JP2006141547A - ミシンの送り装置 - Google Patents
ミシンの送り装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006141547A JP2006141547A JP2004333257A JP2004333257A JP2006141547A JP 2006141547 A JP2006141547 A JP 2006141547A JP 2004333257 A JP2004333257 A JP 2004333257A JP 2004333257 A JP2004333257 A JP 2004333257A JP 2006141547 A JP2006141547 A JP 2006141547A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- feed
- adjusting body
- sewing machine
- resistance
- collar
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Sewing Machines And Sewing (AREA)
Abstract
【課題】耐久性が高く安定した縫製を行うことにより、生産性を向上することができるミシンの送り装置を提供することを目的とする。
【解決手段】送り調節体9の端部には該送り調節体9の胴部(中間部)に比べて縮径された小径部93が形成されており、小径部93には熱処理を施した鋼材(高周波焼入れ焼戻しをしたCr−Mo鋼)により略円筒状に形成されカラー90が嵌着されている。カラー90は、FC材である送り調節体9及びピアノ線材により形成された抵抗手段10としての加圧ばね10aに比べて高硬度、かつ、耐磨耗性に優れた部材となっている。送り調節体9の軸周りの回動動作に対する抵抗力は、加圧ばね10aをカラー90の外周面に当接させることにより磨耗を考慮することなくを作用させることができるため、パルスモータ7の脱調及びダンピングを防止することができ、ミシンの安定した高速運転が継続的に可能となる。
【選択図】図4
【解決手段】送り調節体9の端部には該送り調節体9の胴部(中間部)に比べて縮径された小径部93が形成されており、小径部93には熱処理を施した鋼材(高周波焼入れ焼戻しをしたCr−Mo鋼)により略円筒状に形成されカラー90が嵌着されている。カラー90は、FC材である送り調節体9及びピアノ線材により形成された抵抗手段10としての加圧ばね10aに比べて高硬度、かつ、耐磨耗性に優れた部材となっている。送り調節体9の軸周りの回動動作に対する抵抗力は、加圧ばね10aをカラー90の外周面に当接させることにより磨耗を考慮することなくを作用させることができるため、パルスモータ7の脱調及びダンピングを防止することができ、ミシンの安定した高速運転が継続的に可能となる。
【選択図】図4
Description
本発明は、ミシンの送り装置に関し、特に、送り量を調節できる送り調節体を有するミシンの送り装置に関する。
被縫製物を搬送するミシンの送り装置においては、縫製パターンや所望の縫目の種類により、縫製中にその送り量を頻繁に変更する必要がある。被縫製物を搬送する機構として、一般に、駆動源(ミシンモータ)からの駆動力を送り歯に伝達して間欠的な送り動作を付与する伝達機構が知られている。また、その送り量を変更する送り量変更手段として、この伝達機構に連結された送り調節体を回転調節することにより送り量を変更することができるようになっている。
そして、この送り調節体を回転駆動する駆動源としてパルスモータを採用し、所望の回転量だけ適宜正逆回転駆動する制御を行うことにより、上記送り調節体を正方向又は逆方向に回動調節して上記伝達機構を介して送り歯の一回の送り量(ピッチ)を随時変更可能としたミシンの送り装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、この送り調節体を回転駆動する駆動源としてパルスモータを採用し、所望の回転量だけ適宜正逆回転駆動する制御を行うことにより、上記送り調節体を正方向又は逆方向に回動調節して上記伝達機構を介して送り歯の一回の送り量(ピッチ)を随時変更可能としたミシンの送り装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、ミシンの縫製動作においては通常運転時で2000〜4000(rpm)、高速運転時には4000(rpm)以上という速さで縫製が行われるため、上記のようにミシンの送り装置における送り量変更手段の駆動源としてパルスモータ(以下、送りパルスモータという)を用いた場合、送り調節体が有する慣性力により送りパルスモータを所定の位置で停止させた際に停止位置にぶれを生じたり(以下、ダンピングという)、同慣性力によって送りパルスモータに脱調が生じ、所望の縫製動作を正確に行うことができないという問題があった。
ここで、「脱調」とは、与えられたパルス信号数に応じて回転量が定められるパルスモータにおいて、回転時における基準となる原点にずれが生じることをいう。
ここで、「脱調」とは、与えられたパルス信号数に応じて回転量が定められるパルスモータにおいて、回転時における基準となる原点にずれが生じることをいう。
このような、高速で正逆方向動作を行う部材の駆動源としてパルスモータを用いた場合のダンピング防止、或は、脱調防止の手段として、動作体に外部から抵抗手段としてのばねを直接当接させて加圧(ばね圧をかける)し、動作を妨げる方向に抵抗力を作用させることにより、停止時や逆回転時に送りパルスモータに作用する負荷を低減し、該送りパルスモータのダンピングや脱調を防止したミシンが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、上述したミシンの送り調節体のように高速で動作する物体に部材を当接させて抵抗力を作用させると、言うまでもなくその摺動面には摩擦による発熱や摩耗が生じるため、その対策が必要となる。
特開2003−326027号公報
特開2001−314673号公報
