JP2006140853A - 無線送信機および無線受信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 送信アンテナ間の相関などによって構成されるサブキャリア毎の選択指標に応じて複数の送信アンテナの中から送信アンテナの組み合わせを選択することにより、良好な無線通信を実現する。
【解決手段】 無線信号を送信し得る複数の送信アンテナ(Tx1〜TxN)と、前記各送信アンテナと通信相手先の受信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を取得する取得部(21)と、前記取得した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択制御部(22、23、23)と、を備え、前記選択した送信アンテナの組み合わせを用いて無線信号を送信する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の送信アンテナを用いて各送信アンテナから情報を同時に送信する無線送信機であって、複数の送信アンテナからいずれか一つの送信アンテナの組み合わせを選択し、その選択した送信アンテナを用いて情報を伝送する無線送信機、およびその無線送信機より送信された送信信号を受信する無線受信機に関する。特に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア通信を行なう無線送信機および無線受信機に関する。
移動体通信の分野においては、限られた周波数でいかに高品質で大容量の無線通信システムを構築するかということが大きな課題である。大容量伝送を実現する技術として、送信側および受信側において、複数のアンテナを用いて、同一周波数で伝送データを空間分割多重し、周波数利用効率を高める空間分割多重方式の適用が検討されている。この空間分割多重方式では、変調方式は従来と同様であるが、同一周波数において複数の送信アンテナから異なる情報を送信して空間で多重するため、たとえば、2本のアンテナを用いる場合、使用する周波数帯域を増加することなく伝送容量を2倍にすることができる。この空間分割多重を用いるシステムとして、「Multi−Input Multi−Output(以下、「MIMO」と呼称する。)システム」と呼ばれるものがある。また、高品質伝送を実現する技術として、送信側において、複数のアンテナを用いて、同一周波数で伝送データを空間時間符号化し、または重み付けを行ない、伝送品質を高める送信ダイバーシチの適用が検討されている。
空間分割多重方式も送信ダイバーシチも複数のアンテナを用いて、空間的に異なる独立な複数の伝搬チャネルを形成し、それらの伝搬チャネルを用いることにより大容量伝送、高品質伝送を実現している。
ここで、形成した複数の伝搬チャネルが独立ではなく、相関が高い場合、空間分割多重方式では信号分離性能が劣化し、送信ダイバーシチではダイバーシチ利得が低下し、受信側での誤り率が劣化する。また、各送信アンテナから送信された信号の受信側でのSNR(Signal to Noise Ratio)、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)が小さい場合、誤り率が劣化する。この問題に対応する従来技術としては、受信信号から伝搬チャネル間の相関、SNR、SINRを推定し、最も良い送信アンテナを選択する方法が提案されている。
特開平11−205205号公報 特開2000−209145号公報 特開2003−249882号公報 平明徳、原嘉孝、石津文雄、村上圭司、須藤賢司、大槻知明、「送信チャネル選択時のMIMO−OFDMシステム伝送特性」、電子情報通信学会 信学技報 RCS2003−263 p.115−120、2003年
しかしながら、従来技術は主にシングルキャリアシステムしか想定しておらず、複数のキャリアを用いる、例えばOFDMなどのマルチキャリアシステムに十分に対応していない。マルチキャリアシステムでは、サブキャリア毎に受ける伝搬路変動、受信状況を含めた伝搬路状況が異なるため、サブキャリア毎に最適な送信アンテナが異なる場合がある。遅延スプレッドが大きい伝搬環境では、周波数選択性フェージングの影響が大きくなり、サブキャリア間での伝搬路状況の違いが増大する。また、ある周波数帯域幅を持つサブキャリアの数を増やすと、周波数位置が離れたサブキャリア間では伝搬路状況の違いが増大する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、主に伝搬チャネル間の相関、SNR、SINRなどによって構成されるサブキャリア毎の選択指標に応じて複数の送信アンテナの中から送信アンテナの組み合わせを選択することにより、良好な無線通信を実現することができる無線送信機、およびその無線送信機より伝送された送信信号を受信する無線受信機を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る無線送信機は、無線信号を送信し得る複数の送信アンテナと、前記各送信アンテナと通信相手先の受信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を取得する取得部と、前記取得した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択制御部と、を備え、前記選択した送信アンテナの組み合わせを用いて無線信号を送信することを特徴としている。
このように、送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。なお、伝搬路応答情報の取得は、無線信号を受信することによって行なっても良いし、その他の手法を用いても良い。
(2)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に基づいて、複数のサブキャリアを1つにまとめて構成されるブロック毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、複数のサブキャリアを1つにまとめて構成されるブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択するので、処理の軽減を図ることができる。また、無線受信機で送信アンテナの組み合わせの選択処理をブロック毎に行なう場合、フィードバック情報量を少なくすることができ、オーバーヘッドを低減し、スループットを改善することができる。
(3)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いた計算結果に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いた計算結果に応じてブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に算出した選択指標値を反映しながらブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択することができる。その結果、ブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(4)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値が最も低いと選択されたサブキャリアの総数に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値が最も低いと選択されたサブキャリアの総数に応じてブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じてブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(5)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて順位付けされた順位にポイントを設定し、順位毎のポイントを足し合わせた総ポイントに応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて順位付けされた順位にポイントを設定し、順位毎のポイントを足し合わせた総ポイントに応じてブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じてブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(6)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、前記送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を平均化した値を求め、当該平均化した値に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を平均化した値を求め、当該平均化した値に応じてブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じてブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(7)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、前記送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値を求め、当該重み付け平均化した値に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値を求め、当該重み付け平均化した値に応じてブロック毎の送信アンテナの組み合わせを選択するので、伝搬チャネル間の相関値の特性に応じてブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(8)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴としている。
このように、ブロック内の選択指標値を平均化した値等に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更するので、受信品質を維持しつつ、処理が複雑になるのを抑制することができる。
(9)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値が、予め定めた閾値よりも低い場合は1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を増加させることを特徴としている。
このように、ブロック内の選択指標値を平均化した値等が、予め定めた閾値よりも低い場合に1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を増加させるので、送信アンテナの組み合わせの選択処理の処理量を低減することができ、また、無線受信機側で送信アンテナの組み合わせの選択処理を行なう場合、フィードバック情報量を低減することができる。
(10)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値が、予め定めた閾値よりも高い場合は1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を減少させることを特徴としている。
このように、ブロック内の選択指標値を平均化した値等が、予め定めた閾値よりも高い場合に1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を減少させるので、受信品質の劣化を低減できる。
(11)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、1つのブロックを構成するサブキャリアの本数の上限値、または下限値を設定することを特徴としている。
このように、1つのブロックを構成するサブキャリアの本数の上限値、または下限値を設定しているので、許容範囲内でサブキャリアの本数を変更することが可能となる。
(12)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更するので、受信品質を維持しつつ、処理が複雑になるのを抑制することができる。
(13)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値と、予め定めた閾値とを比較し、この比較結果に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴としている。
このように、サブキャリア毎に算出した選択指標値と、予め定めた閾値との比較結果に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更するので、予め定めた閾値に応じて受信品質を維持しつつ、処理が複雑になるのを抑制することができる。
(14)また、本発明に係る無線送信機は、前記選択制御部は、通信相手先から送信された信号の誤り頻度情報に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴としている。
このように、通信相手先から送信された信号の誤り頻度情報に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更するので、誤り頻度に反映させながら受信品質を維持しつつ、処理が複雑になるのを抑制することができる。
(15)また、本発明に係る無線送信機は、無線信号を送信し得る複数の送信アンテナと、前記各送信アンテナと通信相手先の受信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を取得する取得部と、前記取得した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択制御部と、を備え、前記選択した送信アンテナの組み合わせを用いて無線信号を送信することを特徴としている。
このように、送信アンテナ毎の信号対雑音比(SNR、SINR)を表わす選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。なお、伝搬路応答情報の取得は、無線信号を受信することによって行なっても良いし、その他の手法を用いても良い。
(16)また、本発明に係る無線受信機は、無線信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナで通信相手先から受信した既知信号に基づいて、前記各受信アンテナと通信相手先の送信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を生成する伝搬路応答情報生成部と、前記生成した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値から前記通信相手先におけるサブキャリア毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成する選択情報生成部と、前記生成された選択情報を前記通信相手先へ通知する通知部と、を備えることを特徴としている。
このように、無線受信機において、サブキャリア毎の選択指標値を計算し、この選択指標値から通信相手先におけるサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成して、この選択情報を通信相手先へ通知するので、無線受信機から通信相手先へ通知する情報量を、伝搬路応答情報を通知する場合よりも減少させることができる。その結果、オーバーヘッドを低減させることが可能となる。
(17)また、本発明に係る無線受信機は、無線信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナで通信相手先から受信した既知信号に基づいて、前記各受信アンテナと通信相手先の送信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を生成する伝搬路応答情報生成部と、前記生成した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値から前記通信相手先におけるサブキャリア毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成する選択情報生成部と、前記生成された選択情報を前記通信相手先へ通知する通知部と、を備えることを特徴としている。
このように、無線受信機において、サブキャリア毎の選択指標値を計算し、この選択指標値から通信相手先におけるサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成して、この選択情報を通信相手先へ通知するので、無線受信機から通信相手先へ通知する情報量を、伝搬路応答情報を通知する場合よりも減少させることができる。その結果、オーバーヘッドを低減させることが可能となる。
(18)また、本発明に係る基地局装置は、請求項1から請求項15のいずれかに記載の無線送信機を備えることを特徴としている。
この構成により、送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値、または送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(19)また、本発明に係る移動局装置は、請求項16、または請求項17記載の無線受信機を備えることを特徴としている。
この構成により、移動局装置において、サブキャリア毎の選択指標値を計算し、この選択指標値から通信相手先におけるサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成して、この選択情報を通信相手先へ通知するので、無線受信機から通信相手先へ通知する情報量を、伝搬路応答情報を通知する場合よりも減少させることができる。その結果、オーバーヘッドを低減させることが可能となる。
(20)また、本発明に係る無線通信システムは、請求項18記載の基地局装置と、請求項19記載の移動局装置と、から構成されることを特徴としている。
この構成により、基地局装置において、送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値、または送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に送信アンテナの組み合わせを選択するので、サブキャリア毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。また、移動局装置において、サブキャリア毎の選択指標値を計算し、この選択指標値から通信相手先におけるサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成して、この選択情報を通信相手先へ通知するので、無線受信機から通信相手先へ通知する情報量を、伝搬路応答情報を通知する場合よりも減少させることができる。その結果、オーバーヘッドを低減させることが可能となる。
