は、好ましくは共役構造を有さずに可視光線の吸収を生じず、高い白色度を有し、電子伝導性を有さないことが電極間セパレーターとして機能でき得る観点から好ましい。このような有機無機複合体に使用する有機ポリマーとしては、ポリアミド、ポリウレタン、及びポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられ、好ましくは脂肪族のモノマーである。そのなかでも、脂肪族ポリアミドが特に好ましい。
また、無機化合物としては、シリカ又は金属酸化物が好ましい態様として挙げられる。このような金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン及び酸化テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が好ましい。
また、無機化合物は、平均粒子径が1μm以下であって、有機無機複合体100質量%に対する無機化合物の含有率が20〜80質量%であることが好ましい。無機化合物の平均粒子径を1μm以下とすることにより、有機ポリマーと無機化合物微粒子との界面面積が比較的広くなり、光散乱が良好に生じ、高い白色度を有機無機複合体に付与することができる。無機化合物の平均粒子径が500nm以下であることが好ましく、100nm以下であると更に好ましい。
また、無機化合物の含有率を20〜80質量%とすると、平均粒子径が1μm以下の表面積の極めて大きい無機化合物の微粒子が多量に有機無機複合体中に存在していることにより、極性溶媒へのより強い親和性が付与され、有機無機複合体が多量の電解液を保持することができる。
本実施形態に係る有機無機複合体は、繊維径が20μm以下で、アスペクト比が10以上のパルプ(屈曲微小繊維)形状であるのが好ましい。有機無機複合体をパルプ形状とすることにより抄紙可能になり、結合剤等を用いることなく、紙とほぼ等しい外観の薄いシート状ウエットケーキを得ることができる。また、有機無機複合体をパルプ形状とすることにより、繊維間に多量の電解液を保持することができる。
(有機無機複合体の合成)
この有機無機複合体は、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホルメート化合物、及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(A)と、珪酸アルカリ及び/又は2種以上の金属元素を有し該金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属化合物と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(B)を混合攪拌し、重合反応させて得ることができる。
この重合反応にあっては、常温、常圧下での10秒〜数分程度の攪拌操作を行うことにより、有機溶液(A)中のモノマーと、水溶液(B)中のジアミンとが迅速に反応し、上記有機ポリマーが収率よく得られる。その際、珪酸アルカリ及び/又は金属化合物中のアルカリ金属が、重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することで、上記有機ポリマーの重合反応が促進される。それと同時に、珪酸アルカリ及び/又は金属化合物中のアルカリ金属元素以外の金属元素を有する無機化合物が固体へと転化する。その際、上記有機ポリマーの重合反応と無機化合物の固体への転化とは、どちらか一方のみが生じるのではなく、両方が平行して起こるため、無機化合物の微粒子が上記有機ポリマーに微分散した構造の本実施形態に係る有機無機複合体を得ることができる。
(有機溶液(A))
有機溶液(A)としては、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホルメート化合物、及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を有機溶媒に溶解したものが用いられる。このようなジカルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、及びイソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基等で置換した芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。そのなかでも、アジポイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバコイルクロライド等の脂肪族のジカルボン酸の酸ハロゲン化物を使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ、該複合体をウエットケーキシート等へ加工することもできる上、共役構造をもたないため白色度が高いため特に好ましい。
また、ジクロロホルメート化合物としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類や、1個又は2個以上の芳香環に水酸基を2個持つレソルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、ビスフェノールS、ビスフェノールA、テトラメチルビフェノール等の2価フェノール類の水酸基をすべてホスゲン化処理によりクロロホルメート化したものを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ホスゲン系化合物としては、例えば、ホスゲン、ジホスゲン、及びトリホスゲンを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機溶液(A)に用いるモノマーを上記の中から選択することにより、有機無機複合体に含まれる有機ポリマーを前記のものとすることができる。具体的には、モノマーとしてジカルボン酸ハロゲン化物を用いた場合は有機ポリマーとしてポリアミドを、モノマーとしてジクロロホルメート化合物を用いた場合は有機ポリマーとしてポリウレタンを、モノマーとしてホスゲン系化合物を用いた場合は有機ポリマーとしてポリ尿素を、各々水溶液(B)との反応によって得ることができる。