しかしながら、このミシンの送り量変更手段(特に、送り調節体)に用いられる部材は形状が複雑であるため、例えば焼入れなどの熱処理を行った場合変形してしまい、機械的な精度を得ることができない。そのため一般的に熱処理を施さないFC材(普通鋳鉄:鋳物)が適用されていたが、このFC材は耐磨耗性が低く磨耗し易いため、継続して高速運転を行うには必ずしも適しているとは言えず、さらに耐久性を向上させるとともに継続した高速運転が可能なミシンの送り装置の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、耐久性が高く安定した縫製を行うことにより、耐久性を向上させることができるミシンの送り装置を提供することをその目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、針板上の被縫製物に接離して該被縫製物を搬送する送り歯と、上下送り機構および水平送り機構の協働により前記送り歯に送り動作を付与する送り伝達手段と、送り量変更の駆動力を付与する駆動手段と、前記駆動手段から駆動力を得て送り量を変更する送り調節体と、を有し、前記水平送り機構に作用して前記送り歯による前記被縫製物の送り量を変更する送り量変更手段と、を備えたミシンの送り装置において、高耐磨耗材からなり前記送り調節体に固定される固定部材と、前記固定部材に当接して送り量の変更動作に抵抗力を与える抵抗手段と、を設けたことを特徴とするミシンの送り装置である。
請求項1に記載の発明では、駆動手段により高速で正逆回動される送り調節体と、この送り調節体の動作を妨げる方向に抵抗力を作用させる抵抗手段との間隙に高耐磨耗材からなる熱処理を施した鋼材を装備したことにより、熱処理を施していない送り調節体に抵抗手段が直接当接することがなくなる。熱処理を施した鋼材は、送り調節体に比べて高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた部材により形成されているため、抵抗手段が当接することによって抵抗力が作用されても、従来の送り調節体に比べて遥かに摩耗しにくい。従って、ミシンの送り装置の耐久性が向上する。また、送り調節体には適宜所望の圧力をもって抵抗力を作用させることが可能となり、送り調節体の駆動手段であるパルスモータの脱調問題が解消される。従って、ミシンの安定した高速運転が可能な状態となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの送り装置において、前記抵抗手段は、前記送り調節体の当接箇所に面接触する当接部材と、当該当接部材を前記送り調節体側に押圧する弾性体とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、抵抗手段として、送り調節体の当接箇所に面接触する当接部材を設けたことにより、当該当接部材による当接面の面圧が低下する。これにより、送り調節体に対して従来と同じ大きさの抵抗力を作用させた場合であっても局所的に摩耗することがなくなり偏摩耗が解消される。従って、従来と比較してミシンの送り装置の耐久性が大幅に向上する。また、当該当接部材を送り調節体側に押圧する弾性体を備えているため、送り調節体には所望の圧力をもって抵抗力が作用される。従って、送り調節体の駆動手段であるパルスモータの脱調問題が解消される。
請求項1に記載の発明によれば、熱処理を施した鋼材が抵抗手段と当接するため、熱処理を施していない送り調節体に抵抗手段が直接当接することがなくなり、送り調節体の摩耗を防止することができる。従って、ミシンの送り装置の耐久性を向上させることができる。また、送り調節体への抵抗力は、高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた熱処理を施した鋼材を介して作用されるため、送り量変更にともない該送り調節体が繰返し正逆回動しても機械的な精度が落ちにくい。従って、安定した縫製動作を行うことができる。また、加圧による摩耗を考慮する必要がなく、送り調節体に必要な圧力を加えることができる。従って、送り調節体の駆動手段であるパルスモータの脱調問題を解消することができ、ミシンの安定した高速運転が可能となる。これにより、ミシンの耐久性及び動作信頼性を大幅に向上することができる。さらに、パルスモータのダンピングを防止することができ、より安定した縫目(ピッチ)を得ることができる。また、部分的に焼き入れ鋼を使用することができるため、コストを最小限に抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、送り調節体の当接箇所に作用する面圧が、従来に比べて大幅に低下する。従って、従来と同じ大きさの抵抗力であっても、従来に比べて遥かに低い面圧で作用させることができる。これにより、送り調節体が部分的に摩耗する偏摩耗を防止することができ、機械的な精度を保つことが可能となるためミシンの耐久性を向上することができる。また、送り調節体に面接触する当接部材を該送り調節体側に押圧する弾性体を備えていることにより、送り調節体に所望の圧力をもって抵抗力を作用させることができる。これにより、パルスモータの脱調問題を解消することができる。従って、安定した高速運転が可能となり、従来に比べて耐久性及び信頼性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
<第1実施形態>
(実施形態の全体構成)
本実施形態におけるミシンの送り装置1は、針板上の縫製物に接離して該縫製物を搬送する送り歯2と、送り歯2に上下送り機構5および水平送り機構6の協働により送り動作を付与する送り伝達手段3と、前記水平送り機構6に作用して送り歯2による縫製物の送り量を変更する送り量変更手段4と、を備えている。
(実施形態の全体構成)
本実施形態におけるミシンの送り装置1は、針板上の縫製物に接離して該縫製物を搬送する送り歯2と、送り歯2に上下送り機構5および水平送り機構6の協働により送り動作を付与する送り伝達手段3と、前記水平送り機構6に作用して送り歯2による縫製物の送り量を変更する送り量変更手段4と、を備えている。
送り歯2は、水平面内において搬送方向と略垂直な複数の溝を有する板状の部材であって、図示しないミシンモータから後述する送り伝達手段3を介して駆動力を付与されることにより針板面上に出没し、被縫製物を正方向または逆方向に所望の搬送量で搬送する。
送り伝達手段3は、上下送り機構5と水平送り機構6との協働により、送り歯2に略円軌道または略楕円軌道の送り動作を付与する機能を有する。