本発明によれば、サブキャリア毎に、例えば、伝搬チャネル間の相関、SNR、SINRなどが最も良い送信アンテナの組み合わせを選択し、その選択した送信アンテナを用いて情報を無線送信するので、通信品質を向上させることができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る無線送信機は、複数の送信アンテナを備え、サブキャリア毎に送信アンテナの選択指標を計算して、サブキャリア毎に選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択し、サブキャリア毎に選択した送信アンテナを用いて情報を無線送信する。これにより、受信側での誤り率の向上を図っている。
図1は、第1の実施形態に係る無線送信機および無線受信機を自動車電話機や携帯電話機等の移動端末機に適用した例を示す図である。この無線通信機1は、無線送信機としての送信部2、無線受信機としての受信部3、各部を制御する送受制御部4、共用器5、複数のアンテナ6−1〜6−n、送話器7、受話器8、液晶パネル等による表示器9、および各種のファンクションキー等を含むダイヤルキー10から構成されている。
図2は、無線送信機としての送信部の構成を示す図である。送信部2は、複数の送信アンテナTx1〜TxNを用いて空間分割多重送信を行なう。
送信制御部21は、無線送信機としての送信部2の送信に係る全体の制御を行ない、上位レイヤより転送された情報データを下位レイヤに転送する。また、通信相手先であり、上記無線送信機の受信側である無線受信機より通知された各送信アンテナが形成する伝搬路応答情報を選択指標計算部22に出力する。
選択指標計算部22は、送信制御部21より入力された伝搬路応答情報に基づいて伝搬路応答ベクトルを生成する。そして、生成した伝搬路応答ベクトルを基に、送信アンテナの組み合わせの選択に関する選択指標の計算をサブキャリア毎に行なう。例えば、選択指標としては、送信アンテナ間の相関値、送信アンテナ毎のSNR、SINRを用いる。選択指標計算部22は、サブキャリア毎に選択し得るすべての送信アンテナの組み合わせに対して選択指標の計算を行なった後、結果を送信アンテナ割当て検出部23に出力する。
送信アンテナ割当て検出部23は、選択指標計算部26より入力された選択指標の結果を基に、選択指標の比較を行ない、サブキャリア毎に選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを検出する。ここで、選択指標が最も良いというのは、選択指標が相関値の場合は最も低いことを示し、選択指標がSNR、またはSINRの場合は最も高いことを示す。送信アンテナ割当て検出部23は、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの割当て結果をサブキャリアデータ割当て部24とパイロット信号生成部25に出力する。
ここで、サブキャリア毎に送信アンテナの選択指標を計算し、サブキャリア毎に選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する処理について説明する。以下においては、あるサブキャリアにおける送信アンテナの選択指標を計算して、そのサブキャリアにおいて選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する場合について示す。実際の処理においては、以下に示す選択処理が全てのサブキャリアに対してサブキャリア毎に行なわれる。
先ず、あるサブキャリアにおいて、複数の送信アンテナの中から2本の送信アンテナを選択する場合の送信アンテナの組み合わせを選択する処理について説明する。選択指標計算部22は、送信制御部21より入力された伝搬路応答情報に基づいて伝搬路応答ベクトルを生成する。図3(a)に、送信アンテナ3本を用いて送信を行なう無線送信機と受信アンテナ3本を用いて受信を行なう無線受信機により形成される伝搬路応答の概略図を示す。ここで、Tx1、Tx2、Tx3は、それぞれ送信アンテナを示し、Rx1、Rx2、Rx3はそれぞれ受信アンテナを示す。また、hlmは送信アンテナと受信アンテナ間で形成される伝搬路応答を示し、「h」の添え字のうち「l」は、送信アンテナのナンバーを示し、「m」は、受信アンテナのナンバーを示す。なお、ここでは説明の便宜のため、TxおよびRxを省略する。
伝搬路応答情報はこれら伝搬路応答の情報からなる。図3(a)の場合、9個の伝搬路応答が形成される。Tx1によって形成される伝搬路応答は受信アンテナRx1、Rx2、Rx3に対してそれぞれh11、h12、h13であり、これらの伝搬路応答を要素に持つベクトルを各送信アンテナの伝搬路応答ベクトルと定義する。各送信アンテナの伝搬路応答ベクトルは次式で表される。
Figure 2006140853
選択指標計算部22は、生成した伝搬路応答ベクトルを基に、2本の送信アンテナ間の相関の計算を行なう。一方の送信アンテナで形成される伝搬路応答ベクトルと、もう一方の送信アンテナで形成される伝搬路応答ベクトルとを共役転置したもののベクトル乗算を行ない、乗算した値から各伝搬路応答ベクトルの絶対値の除算を行なう。無線送信機が複数の送信アンテナから2本の送信アンテナを選択する場合は、この値を選択指標(以下、選択指標値のことを単に「選択指標」と呼称する。)として用いる。
各アンテナ間の相関値ρTxATxBは、次式で表される。ここで、AとBはそれぞれ異なる送信アンテナのナンバーを示し、例えば、ρTx1Tx2は送信アンテナTx1によって形成される伝搬路応答ベクトルと送信アンテナTx2によって形成される伝搬路応答ベクトル間の相関を示す。
Figure 2006140853
送信アンテナ割当て検出部23は、選択指標計算部22より入力された選択指標を基に、選択指標の比較を行ない、選択指標が最も低い送信アンテナの組み合わせを選択し、送信アンテナの組み合わせの割当て情報を生成する。全てのサブキャリアに対して送信アンテナの組み合わせの割当て情報を生成した後、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの割当て結果として、サブキャリアデータ割当て部24に出力する。
次に、あるサブキャリアにおいて、複数の送信アンテナの中から3本以上の送信アンテナを選択する場合の送信アンテナの選択処理について説明する。前述で説明した複数の送信アンテナの中から2本の送信アンテナを選択する場合とでは、選択指標計算部22の処理が大きく異なる。
選択指標計算部22は、送信制御部21より入力された伝搬路応答情報に基づいて伝搬路応答ベクトルを生成する。図3(b)に、送信アンテナ4本を用いて送信を行なう無線送信機と受信アンテナ3本を用いて受信を行なう無線受信機により形成される伝搬路応答の概略図を示す。図3(b)の場合、12個の伝搬路応答が形成される。各送信アンテナの伝搬路応答ベクトルは次式で表される。
Figure 2006140853
選択指標計算部22は、先ず生成した伝搬路応答ベクトルを基に、2本の送信アンテナ間の相関値の計算を行なう。一方の送信アンテナで形成される伝搬路応答ベクトルと、もう一方の送信アンテナで形成される伝搬路応答ベクトルとを共役転置したもののベクトル乗算を行ない、乗算した値から各伝搬路応答ベクトルの絶対値の除算を行なう。各アンテナ間の相関値ρTxATxBは次式で表される。
Figure 2006140853
次に、上記のように導出した2本の送信アンテナ間の相関値を基に、選択指標を定義する。無線送信機が複数の送信アンテナから3本以上の送信アンテナを選択する場合は、用いる送信アンテナ数に応じて、取りうる2本の送信アンテナ間の相関値をすべて加算した総和を選択指標として用いる。図3(b)に示す通信システムにおいて、無線送信機が4本の送信アンテナから3本の送信アンテナを選択する場合の送信アンテナの組み合わせ毎の相関値ρTxATxBTxCは次式で表される。例えば、ρTx1Tx2Tx3は送信アンテナTx1によって形成される伝搬路応答ベクトルと送信アンテナTx2によって形成される伝搬路応答ベクトルと送信アンテナTx3によって形成される伝搬路応答ベクトルとの相関を示す。
Figure 2006140853
送信アンテナ割当て検出部23は、選択指標計算部22より入力された選択指標を基に、選択指標の比較を行ない、選択指標が最も低い送信アンテナの組み合わせを選択し、送信アンテナの組み合わせの割当て情報を生成する。全てのサブキャリアに対して送信アンテナの組み合わせの割当て情報を生成したならば、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの割当て結果として、サブキャリアデータ割当て部24に出力する。
サブキャリアデータ割当て部24は、送信アンテナ割当て検出部23より入力されたサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの割当て結果を基に、送信制御部21より入力された情報データを各送信アンテナ系統の変調部26−1〜26−Nに割当て、出力する。変調部26−1〜26−Nは、サブキャリアデータ割当て部24より入力された情報データに対して変調を行ない、変調データ信号を出力する。
パイロット信号生成部25は、送信アンテナ割当て検出部23より入力されたサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの割当て結果を基に、送信に用いるサブキャリアのみにパイロットデータを割当てたパイロット信号を各送信アンテナ系統の空間多重処理部27−1〜27−Nに出力する。空間多重処理部27−1〜27−Nは、変調部26−1〜26−Nより入力された変調データ信号とパイロット信号生成部25より入力されたパイロット信号より空間分割多重送信を行なう送信信号を生成して出力する。
