JP2006144150A - 壁紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可塑剤やホルモン様物質等を含まず、さらに帯電性が低く耐久性にも優れた非塩ビ系の壁紙を提供することを目的とする。
【解決手段】 表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと塗料用添加剤とを含む塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成して得られる壁紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体、液晶デバイス、食品、医薬品、バイオテクノロジー等の産業の工場あるいは病院、小学校、中学校、高等学校、大学等の壁に用いられる壁紙、及び個別住宅や共同住宅の壁紙、並びに製粉工場等の粉体を取り扱う工場の壁紙に関するものである。
従来、壁紙には主に塩ビ系材料が使用されていた。塩ビ系材料では、硬質の塩ビ樹脂を加熱した時に加工しやすいように、例えばフタル酸ジオクチル(以下、「DOP」と略す)等の可塑剤が使用される。可塑剤としてDOPを使用した塩ビクロスを建物の内壁に使用した場合には、塩ビクロスからDOPが空気中に揮発してくる。空気中に揮発してきたDOPは、例えば半導体や液晶デバイス工場では、製品に吸着して、製品の歩留まりを低減するという問題があった。また、例えば、学校の場合には、DOPを含む空気を生徒が長時問にわたって呼吸すると、ホルモン様物質を体内にとりこむおそれがあり、呼吸器系の病気やホルモン様物質の取り込みによる障害が出るおそれが指摘されている。
可塑剤として特別の分子量を持ったものを使用することにより、これらの問題はある程度解決することができる。しかしながら、塩ビ自身が廃棄物として、燃焼したときにダイオキシンが発生することが指摘されており、早急に塩ビを使用しない壁紙を使用する必要に迫られている。
壁紙は、本来、石膏ボード、木質下地等の上に張る目的で使用されるが、その要求性能としては、表面の保護、美観の提示、難燃性の付与等が求められている。また、樹脂材料の場合には、風や摩擦等で帯電した場合に、挨等を吸着し、表面が著しく汚染されていくので、自動的に放電される必要がある。
特公平2−51387号公報 特開2001−192984号公報 特開2001−261906号公報
現在、社会的に問題にされている塩ビによるダイオキシン問題の解決、及び可塑剤及びホルモン様物質によるシックスクール及びシックハウスの解決には、非塩ビ系の壁紙が必要である。また、半導体工場では、可塑剤の吸着汚染の問題、空気中に気散した可塑剤の吸収によるシックハウスの問題の解決に非塩ビ系の壁紙が必要である。しかしながら、塩ビを使用しないで、例えば、ポリエチレンフィルムを使用して壁紙を作る場合には、耐久性が悪く帯電性があり、塵埃の帯電吸着により汚染しやすいことや、燃焼性の問題があること、及び傷つきやすいという問題があって、実用的に使用できるレベルの製品はできていないのが現状である。
これらの問題に鑑みて、本発明は、可塑剤やホルモン様物質等を含まず、さらに帯電性が低く耐久性にも優れた非塩ビ系の壁紙を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、特殊なポリマーと無機繊維を組み合わせた壁紙を作ることにより、従来の塩ビフィルムを使用した場合に問題とされていた諸点を解決できること見出し、本発明を提供するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと、着色剤とを主成分とする塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成して得られる壁紙。
(2)前記塗膜層上に、さらに、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成して得られる前記(1)記載の壁紙。
(3)表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に着色剤を塗布し、次いでその上に、着色顔料を含有せず且つpHを5.0〜9.0に調整した、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成して得られる壁紙。
(4)前記不飽和結合を有するその他のモノマーが、オレフィン系モノマー、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁紙。
(5)前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メタリルスルホン酸及びビニルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の壁紙。
(6)前記着色剤が、無機顔料及び/又は有機顔料を、高分子系分散剤を使用して水に分散したものであることを特徴とする特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の壁紙。
(7)前記不織布が、ガラス繊維、アルミナ繊維、水酸化アルミ繊維及びチタン酸カリ繊維からなる群より選択される少なくとも1種の無機質繊維と、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉体、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミ粉体からなる群より選択される少なくとも1種の無機粉体と、前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)とを用いて成形したものである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の壁紙。