上下送り機構5は、図2に示すように、図示しないミシンモータに同期して回転される下軸53に一端が偏心して回動自在に連結された上下送りロッド51を有する。上下送りロッド51の上方側には前述した送り歯2が載置された送り台21が設けられている。そして、送り台21の下端部と上下送りロッド51の他端部とが回動自在に連結されていることにより、下軸53の回転動作にともない送り歯2に上下の往復動作が付与されるようになっている。
水平送り機構6は、図2の略中央部に示す下軸53に偏心して固定された水平送りカム61を有し、この水平送りカム61は水平送りロッド62により回動自在に保持されている。水平送りロッド62の下端部には、搬送方向に長尺な水平送り連結桿63がその略中間部において回動自在に連結されている。
水平送り連結桿63の一端側には水平送り腕64の下端側が回動自在に連結されており、この水平送り腕64の上端側にはミシンベッドの下方側領域において下軸53とほぼ平行に延設された水平送り軸65の一端が回動自在に嵌挿されている。水平送り軸65の他端側は送り台腕66の下端側に挿通されており、送り台腕66の上端側は送り台21の一端側と回動自在に連結されている。
また、水平送り連結桿63の他端側には後述する送り量変更手段を構成する送り調節体9が設けられており、水平送り連結桿63の他端は、該他端部の前後両側に回動自在に連結された略立方体形状の角駒(従動体)91を介して送り調節体9に形成された溝部92に摺動可能に嵌挿されている。このため、水平送り連結桿63(特に、送り調節体に連結されている他端部)の移動方向は溝部92の方向に規制され、この溝部92が形成されている方向に沿ってのみ移動可能となっている。
そして、送り伝達手段3は、下軸53の回転に同期して上下送り機構5と水平送り機構6とが協働することにより送り歯2に略円軌道または略楕円軌道を描く送り動作を付与し、これによって送り歯2に被縫製物を搬送するための駆動力が伝達されるようになっている。
上下送り機構5は、図2に示すように、図示しないミシンモータに同期して回転される下軸53に一端が偏心して回動自在に連結された上下送りロッド51を有する。上下送りロッド51の上方側には前述した送り歯2が載置された送り台21が設けられている。そして、送り台21の下端部と上下送りロッド51の他端部とが回動自在に連結されていることにより、下軸53の回転動作にともない送り歯2に上下の往復動作が付与されるようになっている。
水平送り機構6は、図2の略中央部に示す下軸53に偏心して固定された水平送りカム61を有し、この水平送りカム61は水平送りロッド62により回動自在に保持されている。水平送りロッド62の下端部には、搬送方向に長尺な水平送り連結桿63がその略中間部において回動自在に連結されている。
水平送り連結桿63の一端側には水平送り腕64の下端側が回動自在に連結されており、この水平送り腕64の上端側にはミシンベッドの下方側領域において下軸53とほぼ平行に延設された水平送り軸65の一端が回動自在に嵌挿されている。水平送り軸65の他端側は送り台腕66の下端側に挿通されており、送り台腕66の上端側は送り台21の一端側と回動自在に連結されている。
また、水平送り連結桿63の他端側には後述する送り量変更手段を構成する送り調節体9が設けられており、水平送り連結桿63の他端は、該他端部の前後両側に回動自在に連結された略立方体形状の角駒(従動体)91を介して送り調節体9に形成された溝部92に摺動可能に嵌挿されている。このため、水平送り連結桿63(特に、送り調節体に連結されている他端部)の移動方向は溝部92の方向に規制され、この溝部92が形成されている方向に沿ってのみ移動可能となっている。
そして、送り伝達手段3は、下軸53の回転に同期して上下送り機構5と水平送り機構6とが協働することにより送り歯2に略円軌道または略楕円軌道を描く送り動作を付与し、これによって送り歯2に被縫製物を搬送するための駆動力が伝達されるようになっている。
(送り量調節機構)
次に、一回の送り動作で搬送される被縫製物の送り量を変更する送り量変更手段4について説明する。
送り量変更手段4は、図3、図4に示すように、正逆回動可能に設けられた送り調節体9と、送り調節体9を正逆回動する駆動手段としての送りパルスモータ7と、送りパルスモータ7の回転駆動力を送り調節体9に伝達する伝達手段8と、送り量の変更動作に抵抗力を付与する抵抗手段10と、を備えている。
送りパルスモータ7は、送り調節体9を軸周りに正逆回動するための駆動力を付与する。このパルスモータ7は、ブラケット71に固定されるとともに、モータ軸を送り調節体9と略平行にしてミシンベッド101に固定される。また、送りパルスモータ7は、図示しない制御部から送られるパルス信号により所望の回転量だけ正方向または逆方向に駆動制御可能となっている。この送りパルスモータ7と送り調節体9との間には伝達手段8が設けられている。
次に、一回の送り動作で搬送される被縫製物の送り量を変更する送り量変更手段4について説明する。
送り量変更手段4は、図3、図4に示すように、正逆回動可能に設けられた送り調節体9と、送り調節体9を正逆回動する駆動手段としての送りパルスモータ7と、送りパルスモータ7の回転駆動力を送り調節体9に伝達する伝達手段8と、送り量の変更動作に抵抗力を付与する抵抗手段10と、を備えている。
送りパルスモータ7は、送り調節体9を軸周りに正逆回動するための駆動力を付与する。このパルスモータ7は、ブラケット71に固定されるとともに、モータ軸を送り調節体9と略平行にしてミシンベッド101に固定される。また、送りパルスモータ7は、図示しない制御部から送られるパルス信号により所望の回転量だけ正方向または逆方向に駆動制御可能となっている。この送りパルスモータ7と送り調節体9との間には伝達手段8が設けられている。
伝達手段8は、図3、図4に示すように、一端が送りパルスモータ7の出力軸に固定されたモータ腕81を有する。モータ腕81の他端には送り腕リンク82の一端が回動自在に連結されている。また、送り腕リンク82の他端には送り調節体腕83の下端部が回動自在に連結されている。送り調節体腕83は2本のねじで送り調節体9の後端側に固定されている。そして、送りパルスモータ7の駆動に伴い該送りパルスモータ7の出力軸を軸としてモータ腕81が回動され、送り腕リンク82を介して送り調節体腕83の下端部が揺振される。これにより、送り調節体9が軸周りに正逆回動されるものである。
ここで、本実施形態における送り調節体9と抵抗手段10とについて詳しく説明する。
