JP2006142672A - 印刷機の絵柄色調制御方法および装置 - Google Patents

印刷機の絵柄色調制御方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 分光計よりもコストが低いIRGB濃度計を用いて、OKシートが印刷されるのを待つまでもなく印刷開始直後から印刷依頼元等が所望する色調に正確、且つ容易に色合わせできるようにする。
【解決手段】 スキャナ装置のICCプロファイル及びIRGB濃度計のデバイスプロファイルとを用いて、外部から取得した印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データと校正刷りとから目標網点面積率を求める。また、この目標網点面積率から目標単色網濃度を求めておく。この後、印刷を開始し、IRGB濃度計を用いて、印刷された本刷りシートの実混色網濃度を求め、この実混色網濃度から実単色網濃度を求める。そして、上記目標網点面積率のもとでの目標単色網濃度と実単色網濃度との偏差に対応するベタ濃度偏差を求め、これに基づいてインキ供給量を調整する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、印刷機の絵柄色調制御方法及び装置に関し、特に、IRGB濃度計を用いて色調を制御する絵柄色調制御方法及び装置に関する。
従来行われていた印刷機の絵柄の色調制御の方法として、絵柄とともに印刷シートの余白部分に色調検査用のカラーパッチを印刷し、このカラーパッチの分光反射率を分光計にて測定して、その測定結果から絵柄の色調の目標とする色調からのずれを検出して各色のインキ供給量を制御する方法がある。しかしながら、この方法では、印刷シートにカラーパッチを印刷するための余白が必要なため、余白の分だけ紙を無駄にしてしまう。
この問題に対し特許文献1及び特許文献2には、カラーパッチを用いることなく、絵柄自体の絵柄の色調制御を行う方法が提案されている。これらの文献に開示された方法は、要約すると次のような手順となる。
まず、各色の印刷ユニットで印刷された絵柄の分光反射率を分光計にて測定する。そして、インキキーのキーゾーン毎に分光反射率(キーゾーン全体の平均分光反射率)を演算し、さらに各キーゾーンの分光反射率を国際照明委員会が提唱する色座標値(L***)に変換する。各色のインキ供給量を調整して試印刷を行い、所望の色調を有する印刷シート(以下、OKシートという)が得られたら、OKシートの各キーゾーンの色座標値を目標色座標値に設定する。次に、本印刷を開始してキーゾーン毎にOKシートと印刷シート(以下、本印刷で得られた印刷シートを本刷りシートという)との色座標値の差(色差)を算出し、色差に対する各印刷ユニットのインキキーの開度の増減量を計算して、色差がゼロになるように各印刷ユニットの各インキキーの開度をオンライン制御によって調整する。
特開2001−18364号公報 特開2001−47605号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示された方法には、以下のような課題がある。まず、上記方法では、計測手段として分光計を用いているが、分光計はコストが高く、さらに、分光計は新聞用輪転機のように計測対象(この場合は印刷シート)が極めて高速で移動する場合には処理能力上追従することができない。また、上記方法では、OKシートが印刷されてから色調制御が開始されることになるため、立ち上がりからOKシートが印刷されるまでの間に多くの損紙が発生してしまう。また、客先からの注文には、絵柄中の特定の注目点について特に厳しい色調管理を要求される場合があるが、このように特定の注目点について色調制御したい場合には、基準となる画像データとして上流の製版工程からCIP4〔CIP4(International Cooperation for Integration of Processes in Prepress, Press, and Postpress)規格のJDF(Job Definition Format)データ〕等のデータをもらわなければならない。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、分光計よりもコストが低いIRGB濃度計を用いて、OKシートが印刷されるのを待つまでもなく印刷開始直後から印刷依頼元等が所望する色調に正確、且つ容易に色合わせできるようにした、印刷機の絵柄色調制御方法および装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、外部から印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データと校正刷りとを取得するステップと、該校正刷りをスキャナ装置で読み取って該校正刷りの混色網濃度を求めるステップと、該スキャナ装置自体の特性を表す混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該スキャナ装置のICCプロファイルに基づき、該kcmy網点面積率データに含まれる該印刷対象絵柄の網点面積率、及び、該校正刷りの混色網濃度から、網点面積率と色座標値との対応関係を求めるステップと、上記の網点面積率と色座標値との対応関係、及び、IRGB濃度計自体の特性を表す網点面積率と混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該印刷対象絵柄の網点面積率、及び、該校正刷りの混色網濃度から、該印刷対象絵柄をインキ供給装置のインキ供給単位幅で分割したときの該インキ供給単位幅毎の目標混色網濃度を設定するステップと、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該目標混色網濃度に対応する各インキ色の目標網点面積率を求めるステップと、該IRGB濃度計を用いて、印刷で得られた本刷りシートの実混色網濃度を計測するステップと、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該実混色網濃度に対応する各インキ色の実網点面積率を求めるステップと、予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率に対応する目標単色網濃度を求めるステップと、予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該実網点面積率に対応する実単色網濃度を求めるステップと、予め設定した網点面積率と単色網濃度とベタ濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率のもとでの該目標単色網濃度と該実単色網濃度との偏差に対応するベタ濃度偏差を求めるステップと、該ベタ濃度偏差に基づきインキ供給装置のインキ供給単位幅毎にインキ供給量を調整するステップとを実行することを特徴としている。