この有機溶液(A)に用いる有機溶媒としては、上記の有機溶液(A)中の各種モノマーやジアミンとは反応せず、有機溶液(A)中の各種モノマーを溶解させるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、水と非相溶の有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を挙げることができる。
また、水と相溶する有機溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を代表的な例として挙げることができる。
有機溶液(A)に用いる有機溶媒として、水に対して非相溶の有機溶剤を用いた場合、重合反応は有機溶液(A)と水溶液(B)の界面のみで生じる界面重合反応となる。水に対して非相溶の有機溶剤を用いると、生成する有機ポリマーの分子量を容易に高くすることができ、繊維形状の有機無機複合体を得ることができるため、好ましい。また、有機溶液(A)と水溶液(B)の界面で生じた膜状の有機無機複合体を引き上げつつ紡糸することにより、強度の高い長繊維の有機無機複合体を得ることができる。
それに対し、有機溶媒として、水に対して相溶する有機溶剤を用いた場合、有機溶媒と水とが乳化した状態で重合反応が進行するため、粉体形状の有機無機複合体が得られる。
いずれの有機溶媒を用いた場合でも、得られる有機無機複合体は、パルプ形状又は粉体形状であり、バルク形状に比べて外表面積が大きいため、粉砕等の処理を行うことなく、電解液を容易に保持させることができる。
(水溶液(B))
水溶液(B)としては、珪酸アルカリ及び/又は2種以上の金属元素を有し該金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属化合物と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液が好ましい。
(珪酸アルカリ)
水溶液(B)中に、珪酸アルカリを共存させた状態で重合反応を行うことで、上記有機ポリマーとシリカとからなる有機無機複合体を得ることができる。この珪酸アルカリとしては、例えば、JIS K 1408に記載された水ガラス1号、2号、3号等のAO・nSiOの組成式で表され、Aがアルカリ金属、nの平均値が1.8〜4のものが挙げられる。また、nの平均値が0.8〜1.1である、メタ珪酸アルカリ(例えば、メタ珪酸ナトリウム1種、2種)の粉末を水に溶解させた液体も、上記水ガラスと同様に用いることができる。珪酸アルカリ中に含まれるアルカリ金属化合物は、重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することにより、重合反応を促進する。
(金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物)
また、水溶液(B)に用いる金属化合物としては、2種以上の金属元素を有し該金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属化合物Aが好ましい。ここで、Aはアルカリ金属元素であり、Mは周期表第3〜第12族の遷移金属元素、周期表第13〜16族の典型金属元素である。ここで言う遷移金属元素とは、銅や亜鉛を含めた周期表第11族及び第12族も含めた広義の意味での遷移金属元素を意味している。
具体的には、本発明で言う周期表第3〜第12族の遷移金属元素とは、周期表の21Sc〜30Znまでと、39Y〜48Cdまでと、57La〜80Hgまでと、89Ac以上の金属元素を意味する。
また、周期表第13〜16族の典型金属元素とは、周期表の13Al、31Ga、32Ge、49In、50Sn、51Sb、81Tl、82Pb、83Bi、および84Poを意味する。これらの金属元素の中でも、特に好ましくはアルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、スズ、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であり、BはO、CO、及びOHからなる群から選ばれる少なくとも1種以上、好ましくはOであり、x、y、zは、AとMとBの結合を可能とする数である。
一般式Aで表される化合物は、水に完全に又は一部溶解し、塩基性を示すものであることが好ましい。また、化合物中のアルカリ金属Aは、重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することにより、ハロゲン化塩となり化合物中から除かれるため、残った化合物中の金属元素Mが無機化合物に転化する。有機ポリマーにこの無機化合物を効率的に複合化させる観点から、金属元素Mを有する無機化合物は、水にほとんど又は全く溶解しないものであることが好ましい。
金属化合物Aの内、BがOである化合物としては、亜鉛酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、亜クロム酸ナトリウム、亜鉄酸ナトリウム(ナトリウムフェライト)、モリブデン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、タンタル酸ナトリウム、チタン酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、ジルコン酸ナトリウム等のナトリウム複合酸化物や、亜鉛酸カリウム、アルミン酸カリウム、亜クロム酸カリウム、モリブデン酸カリウム、スズ酸カリウム、マンガン酸カリウム、タンタル酸カリウム、鉄酸カリウム、チタン酸カリウム、バナジン酸カリウム、タングステン酸カリウム、金酸カリウム、銀酸カリウム、ジルコン酸カリウム、テルル酸カリウム、アンチモン酸カリウム等のカリウム複合酸化物、アルミン酸リチウム、モリブデン酸リチウム、スズ酸リチウム、マンガン酸リチウム、タンタル酸リチウム、チタン酸リチウム、バナジン酸リチウム、タングステン酸リチウム、亜鉛酸リチウム、ジルコン酸リチウム等のリチウム複合酸化物のほかルビジウム複合酸化物、セシウム複合酸化物を好適に用いることができる。
