JP2008177938A - 無線アクセスシステム及び無線アクセスシステムにおける送信アンテナの決定方法 - Google Patents
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Abstract
マルチユーザMIMOシステムにおいて、複数の移動局の送信アンテナの中から基地局に送信するアンテナを決定する方法に関するものであり、移動局の数が増加しても決定に要する負荷が急激に増加することのない方法を提供する。
【解決手段】
ユーザデータの送信を希望する移動局の個々のアンテナから基地局の各アンテナに至るチャネル応答ベクトルを推定し、その中からノルムの最も大きなチャネル応答ベクトルを持つ移動局のアンテナを第1の送信アンテナとし、第2以降の送信アンテナは既に選択された送信アンテナに対する各チャネル応答ベクトルと全て直交する成分が最も大きなチャネル応答ベクトルを有する移動局のアンテナを送信アンテナとし、送信アンテナの総数が受信アンテナ数(基地局アンテナ数)以下の所定数順次選択する。
【選択図】 図3−1
Description
(i) 送信側でビームフォーミングを用いない方法
(ii) 送信側でビームフォーミングを行う方法
の2つに大別される。前者(i)の代表的なシステムの例として、送信側でチャネル行列の情報を用いずに空間分割多重(Space Division Multiplexing: SDM) を行うMIMO/SDMシステムがあり(非特許文献2)、後者(ii)の代表的なシステムの例として、送信側でチャネル行列の情報を用い、チャネル行列の特異値分解(Singular Value Decomposition: SVD)の結果より単一または複数の固有ベクトルビームを形成して通信を行うSVD-MIMOシステムが挙げられる(非特許文献3)。MIMO/SDMシステムは、送信機側でチャネル行列の情報を必要としないため、送信機側でチャネル行列の情報を必要とするSVD-MIMOシステムに比べて容易に実現できることから、最も有望なMIMO伝送を適用したシステムの一つといえる。
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また、簡略化のため、各移動局は全て「Nt」本のアンテナを有し、各移動局アンテナからの送信電力「Ps」は全て同じとし、セル間の干渉は考慮しないものとする。従って、移動局アンテナの総数はNu×Nt本となり、基地局はこのNu×Nt本の移動局アンテナから送信を実行する幾つかのアンテナを送信アンテナとして選択する。各移動局のアンテナから同一の搬送波周波数帯を用いて同時に送信された複数の信号は基地局のNr本のアンテナで受信される。従ってある移動局の1つの送信部から基地局のNr個の各受信部に到るチャネル応答ベクトルは、Nr×1次元のベクトルとなり、
で表す。
は基地局によって送信アンテナとして選択された移動局アンテナに対する各々のチャネル応答ベクトルである。
各移動局(j=1〜Nu)の送信部(125-j-1〜125-j-Nt)は、基地局が各移動局アンテナから送信アンテナを決定するため、また基地局で各移動局からの信号を正しく受信するための上りリンクのチャネル推定用の信号として、パイロット信号(上り個別パイロット信号)を送受共用器(126-j-1〜126-j-Nt)および移動局アンテナ(110-j-1〜110-j-Nt)を介して送信する。なお、各移動局の各送受共用器(126-j-1〜126-j-Nt)は各送信部(125-j-1〜125-j-Nt)からの送信信号が各移動局アンテナ(110-j-1〜110-j-Nt)からの受信信号が各移動局の受信側へ回り込まないようにするためのものである。
また、各移動局は送信アンテナ選択およびSerial/Parallel変換部(122-j)により、基地局からの制御により各移動局に割当てられた送信アンテナ数に応じてユーザデータの系列を分割し、分割されたユーザデータをそれぞれ送信部(125-j-1〜125-j-Nt)のうち割当てられた送信アンテナから、対応する送信部、送受共用器を介して、上り個別パイロット信号と多重し送信する。各移動局の制御信号受信部(124-j)は、基地局から送信された制御信号を受信する。