(8)前記不織布が、70〜95重量部の水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムと、5〜30重量部の有機質繊維と、前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)とを用いて成形したものである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の壁紙。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場。
(10)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする病院、製薬工場又はバイオ関連施設。
(11)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする学校の教室。
(12)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする住宅。
(13)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする粉体を取り扱う工場。
(14)表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと塗料用添加剤とを含む塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成することを含む壁紙の製造方法。
(15)前記塗膜層上に、さらに、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成することを含む前記(14)記載の壁紙の製造方法。
(16)表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に着色剤を塗布し、次いでその上に、着色顔料を含有せず且つpHを5.0〜9.0に調整した、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成することを含む壁紙の製造方法。
(17)塗膜層及び/又はトップ層の乾燥及び硬化が遠赤外線の照射により行われる前記(14)〜(16)のいずれかに記載の壁紙の製造方法。
本発明の壁紙を半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の工場に使用すると、壁紙から出てくる汚染物質(アウトガス)が少なく、製造される製品を汚染することがなくなるので、これらの工場で生産される製品の歩留まりを向上することができるという利点がある。また、病院や学校等の壁に使用することにより、これまで病院や学校で問題にされてきた溶剤やホルモン様物質が出てこないので、患者、生徒、学生などをこうした汚染物質から守ることができる。さらに、本発明の壁紙を粉体を取り扱う工場に使用すると、従来、静電気によって樹脂製の壁紙にこびり付いてしまっていた粉体や粉塵が、こびりつかなくなるので、掃除によって容易に取り除くことができるために、工場の衛生環境を清潔に保つことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の壁紙は、表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと着色剤とを主成分とする塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成して得られる壁紙である。ここで、樹脂エマルジョンと着色剤とを主成分とするという意味は、硬化後の塗膜中に残る固体化した樹脂と着色剤との重量の合計が、好ましくは固形分全体の98重量%以上であるということである。本発明で使用する後述の特殊な樹脂エマルジョンを使用した塗料では乾燥すれば良質な塗膜が得られるので、溶剤や造膜剤を大量に使用する必要がない。通常の溶剤型塗料やエマルジョン系塗料では大量の溶剤や造膜剤を使用するため、これらの添加剤が硬化後の塗膜に〜10重量%も残り、この塗膜に残った溶剤や造膜剤がアウトガスとして発生する。そこで、本発明では、硬化後の塗膜中における樹脂エマルジョン及び着色剤以外の溶剤、造膜剤及び後述するようなその他の添加剤固形成分の合計が、好ましくは2重量%以下となる樹脂エマルジョンを塗料用樹脂に使用することによって、アウトガスの発生を抑えている。
塗膜層
本発明の壁紙において塗膜層は壁紙の上層側(表面側)を構成し、難燃性不織布層上に形成される。
本発明で用いられる塗膜層は、カルボキシル基(-COOH)及び/又はスルホン基(-SO3H)を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)と塗料用添加剤とを含む塗料を難燃性不織不層上に塗布し、これを乾燥硬化させることにより形成される。
本発明において、前記共重合体中のカルボキシル基及び/又はスルホン基はその一部がカリウム塩を形成していることを特徴とする。該共重合体中のカルボキシル基及び/又はスルホン基がカリウム塩となることにより塗膜層の表面抵抗値が下がり、壁紙の帯電性を改善することができる。共重合体中の全てのカルボキシル基及び/又はスルホン基のうちカリウム塩を形成しているものの割合は、特に限定されるものではないが、例えば、塗膜層の表面抵抗が10Ω以下、より好ましくは10Ω〜10Ωとなる程度の割合であることが好ましい。このためには、例えば、共重合体中の全カルボキシル基及び/又はスルホン基のうち、例えば、30〜80mo1%、好ましくは40〜70mo1%程度をカリウム塩とすることにより、塗膜層の表面抵抗を10〜10Ωの範囲とすることができる。全カルボキシル基に占めるカリウム塩の割合が低すぎると塗膜層の表面抵抗が高くなる傾向にある。