送り調節体9は、下軸53および水平送り軸65等と略並行に配置された略円柱状の部材であって、前述した伝達手段8を介して送りパルスモータ7の駆動力が伝達されることにより軸周り方向に正逆回動自在に備えられている。
送り調節体9は、下軸53および水平送り軸65等と略並行に配置された略円柱状の部材であって、前述した伝達手段8を介して送りパルスモータ7の駆動力が伝達されることにより軸周り方向に正逆回動自在に備えられている。
また、送り調節体9は、FC材(鋳物;特に鋳鉄)により一体形成された低硬度で、略円筒上の部材であって、この送り調節体9の一端部は前述した伝達手段8の送り調節体腕83に連結されている。また、中間部には前述した角駒91の移動方向を規制する溝部92が形成されており、送り調節体9が軸周りに正逆回動されたときにこの溝部92に沿って摺動可能に嵌挿された角駒91の移動方向を変更することができるようになっている。従って、送り調節体9を回転操作することで、角駒91の往復運動方向を変更調節することができ、その結果、送り歯2の送りの正逆方向の切替えや送り量の調節が可能となっている。
そして、本実施形態における送り調節体9の他端部には該送り調節体9の胴部(中間部)に比べて縮径された小径部93が形成されている。この小径部93には両端に開口部を有して略円筒状に形成された固定部材としてのカラー90が圧入されることにより嵌着されており、送り調節体9と一体となって軸周り方向に回動自在に備えられている。
ここで、カラー90は高耐磨耗材からなり、熱処理を施した鋼材など(焼入部材:特に、高周波焼入れ焼戻しをしたCr−Mo鋼)により形成されており、このカラー90の内側に嵌入されたFC材である送り調節体9に比べて高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた部材に形成されている。また、カラー90は、ピアノ線材により形成される抵抗手段10としての後述する加圧ばね10aよりも高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた構成となっている
そして、送り調節体9と一体的に軸周りに正逆回動されるこのカラー90の外周には、抵抗手段10により動作方向と逆向きに作用する抵抗力が加えられるようになっている。
抵抗手段10は、送り調節体9に付勢力を作用させて圧接する弾性体としての加圧ばね10aと、この加圧ばね10aの付勢力を調節可能に設けられたねじ10bと、を備えている。本実施形態における加圧ばね10aは、ばね材であるピアノ線材により形成されている。これらの加圧ばね10aおよび10bは図5に示すように、カラー90の外周に配設された環状部材の内、カラー90の側面に対抗する位置に形成された孔内に設けられている。即ち、加圧ばね10aの一端側はカラー90の外周面の一部に略水平方向(図5中、右側方向)から付勢力をもって当接されており、加圧ばね10aの他端側はねじ10bによりその端面位置が調節可能となっているため、ねじ10bの挿入深さを調節することによりカラー90の外周面に対する加圧ばね10aの付勢力を調節できるようになっている。
このように、本実施形態におけるミシンの送り装置1は、抵抗手段10と送り調節体9との間隙に焼入部材、即ち、熱処理を施した鋼材であるカラー90を設けたことにより、抵抗手段10である加圧ばね10aとFC材からなる送り調節体9とが直接当接されないように構成されている。
そして、本実施形態における送り調節体9の他端部には該送り調節体9の胴部(中間部)に比べて縮径された小径部93が形成されている。この小径部93には両端に開口部を有して略円筒状に形成された固定部材としてのカラー90が圧入されることにより嵌着されており、送り調節体9と一体となって軸周り方向に回動自在に備えられている。
ここで、カラー90は高耐磨耗材からなり、熱処理を施した鋼材など(焼入部材:特に、高周波焼入れ焼戻しをしたCr−Mo鋼)により形成されており、このカラー90の内側に嵌入されたFC材である送り調節体9に比べて高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた部材に形成されている。また、カラー90は、ピアノ線材により形成される抵抗手段10としての後述する加圧ばね10aよりも高硬度、且つ、耐磨耗性に優れた構成となっている
そして、送り調節体9と一体的に軸周りに正逆回動されるこのカラー90の外周には、抵抗手段10により動作方向と逆向きに作用する抵抗力が加えられるようになっている。
抵抗手段10は、送り調節体9に付勢力を作用させて圧接する弾性体としての加圧ばね10aと、この加圧ばね10aの付勢力を調節可能に設けられたねじ10bと、を備えている。本実施形態における加圧ばね10aは、ばね材であるピアノ線材により形成されている。これらの加圧ばね10aおよび10bは図5に示すように、カラー90の外周に配設された環状部材の内、カラー90の側面に対抗する位置に形成された孔内に設けられている。即ち、加圧ばね10aの一端側はカラー90の外周面の一部に略水平方向(図5中、右側方向)から付勢力をもって当接されており、加圧ばね10aの他端側はねじ10bによりその端面位置が調節可能となっているため、ねじ10bの挿入深さを調節することによりカラー90の外周面に対する加圧ばね10aの付勢力を調節できるようになっている。
このように、本実施形態におけるミシンの送り装置1は、抵抗手段10と送り調節体9との間隙に焼入部材、即ち、熱処理を施した鋼材であるカラー90を設けたことにより、抵抗手段10である加圧ばね10aとFC材からなる送り調節体9とが直接当接されないように構成されている。
次に、本実施形態に係るミシンの送り装置1の作用について詳しく述べる。
(送り動作)
まず、送り伝達手段3による送り動作について説明する。
本実施形態におけるミシンの送り装置1は、ミシンの駆動源である図示しないミシンモータからの駆動力を、図1に示すベルト機構や図示しないリンク機構等の伝達機構を介して伝達されて回転する下軸53を駆動源として動作するものである。
(送り動作)
まず、送り伝達手段3による送り動作について説明する。
本実施形態におけるミシンの送り装置1は、ミシンの駆動源である図示しないミシンモータからの駆動力を、図1に示すベルト機構や図示しないリンク機構等の伝達機構を介して伝達されて回転する下軸53を駆動源として動作するものである。
