JP2006145521A - 炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法 - Google Patents

炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸水素ナトリウム結晶粒子に関する高精度の組成分析方法を提供する。
【解決手段】炭酸水素ナトリウム結晶粒子を二酸化炭素を含まない乾燥したガス中、一定速度で昇温し、示差走査熱量分析装置により、温度と吸熱量の関係を測定し、本関係より含有するウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の加熱分解による吸熱量をそれぞれ求め、吸熱量から前記各成分の含量をそれぞれ定量する。一方、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を無水メタノール中で攪拌して得られた抽出液を滴定し、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量を定量する。この各成分の総量から、上記の示差走査熱量分析装置を用いて測定した炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの2成分の定量値を減じることにより炭酸ナトリウム無水塩を定量する。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法に関し、特に、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中のウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、セスキ炭酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウム無水塩の含量をそれぞれ測定する定量分析方法に関する。
従来から、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)(重曹、重炭酸ソーダとも呼ばれる)は、ベーキングパウダー、清涼飲料などの添加剤として各種の食料品分野や、人工透析剤、胃腸薬その他として医薬品分野に、さらに、消火剤、浴用剤、洗浄剤、ブラストメディア、酸性ガス中和剤などとして広く使用されている。これらの炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、ほとんどの場合において粉末乃至粒状の結晶粒子の形態で製造、搬送、貯蔵、販売され、また使用されている。
しかし、市販されている炭酸水素ナトリウム結晶粒子は一般的に固結性を示し、特に、梅雨時期等の温度が高く湿気の多い保管環境下では、製造工程での乾燥によって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面に生成した炭酸ナトリウム無水塩に起因して、大きな固結性を有することが経験的に知られている。固結が生じた場合には、粒子の流動性が低下し、上記流通から使用時の各過程における取り扱い性が著しく低下し、各種の障害をもたらす。よって、固結性は、炭酸水素ナトリウムの商品価値を失いかねる大きな問題である。
炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の固結の発生は、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面が製造の過程で炭酸ナトリウム無水塩(NaCO)となり、流通や保管の過程でウェグシャイダー塩(NaCO・3NaHCO)又は炭酸ナトリウム一水塩(NaCO・HO)となり、さらにセスキ炭酸ナトリウム(NaCO・NaHCO・2HO)となることによって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子間が架橋し固着することに起因する。
従来、この炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面組成の変化に着目した、固結防止方法が開示されている。例えば、特許文献1には、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面をセスキ炭酸ナトリウムとする、固結性の改善された炭酸水素ナトリウム結晶粒子の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、特定の二酸化炭素ガス濃度と特定の水分量の乾燥用ガスを使用する、固結性の小さい炭酸水素ナトリウム結晶粒子の製造方法が提案されている。
また、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性を判断したり、固結性の低減の対策を取ったりするために炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面組成を調整する場合においては、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成、特に表面近傍の組成(具体的には、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの含量)を正確に知る必要がある。