本発明では、共重合体樹脂中のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部をカリウム塩とすることが重要である。カリウム塩とすることにより、塗膜層の電気抵抗を10Ω以下、好ましくは10Ω以下まで下げることができる上、塗膜層表面の粘着性を改善でき、さらに汚れが付着しにくくなる。このような効果は、ナトリウム塩やリチウム塩では見られないものである。
カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、スルホン酸基を含有するモノマーとしては、メタリルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらの不飽和モノマーの1種以上を用いることができる。
不飽和結合を有するその他のモノマーとしては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン及びスチレン等の炭素数2〜8のオレフィン系モノマー(α−オレフィン)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル及びアクリル酸ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル、さらにメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル及びメタクリル酸ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
カルボキシル基及び/又はスルホン基を有するモノマーと上記不飽和結合を有するその他のモノマーとの使用割合は、得られる共重合体の帯電防止性能や塗膜強度を考慮すると、通常前者が5〜20mol%であり、後者が80〜95mol%である。
また、本発明で用いられる共重合体は水に分散させた樹脂エマルジョンとして使用され、従来の壁紙とは全く異なる方法で製造される。即ち、従来は一度ポリマーを160℃程度に加熱溶融してフィルムとし、これを不織布等に積層するという工程が一般的であったが、これに対して本発明では、水に分散した状態の樹脂(樹脂エマルジョン)を不織布上に塗布し、従来法よりも低い温度(例えば、100℃程度)で加熱乾燥して膜を形成させるものであり、従来の方法とは原理的に全く異なる。このような方法により従来法で得られる樹脂フィルムと同程度の強度の塗膜層を得るにためは、乾燥時にエマルジョン状の樹脂がくっ付き合って(溶融して)より強度のある塗膜を形成することが求められ、したがって、本発明で用いられる共重合体はそのガラス転移温度を低くすることが好ましく、例えば、50℃〜−30℃が好ましい。共重合体樹脂に使用されるモノマーの種類や使用割合を調整することにより、得られる共重合体樹脂のガラス転移温度が上記の範囲内となるようにする。例えば、メタクリル酸メチル(Tg=100℃)とアクリル酸ブチル(Tg=−30℃)とを組合せて、Tg=30℃の共重合樹脂を形成することが可能である。
表面抵抗は、例えば、アジレントテクノロジー社製のpAmeter等を使用して測定することができる。
本発明に用いられる樹脂エマルジョンの製造方法について説明する。塗膜層又はトップ層に使用される共重合体は公知の方法により製造することができ、例えば、原料のカルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと、不飽和結合を有するその他のモノマーとしてエチレンを圧縮工程で加圧してオートクレーブに供給し、周囲から加熱して、有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を供給することによって、重合反応を行うことにより得られる。次いで、上記にようにして得られた共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部をカリウム塩に変換する。このカリウム塩への変換は次の様にして行うことができる。まず、共重合体を粉砕して微粉化する。次いで、微粉化共重合体を水中に分散させ、これに所定量の水酸化カリウムを加えて高速撹絆することによりカルボキシル基及び/又はスルホン基をカリウム塩に中和すると同時に樹脂エマルジョンを形成することができる。
また、別法として以下の方法が挙げられる。
加熱用ジャケットと攪拌機付の反応釜に水と分散剤とカルボキシル基及び/又はスルホン基を含む不飽和モノマーとを入れて十分に撹絆し、さらに不飽和結合を有するモノマーを加えて全体を均一に攪拌する。加熱用ジャケットに熱媒を通して、反応液全体を、例えば50〜80℃に上げ、重合触媒として、有機のアゾ化合物や有機過酸化物、又は無機の過硫酸化合物等を加えて、反応時間は数時間掛けて重合反応を進行させる。反応終了後、得られたエマルジョンのpHは通常3程度であり、金属イオンに対して敏感に反応して凝集を起こしやすくなっているので、アルカリを添加して、pHを5〜10程度、さらに好ましくは6〜8に調整する必要がある。この際使用するアルカリとしては、水酸化カリウムが特に好ましい。亜鉛やカルシウムで中和すると、これらの2価の金属が樹脂エマルジョン中のカルボキシル基やスルホン基を架橋してしまい、樹脂エマルジョンが凝集して使用することができなくなる。従って、亜鉛化合物やカルシウム化合物を使用したい場合には、まず、水酸化カリウムで中和した後、例えば、粉末状の酸化亜鉛や炭酸カルシウムのような充填剤として添加することが必要である。
本発明の塗料に使用する樹脂エマルジョンには公知の添加剤(例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、抗菌剤、難燃剤等)を加えてもよい。だだし、その量は前述の溶剤、造膜剤と合わせて、塗料固形分に対して2重量%以下とするのが好ましい。また、本発明で使用される樹脂エマルジョンは塩化ビニル系樹脂ではないので、DOP等の可塑剤等を添加する必要はない。DOP等の可塑剤はシックハウスの原因物質又はホルモン様物質であり、樹脂フィルムから徐々に拡散放出されて人体等に悪影響を及ぼしたり、またそれ精密機器等を取り扱う工場では製品に付着し、ひいては製品の性能に影響を及ぼすこととなる。このため本発明で用いられる樹脂エマルジョンにはDOP等の可塑剤を添加しないことが好ましい。
