JPH10160695A - 温度変調示差走査熱量測定装置 - Google Patents

温度変調示差走査熱量測定装置

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JPH10160695A
JPH10160695A JP32438396A JP32438396A JPH10160695A JP H10160695 A JPH10160695 A JP H10160695A JP 32438396 A JP32438396 A JP 32438396A JP 32438396 A JP32438396 A JP 32438396A JP H10160695 A JPH10160695 A JP H10160695A
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JP
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temperature
sample
difference
heat source
differential scanning
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Application number
JP32438396A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Kanari
克彦 金成
Takeo Ozawa
丈夫 小沢
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Daicel Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度変調示差走査熱量測定装置において、試料
の転移、融解、結晶化および反応における試料の挙動の
差異の本質を明確に示す。 【解決手段】本発明は、定速の温度変化に温度変調を重
ね合わせて熱源の温度または試料の温度を変化させる温
度変調示差走査熱量測定装置において、試料と基準物質
との温度差あるいは試料と熱源との温度差を積分手段2
1で時間積分し、時間積分された量を出力手段22にて
出力することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加熱冷却過程におけ
る転移、融解、結晶化および反応などにおいて、これら
の変化の検出ならびに試料により吸収あるいは発生する
熱量の測定および試料の比熱容量の測定に応用される示
差走査熱量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】示差走査熱量測定装置は、上記測定のた
め、化学、物理学、地質鉱物学、生物学、と医学などの
学術的研究やその応用である材料、医薬品、食品などの
研究開発に使われているばかりでなく、製品の品質管
理、品質保証、あるいは製造工程の管理にも使われる基
本的な測定装置であり、ISO 9000 の品質保証におい
ても重要な役割を果たしている。
【0003】従来の示差走査熱量測定においては、温度
は一定の速度で上昇あるいは下降されていた。最近、こ
の定速の温度変化に対して温度変調を重ね合わせる方式
が発明された。これが温度変調示差走査熱量測定であ
る。この新方式は、特開平7-181154号に開示されている
が、その明細書に示されている熱流束型示差走査熱量測
定装置は、図1に示した本発明の装置とほぼ同一構造の
装置である。但し、従来例では、ヒータコントローラか
ら金属ブロックの温度がマイクロコンピュータに入力さ
れてはいない。
【0004】ここで、1は試料を収容した容器であり、
2は基準物質を収容した容器である。基準物質は熱的に
特性が変化することがない。これら容器1、2は、金属
板でつくられたホルダ3の上に乗せられている。4およ
び5は熱電対の接点であり、試料と基準物質の温度を計
測する他、ホルダ3を介して試料と基準物質との温度差
も計測できる。すなわち、ホルダ3は示差熱電対の一部
を形成する。これらを取り囲む金属ブロック6にはヒー
タが付けられており、その温度は熱電対7で計測され、
ヒータ・コントローラ8で制御されている。
【0005】試料と基準物質との温度および両者の温度
差は熱電対の直流出力として計測され、A/Dコンバー
タ9によりデジタル信号とされ、マイクロコンピュータ
10、パーソナル・コンピュータ11により処理されて
デジタル・プロッタ12に出力される。
【0006】この装置において測定、出力される量は試
料と基準物質との温度差であり、熱源である金属ブロッ
クの温度は、熱電対7により計測されるが、ヒータ・コ
ントローラ8により金属ブロックの温度の制御にのみ利
用されており、データとしてA/Dコンバータ9、マイ
クロコンピュータ10やパーソナル・コンピュータ11に供
給されてはいない。すなわち、熱源と試料との間の温度
差を見るということはしていない。
【0007】入力補償型温度変調示差走査熱量測定装置
においても、試料と基準物質との入力熱量の差が測定、
出力されているだけである。入力補償型とは、試料と基
準物質を対称の位置に配置し、それぞれを別個に加熱す
るマイクロヒータを設け、試料と基準物質の温度が常に