下軸53の回転に伴い該下軸53に偏心部52を介して回動自在に連結された上下送りロッド51が上下に揺動され、この上下送りロッド51の上端に連結された送り台21を介して送り歯2に上下の揺動動作が付与される(上下送り機構5)。
また、下軸53の回転に伴い該下軸53に偏心して固定された水平送りカム61が下軸53を偏心軸として回転され、この水平送りカム61にベアリングを介して回動自在に連結された水平送りロッド62が上下方向に揺動される。そして、中間部で水平送りロッド62と回動自在に連結された水平送り連結桿63にその揺動が伝達され、水平送り連結桿63は上下方向に揺動される。
ここで、水平送り連結桿63の上下の揺動は、この水平送り連結桿63の一端側に回動自在に連結された角駒91の移動方向に制限される。この角駒91の移動方向は、送り調節体9に形成された溝部92の形成方向に規制される。従って、下軸53と略並行に配設された送り調節体9が軸周りに回動されると、該軸周りにおける溝部92の傾斜角度もまた変更されるため、角駒91を介して溝部92に連結された水平送り連結桿63の移動方向は溝部92に追従して任意の角度に変更される。
また、水平送り揺動桿63は、一端側が溝部92によって揺動方向を規制されていることにより、他端側に連結された水平送り腕64の下端部には溝部92により規制された揺動に従った量および方向の揺動が伝達される。これにより、水平送り腕64の上端側に固定された水平送り軸65は所定方向に所定量の回転角で回動される。そして、送り台腕66および送り台21を介して送り歯2には水平方向の揺動が付与される(水平送り機構6)。
そして、下軸53の回転に伴い上述した上下送り機構5と水平送り機構6とが協働して送り歯2に送り動作を付与することにより、送り歯2は略円軌道あるいは略楕円軌道を描き、図示しない被縫製物を正方向または逆方向に搬送するものである。
なお、送り調節体9に形成された溝部92が垂直となる場合(即ち、図2において角駒91が上下方向に移動可能な状態)は送り歯2に水平方向の揺動が伝達されず、送り歯2は上下方向に揺動するのみで、正方向、逆方向の何れの方向にも被縫製物を搬送しないことはいうまでもない。つまり、この場合には送り量がゼロとなる。
また、搬送方向は、上下送り機構5により送り歯2に付与される上下の揺動動作において、送り歯2が図示しない針板よりも上方側に突出しているときに水平送り機構6による水平送り動作が何れの方向(正方向または逆方向)であるかにより決定される。
また、上述した送り伝達手段3による一回の送り動作での送り量(ピッチ)は、後述する送り量変更手段により所望の方向に所望の送り量となるように適宜調節される。
なお、送り調節体9に形成された溝部92が垂直となる場合(即ち、図2において角駒91が上下方向に移動可能な状態)は送り歯2に水平方向の揺動が伝達されず、送り歯2は上下方向に揺動するのみで、正方向、逆方向の何れの方向にも被縫製物を搬送しないことはいうまでもない。つまり、この場合には送り量がゼロとなる。
また、搬送方向は、上下送り機構5により送り歯2に付与される上下の揺動動作において、送り歯2が図示しない針板よりも上方側に突出しているときに水平送り機構6による水平送り動作が何れの方向(正方向または逆方向)であるかにより決定される。
また、上述した送り伝達手段3による一回の送り動作での送り量(ピッチ)は、後述する送り量変更手段により所望の方向に所望の送り量となるように適宜調節される。
(送り量調整動作)
次に、送り量変更手段4により送り量を変更する動作について説明する。
本実施形態に係るミシンの送り装置1の搬送量(ピッチ)は、前述のように送り調節体9を軸回りに正逆回動して水平送り連結桿63の揺動方向を変えることにより行われる。送り調節体9の軸回りにおける回転角度の調節は、該送り調節体9の一端部に連結された図3、図4に示すリンク機構(伝達手段8)を介してパルスモータ(ステッピングモータ)7の駆動力が伝達されることにより行われる。
次に、送り量変更手段4により送り量を変更する動作について説明する。
本実施形態に係るミシンの送り装置1の搬送量(ピッチ)は、前述のように送り調節体9を軸回りに正逆回動して水平送り連結桿63の揺動方向を変えることにより行われる。送り調節体9の軸回りにおける回転角度の調節は、該送り調節体9の一端部に連結された図3、図4に示すリンク機構(伝達手段8)を介してパルスモータ(ステッピングモータ)7の駆動力が伝達されることにより行われる。
また、送りパルスモータ7は、図示しない制御手段から送られる指令に従い他の縫製動作(例えば、針上下動作や針振り動作など)に連動して適宜最適なタイミングで所望の方向に所望の角度だけ回転駆動する制御が行われる。そして、伝達手段8を介して送り調節体9の軸回りの回転角度を調節して、回転と停止(固定)を繰り返すことにより、縫製動作中における送り量の変更が行われる。
(送り調節体加圧動作)
次に、抵抗手段10によって送り調節体9に対して動作方向と反対方向の抵抗力を作用する動作について詳しく述べる。図5は本実施形態における抵抗手段10の概略を示す断面図である。
送り調節体9とカラー90とは、図示しない制御手段によって駆動制御される送りパルスモータ7の駆動力を伝達されることにより、一体となって図5における時計回り方向、或は、反時計回り方向に適宜回動される。
カラー90の外周には、略水平方向の一側(図5中、右側方向)から抵抗手段10に備わるばね10aの一端側が適度な付勢力をもって当接されることにより、周方向の動作に対する抵抗力が作用される。当接箇所への付勢力は、ばね10aの他端側にねじ10bが設けられていることにより適宜調節可能となる。
また、本実施形態においては、前述したように熱処理を行ったCr−Mo鋼により形成されているカラー90は、ピアノ線材により形成されているばね10aに比べて高硬度、且つ、耐磨耗性に優れているため、これらカラー90とばね10aとが当接した状態で送り調節体9が回転した場合、カラー90側の摩耗に比べてばね10a側の摩耗は大となる。即ち、送りパルスモータ7の脱調を防止するべく、カラー90の外周にばね10aによる抵抗力を作用させながら送り調節体9を回動させても、主として摩耗していくのは抵抗手段10のばね10aとなる。従って、カラー90が嵌着した送り調節体9の耐久性は大幅に向上する。なお、ばね10aは交換が容易であり、磨耗に応じて交換することにより継続的なミシンの運転が可能となる。
