JP2006142683A - 積層体及びプリント配線板 - Google Patents

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下大迫寛司
Taku Ito
卓 伊藤
Shigeru Tanaka
田中  滋
Masaru Nishinaka
賢 西中
Mutsuaki Murakami
睦明 村上
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Abstract

【課題】各種プリント配線板の製造等に好適に用いることができ、さらには微細配線形成が要求されるフレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板、多層フレキシブルプリント配線板、多層リジッド配線板やビルドアップ配線板等のプリント配線板用の製造等に好適に用いることができる積層体とそれを用いてなるプリント配線板を提供することを目的とする。
【解決手段】無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムからなることを特徴とする積層体であって、前記層Aはシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする積層体によって、上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線板に用いる積層体とそれを用いたプリント配線板に関するものであり、特に、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等のプリント配線板用の製造等に好適に用いることができる積層体、及びそれを用いてなるプリント配線板に関するものである。
電気エネルギーを用いずに、金属塩の水溶液中に還元剤を入れておき、その分解による還元作用で金属を基材上に析出せしめる無電解めっきは、各種プラスチック、ガラス、セラミック、木材などの絶縁性材料表面の機能化のために広く適用されている技術である。例えば、ABS樹脂やポリプロピレン樹脂に無電解めっきを施し、自動車のグリルやマーク類、家電製品のツマミ類などの部品とする装飾めっきや、プリント配線板のスルーホールめっきのような機能めっきを挙げることができる。
しかし、無電解めっきは上記各種材料表面との接着性が低い場合が多い。特に、上述したプリント配線板の製造に適用した場合、無電解めっき皮膜と絶縁材料との接着性は低いことが課題であった。
上記課題を解決するため、プリント配線板に用いられる絶縁性の樹脂材料は、様々な手法で表面を粗化させ、いわゆるアンカー効果によって無電解めっき皮膜との接着性を得ていた(例えば特許文献1参照)。しかし、接着性を良好なものとするためには、材料表面の粗度を大きくする必要があり、表面粗度が小さい場合には無電解めっき皮膜と樹脂材料との接着性は低く、微細配線形成には限界があった。
一方、ポリイミドシロキサンを含有する接着剤を用いた層間絶縁接着技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。しかし、特許文献2に記載されている技術は、シロキサン構造を有するポリイミドを層間接着剤として用いるもので、回路基板との張り合わせなどに用いるためのものである。従って、無電解めっき皮膜を形成するための層として用いることは開示されていない。さらには、プリント配線板に用いられる絶縁性の樹脂材料には無電解めっき皮膜と樹脂材料との接着性のみならず、さらなる低熱膨張性も求められる。
特開2000−198907 特開2000−290606
背景技術で説明したように、表面粗度が小さい場合でも絶縁性の樹脂材料と無電解めっき皮膜との接着性が高く、且つ低熱膨張性を発現する樹脂材料は未だ見出されていない。
従って、本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、各種プリント配線板の製造等に好適に用いることができ、さらには微細配線形成が要求されるフレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板、多層フレキシブルプリント配線板、多層リジッド配線板やビルドアップ配線板等のプリント配線板用の製造等に好適に用いることができる積層体とそれを用いてなるプリント配線板を提供する。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、下記の新規な積層体により解決できることを見出した。すなわち、
1)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムからなることを特徴とする積層体であって、前記層Aはシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする積層体。
2)前記層Aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さが0.5μm以下である1)記載の積層体。
3)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルム/無電解めっきを形成するための層A’からなることを特徴とする積層体であって、前記層AおよびA’はシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする積層体。
4)前記層Aおよび層A‘の表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さが0.5μm以下である3)記載の積層体。
5)前記高分子フィルムは、非熱可塑ポリイミドフィルムであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項に記載の積層体。
6)1)〜5)のいずれか一項に記載の積層体の層AまたはA’上に無電解めっき皮膜が形成されていることを特徴とする積層体。
7)1)〜6)のいずれか1項に記載の積層体を用いることを特徴とするプリント配線板。
本発明では、層A、すなわち無電解めっきを施すための層に特定の構造を有するポリイミド樹脂を用いることにより、表面粗度が小さい場合でも無電解めっき皮膜との接着強度が高い。
さらに、上記層Aと高分子フィルムとを組み合わせた積層体であるために、低熱膨張性を有する。
上記の如く、本発明にかかる積層体は、優れた微細配線形成性と低熱膨張性を併せ持つ。よって、微細回路を必要とする電子機器用の高密度プリント配線板に適切に用いる事が可能である。また、プリント配線板用材料として必要な、樹脂材料、導体材料への接着性、加工性、耐熱性に優れたものとなり、フレキシブルプリント配線板やリジッド配線板等の各種プリンと配線板の製造に好適に用いることができるという効果も奏する。
本発明の実施の一形態について以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
(本発明の積層体の特徴と材料構成)
本発明にかかる積層体の第一の形態は、無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムからなる構成であり、層Aがシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴としている。また、本発明にかかる積層体の第二の形態は、無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルム/無電解めっきを形成するための層A’からなる構成であり、層AおよびA’は、シロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴としている。
また、上記積層体の第一の形態において、層Aの上に無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよいし、上記積層体の第二の形態において、層AあるいはA’の上の無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよいし、層AおよびA’の上に無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよい。
シロキサン構造を有するポリイミドを用いた層間接着剤はこれまで知られていたが、これを無電解めっき形成層として用いること、その表面粗度と無電解めっき皮膜との接着強度について着目したのは本発明者らが初めてである。本発明者らは、層間接着剤に用いる場合には通常考慮しない、表面粗度と無電解めっき皮膜との接着性を検討し、表面粗度が小さい場合であっても十分な接着性が得られることを見出したものである。
また本発明においては、高分子フィルムを積層しているので、低熱膨張性を発現することが可能であり、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板などの好適に用いることができる。
(1)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムからなる積層体
本発明の積層体の第一の態様である、高分子フィルムの片面に無電解めっきを形成する層Aを有する積層体について説明する。
(層A)
本発明の層Aを構成するシロキサン構造を有するポリイミド樹脂は、無電解めっきとの接着性に優れるという点から、熱可塑性ポリイミドが好ましい。ここで、本発明における熱可塑性ポリイミドとは、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こすものをいう。
本発明のシロキサン構造を有するポリイミド樹脂は、シロキサン構造を有していれば、いかなるポリイミド樹脂を用いても良い。例えば、(1)シロキサン構造を有する酸二無水物成分あるいはシロキサン構造を有するジアミン成分を用いて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、(2)官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、この官能基と反応しうる官能基、及びシロキサン構造を有する化合物を反応させて、シロキサン構造が導入されたポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、(3)官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、これをイミド化して官能基を有するポリイミドを製造し、この官能基と反応しうる官能基、及びシロキサン構造を有する化合物を反応させて、シロキサン構造が導入されたポリイミド樹脂を製造する方法、などが挙げられる。ここで、シロキサン構造を有するジアミンは比較的容易に入手することが可能であるため、上記の中でも、酸二無水物成分と、シロキサン構造を有するジアミンを反応させて目的とするポリイミド樹脂を製造することが好ましく、シロキサン構造を有するジアミンとして、下記一般式(1)で表されるジアミンを用いることが好ましい。
Figure 2006142683
(式中、gは1以上の整数を表す。また、R11及びR22は、それぞれ同一、または異なっていてよく、アルキレン基またはフェニレン基を表す。R33〜R66は、それぞれ同一、または異なっていてよく、アルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基、またはアルコキシ基を表す。好ましくは、gは1以上100以下である。またR11及びR22は、炭素数が1〜20のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。さらにR33〜R66は、炭素数1〜20のアルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基、またはアルコキシ基であることが好ましい。)
ポリイミド樹脂は、酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる。以下、酸二無水物成分について説明する。
酸二無水物成分としては特に限定はなく、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、4,4’−ハイドロキノンビス(無水フタル酸)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)等を挙げることができる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
続いて、ジアミン成分について説明する。本発明においては、ジアミン成分として、下記一般式(1)で表されるジアミン成分を含むことが好ましい。
Figure 2006142683
(式中、gは1以上の整数を表す。また、R11及びR22は、それぞれ同一、または異なっていてよく、アルキレン基またはフェニレン基を表す。R33〜R66は、それぞれ同一、または異なっていてよく、アルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基、またはアルコキシ基を表す。好ましくは、gは1以上100以下である。またR11及びR22は、炭素数が1〜20のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。さらにR33〜R66は、炭素数1〜20のアルキル基、またはフェニル基、またはフェノキシ基、またはアルコキシ基であることが好ましい。)
一般式(1)で表されるジアミン成分を用いることにより、得られるポリイミド樹脂は、無電解めっき層と強固に接着するという特徴を有するようになる。
一般式(1)で表されるジアミンとしては、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(3−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(3−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5,−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、等が挙げられる。また、一般式(1)で表される、比較的入手しやすいジアミンとして、信越化学工業株式会社製のKF−8010、X−22−161A、X−22−161B、X−22−1660B―3、KF−8008、KF−8012、Xー22−9362、等を挙げることができる。上記ジアミンは単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
層Aの耐熱性向上等を目的として、上述のジアミンと他のジアミンとを組み合わせて使用することも好ましく用いられる。他のジアミン成分としては、あらゆるジアミンを使用することが可能であり、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルなどを挙げることができる。