等しくなり、かつ、一定の速さで加熱されるように制御
したときに、両者のマイクロヒータに供給されるエネル
ギーの差を求める装置である。実際は、試料と基準物質
の温度を等しくするのではなく、両者の温度を測定する
温度センサの出力を等しくしている。
【0008】後に示す実施例で明らかなように、このよ
うな温度差や入力熱量差は、転移現象の本質に関連する
本質的な量ではないため、これらの量やそのフーリエ変
換により求められる熱源温度変調または試料温度変調と
同位相成分の量や異位相成分の量は、試料内に起きてい
る変化の性質を的確に示していない場合が多く、他の変
化との差異を明瞭に示していない。
【0009】温度変調ではなく、振動する荷重や電圧な
どを試料に加え、試料の応答を測定し、これを荷重や電
圧などの振動と同位相の成分と異位相の成分に分離し、
それらから貯蔵弾性率と損失弾性率あるいは抵抗成分と
容量成分とを求めることが行われている。ここでは、計
測される力学特性や電気特性は、温度とは独立な量であ
る。このため、同位相の成分と異位相の成分に分離して
貯蔵弾性率と損失弾性率あるいは抵抗成分と容量成分を
求めることができ、それらは有意義な測定量である。
【0010】しかし、温度変調の場合は事情が異なる。
転移、融解、結晶化、反応などの熱的異常がない場合
は、温度変調に対する試料の熱的応答を同様に処理して
比熱容量を求めることができる。それは、熱的異常がな
い場合、加熱、冷却による温度上昇下降が線形現象であ
るためであり、定速の温度の上昇下降と温度変調を互い
に独立なものとして取り扱うことが可能であるからであ
る。
【0011】これに対して、転移、融解、などは一定温
度で進行し、この他の結晶化や反応などの熱的異常も同
様に非線形現象であるため、定速昇降温に重ね合わされ
た温度変調に対する試料の応答を分離して扱うことがで
きない。したがって、温度変調に対する試料の応答を同
位相の成分と異位相の成分に分離しても、本質的に意味
のある量を得ることはできない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、温度差や
入力熱量差では、試料の本質的な挙動の差異が明瞭には
示されない。本発明は、試料の転移、融解、結晶化およ
び反応における試料の挙動の差異の本質を直接、明確に
示すことを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、転移などの変
化の性質の差を本質的に示すものは、加熱過程に重ね合
わされた温度変調による冷却過程での試料の挙動であ
り、その過程における試料の累積吸発熱量であり、これ
が試料のエンタルピー変化に対応するという知見に基づ
く。
【0014】試料の挙動の本質的な差異は、加熱冷却過
程とくに冷却過程における試料の累積吸発熱量に現れ
る。この累積吸発熱量は、試料温度と熱源温度との差を
時間積分した量に比例する。比例係数は両者の間の熱伝
達係数である。この累積吸発熱量には、試料から外界に
流れる熱損失や試料以外の試料容器と周辺物質とを加
熱、冷却する熱量も含まれている。基準物質(空の試料
容器を用いる場合が多い。)が試料と対称的に置かれて
おり、その熱的環境が試料と同様であれば、基準物質温
度と熱源温度との差に熱伝達係数を乗じた量の時間積分
は、試料から外界に流れる熱損失と試料容器と周辺物質
とを加熱、冷却する熱量との和にほぼ等しい。 したが
って、両者の差、すなわち、試料温度と熱源温度との差
の時間積分から基準物質温度と熱源温度との差の時間積
分を差し引き、これに熱伝達係数を乗じた量、つまり、
試料温度と基準物質温度の差に熱伝達係数を乗じた量の
時間積分は、試料のみの加熱、冷却に伴う累積吸発熱量
である。
【0015】こうして求められた量が、試料の温度変
化、とくに冷却過程でどのように変化するかを見れば、
試料内に起きている変化の本質を明確に示すことができ
る。すなわち、時間積分の変化を見ることで、これまで
の手法では見つけることができなかった試料内での変化
を知ることができ、この結果、試料内で起きている変化
の本質を知ることができる。
【0016】この温度差に熱伝達係数を乗じた量の時間
積分を、試料温度に対して測定の途中において時々刻々
プロットするように測定量を加工すれば、試料温度の変
化に対する試料への吸発熱が明瞭に示される。定性的に
試料の熱的挙動を知る目的には、温度差の時間積分を試
料温度に対して時々刻々プロットしてもよい。
【0017】本発明により測定結果がより適切、的確に
提示されるようになり、従来法のように、結果の解釈に
疑義や誤りが生ずることを避けられ、試料に生ずる変化
の本質がより明確に示される。
【0018】よって、本発明は、定速の温度変化に温度
変調を重ね合わせて熱源の温度または試料の温度を変化
させることで基準物質に対する試料の変化を測定する方
法であり、試料と基準物質との温度差あるいは試料と熱
源との温度差を時間積分し、得られた時間積分量から試
料の本質を解析する方法であり、より具体的な装置とし
て、定速の温度変化に温度変調を重ね合わせて熱源の温
度または試料の温度を変化させる温度変調示差走査熱量
測定装置において、試料と基準物質との温度差あるいは
試料と熱源との温度差を時間積分する積分手段と、この