そのなかでも、アルミン酸ナトリウム、ジルコン酸ナトリウム、亜鉛酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム等のナトリウム複合酸化物や、アルミン酸カリウム、ジルコン酸カリウム、亜鉛酸カリウム、スズ酸カリウム等のカリウム複合酸化物が、入手が容易且つ水溶性が高いため好ましい。
また、BがCOとOHの一方又は双方を含む金属化合物としては、炭酸亜鉛カリウム、炭酸ニッケルカリウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸コバルトカリウム、炭酸スズカリウム、及びこれらの水和物を例示することができる。
これらの金属化合物は水に溶解させて用いるため、水和物であってもよい。また、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ジアミン)
また、水溶液(B)に用いるジアミンとしては、有機溶液(A)中の各モノマーと反応し、上記有機ポリマーを生成するものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミン、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基等で置換した芳香族ジアミン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。そのなかでも、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン等の脂肪族ジアミンを使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ、また不織布等に加工することもできるため、特に好ましい。
(有機無機複合体の合成操作)
本実施形態における有機溶液(A)及び水溶液(B)中のモノマー濃度は、重合反応が十分に進行すれば特に制限されないが、各々のモノマー同士を良好に接触させる観点から、0.01〜3モル/Lの濃度範囲が好ましく、0.05〜1モル/Lが特に好ましい。
また、水溶液(B)中の珪酸アルカリ及び/又は金属化合物の濃度は、有機溶液(A)及び水溶液(B)中のモノマー濃度によってある程度は決定されるが、有機無機複合体の高収率を維持し、かつ重合時の過剰な発熱により生じうる有機溶液(A)中のモノマーと水との副反応を防止する理由から、1〜500g/Lの範囲が好ましい。
この重合反応は、例えば、−10〜50℃の常温付近の温度範囲で十分に反応が進行する。また、加圧、減圧を一切必要としない。また、この重合反応は、用いるモノマーや反応装置にもよるが、通常10分程度の短時間で完結する。
(電解液)
本発明の電解液は、支持電解質とこれを溶解させる溶媒とから構成されている。更に電解液は、消発色剤と酸化還元促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含有することが好ましい。
(溶媒)
電解液を構成する溶媒は、水系、非水系のどちらでもよく、水のほかに、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、2−エトキシエタノール、2−メトキシメタノール、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の極性溶媒を例示することができる。なお、水系の場合には、0℃以下での凝固を防止して低温条件下の動作を満足させるため、上記溶媒のなかでも、水と相溶する溶媒を相溶させて用いることができる。
有機無機複合体中の有機ポリマーの屈折率は1.5近辺であるため、この有機ポリマーとの屈折率差の高い電解液を用いると、電解液の浸漬による有機無機複合体の白色度の低下を最小限に抑えることができ、より高い白色度を維持したイオン伝導体(P)を作製することができる。有機ポリマーがポリアミド6.6である場合は、該ポリマーの屈折率は1.53であるため、好ましくは1.40以下の屈折率の溶媒、さらに好ましくは1.38以下の溶媒を用いる。このような溶媒としては水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシメタノール、イソプロピルアルコール等やこれらの混合物を例示することができる。
(支持電解質)
また、電解液を構成する支持電解質としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、ホウフッ化リチウム等のリチウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩等や過塩素酸を例示することができる。
(消発色剤)
本発明の電気化学型表示素子は、消発色剤により表示のオン・オフを行う。イオン伝導体(P)が保持する電解液中に消発色剤を含有させた場合は、電圧印加により消発色剤を電極上で酸化もしくは還元させ、場合によっては析出させて着色させ、次に酸化もしくは還元させ、場合によっては溶解させて消色させる(図1〜3参照。)。
一方、図4に例示的に示すように、本発明の電気化学型表示素子が、消発色剤を有する消発色材料層を有する場合は、イオン伝導体(P)が保持する電解液は必ずしも消発色剤を有する必要はない。