IFFT28−1〜28−Nは、空間多重処理部27−1〜27−Nより入力された送信信号を逆フーリエ変換して時間領域の送信信号に変換して出力する。周波数変換器29−1〜29−Nは、IFFT28−1〜28−Nより入力された送信信号を無線周波数にアップコンバートして出力する。送信アンテナTx1〜TxNは、アップコンバートされた送信信号を送信する。
図4は、無線受信機としての受信部の構成を示す図である。受信部3は、送信側である無線送信機において複数の送信アンテナを用いて空間分割多重送信された送信信号を受信し、信号の分離・検出を行なう機能を有している。
受信アンテナRx1〜RxMは、伝搬路変動を受けた送信信号を受信する。周波数変換器41−1〜41−Mは、受信アンテナRx1〜RxMより入力された受信信号をダウンコンバートして出力する。シンボルタイミング再生部42は、FFTウィンドウタイミングを検出して出力する。例えば、既知信号系列と受信信号系列の相関演算や、データ区間とガードインターバル区間の相関演算により相関値のピークを示すタイミングをFFTウィンドウタイミングとして検出する。
FFT43−1〜43−Mは、シンボルタイミング再生部42より入力されたFFTウィンドウタイミングを基に、ダウンコンバートされた受信信号のフーリエ変換を行ない、周波数領域に受信信号を変換して出力する。伝搬路応答推定部44は、FFT43−1〜43−Mより入力された受信信号のパイロット信号区間を基に、伝搬路応答を推定して出力する。
信号分離検出部45は、伝搬路応答推定部44より入力された伝搬路応答を基に、FFT43−1〜43−Mより入力された受信信号のデータ区間に対して、空間分割多重された信号の分離・検出を行ない、各送信アンテナから送信された信号を検出する。復調部46−1〜46−Mは、対応する各送信アンテナ系統の変調部で用いた変調方式、符号化率を基に、信号分離検出部45より入力された受信信号の復調を行ない、復調データを生成する。
受信制御部47は、無線受信機としての受信部3の受信に係る全体の制御を行ない、下位レイヤより転送された復調部46−1〜46−Mからの復調データを上位レイヤに情報データとして転送する。また、通信相手先の無線通信機の無線送信機で用いる伝搬路応答に関する情報を通知するために、この伝搬路応答を推定した無線受信機を有する無線通信機の無線送信機の送信制御部とやりとりを行ない、伝搬路応答推定部44より入力された伝搬路応答の通知を制御する。
図5に、各送信アンテナの伝搬路応答を推定することができる既知信号の例を示す。図5(a)は、送信アンテナ毎の系列が直交関係にある直交パイロット信号を示し、図5(b)は、時空間符号化の原理を用いた既知信号を示し、図5(c)は、同一時刻には一つの送信アンテナからのみ既知信号を送信する構成を示す。図5において、「矢印t」は、時間の経過を示す。このような既知信号を用いることにより、各送信アンテナで形成される伝搬路応答を受信側で推定することができる。
次に、第1の実施形態に係る無線通信機の動作についてフローチャートを参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る送信アンテナの組み合わせを選択するフローチャートを示す。
先ず、無線送信機において無線受信機より通知された伝搬路応答情報からサブキャリア毎に選択指標を計算する(ステップP1)。ここで、送信アンテナのすべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップP2)、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップP1へ移行する。
一方、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わった場合は、選択指標の比較を行ない、選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップP3)。なお、選択指標として相関値を用いた場合、選択指標が最も小さい送信アンテナの組み合わせが最も良い送信アンテナの組み合わせを選択し、選択指標としてSNR、またはSINRを用いた場合、選択指標が最も大きい送信アンテナの組み合わせが最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する。
ここで、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップP4)、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップP1へ移行する。一方、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、各送信アンテナ系統にサブキャリア毎のデータ割当てを行なう(ステップP5)。
なお、上記フローチャートにおけるサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの選択は、無線送信機が有するすべての送信アンテナから複数の送信アンテナを選択する場合について説明しているが、本発明はこの場合に限定したものではない。処理の軽減を図って、複数の送信アンテナからそれより少ない複数の送信アンテナを選択する場合についても容易に適用できる。例えば、無線送信機が5本の送信アンテナを備え、その中から予め4本の送信アンテナを絞り込み、絞り込んだ4本の送信アンテナから3本の送信アンテナを選択する場合に、本発明は適用できる。
また、第1の実施形態では、送信方式として空間分割多重送信を行なう構成について示したが、本発明は、最大比合成送信ダイバーシチや時空間符号化送信ダイバーシチなどの複数の送信アンテナを用いて送信を行なう構成に適用できる。すなわち、例えば、図2に示す空間多重処理部27−1〜27−Nの代わりに、送信重み付けを行なう送信重み付け合成部、または時空間符号化を行なう時空間符号化部を設けるのである。このような構成にすることにより、本発明の送信アンテナの組み合わせ選択処理を行なうことができる。
また、図4に示す信号分離検出部45の代わりに、受信合成部を設けた無線受信機を構成することもできる。このような構成にすることにより、本発明の送信アンテナの組み合わせ選択処理を適用できる。受信合成部では、送信側の送信方式に応じて、最大比合成、時空間符号復号処理を行なう。また、空間分割多重と送信ダイバーシチを併用した構成でも、本発明の送信アンテナの組み合わせ選択処理を適用できる。
また、第1の実施形態では、送受アンテナ系統毎に変調部26−1〜26−N、復調部46−1〜46−Mを設ける構成について示したが、共通化して一つの変調部26、復調部46を設ける構成にしても本発明は適用できる。この場合、サブキャリアデータ割当て部24の前段に変調部26を設ける構成にしてもよい。更に、グループ化していくつかの送受アンテナ系統毎に変調部26−1〜26−N、復調部46−1〜46−Mを設ける構成にしても本発明は適用できる。
また、複信方式としてTDD(Time Division Duplex)を用いた場合は、無線通信機の受信部3である無線受信機で推定した伝搬路応答を用いて同一の無線通信機の送信部2である無線送信機の送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算する形態とすることもできる。
また、第1の実施形態では、伝搬路応答から選択指標を計算する場合について示したが、本発明は伝搬路応答から選択指標を計算する場合に限定しているわけではなく、他の情報から選択指標を計算する場合についても適用できる。
以上のように、第1の実施形態によれば、複数の送信アンテナを用いて通信を行なう場合の取りうる送信アンテナの組み合わせから選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせをサブキャリア毎に選択するため、サブキャリア毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができ、受信側での誤り率の向上を図ることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、選択指標を受信側である無線受信機において計算して送信側である無線送信機に送信アンテナの組み合わせの選択情報を通知して、無線送信機は通知された情報を基に送信アンテナの組み合わせをサブキャリア毎に選択する。
図7は、第2の実施形態に係る無線送信機としての送信部2の構成を示す図である。また、図8は第2の実施形態に係る無線受信機としての受信部3の構成を示す図である。第1の実施形態と異なる部分は、送信アンテナの組み合わせの選択処理を無線受信機が行ない、送信アンテナの組み合わせに関する選択情報を無線送信機に通知して、無線送信機は通知された送信アンテナの組み合わせに関する選択情報を基に、送信アンテナの組み合わせの選択を行なうことである。
図7に示す第2の実施形態に係る無線送信機について第1の実施形態に係る無線送信機と異なる部分について説明する。図2における選択指標計算部22、送信アンテナ割当て検出部23は、通信相手先の無線通信機の無線受信機において構成されており、送信アンテナの組み合わせに関する選択情報が無線受信機から通知される。送信制御部21は、通知された送信アンテナの組み合わせに関する選択情報を基に、サブキャリアデータ割当て部24、およびパイロット信号生成部25の処理を制御する。サブキャリアデータ割当て部24は、送信制御部21より入力されたサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの選択に関する制御信号を基に、送信制御部21より入力された情報データを各送信アンテナ系統の変調部26−1〜26−Nに割当て、出力する。パイロット信号生成部25は、送信制御部21より入力されたサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの選択に関する制御信号を基に、送信に用いるサブキャリアにのみパイロットデータを割当てたパイロット信号を各送信アンテナ系統の空間多重処理部27−1〜27−Nに出力する。