積分手段により時間積分された量を出力する出力手段
と、を備えたことを特徴とする温度変調示差走査熱量測
定装置として特定できる。
【0019】また、前記積分手段は、試料と基準物質と
の温度差あるいは試料と熱源との温度差に試料と熱源と
の熱伝達係数を乗じて時間積分することも可能である。
出力手段は、時間積分量を試料温度に対してプロットす
る、プロッタ、プリンタ、ディスプレイ等通常コンピュ
ータにおける出力装置を使用できる。
【0020】出力手段は、時間積分量を試料温度に対し
て時間変化として逐次リアルタイムにプロットすること
が望ましく、これによりリアルタイムに試料の特性を知
ることができる。
【0021】本発明は、熱流速型温度変調示差走査熱量
測定装置に好適に適用されるが、試料と基準物質を対称
の位置に配置し、それぞれを別個に加熱するヒータを設
け、試料と基準物質の温度が常に同じ等しくなり、か
つ、一定の速さで加熱されるように制御したときに、両
者のヒータに供給されるエネルギーの差を求める入力補
償型温度変調示差走査熱量測定装置にも同様に適用でき
る。
【0022】なお、温度変調として、正弦波、矩形波あ
るいは三角波を使用できる。また、前記積分手段、出力
手段は、コンピュータにインストールされることでコン
ピュータのとりわけCPUに実現されるプログラムによ
って提供され、通常はCD−ROMやフロッピーディス
クなどの記録媒体に格納され、頒布される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る第
1の温度変調示差走査熱量測定装置のシステム構成図で
ある。以下、この装置をモデルAとする。
【0024】この装置は、ハードウェア的には、特開平
7ー181154で示された従来型の装置とほぼ同一で
あり、器状に形成されたブロック・ヒータ6と、ブロッ
ク・ヒータ6上に架設された熱電気ディスク3と、熱電
気ディスク3上に離間して配置される試料皿1及び基準
物質皿2と、熱電気ディスク3の周縁上に載置されて熱
電気ディスク3を押さえる環状のリング壁15と、この
リング壁15の上面を塞ぐ蓋体16と、ブロック・ヒー
タ6の底部穴から挿入された、試料の温度を測定する試
料温度熱電対4と、ブロック・ヒータ6の底部穴から挿
入された、基準物質の温度を測定する基準物質熱電対5
と、リング壁15と熱電気ディスク3と蓋体16とで囲
まれた空間内に不活性ガスなどを導入するパージガス入
口13と、蓋体16に設けられ、前記空間内から不活性
ガスなどを排気するパージガス出口14とを備えてい
る。
【0025】前記ブロック・ヒータ6は金属ブロック中
に電熱線を設けたヒータで、ヒータ・コントローラ8に
よって温度制御される。ヒータ・コントローラ8は、ヒ
ータ用熱電対7によってブロック・ヒータ6の温度を検
出することで、ブロック・ヒータ6の温度を目標値にま
で加熱する等の温度制御を行う。ヒータ・コントローラ
8は、定速の温度変化に温度変調を重ね合わせて熱源の
温度または試料の温度を変化させる。
【0026】ヒータ・コントローラ8は、マイクロコン
ピュータ10に接続され、このマイクロコンピュータ1
0によって制御されるようになっており、かつ、マイク
ロコンピュータ10へとブロック・ヒータ6の温度、す
なわち、熱源温度を送信している。
【0027】また、マイクロコンピュータ10には、A
/Dコンバータ9を介して試料温度熱電対4と基準物質
熱電対5とが接続され、試料温度、基準物質温度がデジ
タル信号として入力される。
【0028】マイクロコンピュータ10にはさらに、制
御・解析用にパーソナル・コンピュータ11が接続さ
れ、このパーソナルコンピュータ11にはデジタル・プ
ロッタが接続されている。
【0029】本発明を実現するため、制御・分析用コン
ピュータとしてのパーソナル・コンピュータ11に、試
料温度と熱源温度との差、あるいは試料温度と基準物質
温度との差を時間積分する積分手段21と、この積分手
段21による積分結果を時系列でリアルタイムにプロッ
トするようデジタル・プロッタ12を制御する出力手段
22とをソフトウェアにより実現している。
【0030】積分手段21は、A/Dコンバータ9を介
してデジタル信号として入力された試料温度と熱源温度
を確保し、その両者の差の時間積分を演算するととも
に、A/Dコンバータ9を介してデジタル信号として入
力された基準物質温度と熱源温度とを確保して、両者の
差の時間積分を演算する。
【0031】そして、試料温度と熱源温度の差の時間積
分から、基準物質温度と熱源温度の差の時間積分を差し
引き、これに熱伝達係数を乗じる。これにより、試料温
度と基準物質温度の差に熱伝達係数を乗じた量の時間積
分が得られる。これは、試料のみの加熱、冷却に伴う累
積吸発熱量に相当する。試料と基準物質との温度差の場
合も同様である。
【0032】出力制御手段は、出力指令に応じて、時間
積分の結果を、所定経過時間毎にデジタル・プロッタ1
2に出力し、デジタル・プロッタ12はその結果をグラ
フとしてリアルタイムに出力する。
【0033】積分手段21と出力手段22を実現するプ
ログラムは、記憶媒体に記憶されて配布され、このプロ
グラムを、コンピュータ11に、インストールすること
により実現できる。