消発色剤がイオン伝導体(P)中に含有されている場合は、表示素子内の消発色剤含有率を高くすることができることにより、発色を強くすることができる上、金属イオンまた低分子有機化合物が瞬時に変色を伴う化学変化を生じるため、応答速度を早くできる特徴がある。このような構成(図1〜3に相当)に用いられる有機化合物としては、ベンゾキノン、ナフサキノン、アントラキノン、ジフェノキノン、ジフェニルキノン、ジベンゾアントラキノン、ビオラントロン、イソビオラントロン、ピラントロン等の有機キノン類を例示することができる。これら有機キノン類は、電極に駆動電圧を印加することにより、還元されて各化合物特有の着色状態を作り出す。これらの化合物を用いる際には、イオン伝導体(P)中の濃度を高くするため前述のキノン系化合物を多量に溶解させることができる非水系溶媒を有する電解液が好ましく用いられる。
また、消発色剤として用いられる金属化合物としては、銀、ビスマス、銅、鉄、クロム、ニッケル等のハロゲン化物、硫化物、硝酸塩、過ハロゲン酸塩等を例示することができる。これらの化合物を電解液中に溶解させることにより、各金属はイオン化するため、該電解液を消発色剤として用いることができる。例えば、銀化合物を溶解させた電解液を用いた場合には、電極に駆動電圧を印加すると、Ag + e → Agの還元反応が陰極側で生じて、このAg析出物により陰極電極が黒色に変化する。上記金属のうちビスマス、銀は、電解液に溶解させた状態がほぼ透明である上に、析出物の色が濃く、消発色の可逆反応が良好であるため、特に好ましく用いられる。これらの化合物は水溶性を有するものも多く、非水系溶媒の他、水系溶媒も電解液溶媒として好適に用いることができる。
(消発色材料層)
視面側の透明電極上に、電気化学的な酸化還元により消発色する消発色材料層を設けることでも電気化学型表示素子とすることができる(図4の構成に相当)。消発色剤が溶媒溶解性に劣る等の理由によりイオン伝導体(P)に発色剤を含有させることが困難である場合は、本態様が好ましい。
消発色材料層としては、有機高分子化合物又は金属化合物を用いることができる。消発色材料層を構成する有機化合物としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリチオフェン、ポリインドール、及びポリカルバゾール等の有機高分子化合物を例示することができる。そのなかでも、特にポリピロール、ポリチオフェンが、析出物の色が濃く、消発色の可逆反応が良好であるため、好ましい。また、消発色材料層9を構成する無機化合物としては、WO、MoO、V、Nb、TiO、NiO、Cr、MnO、CoO、及びIrO等を例示することができる。消発色材料層として有機高分子化合物を用いる場合には、上記高分子化合物の原料モノマーを電解重合もしくは化学的重合することにより、該層を透明電極上に製膜することができる。消発色材料層として金属化合物を用いる場合には、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法で製膜することができる。
また、溶媒溶解性が良好な前述のキノン系化合物や、銀・ビスマス等の金属イオン等の消発色剤を、支持電解質や溶媒とともに、各種結着樹脂に混合した着色剤含有液体やゲル状物を透明電極上に塗布することによっても、図4に記載の表示素子を作製することができる。この場合は塗工法、スピンコート法等により着色層を設置することができる。この場合は、イオン伝導体(P)に発色剤を必ずしも含有させる必要は無いが、発色を強くするためには含有させたほうが好ましい。
(酸化還元促進剤)
前記消発色剤の電気化学的な酸化還元反応(すなわち消発色反応)を促進させるために電解液中には酸化還元促進剤を導入してもよい。酸化還元促進剤とは、消発色が生じる電極とは反対側の電極上で、ある一定の酸化還元電位において可逆的な酸化還元を行うことで消発色材の酸化還元反応を促進する材料で、ヒドロキノン、カテコールやこれらの誘導体のほか、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールやこれらの誘導体を例示することができる。これらの2価フェノールは可逆的にそれぞれの化合物が対応するキノンへと(例えば、ヒドロキノンの場合はベンゾキノン)変化することで電子を放出したり、収容したりすることで消発色の酸化還元を促進する。また、前記の2価フェノール類に対応するキノンをもちいてもよい。また、同様な作用を持つ材料として、フェロセン、フェロシアンカリウム、フェリシアンカリウム等を用いてもよい。
この他、消発色の可逆性を良くすることを目的として、めっき用薬剤として用いられる、光沢剤、錯化剤、緩衝剤、pH調整剤等を添加してもよい。
(イオン伝導体(P)の製造方法)
本発明で使用する有機無機複合体は電解液の種類によらず電解液保持特性が極めて高いため、電解液中で該複合体を分散させて得た複合体分散液を濾過する等の簡単な操作を行うのみで、複合体100質量部に対して400〜1500質量部の電解液を保持させたイオン伝導体(P)を得ることができる。また、電解液への分散も該複合体が繊維状または粉体で得られるため、汎用のバッチ式攪拌層を用いて容易に行うことができる。
また、有機無機複合体は合成条件によっては繊維(パルプ)形状を持つことができるため、例えば電解液に該複合体を分散させた分散液を公知慣用の方法により濾過することで、結合材を全く用いずにシート形状にすることが可能である。例えば分散液をステンレスやナイロン網等の濾材に通じる方法や、分散液をスプレーにより基板に噴霧する方法等が挙げられる。本方法により容易に大面積シート状のイオン伝導体(P)を得ることが出来る。また、必要とされる電解液保持性や白色度や電子絶縁性を損なわない範囲で、公知慣用の結合材を用いることができる。