一般式(1)で表されるジアミンは、全ジアミン成分に対して2〜100モル%が好ましく、より好ましくは5〜100モル%である。一般式(1)で表されるジアミンが、全ジアミン成分に対して2モル%より低い場合、層Aと無電解めっき皮膜との接着強度が低くなる。
前記ポリイミドは、対応する前駆体ポリアミド酸重合体を脱水閉環して得られる。ポリアミド酸重合体は、酸二無水物成分とジアミン成分とを実質的に等モル反応させて得られる。
反応の代表的な手順として、1種以上のジアミン成分を有機極性溶剤に溶解または分散させ、そののち1種以上の酸二無水物成分を添加し、ポリアミド酸溶液を得る方法があげられる。各モノマーの添加順序はとくに限定されず、酸二無水物成分を有機極性溶媒に先に加えておき、ジアミン成分を添加し、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよいし、ジアミン成分を有機極性溶媒中に先に適量加えて、つぎに過剰の酸二無水物成分を加え、過剰量に相当するジアミン成分を加えて、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよい。このほかにも、当業者に公知のさまざまな添加方法がある。具体的には下記の方法が挙げられる。
なお、ここでいう「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解する場合のほかに、溶質が溶媒中に均一に分散または分散されて実質的に溶解しているのと同様の状態になる場合を含む。反応時間、反応温度は、とくに限定されない。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
ポリアミド酸の重合反応に用いられる有機極性溶媒としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
前記方法により得られたポリアミド酸溶液を、熱的または化学的方法により脱水閉環し、ポリイミドを得るが、ポリアミド酸溶液を熱処理して脱水する熱的方法、脱水剤を用いて脱水する化学的方法のいずれも用いることができる。また、減圧下で加熱してイミド化する方法も用いることができる。以下に各方法について説明する。
熱的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液を加熱処理によりイミド化反応を進行させると同時に、溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。この方法により、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。加熱の条件はとくに限定されないが、200℃以下の温度で1秒〜200分の時間の範囲で行なうことが好ましい。
また、化学的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒を加えることにより、脱水反応を起こし、有機溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。これにより、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。脱水剤としては、たとえば、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などがあげられる。また、触媒としては、たとえば、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などがあげられる。化学的に脱水閉環する際の条件は、100℃以下の温度が好ましく、有機溶媒の蒸発は、200℃以下の温度で約5分〜120分の時間の範囲で行なうことが好ましい。
また、ポリイミド樹脂を得るための別の方法として、前記の熱的または化学的に脱水閉環する方法において、溶媒の蒸発を行なわない方法もある。具体的には、熱的イミド化処理または脱水剤による化学的イミド化処理を行なって得られるポリイミド溶液を貧溶媒中に投入して、ポリイミド樹脂を析出させ、未反応モノマーを取り除いて精製、乾燥させ、固形のポリイミド樹脂を得る方法である。貧溶媒としては、溶媒とは良好に混合するがポリイミドは溶解しにくい性質のものを選択する。例示すると、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトンなどがあげられるが、これらに限定されない。
つぎに、減圧下で加熱してイミド化する方法であるが、このイミド化の方法によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去できるので、ポリアミド酸の加水分解を抑えることが可能であり、高分子量のポリイミドが得られる。また、この方法によれば、原料の酸二無水物中に不純物として存在する片側または両側開環物が再閉環するので、より一層の分子量の向上効果が期待できる。
減圧下で加熱イミド化する方法の加熱条件は、80〜400℃が好ましいが、イミド化が効率よく行なわれ、しかも水が効率よく除かれる100℃以上がより好ましく、さらに好ましくは120℃以上である。最高温度は目的とするポリイミドの熱分解温度以下が好ましく、通常のイミド化の完結温度、すなわち250〜350℃程度が通常適用される。
減圧する圧力の条件は、小さいほうが好ましいが、具体的には、9×104〜1×102Pa、好ましくは8×104〜1×102Pa、より好ましくは7×104〜1×102Paである。
以上、ポリイミド樹脂について説明したが、市販のシロキサン構造を有するポリイミド樹脂も用いてもよい。本発明の積層体の層Aに用いることができる、比較的入手しやすいシロキサン構造を含むポリイミド樹脂の例として、信越化学工業株式会社製のXー22−8917、Xー22−8904、Xー22−8951、Xー22−8956、Xー22−8984、Xー22−8985、等を挙げることができる。尚、これらはポリイミド溶液である。
以上、ポリイミド樹脂について説明したが、本発明の積層体の層Aには、耐熱性向上等の目的で、他の成分を含有させることも可能である。他の成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂を適宜使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、また、酸二無水物成分と、一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とからなる熱可塑性ポリイミド樹脂とは構造の異なる熱可塑性ポリイミド樹脂等を挙げることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などをあげることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。また、前記熱硬化性樹脂以外に、高分子鎖の側鎖または末端に、エポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基などの反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を使用することも可能である。
また、層Aと無電解めっき皮膜との接着性をより向上させる目的で、各種添加剤を高分子材料に添加、高分子材料表面に塗布等の方法で存在させることも可能である。具体的には有機チオール化合物などを挙げることができるが、これに限定されない。
また、層A表面に微細配線形成を阻害しない程度の表面粗度を形成し、無電解めっき皮膜との接着性を高める目的で、各種有機フィラー、無機フィラーを添加することもできる。