【0034】図2に本発明に係る第2の温度変調示差走
査熱量測定装置の一部を示す。これは、モデルAの装置
のブロック・ヒータの底部中央を盛り上げ、ヒータを構
成する金属ブロックが、熱電気ディスクの中央を越えて
突起30として起立し、試料と基準物質との間を熱的に
遮断した構成である。以下、この装置をモデルBとす
る。
【0035】次に、図1、図2の装置により、単純で自
明な転移、融解、などの吸熱現象を想定して、計算機シ
ュミレーションにより問題点の解明と本発明の利点とを
提示することとする。
【0036】図1の熱流束型示差走査熱量測定装置で、
熱源6からの熱は、試料1および基準物質2に供給され
る。試料(および基準物質)に供給された熱量の一部
は、温度計測用の熱電対(または抵抗温度計)のリード
を通って外部に流れる。試料、基準物質には熱容量があ
り、上記の熱の流れる経路自身にも熱容量がある。図1
のモデルAでは、試料と基準物質との間に熱交換が起こ
るので、これを考慮して等価電気回路で表せば、試料と
基準物質との間の熱交換の等価回路{図3(b)}を図
3(a)に付加した等価回路となる。
【0037】図3(a)で、各記号は、以下の意味を示
す。 Tf :熱源温度 Tfs:熱源と試料の中点での温度 Ts :試料温度 Tfr:熱源と基準物質の中点での温度 Tr :基準物質温度 To :外界の温度 K :熱伝達係数 k :熱伝達係数 Cs :試料の温度上昇に要する熱容量 Cfs:熱源と試料の中点での温度上昇に要する熱容量 Cr :基準物質の温度上昇に要する熱容量 Cfr:熱源と基準物質の中点での温度上昇に要する熱容
量 H :融解等に使用された熱量 図3(b)では、 Ch :試料〜基準物質間の熱容量 Th1〜Th3:試料〜基準物質間の温度 なお、図3(b)は、Ts〜Trに介在する熱伝達係数hが
存在する回路に置き換えることができる。計算を簡単に
するため、以下のシュミレーションでは、このように置
き換えをした{後記(2)式を参照}。
【0038】図2のモデルBでは、試料と基準物質との
間に金属ブロックが介在しており、両者の間に直接熱交
換はない。したがって、等価回路は図3(a)のみであ
る。この熱の流れとそれによる温度の上昇下降を数式で
表現し、熱源温度が直線で上昇すると共に温度変調(通
常、正弦波)が加えられているとする。温度変調の範囲
は、周期が30〜130秒で、振幅が0.2〜2K(ケ
ルビン)、加熱速度が0.5〜5K/分、が好ましい。
【0039】こうしてシミュレーションを行った。計算
機シミュレーションにおいては、図3(a)(b)の等価電気
回路に基づき、装置内の熱流をモデル化して数式で表現
し、これに有限差分法を適用した。なお、有限差分法に
ついては、「数値伝熱学」斉藤武雄著、養覧堂、199
2年(第3版)等において公知の数値解析方法である。
【0040】シュミレーションで実験した理由は、次の
通りである。実験では温度振動を加える方法であるた
め、素性の良い純粋な金属であると、1サイクルの温度
振動で融解してしまい、その特性をフーリエ変換できな
いなど、本装置での解析が困難となる。一方、本装置は
高分子の解析にもっぱら用いられるが、高分子では広い
範囲で融解などが起きるのであるが、さらに、高分子で
は、熱履歴などで性質が変わり典型例がなく、実験して
みてもその結果がその高分子の融解現象を表しているの
か、議論のしようがない。そこで、本件では、シュミレ
ーションを行ったのである。
【0041】まずシュミレーションにあたって、図3か
ら、以下の式が成り立つ。試料につき
【0042】
【数1】 Cfs(dTfs/dt)= K(Tf−Tfs)+K(Ts−Tfs) ・・・(1) Cfs(dTfs/dt)は試料側経路中点での温度上昇に
要する熱量を示す。
【0043】
【数2】 Cs(dTs/dt)+Hdx/dt = K(Tfs−Ts)+k(To−Ts)+h(Tr−Ts) ・・・(2) Cs(dTs/dt)は試料の温度上昇に要する熱量を示
す。Hdx/dtは融解等に費やした熱量である。h
(Tr−Ts)は試料と基準物質間での熱交換量である。
(2)式は、モデルAを示し、モデルBでは右項のh
(Tr−Ts)は0となる。
【0044】温度の上昇に要する熱容量Cs の変化を図
4(a)、図5(a)に示す。
【0045】図4(a)は融解が可逆的な場合を示す。
可逆的とは、温度の上昇に伴う熱容量の変化の経路と、
温度の下降に伴う熱容量の変化の経路が同一の場合であ
る。この時、エンタルピーの変化の経路も図4(b)に
示したように、可逆的になる。
【0046】図5(a)は融解が非可逆的な場合を示
す。非可逆的とは、温度の上昇に伴う熱容量の変化の経
路と、温度の下降に伴う熱容量の変化の経路が異なる場
合である。この時、エンタルピーの変化の経路も図5
(b)に示したように、非可逆的になる。融解が非可逆
的な場合、戻り時にE1、E2で示した破線のような経
路をたどるので、この破線が見られるか否かが物質の特
質を解析する上での重要なメルクマールとなる。基準物
質につき
【0047】
【数3】 Cfr(dTfr/dt)= K(Tf−Tfr)+K(Tr−Tfr) ・・・(3) Cfr(dTfr/dt)は基準物質側経路中点での温度上
昇に要する熱量を示す。
【0048】