図8に示す第2の実施形態に係る無線受信機について第1の実施形態に係る無線受信機と異なる部分について説明する。第2の実施形態に係る無線受信機は、新たに選択指標計算部50、送信アンテナ割当て検出部51が構成されている。各部の処理は、第1の実施形態に係る無線送信機で構成されているものと同様である。受信制御部47は、送信アンテナ割当て検出部51より出力されたサブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせに関する選択情報を、送信側にこの無線受信機を受信部とする無線通信機の無線送信機を用いて通知する。
第2の実施形態に係る無線通信機の動作を示すフローチャートは、第1の実施形態とほぼ同様である。図6において、第1の実施形態ではステップP1〜P4を無線送信機で行なうが、第2の実施形態ではステップP1〜P4を無線受信機で行なうところが異なる。
なお、第1の実施形態と比較して、選択指標計算部50のみが無線受信機に構成され、送信アンテナ割当て検出部51(23)は無線送信機に構成される形態を取ることもできる。その場合、無線受信機から無線送信機へ通知する情報は、送信アンテナの組み合わせの選択指標情報となる。無線送信機は、通知された送信アンテナの組み合わせの選択指標情報を基に選択指標の比較を行ない、最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する。
以上のように、第2の実施形態によれば、無線受信機から無線送信機へ通知する情報が伝搬路応答情報ではなく、送信アンテナの組み合わせに関する選択情報であるため、通知するフィードバック情報量を低減することができ、オーバーヘッドの低減を図ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る無線送信機は、複数のサブキャリアを一つのブロックにまとめて送信アンテナの組み合わせの選択を行なう。
図9は、第3の実施形態に係る無線送信機の構成を示す図である。第1の実施形態に係る無線送信機と異なる部分は、新たにブロック計算部60が構成されているところである。ブロック計算部60は、いつくかのサブキャリアをまとめて1つのブロックとして処理し、ブロック毎にどの送信アンテナの組み合わせが良いかを示すブロック選択指標を新たに計算する。以下、ブロック計算部60において、ブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する具体的な処理について示す。
先ず、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの選択結果を用いてブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する場合について説明する。この場合、ブロック計算部60は、各サブキャリアにおいて選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを判定し、取りうるすべての送信アンテナの組み合わせに対してブロック内のサブキャリアの判定結果の総数を計算してブロック選択指標として出力する。
上記処理を行なう場合において送信アンテナの組み合わせを選択する一例を示す。ここでは、図10(a)に示すように送信アンテナ3本を用いて送信を行なう無線送信機において、3本の送信アンテナから2本の送信アンテナを選択する場合について示す。特に、1ブロックが、図10(b)に示すように6本のサブキャリアで構成される場合について示す。なお、図10(a)において、Txは送信アンテナを示し、Txに続く数字は送信アンテナナンバーを示す。また、図10(b)において、subはサブキャリアを示し、subに続く数字はサブキャリアナンバーを示す。
このような無線送信機において、例えば、各サブキャリアにおいて選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせが、図11の結果を示したものとする。すなわち、sub1でTx1&Tx2の組み合わせの選択指標が最も良く、同様に、sub2でTx1&Tx2、sub3でTx2&Tx3、sub4でTx1&Tx2、sub5でTx1&Tx2、sub6でTx3&Tx1の組み合わせの選択指標が最も良い結果を示している。この場合において、ブロック内のサブキャリアの判定結果の総数を計算すると、Tx1&Tx2が4、Tx2&Tx3が1、Tx3&Tx1が1となる。
ブロック計算部60は、これらの値をブロック選択指標として送信アンテナ割当て検出部23に出力する。送信アンテナ割当て検出部23は、ブロック選択指標を比較して、最も多いTx1&Tx2の組み合わせを選択する。そして、サブキャリアデータ割当て部24とパイロット信号生成部25に、このブロックのサブキャリアはTx1&Tx2のアンテナ系統にデータを割当てることを通知する。
次に、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせに対して選択指標が最も良いものから上位の順位付けを行なうと共に、予め順位に応じて設定しておいたポイントの総ポイントをブロック内で送信アンテナの組み合わせ毎に計算し、計算した総ポイントを用いてブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する場合について説明する。この場合、ブロック計算部60は、各サブキャリアにおいて選択指標に基づいて最も良い送信アンテナの組み合わせから上位の順位付けを行なう。次に、予め順位に応じて設定しておいたポイントのブロック内の総ポイントを送信アンテナの組み合わせ毎に計算してブロック選択指標として出力する。
上記処理を行なう場合において送信アンテナの組み合わせを選択する一例を示す。なお、送信アンテナを選択する際に用いられる無線送信機および1ブロックのサブキャリアの本数は、図10に示すものと同様であるものとする。また、送信アンテナの組み合わせに対して設定されるポイントとして、予め、選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせに対して3ポイント、次に良い送信アンテナの組み合わせに対して2ポイント、最も悪い送信アンテナの組み合わせに対して1ポイントが設定されている場合について示す。
このような無線送信機において、例えば、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせに対する総ポイントが図12の結果を示したものとする。すなわち、sub1でTx1&Tx2の組み合わせに対して3ポイント、Tx2&Tx3の組み合わせに対して2ポイント、Tx3&Tx1の組み合わせに対して1ポイントを示し、同様に、sub2〜sub6に対しても同図に示すポイントを示している。この場合において、サブキャリア毎の送信アンテナの組み合わせの順位付けを行ない、総ポイントを計算すると、Tx1&Tx2に対する総ポイント数が15、同様にTx2&Tx3の総ポイント数が9、Tx3&Tx1の総ポイント数が12となる。
ブロック計算部60は、これらの値をブロック選択指標として送信アンテナ割当て検出部23に出力して、送信アンテナ割当て検出部23は、入力されたブロック選択指標を比較して、総ポイントが最も多いTx1&Tx2の組み合わせを選択する。そして、サブキャリアデータ割当て部24とパイロット信号生成部25に、このブロックのサブキャリアはTx1&Tx2のアンテナ系統にデータを割当てることを通知する。
なお、ここで設定した順位毎のポイントは説明をわかりやすくするために用いた値であり、任意の値に設定して本発明を適用できる。また、総ポイントが等しい場合は、サブキャリア単体で選択指標が最も良いサブキャリア数がブロック内で最も多い送信アンテナの組み合わせを選択する手段や、サブキャリア単体で選択指標が最も悪いサブキャリア数がブロック内で最も少ない送信アンテナの組み合わせを選択する手段を加えることにより対応することができる。
次に、サブキャリア毎に計算した選択指標の平均値を用いてブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する場合について説明する。この場合、ブロック計算部60は、選択指標計算部22より入力されたサブキャリア毎の選択指標を用いて取りうるすべての送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の平均値を計算してブロック選択指標として出力する。
上記処理を行なう場合において送信アンテナの組み合わせを選択する一例を示す。なお、送信アンテナを選択する際に用いられる無線送信機および1ブロックのサブキャリアの本数は、図10に示すものと同様であるものとする。また、図13において、Xはサブキャリア毎の選択指標を示し、Xの下付きの左側の符号はサブキャリアナンバーを示し、右側の符号は送信アンテナの組み合わせナンバーを示す。なお、ここでは、Tx1&Tx2の送信アンテナの組み合わせナンバーを1、Tx2&Tx3の送信アンテナの組み合わせナンバーを2、Tx3&Tx1の送信アンテナの組み合わせナンバーを3としている。