電解液を保持させる工程で、有機無機複合体を高い固形分率にまで乾燥させると、有機成分の極性基に由来する水素結合により、複合体が強固に固化する場合がある。一度固化した複合体は、電解液中で再分散することが困難となり、電解液の保持量が大きく減少する上、未分散粒子の残存により均一なイオン伝導性や外観を有するイオン伝導体(P)を得ることができなくなる。そのため、得られた複合体はウエットケーキ状態で電解液保持操作を行うことが好ましい。好ましくは、前記複合体の固形分率が35質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の状態のウエットケーキを用いる。このような固形分率にある複合体に電解液を保持させる含浸工程をとることにより、高い保持率で電解液を保持し且つ均一なイオン伝導性や外観を有するイオン伝導体(P)を得ることができる。
また、上記方法で得られるイオン伝導体(P)は複合体100質量部に対して400〜1500質量部の多量の電解液を保持しているため、支持電解質を溶解させた液体に近いイオン伝導性と有している一方、電子的には絶縁性を保つことができる。
(密着樹脂層(2)の機能)
本発明の電気化学型表示素子を構成するイオン伝導体(P)は、表面が湿潤していることにより密着性が強いため、ITO電極等の平滑な電極面に一度設置すると移動させにくい。仮に、該イオン伝導体を電極面に設置する際に空気層が混入した場合、空気層が混入した部位は全く電極反応を起こさない。そのため表示が全くできなくなり表示斑が発生し表示品位が著しく損なわれるため、これを除く必要がある。イオン伝導体(P)のシートとして、特にパルプ形状を有する有機無機複合体を用いた場合は、一定の引っ張り強度を持っているため空気層の占有面積が大きく、ラミネート処理により空気層を押し出し取り除くことができるが、空気層が直径1mm程度の小さい気泡である場合は除去することが極めて困難である。
視面側の電極面とイオン伝導体(P)との間に密着樹脂層(2)を設ける効果として、以下の2つの効果を挙げることができる。第一に、イオン伝導体(P)と、透明または半透明である電極を有する基板と密着性を向上させることができ気泡の発生をなくすることができることにより、表示斑の無い表示素子と作製することができる。
また、第二の効果として、密着樹脂層(2)によりイオン伝導体(P)が浮くことなく電極に密着することにより、印加電圧がロスすることなくイオン伝導体(P)に含有される消発色剤の消発色を行うことができる。
密着樹脂層(2)が、図1に例示したように視面側とは対向する側(背面側)に配置された場合でも、気泡があることに伴う対向電極側での電気化学反応の欠損部分を無くすことができ、結果的にこれが視面側電極の反応不良に伴う表示画像の欠損を防ぐことができるため、第一の効果、第二の効果とも有効である。
更に、密着樹脂層(2)に支持電解質や消発色剤を添加することにより、イオン伝導体(P)のみを用いた場合に比べて駆動電圧の低下や、応答速度を改善することができる。
(密着樹脂層(2)を構成する材料)
密着樹脂層(2)を構成する材料としては透明樹脂が好ましい。用いる樹脂は、着色が殆どなく、溶媒に溶解した樹脂溶液が塗工できることが好ましい。
電解液(1)の溶媒が水の場合は、密着樹脂層(2)に用いられる樹脂は、ポリビニルアルコールの他にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体やそのアルカリ金属塩やポリアリルアミン等の水溶性樹脂を例示することができる。
電解液(1)の溶媒が有機溶媒の場合はその溶媒種により密着樹脂層(2)に用いられる樹脂が選定されるが、例として、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂やこれらの共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート等の極性基を有し電解液(1)の溶媒に用いられる極性有機溶媒を含有することができる樹脂類を例示することができる。
(密着樹脂層(2)が含有する溶媒)
密着樹脂層(2)にはイオン伝導性が必要とされ、イオン伝導体(P)に含まれる電解液と同一の溶媒または、該溶媒に相溶する溶媒が含まれる。このような溶媒としては有機無機複合体が含有している溶媒の種類から選定されるが、イオン伝導体(P)が保持する電解液(1)として前述した水のほかアセトニトリル、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシメタノール、イソプロピルアルコール等の極性溶媒やこれらの混合物を好適に用いることができる。
イオン伝導体(P)が含有する電解液(1)に相溶する溶媒を含有していることで、イオン伝導体(P)が持つイオン伝導特性を維持しつつ、表示斑の原因となる該イオン伝導体(P)と電極間にできる気泡を除去することができる。
(密着樹脂層(2)内の支持電解質、消着色剤、酸化還元促進剤)
密着樹脂層(2)内に支持電解質、消着色剤、酸化還元促進剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を添加することにより、密着樹脂層(2)の消発色能を向上させて、さらに良好な表示特性を表示素子に付与することができる。支持電解質を加えた場合は密着樹脂層(2)に高いイオン伝導度を付与することで、消発色剤を加えた場合は発色濃度を濃くできることで、酸化還元促進剤を加えた場合は消発色剤の電気化学的な反応(すなわち消発色)を促進することで、良好な消発色能を有する表示素子となり特に好ましく用いられる。これらは、視面側電極上、対向側電極上のいずれの密着樹脂層(2)に用いられても良い。
また、対向電極側にある密着樹脂層(2)中には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛等の白色材料を導入すると、紙的な視認性や質感を損なわずに表示素子の白色度を上げることができるため用いても良い。
(密着樹脂層(2)用材料(塗工液)の製作方法)