【数4】 Cr(dTr/dt)= K(Tfr−Tr)+k(To−Tr) ++h(Ts−Tr) ・・・(4) Cr(dTr/dt)は基準物質の温度上昇に要する熱量
を示す。h(Ts−Tr)は試料と基準物質間での熱交換
量である。(4)式は、モデルAを示し、モデルBでは
右項のh(Ts−Tr)は0となる。熱源につき
【0049】
【数5】 Tf = Tb+φt+Afexp(iωt) ・・・(5) φ :加熱(昇温)温度(φtは定速昇温を表す) A :温度変調の振幅 Tb :加熱開始時の温度 ω :角周波数 exp(iωt)=cosωt+isinωt 以上より推定される試料温度(Ts)、基準物質の温度
(Tr)は、転移、融解、反応がない時は(H=0)、
【0050】
【数6】 Ts = Tb+φt+As *exp(iωt)−Bs ・・・(6)
【0051】
【数7】 Tr = Tb+φt+Ar *exp(iωt)−Br ・・・(7) A*:温度変調の振幅(複素数) B :熱源の定速昇温からの定常的な遅れ となる。
【0052】すなわち、転移、融解、反応が無い時に
は、加熱開始初期を除き、試料の温度と基準物質の温度
は、Bで表される熱源の定速昇温からの一定温度差の遅
れと、A* の虚数部で表される位相の遅れとを伴って、
熱源の温度変化に追随する(動的な定常状態)。
【0053】図3の等価回路で示された装置について、
熱源温度が(5)式にしたがって制御されているとして、
(1)〜(4)式を用いてシュミレーションを行ったが、転
移、融解、反応が無い時には、(6)および(7)式で示され
たような温度変化を示すことが確かめられており、一例
が図6[熱源温度と試料温度の時間に対する変化を示し
た図。融解温度範囲(Tm1 〜Tm2 )以外の部分。]と
図7[基準物質温度の時間に対する変化を示した図。融
解温度範囲(Tm1 〜Tm2 )以外の部分。]に示されて
いる。
【0054】転移、融解、反応が在る時の時間積分につ
いては、(1)〜(4)式を簡略化した次の式を用いて説明す
る。(すなわち、熱流路の熱容量、Cfs ,Cfr を無視
したことになる。)
【0055】
【数8】 CsdTs/dt+Hdx/dt =(K/2)(Tf−Ts)+k(T0−Ts)+h(Tr−Ts)・・・(8)
【0056】
【数9】 Crdtr/dt =(K/2)(Tf−Tr)+k(T0−Tr)+h(Ts−Tr)・・・(9) ここで、(K/2)となっている理由を述べる。すなわ
ち、(1)〜(4)式では試料と熱源との間の熱流路を2つに
分割してそれぞれの熱伝達係数をKとしてきたが、(8)
と(9)の式では試料と熱源との温度差が関与するので、
その熱伝達係数が(K/2)となる。
【0057】(8)と(9)の2つの式をそれぞれ時間積分す
れば、次の式を得る。
【0058】
【数10】
【0059】
【数11】
【0060】ここで、積分の上限と下限は、現在の時間
と実験開始時であり、実験開始時の温度は通常室温であ
る。この2つの式の差を取って、整理すれば次式を得
る。
【0061】
【数12】
【0062】ここで、δは次式で与えられる。
【0063】
【数13】 δ=Cr(Ts−Tr) ・・・(13) (12)式によれば、試料温度と基準物質温度との差の時間
積分に熱伝達係数(K/2+k+h)を乗じた値は、そ
れまでの試料のエンタルピー変化に大略等しい。誤差は
δで与えられ、(13)式に示すように、Cr は試料の熱容
量に比べれば小さく、(Ts−Tr)も時間積分の上限と
下限とにおける温度差(Ts−T0)に比べれば小さいか
ら無視できる。
【0064】また、(10)式によって、試料温度と熱源温
度との差の時間積分に熱伝達係数K/2を乗じた値も、
それまでの試料のエンタルピー変化に大略等しいが、(1
0)式左辺の第二項と第三項とが誤差となり、これはδに
比べてやや大きい。
【0065】なお、明細書に説明されているシミュレー
ションにおいては、熱伝達係数(K/2、k、h)は一
定と仮定されているため、時間積分そのものは、これに
熱伝達係数を乗じた値に比例し、したがって、エンタル
ピー変化に比例するが、実際の装置による測定では熱伝
達係数は温度に依存して変化するから、熱容量の標準物
質(例えば合成サファイアが推奨されている)を用いて
別途求めておく必要がある。
【0066】また、明細書で説明されているシミュレー
ションにおいては、上述のように熱源温度が(5)式によ
り制御されている場合のみが記述されているが、(8)〜
(13)式を導く過程では特別の仮定は設けられていないの
で、ここに述べられた結論は、試料温度が(5)式のよう
に制御されている場合においても、温度変調が正弦波で
ない場合においても適用できる。
【0067】積分結果を得るまでのフローチャートを図
8に示す。
【0068】まず、試料温度を一定時間間隔ごとに測定
し記録する(ステップ1)。次に、熱源温度もまた一定
時間間隔ごとに測定し記録する(ステップ2)。これら
は同時に行うのが好ましい。そして、例えば、シンプソ
ンの公式により、温度差の演算と時間積分を行う(ステ
ップ3)。得られた演算結果をプロッタ等でリアルタイ
ムに出力する(ステップ4)。
【0069】試料温度と基準物質温度との差の時間積分
を求める場合も同様である。なお、以下の実施例では、