ブロック計算部60で算出された、ブロック内の選択指標の平均値は、Tx1&Tx2がXAve.1、Tx2&Tx3がXAve.2、Tx3&Tx1がXAve.3となる。ブロック計算部60は、これらの値をブロック選択指標として送信アンテナ割当て検出部23に出力する。送信アンテナ割当て検出部23は、ブロック選択指標を比較して、最も良い組み合わせとして、例えばTx1&Tx2の組み合わせを選択する。そして、サブキャリアデータ割当て部24とパイロット信号生成部25に、このブロックのサブキャリアはTx1&Tx2のアンテナ系統にデータを割当てることを通知する。なお、ブロック選択指標が最も良いというのは、選択指標が相関値の場合は最も低いことを示し、選択指標がSNR、またはSINRの場合は最も高いことを示す。
また、平均値が等しい場合は、サブキャリア単体で選択指標が最も良いサブキャリア数がブロック内で最も多い送信アンテナの組み合わせを選択する手段や、サブキャリア単体で選択指標が最も悪いサブキャリア数がブロック内で最も少ない送信アンテナの組み合わせを選択する手段を加えることにより対応することができる。
また、ブロック選択指標としてブロック内のサブキャリア毎の選択指標の平均値ではなく、合計値を用いる形態をとっても本発明は適用できる。
また、ブロック選択指標としてブロック内のサブキャリア毎の選択指標の平均処理において単純平均ではなく、重み付け平均を用いる形態をとっても本発明は適用できる。例えば、伝搬チャネル間の相関値はある値よりも低い領域においては相関値の増加に伴う受信側での信号の誤りの増加は緩やかな傾向を示すが、ある値よりも高い領域においては相関値の増加に伴う受信側での信号の誤りの増加は急な傾向を示す。それぞれの相関値の領域に所定の重みを設定し、相関値に応じて重み付けを行なった値をブロック内で平均してブロック選択指標として用いる形態をとることもできる。
また、例えば、ある変調方式、符号化率においてある誤り率を達成するための所要のSNR、SINRは所定の計算により求められる。通信状況の急激な変化、異常事態を想定しなければ、所用のSNR、SINRよりも高いSNR、SINRは冗長的なものとなる。平均処理において、冗長的なものが支配的となることを避けるため、選択指標に最大値を設けて、ブロック内で平均してブロック選択指標として用いる形態をとることもできる。
なお、上記の3通りの場合の説明においては、すべて3本の送信アンテナから2本の送信アンテナを選択する場合について示したが、送信アンテナが4本以上、また、選択するアンテナが3本以上である場合においても本発明は適用できる。
次に、第3の実施形態に係る無線通信機の動作についてフローチャートを参照して説明する。
図14は、第3の実施形態における第1の実施形態に係る送信アンテナの組み合わせを選択するフローチャートを示す。なお、同図に示すフローチャートにおいては、ブロック選択指標として、選択結果を合計した総数、または選択結果に応じて順位付けを行なったポイントを合計した総ポイントが用いられる。
先ず、無線送信機において無線受信機より通知された伝搬路応答情報からサブキャリア毎に選択指標を計算する(ステップQ1)。ここで、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップQ2)、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップQ1へ移行する。一方、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わった場合は、選択指標の比較を行ない、選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップQ3)。なお、選択指標として相関値を用いた場合、選択指標が最も小さい送信アンテナの組み合わせが最も良い送信アンテナの組み合わせであり、選択指標としてSNR、またはSINRを用いた場合、選択指標が最も大きい送信アンテナの組み合わせが最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する。ここで、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップQ4)、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップQ1へ移行する。
一方、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、送信アンテナの組み合わせ毎のブロック選択指標の計算を行ない(ステップQ5)、ブロック選択指標の比較を行ない、ブロック選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップQ6)。ここで、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップQ7)、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップQ5へ移行する。一方、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、各送信アンテナ系統にブロック毎のサブキャリアデータ割当てを行なう(ステップQ8)。
図15は、第3の実施形態における第2の実施形態に係る送信アンテナの組み合わせを選択するフローチャートを示す。なお、同図に示すフローチャートにおいては、ブロック選択指標として、選択指標の平均値、または合計値が用いられる。
先ず、無線送信機において無線受信機より通知された伝搬路応答情報からサブキャリア毎に選択指標を計算する(ステップR1)。ここで、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップR2)、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップR1へ移行する。一方、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わった場合は、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップR3)、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップR1へ移行する。
一方、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わった場合は、送信アンテナの組み合わせ毎のブロック選択指標の計算を行ない(ステップR4)、ブロック選択指標の比較を行ない、ブロック選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップR5)。ここで、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップR6)、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップR4へ移行する。一方、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、各送信アンテナ系統にブロック毎のサブキャリアデータ割当てを行なう(ステップR7)。
なお、ブロック選択指標を計算する際において、サブキャリア毎の選択指標に応じてサブキャリア毎に最も良い送信アンテナの組み合わせを判定してブロック選択指標として選択結果の総数を計算する処理を同時に行なう構成や、またはサブキャリア毎の選択指標に応じてサブキャリア毎に送信アンテナの組み合わせに順位付けを行なってブロック選択指標として総ポイントを計算する処理を同時に行なう構成としてもよい。
以上のように、第3の実施形態によれば、複数のサブキャリアをブロックにまとめて複数の送信アンテナを用いて通信を行なう場合の取りうる送信アンテナの組み合わせからブロック選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択するため、処理の軽減を図ることができる。また、第2の実施形態のように無線受信機で送信アンテナの組み合わせの選択処理をブロック毎に行なう場合、フィードバック情報量を少なくすることができ、オーバーヘッドを低減し、スループットを改善することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る無線送信機は、ブロック選択指標を閾値比較して、比較結果に応じてブロックサイズを変更して送信アンテナの組み合わせの選択を行なう。
図16は、第4の実施形態に係る無線送信機の構成を示す図である。第3の実施形態に係る無線送信機と異なる部分は、新たにブロックパラメータ検出部70が構成されているところである。ブロックパラメータ検出部70は、ブロック計算部60より入力されたブロック選択指標を閾値比較して、比較結果に応じてブロックサイズ変更制御信号をブロック計算部60、送信アンテナ割当て検出部23に出力する。ブロック計算部60は、ブロックパラメータ検出部70より入力されたブロックサイズ変更制御信号を基に、ブロックサイズを大きく変更するように通知された場合は、対象サブキャリア数を増やしたブロックでブロック選択指標を再度計算して出力し、ブロックサイズを小さく変更するように通知された場合は、対象サブキャリア数を減らしたブロックでブロック選択指標を再度計算して出力し、ブロックサイズを変更しないように通知された場合は、そのままのブロックでブロック選択指標の計算を続ける。