しかし、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩、セスキ炭酸ソーダ、及び炭酸ナトリウム無水塩の各成分は、何れも相互に、あるいは炭酸水素ナトリウムに類似した炭酸アルカリであり、なおかつ、炭酸水素ナトリウム結晶粒子上に僅かに生成している。これらの定量分析は、X線回折法では測定できないなど極めて困難であり、従来その分析方法もほとんど開示されておらず、僅かに特許文献3に開示されているのみであった。特許文献3では、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に所定温度の乾燥ガスを流通し、一定の温度または経時的な昇温条件における炭酸水素ナトリウム結晶粒子から流出する水分同伴ガス中の水分をカールフィッシャー水分定量分析計により経時的に定量分析することにより、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の水分を、遊離水分、炭酸ナトリウム一水塩の結晶水、及びセスキ炭酸ナトリウムの結晶水に分別定量分析する方法が開示されている。しかし、このカールフィッシャー水分定量分析法による場合、精度の点でなお充分でない上に、試料量が多く均一に加熱されないために試料の加熱分解に斑が発生することによって、試料からの水分の放出の時間分布が広くなるなどの点で難点があり、より優れたな定量分析方法が求められていた。
特開2003−104722号公報 特開2004−203673号公報 特開2003−83947号公報
本発明は、上記の事情に鑑みて、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中のウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、セスキ炭酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウム無水塩の含量をより高精度で測定する定量分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面近傍の組成分析について鋭意研究を重ねたところ、炭酸水素ナトリウム結晶粒子表面の組成を正確に分析するために、炭酸水素ナトリウム結晶粒子が加熱された条件下でセスキ炭酸ナトリウムやウェグシャイダー塩や炭酸ナトリウム一水塩より安定で分解しにくいこと、及び、さらにセスキ炭酸ナトリウムの方がウェグシャイダー塩及び炭酸ナトリウム一水塩より熱的に安定であること、すなわち一定の速度で昇温することによって、初めにウェグシャイダー塩及び炭酸ナトリウム一水塩が分解し、次いでセスキ炭酸ナトリウムが分解するので、各々の加熱分解による吸熱量を測定することにより、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の含量を定量することができることを見出した。しかし、任意の温度条件では、必ずしも前記順番で分解が起こるわけではなく、さらには、各成分の分解による吸熱量を分離し測定することが出来るわけではない。すなわち、正確な測定には、測定温度や昇温速度という温度条件が極めて重要である。以上の所見に基づき、新たな原理に基づく定量分析方法に至ったものである。すなわち、本発明の要旨は以下の構成を有する。
(1)炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、二酸化炭素を実質的に含まない乾燥したガス中において、一定の速度で昇温しつつ示差走査熱量分析装置を用いて温度と吸熱量の関係を測定し、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の加熱分解による吸熱量を、測定によって得られた温度と吸熱量の関係を表した曲線における特定の二種の温度区間の積分値によりそれぞれ求め、かかる吸熱量から、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の前記各成分の定量分析を行うことを特徴とする炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
(2)炭酸水素ナトリウム結晶粒子の昇温速度が毎分0.2〜2℃である上記(1)に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
(3)ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウム各々について吸熱の積分値を求める特定の二種の温度区間を以下の通りとする上記(1)または(2)に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
〔1〕ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩についての積分開始温度が36〜47℃の間の温度であり、積分終了温度が50〜64℃の間の温度である。
〔2〕セスキ炭酸ナトリウムについての積分開始温度が46〜60℃の間の温度であり、積分終了温度が73〜83℃の間の温度である。
〔3〕上記〔1〕と〔2〕の温度区間が重なる場合には、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩の加熱分解による〔1〕の吸熱量を求めた後に、セスキ炭酸ナトリウムの加熱分解による〔2〕の吸熱量を求める。
(4)ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムを、かかる各成分を実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に各々所定量混合した標準試料に対して請求項1に記載の方法と同様の測定を行って得られた前記各成分の加熱分解による吸熱量を基準として、定量分析の対象である炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれる前記各成分の絶対量を算出する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