試料と基準物質との温度差、あるいは、試料と熱源との
温度差を時間積分した場合のみを示し、試料と基準物質
との温度差あるいは試料と熱源との温度差に試料と熱源
との熱伝達係数を乗じて時間積分した場合は示していな
い。その理由は、熱伝達係数は定数であるため、結果と
しては同一だからである。
【0070】以下、具体的な数値を代入して得たシュミ
レーション結果を実施例1、2として示す。 [実施例1]インジウムの融解を参考として試料の熱容
量と融解の潜熱を決めてシミュレーションを行った。た
だし、シミュレーション計算の都合で融解は一定の温度
でおきるのではなく、狭い温度幅(0.2℃)で起きたも
のとした。この時、融解が完全に可逆的である場合(す
なわち、融解の途中で冷却するとすぐに凝固が始まる場
合)と完全に非可逆的である場合(すなわち、融解の途
中で冷却しても凝固は全く起こらず、過冷却する場合)
とを比較した。測定の条件は、昇温速度0.2℃/分、温
度振動振幅0.2℃、周期30秒とした。
【0071】本発明の実施例において、計算機シュミレ
ーションを示したのは、転移、融解の挙動が明確に規定
でき、結果が確かな論拠に基づいて論じられるからであ
る。図6では、TS(試料)とTf(熱源)の温度変化を
示しており、TmはTsの融点を示す。Tm1からTm
2の範囲は非可逆的である。
【0072】本発明のように、試料温度と熱源温度の差
の時間積分ならびに試料温度と基準物質温度の差の時間
積分を、試料温度に対してプロットすると図9(a)
(b)ならびに図10(a)(b)のようになる。これ
らの時間積分は試料のエンタルピー変化を反映してい
る。試料温度を横軸にとることにより、試料の冷却方向
のエンタルピー変化が明瞭に示される。非可逆的であれ
ば、冷却による試料からの熱の放出は比熱容量によるも
のであり、融解熱は関与しないから、融解領域以外での
時間積分と試料温度との関係と同様な経過をとり、これ
が突起(P)として現れる。可逆的であれば、潜熱の放
出を伴い、加熱方向でのエンタルピー変化を逆にたどる
こととなる。
【0073】こうして、両者の差異が明瞭に示される。
すなわち、可逆的であれば、図9と図10に明かのよう
に、試料温度と時間積分とのプロットは1本の滑らかな
線となり、非可逆的であれば、図で明らかなように、こ
のプロットに試料の非可逆的な過冷却による突起(P)
が現れる。
【0074】この点をさらに詳細に説明する。図9
(a)(b)を更に拡大したのが、図11、図12であ
る。この図11、図12は、インジウム相当試料のエン
タルピーを試料温度に対してプロットした図である。図
11は、試料が可逆的に融解・凝固する場合である。ま
た、図12は、試料が一度融解すると、温度が下がって
も凝固しない場合である。以下、この現象をスーパーク
ール現象という。
【0075】図11と図12を比較すると、エンタルピ
ー変化の立ち上がり部分に、「髭」のような突起Pがあ
るか否かである。図12では、試料が一度融解した後、
温度が下がっても凝固せず、潜熱の放出が無いので(試
料の大きなエンタルピー変化はない)、試料温度がその
まま低下し、「髭」(突起P)が出ることになる。
【0076】これに対し、図11の、スーパークール現
象が無い場合、融解した試料が冷却されると、試料が凝
固するので、潜熱が放出され、試料の温度はそれ以上下
がらないので、「髭」(突起P)は出ない。
【0077】このように、時間積分した結果から、スー
パークール現象の有無を知ることができる。 [比較例1]従来の温度変調示差走査熱測定装置では可
逆的な過程は熱源温度と同位相の成分として現れ、非可
逆的な過程は異位相成分に現れるとされており、両者の
区別が容易にできるとされている。
【0078】そこで、従来の方法によるデータ処理を行
った。まず、試料と基準物質との温度差の時間に対する
変化を求め、これをフーリエ変換により、同位相成分と
それ以外の成分とに分けて示したのが、図13(a)
(b)である。両者に本質的な差異が見られない。
【0079】可逆的であるか、非可逆的であるかの差異
は、逆の過程、つまり冷却過程でのみ顕著に見られる。
したがって、このようなデータ処理では両者の本質的な
差異は認められず、前述の公開特許のように、可逆的で
あるか非可逆的であるかにより、温度差の位相が明瞭、
顕著に変化することはない。前述の公開特許は、高分子
物質において実際に測定された例を挙げているが、高分
子物質は本来不純な物質であり、また、過去の熱履歴に
より転移、再結晶化の挙動がことなる。
【0080】このように、本来熱的挙動が不明確な試料
を対象として行われた測定をもって測定結果を論じ、装
置の特性を結論することは妥当性を欠いている。 [実施例2]上述の実施例と同様なシミュレーションを
結晶性高分子の融解のような広い温度領域にわたり、融
解が起きる場合について行った。ポリエチレンの比熱容
量や融解熱を参考として試料の比熱容量と融解熱を決め
た。測定条件は、昇温速度1℃/分、温度振動振幅0.2
℃、周期30秒である。
【0081】結果は図14(a)(b)〜図16(a)
(b)に示した。結果は上述の実施例と同様であり、融
解の温度幅が広いので、本発明の特徴が一層明瞭に示さ
れている。
【0082】示差走査熱量測定の特徴は基準物質を対称