次に、第4の実施形態に係る無線通信機の動作についてフローチャートを参照して説明する。
図17は、第4の実施形態に係る無線通信機のブロックサイズを小さくする処理を設けた場合のフローチャートを示す。ここでは、ブロック選択指標としてサブキャリア毎に計算した選択指標の平均値を用いてブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する場合について説明する。
先ず、無線送信機において無線受信機より通知された伝搬路応答情報からサブキャリア毎に選択指標を計算する(ステップS1)。ここで、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップS2)、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップS1へ移行する。一方、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わった場合は、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップS3)、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップS1へ移行する。
一方、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わった場合は、送信アンテナの組み合わせ毎のブロック選択指標の計算を行なう(ステップS4)。ここで、ブロック選択指標が閾値Wよりも良いかどうかを判断し(ステップS5)、ブロック選択指標が閾値Wよりも良くない場合は、ブロックサイズを小さくし(ステップS6)、ステップS4へ移行し、最初のブロックからブロック選択指標の計算を再度開始する。一方、ブロック選択指標が閾値Wよりも良い場合は、ブロック選択指標の比較を行ない、ブロック選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップS7)。なお、ブロック選択指標が良いとは、選択指標として相関値を用いた場合は閾値Wよりも小さいことを示し、SNR、またはSINRを用いた場合は閾値Wよりも大きいことを示す。
ここで、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップS8)、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップS4へ移行する。一方、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、各送信アンテナ系統にブロック毎のサブキャリアデータ割当てを行なう(ステップS9)。
図18は、第4の実施形態に係る無線通信機のブロックサイズを大きくする処理を設けた場合のフローチャートを示す。ここでは、ブロック選択指標としてサブキャリア毎に計算した選択指標の平均値を用いてブロック毎に送信アンテナの組み合わせを選択する場合について説明する。
先ず、無線送信機において無線受信機より通知された伝搬路応答情報からサブキャリア毎に選択指標を計算する(ステップT1)。ここで、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップT2)、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップT1へ移行する。一方、すべての送信アンテナの組み合わせについて選択指標を計算し終わった場合は、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わったかどうかを判断し(ステップT3)、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わっていない場合は、ステップT1へ移行する。
一方、すべてのサブキャリアについて送信アンテナの組み合わせの選択指標を計算し終わった場合は、送信アンテナの組み合わせ毎のブロック選択指標の計算を行なう(ステップT4)。ここで、ブロック選択指標が閾値Yよりも悪いかどうかを判断し(ステップT5)、ブロック選択指標が閾値Yよりも悪くない場合は、ブロックサイズを大きくし(ステップT6)、ステップT4へ移行し、最初のブロックからブロック選択指標の計算を再度開始する。一方、ブロック選択指標が閾値Yよりも悪い場合は、ブロック選択指標の比較を行ない、ブロック選択指標が最も良い送信アンテナの組み合わせを選択する(ステップT7)。なお、ブロック選択指標が悪いとは、選択指標として相関値を用いた場合は閾値Yよりも大きいことを示し、SNR、またはSINRを用いた場合は閾値Yよりも小さいことを示す。
ここで、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わったかどうかを判断し(ステップT8)、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わっていない場合は、ステップT4へ移行する。一方、すべてのブロックについて送信アンテナの組み合わせを選択し終わった場合は、各送信アンテナ系統にブロック毎のサブキャリアデータ割当てを行なう(ステップT9)。
なお、ここではブロック選択指標として第3の実施形態で説明した選択指標の平均値のように選択指標を計算して用いる場合について説明したが、ブロック選択指標として第3の実施形態で説明した選択指標の結果を計算して用いる場合についても本発明は適用できる。図14のフローチャートに、ブロックサイズを小さくする処理を設ける場合には図17のフローチャートのステップS5とステップS6を拡張し、ブロックサイズを大きくする処理を設ける場合には図18のフローチャートのステップT5とステップT6を拡張することにより対応することができる。
また、ブロックサイズの最大値、最小値を予め設定してブロックサイズの変更を制御することもできる。
また、ブロック選択指標に応じてブロックサイズを変更するのではなく選択指標に応じてブロックサイズを変更する構成として本発明を適用することができる。図19は、第4の実施形態に係る無線送信機の選択指標に応じてブロックサイズを変更する場合の構成を示す図である。
ここでは、選択指標計算部22は、計算した選択指標をブロック計算部60と共にブロックパラメータ検出部70に出力する。ブロックパラメータ検出部70は、選択指標計算部22より入力された選択指標を基に閾値比較を行ない、ブロックサイズを制御して制御信号をブロック計算部60と送信アンテナ割当て検出部23に出力する。
また、ブロック選択指標に応じてブロックサイズを変更するのではなく、受信データの誤り頻度に応じてブロックサイズを変更する構成として本発明を適用することができる。図20は、第4の実施形態に係る無線送信機の受信データの誤り頻度に応じてブロックサイズを変更する場合の構成を示す図である。
ここでは、データの受信側の無線通信機より通知された受信データの誤り頻度情報を受信制御部から送信制御部21に受け渡し、送信制御部21がブロックパラメータ検出部70に出力する。ブロックパラメータ検出部70は、送信制御部21より入力された受信データの誤り頻度を基にブロックサイズを制御して制御信号をブロック計算部60と送信アンテナ割当て検出部23に出力する。ここでは、ブロックパラメータ検出部70は、受信データの誤り頻度が増加した場合にブロックサイズを小さくするように制御し、受信データの誤り頻度が減少した場合にブロックサイズを大きくするように制御する。
また、ブロックパラメータ検出部70は、ブロック選択指標、選択指標、受信データの誤り頻度をそれぞれ合わせてブロックサイズを変更する構成とすることもできる。
以上のように、第4の実施形態によれば、ブロック選択指標、または選択指標、または受信データの誤り頻度に応じてブロックサイズを変更するため、受信品質を維持しつつ、複雑さを抑えることができる。ブロックサイズを大きくすることによって、送信アンテナの組み合わせの選択処理の処理量を低減することができ、または受信側で送信アンテナの組み合わせの選択処理を行なう場合、フィードバック情報量を低減することができる。また、ブロックサイズを小さくすることによって、受信品質の劣化を低減できる。
なお、以上説明した選択指標の計算手法により、サブキャリア毎、または、複数サブキャリアのブロック毎に最適な送信アンテナの組み合わせを選択することができるが、その他の計算手法によって選択指標を計算し、本発明に適用することも可能である。