使用できる顔料(着色剤)の種類としては、亜鉛、鉛、チタン、カドミウム、鉄、コバルトなどの酸化物、硫化物、硫酸塩等の無機系着色顔料の他、通常体質顔料と呼ばれているバリウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウムの炭酸塩、硫酸塩、水酸化物などを使用することもできる。さらに、ニトロソ、ニトロ、アゾ、フタロシアニン、縮合多環顔料等のフタロシアニンブルー、有機系顔料から選ぶことができる。さらに、カーボンブラックを使用することもできる。
これらの顔料(着色剤)は、本発明の樹脂エマルジョンによく分散する性質があるので、直接これらの顔料を樹脂エマルジョンに添加して使用することができる。また、上記のそれぞれの顔料を公知の高分子系分散剤に分散して製造したペーストカラーを使用するのもよい。高分子系分散剤としては、ポリビニルアルコールや水性アクリル樹脂が特に好ましい。
また、塗料をつや消し塗料にする場合には、つや消し剤として微細な樹脂ビーズやシリカ粉末等を使用することもできる。
樹脂エマルジョンと上記着色剤との割合は、求められる色調によって異なるが、工場では薄い色が好まれるので、通常塗料用樹脂としての樹脂エマルジョンの樹脂固形分に対して、酸化チタンを除き、好ましくは5重量部以下である。酸化チタンでは、隠蔽性を上げるために、10重量部程度まで使用することがある。体質顔料は、例えば炭酸カルシウムや水酸化アルミ、タルク等は塗料樹脂に対して20重量部程度使用することができる。
塗料用添加物としては、着色剤の他に、塗料を乾燥硬化する際に均一な塗膜が得られるように造膜剤を使用することがある。造膜剤は多価アルコールおよびその誘導体を使用することが多いが、硬化後の塗膜からのアウトガスを少なくするためには、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトールなどの造膜剤が好ましい。このほか、増粘剤(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)等を添加してもよい。しかし、その使用量は、本発明の場合には、前記のとおりできるだけ使用しないことが好ましい。
本発明の樹脂エマルジョンに着色剤を混合するには通常のエマルジョン塗料の混練方法でよい。例えば、樹脂エマルジョンに直接着色剤を添加して製造する場合には、サンドミルのような機械を、また、ペーストカラーを使用する場合には、ディスパーサーのような機械を使用する。
本発明で使用する塗料の粘度は、外観性能の要求度合いによって、塗料に含まれる体質顔料の量が変わることによって大きく異なるが、20〜6000mPa・sのものを使用することができる。また、特に平滑な表面を必要とする場合には、体質顔料の添加量を減らして40〜500mPa・sとすることが好ましい。
本発明において、表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に塗布する着色剤は印刷用水性インキの形態で塗布することが好ましい。印刷用水性インキとは、通常印刷業界で使用されているインキの分類では、水性インキに分類されるもので、特に、紙やフィルムを印刷するのに適したものである。その成分は、主に水に分散したアクリル樹脂及び/又はスチレンマレイン酸樹脂に、着色顔料を混合したものである。この水性インキに使用される着色剤の種類は、前記したのと同様のものが挙げられる。
難燃性不織布
本発明の壁紙では下層側(裏面側)に、表面抵抗が1010Ω以下である難燃性の不織布層を使用する。難燃性不織布の原料としては、例えば、無機質織維及び無機粉体等の難燃性材料を挙げることができ、これに所望により有機質繊維(パルプ等)や樹脂バインダーを用いて成形することにより難燃性不織布とすることができる。
無機質繊維とは無機材料よりなる繊維を意味し、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、水酸化アルミ及びチタン酸カリ繊維等が挙げられる。不織布の原料として有機質繊維や樹脂バインダーもある程度の割合で用いることができるが、これらの有機分が多すぎると難燃性ではなくなってしまうので、有機分の使用量は難燃性材料100重量部に対して10重量部以下とすることが好ましい。
また、本発明の壁紙全体を難燃性にするためには、前述の共重合体樹脂を含む塗膜層との重量比についても重要であり、難燃性不織布層100重量部に対して塗膜層は40重量部以下とすることが好ましい。
難燃性不織布層の表面抵抗は1010Ω以下であることが好ましく、10Ω以下であることがさらに好ましい。本発明で使用する不織布層の表面抵抗を1010以下、好ましくは10Ω以下にする理由は、表層となる塗膜層又はトップ層において摩擦等によって静電気が発生した場合に、この静電気が難燃性不織布層を通して壁地に容易に放電されるようにするためである。
ところで、例えば、ガラス繊維等の無機質繊維自体は通常電気抵抗が大きいので、このような電気抵抗の大きい不織布材料を使用する場合は、不織布の電気抵抗を1010Ω以下に下げるために導電性を有する(帯電性の低い)バインダーを一緒に不織布に使用することが好ましい。そのようなバインダーとしては、例えば、ζ電位が−20mV以下、好ましくは−30mV以下である樹脂エマルジョンや高分子分散物が挙げられる。本発明においては上述の樹脂エマルジョンを使用することが好ましい。
なお、ζ電位の測定は、例えば、NICOMP社製のζ電位測定装置等を用いて測定することができる。
不織布層には、強度、質感、難燃性、電気抵抗値等の諸物性を改善する目的で、さらに無機粉体を所望により添加混合してもよい。これらの目的のために使用できる無機粉体としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉体及び水酸化アルミ粉体等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、質感を改善する場合には炭酸カルシウムや酸化チタンを添加することが好ましく、電気伝導性の付与には酸化亜鉛を添加することが好ましい。また難燃性の付与には水酸化アルミ粉体を添加することが好ましい。