密着樹脂層(2)としては、透明または半透明の樹脂を溶媒に溶解させたものが好ましく用いられる。これらは溶媒中に固体樹脂を一定量添加し、常温や加温下で攪拌溶解する等の常法により作製されるが、特に制限は無い。また、密着樹脂層(2)内に支持電解質、消発色剤、酸化還元促進剤等を導入する場合は、予め溶媒にこれらの物質を十分に溶解させた溶解液を作製した後、樹脂を溶解させる等の方法で作製することができる。
(密着樹脂層(2)の作製方法)
密着樹脂層(2)の作製方法としては密着樹脂層(2)の厚さを薄くした状態で電極上に設置する必要があるため塗工法が好ましい。塗工法は公知慣用の方法がいずれも適応可能であり、例えばアプリケーターやバーコーターによる塗工の他、テーブルコーター等の枚様型塗工装置に加えて、スピンコート、ディップコート等の手法を用いることができる。
(密着樹脂層(2)の厚さ)
密着樹脂層(2)の厚さは1〜200μmであるのが好ましい。1μm以下では本来の目的である電極とイオン伝導体(P)間の空気層を除去し表示斑を低減することが困難となり、200μm以上では特に視面側に密着樹脂層(2)を設置した場合、本表示素子の特徴である紙的視認性を損なう恐れがある。
(樹脂密着層(2)設置位置)
密着樹脂層(2)の設置位置としては図1のように対向電極とイオン伝導体(P)との間に設置する構成、図2のように表示側である透明電極とイオン伝導体(P)の間に設置する構成、図3のように双方の間に設置する方法のいずれも用いることができる。図1の方法は、表示素子の紙的な視認性が損なわれることがない点が特徴である。また、図2のように視面側に密着樹脂層(2)を設置すると、紙的な視認性は僅かに損なわれるが、視面側の気泡が完全に除去されることにより、発色時の視認性を向上させることができる。特にイオン伝導体(P)中に消発色剤を有する表示素子に、さらに消発色剤を高濃度で含有させた場合は、表示の際の着色を強くでき高コントラスト、高速応答の素子とすることができる。
(電気化学型表示装置)
図1及び図2で示された表示素子に電源部、回路部や必要に応じてシール層、筐体等を設けることにより、表示装置とすることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(合成例:シリカ/ポリアミド複合体の合成)
イオン交換水81.1部に、水ガラス3号9.18部、1,6−ジアミノヘキサン1.58部を加え、25℃で15分間攪拌し、均質透明な水溶液(B)を得た。
室温下でこの水溶液(B)をオスタライザー社製ブレンダー瓶中に仕込み、毎分10000回転で攪拌しながら、アジポイルクロライド2.49部をトルエン44.4部に溶解させた有機溶液(A)を、20秒かけて滴下した。
次いで、生成したゲル状物をスパチュラで砕き、さらに毎分10000回転で40秒間攪拌した。この操作で得られたパルプ状の生成物の分散した液を、直径90mmのヌッチェを用い、目開き4μmの濾紙上で減圧濾過した。
ヌッチェ上の生成物をメタノール100部に分散させ、スターラーで30分間攪拌し減圧濾過することで洗浄処理を行った。引き続き同様の洗浄操作を蒸留水100部を用いて行い、減圧濾過することで、純白色のシリカ/ポリアミド複合体の水を含んだケーキシートを得た。
得られたシリカ/ポリアミド複合体を、以下の(1)〜(2)の方法に従って分析し、(3)〜(7)に従って電気化学型表示素子を作製した。
(1)無機化合物含有率(灰分)の測定
合成例で得られたシリカ/ポリアミド複合体に含まれる無機化合物の含有率の測定を、以下の方法で行った。
この複合体を絶乾後に精秤し、複合体質量を求め、これを空気中、600℃で3時間焼成し、有機ポリマー成分を完全に焼失させ、焼成後の質量を測定し灰分質量(=無機化合物質量)とした。これらの値から下式により無機化合物含有率を算出した。
無機化合物含有率(質量%)=(灰分質量/複合体質量)×100
この複合体中に含まれ、600℃焼成によっても除かれないのはシリカのみであるため、この測定により得られた値を無機化合物含有率をと定義した。本測定での無機化合物含有率は60質量%であった。
(2)シリカ/ポリアミド複合体中の無機化合物の平均粒子径測定および分散状態の観察
シリカ/ポリアミド複合体を170℃、20MPa/cmの条件で2時間熱プレスを行い、厚さ約1mmのシリカ/ポリアミド複合体からなる薄片を得た。これをマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片とした。得られた切片を、日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM−200CX」にて100000倍の倍率で観察した。無機化合物は暗色の像として、明るい有機ポリマー中に微分散しているのが観察された。
次いで、100個の無機化合物微粒子の粒径を測定し、その平均値を無機化合物平均粒子径とした。このシリカ/ポリアミド複合体では、平均粒子径約10nmの球状のシリカが網目状、すなわち3次元的にネットワークを形成し、ポリアミド中に微分散しているのが観察された。
(3)電気化学型表示素子作製用の分散液の作製
(3−1)ケーキシートの洗浄と固形分率の測定
得られたシリカ/ポリアミド複合体のケーキシート約10部を、100部の超純水中に分散し、減圧濾過をする工程をそれぞれ3回繰り返すことにより洗浄処理を行い、超純水を含んだケーキシートを得た。
このケーキシートの質量(湿潤質量)測定後、150℃で2時間乾燥させ、乾燥質量を測定した。これらの数値より、ケーキシートの固形分率を下式により算出したところ、得られたケーキシートの固形分率は8.5質量%であった。
固形分率(質量%)=(乾燥質量/湿潤質量)×100
(3−2)シリカ/ポリアミド複合体が電解液中に分散した分散液の作製
溶媒として超純水669部に、消発色剤としてオキシ過塩素酸ビスマスを12.8部、支持電解質として過塩素酸の60質量%溶液を2.48部、酸化還元促進剤としてヒドロキノン6.93部を、室温で攪拌して溶解させ、均質無色透明な電解液を調製した。