上述の他の成分は、微細配線形成に悪影響を及ぼす程に層Aの表面粗度を大きくしない、また、層Aと無電解めっき皮膜との接着性を低下させない範囲で組み合わせることが重要であり、この点には注意を要する。
層Aに含まれるシロキサン構造を有するポリイミド樹脂の割合は、30重量%〜100重量%であることが、表面粗度と無電解めっき皮膜との接着性とのバランスが優れるという点から好ましい。
ここで、微細配線形成のために、本発明の層Aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した層Aの算術平均粗さが0.5μm以下であることが好ましい。算術平均粗さRaとは、JIS B 0601(平成6年2月1日改正版)に定義されている。特に本発明では、算術平均粗さRaの数値は、光干渉式の表面構造解析装置で表面を観察により求められた数値を示す。本発明のカットオフ値とは、上記JIS B 0601に記載されているが、断面曲線(実測データ)から粗さ曲線を得る際に設定する波長を示す。即ち、カットオフ値が0.002mmで測定した値Raとは、実測データから0.002mmよりも長い波長を有する凹凸を除去した粗さ曲線から算出された算術平均粗さである。
また、本発明の積層体を構成する層Aの厚みは、10Å〜50μmの範囲にあることが好ましい。層Aの厚みが10Å未満である場合、無電解めっき皮膜との密着力が低下し、50μmより厚い場合、得られる積層体の熱膨張係数が大きくなる。
(高分子フィルム)
次に本発明の積層体に用いられる高分子フィルムについて説明する。本発明の積層体では、高分子フィルムは低熱膨張性を実現するために用いられる。層A/高分子フィルムからなる積層体、あるいは、層A/高分子フィルム/層A’からなる積層体の熱膨張係数は、高分子フィルムの熱膨張係数と厚み、層A、または層A、A’の熱膨張係数と厚みのバランスをコントロールすることによって制御でき、これらの積層体の熱膨張係数は、5〜 60ppmの範囲となっていることが好ましい。これらの積層体の熱膨張係数を制御する方法としては、高分子フィルムの熱膨張係数を小さくすることが容易であり好ましい。
また、本発明の積層体をフレキシブルプリント配線板として用いる場合は、寸法安定性が望まれる。
したがって、20ppm以下の熱膨張係数を有する高分子フィルムが望ましい。さらに、加工時の熱によって膨れ等の欠陥が発生しないように、低吸水率の高分子フィルムが望ましい。また、小径ヴィアホールの形成のために高分子フィルムの厚みは50μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。好ましくは1μm以上、より好ましくは、2μm以上である。厚みがあまりなく、かつ充分な電気絶縁性が確保される高分子フィルムが望ましい。
本発明に用いる高分子フィルムとしては、低熱膨張性、耐熱性、低吸水率並びに機械的特性に優れた材料が最も好ましい。このような高分子フィルムは、単層で構成されていてもよく、2層以上から構成されていてもよい。例えば、単層の場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン;エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル;さらに、ナイロン−6、ナイロン−11、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑ポリイミド樹脂、非熱可塑ポリイミド樹脂などのフィルムがあげられる。
また、層Aとの密着性を良好なものとするために、上記単層フィルムの片面あるいは両面に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を設けたり、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物で処理することが可能である。ここで、熱可塑ポリイミド樹脂を用いると、層Aとの密着性がさらに良好となるため好ましく用いられる。さらに、上記単層フィルムで例示したフィルムを接着剤を介して複数層を積層してもよい。
上記の諸特性を満足する高分子フィルムとして、非熱可塑ポリイミドフィルムが挙げられ、本発明に用いる高分子フィルムとして好ましい。ポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸重合体溶液から得られる。このポリアミド酸重合体溶液は、当業者が通常用いる方法で製造することができる。すなわち、1種または2種以上のテトラカルボン酸二無水物成分と1種または2種以上のジアミン成分を実質等モル使用し、有機極性溶媒中で重合してポリアミド酸重合体溶液が得られる。
非熱可塑ポリイミドフィルムの製造に用いられる代表的なテトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンジフタル酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等がある。
これらのテトラカルボン酸二無水物の中で、熱膨張係数が20ppm以下であるポリイミドフィルムを得るための好ましい組み合わせを例示すると、テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物を0〜80モル%、およびp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)を100〜20モル%用いる場合が挙げられる。
なお、ここに記載したテトラカルボン酸二無水物の組み合わせは本発明の積層体を構成する高分子フィルムに適する非熱可塑ポリイミドフィルムを得るための一具体例を示すものにすぎない。これらの組み合わせに限らず、用いるテトラカルボン酸二無水物の組み合わせおよび使用比率を変えて、非熱可塑ポリイミドフィルムの特性を調整することが可能である。
一方、ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4、4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3、3’−ジアミノジフェニルスルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビスアミノフェノキシケトン、4、4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4、4’−(1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノベンズアニリド、3、3’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル、3、3’−ジメトキシ−4、4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、あるいはその他の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
これらのジアミン成分の中で、熱膨張係数が20ppm以下であるポリイミドフィルムを得るための好ましい組み合わせを例示すると、パラフェニレンジアミンをジアミン成分の20〜80モル%と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを80〜20モル%用いる場合、若しくは4、4’−ジアミノベンズアニリドをジアミン成分の20〜80モル%と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを80〜20モル%用いる場合、若しくはパラフェニレンジアミンをジアミン成分の10〜70モル%と、4、4’−ジアミノベンズアニリドを10〜70モル%と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを80〜20モル%用いる場合が挙げられる。