次に、抵抗手段10によって送り調節体9に対して動作方向と反対方向の抵抗力を作用する動作について詳しく述べる。図5は本実施形態における抵抗手段10の概略を示す断面図である。
送り調節体9とカラー90とは、図示しない制御手段によって駆動制御される送りパルスモータ7の駆動力を伝達されることにより、一体となって図5における時計回り方向、或は、反時計回り方向に適宜回動される。
カラー90の外周には、略水平方向の一側(図5中、右側方向)から抵抗手段10に備わるばね10aの一端側が適度な付勢力をもって当接されることにより、周方向の動作に対する抵抗力が作用される。当接箇所への付勢力は、ばね10aの他端側にねじ10bが設けられていることにより適宜調節可能となる。
また、本実施形態においては、前述したように熱処理を行ったCr−Mo鋼により形成されているカラー90は、ピアノ線材により形成されているばね10aに比べて高硬度、且つ、耐磨耗性に優れているため、これらカラー90とばね10aとが当接した状態で送り調節体9が回転した場合、カラー90側の摩耗に比べてばね10a側の摩耗は大となる。即ち、送りパルスモータ7の脱調を防止するべく、カラー90の外周にばね10aによる抵抗力を作用させながら送り調節体9を回動させても、主として摩耗していくのは抵抗手段10のばね10aとなる。従って、カラー90が嵌着した送り調節体9の耐久性は大幅に向上する。なお、ばね10aは交換が容易であり、磨耗に応じて交換することにより継続的なミシンの運転が可能となる。
以上のように、第1実施形態に係るミシンの送り装置1によれば、熱処理を施していない送り調節体9に抵抗手段10に備わる弾性体である加圧ばね10aが直接当接されることがなくなり、効果的に送り調節体9の摩耗を防止することができる。即ち、送り調節体9への抵抗力は熱処理を施した鋼材であるカラー90を介して作用されるため、送り量変更に伴い繰返し送り調節体9が動作しても磨耗が少なく、長期間にわたり機械的な精度が落ちない。従って、ミシンの耐久性を大幅に向上させることができる。また、加圧による摩耗を考慮する必要がなく、送り調節体9に必要なばね圧を加えることができるため、パルスモータ7の脱調およびダンピング現象を防止することができる。従って、安定した縫目(ピッチ)を得ることができるとともにミシンの高速運転が可能となり生産性を大幅に向上させることができる。
なお、抵抗手段10は、送り調節体9と弾性体としての加圧ばね10aとの間隙に、送り調節体9との当接面積が大となるように形成され、当接面の面圧が低下されるように形成された当接部材としてのブレーキシュー10cを設ける構成としてもよい(図6参照)。ブレーキシュー10bは、カラー90よりも低硬度で、且つ、耐磨耗性に劣る部材であることが好ましく、例えば、Cr鋼材等により形成されることが望ましい。また、抵抗手段10の当接部にこのようなブレーキシュー10cを用いた場合、当接部の面圧が低下されるため、送り調節耐9(FC材)に直接当接することで抵抗力を作用させるように構成することも可能である。
ブレーキシュー10cを設けた場合には、送り調節体9と抵抗手段10との当接面の面圧を大幅に低下させることができる。従って、同じ大きさの抵抗力を作用させる場合であっても、従来よりも遥かに低い面圧で作用させることができ、送り調節体9の摩耗をより効果的に防止することができる。従って、送り調節体9の外周面に直接ブレーキシュー10cを当接することにより抵抗力を作用させることも可能となる。また、ブレーキシュー10cを設けた場合には送り調節体9が部分的に摩耗する偏摩耗を防止することができる。これにより、ミシンの機械的な精度を保つことが可能となる。従って、安定した縫目を得ることができるとともにミシンの耐久性を大幅に向上させることができる。
また、カラー90とブレーキシュー10cとを併用することが可能であることは言うまでもなく、この場合には更により一層ミシンの耐久性を向上させることができる。
また、カラー90とブレーキシュー10cとを併用することが可能であることは言うまでもなく、この場合には更により一層ミシンの耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態においては、カラー90は上述のように熱処理を行ったCr−Mo鋼により構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、機械構造用炭素鋼鋼材に、浸炭焼入れ焼戻し、或は、高周波焼入れ焼戻し等の熱処理を行った部材等、一般にFC材である送り調節体9よりも硬度が高く耐磨耗性に優れる部材であって、且つ、ばね材より形成される加圧ばね10aや前述したブレーキシュー10cよりも硬度が高く耐磨耗性に優れる部材(即ち、一般的な熱処理を行った鋼材)であれば適用可能である。
また、カラー90の内周面と送り調節体9の小径部93の外周面とは接着されることにより結合されていてもよい。
また、ねじ10bは、加圧ばね10aの付勢力を一定に保つため(即ち、ねじ10bの緩み防止のため)に、複数のねじを直列に設ける構成としてもよい。
また、抵抗手段10は、本実施形態においては略水平方向となる一方向(つまり、図5、図6における右側方向)から抵抗力を作用させる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、送り調節体9又はカラー90の周方向において、上方側、下方側、或は図5、図6における左側方向のうち複数方向から抵抗力を作用させるように構成してもよい。
また、カラー90の内周面と送り調節体9の小径部93の外周面とは接着されることにより結合されていてもよい。
また、ねじ10bは、加圧ばね10aの付勢力を一定に保つため(即ち、ねじ10bの緩み防止のため)に、複数のねじを直列に設ける構成としてもよい。
また、抵抗手段10は、本実施形態においては略水平方向となる一方向(つまり、図5、図6における右側方向)から抵抗力を作用させる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、送り調節体9又はカラー90の周方向において、上方側、下方側、或は図5、図6における左側方向のうち複数方向から抵抗力を作用させるように構成してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明における第2実施形態について詳しく説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、重複する記載は省略する。