的に置いて試料との温度差あるいは熱入力差を測定する
ことであり、温度変調示差走査熱量測定の特徴はこの測
定の定速昇降温に温度振動を重ね合わせることである。
【0083】以上の実施例で分かるように、温度変調に
よって試料に冷却過程が起きることにより始めてその特
徴が生かされる。
【0084】また、冷却過程を分離することで始めて、
観察している現象の可逆性が明示される。ここでも、従
来方式データ処理と提示の方法では、図14に見られる
ように、可逆的である場合と非可逆的である場合とでは
顕著な差異は認められない。これに対して、図15と図
16とでは、実施例1と同様に、過冷却に伴うプロット
上の突起が観察される。本発明はこの点注目してなされ
た。
【0085】ここで、図15のプロットが滑らかでない
のは、試料周辺に蓄えられている熱量が、試料の温度変
調に伴い放出、吸収される効果によるものである。図1
6では、試料温度と基準物質温度との差の時間積分を計
算したから、基準物質周辺に蓄えられた熱量が試料の場
合と同様に放出、吸収されるために、この効果が消去さ
れているために滑らかな変化となっている。
【0086】この点をさらに詳細に説明する。図15
(a)(b)を更に拡大したのが、図17、図18であ
る。この図17、18は、ポリエチレン相当試料のエン
タルピーを試料温度に対してプロットした図である。図
17は、試料が可逆的に融解・凝固する場合である。ま
た、図18は、試料が一度融解すると、温度が下がって
も凝固しない場合である。以下、この現象をスーパーク
ール現象という。図17と図18を比較すると、「バラ
の棘」のような突起があるか否かである。図18では、
試料が一度融解した後、温度が下がっても凝固せず、潜
熱の放出が無いので(試料の大きなエンタルピー変化は
ない)、試料温度がそのまま低下し、「棘」が出ること
になる。
【0087】これに対し、図17の、スーパークール現
象が無い場合、融解した試料が冷却されると、試料が凝
固するので、潜熱が放出され、試料の温度はそれ以上下
がらないので、「ギザギザ」のみで「棘」は出ない。
【0088】このように、ポリエチレン相当試料の場合
も、時間積分した結果から、スーパークール現象の有無
を知ることができる。 [従来例との比較]従来の温度変調示差走査熱量測定装
置(特開平7ー181154)では、フーリエ変換を行
っており、このため、温度変調の2ないし4周期分をフ
ーリエ変換して同位相成分を求め、これを全吸発熱量か
ら差し引き、同位相成分と差し引いた量とを分けて出力
している。このため、単純で鋭い転移、融解を示す純粋
な低分子量物質を対象として測定するには不向きであ
り、測定例が少なく、高分子物質の複雑で解析しにくい
融解現象などをもっぱら扱っている。このため、問題点
が明確になっていない。
【0089】すなわち、上記各実施例のように、スーパ
ークール現象の有無等を知ることができない。 <他の実施の形態>以上は、入力補償型示差走査熱量測
定装置にも適用できる。入力補償型示差走査熱量測定装
置は、図19に示したように、試料皿1と基準物質皿2
を対称の位置に配置し、それぞれを別個に加熱するマイ
クロヒータ32,33を設け、試料と基準物質の温度が
常に同じ等しくなり、かつ、一定の速さで加熱されるよ
うに制御したときに、両者のマイクロヒータに供給され
るエネルギーの差を求める装置である。実際は、試料と
基準物質の温度を等しくするのではなく、両者の温度を
測定する温度センサの出力を等しくしている。
【0090】この場合には、試料と基準物質とを別個に
加熱するマイクロヒータがそれぞれに近接して設けら
れ、試料と基準物質が等しい温度となるよう制御されて
おり、この時に両者にそれぞれのマイクロヒータから供
給される熱量の差が記録されている。
【0091】温度変調を重ね合わせた測定では温度制御
は、定速昇温(降温)に温度変調を重ねたものとなる。
ここで、実際に温度制御されているのは、マイクロヒー
タの温度ないしマイクロヒータの温度制御のための熱電
対(あるいは抵抗温度計)である。マイクロヒータない
し温度計から試料および基準物質への熱伝達は、熱流束
型示差走査熱量測定装置における熱源から試料および基
準物質への熱伝達と同様に行われる。
【0092】すなわち、入力補償型示差走査熱量測定装
置におけるマイクロヒータないし温度センサが、熱流束
型示差走査熱量測定装置における熱源と同等な役割を果
たしている。したがって、熱の流れと温度の変化とにつ
いては、両者の測定装置の間に基本的な差異はなく、以
下の結果は入力補償型示差走査熱量測定装置においても
同様であると考えることができる。
【0093】なお、上記した各例は熱源温度をコントロ
ールしているが、試料温度をコントロールしても同様の
結論となることは言うまでもない。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、積分手段を設け、試料
と基準物質との温度差あるいは試料と熱源との温度差を
時間積分すること、または、試料と基準物質との温度差
あるいは試料と熱源との温度差に試料と熱源との熱伝達
係数を乗じて時間積分することにより、試料の本質をよ
り的確に測定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱流束型示差走査熱量測定装置(モデルA)