請求項2記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項1記載の方法において、上記の網点面積率と色座標値との対応関係を求めるステップは、該スキャナ装置で読み取った該校正刷りの混色網濃度を該スキャナ装置のICCプロファイルに基づいて色座標値に変換するステップと、該スキャナ装置で読み取った該校正刷りの混色網濃度と、該スキャナ装置のICCプロファイルに基づいて変換した色座標値とから、混色網濃度と色座標値との対応関係を求めるステップと、該kcmy網点面積率データに基づいて作成した該印刷対象絵柄の画像と、該スキャナ装置で読み取って作成した該校正刷りの画像との位置合わせを行なうステップと、該位置合わせをした該印刷対象絵柄の画像と該校正刷りの画像とに基づいて、網点面積率と混色網濃度との対応関係を求めるステップとをそなえ、上記の混色網濃度と色座標値との対応関係、及び、上記の網点面積率と混色網濃度との対応関係に基づいて上記の網点面積率と色座標値との対応関係を求めることを特徴としている。
請求項3記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項1又は2記載の方法において、該目標混色網濃度を求めるステップは、該印刷対象絵柄の網点面積率を、上記の網点面積率と色座標値との対応関係に基づいて色座標値に変換するステップと、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて、該色座標値に対応する複数の混色網濃度候補を求めるステップと、該印刷対象絵柄の網点面積率を、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて色座標値に変換するステップと、上記の網点面積率と色座標値との対応関係による変換、及び、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルによる変換によって得られた上記2つの色座標値間の色差を求めるステップと、該色差に対応する網点面積率の変化量を演算するステップと、該網点面積率に該変化量を加算した仮想網点面積率を求めるステップと、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルを参照して上記の複数の混色網濃度候補のうち該仮想網点面積率に最も対応するものを選択するステップとをそなえ、該選択した混色網濃度候補を該目標混色網濃度として設定することを特徴としている。
請求項4記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法において、該印刷対象絵柄を構成する画素の中から該インキ供給単位幅毎に各インキ色に対応する注目画素をそれぞれ選定するステップをそなえ、該インキ供給量を調整するステップでは、各インキ供給単位幅における注目画素のインキ供給量を調整することを特徴としている。すなわち、この場合、上記の注目画素毎に目標混色網濃度を設定し、次に、IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、この目標混色網濃度に対応する各インキ色の目標網点面積率を設定し、そして、予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、この目標網点面積率に対応する目標単色網濃度を求める。
請求項5記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項4記載の方法において、該注目画素としてインキ色毎に各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素を自動抽出することを特徴としている。
請求項6記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項4記載の方法において、該注目画素としてインキ色毎に各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素とその周辺の複数の画素からなる画素群を自動抽出することを特徴としている。
請求項7記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御方法は、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法において、該kcmy網点面積率データを取得するステップでは、最初に印刷対象絵柄のビットマップデータを取得して、該ビットマップデータをCIP4データ相当の低解像度データに変換したものを該kcmy網点面積率データとして用いることを特徴としている。
請求項8記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御装置は、印刷幅方向に分割されたインキ供給単位幅毎にインキを供給するインキ供給装置と、外部から印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データを受信する受信手段と、該印刷対象絵柄の校正刷りをスキャンして該校正刷りの混色網濃度を求めるスキャナ装置と、印刷で得られる本刷りシートの走行ライン上に配置されたIRGB濃度計と、該スキャナ装置自体の特性を表す混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該スキャナ装置のICCプロファイル、及び、該IRGB濃度計自体の特性を表す網点面積率と混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該受信手段により受信したkcmy網点面積率データに含まれる該印刷対象絵柄の網点面積率、及び、該スキャナ装置により得られた該校正刷りの混色網濃度から、該印刷対象絵柄を該インキ供給装置のインキ供給単位幅で分割したときの該インキ供給単位幅毎の目標混色網濃度を設定する目標混色網濃度設定手段と、該IRGB濃度計を操作して該本刷りシートの該インキ供給単位幅毎の実混色網濃度を計測する実混色網濃度計測手段と、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該目標混色網濃度に対応する各インキ色の目標網点面積率を求める目標網点面積率演算手段と、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該実混色網濃度に対応する各インキ色の実網点面積率を求める実網点面積率演算手段と、予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率に対応する目標単色網濃度を求める目標単色網濃度演算手段と、予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該実網点面積率に対応する実単色網濃度を求める実単色網濃度演算手段と、予め設定した網点面積率と単色網濃度とベタ濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率のもとでの該目標単色網濃度と該実単色網濃度との偏差に対応するベタ濃度偏差を求めるベタ濃度偏差演算手段と、該ベタ濃度偏差に基づき該インキ供給単位幅毎にインキ供給量を調整するインキ供給量調整手段とを備えたことを特徴としている。