なお、ここに記載したジアミン成分の組み合わせは本発明の積層体を構成する高分子フィルムに適する非熱可塑ポリイミドフィルムを得るための一具体例を示すものである。これらの組み合わせに限らず、用いるジアミン成分の組み合わせおよび使用比率を変えて、非熱可塑ポリイミドフィルムの特性を調整することが可能である。
本発明の積層体を構成する高分子フィルムとして非熱可塑ポリイミドフィルムを用いる場合、その前駆体であるポリアミド酸の数平均分子量は10,000〜1,000,000であることが望ましい。数平均分子量が10,000未満ではできあがったフィルムが脆くなる場合がある。他方、数平均分子量が1,000,000を越えるとポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスの粘度が高くなりすぎ取扱いが難しくなるおそれがある。
また、ポリアミド酸に各種の有機添加剤、或は無機のフィラー類、或は各種の強化材を添加し、複合化された非熱可塑ポリイミドフィルムとすることも可能である。
ポリアミド酸共重合体の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらは単独または混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を前記溶媒に一部混合して使用してもよい。
また、このポリアミド酸共重合体は前記の有機極性溶媒中に5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%溶解されているのが取扱いの面から望ましい。
このポリアミド酸共重合体溶液から、ポリイミドフィルムを得るためには熱的に脱水する熱的方法、脱水剤を用いる化学的方法のいずれを用いてもよいが、化学的方法によると生成するポリイミドフィルムの伸び率や引張強度等の機械特性がすぐれたものになるので好ましい。
以下に化学的方法によるポリイミドフィルムの作製についての例を説明する。
上記ポリアミド酸重合体またはその溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液をドラム或はエンドレスベルト上に流延または塗布して膜状とし、その膜を150℃以下の温度で約5〜90分間乾燥し、自己支持性のポリアミド酸の膜を得る。ついで、これを支持体より引き剥し端部を固定する。その後約100〜500℃まで徐々に加熱することによりイミド化し、冷却後端部の固定を解放しポリイミドフィルムを得る。ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
また、高分子フィルムは、層Aとの密着性を向上させる目的で各種表面処理を行うことができる。具体的には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物をプライマーとして塗布する方法、金属水酸化物、有機アルカリ等で表面処理する方法、プラズマ処理、コロナ処理する方法、表面をグラフト化させる方法等、高分子フィルムの製造段階で表面処理する方法等が挙げられる。これらの方法を単独でまたは各種組み合わせで高分子フィルム表面の処理を行っても良い。
(2)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルム/無電解めっきを形成するための層A‘からなる積層体
本発明の積層体の第二の態様である、高分子フィルムの両面に無電解めっきを形成する層を有する積層体について説明する。
層AおよびA‘は、ともにシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含むことが必要である。層AおよびA’を構成する成分としては、(1)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムの(層A)で説明したものと同様であるが、用いるポリイミド樹脂としては全く同一の組成である必要はない。また、添加される樹脂や各種フィラーが異なっていてもよい。高分子フィルムとしても、(1)無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムの(層A)で説明したものと同様にして得ることができる。
(無電解めっき)
本発明に係る無電解めっきとしては、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解錫めっき、等を挙げる事ができ本発明に使用可能であるが、工業的観点、耐マイグレーション性等の電気特性の観点より、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきが好ましく、特に好ましくは無電解銅めっきである。本発明の積層体に無電解めっきをする場合、積層体に直接無電解めっきを施してもよいし、デスミア処理を施した後、無電解めっきを施してもよい。
(本発明の積層体)
本発明の積層体は、上述のように、層A/高分子フィルムからなる構成である。また、層A/高分子フィルム/層A’からなる構成である。また、また、上記積層体の第一の形態において、層Aの上に無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよいし、上記積層体の第二の形態において、層AあるいはA’の上の無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよいし、層AおよびA’の上無電解めっき皮膜が形成された積層体であってもよい。 層Aは、無電解めっき皮膜と強固に接着せしめるため、シロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする。
また、高分子フィルムは、本発明の積層体に低熱膨張性を付与するため、非熱可塑ポリイミドフィルムが好ましく用いられる。
また、無電解めっき皮膜は、耐マイグレーション性等の電気特性の観点より、無電解銅めっきが好ましく用いられる。
また、埃等の付着を防ぐために、第一の態様における層A上または高分子フィルム上、あるいは第二の態様における層AまたはA’に各種高分子フィルムを離形フィルムとして用いることも可能である。
ここで、無電解めっき皮膜との密着、低熱膨張性等の観点から、層Aの厚みは10Å〜50μmの範囲にあることが好ましい。層Aの厚みが10Å未満である場合、無電解めっき皮膜との密着が低下し、50μmより厚い場合、得られる積層体の熱膨張係数が大きくなる。
また、低熱膨張性、小径ビアホール形成等の観点から、高分子フィルムの厚みは1〜50μmの範囲にあることが好ましい。高分子フィルムの厚みが1μm未満である場合、得られる積層体の熱膨張係数が大きくなり、50μmより厚い場合、小径ビアホールの形成が困難となる。
本発明の積層体は、様々な用途に好適に用いることができるが、中でも、フレキシブルプリント配線板やビルドアップ配線板等のプリント配線板の材料として好適に用いることができる。具体的には、当該プリント配線板やプリント配線板上のパターン化された回路を保護する保護材料、多層のプリント配線板にて各層間の絶縁性を確保するための層間絶縁材料等として好適に用いることができる。
(本発明の積層体の製造方法)