さらに、本発明で用いられる難燃性不織布層として、70〜95重量%の水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムと5〜30重量%の有機質繊維(特にパルプ)とを、前記の樹脂エマルジョンをバインダーとして用いて成形したものも使用することができる。なお、本明細書でいう有機質繊維とは、例えば、セルロースを主成分とする綿、麻、パルプ等、及びたんぱく質を主成分とする絹等の天然繊維や、レーヨン、ナイロン、アクリル繊維等の合成繊維のような有機高分子化合物を主成分とする繊維のことをいう。難燃性を付与するためには、粉末状の水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムの有機質繊維に対する使用割合はより多くするのが望ましいが、多すぎると不織布層の強度が低下して、壁紙としての必要強度を発現することができない。こうしたことから、水酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムの使用割合は、不織布層全重量に対して70〜95重量%であり、より好ましくは80〜90重量%であり、一方有機質繊維の使用割合は不織布層全重量の5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である。
本発明に使用する不織布層は公知の方法により製造することができ、例えば、以下のようにして製造できる。まず、上記無機質又は有機質繊維と上記バインダーと、必要に応じて上記無機粉体とを、例えば、ワイヤーメッシュ法の抄紙機等を用いて抄紙することによって、製造することができる。不織布層の厚みは通常100〜250μmとするが、使用場所の環境又は要求性能に応じて適宜厚さを変えてもよい。
次に、上述の難燃性不織布と塗料とを用いて本発明の壁紙を製造する方法について説明する。
塗料の塗工
上記のような材料を使用してすいた難燃性不織布に、樹脂エマルジョンを使用して製造した塗料を塗布するには、通常ロールコーターのような連続的に塗工できる装置を使用するのが便利である。ロールコーターでは、表面に凹凸を形成して、つや消し表面(ノングロス)を得る場合に適している、また、一定厚みの塗工にはスキージー等を使用することもできる。スキージーを使用する場合には、平滑で光沢(グロス)のある表面を得るのに適している。塗工厚みは、乾燥後の厚みとして数10乃至数100μmにする。その量は、ロールコーターでは、コーティングするロールヘの付着量をロール間隔で調整する。また、スキージー法では、塗工した表面を堰(スキージー)でこそぎとって一定の厚みの塗膜層を作ることができる。
塗膜層の形成(塗料の乾燥・硬化)
次に、難燃性不織布に塗工した塗料を乾燥して硬化させる。通常は、塗布された塗料の表面に加熱空気を流して乾燥させる方法が一般的である。しかし、本発明では、多数の遠赤外線を出すランプが製品の流れ方向に備え付けられた乾燥炉内を通過させて、乾燥するのが特に好ましい。その理由は、通常の熱風炉では塗料の表面から乾いて皮膜が表面に形成されるため、内部に残された水分が蒸発するのが妨害される。そのために、表面皮膜が膨れたり、さらに膨れたフィルムが破裂して、均一な塗膜を得ることができない。これに対して、遠赤外線ランプでは、電磁波が内部まで浸透するので、塗膜内部まで加熱することができ、全体を均一に加熱乾燥することが可能となる。
遠赤外線炉内での塗膜面の乾燥温度は、遠赤外線ランプの設置個数、出力、製品のラインスピードによって異なるが、通常は80〜130℃である。炉の入り口付近では、水が蒸発しているので100℃以上になることはないが、ラインの中ほど以降は、乾燥が進むにつれて、130℃程度になることがある。
また、塗工面の乾燥工程の終わりに、塗工面を熱ロールで抑えて、面を均一にする行程を入れても良い。この場合には、表面をテフロンシートで被覆したロールを使用する必要がある。その理由は、上記の共重合体A自体が溶融状態で鉄やステンレスに対して非常に接着しやすいためである。
加熱乾燥後、冷却して塗膜層を硬化させて本発明の壁紙を得る。
また、所望により、上記の塗膜層上にさらに上述の樹脂エマルジョンを塗布して同様に乾燥・硬化させてトップ層を形成してもよい。なお、トップ層は溶剤や造膜剤などの添加剤を含まないものが好ましい。このようなトップ層を形成することにより、塗膜層に含まれる添加剤の空気中への揮発・拡散を完全に防ぐことができ、アウトガスや粉塵の発生の問題がほとんどない壁紙とすることができる。
また、別の方法としては、上述のような難燃性不織布に、着色剤を含む印刷用水性インキ等を塗布し、この着色層の上にpHを5.0〜9.0に調整した上述の樹脂エマルジョンをクリア塗料として塗布して、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成して本発明の壁紙を製造することもできる。この壁紙では、好ましくは難燃性不織布層と上記着色層と樹脂エマルジョンのトップ層のみからなり、さらに前記樹脂エマルジョンは着色剤やその他の添加剤を含有しないことが好ましい。この方法では、複雑な工程はないので比較的安価な設備を使用して実施することができ、しかも、高温で樹脂を溶解する工程も不要なので、省資源的で省エネルギー的な製造方法ということができる。
このようにして製造された本発明の壁紙は帯電性が少なく、また壁紙からのアウトガス(壁紙の添加剤、可塑剤、溶剤、及びその他の揮発成分)が少ないので、アウトガスや粉塵の発生が問題となる場所において使用するのに適している。