この電解液に、(3−1)の操作によって得られたケーキシート88.4部を入れ攪拌分散させることにより、電解液中にシリカ/ポリアミド複合体が均一に分散した分散液を得た。
(4)イオン伝導体(P)の作製
(電解液を含有したシリカ/ポリアミド複合体ウエットケーキシートの作製)
(3−2)で用いた分散液65gを、濾過瓶上に直径90mmのヌッチェをセットし、その濾過面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE;商標テフロン)製濾過材であるミリポア社製メンブレンフィルター“デュラポアー”上から注ぎ込み、0.03MPaで減圧したのち、余剰の電解液を除去した後濾過剤を剥離することで、電解液を多量に保持した700μm厚の有機無機複合体ウエットケーキシートであるイオン伝導体(P)を得た。
(5)密着樹脂層(2)用の塗工液の作製
(5−1)樹脂と溶媒のみからなる密着樹脂層(2)用の塗工液の作製
溶媒としての超純水91質量%に、透明樹脂として株式会社クラレ製ポリビニールアルコール(PVA)「RS−2113UC」9部を導入し、攪拌下で80℃に加熱、溶解することにより、粘調な透明溶液(PVA液)を得た。
(5−2)支持電解質を有する塗工液
(5−1)で得たPVA液10部に対して、過塩素酸60質量%溶液0.1部を溶解させることで支持電解質を有する塗工液を得た。
(5−3)消発色剤を有する塗工液
(5−1)で得たPVA液10部に対して、オキシ過塩素酸ビスマス0.2部を導入し常温下で攪拌することにより均質透明な粘調液体を得た。この操作により、消発色剤を溶解させた塗工液を得た。
(6)基板及び電極
本発明の表示素子には700μm厚のガラス基板上にITO電極(株式会社イーエッチシー製、表面抵抗10Ω/□)を有する透明電極基板を用いた。
(7)密着樹脂層(2)を有する電極の作製
(7−1)樹脂と溶媒のみからなる密着樹脂層(2)を有する透明電極の作製
(6)で用意したガラス基板を有するITO電極上に(5−1)で調整したPVAと純水からなる塗工液をバーコーターを用いて10μm厚で塗工することで、樹脂と溶媒のみからなる密着樹脂層(2)を有する透明電極を作製した。
(7−2)支持電解質を有する密着樹脂層(2)を設置した透明電極の作製
(7−1)に記載の密着樹脂層(2)を有する透明電極の作成方法において、(5−1)で調整したPVAと純水からなる塗工液の代わりに、(5−2)で調整した支持電解質を有する塗工液であることのみが異なる作製方法で、支持電解質を有する密着樹脂層(2)を設置した透明電極を作製した。
(7−3)消発色剤を有する密着樹脂層(2)を設置した透明電極の作製
(7−1)に記載の密着樹脂層(2)を有する透明電極の作成方法において、(5−1)で調整したPVAと純水からなる塗工液の代わりに、(5−3)で調整した消発色剤を有する塗工液であることのみが異なる作製方法で、消発色剤を有する密着樹脂層(2)を設置した透明電極を作製した。
(実施例1:背面側電極面上に樹脂と溶媒のみからなる密着樹脂層(2)を有する表示素子)
(4)で作製したイオン伝導体(P)を4cm×4cmに切断し、テフロン(登録商標)製濾過材を剥離した側をITO電極上に設置した。イオン伝導体(P)と電極面の間に少量の気泡が混入したが、イオン伝導体(P)の電極側設置面が平滑であったため、該シート上からにラミネート処理を行うことにより、気泡をシート外におしだすことで除去することができた。続いて電極上に設置したイオン伝導体(P)上より、(7−1)で作製した、密着樹脂層(2)を有する透明電極を設置した後、加圧硬化装置LP−320(株式会社イーエッチシー製)を用いて、2枚の電極間を加圧することにより密着させた。密着樹脂層(2)を有する透明電極を設置した側のイオン伝導体(P)は濾過材の無い側(自由表面側)であるためケーキ面が平滑ではなかったが、背面電極側の密着樹脂層(2)がウエットケーキ面の凹凸を吸収するように一部が密着樹脂層(2)側に浸透することにより、空気層が一切無い状態で設置することができた、次いで、イオン伝導体(P)の周囲をエポキシ樹脂で封止することにより、約厚さ700μmの電気化学型表示素子(1)を作製した。本表示素子では、密着樹脂層(2)が無い側の電極を視面側として用いる。
(実施例2:前面、背面の両電極面上に支持電解質を有する密着樹脂層(2)を設置した表示素子)
(4)で作製したイオン伝導体(P)を4cm×4cmに切断し、テフロン(登録商標)製濾過材を剥離した側の面を、(7−2)で作製した支持電解質を有する密着樹脂層(2)を有するITO電極上に設置した。密着樹脂層(2)があることにより、ラミネート処理を行うことなくイオン伝導体(P)を電極面に完全に密着させることができた。続いて電極上に設置したイオン伝導体(P)上に、(7−2)で作製した密着樹脂層(2)を有する透明電極を設置した後、実施例1と同様な方法で電極同士を密着、周囲の封止を行うことで、両面側とも電極とイオン伝導体(P)との間に気泡の混入が一切ない、厚さ約700μmの電気化学型表示素子(2)を作製した。
(実施例3:前面側電極面上に消発色剤を有する密着樹脂層(2)を設置した表示素子)
(4)で作製したイオン伝導体(P)を4cm×4cmに切断し、テフロン(登録商標)製濾過材を剥離した側をITO電極上に設置したのち、実施例1と同様な方法(ラミネート)により電極とイオン伝導体(P)とを密着させた。続いて電極上に設置したイオン伝導体(P)上より、(7−3)で作製した消発色材を有する密着樹脂層(2)を有する透明電極を設置した後、実施例1と同様な方法で電極同士を密着、周囲の封止を行うことで、両面側とも電極とイオン伝導体(P)との間に気泡の混入が一切ない、厚さ約700μmの電気化学型表示素子(3)を作製した。この素子では密着樹脂層(2)がある面を視面側として用いる。