請求項9記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御装置は、請求項8記載の装置において、該目標混色網濃度設定手段は、該スキャナ装置のICCプロファイルに基づき、該スキャナ装置により得られた該校正刷りの混色網濃度を色座標値に変換し、該校正刷りの混色網濃度と色座標値とから、混色網濃度と色座標値との対応関係を設定する混色網濃度−色座標値対応関係設定部と、該kcmy網点面積率データに基づいて作成した該印刷対象絵柄の画像と、該スキャナ装置で読み取って作成した該校正刷りの画像との位置合わせを行なう画像処理部と、該画像処理部により位置合わせが行なわれた該印刷対象絵柄の画像と該校正刷りの画像とに基づいて、網点面積率と混色網濃度との対応関係を設定する網点面積率−混色網濃度対応関係設定部と、上記の混色網濃度と色座標値との対応関係、及び、上記の網点面積率と混色網濃度との対応関係から、網点面積率と色座標値との対応関係を求める網点面積率−色座標値対応関係設定部とをそなえ、上記の網点面積率と色座標値との対応関係、及び、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて該目標混色網濃度を設定することを特徴としている。
請求項10記載の本発明の印刷機の絵柄色調制御装置は、請求項8又は9記載の装置において、該印刷対象絵柄を構成する画素の中から該インキ供給単位幅毎に各インキ色に対応する注目画素をそれぞれ設定する注目画素設定手段をそなえ、該インキ供給量調整手段が、各インキ供給単位幅における注目画素のインキ供給量を調整することを特徴としている。
本発明の印刷機の絵柄色調制御方法及び装置によれば、分光計ではなくIRGB濃度計を用いて色調制御を行うことができるので、計測手段にかかるコストが低減できるとともに新聞輪転機のような高速印刷機にも十分に対応することができる。また、印刷依頼元等の外部から得た印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データと印刷対象絵柄の校正刷りとを用いて色調を制御するので、OKシートが印刷されるのを待つまでもなく、印刷開始直後から、印刷依頼元等が所望する色調に正確、且つ容易に色合わせすることができる。さらに、従来行われている校正刷りと比較しながらの色合わせに比較して、より効率よく色調制御を行なうことができ、OKシートが得られるまでの損紙の発生量を大幅に低減することもできる。
特に、印刷開始前に絵柄の特定の注目点を設定しておけば、この注目点について正確に色調制御を行うことが可能になる。また、各色・各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素を注目点として設定する場合には、センシング感度が向上するため、所望の色調に速やかに合わせることが可能になる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる新聞用オフセット輪転機の概略構成を示す図である。本実施形態の新聞用オフセット輪転機は多色刷りの両面印刷機であり、印刷シート8の搬送経路に沿って、インキ色〔墨(k)、藍(c)、紅(m)、黄(y)〕毎に印刷ユニット2a,2b,2c,2dが設置されている。本実施形態では、印刷ユニット2a,2b,2c,2dは、インキキー7とインキ元ローラ6とからなるインキキー式のインキ供給装置を備えている。この形式のインキ供給装置では、インキキー7のインキ元ローラ6に対する隙間量(以下、この隙間量をインキキー開度という)によりインキ供給量を調整することができる。また、インキキー7は印刷幅方向に複数並置されており、インキキー7の幅単位(以下、インキキー7によるインキ供給単位幅をキーゾーンという)でインキ供給量を調整することができる。インキキー7により供給量を調整されたインキは、インキローラ群5内で適度に練られ、薄膜を形成した後に版胴4の版面に供給され、版面に付着したインキがブランケット胴3を介して絵柄として印刷シート8に転写される。なお、図1中では省略しているが、本実施形態の新聞用オフセット輪転機は両面刷りなので、各印刷ユニット2a,2b,2c,2dには、印刷シート8の搬送経路を挟むようにして一対のブランケット胴3,3が備えられ、各ブランケット胴3に対して版胴4やインキ供給装置が設けられている。
本実施形態の新聞用オフセット輪転機は、最下流の印刷ユニット2dのさらに下流にラインセンサ型IRGB濃度計(単にIRGB濃度計ともいう)1を備えている。ラインセンサ型IRGB濃度計1は印刷シート8上の絵柄の色を印刷幅方向ライン状にI(赤外光)、R(赤)、G(緑)、B(青)の反射濃度(混色網濃度)として計測する計測器であり、印刷シート8全体の反射濃度を計測したり、任意の位置の反射濃度を計測したりすることが可能である。本実施形態の新聞用オフセット輪転機は両面刷りなので、ラインセンサ型IRGB濃度計1は印刷シート8の搬送経路を挟むようにして表裏両側に配置され、表裏両面の反射濃度を計測できるようになっている。
ラインセンサ型IRGB濃度計1により計測された反射濃度は演算装置10に送信される。演算装置10はインキ供給量の制御データを演算する装置であり、ラインセンサ型IRGB濃度計1で計測された反射濃度に基づいて演算を行い、印刷シート8の絵柄の色を目標色に一致させるためのインキキー7の開度を演算している。ここで、図2は本発明の一実施形態にかかる新聞用オフセット輪転機の絵柄色調制御装置の概略構成を示す図であると同時に、演算装置10の色調制御機能に着目した機能ブロック図である。