本実施形態では、図7に示すように、送り調節体9の他端部(先端部)に略円筒状の凹部が形成されており、この凹部には、該凹部に嵌合するピン(凸部)を有する焼入部材90aが圧入され、送り調節体9と焼入部材90aとが一体に軸周り方向に回動自在となって固定されている。
焼入部材90aは、第1実施形態と同様に、高周波焼入れ焼戻しによる熱処理を行ったCr−Mo鋼により形成されている。そして、この焼入部材90aの外周には抵抗手段10に備わる加圧ばね10aが付勢力をもって当接しており、焼入部材90aを介して送り調節体9の軸周り方向の回動動作に対する抵抗力を作用可能に備えられている。
なお、焼入部材90aと加圧ばね10aとの間隙には、第1実施形態と同様にブレーキシュー10cを設けても良い。
また、焼入部材90aは、第1実施形態と同様に、送り調節体9、及び抵抗手段10に備えられる加圧ばね10aまたはブレーキシュー10cよりも高硬度、且つ、耐磨耗性に優れる熱処理を行った鋼材であれば適用可能である。
また、凹部と凸部とは接着されることにより結合されていてもよい。
また、凹部と凸部とは、ねじ孔状とネジ状とに形成されていてもよい。
また、凹部と凸部とは、送り調節体9と焼入部材90との何れの側に形成されていてもよく、何れか一方側に形成された凹部と、他方側に形成された凸部との嵌合により送り調節体9と焼入部材90aとが一体となるように構成されていてもよい。
次に、本発明における第2実施形態について詳しく説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、重複する記載は省略する。
本実施形態では、図7に示すように、送り調節体9の他端部(先端部)に略円筒状の凹部が形成されており、この凹部には、該凹部に嵌合するピン(凸部)を有する焼入部材90aが圧入され、送り調節体9と焼入部材90aとが一体に軸周り方向に回動自在となって固定されている。
焼入部材90aは、第1実施形態と同様に、高周波焼入れ焼戻しによる熱処理を行ったCr−Mo鋼により形成されている。そして、この焼入部材90aの外周には抵抗手段10に備わる加圧ばね10aが付勢力をもって当接しており、焼入部材90aを介して送り調節体9の軸周り方向の回動動作に対する抵抗力を作用可能に備えられている。
なお、焼入部材90aと加圧ばね10aとの間隙には、第1実施形態と同様にブレーキシュー10cを設けても良い。
また、焼入部材90aは、第1実施形態と同様に、送り調節体9、及び抵抗手段10に備えられる加圧ばね10aまたはブレーキシュー10cよりも高硬度、且つ、耐磨耗性に優れる熱処理を行った鋼材であれば適用可能である。
また、凹部と凸部とは接着されることにより結合されていてもよい。
また、凹部と凸部とは、ねじ孔状とネジ状とに形成されていてもよい。
また、凹部と凸部とは、送り調節体9と焼入部材90との何れの側に形成されていてもよく、何れか一方側に形成された凹部と、他方側に形成された凸部との嵌合により送り調節体9と焼入部材90aとが一体となるように構成されていてもよい。
上記構成により、第2実施形態では、送り調節体9と一体に軸周り方向に正逆回動する焼入部材90aの外周に、略水平方向となる一側(図7中、右側方向)から抵抗手段10である加圧ばね10aが当接することにより送り調節体9の軸周り方向の回動動作に対する抵抗力が作用される。本実施形態においても第1実施形態と同様に、送り調節体9とともに軸周り方向に回動する焼入部材90aと加圧ばね10aとの当接面においては、硬度及び耐磨耗性に劣る加圧ばね10a側が主として磨耗していくこととなる。従って、ミシンの送り装置1の耐久性が大幅に向上する。また、送り調節体9には磨耗を考慮することなく必要な付勢力をもって抵抗力を作用させることができる状態となる。これにより、送りパルスモータ7の脱調及びダンピングが防止され、ミシンの安定した高速運転が可能な状態となる。
以上のように、第2実施形態に係るミシンの送り装置1によれば、前述した第1実施形態の場合と同様に送り調節体9の磨耗を効果的に防止することができる。従って、軸周りに正逆回動する送り調節体9に対して磨耗を考慮することなく必要な付勢力をもって抵抗力を作用させることができる。これにより、パルスモータ7の脱調及びダンピング現象を防止することができ、安定した縫い目(ピッチ)を得ることができるとともに継続した高速運転を行うことが可能となり、大幅に生産性を向上することができる。
また、本実施形態における抵抗手段10が当接する焼入部材90aの該当箇所は、内側にFC材からなる送り調節体9を内包しないため、長期にわたって耐磨耗性に優れ、より一層ミシンの耐久性を向上させることができる。
また、凹部と凸部とをねじ孔とねじとにより形成した場合には、送り調節体9と焼入部材90aとの着脱作業がきわめて容易となり、作業効率及び生産性をより一層効果的に向上することができる。
また、本実施形態における抵抗手段10が当接する焼入部材90aの該当箇所は、内側にFC材からなる送り調節体9を内包しないため、長期にわたって耐磨耗性に優れ、より一層ミシンの耐久性を向上させることができる。
また、凹部と凸部とをねじ孔とねじとにより形成した場合には、送り調節体9と焼入部材90aとの着脱作業がきわめて容易となり、作業効率及び生産性をより一層効果的に向上することができる。
1 ミシンの送り装置
2 送り歯
21 送り台
3 送り伝達手段
4 送り量変更手段
5 上下送り機構
6 水平送り機構
7 送りパルスモータ(駆動手段)
8 伝達手段
9 送り調節体
90 カラー(焼入部材)
90a ピン(焼入部材)
91 角駒
92 溝部
10 抵抗手段
10a 加圧ばね
10b ねじ
10c ブレーキシュー
100 ミシン
101 ベッド部
102 縦胴部
103 アーム部
2 送り歯
21 送り台
3 送り伝達手段
4 送り量変更手段
5 上下送り機構
6 水平送り機構
7 送りパルスモータ(駆動手段)
8 伝達手段
9 送り調節体
90 カラー(焼入部材)
90a ピン(焼入部材)
91 角駒
92 溝部
10 抵抗手段
10a 加圧ばね
10b ねじ
10c ブレーキシュー
100 ミシン
101 ベッド部
102 縦胴部
103 アーム部
Claims (2)
- 針板上の被縫製物に接離して該被縫製物を搬送する送り歯と、
上下送り機構および水平送り機構の協働により前記送り歯に送り動作を付与する送り伝達手段と、