基地局から送信された制御信号には、後述する基地局側における送信アンテナ決定部(137)で決定した送信アンテナの割当て結果に関する情報が含まれている。さらに各移動局の制御信号受信部(124-j)は、送信アンテナの割当て結果の情報を送信アンテナ選択およびSerial/Parallel変換部(122-j)へ伝達する。送信アンテナが割当てられている時の移動局は、送信アンテナ選択およびSerial/Parallel変換部(122-j)において、制御信号受信部(124-j)から得られた送信アンテナの割当て結果の情報と各移動局に割当てられた送信アンテナ数とに応じてユーザデータの系列を分割し、分割されたユーザデータをそれぞれ送信部(125-j-1〜125-j-Nt)のうち割当てられた送信アンテナから、対応する送信部、送受共用器を介して、上り個別パイロット信号と多重し送信する。
なお、基地局の送受共用器(132-1〜132-Nr)は送信部(133-1〜133-Nr)からの送信信号が基地局アンテナ(131-1〜131-Nr)からの受信信号が基地局の受信側へ回り込まないようにするためのものである。各移動局からの信号は、基地局アンテナ(131-1〜131-Nr)および送受共用器(132-1〜132-Nr)を介し、受信部(134-1〜134-Nr)にて受信される。受信部(134-1〜134-Nr)は上りリンクのパイロット信号(上り個別パイロット信号)区間の受信信号をチャネル推定部(135)へ渡し、ユーザデータ区間の信号をデータ信号分離検出部(139)へ渡す。
チャネル推定部(135)は、各移動局の上り個別パイロット信号区間の受信信号を用いて、移動局アンテナの送信部(125-j-1〜125-j-Nt)から基地局の受信部(134-1〜134-Nr)へ至るチャネル応答ベクトルをそれぞれ推定し、その結果を送信アンテナ決定部(137)およびチャネル行列生成部(138)へ渡す。送信アンテナ決定部(137)は、その推定されたチャネル応答ベクトルから送信アンテナを決定し、その結果に関する情報を制御信号生成部(133)およびチャネル行列生成部(138)へ渡す。
チャネル行列生成部(138)は、チャネル推定部(135)で推定された各チャネル応答ベクトルのうち送信アンテナ決定部(137)で決定された各移動局アンテナに対するチャネル応答ベクトルを成分とするチャネル行列を生成し、チャネル行列の情報をデータ信号分離検出部(139)へ渡す。
データ信号分離検出部(139)は、受信部(134-1〜134-Nr)より取得したユーザデータ区間の信号からチャネル行列生成部(138)より得られたチャネル行列に基づき各ユーザデータを分離検出することにより、受信データを得る。
動作フローを示す図1−3を参照して説明する。
このようなパイロット信号の送信方法として、
(1)時分割多元接続(TDMA)方式の技術を応用し、各移動局アンテナに対応する上り共通パイロット信号を送信するタイミングを基地局側で制御し、そのタイミングを各移動局アンテナ間で互いにずらす方法、
(2)別のパイロット信号の送信方法として、符号分割多元接続(CDMA)方式の技術を応用し、各移動局および各アンテナ単位で固有の拡散符号を用いる方法等が考えられる。
前者の(1)の方法は、移動局の数が多い場合、基地局で上り共通パイロット信号の送信タイミング制御の負荷が大きくなる問題があるが、各アンテナに対する上り共通パイロット信号が同時に送信されないよう制御されるため、各移動局アンテナに対するチャネル応答ベクトルの推定精度は高い。
一方、(2)の方法は、各移動局アンテナに対するチャネル応答ベクトルの推定精度は(1)よりやや劣るが、仮に複数移動局がパイロット信号を同時に送信されたとしても他ユーザの上り共通パイロット信号を拡散符号による処理利得により抑圧し、その混信の影響を軽減することができ、基地局における上り共通パイロット信号の送信タイミング制御の負荷が非常に小さくなるという利点がある。