演算装置10は、印刷機とは離れて設置されたDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ。注目画素設定手段,実混色網濃度演算手段、及び、目標混色網濃度設定手段の画像処理部に相当する機能を有する)11とPC(パソコン)12とから構成され、PC12には色変換部(目標網点面積率演算手段,目標単色網濃度演算手段,実網点面積率演算手段,実単色網濃度演算手段,ベタ濃度偏差演算手段、及び、目標混色網濃度設定手段の画像処理部以外の各対応関係設定部に相当する機能を有する)14,インキ供給量演算部15,オンライン制御部16,キー開度リミッタ演算部17及び受信部(受信手段)18としての機能が割り当てられている。
色変換部14は、各インキ色の網点面積率と混色網濃度と色座標値とを関連付けるデータベース141を備えている。データベース141は、ISO/TC130国内委員会が制定した新聞印刷JapanColor基準の印刷物を印刷し、IRGB濃度計1で実測したデータ〔標準色の網点面積率(k,c,m,y)と混色網濃度(I,R,G,B)と色座標値(L,a,b)との対応関係を規定した変換テーブル〕を基準にして作成されている(これをIRGB濃度計1のデバイスプロファイルともいう)。
また、演算装置10の入力側には、ラインセンサ型IRGB濃度計1が接続され、出力側には印刷機内蔵の制御装置20が接続されている。制御装置20は、インキキー7のキーゾーン毎にインキ供給量を調整するインキ供給量調整手段として機能するものであり、インキキー7を開閉させる図示しない開閉装置を制御しており、各印刷ユニット2a,2b,2c,2dのインキキー7毎に独立してキー開度を調整することができる。また、演算装置10には表示装置としてのタッチパネル(入力手段の機能も有する)30が接続されている。
また、本実施形態の新聞用オフセット輪転機には、スキャナ装置(校正刷り読み取り手段)21が備えられている。スキャナ装置21は、印刷物などの紙面をスキャンして前記紙面に印刷されている絵柄や文字情報を混色網濃度rs,gs,bsのデータに変換するようになっている。また、ここでは、スキャナ装置21は、演算装置10の受信部18にネットワーク(有線,無線の何れでもよい)などを介して接続されており、スキャナ装置21でスキャンして取り込んだ印刷物の紙面データを上記のネットワークを介して受信部18へ送ることが可能となっている。もちろん記録媒体を介してデータの受け渡しを行なってもよい。また、スキャナ装置21は、スキャナ装置21自体の特性を表す混色網濃度(Rs,Gs,Bs)と色座標値(Ls,as,bs)との対応関係(Rs,Gs,Bs/Ls,as,bs)を規定した変換テーブル(スキャナ装置21のICCプロファイル)を備えている。この変換テーブルは、例えば、ISO 12641で記述された入力ターゲット用カラーチャートをスキャナ装置21で実際にスキャンして得られたデータに基づいて作成されている。
図3〜図5は演算装置10による色調制御の処理フローを示す図である。以下、図3〜図5を中心に演算装置10による色調制御の処理内容について説明する。
図3に示すように、本実施形態では、まず、ステップS10として、演算装置10が受信部18により記憶媒体やネットワーク(有線,無線の何れでもよい)などを介して、外部〔例えば新聞社基地局或いは新聞社に対する印刷依頼元(広告代理店など)〕から、新聞紙の例えば広告面などの紙面情報(印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データ)を取得するようになっている。ここでは、一例として、新聞社基地局から広告の紙面情報が網点面積率k,c,m,yのビットマップデータ(1bit−Tiff製版用データ)の形式で新聞社の印刷工場に送信されてくるものとする。また、印刷工場には、上記の広告の紙面情報のビットマップデータの他に、広告代理店等から支給されたその広告の校正刷り(印刷物の見本)も送られてくる。
次に、ステップS20として、送られてきた校正刷りをスキャナ装置21を使って読み取る。これにより、校正刷りを混色網濃度rs,gs,bsのデータに変換することができる。次に、ステップS30として、色変換部14が、受信部18を介してスキャナ装置21から混色網濃度rs,gs,bsのデータとスキャナ装置21のICCプロファイルを取得し、このスキャナ装置21のICCプロファイルを用いて混色網濃度rs,gs,bsを色座標値Ls,as,bsに変換する。そして、ステップS40にて、校正刷りの混色網濃度rs,gs,bsと色座標値Ls,as,bsとの対応関係(rs,gs,bs/Ls,as,bs)を得る。この混色網濃度と色座標値との対応関係は、色変換部14の一機能である混色網濃度−色座標値対応関係設定部にて得られる。
また、DSP11は、ステップS50として、受信部18を介して取得したビットマップデータをCIP4データ相当の低解像度データに変換し、この低解像度データを網点面積率k,c,m,yのデータとして用いる。この解像度の変換処理は一般的なCIP4データとの共用を図るためであるが、後の処理においてビットマップデータそのものを網点面積率データとして用いることも可能である。また、DSP11にはタッチパネル30が接続されており、このタッチパネル30には、送信されたビットマップデータに基づいて紙面の絵柄画像が表示されるようになっている。
次に、DSP11は、ステップS60として、低解像度データに変換した網点面積率k,c,m,yのデータに基づいて画像を作成するとともに、受信部18を介して取得した校正刷りの混色網濃rs,gs,bsのデータに基づいて画像を作成し、これら2つの画像の位置合わせを行なう。これにより、ステップS70にて、画像内の各画素毎の混色網濃度rs,gs,bsと網点面積率k,c,m,yとの対応関係(rs,gs,bs/k,c,m,y)を得る。この混色網濃度と網点面積率との対応関係は、色変換部14の一機能である混色網濃度−網点面積率対応関係設定部にて得られる。
そして、ステップS80では、ステップS40及びステップS70にて得られた、混色網濃度rs,gs,bsと色座標値Ls,as,bsとの対応関係(rs,gs,bs/Ls,as,bs)、及び、混色網濃度rs,gs,bsと網点面積率k,c,m,yとの対応関係(rs,gs,bs/k,c,m,y)から、網点面積率k,c,m,yと色座標値Ls,as,bsとの対応関係(k,c,m,y/Ls,as,bs)を求める。この網点面積率と色座標値との対応関係は、色変換部14の一機能である網点面積率−色座標値対応関係設定部にて得られる。