(参考例1:密着樹脂層(2)を持たないITO電極を有する表示素子)
(4)で作製したイオン伝導体(P)を4cm×4cmに切断し、テフロン(登録商標)製濾過材を剥離した側をITO電極上に設置したのち、実施例1と同様な方法(ラミネート)により電極とイオン伝導体(P)とを密着させた(視面側)。続いて電極上に設置したイオン伝導体(P)上より、ITO電極を設置した。後からITO電極を設置した側は、濾過材の無い側(自由表面側)であるためケーキ面が平滑ではないことにより、電極面とケーキ面に気泡が多数混入した上、設置した基板が柔軟性に乏しいガラスであることによりラミネート処理も不可能なため、電極を設置後は気泡の除去ができなかった。さらに実施例1と同様な方法で密着、封止操作を行ったが、電極面上の気泡は本密着操作により全く除く事ができい電気化学型表示素子(4)が得られた。
以上の電気化学型表示素子(1)〜(4)のそれぞれの電極にリード線を接続したのちファンクションジェネレーターにつなぎ、±1.5V、周期2秒の矩形波を印加したところ、電気化学型表示素子(1)〜(3)については、電極とイオン伝導体(P)との密着性に優れることより、表示に斑の無い優れた表示特性を示した。特に、電気化学型表示素子(1)は視面側に密着樹脂層(2)が無いために紙的な質感が良好な特徴を持ち、表示素子(2)は両面に設置した密着樹脂層(2)に支持電解質が入っているために表示の応答性に優れ、表示素子(3)は視面側に設置した密着樹脂層(2)に消発色材が入っているために黒色の濃度に優れていた。
一方、表示素子(4)は背面側において、電極とケーキとの密着性が悪かったため、視面側の密着性は一応良好であったが、表示斑が多く良好な表示ができなかった。
以上の結果から、本発明によれば、視面側、背面側の少なくとも一方の電極とイオン伝導体(P)間に密着樹脂層(2)を設けることにより、表示斑のない表示特性が良好な電気化学型表示素子を製造できることが確認された。
背面側の対向電極とイオン伝導体の間に、密着樹脂層(2)を設けた本発明の電気化学表示素子の模式図である。 視面側である透明電極とイオン伝導体(P)の間に密着樹脂層(2)を設けた本発明の電気化学表示素子の模式図である。 視面側である透明電極と、背面側の対向電極と、イオン伝導体(P)との双方の間に密着樹脂層(2)を設けた本発明の電気化学表示素子の模式図である。 背面側の対向電極とイオン伝導体の間に密着樹脂層(2)を設け、更に紙面側の透明電極とイオン伝導体(P)の間に消発色材料層を設けた本発明の電気化学表示素子の模式図である。
符号の説明
1 透明基板
2 対向側基板
3 透明電極
4 対向電極
5 イオン伝導体(P)
6 背面側密着樹脂層(2)
7 視面側密着樹脂層(2)
8 封止材
9 消発色材料層

Claims (10)

  1. 少なくとも一方が透明または半透明である電極を有する2枚の基板を、該電極を内側にして相対向させた基板間に、イオン伝導体を有する電気化学型表示素子であって、
    前記イオン伝導体が、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物との複合体に、電解液(1)を保持させたイオン伝導体であり、前記イオン伝導体と電極を有する基板の少なくとも一方との間に、電解液(1)と相溶する溶媒を含有する密着樹脂層(2)を有することを特徴とする電気化学型表示素子。
  2. 前記密着樹脂層(2)が、電解液(1)を構成する溶媒を保持する透明または半透明樹脂層である請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  3. 前記電解液(1)が、電気化学的な酸化還元により消発色する消発色剤を含有する請求項1記載の電気化学型表示素子。
  4. 前記電極を有する基板の視面側の電極面上に、電気化学的な酸化還元により消発色する消発色剤を含有する消発色材料層を有する請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  5. 前記密着樹脂層(2)が、支持電解質、酸化還元促進剤及び消発色剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する溶媒を有する請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  6. 前記複合体が、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(A)と、珪酸アルカリ及び/または2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(B)とを混合攪拌し、重縮合反応させることにより得られた有機ポリマーと無機化合物との複合体である請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  7. 前記複合体中の無機化合物の微粒子の平均粒径が1μm以下であり、前記複合体100質量%中の無機化合物の微粒子の含有率が20〜80質量%である請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  8. 前記複合体が、繊維径が30μm以下でアスペクト比が10以上のパルプ形状を有する、請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  9. 前記金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及び酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  10. 請求項1〜9のいずれかの請求項に記載の電気化学型表示素子を用いた電気化学型表示装置。

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