JP5262332B2 - 無線通信システム、基地局装置、及び無線端末装置 - Google Patents
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Description
非特許文献1には、ランダムビームフォーミングに関し、次のように記載されている。
「ランダムユニタリビームフォーミングでは、ストリームごとにランダムにビームを張った際に、いくつかの端末(MS:Mobile Station)はそのビームに対して高いスループットを達成できるという性質(マルチユーザダイバシチ)を用いる。ランダムビームフォーミングでは、まず基地局(BS:Base Station)はユニタリなプリコーディング行列(ランダムビームフォーミング行列)をすべてのMSに送信する。次に、各MSは各ストリームに対して信号電力対干渉雑音電力費(SINR)を計算する。最後に、各MSはBSに最大SINRとそのストリームインデックスをフィードバックする。BSは各ストリームに対して最大のSINRを持つMSを割り当てる。この方法を用いることにより、ランダムビームフォーミングは、少ないフィードバック情報量で、高いスループットを達成することができる。」
土谷裕樹他、"ランダムユニタリビームフォーミング方式における電力割り当てを用いたスケジューリング法"、電子情報通信学会技術研究報告RCS2006−18(2006−5)Vol.106,No.43(20060511)、社団法人電子情報通信学会、pp.1−6
例えば、図8に示すように、アンテナ数M=2である基地局(BS)100と、それぞれ1本のアンテナを有する2台のユーザ端末(MS)201,202があったとする。
さらに、各ユーザ端末201,202は、HkUmに基づいて、送信サブストリームmごとの信号電力対干渉雑音電力比SINRk,mを算出する。
また、第2のユーザ端末202(k=2)における第1サブストリーム(m=1)のSINR2,1は、0となり、第2サブストリーム(m=2)のSINR2,2は、4Ps/Pzとなる。
これにより、基地局100は、第1ユーザ端末201用のユーザデータは、送信サブストリームs1として送信し、第2ユーザ端末202用のユーザデータは、送信サブストリームs2として送信する。
このように、ビームフォーミング行列が一つだけの場合、通信が不可能な端末が現れる。
各送信サブストリームs1(jω)〜sM(jω)に対応するランダムビームフォーミングベクトルu1(jω)〜uM(jω)を用いて、
任意の周波数ωについて
各送信サブストリームs1(jω)〜sM(jω)に対応するランダムビームフォーミングベクトルu1(jω)〜uM(jω)を用いて、
任意の周波数ωについて
基地局装置のM個のアンテナ素子における各送信サブストリームのウェイトベクトルu’1(jω)〜u’M(jω)を用いて、
任意の周波数ωについて
前記処理部は、時間領域における遅延処理、並びに時間領域における加算処理によって、前記ランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行うのが好ましい。この場合、送信ビームフォーミングを容易に行える。
図1は、基地局装置2と無線端末装置31,32,33とを有する無線通信システム1を示している。基地局装置2は、複数(2本)の(送信)アンテナ素子2a,2bを有している。また、ユーザ側の無線端末装置31,32,33は、それぞれ、単一の(受信)アンテナ素子31a,32a,33aを有している。つまり、本システムは、マルチユーザMIMOシステムとして構成されている。
なお、無線端末装置31,32,33は、複数のアンテナ素子を有していても良い。
OFDMは、複数の搬送波(サブキャリア)を周波数軸上に多数配置するとともに、複数の搬送波を一部重ならせて周波数利用効率を上げたものである。つまり、本システムでは、複数の周波数によって通信が行われる。
データサブキャリアは、データや制御用メッセージを送信するためのサブキャリアであある。パイロットサブキャリアは、受信側及び送信側で既知の信号(パイロット信号)であり、受信側において伝送路特性の推定等に用いられる。
前記マップ処理部21は、送信シンボルをOFDMにおける周波数軸上の各サブキャリア(データサブキャリア)に割り当てる処理を行う。また、前記マップ処理部21では、空間割り当ても行われ、送信シンボル(送信信号)が多重化(空間多重化度:M)される。なお、ここでは、M=2である。