(5)ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子につき請求項1に記載の方法と同様の測定を行い、得られた吸熱量を差し引いて、炭酸水素ナトリウム結晶粒子自体の加熱分解による吸熱量を補正する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
(6)炭酸水素ナトリウム結晶粒子を無水メタノール中で攪拌して得られた抽出液を、30質量%以上の濃度の塩酸溶液を無水メタノールで希釈した塩酸溶液で滴定して、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量を定量し、一方、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法により上記炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを定量し、該定量値を上記総量から減じることにより炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩を定量する炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
本発明によれば、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中のウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、セスキ炭酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウム無水塩の含量を高精度で測定する定量分析方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法は、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、二酸化炭素を実質的に含まない乾燥したガス中において、一定の速度で昇温しつつ示差走査熱量分析装置を用いて温度と吸熱量の関係を測定し、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の加熱分解による吸熱量を、測定によって得られた温度と吸熱量の関係を表した曲線(以下、「吸熱プロファイル」という。)における特定の二種の温度区間の積分値によりそれぞれ求め、かかる吸熱量から、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の前記各成分の定量分析を行うものである。
ここでウェグシャイダー塩と炭酸ナトリウム一水塩は近似の温度で分解する。よってウェグシャイダー塩と炭酸ナトリウム一水塩との区別は、炭酸水素ナトリウムの製造過程において加湿処理した温度と相対湿度と二酸化炭素ガス濃度の条件を元に相平衡図で炭酸ナトリウム一水塩の領域かウェグシャイダー塩の領域かを、分析とは別途に判別することによる。保管された炭酸水素ナトリウム結晶粒子の場合は、その保管中の温度と湿度と二酸化炭素ガス濃度の条件により判断する。相平衡図によらない場合は、その雰囲気下に炭酸ナトリウム無水塩の結晶粒子を長時間保管してその結晶の変化をX線回折により結晶の構造解析を行っておく。なお、測定するサンプルを長時間室温に放置したままにしておくと、吸湿してウェグシャイダー塩を生成するので、サンプリング後は早急に分析する。
本発明においては、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中のウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の含量を測定するに当たって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を一定の速度で昇温しつつ示差走査熱量分析装置(Differential Scanning Calorimeter)を用いて温度と吸熱量の関係を測定し、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれる前記各成分の加熱分解による吸熱量を、測定によって得られた吸熱プロファイルにおける特定の二種の温度区間の積分値によりそれぞれ求めることによって、各成分の含量を定量する。以下、本分析方法を「DSC法」という。
示差走査熱量分析とは試料および基準物質で構成される試料部の温度を、一定のプログラムに従って変化させながら、試料と基準物質の温度差を温度の関数として測定し、これから熱流を求めたり(熱流束型)、あるいは試料と基準物質の温度が等しくなるように補償ヒーターにより熱を加えて、この補償ヒーターに流れる電流により熱流を求めたり(入力補償型)する方法である。示差走査熱量分析装置には、このように熱流束型DSC(定量DTA)と入力補償型(熱補償型)DSCの二種があるが、本発明では、いずれでも測定可能である。
DSC法の特徴としては、ベースラインが安定していること、高感度であり微小なピークの検出が可能であること、ピーク面積から熱量値が算出でき定量性があることが挙げられる。本発明において測定対象である炭酸水素ナトリウム結晶粒子に関しては、測定温度領域が低く、腐食性のガスの発生も無いので、DSC法が好適に採用できる。