本発明の壁紙は、例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場の壁面に使用することができる。従来のポリ塩化ビニル製の壁紙では帯電防止性を上げるために有機系帯電防止剤又は酸化亜鉛等の無機系の導電性フィラーを添加する必要があった。有機系帯電防止剤は使用条件によってはアウトガスとなってクリーンルームの空気中に揮発して空気を汚染することがあり、また、無機系の導電性フィラーは壁紙の膜表面に単に付着しているだけなので、壁紙表面から剥がれやすく、空気中の塵挨の原因となっていた。このためポリ塩化ビニル製の壁紙は、これまで微粒子数の許容範囲が1000個/立方フィート(ft)以上程度のかなり制限のゆるい工場でしか使用できなかった。これに対して、本発明の壁紙はアウトガス及び粉塵の発生がないために、空気中の微粒子数の制限がもっと厳しい10個/ftクラスのクリーンルーム(例えば、半導体製造工場、電子デバイス組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場等の精密部品工場)の壁面に使用することができる。本発明の壁紙をこれらの工場で使用することにより、アウトガス及び粉塵による製品の汚染を防ぐことができ、製品の歩留まりを向上することができる。
また、本発明の壁紙は、病院、製薬工場、バイオ関連施設等の衛生管理が必要とされる建築物の壁紙として使用することができる。例えば、病院の場合には、従来の壁紙では静電気によって壁面に細菌・ウイルス類が吸着し、場合によってはこれが院内感染の原因となることもあるが、本発明の壁紙は帯電しないのでその表面に細菌・ウイルス類が付着するおそれはなく、院内感染の問題は生じない。また、従来のポリ塩化ビニル製壁紙のように壁紙内部から可塑剤(所謂環境ホルモンでもある)が揮発して、患者及び病院内の人の健康を害することもなくなる。同様に、製薬工場及びバイオ関連施設で使用する場合においても、アウトガスや塵挨の発生がないために優れた清浄度の製造環境を提供することができる。
また、本発明の壁紙は、乳幼児や生徒や学生が集まる保育園、幼稚園、学校、大学、専門学校等の教室の壁面や、多くの人々が集まるホールや講堂等の壁紙に使用することができる。従来のポリオレフィンからなる壁紙の場合には、帯電防止性を付与するために多くの帯電防止剤を添加するために、該添加剤の空気中への揮発による空気汚染の危険性があった。これに対して本発明の壁紙は、帯電防止剤を添加する必要がなく、また従来の塩ビ製の壁紙のような環境ホルモンとなるような可塑剤も必要としないため、これらのアウトガスが発生しないために教室やホール等の壁紙に使用しても安全である。また、多くの生徒が出入りする教室やホール等では、衣服からの繊維等による綿挨が発生するが、本発明の壁紙は帯電防止性であるために、これらの綿挨の壁への付着による壁面の汚れを防止することができる。
また、本発明の壁紙は、戸建住宅、共同住宅等の住宅の壁面に使用することができる。例えば、準不燃性の壁紙が使用される台所や風呂等に使用することが好ましい。本発明の壁紙は対汚染性に優れているので、台所からでる油や調味料が付着しにくく、壁を清潔に維持することができる。また、化学物質に対する耐性が大人の1/3程度しかない乳幼児や子供がいる家庭では、アウトガスや環境ホルモンを出さない壁紙を使用することは乳幼児・子供の健全な育成には特に重要である。また、乳幼児・子供に対してだけでなく、大人であってもアウトガスや環境ホルモンが微量でも存在する住宅内に長時間滞在すると、それらが体内に蓄積するおそれがあるため、本発明の壁紙を使用することが好ましい。
さらに、本発明の壁紙は粉体を取り扱う工場の壁面に使用することができる。本発明で言う粉体を取り扱う工場としては、例えば、食品等の粉砕工場、樹脂の混練工場、薬品の粉砕工場等が挙げられる。粉体を扱う工場では空気中舞い上がって静電気を帯びた粉体が壁面に付着して壁面を汚染することが問題であったが、本発明の壁紙を使用すれば粉体は壁面に付着することなく壁面は常に清潔に保たれる。
以上述べたように、本発明の壁紙を半導体工場、製薬工場及び学校等に使用すると、それぞれの環境を清浄に維持することができる。また、本発明の壁紙からは環境ホルモンの発生はなく、さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害物質を発生することもないので、環境・人体に優しい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例では、樹脂フィルムや壁紙の物性評価には以下の方法を採用した。それらの評価方法による測定結果は試料の材料構成や加工方法と併せて表1に記載した。
表面抵抗の測定
表面抵抗は、アジレントテクノロジー社製のpAmeter/DC VOLTAGE SOURCE 4140Bを用いて測定した。この表面抵抗計では、この測定端子をシートに押し付けることによって、表面抵抗値が表示される。
アウトガス(有機物)量の測定
壁紙からのアウトガス発生量は、ダイナミックヘッドスペース/ガスクロマトグラム・マススペクトル(DHS/GC/MS)法で測定した。試料中の揮発性成分を気化させるため、サンプルホルダーの試料にヘリウムガスを流しながら温度150℃で30分問加熱した。加熱によりヘリウム中に気化してきたアウトガスをテナックス管(GESTEL社製)に導入して吸着させた。吸着管に捕集されたアウトガスをGC/MS装置に流して種類と量とを測定した。ガスクロマトグラム装置のカラムはキャピラリーカラム(液層:Phenyl Methyl Si1oxane)で、その長さは60mであり、また、測定温度は常温から280℃とした。DHS/GC/MS装置はアジレントテクノロジー社製の分析装置を使用した。有機物量は、ヘキサデカンを標準物質として検量線をつくり、検出されたピーク面積からヘキサデカン換算値(μg/g-sample)として表示した。
燃焼性の測定
燃焼性の測定は、IS0 5660-Fire test-Reaction to fire/Part 1:Heat re1easeに記載の方法に準じて行った。