次に本発明にかかる積層体の製造方法について説明するが、これに限定されるものではない。先ず、層Aあるいは、層A、A’に含まれるポリイミド樹脂および必要に応じて他の成分を適当な溶媒に添加し撹拌し、均一に溶解・分散化した層Aに対応する樹脂溶液を得る。続いて本発明に用いる高分子フィルム上に層A溶液を流延塗布し、その後層Aに対応する樹脂溶液を乾燥させることにより本発明の層A/高分子フィルム構成の積層体を得る。
上記で得た層A/高分子フィルム構成の積層体の層Aが形成されていない側の高分子フィルム面に再度層A’に対応する溶液を流延塗布し、その後層A樹脂溶液を乾燥させることにより本発明の層A/高分子フィルム/層A’構成の積層体を得る。
また、高分子フィルム両面に層A溶液を塗布、乾燥させることにより本発明の層A/高分子フィルム/層A’構成の積層体を得ることも可能である。
層Aの厚みが薄場合には、高分子フィルムの表面の凹凸が、層A表面にも影響を与える場合があるので、カットオフ値0.002mmで測定した支持体の算術平均粗さが0.5μm以下である表面を有する高分子フィルムを用いることが好ましい。
また、層A、層A’に対応する溶液を支持体としての高分子フィルム、金属箔に塗布、乾燥させることで支持体付きの層A、層A’フィルムを作製し、これらフィルムと高分子フィルムとをプレスやラミネート等の方法にて積層し、支持体を物理的に若しくはエッチング等、化学的に除去することで、層A/高分子フィルム、層A/高分子フィルム/層A’構成の積層体を得ることも可能である。ただし、この場合、層A、層A’の表面粗度を、カットオフ値0.002mmで測定した層A、層A’の算術平均粗さを0.5μm以下に保つために、カットオフ値0.002mmで測定した支持体の算術平均粗さが0.5μm以下である表面を有する支持体を用いる必要がある。
また、本発明の積層体では、高分子フィルムとして、単層フィルムのみならず2層以上からなるフィルムとしてもよい。この場合、例えば、非熱可塑性フィルム上に形成した後、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を設けたり、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物で処理することによって、高分子フィルムとし、この上にさらに層A、あるいは層AおよびA’を設けて積層体を得ることが可能である。
上記で得た各種構成の積層体に、直接無電解めっきを施すか、若しくはデスミア処理を施した後に無電解めっきを施すことにより、層A上に無電解めっき皮膜の形成された各種構成の積層体を得ることができる。
(プリント配線板)
本発明の積層体は、プリント配線板用途に好ましく用いる事ができる。
本発明の積層体を用いたフレキシブルプリント配線板について説明する。本発明の積層体を用いたフレキシブルプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板に求められる導体層との密着、寸法安定性等の特性に優れるのみならず、無電解めっき皮膜を形成した本発明の積層体に、さらに電解めっきを施すことにより、めっき皮膜厚みを自由に変えられ、且つ柔軟性と剛性に優れためっき皮膜形成が可能であるため、ファインパターン及び高折り曲げ性を必要とする電子情報機器用途に好適に用いることができるという利点を有する。
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を示す。層A/高分子フィルムからなる積層体あるいは、層A/高分子フィルム/層A’からなる積層体に無電解めっき皮膜を形成し、その後電解めっきを行い、電解めっき皮膜/無電解めっき皮膜からなる導体層を形成する。その後サブトラクティブ法によるパターンエッチング処理を行い、所望の導体回路パターンを形成することで本発明のフレキシブルプリント配線板が得られる。また、上述同様に無電解めっき皮膜を形成した後に、セミアディティブ法にて回路パターンを形成することも可能である。
次に本発明の積層体を用いた多層プリント配線板について説明する。本発明の積層体を用いた多層プリント配線板は、多層プリント配線板に求められる導体層との密着、低熱膨張性、サブトラクティブ法、セミアディティブ工法への対応等を満たすという利点を有する。特に本発明の積層体においては、表面粗度が小さい場合でも無電解めっき皮膜との接着強度が高いという利点を有するため、微細配線形成が可能なセミアディティブ工法に好適である。
本発明の積層体を用いた多層プリント配線板を製造する例を示す。順に、層A/高分子フィルムからなる本発明の積層体、層間接着剤、回路パターンが形成された内層基板を対向させ互いに積層し、層A/高分子フィルム/層間接着剤/内層基板からなる積層体を作製する。その後、露出する層A表面に対し無電解めっきを行い回路パターン用の無電解めっき皮膜を得る。この方法はセミアディティブ法による回路パターン形成法に好ましく適用可能であり、特に微細配線形成が必要な場合に好ましく実施される。
また、本発明の積層体を用いた多層プリント配線板を製造する他の例として、順に、層A/高分子フィルム/層Aからなる本発明の積層体、回路パターンが形成された内層基板を対向させ互いに積層し、層A/高分子フィルム/層A/内層基板からなる積層体を作製する。その後、露出する層A表面に対し無電解めっきを行い回路パターン用の無電解めっき皮膜を得る。この場合、内層基板に接する側の層Aは内層回路を十分埋め込める厚みであることが好ましい。
上記において内層基板にガラス−エポキシ基材等を用いたプリント配線板を用いた場合にビルドアップ配線板を製造することになるが、一方、内層基板にフレキシブルプリント配線板を用いた場合、多層フレキシブル配線板を製造する事になる。また、多層プリント配線板には垂直方向の電気的接続の為にヴィアの形成が必要であるが、本発明のプリント配線板においては、レーザー、メカニカルドリル、パンチング等の公知の方法でヴィアを形成し、無電解めっき、導電性ペースト、ダイレクトプレーティング等の公知の方法で導電化することが可能であり、好ましく実施される。
上述の多層プリント配線板における積層工程では、熱プレス処理、真空プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、真空ラミネート処理、熱ロールラミネート処理、真空熱ロールラミネート処理等の熱圧着処理を実施可能である。
また、層Aと無電解めっき層との接着性を向上させる目的で、無電解めっき層を形成後に加熱処理を施すことも可能である。
以上、本発明の積層体を用いたプリント配線板とその製造例について説明したが、これに限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、本発明の積層体の特性として、熱可塑性ポリイミドの判定、熱膨張係数、無電解めっき銅との接着性、及び微細配線形成性は以下のように評価または算出した。
〔熱可塑性ポリイミドの判定〕
支持体となるポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)上に層A溶液を塗布、乾燥し、厚み25μmの支持体付き層Aを得た。さらに支持体を引き剥がし、層Aをアルミ枠に固定し、180℃で1時間乾燥させ厚み25μmの層Aを得た。この層Aを用いて、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を調べた。永久圧縮変形を起こしたものを、熱可塑性ポリイミドと判定した。尚、測定機器としてはSIIナノテクノロジー(株)社製TMA120Cを使用した。
〔熱膨張係数〕