本発明におけるDSC法の具体例としては、まず、炭酸水素ナトリウム結晶粒子をサンプルホルダーに所定量入れて、二酸化炭素を実質的に含まず、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム無水塩、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムと化学反応しない乾燥したガス中において、一定の速度で昇温して、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムが炭酸ナトリウム無水塩に分解する際の吸熱量を示差走査熱量分析装置により精密に測定する。
一定の速度で昇温することによって、初めにウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩が分解し、次いでセスキ炭酸ナトリウムが分解するので、各々の加熱分解による吸熱量を測定することで、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウム各成分の含量を定量することができる。しかし、任意の温度条件では、必ずしも前記順番で分解が起こるわけではなく、さらには、各成分の分解による吸熱量を分離し測定することが出来るわけではない。すなわち、正確な測定には、測定温度や昇温速度という温度条件を適切に設定することが極めて重要である。
測定対象の炭酸水素ナトリウム結晶粒子試料の質量は5〜50mg、特に10〜50mgが好ましい。5mg未満であると吸熱量が少なくなり、分析精度が低下するため好ましくない。
50mgを超えるとサンプル内の温度分布が大きくなり分析精度が低下するため好ましくない。
DSC法で使用する雰囲気ガスは、二酸化炭素を実質的に含まず、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム無水塩、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムと化学反応しない乾燥したガスであり、具体的には、窒素ガスや、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスが特に好適に使用できる。また還元性ガスであっても水素等は、炭酸水素ナトリウム及びその他前述の成分と反応しないので使用可能である。雰囲気ガスの使用流量は10〜1000mL/分が好ましい。10mL/分より少ないと、分解により発生する水蒸気や二酸化炭素によって炭酸ナトリウム無水塩が吸湿したり、炭酸ナトリウム一水塩やセスキ炭酸ナトリウムの分解が阻害されたり、また温度分布が発生したりするため、好ましくない。一方、1000mL/より多くても不必要であり無駄となる。また測定中は一定の流量とする。
前述のごとく正確な測定には、測定温度や昇温速度という温度条件を適切に設定することが極めて重要である。正確にこれらの温度条件を設定しないと、炭酸ナトリウム一水塩成分又はウェグシャイダー塩成分とセスキ炭酸ナトリウム成分とのピークの検出感度が低下したり、ピークの分離が困難となってしまう。
本発明における昇温速度は毎分0.2〜2℃が好ましい。DSC法では通常は毎分2〜20℃の昇温速度を選定するのが一般的な常識であるのに対し、本発明における昇温速度は、測定サンプル量、測定装置の構造、サンプルホルダーの構造等によって差異があるが、毎分0.2〜2℃が好ましく、特に0.5〜1.5℃が好ましいことを本発明者は以下の所見に基づき新規に見出した。すなわち、昇温速度が速いと、具体的には毎分2℃を超えると、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩や炭酸ナトリウム一水塩やセスキ炭酸ナトリウムが微量なために分析精度が低下してしまう。一方、昇温速度を毎分0.2℃未満にすると、炭酸ナトリウム一水塩成分又はウェグシャイダー塩成分とセスキ炭酸ナトリウム成分の分解開始温度が接近してしまう。その結果、炭酸ナトリウム一水塩成分又はウェグシャイダー塩成分とセスキ炭酸ナトリウム成分との吸熱ピークの分離程度は向上しないばかりか、反対にピークの分離が困難となる。
本発明においては、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の加熱分解による吸熱量を、吸熱プロファイルにおける特定の二種の温度区間の積分値によりそれぞれ求め、求めた吸熱量から、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の前記各成分の定量分析を行う。
ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの吸熱の開始温度と終了温度は、測定装置の構造、サンプルホルダーの大きさや形状や密閉性等の構造、昇温速度、サンプル質量及び容積、結晶の大きさ及び粒度分布などにより異なってくる。しかし、後述するベースライン補正を施した吸熱プロファイルに現れる各成分の吸熱ピークにおいて吸熱の開始温度と終了温度を選定することで高い精度で分析することができる。
具体的には、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウム各々について吸熱の積分値を求める特定の二種の温度区間は、以下の温度範囲から選定するのが好ましい。すなわち、(1)ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩についての積分開始温度が36〜47℃の間の温度であり、積分終了温度が50〜64℃の間の温度である。(2)セスキ炭酸ナトリウムについての積分開始温度が46〜60℃の間の温度であり、積分終了温度が73〜83℃の間の温度である。(3)上記(1)と(2)の温度区間が重なる場合には、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩の加熱分解による(1)の吸熱量を求めた後に、セスキ炭酸ナトリウムの加熱分解による(2)の吸熱量を求める。