と表す。ただし、aj,iはj番目の移動局アンテナの送信部に対するi番目の基地局アンテナの受信部へ至る伝搬路応答(チャネル応答)を表し、(・)Tは行列またはベクトルの転置を表す。
即ち、6本の移動局アンテナを全て送信アンテナとして用いると、受信側における信号分離検出品質が劣化するため、良好な受信品質を得るために適した送信アンテナをM本(ここでは4本)選択する。図2−2は、アンテナ(111-2)、アンテナ(111-3)、アンテナ(111-4)、およびアンテナ(111-6)を送信アンテナとして選択した例である。この選択により、移動局と基地局間のチャネル行列は図2−2(b)に示されるように4×4の正方行列となる。
ステップ156: 送信アンテナとして選択された4本の移動局アンテナから同じ搬送波周波数帯を用いて同時に送信された信号は基地局の4本のアンテナにより受信される。
データ信号分離検出部(139)は、公知のMIMOの信号分離技術を利用し、送信アンテナ決定部(137)とチャネル行列生成部(138)が生成した4×4のチャネル行列を用いて4本のアンテナにより受信され4つの信号を分離し各送信アンテナが送信した信号を検知する。本発明では最尤判定 (Maximum Likelihood Detection: MLD)法 (非特許文献2)による信号分離検出を前提としたシステム容量を用いることを前提としている。したがって、受信側における信号分離検出法として、MLD法またはQRM-MLD法のようにMLD法からの性能特性を抑えつつ計算コストの低減を図った方法(非特許文献11)を用いることが望ましい。
ところで、伝搬路変動が発生している環境では、制御遅延による送信アンテナ決定時のチャネル行列と実際のデータ受信時におけるチャネル行列のミスマッチによる伝送特性の劣化が問題となる。従って、信号分離検出を行う際にはこの劣化の影響を軽減する必要がある。そのためには、それぞれの送信アンテナに対応する上り個別パイロット信号を各送信データと多重して再送信し、再送信されたパイロット信号区間の受信信号を用いて推定した各送信アンテナの送信部から基地局の各受信部へ至るチャネル応答ベクトルによって再構成されたチャネル行列を信号分離検出の際用いることが望ましい。
は送信アンテナの組合せ候補番号kにおけるm番目の送信アンテナのチャネル応答ベクトル
を各列の成分とするNr×M行列を表し、
は行列
のm番目の固有値を表す。
は次式で与えられる。
を仮定すると次式が得られる。
に対するQR分解を適用し、
を満たすNr×M次元の行列
、M×M次元の上三角行列
を用いて、
と表すことができ(非特許文献12乃至非特許文献14)、これを式(8)に適用すると次式が得られる。
は次式のような形式で表すことができ、
は実数となる。
式(10)を式(8)に適用すると、次式が得られる。
の対角要素
の各絶対値がそれぞれ大きくなるような移動局アンテナの組合せを送信アンテナの組合せとして選択することにより、システム容量を大きくできることがわかる。
以下の実施例はグラム・シュミットの直交化法に基づき、Nu×Nt本のアンテナから送信を行うM本のアンテナを選択するものである。図3−1を参照して、本実施例の方法を説明する。
のノルム
を計算する。
が最も大きいチャネル応答ベクトルのアンテナを第1の送信アンテナとする。
この第1の送信アンテナのインデックスを「i1」とし(式(13))、そのチャネル応答ベクトル
を
とする(式14)。すなわち、
を計算するために必要な繰返し回数
は
回となる。
i番目の移動局アンテナのチャネル応答ベクトルのうち、第1の送信アンテナのチャネル応答ベクトルに対する直交成分の大きさ
は
は グラム・シュミットの直交化アルゴリズムを用い、
はベクトル
をそのノルムにより正規化したものであり、式(15)を用いて下記の式で表される。
は、i番目の移動局アンテナのチャネル応答ベクトル
が持つ第1の送信アンテナのチャネル応答ベクトルに直交する成分の大きさを示す値であり、式(18)に示すように
のQR分解の結果から計算することができる。
i1を除く全ての
について算出された
が最も大きいアンテナを第2の送信アンテナとする。選定された送信アンテナのインデックスを「i2」とし(式(19))、そのチャネル応答ベクトル