層A/高分子フィルムからなる構成の積層体、若しくは層A/高分子フィルム/層Aからなる構成の積層体を用いて、10℃/minの昇温速度にて室温〜300℃の加熱と冷却とを窒素気流下で2回繰り返して行った。ここで、2回目の昇温時の100〜200℃での平均線膨張係数を測定することにより、熱膨張係数を求めた。測定機器としてはSIIナノテクノロジー(株)社製TMA120Cを使用した。
〔接着性評価〕
積層体とガラスエポキシ基板FR−4(商品番号:MCL−E−67、日立化成工業(株)社製;銅箔の厚さ50μm、全体の厚さ1.2mm)とを、層間接着フィルムを介して温度170℃、圧力1MPa、真空下の条件で6分の加熱加圧を行い、180℃で60分乾燥させて積層体を得た。尚、層A/高分子フィルムなる構成の積層体の場合は、高分子フィルム側と層間接着フィルムとを対向させ、加熱加圧を行った。い、層A/高分子フィルム/層A’なる構成の積層体は相関接着フィルムは用いなかった。その後、露出する層A表面に銅層の形成を行った。銅層の形成は、デスミアおよび無電解銅めっきを行なった後、無電解めっき銅上に厚さ18μmの電解めっき銅層を形成して行った。その後、180℃、30分の乾燥処理を行った後、JPCA−BU01−1998(社団法人日本プリント回路工業会発行)に従い、常態、及びプレッシャークッカー試験(PCT)後の接着強度を測定した。尚、デスミアおよび無電解銅めっきは以下のプロセスで実施した。
常態接着強度:温度25℃、湿度50%の雰囲気下、24時間放置した後に測定した接着強度。
PCT:温度121℃、湿度100%の雰囲気下、96時間放置した後に測定した接着強度。
Figure 2006142683
Figure 2006142683
〔微細配線形成性〕
接着性評価で記載した方法と同様にして、積層体/層間接着フィルム/FR−4からなる積層体を得た。その後、UV−YAGレーザーにより内層のFR−4の電極直上に該電極に至る内径30μmのビアホールを開け、続いて基板全面に無電解銅めっきを施した後180℃、30分の加熱処理を施した。その後、形成した銅めっき層上にレジストパターンを形成し、厚み10μmの電解銅めっきを施した後、レジストパターンを剥離し、さらに露出しためっき銅を塩酸/塩化第二鉄系エッチャントで除去して、ライン アンド スペース(L/S)=10μm/10μmの配線を有するプリント配線板を作製した。該プリント配線板の配線が、断線や形状不良なく良好に作製できている場合を合格(○)とし、断線や形状不良を生じている場合を不合格(×)として評価を行った。
〔ポリイミド樹脂の合成例1〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF8010を37g(0.05mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル21g(0.10mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´―(4,4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物78g(0.15mol)を添加、約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂1を得た。
〔ポリイミド樹脂の合成例2〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF8010を62g(0.075mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル15g(0.075mol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼ぶ)を投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´―(4,4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物78g(0.15mol)を添加、約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂2を得た。
〔ポリイミド樹脂の合成例3〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン41g(0.143mol)と、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル1.6g(0.007mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´―(4,4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物78g(0.15mol)を添加、約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、180分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂3を得た。
〔層Aを形成する溶液の調合例1〕
ポリイミド樹脂1をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(a)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
〔層Aを形成するの調合例2〕
ポリイミド樹脂2をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(b)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
〔層Aを形成するの調合例3〕
ジャパンエポキシレジン(株)社製ビフェニル型エポキシ樹脂のYX4000H32.1g、和歌山精化工業(株)社製ジアミンのビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン17.9g、四国化成工業(株)社製のエポキシ硬化剤、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]ーエチル−s―トリアジン0.2gをジオキソランに溶解させ、固形分濃度15%の溶液(c)を得た。溶液(a)70gと溶液(c)30gを混合し、層Aを形成する溶液(d)を得た。
〔層Aを形成する溶液の調合例4〕
信越化学工業株式会社製のポリイミドシリコーン溶液、Xー22−8917(固形分濃度20重量%、シクロヘキサノン溶液)を用い、層Aを形成する溶液(e)とした。次に、ジャパンエポキシレジン(株)社製ビフェニル型エポキシ樹脂のYX4000H32.1g、和歌山精化工業(株)社製ジアミンのビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン17.9g、四国化成工業(株)社製のエポキシ硬化剤、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]ーエチル−s―トリアジン0.2gをシクロヘキサノンに溶解させ、固形分濃度20%の溶液(f)を得た。溶液(e)70gと溶液(f)30gを混合し、層Aを形成する溶液(g)を得た。
〔非熱可塑ポリイミドフィルムの作製例〕