上記のなかでも、特に好ましい温度範囲は、(1)ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩についての積分開始温度が36〜46℃の間の温度であり、積分終了温度が50〜63℃の間の温度である。(2)セスキ炭酸ナトリウムについての積分開始温度が46〜59℃の間の温度であり、積分終了温度が73〜82℃の間の温度である。
ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の含量は、各成分の単位質量あたりの吸熱量から、「標準添加法」により算出できる。「標準添加法」とは、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムを、かかる各成分を実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に各々所定量混合した標準試料に対して上記DSC法による同様の測定を行い、かかる標準試料について得られた各成分の単位質量あたりの吸熱量を基準として、定量分析の対象である炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの絶対量を算出する方法である。具体的には、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウム各成分の微粒子を、実質的にこの各成分を含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に所定量混合して標準試料を準備し、この標準試料についてDSC法で測定して得た各成分の単位質量あたりの吸熱量を基準として、定量分析の対象である炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの絶対量を算出する。標準試料に使用するウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの粒子の大きさはより微細であることが好ましい。粒子が大きいと加熱分解に時間がかかり、吸熱ピークがブロードとなり(吸熱プロファイルの温度軸方向が広がってしまい)誤差が大きくなる。好ましくは20μm以下で、より好ましくは10μm以下である。なお、前述各成分を含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子には、炭酸ナトリウム無水塩は含まれていてもよい。
本発明では、より高い精度で定量分析を行うため、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子につき上述のDSC法と同様の測定を行い、得られた吸熱量を差し引いて、炭酸水素ナトリウム結晶粒子自体の加熱分解による吸熱量を補正する(この補正を以下、「ベースライン補正」という)のが好ましい。炭酸ナトリウム無水塩を含む炭酸水素ナトリウム結晶粒子を使用してベースライン補正のための吸熱量値を測定する場合は、吸湿によって炭酸ナトリウム無水塩が短時間で炭酸ナトリウム一水塩となるため、特に注意して手早く測定を行うのが好ましい。サンプルを測定用の容器であるサンプルパンにのせて秤量後に、直ちにサンプルパンに蓋をして密閉し、測定直前に蓋に孔を開けて測定に供することは、吸湿を防止する上で有効である。
以上、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中のウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの含量を特定する方法を説明したが、次いで、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩の含量を特定する方法について説明する。
炭酸水素ナトリウム結晶粒子を無水メタノール中で攪拌して得られた抽出液を、30質量%以上の濃度の塩酸溶液を無水メタノールで希釈した塩酸溶液で滴定して、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの3各成分の総量を定量する(以下、本方法を「無水メタノール抽出法」という)。ここでウェグシャイダー塩は炭酸ナトリウム無水塩や炭酸ナトリウム一水塩やセスキ炭酸ソーダと比較して無視できる程度しか抽出されない。一方、上述したDSC法により上記炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを定量し、該定量値を上記各成分の総量から減じることにより炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩を定量する。
無水メタノール抽出法において、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を砕かずに抽出操作を行えば、炭酸水素ナトリウム結晶粒子表面近傍の、炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分が抽出されるので、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面の各成分の総量を中和滴定により特定できる。