次に、図4に示すように、ステップS100として、タッチパネル30に表示された絵柄画像に直接手で或いはタッチペンなどを使って、キーゾーン毎に各インキ色に対応する特定の注目点(注目画素)をそれぞれ設定する。注目点は、タッチパネル30に表示された絵柄画像上の特定点を任意に選択することで指定され、演算装置10のDSP11へ入力される。注目点とは印刷シート8上の特に色を一致させたい絵柄の位置であり、キーゾーン毎に、特定の一画素、又は、連続する一塊の複数画素、又は、全画素を指定することができる。オペレータにより注目点が指定されていないキーゾーンについては、DSP11が注目点を自動設定する。この自動設定は、各色・各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい(人間の目に目立ちやすい)画素を演算して自動抽出することにより行なう。具体的には、例えば、シアンの自己相関感度Hcは、網点面積率データ(k,c,m,y)を用いて、“Hc=c1.2/(k+c+m+y)”で表すことができ、この自己相関感度Hcの値が最も高い画素がシアンの注目点となる。同様に他のインキ色についても自己相関感度が最も高い画素を演算し、その画素を注目点として設定する。また、例えばオペレータが指定した任意の絵柄ポイント中に無い色及び絵柄面積の少ない色は自動で設定することも可能である。
なお、1つのキーゾーンについて、連続する一塊の複数画素、又は、全画素が注目点として指定されて注目点が複数画素の集合である場合には、DSP11はこれら注目点を構成する複数画素で平均処理する。また、例えば、オペレータにより任意の一画素が選択されたり、最も自己相関感度の高い画素が自動選択されたら、その周辺の画素も含めた画素群を注目点として選定し、この画素群の網点面積率を平均処理するようにしてもよい。注目点に含める周辺画素の画素数やその選択パターンは固定(例えば、選択或いは自動抽出された画素を囲む周辺8画素)してもよいが、好ましくは、選択或いは自動抽出された画素の絵柄内での位置等を考慮して外乱の影響が抑制されるように設定する。これによれば、印刷紙面の蛇行や天地ずれによって計測データが変動することが少なくなるので、安定したフィードバック制御が可能になる。
次に、ステップS110では、ステップS80で得られた網点面積率k,c,m,yと色座標値Ls,as,bsとの対応関係(k,c,m,y/Ls,as,bs)を用いて、注目点の網点面積率ki,ci,mi,yiを色座標値Ls,as,bsに変換する。そして、ステップS120では、データベース141に記憶された変換テーブルを用いて、ステップS110で求めた色座標値Ls,as,bsを混色網濃度に変換する。しかしながら、色座標値は3次元情報であるのに対して混色網濃度は4次元情報であるので、色座標値に対応する混色網濃度は一意には定まらない。混色網濃度を一意に定めるには、何らかの追加情報が必要になるが、前述した網点面積率k,c,m,yと色座標値Ls,as,bsとの対応関係(k,c,m,y/Ls,as,bs)からは色座標値という3次元情報しか得ることができない。
そこで、本実施形態では以下のステップで説明するように、印刷絵柄の網点面積率データ、すなわち、色座標値L,a,bに対応する網点面積率ki,ci,mi,yiを利用することによって、このような3次元情報から4次元情報への展開において、候補となる無数の4次元情報の中から最も適当な4次元情報を選出することを行う。
まず、ステップS130において、データベース141に記憶された変換テーブルを用いて注目点の網点面積率ki,ci,mi,yiを色座標値L’,a’,b’に変換する。ステップS140では、ステップS110で求めた色座標値Li,ai,biと、ステップS130で求めた色座標値L’,a’,b’との色差ΔL’,Δa’,Δb’を演算し、ステップS150において、この色差ΔL’,Δa’,Δb’に対応する網点面積率の変化量Δk’,Δc’,Δm’,Δy’を演算する。網点面積率の各変化量は、色座標値の各変化量を用いて下式で近似することができる。但し、下式におけるa,bは線形近似係数である。
Δc’=a11×ΔL’+a12×Δa’+a13×Δb’+bc ・・・(1)
Δm’=a21×ΔL’+a22×Δa’+a23×Δb’+bm ・・・(2)
Δy’=a31×ΔL’+a32×Δa’+a33×Δb’+by ・・・(3)
Δk’=a41×ΔL’+a42×Δa’+a43×Δb’+bk ・・・(4)
ステップS160では、注目点の網点面積率ki,ci,mi,yiにステップS150で求めた変化量Δk’,Δc’,Δm’,Δy’を加算し、その値を仮想網点面積率k’,c’,m’,y’として設定する。ステップS170では、この仮想網点面積率k’,c’,m’,y’をデータベース141に記憶された変換テーブルに照合し、ステップS120で求めた複数の混色網濃度候補の中から仮想網点面積率k’,c’,m’,y’に最も対応(近似)するものを選択する。選択された混色網濃度は目標混色網濃度Io,Ro,Go,Boとして設定され、図5に示すステップU40以降の処理で用いられる。
以上のように目標混色網濃度Io,Ro,Go,Boが設定されたら、印刷を開始して図5に示すフローチャートのステップU10以降の処理を繰り返し実行する。
まず、ステップU10として、ラインセンサ型IRGB濃度計1が印刷シート8全面の一画素毎の反射光量i’,r’,g’,b’を計測する。ラインセンサ型IRGB濃度計1で計測された各画素の反射光量i’,r’,g’,b’はDSP11に入力される。ただし、刷版を装着するための版胴ギャップ(Gap)部分は、印刷紙面にインキが付着しないため常に白紙部となる。ライセンサ型IRGB濃度計1はこの白紙部の反射光量を計測し、この計測した白紙部の反射光量をDSP11に入力する。
DSP11は、ステップU20として、各画素の反射光量i’,r’,g’,b’について所定の印刷枚数単位で移動平均を行うことで、ノイズ成分を除去した各画素の反射光量i,r,g,bを算出する。そして、ステップU30として、反射光量i,r,g,bをキーゾーン毎に平均処理し、白紙部分の反射光量を基準とする注目点(注目画素)の混色網濃度(実混色網濃度)I,R,G,Bを演算する。例えば、白紙部分の赤外光の反射光量をipとし、キーゾーン内の赤外光の平均反射光量をikとすると、赤外光の実混色網濃度IはI=log10(ip/ik)として求められる。DSP11で演算されたキーゾーン毎の実混色網濃度I,R,G,Bは、色変換部14に入力される。
色変換部14は、ステップU40,U50及びU60の処理を行う。まず、ステップU40として、ステップU30で演算された実混色網濃度I,R,G,B、及び、前述した図4に示すステップS170で求めた目標混色網濃度Io,Ro,Go,Boに対応する各インキ色の網点面積率をそれぞれ演算する。この演算にはデータベース141を用い、データベース141に記憶された対応関係に基づき、目標混色網濃度Io,Ro,Go,Boに対応する各インキ色の網点面積率を目標網点面積率ko,co,mo,yoとして演算し、実混色網濃度I,R,G,Bに対応する各インキ色の網点面積率を実網点面積率k,c,m,yとして演算する。