帯電防止性の測定
帯電防止性能は、JIS L 1094に記載の方法に準じて、シシド静電気社製の帯電圧測定装置を用いて測定した。温度23℃、相対湿度50%において、同社のスタチックネオストメーターにより試料を帯電させ、最大帯電圧の半分の電圧になるまでに要する時間、つまり半減期を測定する。半減期が短いほど放電しやすい(即ち、帯電し難い)ということができる。
クリーンルームでの試験条件
本実施例では壁紙を施工する建築物のモデルとして以下のような小型のクリーンルームを使用した。
大きさ・・・・・・・4.4m(縦〕×4.0m{横)×2.7m(高さ)
壁紙の施工面積・・・45m
循環空気量・・・・・1400m/hr
取り入れ空気量・・・240m/hr
上記の条件にて2日間運転した後にサンプリングしてクリーンルーム中の空気を分析した。空気中の壁紙からのアウトガス(有機物)量は、クリーンルームから排出される空気をテナックス吸着管に導入し、吸着前後のテナックス吸着管の重量変化から求めた。また、テナックス吸着管に吸着した有機物をGC/MS装置で分析した。分析条件は上述の「アウトガス(有機物)量の測定」に記載した条件と同じである。クリーンルーム中の有機物量(μg/m)は、テナックス吸着管に吸着した有機物量(μg)を導入空気量(m)で除して求めた。
(実施例1)
エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体(三井化学(株)社製のケミパール(カリウム中和品))を水に分散して樹脂エマルジョンを得た。このエマルジョン100重量部に顔料として、弁柄を0.5重量部、酸化チタン5.0重量部、安定化剤としてポリビニルアルコール粉末0.5重量部を加えて塗料を製造した。不織布層は水酸化アルミ80重量部とパルプ20重量部とを、上記のケミパールの樹脂エマルジョンを用いて抄紙して製造した。得られた不織布層の表面抵抗値は、3.5×10Ωであった。上記の塗料を不織布上にロールコーターでコーティングして遠赤外線炉を通過させ、乾燥させて塗膜層を形成させて本発明の壁紙を得た(図1)。得られた壁紙の塗膜厚みは50μmであった。壁紙の諸物性を表1に示す。表1に示されるとおり、本発明の壁紙は放電効果が高く、またアウトガス放出量が少なく、優れた性能を有することがわかった。
(実施例2)
(メタ)アクリル酸7モル%、(メタ)アクリル酸メチル60モル%及び(メタ)アクリル酸ブチル33モル%を水に分散し、アニオン系界面活性剤0.4重量部を加えて均一に撹杵した。次いで、コハク酸パーオキサイド3重量部(水溶液)を添加し、温度70℃において重合反応を行って本発明の樹脂エマルジョンを得た。このエマルジョン100重量部に、顔料として、カーボンブラックを0.1重量部、酸化チタン1.0重量部を加えて攪拌混練して塗料を製造した。不織布層は、水酸化アルミ80重量部とパルプ20重量部とを、上記のアクリル系の樹脂エマルジョンを用いてしょう紙して製造した。得られた不織布層の表面抵抗値は、8.2×10Ωであった。上記の塗料を不織布上に、ロールコーターでコーティングして、遠赤外線炉を通過させて乾燥して、次いでテフロンコーティングした熱ロール(120℃)で表面を抑えて塗膜層を形成させて本発明の壁紙を得た。得られた壁紙の樹脂含量は85g/mであった。
得られた壁紙の諸物性を表1に示す。この壁紙の表面抵抗値は5.3×10Ωであった。表1に示されるとおり、本発明の壁紙は放電効果が高く、またアウトガス放出量が少なく、優れた性能を有することがわかった。
(実施例3)
不織布層の無機質繊維としてガラス繊維を用いた。また、樹脂エマルジョンは実施例1と同じものを用いた。その他は表1に記載のとおりである。無機質繊維としてガラス繊維を用いた場合でも帯電性能は良好であった。
(実施例4)
塗膜層に体質顔料として炭酸カルシウムを20重量%混合した。また、樹脂エマルジョンは実施例1と同じものを用いた。その他は表1に記載のとおりである。塗料に無機粉体を添加混合しても壁紙の帯電性能は良好であった。
(実施例5)
本実施例は、表1に示すように所定の樹脂エマルジョンと添加剤とからなる塗料を無機布職布の上に塗布して乾燥した後、さらに、着色剤を含まない樹脂エマルジョンのみをトップ層にコーティングした事例である。樹脂エマルジョンは実施例1と同じものを用いた。この壁紙では、平滑な表面が得られるので、特に粉体を取り扱う工場の使用に適している。
(実施例6)
本実施例は、不燃性不織布を薄いベージュ色に印刷用水性インキで塗工した上に、さらに、実施例1で用いたのと同じで、pHを7.5に調整した樹脂エマルジョン(着色剤を含まない)をトップ層としてコーティングした事例である。この壁紙では、平滑な表面が得られるので、特に粉体を取り扱う工場の使用に適している。
(比較例1)
樹脂フィルム層として塩化ビニル樹脂を採用した市販の壁紙(商品名:DCウォール(ロンシール工業社製))を用いた。その他は表2に記載のとおりである。比較例1で用いた塩ビ系の壁紙には表面の樹脂フィルムには可塑剤(DOP)が用いられており、空気中へのアウトガスの揮発量が極めて多い。
(比較例2)
樹脂エマルジョンの共重合体中のカルボキシル基及び/又はスルホン基をナトリウム塩としたものを用いた。得られた壁紙の表面抵抗値が1012Ω以上となり、適切ではないことがわかった。
(比較例3)
樹脂エマルジョンとしてカルボン酸及びスルホン酸の遊離酸を含まないエステルの形の共重合体を含むものを使用した。この場合にも、得れらた壁紙の表面抵抗値が1014以上であり、十分な帯電防止性能を発揮することができないことがわかった。
(比較例4)
塗料用樹脂に用いる樹脂エマルジョンの共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基を未中和のまま使用した場合の事例である。この場合、未中和の樹脂エマルジョンに着色用の顔料を添加すると樹脂エマルジョンが凝集を起こして塗料化することができなかった。従って、樹脂エマルジョンを中性前後のpHにしてから顔料等の添加剤を加えることが必要であることがわかった。