無水メタノール抽出法の具体例としては、以下の通りである。まず、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を秤量し、無水メタノールに入れて振とうし、上記各成分を抽出した液を作成する。この抽出液を中和滴定する。中和滴定は、水分の混入を極力減らすため、30質量%以上の濃度の塩酸溶液を無水メタノールで希釈した塩酸溶液を使用して行う。無水メタノールでなく水で希釈すると、水が混入するために炭酸水素ナトリウム結晶粒子が溶解してしまい中和滴定で誤差を生ずるので好ましくない。同様に希釈調整前の塩酸水溶液の濃度も、より高い方が水の混入を削減できるため、35質量%以上が好ましい。希釈調整後の塩酸溶液は、0.1規定の濃度になるように調整するのが好ましい。希釈前の塩酸容液として、塩化水素メタノール溶液も使用できる。中和滴定に使用する指示薬としてはフェノールフタレインが好適な例として挙げられる。
以下に、実施例を記載する。本実施例は具体例を示すものであり、これに限定されない。
種々の乾燥条件で製造し、その後加湿処理されて、表面の組成が異なる炭酸水素ナトリウム結晶粒子を2種(以下、単に「サンプル1、2」という。)用意し、各々の組成をDSC法及び無水メタノール抽出法により測定して各サンプル(炭酸水素ナトリウム結晶粒子)の表面の組成を分析した。
ここでサンプル1、2とも相平衡図に基づくと、その保管条件から、炭酸ナトリウム一水塩は含まれずウェグシャイダー塩は含まれうることが判明している。また、その他の成分としては炭酸ナトリウム無水塩又はセスキ炭酸ソーダが含まれる。
以下、サンプル1につき、具体的に分析方法を説明する。なお本実施例ではウェグシャイダー塩を含有する場合について説明するが、炭酸ナトリウム一水塩を含有する場合でも分析方法や計算方法は同様である。
[DSC法による炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの定量]
本実施例において、DSC法による測定には、熱流束型の示差走査熱量分析装置DSC822e(メトラー・トレド社商品名、以下「本測定装置」という。)を使用した。センサーには、28対、金−金パラジウム熱電対を装着したFRS5センサーを使用した。
まず、秤量した炭酸水素ナトリウム結晶粒子(サンプル1)19.873mgをアルミニウム製の試料容器であるサンプルパンに入れて蓋を乗せた後に直ちにサンプルシーラーを用いて密閉した。測定直前に蓋に孔を明けて、本測定装置のサンプルホルダーにセットして測定した。基準物質はサンプル1で使用したものと同じサンプルパンと蓋を空で使用した。測定雰囲気ガスは乾燥窒素ガスを使用し、流量は40mL/分とした。昇温速度は1℃/分とし、0℃から85℃まで昇温しつつ測定した。これによって経過時間(すなわち温度)に対する吸熱量の曲線、すなわち吸熱プロファイルを得た。
ここで、ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子20mgについて、同様のDSC法による測定を行い、吸熱プロファイルを得た。すなわちベースラインを同様に測定しておき、サンプル1の吸熱プロファイルから差し引き、ベースライン補正を行った。
図1にこの吸熱プロファイルを示す。図1に示す吸熱プロファイルはベースラインを差し引いた後のグラフである。
サンプル1の吸熱プロファイルが図1の吸熱プロファイルAである。この吸熱プロファイルAを観察すると、36℃〜64℃の間では、縦線に示す吸熱ピークがある。この40.1℃から58.0℃の間を積分すると−14.39mJであった。単位サンプル量あたりの吸熱量は−14.39/19.873=−0.72J/gとなる。これがウェグシャイダー塩による吸熱量である。
次に、吸熱プロファイルAにウェグシャイダー塩の吸熱分を加えた曲線を作成し、これを吸熱プロファイルBとする。この吸熱プロファイルBからセスキ炭酸ナトリウムによる吸熱量を求める。この吸熱プロファイルBを観察すると、46℃〜83℃の間では、縦線に示す吸熱ピークがある。この51.2℃から80.0℃の間を積分すると−283.01mJであった。単位サンプル量あたりの吸熱量は−283.01/19.873=−14.24J/gとなる。これがセスキ炭酸ナトリウムによる吸熱量である。
[標準添加法による標準試料の測定]
この吸熱量をウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの含量に換算するため、各々の成分の吸熱量と含量との関係を標準添加法により求める。前述のごとくサンプル1は相平衡図に基づくと、その保管条件から、炭酸ナトリウム一水塩は含まれずウェグシャイダー塩は含まれうることが判明している。ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムの含量を特定するために、ウェグシャイダー塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムを含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に、0.500質量%のウェグシャイダー塩と、0.500質量%のセスキ炭酸ナトリウムを加えた標準試料(20mg)を作製した。
具体的には、添加するウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムはメノウ乳鉢で約5μmまで微細にすり潰して、ウェグシャイダー塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムを含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に均一に混合して作製した。このようにして得られた標準試料について、前記のサンプル1と同様にDSC法で測定した。0.500質量%のウェグシャイダー塩と0.500質量%のセスキ炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム無水塩に換算すると、0.370質量%と0.352質量%である。なお、ここでもベースライン補正を行った。