次に、色変換部14は、ステップU50として、目標網点面積率ko,co,mo,yo及び実網点面積率k,c,m,yに対応する各インキ色の単色網濃度をそれぞれ演算する。この演算には、図6に示すようなマップを用いる。図6は網点面積率を変化させた場合に実測される単色網濃度を特性曲線としてプロットしたマップの一例であり、事前に測定されたデータにより作成されている。ここでは、網点面積率が大きくなるにつれて単色網濃度の増加率がしだいに大きくなるマップを用いている。図6に示す例では、墨色の目標網点面積率ko、実網点面積率kをマップに照らし合わせることで、マップ中の特性曲線からそれぞれ目標単色網濃度Dakoと実単色網濃度Dakとが求められている。このようにして、色変換部14は、各インキ色の目標単色網濃度Dako,Daco,Damo,Dayoと実単色網濃度Dak,Dac,Dam,Dayとを求める。
次に、色変換部14は、ステップU60として、目標単色網濃度Dako,Daco,Damo,Dayoと実単色網濃度Dak,Dac,Dam,Dayとの偏差に対応する各インキ色のベタ濃度偏差ΔDsk,ΔDsc,ΔDsm,ΔDsyを演算する。なお、ベタ濃度は網点面積率にも依存しており、同単色網濃度に対しては、網点面積率が高いほどベタ濃度は低くなる。そこで、色変換部14は、図7に示すようなマップを用いて演算を行う。図7は単色ベタ濃度を変化させた場合に実測される単色網濃度を網点面積率毎に特性曲線としてプロットしたマップの一例であり、事前に測定されたデータにより作成されている。ここでは、各網点面積率について、ベタ濃度が大きくなるにつれて単色網濃度が線形又は略線形に増加するマップを用いている。色変換部14は、各インキ色について目標網点面積率ko,co,mo,yoに対応する特性曲線を図7に示すマップから選択し、選択した特性曲線に目標単色網濃度Dako,Daco,Damo,Dayoと実単色網濃度Dak,Dac,Dam,Dayとを対応させることにより、ベタ濃度偏差ΔDsk,ΔDsc,ΔDsm,ΔDsyを求める。図7に示す例では、墨色の目標網点面積率koが75%の場合に、目標単色網濃度Dako、実単色網濃度Dakをマップに照らし合わせることで、マップ中の75%特性曲線から墨色のベタ濃度偏差ΔDskが求められている。
色変換部14で演算された各インキ色のベタ濃度偏差ΔDsk,ΔDsc,ΔDsm,ΔDsyは、インキ供給量演算部15に入力される。インキ供給量演算部15は、ステップU70として、ベタ濃度偏差ΔDsk,ΔDsc,ΔDsm,ΔDsyに対応するキー開度偏差量ΔKk,ΔKc,ΔKm,ΔKyを演算する。キー開度偏差量ΔKk,ΔKc,ΔKm,ΔKyは、各インキキー7の現在のキー開度Kk0,Kc0,Km0,Ky0(前回のステップU100の処理で印刷機の制御装置20に出力したキー開度Kk,Kc,Km,Ky)に対する増減量であり、インキ供給量演算部15は、公知のAPI関数(オートプリセットインキング関数)を用いて演算を行う。API関数は基準濃度にするため各キーゾーンの画線率〔=網点面積率(k,c,m,y)〕とキー開度K(Kk,Kc,Km,Ky)との対応関係を示した関数である。網点面積率は、新聞社の本社から送信されたビットマップデータを用いることができる。具体的には、基準濃度Ds(Dsk,Dsc,Dsm,Dsy)に対するベタ濃度偏差ΔDs(ΔDsk,ΔDsc,ΔDsm,ΔDsy)の比率kd(kd=ΔDs/Ds)を求めるとともに、網点面積率に対する基準濃度にするためのキー開度KをAPI関数を使って求め、これらの積としてベタ濃度偏差ΔDsをゼロにするためのキー開度偏差量ΔK(ΔK=kd×K)を求める。
次に、オンライン制御部16は、ステップU80として、色変換部14で演算されたキー開度偏差量ΔKk,ΔKc,ΔKm,ΔKyを、各印刷ユニット2a,2b,2c,2dからラインセンサ型IRGB濃度計1までの無駄時間、時間あたりのインキキー7の反応時間、及び印刷速度を考慮して補正する。この補正は、キー開度信号が入力されてからインキキー7が動き、キー開度が変更されて印刷シートに供給されるインキ量が変化し、IRGB濃度計1に反射光量の変化として検出されるまでの時間遅れを考慮したものである。このようなむだ時間の大きいオンラインフィードバック制御系としては、例えばむだ時間補償付PI制御、ファジー制御、ロバスト制御等が最適である。オンライン制御部16は、補正後のキー開度偏差量(オンライン制御用キー開度偏差量)ΔKk,ΔKc,ΔKm,ΔKyに現在のキー開度Kk0,Kc0,Km0,Ky0を加算したオンライン制御用キー開度Kk1,Kc1,Km1,Ky1をキー開度リミッタ演算部17に入力する。
キー開度リミッタ演算部17は、ステップU90として、オンライン制御部16で演算されたオンライン制御用キー開度Kk1,Kc1,Km1,Ky1に対して上限値を規制する補正を行う。これは、特に低画線部における色変換アルゴリズム(ステップU40,U50,U60の処理)の推定誤差によりキー開度が異常に増大することを規制するための処理である。そして、キー開度リミッタ演算部17は、ステップU100として、上限値を規制したキー開度Kk,Kc,Km,Kyをキー開度信号として印刷機の制御装置20に送信する。
印刷機の制御装置20は、ステップU110として、演算装置10から送信されたキー開度信号Kk,Kc,Km,Kyに基づき各印刷ユニット2a,2b,2c,2dの各インキキー7の開度を調節する。これにより、各インキ色のインキ供給量は、キーゾーン毎に目標とする色調に見あったものにコントロールされることとなる。
上述したように、本実施形態に係る色調制御方法及び装置によれば、印刷依頼元等から得た印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データと印刷物の校正刷りとを用いて色調を制御するので、OKシートが印刷されるのを待つまでもなく、印刷開始直後から、印刷依頼元等が所望する色調に正確、且つ容易に色合わせすることが可能になる。また、従来行われている校正刷りと比較しながらの色合わせに比較して、より効率よく色調制御を行なうことができ、OKシートが得られるまでの損紙の発生量を大幅に低減することもできる。
特に、印刷開始前に絵柄の特定の注目点を設定しておけば、この注目点について正確に色調制御を行うことが可能になる。また、各色・各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素を注目点として設定する場合には、センシング感度が向上するため、所望の色調に速やかに合わせることが可能になる。
また、注目点を一画素、又は、連続する一塊の複数画素で選定したときには、計測値をキーゾーン全体で平均化しないので、キーゾーン内の絵柄の網点面積率が低くても(例えば、キーゾーン内に1ポイントの小さな絵柄が存在しても)、ラインセンサ型IRBG濃度計1の計測誤差が少なく、安定した色調制御を行うことができる。