を
とする(式(20))。
を求めるための繰返し回数
はNuNt−1回である。
に対して、第1から第m-1の送信アンテナのチャネル応答ベクトル全てに直交する成分の大きさ
をそれぞれ算出する。そして、
の値が最も大きくなるアンテナを第mの送信アンテナとする。第mの送信アンテナのインデックスを「im」とし、そのチャネル応答ベクトル
を
とする。
はグラム・シュミットの直交化アルゴリズムに基づき、下記の式(23)により決定される。
のQR分解の形式で表すことができる。
を求めるための繰返し回数
はNuNt−(m−1)回である
は、
の、第1から第m-1の送信アンテナのチャネル応答ベクトルに直交する成分の大きさを表す値であり、グラム・シュミットの直交法により計算される。
ステップ304:ステップ303の処理を第Mステップまで繰り返し、最終的にM本のアンテナが送信アンテナとして選択され、式(2)のチャネル行列
が決定される。
式(18)や式(24)からわかるように、この方法では、第m (m = 1、・・・、M) の送信アンテナを決定するための指標である
の絶対値
を求める際、各チャネル応答ベクトルによって構成される行列
のQR分解によっても
を求めることができる。
QR分解を行う手法には
(1) グラム・シュミットの直交化法に基づくQR分解、
(2) 修正グラム・シュミットの直交化法に基づくQR分解、
(3)ギブンズ(Givens)変換に基づくQR分解、
(4)ハウスホルダー(Householder)変換に基づくQR分解、
等、数多くのアルゴリズムが存在する。本発明は上記の方法を含む何れのQR分解を用いた実施も可能である。しかし、送信アンテナの候補となる移動局アンテナの組合せの候補に対して、異なる行列
を構成する必要があるため、行列
のQR分解そのものを直接繰り返し計算する場合、その行列
の最終列を除いて全て同じ成分を持つ行列のQR分解が各各iについて繰り返し行われることになり、結果として重複した計算を数多く含むため、非常に効率が悪い。従って、上記の実施例ではこのような重複した計算が発生しないよう考慮されている。
また、上記の実施例ではユーザデータの送信を希望する各移動局が全て複数のアンテナを持つことを前提としているが、これらの移動局の中に単一のアンテナを持つ移動局が存在する場合でも同様の手順により、効率的かつ高い伝送特性が得られる移動局アンテナを送信アンテナを選択することができる。
[全探索法による送信アンテナ選択法]
前述のように最大のシステム容量を実現する最適な送信アンテナの組合せkoptは全探索法に基づき特定することができる。全探索法では、確実に最適な送信アンテナの組合せを見つけることができる。しかし、基地局は移動局アンテナが取り得るNall通りの全ての組合せに対してシステム容量を計算しなければならない。送信アンテナの組合せに対する全ての候補数Nallは式(7)で表されるように移動局が多くなるに従い、ほぼ指数関数的に増加する。これは、「全探索法」を実行するには極めて大きな計算量が要求されることを意味する。例えば、Nr、Nt、Mが全て4でありNuが8の場合、Nallは35960であり、Nuが16の場合、Nallは635376となる。したがって、携帯電話システムのように同時に通信する移動局数が大きくなることが想定されるシステムにマルチユーザMIMOを適用する場合、「全探索法」を適用することは非現実的である。
前述のように計算量が少なく実現が容易な送信アンテナ選択法として、受信電力に基づいて送信アンテナを選択する受信電力規範選択法が考えられる。
この方法は全てのチャネル応答ベクトルのノルム
を計算し、
の降順でM本の移動局のアンテナを選択する。
ここで、Nr次元ベクトル
は移動局アンテナ(i=1,2,・・・,Nu×Nt)から基地局のアンテナに到るチャネル応答ベクトルであり、各チャネル応答ベクトルの二乗ノルム
は、送信電力を1とした時の受信電力である。
「受信電力規範選択法」は非常に簡易であり、かつ計算量も非常に少ない。しかし、移動局の各アンテナ間で発生する瞬時的な相関を考慮していないため、システム容量を平均的に大きくすることは不可能であり、高い伝送品質を確保することが困難である。