また、マップ処理部21における処理は、周波数領域で行われる。
時間領域の信号となった空間多重化送信信号は、送信ビーム形成部23によってランダムビームフォーミング(ランダムユニタリビームフォーミング)処理がなされ、送信アンテナ素子2a,2bの数Mに応じた数の送信信号(送信ビーム)x1,・・・,xMが生成される。
本実施形態において、ランダムビームフォーミング行列U(jω)は、周波数の関数行列として構成されている。つまり、本実施形態のランダムビームフォーミング行列U(jω)は、次のように表される。なお、ωは角周波数であり、ω=2πf(fは周波数)であるが、以下では、ωを単に「周波数」という。
ランダムビームフォーミング処理は、周波数領域で考えた場合、U(jω)S(jω)を算出する演算であり、送信信号S(jω)に対し、周波数の関数行列であるランダムビームフォーミング行列U(jω)を掛ける演算となり、複雑な演算となる。
図4は、M=2である場合の上記ランダムユニタリビームフォーミング行列に対応する送信ビーム形成部23を示している。
また、送信ビーム形成部23をデジタル回路で構成すると、遅延処理部41による遅延量を変更することが容易に行える。しかも、遅延時間を大きくすることで、周波数方向の送信ビームの変化量を大きくすることができる。
行列U(jω)(ユニタリ行列)は、周波数の関数であればよいが、下記条件1〜3のいずれか一つ又は複数、好ましくは全てを満たすのが良い。
(条件1)
条件1は、行列サイズM×Mの送信ビーム行列U(jω)を、下記のように、送信サブストリームs1(jω),・・・,sM(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω),・・・uM(jω)で表したときに、
条件2は、行列サイズM×Mの送信ビーム行列U(jω)を、上記のように、送信サブストリームs1(jω),・・・,sM(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω),・・・uM(jω)で表したときに、下記式が成り立つことである。
条件3は、行列サイズM×Mの送信ビーム行列U(jω)を、下記のように、M個の送信アンテナ素子における送信サブストリームx1(jω),・・・,sM(jω)のウェイトベクトルu’1(jω),・・・u’M(jω)で表したときに、
そして、各送信信号x1,・・・,xMは、D/A変換部25a,25bによってアナログ信号に変換された上で、M個のアンテナ素子2a,2bから送信される。
ここで、第1の端末装置31と基地局装置2との間の伝送路応答をH1、第2の端末装置32と基地局装置との間の伝送路応答をH2、第k番目の端末装置33と基地局装置3との間の伝送路応答をHkとする。これらの伝送路応答は、(行列サイズ1×Mの行列によって表され、端末装置31,32,33において既知であるとする。
図5は、ランダムビームフォーミング(ランダムユニタリビームフォーミング)によって、送信ストリーム等を各端末装置31,32,33に割り当てるための手順を示している。
まず、基地局装置20は、ランダムビームフォーミング行列U(jω)を全端末装置31,32,33へ通知する(ステップS1)。この通知は、通信開始時に行ったり、データ送信の直前に行ったりすることができる。ここでは、前述の2×2のユニタリ行列が通知されたものとする。なお、各端末装置31,32,33は、基地局装置20において使用されるランダムビームフォーミング行列U(jω)を予め保有していてもよい。この場合、ステップS1の通知は不要となる。
また、Hk(jω)Um(jω)は、端末装置31,32,33からみた伝送路周波数応答である。このHk(jω)Um(jω)は、既知である実際の伝送路応答Hk(jω)と通知を受けたUm(jω)とから求めることができる。
なお、Psは、送信信号電力であり、Pzは雑音電力である。
以上の処理(ステップS3)によって、それぞれ送信サブストリームs1,s2について、各周波数(サブキャリア)のSINRを算出することができる。
なお、SINRの算出対象となる周波数は、通信に用いられる全周波数(全サブキャリア)である必要はなく、代表的な一部の周波数であってもよい。例えば、WiMAXの上りPUSCであれば、1タイル単位(4サブキャリア分)でSINRを算出してもよい。