さらに、従来使用されていた分光計ではなくIRGB濃度計を用いて色調制御を行なうことができるので、計測手段にかかるコストが低減できるとともに新聞輪転機のような高速印刷機にも十分に対応することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記のものに限定されない。例えば、データベース141を備える方法の他、各インキ色の網点面積率と混色網濃度との対応関係を規定した公知のノイゲバウアーの式を記憶しておき、この式に各インキ色の網点面積率を当てはめることで混色網濃度を算出する方法を採ることもできる。
また、図6に示すようなマップを用いて目標単色網濃度と実単色網濃度との偏差に対応する各インキ色のベタ濃度偏差を求める方法の他、網点面積率と単色網濃度とベタ濃度との対応関係を規定した公知のユールニールセンの式を記憶しておき、この式に目標網点面積率、実網点面積率及び単色網濃度を当てはめることでベタ濃度偏差を算出する方法もある。
また、実施形態では、ラインセンサ型のIRGB濃度計1を用いているが、スポット型のIRGB濃度計を用いて印刷シート上を2次元的に走査するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る新聞用オフセット輪転機の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る演算装置の色調制御機能に着目した機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る色調制御の処理フローを示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る色調制御の処理フローを示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る色調制御の処理フローを示すフローチャートである。 単色網濃度を網点面積率に対応づけるマップである。 ベタ濃度を網点面積率と単色網濃度とに対応づけるマップである。
符号の説明
1 ラインセンサ型IRGB濃度計
2a,2b,2c,2d 印刷ユニット
3 ブランケット胴
4 版胴
5 インキローラ群
6 インキ元ローラ
7 インキキー
8 印刷シート
10 演算装置
11 DSP
12 PC
14 色変換部
15 インキ供給量演算部
16 オンライン制御部
17 キー開度リミッタ演算部
18 受信部
20 印刷機内蔵の制御装置
21 スキャナ装置(校正刷り読み取り手段)
30 タッチパネル
32 表示装置

Claims (10)

  1. 外部から印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データと校正刷りとを取得するステップと、
    該校正刷りをスキャナ装置で読み取って該校正刷りの混色網濃度を求めるステップと、
    該スキャナ装置自体の特性を表す混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該スキャナ装置のICCプロファイルに基づき、該kcmy網点面積率データに含まれる該印刷対象絵柄の網点面積率、及び該校正刷りの混色網濃度から、網点面積率と色座標値との対応関係を求めるステップと、
    上記の網点面積率と色座標値との対応関係、及びIRGB濃度計自体の特性を表す網点面積率と混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該印刷対象絵柄の網点面積率、及び該校正刷りの混色網濃度から、該印刷対象絵柄をインキ供給装置のインキ供給単位幅で分割したときの該インキ供給単位幅毎の目標混色網濃度を設定するステップと、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該目標混色網濃度に対応する各インキ色の目標網点面積率を求めるステップと、
    該IRGB濃度計を用いて、印刷で得られた本刷りシートの実混色網濃度を計測するステップと、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該実混色網濃度に対応する各インキ色の実網点面積率を求めるステップと、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率に対応する目標単色網濃度を求めるステップと、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該実網点面積率に対応する実単色網濃度を求めるステップと、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度とベタ濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率のもとでの該目標単色網濃度と該実単色網濃度との偏差に対応するベタ濃度偏差を求めるステップと、
    該ベタ濃度偏差に基づきインキ供給装置のインキ供給単位幅毎にインキ供給量を調整するステップとを実行する
    ことを特徴とする、印刷機の絵柄色調制御方法。
  2. 上記の網点面積率と色座標値との対応関係を求めるステップは、
    該スキャナ装置で読み取った該校正刷りの混色網濃度を該スキャナ装置のICCプロファイルに基づいて色座標値に変換するステップと、
    該スキャナ装置で読み取った該校正刷りの混色網濃度と、該スキャナ装置のICCプロファイルに基づいて変換した色座標値とから、混色網濃度と色座標値との対応関係を求めるステップと、
    該kcmy網点面積率データに基づいて作成した該印刷対象絵柄の画像と、該スキャナ装置で読み取って作成した該校正刷りの画像との位置合わせを行なうステップと、
    該位置合わせをした該印刷対象絵柄の画像と該校正刷りの画像とに基づいて、網点面積率と混色網濃度との対応関係を求めるステップとをそなえ、
    上記の混色網濃度と色座標値との対応関係、及び、上記の網点面積率と混色網濃度との対応関係に基づいて上記の網点面積率と色座標値との対応関係を求める
    ことを特徴とする、請求項1記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  3. 該目標混色網濃度を求めるステップは、
    該印刷対象絵柄の網点面積率を、上記の網点面積率と色座標値との対応関係に基づいて色座標値に変換するステップと、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて、該色座標値に対応する複数の混色網濃度候補を求めるステップと、