この標準試料の吸熱プロファイルでは、ウェグシャイダー塩0.500質量%(炭酸ナトリウム無水塩換算で0.370質量%)に対して吸熱量−1.63J/gが対応し、またセスキ炭酸ナトリウム0.500質量%(炭酸ナトリウム無水塩換算で0.352質量%)に対して吸熱量−4.08J/gが対応することがわかった。
[ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムの含量の算出]
標準試料の測定結果より、ウェグシャイダー塩の1質量%あたり−3.26J/g(=−1.63/0.5)で、セスキ炭酸ナトリウムの1質量%あたり−8.16J/g(=−4.08/0.5)であることがわかった。
そこで、サンプル1におけるウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムの2成分の含量を計算する。
上記の通り、サンプル1におけるウェグシャイダー塩の吸熱量は−0.72J/gであったので、ウェグシャイダー塩の含量は、−0.72/(−3.26)=0.22質量%となる。これは、炭酸ナトリウム無水塩に換算すると0.16質量%である。
また、サンプル1におけるセスキ炭酸ナトリウムの吸熱量は−14.24J/gであったので、セスキ炭酸ナトリウムの含量は、−14.24/(−8.16)=1.75質量%となる。これは炭酸ナトリウム無水塩換算に換算すると1.23質量%である。
[無水メタノール抽出法による各成分の総量の特定]
無水メタノール抽出法により炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量を特定する。炭酸水素ナトリウム結晶粒子(サンプル1)を5g秤量し、これを100mL(ミリリットル)の無水メタノールに入れ、30分間振とうした。得られた抽出液を0.1規定の濃度の塩酸でフェノールフタレインを指示薬として中和滴定した。ここで滴定に用いた0.1規定の塩酸は、水分の混入を極力減らすために、35質量%の塩酸水溶液を無水メタノールで希釈して0.1規定の濃度に調整したものである。
サンプル1では、炭酸ナトリウム一水塩は含まれないので、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量は炭酸ナトリウム無水塩換算で1.23質量%であった。
[炭酸ナトリウム無水塩の含量の算出]
無水メタノール抽出法により求めた炭酸ナトリウム無水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量1.23質量%から、DSC法により求めたサンプル1におけるセスキ炭酸ナトリウムの含量(炭酸ナトリウム無水塩換算)1.23質量%を差し引いて、サンプル1における炭酸ナトリウム無水塩の含量は0.00質量%と算出できる(1.23−1.23=0.00)。
サンプル2についてもサンプル1と同様にして分析した。
[DSC法によるウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムの定量]
サンプル2を19.963mg秤量し、サンプル1と同様のDSC法により測定して得られた吸熱プロファイル(ベースラインを差し引いた後のグラフ)を図2に示す(吸熱プロファイルCとする)。吸熱プロファイルC(サンプル2)では、ウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムのピークが明瞭に分離できている。両成分の含量がサンプル1より少なく、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の外表面に形成された両成分の層がより薄いために、短時間で各成分の全量が炭酸ナトリウム無水塩に分解されたため、両成分の分解が重ならず、両成分のピークの分離が良好であったと推測される。ウェグシャイダー塩の吸熱量は38.3℃から52.6℃の間を積分して−2.71mJ(−0.14J/g)であった。セスキ炭酸ナトリウムの吸熱量は52.6℃から74.6℃の間を積分して−24.28mJ(−1.22J/g)であった。
[ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムの含量の算出]
前述した標準試料の測定結果より、ウェグシャイダー塩の1質量%あたり−3.26J/gで、セスキ炭酸ナトリウムの1質量%あたり−8.16J/gであることがわかっており、これを用いて、サンプル2における2成分の含量を計算する。
上記の通り、サンプル2におけるウェグシャイダー塩の吸熱量は−0.14J/gであったので、ウェグシャイダー塩の含量は、−0.14/(−3.26)=0.04質量%となる。これは、炭酸ナトリウム無水塩に換算すると0.03質量%である。
また、サンプル2におけるセスキ炭酸ナトリウムの吸熱量は−1.22J/gであったので、セスキ炭酸ナトリウムの含量は、−1.22/(−8.16)=0.15質量%となる。これは炭酸ナトリウム無水塩換算に換算すると0.11質量%である。
[無水メタノール抽出法による各成分成分の総量の特定]
サンプル1と同様の無水メタノール抽出法により、炭酸ナトリウム無水塩、ウェグシャイダー塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分成分の総量を測定したところ、炭酸ナトリウム無水塩換算値で0.15質量%であった。
[炭酸ナトリウム無水塩の含量の算出]
無水メタノール抽出法により求めた各成分の総量0.11質量%から、DSC法により求めたサンプル2におけるセスキ炭酸ナトリウムの含量(炭酸ナトリウム無水塩換算)0.11質量%を差し引いて、サンプル2における炭酸ナトリウム無水塩の含量は0.00質量%と算出できる(0.11−0.11=0.00)。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2006145521