図4に評価のためのシミュレーションのパラメータが示されている。
各移動局は4本のアンテナを有し(Nt=4)、基地局も4個のアンテナを有しており(Nr=4)、移動局の数はNuとする。
基地局は移動局のアンテナからM本(min(Nr, NuNt)本) を送信アンテナとして選択する。これは、送信アンテナの数Mを基地局のアンテナ数「Nr」と移動局のアンテナの総数「Nu×Nt」の小さい方に制限されることを意味し、この例では4本となる。
ここでは、狭帯域のシングルキャリア変調、OFDMの1つのサブキャリアに着目した場合を想定し、伝搬路は周波数選択性フェージングが無視できるものとする。全てのユーザチャネルは準静的レイリーフェージングチャネルであり、平均電力は等しく、相互に完全に独立して変動するi.i.d.(independent and identically distributed) チャネルを仮定する。
移動局は基地局が選択した送信アンテナを介して16QAMで変調されたデータを送信する。CDMA方式と同様上りリンクにおける遠近問題を解消するため、移動局の各送信部から基地局の各受信部までのアンテナまでの各受信器までの平均受信電力が一定となるように送信電力を制御するものとする。ここでは評価を簡素化するため、移動局アンテナ毎の送信電力制御により、平均受信SNR (Signal-to-Noise-power- Ratio)は全て同じと仮定する。
また、移動局の送信タイミングの制御は基地局によって完全に行われ、基地局側のMIMO受信機によるチャネル行列の推定は完全に行われていると仮定する。基地局は選択された送信アンテナから送信された信号をQRM-MLD法の改良アルゴリズムであるMMSE based QRM-MLD法(非特許文献11)により検出する。
QRM-MLDアルゴリズムは、MLD法 (非特許文献2)に比べ計算量を大きく削減しつつMLD法とほとんど変わらない伝送特性を得ることが可能な優れた信号分離技術の一つである(非特許文献11)。
MMSE based QRM-MLDアルゴリズムは、従来のQRM-MLDアルゴリズムと同様に、MIMOチャネル行列のQR分解(非特許文献12)によりMLDの同時推定問題を送信アンテナ数分の信号検出ステージからなる木構造の階層化問題に置き換え、その木構造を考慮し、Mアルゴリズムにより信頼度の低い送信シンボルの候補を各信号検出ステージにおいて捨てていくことで、理想的なMLDの計算量を大きく削減する信号分離技術である。
さらに、MMSE basedQRM-MLDアルゴリズムでは、MIMOチャネル行列をそのままQR分解するのではなく、Square-Root BLSASTアルゴリズムと同様、単位行列による行列拡張を行ったMIMOチャネル行列に対しQR分解を適用することで各ステージにおける誤り伝搬の影響を抑え、従来のQRM-MLDアルゴリズムに対して更なる特性改善を図っている。なお、MMSE based QRM-MLDアルゴリズムでは、各信号検出ステージにおける生き残りシンボルレプリカ候補数Sn (n=1,2,・・・M-1)をパラメータとして設定する必要があるが(非特許文献12)、ここでの評価ではSnの値を全て8 (S1=S2=・・・=SM-1=8)とする。
図5−1はシステム容量の累積確率を示すものであり、平均受信SNRは20dBとしている。図5−1(a)の実線は「受信電力規範選択法」(図5−1及び図5−2では電力選択と記載)によるものであり、点線は「全探索法」(図5−1及び図5−2では完全選択と記載)によるものである。図5−1(b)の実線は「本方法」によるものであり、点線は「全探索法」によるものである。Nu=1はシングルユーザの場合を示している。
図5−1(a)から、Nu が2、4、8、16の場合、「受信電力規範選択法」のシステム容量は「全探索法」に比較して、累積確率で約3.2、5、5.5、6(10-2)[bits/s/Hz]劣化することが解る。これらの結果から、「受信電力規範選択法」はマルチユーザの環境で「全探索法」よりはるかに小さなシステム容量しか得られないことが解る。