    該印刷対象絵柄の網点面積率を、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて色座標値に変換するステップと、
    上記の網点面積率と色座標値との対応関係による変換、及び、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルによる変換によって得られた上記2つの色座標値間の色差を求めるステップと、
    該色差に対応する網点面積率の変化量を演算するステップと、
    該網点面積率に該変化量を加算した仮想網点面積率を求めるステップと、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルを参照して上記の複数の混色網濃度候補のうち該仮想網点面積率に最も対応するものを選択するステップとをそなえ、
    該選択した混色網濃度候補を該目標混色網濃度として設定する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  4. 該印刷対象絵柄を構成する画素の中から該インキ供給単位幅毎に各インキ色に対応する注目画素をそれぞれ選定するステップをそなえ、
    該インキ供給量を調整するステップでは、各インキ供給単位幅における注目画素のインキ供給量を調整する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  5. 該注目画素としてインキ色毎に各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素を自動抽出する
    ことを特徴とする、請求項4記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  6. 該注目画素としてインキ色毎に各画素の網点面積率に対して最も自己相関が大きい画素とその周辺の複数の画素からなる画素群を自動抽出する
    ことを特徴とする、請求項4記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  7. 該kcmy網点面積率データを取得するステップでは、最初に印刷対象絵柄のビットマップデータを取得して、該ビットマップデータをCIP4データ相当の低解像度データに変換したものを該kcmy網点面積率データとして用いる
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の印刷機の絵柄色調制御方法。
  8. 印刷幅方向に分割されたインキ供給単位幅毎にインキを供給するインキ供給装置と、
    外部から印刷対象絵柄のkcmy網点面積率データを受信する受信手段と、
    該印刷対象絵柄の校正刷りをスキャンして該校正刷りの混色網濃度を求めるスキャナ装置と、
    印刷で得られる本刷りシートの走行ライン上に配置されたIRGB濃度計と、
    該スキャナ装置自体の特性を表す混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該スキャナ装置のICCプロファイル、及び、該IRGB濃度計自体の特性を表す網点面積率と混色網濃度と色座標値との対応関係を規定した該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該受信手段により受信したkcmy網点面積率データに含まれる該印刷対象絵柄の網点面積率、及び、該スキャナ装置により得られた該校正刷りの混色網濃度から、該印刷対象絵柄を該インキ供給装置のインキ供給単位幅で分割したときの該インキ供給単位幅毎の目標混色網濃度を設定する目標混色網濃度設定手段と、
    該IRGB濃度計を操作して該本刷りシートの該インキ供給単位幅毎の実混色網濃度を計測する実混色網濃度計測手段と、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該目標混色網濃度に対応する各インキ色の目標網点面積率を求める目標網点面積率演算手段と、
    該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づき、該実混色網濃度に対応する各インキ色の実網点面積率を求める実網点面積率演算手段と、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率に対応する目標単色網濃度を求める目標単色網濃度演算手段と、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度との対応関係に基づき、該実網点面積率に対応する実単色網濃度を求める実単色網濃度演算手段と、
    予め設定した網点面積率と単色網濃度とベタ濃度との対応関係に基づき、該目標網点面積率のもとでの該目標単色網濃度と該実単色網濃度との偏差に対応するベタ濃度偏差を求めるベタ濃度偏差演算手段と、
    該ベタ濃度偏差に基づき該インキ供給単位幅毎にインキ供給量を調整するインキ供給量調整手段とを備えた
    ことを特徴とする、印刷機の絵柄色調制御装置。
  9. 該目標混色網濃度設定手段は、
    該スキャナ装置のICCプロファイルに基づき、該スキャナ装置により得られた該校正刷りの混色網濃度を色座標値に変換し、該校正刷りの混色網濃度と色座標値とから、混色網濃度と色座標値との対応関係を設定する混色網濃度−色座標値対応関係設定部と、
    該kcmy網点面積率データに基づいて作成した該印刷対象絵柄の画像と、該スキャナ装置で読み取って作成した該校正刷りの画像との位置合わせを行なう画像処理部と、
    該画像処理部により位置合わせが行なわれた該印刷対象絵柄の画像と該校正刷りの画像とに基づいて、網点面積率と混色網濃度との対応関係を設定する網点面積率−混色網濃度対応関係設定部と、
    上記の混色網濃度と色座標値との対応関係、及び、上記の網点面積率と混色網濃度との対応関係から、網点面積率と色座標値との対応関係を求める網点面積率−色座標値対応関係設定部とをそなえ、
    上記の網点面積率と色座標値との対応関係、及び、該IRGB濃度計のデバイスプロファイルに基づいて該目標混色網濃度を設定する
    ことを特徴とする、請求項8記載の印刷機の絵柄色調制御装置。
  10. 該印刷対象絵柄を構成する画素の中から該インキ供給単位幅毎に各インキ色に対応する注目画素をそれぞれ設定する注目画素設定手段をそなえ、
    該インキ供給量調整手段が、各インキ供給単位幅における注目画素のインキ供給量を調整する
    ことを特徴とする、請求項8又は9記載の印刷機の絵柄色調制御装置。
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