の図
【図2】 熱流束型示差走査熱量測定装置(モデルB)
の部分図
【図3】 装置内の熱流の等価回路であり、(a)は本
体部の等価回路、(b)は付加的部分の等価回路であ
る。
【図4】 融解が可逆的な場合における、(a)温度の
上昇に伴う熱容量Cs の変化と、(b)エンタルピーの
変化。
【図5】 融解が非可逆的な場合における、(a)温度
の上昇に伴う熱容量Csの変化と、(b)エンタルピー
の変化。
【図6】熱源温度と試料温度の時間に対する変化を示し
た図
【図7】基準物質温度の時間に対する変化を示した図
【図8】積分結果を得るまでのフローチャート
【図9】 実施例1における試料と熱源との温度差の時
間積分結果であり、(a)は融解が可逆的な場合、(b)
は融解が不可逆的な場合である。
【図10】 実施例1における試料と基準物質との温度
差の時間積分結果であり、(a)は融解が可逆的な場
合、(b)は融解が不可逆的な場合である。
【図11】図9(a)を更に拡大した図。
【図12】図9(b)を更に拡大した図。
【図13】 比較における試料と基準物質との温度差の
時間変化のフーリエ変換結果(従来方式、モデルB)で
あり、(a)は融解が可逆的な場合、(b)は融解が不可
逆的な場合である。
【図14】 比較例における試料と基準物質との温度差
の時間変化のフーリエ変換結果(従来方式、モデルA)
で、(a)は融解が可逆的な場合、(b)は融解が不可逆
的な場合である。
【図15】 実施例2における試料と熱源との温度差の
時間積分結果で、(a)は融解が可逆的な場合、(b)は
融解が不可逆的な場合である。
【図16】 実施例2における試料と基準物質との温度
差の時間積分結果で、(a)は融解が可逆的な場合、
(b)は融解が不可逆的な場合である。
【図17】図15(a)を更に拡大した図。
【図18】図15(b)を更に拡大した図。
【図19】入力補償型示差走査熱量測定装置の模式図。
【符号の説明】
1…試料皿 2…基準物質皿 3…熱電気ディスク 4…試料温度熱電対 5…基準物質熱電対 6…ブロック・ヒータ(熱源) 7…ヒータ用熱電対 8…ヒータ・コントローラ 9…A/Dコンバータ 10…マイクロコンピュータ 11…パーソナル・コンピュータ 12…デジタル・プロッタ 13…パージガス入口 14…パージガス出口 15…リング壁 16…蓋体 21…積分手段 22…出力手段 30…突起 32…試料用マイクロヒータ 33…基準物質用マイクロヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沢 丈夫 東京都千代田区霞が関3丁目8番1号 ダ イセル化学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定速の温度変化に温度変調を重ね合わせ
    て熱源の温度または試料の温度を変化させる温度変調示
    差走査熱量測定装置において、 試料と基準物質との温度差あるいは試料と熱源との温度
    差を時間積分する積分手段と、 この積分手段により時間積分された量を出力する出力手
    段と、 を備えたことを特徴とする温度変調示差走査熱量測定装
    置。
  2. 【請求項2】 前記積分手段は、試料と基準物質との温
    度差あるいは試料と熱源との温度差に試料と熱源との熱
    伝達係数を乗じて時間積分することを特徴とする請求項
    1記載の温度変調示差走査熱量測定装置。
  3. 【請求項3】 前記出力手段は、時間積分量を試料温度
    に対してプロットすることを特徴とする請求項1または
    2記載の温度変調示差走査熱量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記出力手段は、時間積分量を試料温度
    に対して時間変化として逐次リアルタイムにプロットす
    ることを特徴とする請求項3記載の温度変調示差走査熱
    量測定装置。
  5. 【請求項5】 測定装置が、試料と基準物質を対称の位
    置に配置し、それぞれを別個に加熱するヒータを設け、
    試料と基準物質の温度が常に等しくなり、かつ、一定の
    速さで加熱されるように制御したときに、両者のヒータ
    に供給されるエネルギーの差を求める入力補償型温度変
    調示差走査熱量測定装置であることを特徴とする請求項
    1から4のいずれかに記載の温度変調示差走査熱量測定
    装置。
  6. 【請求項6】 温度変調が、正弦波、矩形波あるいは三
    角波であることを特徴とする請求項1から5のいずれか
    に記載の温度変調示差走査熱量測定装置。
  7. 【請求項7】 定速の温度変化に温度変調を重ね合わせ
    て熱源の温度または試料の温度を変化させる温度変調示
    差走査熱量測定装置用のプログラムであって、 試料と基準物質との温度差あるいは試料と熱源との温度
    差を時間積分する積分手段と、この積分手段により時間
    積分された量を出力する出力手段とを、コンピュータ上
    に機能として実現するプログラムを記憶した記録媒体。
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