また、図5−1(b)から、「全探索法」に比較して「本方法」のシステム容量の劣化は非常に小さいことが解る。例えば、累積確率における劣化は、Nu が2、4、8、16の場合で、約0.1、0.2、0.2、0.3(10-2)[bits/s/Hz]にすぎず、「本方法」と「全探索法」はほぼ同じシステム容量が得られることが解る。
図5−2は「「受信電力規範選択法」、「本方法」、「全探索法」の性能を平均ビット誤り率(BER)で示したものである。図5−2(a)の実線(Algorithm I)は「受信電力規範選択法」における特性を示し、点線は「全探索法」における特性を示す。図5−2(b)の実線(Algorithm II)は「本方法」における特性を示し、点線は「全探索法」における特性を示す。Nu=1はシングルユーザMIMO/SDMシステムにおける特性を示している。ここでは評価の一例として、平均BER 10-3を達成するために必要な平均受信SNR (所要平均受信SNR)を評価する。
図5−2(a)から、「受信電力規範選択法」における所要平均受信SNRは、Nu が2、4、8、16の場合で、「全探索法」に比較して各々約2dB、2.5dB、3dB、4dB劣化し、「受信電力規範選択法」はマルチユーザ環境で「全探索法」よりBER特性が大きく劣化することが解る。
図5−2(b)から、「本方法」における所要平均受信SNRは、Nuが2、4、8、16の場合で、「全探索法」に比較して各々約0.1dB、0.1dB、0.2dB、0.2 dB劣化するのみであり、「本方法」は「全探索法」とほぼ同じBER特性を達成し得ることが解る。
送信アンテナ選択に際して必要とする計算量はシステムの実装上の観点から重要な要素の一つとなる。
以下で、評価を単純化するため加算や比較等の比較的軽い処理の演算に関する回数は考慮せず、実数乗除算の回数の合計について評価する。なお、行列やベクトルに対する計算処理(例えば、行列やベクトルの積、行列式、グラム・シュミットの直交化等)における実数乗除算回数については非特許文献12乃至非特許文献14を参照して評価した。
図5−3は各送信アンテナの選択方法が必要とする実数の乗除算の数を示している。
しかし、図5−1と図5−2に示されるように、「受信電力規範選択法」は「本方法」と「全探索法」に対して、システム容量が小さく、伝送特性も劣化するため、「受信電力規範選択法」はマルチユーザMIMOシステムの上りリンクにおける送信アンテナ選択法として有効でない。
また、「本方法」では、理想的な「全探索法」に対し計算量を大きく削減しつつ、ほぼ同じ伝送特性を確保することが可能である。例えば、10ユーザ(移動局)の場合、「本方法」の実数乗除算回数は、は「全探索法」と比較して約3000分の1に抑えられる。
Claims (8)
- 単数又は複数のアンテナを有する複数の移動局から複数のアンテナを有する基地局に同一の搬送波周波数帯を用いて同時にデータを送信する空間多重伝送に基づくマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステムにおいてデータの送信に用いる移動局のアンテナを決定する方法であって、
移動局の有する単数又は複数の各アンテナから基地局が有する複数のアンテナに対する各チャネル応答ベクトルをそれぞれ推定し、
チャネル応答ベクトル間の直交成分を取得し、
取得された前記直交成分の大きさに基づいて送信に用いる移動局のアンテナを選択する送信アンテナの決定方法。 - 請求項1記載の送信アンテナの決定方法であって、
基地局のアンテナ数と移動局のアンテナの総数のうち、小さい数を送信アンテナの数とする送信アンテナの決定方法。 - 請求項1または請求項2記載の送信アンテナの決定方法であって、
移動局の有する単数又は複数の各アンテナから基地局が有する複数のアンテナに対する各チャネル応答ベクトルの内から最も大きなノルムを有する移動局のアンテナを第1の送信アンテナとし、