高分子フィルムとして、25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムを作製して用いた。セパラブルフラスコ中でパラフェニレンジアミン(以下PDA)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODA)各1当量をDMFに溶解し、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)(以下TMHQ)1当量を加え30分間攪拌した。その後、ピロメリット酸二無水物(以下PMDA)0.9当量を加え30分間攪拌した。次いで粘度上昇に注意しながらPMDAのDMF溶液(濃度7%)を加え23℃での粘度が2000〜3000ポイズになるように調整し、ポリアミド酸重合体のDMF溶液を得た。なおDMFの使用量はジアミン成分およびテトラカルボン酸二無水物成分のモノマー仕込濃度が、18重量%となるようにした。また、重合は40℃で行った。上記ポリアミド酸溶液100gに対して、無水酢酸10gとイソキノリン10gを添加し均一に攪拌した後、脱泡を行い、ガラス板上に流延塗布し、約110℃に約5分間乾燥後、ポリアミド酸塗膜をガラス板より剥し、自己支持性を持つゲルフィルムを得た。該ゲルフィルムをフレームに固定して、その後約200℃で約1分間、約300℃で約1分間、約400℃で約1分間、約500℃で約1分間加熱し、脱水閉環乾燥し、厚み約25μmの非熱可塑ポリイミドフィルム(h)を得た。このフィルムの熱膨張係数は12ppmであった。また、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こさなかったため、非熱可塑ポリイミドと判定した。
〔層間接着フィルムの作製例〕
ポリイミド樹脂3をジオキソランに溶解させ、溶液(i)を得た。固形分濃度は20重量%となるようにした。また、ジャパンエポキシレジン(株)社製ビフェニル型エポキシ樹脂のYX4000H32.1g、和歌山精化工業(株)社製ジアミンのビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン17.9g、四国化成工業(株)社製のエポキシ硬化剤、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]ーエチル−s―トリアジン0.2gをジオキソランに溶解させ、固形分濃度50%の溶液(j)を得た。溶液(i)40gと溶液(j)16gと(株)龍森社製のシリカ(アドマファインS0−C5、平均粒径=1.5μm)8gとを混合し、溶液(k)を得た。該溶液(k)を支持体となるポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、100℃、120℃、150℃の温度で乾燥させ、厚み35μmの層間接着フィルム(l)を得た。尚、該フィルムを用いて積層を行う際は、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して用いた。
〔実施例1〕
表3に示す層Aを形成する溶液を、非熱可塑ポリイミドフィルムの片面に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて150℃の温度で乾燥させ、厚み2μmの層A/厚み25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムからなる積層体を得た。該積層体を用いて各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
〔実施例2〜4〕
表3に示す層Aを形成する溶液に従い、実施例1と同様の手順で積層体を得た。該積層体を用いて各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
〔実施例5〕
表3に示す層Aを形成する溶液を、非熱可塑ポリイミドフィルムの片面に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて150℃の温度で乾燥させ、厚み2μmの層A/厚み25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムからなる積層体を得た。次に、該積層体の非熱可塑ポリイミドフィルム面にも層Aを形成する溶液を流延塗布し、熱風オーブンにて150℃の温度で乾燥させ、厚み2μmの層A/厚み25μmの非熱可塑ポリイミドフィルム/厚み2μmの層Aからなる積層体を得た。該積層体を用いて各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
〔比較例1〕
溶液(c)を用い、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、100℃、120℃、150℃の温度で乾燥させ、厚み35μmの絶縁性接着フィルムを得た。該フィルムを用いて、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。表4から分かるように、熱膨張係数が大きかった。また、無電解めっき皮膜との接着強度が低く、微細配線を形成した場合には配線剥がれが生じた。
〔比較例2〕
溶液(c)を用い、層Aを形成したことを除いては実施例1と同様にして厚み2μmの層A/厚み25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムからなる積層体を得た。該積層体を用いて各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。表4から分かるように、積層体の熱膨張係数は小さいが、無電解めっき皮膜との接着強度が低く、微細配線を形成した場合には配線剥がれが生じた。
Figure 2006142683
Figure 2006142683
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の積層体は、層Aの表面粗度が小さい場合でも無電解めっき皮膜との接着強度が高く、且つ非熱可塑ポリイミドフィルムを設けていることにより熱膨張係数が小さいという特徴を有しているため、フレキシブルプリント配線板やリジッド配線板、ビルドアップ配線板、多層フレキシブルプリント配線板等のプリント配線板の製造等に好適に用いることができる。それゆえ、本発明は、樹脂組成物や接着剤等の素材加工産業や各種化学産業だけでなく、各種電子部品の産業分野に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルムからなることを特徴とする積層体であって、前記層Aはシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする積層体。
  2. 前記層Aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さが0.5μm以下である請求項1記載の積層体。
  3. 無電解めっきを形成するための層A/高分子フィルム/無電解めっきを形成するための層A’からなることを特徴とする積層体であって、前記層AおよびA’はシロキサン構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする積層体。
  4. 前記層Aおよび層A‘の表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さが0.5μm以下である請求項3記載の積層体。
  5. 前記高分子フィルムは、非熱可塑ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の層AまたはA’上に無電解めっき皮膜が形成されていることを特徴とする積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体を用いることを特徴とするプリント配線板。
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