(比較例5)
この実施例は、塗膜層及びトップ層を難燃性の不織布に塗布した後、熱風乾燥炉で乾燥した事例である。表面を急激に乾燥すると皮膜ができて、膨れ等の布良品が発生しやすくなり、本発明のような壁紙は得られなかった。
Figure 2006144150
Figure 2006144150
以上の結果から明らかなように、本発明の壁紙は表面抵抗値が小さく帯電性能に優れている。その結果、壁紙への静電的な塵挨の吸着量も極めて少なくすることができる。また、本発明の壁紙は帯電防止剤やホルモン様物質であるDOP等の可塑剤等を含有しないためアウトガスが極めて少なく、人体や環境に優しい。
本発明によれば、帯電防止性に優れ、しかもアウトガスの少ない壁紙を提供できる。また塩ビ系材料やDOP等の環境ホルモン物質を含まず、環境や人に優しい壁紙である。本発明の壁紙は清浄な環境が必要とされる施設、例えば、半導体工場等の精密部品工場、病院、学校等の壁紙として有用である。
図1は、実施例1の壁紙の断面図である。

Claims (17)

  1. 表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと、着色剤とを主成分とする塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成して得られる壁紙。
  2. 前記塗膜層上に、さらに、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成して得られる請求項1記載の壁紙。
  3. 表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に着色剤を塗布し、次いでその上に、着色顔料を含有せず且つpHを5.0〜9.0に調整した、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成して得られる壁紙。
  4. 前記不飽和結合を有するその他のモノマーが、オレフィン系モノマー、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーである請求項1〜3のいずれか1項記載の壁紙。
  5. 前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メタリルスルホン酸及びビニルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーである請求項1〜4のいずれか1項記載の壁紙。
  6. 前記着色剤が、無機顔料及び/又は有機顔料を、高分子系分散剤を使用して水に分散したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の壁紙。
  7. 前記不織布が、ガラス繊維、アルミナ繊維、水酸化アルミ繊維及びチタン酸カリ繊維からなる群より選択される少なくとも1種の無機質繊維と、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉体、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミ粉体からなる群より選択される少なくとも1種の無機粉体と、前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)とを用いて成形したものである請求項1〜6のいずれか1項記載の壁紙。
  8. 前記不織布が、70〜95重量部の水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムと、5〜30重量部の有機質繊維と、前記カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)とを用いて成形したものである請求項1〜6のいずれか1項記載の壁紙。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする半導体製造工場、電子機器組立工場、液晶表示デバイス工場又はプラズマディスプレー工場。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする病院、製薬工場又はバイオ関連施設。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする学校の教室。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする住宅。
  13. 請求項1〜8のいずれか1項記載の壁紙を壁面に施工していることを特徴とする粉体を取り扱う工場。
  14. 表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンと塗料用添加剤とを含む塗料を塗布し、これを乾燥及び硬化して塗膜層を形成することを含む壁紙の製造方法。
  15. 前記塗膜層上に、さらに、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成することを含む請求項14記載の壁紙の製造方法。
  16. 表面抵抗が1010Ω以下である難燃性不織布上に着色剤を塗布し、次いでその上に、着色顔料を含有せず且つpHを5.0〜9.0に調整した、カルボキシル基及び/又はスルホン基を含有する不飽和モノマーと不飽和結合を有するその他のモノマーとの共重合体(ここで、該共重合体のカルボキシル基及び/又はスルホン基の一部はカリウム塩である)を水に分散した樹脂エマルジョンを塗布し、これを乾燥及び硬化してトップ層を形成することを含む壁紙の製造方法。
  17. 塗膜層及び/又はトップ層の乾燥及び硬化が遠赤外線の照射により行われる請求項14〜16のいずれか1項記載の製造方法。
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