第2のアンテナ以降の送信アンテナは、送信アンテナとして既に選択された移動局のアンテナから基地局のアンテナに対する各チャネル応答ベクトルと全て直交する成分が最も大きなチャネル応答ベクトルを有する移動局のアンテナを順次送信アンテナとして選択する送信アンテナの決定方法。 - 移動局の各アンテナから基地局が有する複数のアンテナに対するチャネル応答ベクトルを推定するためのパイロット信号を基地局に送信するステップと、
基地局は基地局が有する複数のアンテナにより受信した各移動局が送信したパイロット信号区間の信号に基づき、移動局のアンテナから基地局のアンテナ間に対する各チャネル応答ベクトルを推定するステップと、
前記チャネル応答ベクトルの内から最も大きなノルムを有するユーザ装置のアンテナを第1の送信アンテナとして選択するステップと、
第2のアンテナ以降の送信アンテナは、送信アンテナとして既に選定された移動局のアンテナから、基地局のアンテナに対するチャネル応答ベクトルと全て直交する成分が最も大きなチャネル応答ベクトルを有する移動局のアンテナを送信アンテナとして選択する処理を所定回繰り返すステップと、
送信アンテナとして選択された移動局のアンテナのチャネル応答ベクトルからチャネル行列を作成するステップと、
送信アンテナとして選択されたアンテナを有する移動局に送信を指示するステップと、
送信を指示された移動局が基地局にデータを送信するステップと、
基地局は基地局が有する複数のアンテナにより受信された信号と前記チャネル行列を用いて移動局から送信された信号を分離し検出するステップからなる空間多重伝送に基づくマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステムの通信方法。 - 単数又は複数のアンテナを有する複数の移動局から複数のアンテナを有する基地局に同一の搬送波周波数帯を用いて同時にデータを送信する空間多重伝送に基づくマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステムであって、
前記複数の移動局は基地局の各アンテナに対してパイロット信号を送信する手段と、
基地局のデータ送信指示により指定されたアンテナを介してデータを送信する手段を有し、
前記基地局は前記複数の移動局から送信されたパイロット信号区間の信号を前記複数のアンテナにより受信し、各移動局の各アンテナから基地局が有する複数のアンテナに対するチャネル応答ベクトルを個別に推定するチャネル応答ベクトル推定手段と、
前記チャネル応答ベクトル間の直交成分を取得する直交成分取得手段と、
取得された前記直交成分の大きさに基づいて送信アンテナを選択する送信アンテナの決定手段と
からなることを特徴とするマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステム。 - 前記送信アンテナを有する移動局に対し、下りリンクの制御チャネルを用いて送信アンテナの選択結果を通知すると共にデータ送信指示を行うデータ送信指示手段を有する請求項5記載の無線アクセスシステム。
- 請求項5記載のマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステムであって、
基地局のアンテナ数と移動局のアンテナの総数のうち、小さい数を送信アンテナの数とすることを特徴とするマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステム。 - 請求項5または請求項7記載のマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステムであって、
前記送信アンテナの決定手段は、
移動局のアンテナから基地局のアンテナに対するチャネル応答ベクトルの内から最も大きなノルムを有する移動局のアンテナを第1の送信アンテナとし、
第2のアンテナ以降の送信アンテナは、送信アンテナとして既に選択された移動局のアンテナから、基地局のアンテナに対するチャネル応答ベクトルと全て直交する成分ガ最も大きなチャネル応答ベクトルを有する移動局のアンテナを送信アンテナとして順次選択することを特徴とするマルチユーザMIMOを用いた無線アクセスシステム。
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