本発明によれば、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成、特に表面近傍の組成を、既存の装置を利用して少ない試料で高精度の定量分析できる。よって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性を判断したり、固結性低減のための対策を取ったりするために炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面組成の調整や表面組成の状態の把握が必要な様々な用途に適用できる。
実施例におけるサンプル1の吸熱プロファイル 実施例におけるサンプル2の吸熱プロファイル

Claims (6)

  1. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、二酸化炭素を実質的に含まない乾燥したガス中において、一定の速度で昇温しつつ示差走査熱量分析装置を用いて温度と吸熱量の関係を測定し、炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれるウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の加熱分解による吸熱量を、測定によって得られた温度と吸熱量の関係を表した曲線における特定の二種の温度区間の積分値によりそれぞれ求め、かかる吸熱量から、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の前記各成分の定量分析を行うことを特徴とする炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
  2. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子の昇温速度が毎分0.2〜2℃である請求項1に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
  3. ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウム各々について吸熱の積分値を求める特定の二種の温度区間を以下の通りとする請求項1または2に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
    (1)ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩についての積分開始温度が36〜47℃の間の温度であり、積分終了温度が50〜64℃の間の温度である。
    (2)セスキ炭酸ナトリウムについての積分開始温度が46〜60℃の間の温度であり、積分終了温度が73〜83℃の間の温度である。
    (3)上記(1)と(2)の温度区間が重なる場合には、ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩の加熱分解による(1)の吸熱量を求めた後に、セスキ炭酸ナトリウムの加熱分解による(2)の吸熱量を求める。
  4. ウェグシャイダー塩又は炭酸ナトリウム一水塩、及びセスキ炭酸ナトリウムを、かかる各成分を実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に各々所定量混合した標準試料に対して請求項1に記載の方法と同様の測定を行って得られた前記各成分の加熱分解による吸熱量を基準として、定量分析の対象である炭酸水素ナトリウム結晶粒子に含まれる前記各成分の絶対量を算出する請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
  5. ウェグシャイダー塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを実質的に含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子につき請求項1に記載の方法と同様の測定を行い、得られた吸熱量を差し引いて、炭酸水素ナトリウム結晶粒子自体の加熱分解による吸熱量を補正する請求項1〜4のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
  6. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子を無水メタノール中で攪拌して得られた抽出液を、30質量%以上の濃度の塩酸溶液を無水メタノールで希釈した塩酸溶液で滴定して、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムの各成分の総量を定量し、一方、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により上記炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム一水塩及びセスキ炭酸ナトリウムを定量し、該定量値を上記総量から減じることにより炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム無水塩を定量する炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成分析方法。
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