実施例1に係る無線通信機の概略構成を示すブロック図である。 実施例1に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。 (a)は、3つの送信アンテナを持つ無線送信機と3つの受信アンテナを持つ無線受信機とが形成する伝搬路応答を示す図である。(b)は、4つの送信アンテナを持つ無線送信機と4つの受信アンテナを持つ無線受信機とが形成する伝搬路応答を示す図である。 実施例1に係る無線受信機の概略構成を示すブロック図である。 (a)は、既知信号の構成であって送信アンテナ毎の系列が直交関係にある直交パイロット信号を示す図である。(b)は、時空間符号化の原理を用いた既知信号の構成を示す図である。(c)は、同一時刻に一つの送信アンテナからのみ既知信号を送信する場合の既知信号の構成を示す図である。 実施例1に係る無線送信機および無線受信機の動作を示すフローチャート図である。 実施例2に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。 実施例2に係る無線受信機の概略構成を示すブロック図である。 実施例3に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。 (a)は、ブロック選択指標を説明するための無線送信機の模式図である。(b)は、ブロック選択指標を説明するための無線送信機で1ブロックを構成するサブキャリアを示す図である。 ブロック選択指標を示す説明図である。 ブロック選択指標を示す説明図である。 ブロック選択指標を示す説明図である。 実施例3に係る無線送信機および無線受信機の動作を示すフローチャート図である。 実施例3に係る無線送信機および無線受信機の動作を示すフローチャート図である。 実施例4に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。 実施例4に係る無線送信機および無線受信機の動作を示すフローチャート図である。 実施例4に係る無線送信機および無線受信機の動作を示すフローチャート図である。 実施例4に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。 実施例4に係る無線送信機の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 無線通信機
2 送信部
3 受信部
4 送受制御部
5 共用器
6−1〜6−n アンテナ
7 送話器
8 受話器
9 表示器
10 ダイヤルキー
21 送信制御部
22 選択指標計算部
23 送信アンテナ割当て検出部
24 サブキャリアデータ割当て部
25 パイロット信号生成部
26−1〜26−N 変調部
27−1〜27−N 空間分割多重部
28−1〜28−N IFFT
29−1〜29−N 周波数変換器
Tx1〜TxN 送信アンテナ
Rx1〜RxM 受信アンテナ
41−1〜41−M 周波数変換器
42 シンボルタイミング再生部
43−1〜43−M FFT
44 伝搬路応答推定部
45 信号分離検出部
46−1〜46−M 復調部
47 受信制御部
50 選択指標計算部
51 送信アンテナ割当て検出部
60 ブロック計算部
70 ブロックパラメータ検出部

Claims (20)

  1. 無線信号を送信し得る複数の送信アンテナと、
    前記各送信アンテナと通信相手先の受信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を取得する取得部と、
    前記取得した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択制御部と、を備え、
    前記選択した送信アンテナの組み合わせを用いて無線信号を送信することを特徴とする無線送信機。
  2. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に基づいて、複数のサブキャリアを1つにまとめて構成されるブロック毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載の無線送信機。
  3. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いた計算結果に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項2記載の無線送信機。
  4. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値が最も低いと選択されたサブキャリアの総数に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項3記載の無線送信機。
  5. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて順位付けされた順位にポイントを設定し、順位毎のポイントを足し合わせた総ポイントに応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項3記載の無線送信機。
  6. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、前記送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を平均化した値を求め、当該平均化した値に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項3記載の無線送信機。
  7. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値を用いて、前記送信アンテナの組み合わせ毎にブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値を求め、当該重み付け平均化した値に応じてブロック毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択することを特徴とする請求項3記載の無線送信機。
  8. 前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴とする請求項6、または請求項7記載の無線送信機。
  9. 前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値が、予め定めた閾値よりも低い場合は1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を増加させることを特徴とする請求項8記載の無線送信機。
  10. 前記選択制御部は、前記ブロック内の選択指標値を平均化した値、または前記ブロック内の選択指標値を重み付け平均化した値が、予め定めた閾値よりも高い場合は1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を減少させることを特徴とする請求項8記載の無線送信機。
  11. 前記選択制御部は、1つのブロックを構成するサブキャリアの本数の上限値、または下限値を設定することを特徴とする請求項9、または請求項10記載の無線送信機。
  12. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴とする請求項2から請求項11のいずれかに記載の無線送信機。
  13. 前記選択制御部は、前記サブキャリア毎に算出した選択指標値と、予め定めた閾値とを比較し、この比較結果に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴とする請求項12記載の無線送信機。
  14. 前記選択制御部は、通信相手先から送信された信号の誤り頻度情報に応じて1つのブロックを構成するサブキャリアの本数を変更することを特徴とする請求項2から請求項13のいずれかに記載の無線送信機。
  15. 無線信号を送信し得る複数の送信アンテナと、
    前記各送信アンテナと通信相手先の受信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を取得する取得部と、
    前記取得した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値に基づいて、サブキャリア毎に前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択制御部と、を備え、
    前記選択した送信アンテナの組み合わせを用いて無線信号を送信することを特徴とする無線送信機。
  16. 無線信号を受信する複数の受信アンテナと、
    前記複数の受信アンテナで通信相手先から受信した既知信号に基づいて、前記各受信アンテナと通信相手先の送信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を生成する伝搬路応答情報生成部と、
    前記生成した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ間の相関を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値から前記通信相手先におけるサブキャリア毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成する選択情報生成部と、
    前記生成された選択情報を前記通信相手先へ通知する通知部と、を備えることを特徴とする無線受信機。
  17. 無線信号を受信する複数の受信アンテナと、
    前記複数の受信アンテナで通信相手先から受信した既知信号に基づいて、前記各受信アンテナと通信相手先の送信アンテナとで形成される伝搬路応答を示す伝搬路応答情報を生成する伝搬路応答情報生成部と、
    前記生成した伝搬路応答情報から前記送信アンテナ毎の信号対雑音比を表わす選択指標値をサブキャリア毎に算出し、この選択指標値から前記通信相手先におけるサブキャリア毎の前記送信アンテナの組み合わせを選択する選択情報を生成する選択情報生成部と、
    前記生成された選択情報を前記通信相手先へ通知する通知部と、を備えることを特徴とする無線受信機。
  18. 請求項1から請求項15のいずれかに記載の無線送信機を備えることを特徴とする基地局装置。
  19. 請求項16、または請求項17記載の無線受信機を備えることを特徴とする移動局装置。
  20. 請求項18記載の基地局装置と、請求項19記載の移動局装置と、から構成されることを特徴とする無線通信システム。

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