送り量変更の駆動力を付与する駆動手段と、前記駆動手段から駆動力を得て送り量を変更する送り調節体と、を有し、前記水平送り機構に作用して前記送り歯による前記被縫製物の送り量を変更する送り量変更手段と、
を備えたミシンの送り装置において、
高耐磨耗材からなり前記送り調節体に固定される固定部材と、
前記固定部材に当接して送り量の変更動作に抵抗力を与える抵抗手段と、を設けたことを特徴とするミシンの送り装置。 - 前記抵抗手段は、前記送り調節体の当接箇所に面接触する当接部材と、当該当接部材を前記送り調節体側に押圧する弾性体とを備えることを特徴とする請求項1に記載のミシンの送り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004333257A JP2006141547A (ja) | 2004-11-17 | 2004-11-17 | ミシンの送り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004333257A JP2006141547A (ja) | 2004-11-17 | 2004-11-17 | ミシンの送り装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006141547A true JP2006141547A (ja) | 2006-06-08 |
Family
ID=36621891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004333257A Pending JP2006141547A (ja) | 2004-11-17 | 2004-11-17 | ミシンの送り装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006141547A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101994217A (zh) * | 2010-11-22 | 2011-03-30 | 黄志江 | 缝纫机离合电机 |
JP2015073742A (ja) * | 2013-10-09 | 2015-04-20 | 星鋭縫▲じん▼機股▲ふん▼有限公司 | ミシンのダイレクトドライブ布送り機構 |
CN107268190A (zh) * | 2016-04-05 | 2017-10-20 | Juki株式会社 | 缝纫机 |
CN114192705A (zh) * | 2021-11-19 | 2022-03-18 | 广东德帆科技有限公司 | 一种床芯弹簧的全自动生产设备 |
-
2004
- 2004-11-17 JP JP2004333257A patent/JP2006141547A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101994217A (zh) * | 2010-11-22 | 2011-03-30 | 黄志江 | 缝纫机离合电机 |
JP2015073742A (ja) * | 2013-10-09 | 2015-04-20 | 星鋭縫▲じん▼機股▲ふん▼有限公司 | ミシンのダイレクトドライブ布送り機構 |
CN107268190A (zh) * | 2016-04-05 | 2017-10-20 | Juki株式会社 | 缝纫机 |
CN114192705A (zh) * | 2021-11-19 | 2022-03-18 | 广东德帆科技有限公司 | 一种床芯弹簧的全自动生产设备 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2011101719A (ja) | ミシンの送り調節機構 | |
JP2006141547A (ja) | ミシンの送り装置 | |
JP2008259752A (ja) | ミシンの送り装置 | |
JP2006247044A (ja) | ミシンの布送り調節機構 | |
TW201026919A (en) | Cloth-cutting device for sewing machine | |
KR20060049731A (ko) | 재봉틀의 루퍼구동장치 | |
JP2000354915A (ja) | ピックアンドプレース装置 | |
JP6506071B2 (ja) | 上送り停止機構を備えたミシン | |
WO2019177079A1 (ja) | 選針装置 | |
JP5160356B2 (ja) | ミシン | |
JP2003024671A (ja) | 針送りミシン | |
JP2005087510A (ja) | ルーパ駆動装置 | |
RU2015226C1 (ru) | Швейная машина потайного стежка | |
US135579A (en) | Improvement in feeding mechanisms for sewing-machines | |
CN111926471B (zh) | 针进给缝纫机 | |
JP2004049580A (ja) | ミシンの送り装置 | |
JP2002239276A (ja) | ミシンの送り装置 | |
JP4625251B2 (ja) | 動作伝達機構 | |
JP2000218511A (ja) | ホーニング加工機 | |
JP3997545B2 (ja) | 揺動アームによる材料送り装置 | |
JP4450947B2 (ja) | ミシンの針振り装置 | |
JP2952982B2 (ja) | ミシンの布送り機構 | |
US282407A (en) | Sewing-machine | |
JP3458306B2 (ja) | ワーク搬送用駆動装置 | |
US574574A (en) | Sewing-machine |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20071109 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20090715 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090721 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091124 |