上記のようなSINRの場合、第1の端末装置31では、第1サブストリーム(m=1;s1)の周波数ω=π/2において、SINRが最大となる(SINR1,1(jπ/2)=8Ps/Pz)。
第2の端末装置32では、第2サブストリーム(m=2;s2)の周波数ω=π/2において、SINRが最大となる(SINR2,2(jπ/2)=8Ps/Pz)。
第3の端末装置33では、第1サブストリーム(m=1;s1)の周波数ω=0において、SINRが最大となる(SINR3,1(j0)=16Ps/Pz)。
なお、上記において、周波数ωは、通信に用いられる全周波数帯域を0〜2πで表したときの値である。
つまり、第1端末装置31は、送信サブストリームの候補のインデックスとしてm=1を通知し、周波数ω=π/2を示す情報を通知する。また、第2端末装置32は、送信サブストリームの候補のインデックスとしてm=2を通知し、周波数ω=π/2を示す情報を通知する。第3端末装置33は、送信サブストリームの候補のインデックスとしてm=1を通知し、周波数ω=0を示す情報を通知する。
また、端末装置31,32,33から基地局装置2への通知には、サブストリーム候補のインデックス及び周波数のインデックスとともに、対応するSINRの値を含めるのが好ましい。この場合、端末装置間で、サブストリーム候補のインデックス及び周波数のインデックスが競合したときに、より大きなSINRの候補に対して割り当てを行うことができる。
さらに、サブストリーム候補のインデックス及び周波数のインデックスは、SINRが最大となるもの一つだけが基地局装置2に通知されるのではなく、複数のサブストリーム候補のインデックス及び周波数のインデックスが通知されてもよい。この場合、SINRの大きさに基づいて、サブストリームの割り当てと周波数の割り当てをより適切に行うことができる。
このように、本実施形態では、単一のランダムビームフォーミング行列U(jω)を用いても、当該行列が周波数ωの関数であるため、周波数によって送信ビームが異なるように形成される。したがって、端末装置31,32,33からみた伝送路周波数応答U(jω)H(jω)が周波数によって異なるものとなり、SINRの大きさも周波数によって異なるものとなる。
この結果、周波数によっては、干渉無く通信可能なチャネルが存在する可能性が高くなり、各端末装置に対して通信可能なチャネル割り当て(周波数割り当て)が可能となる。すなわち、本実施形態では、周波数によって、空間チャネルが十分にランダム化されている。
さて、前記遅延処理部41による遅延処理は、信号を遅延量Tに応じて時間的に遅らせばよいため、遅延処理部41は、遅延量Tほど信号の出力を遅らせるバッファによって構成できる。
ただし、図7(b)のような遅延の場合、データシンボルの送信開始タイミングが、t1からTほど遅れてしまい、データシンボルの送信終了タイミングも、t2からTほど遅れてしまう。受信側で復調に使えるのはt1〜t2の波形だけであるから、t2よりも後の波形は復調に用いることができない。また、t2よりも後の波形は、次のデータシンボルと干渉するおそれがある。
循環遅延は、図7(b)に示すように遅延させたデータシンボルのうち終わりのT[s]の範囲を、データシンボルの先頭に付加することで行われる。これにより、循環遅延したデータシンボル全体を復調に用いることができるとともに、次のデータシンボルとの干渉を防止できる。
なお、循環遅延を行う場合、図7(b)の遅延に比べて、バッファサイズを大きくする必要がある。
例えば、基地局装置から端末装置へのU(jω)の通知は、U(jω)そのものを通知してもよいし、複数のU(jω)を予め決めておき、使用されるU(jω)のインデックスを通知してもよい。また、U(jω)の遅延時間T以外の構成は、予め決めておき、遅延時間Tのみを変更して通知するようにしてもよい。
また、端末装置にも複数のアンテナ素子が設けられている場合、基地局装置に対して、端末装置におけるアンテナ素子数に応じた空間サブストリーム数を要求してもよい。
2:基地局装置
2a,2b:アンテナ素子
20:処理部
21:マップ処理部
22a,22b:IFFT部
23:送信ビーム形成部
24a,24b:CP部
25a,25b:D/A変換部
31,32,33:無線端末装置
31a,32a,33a:アンテナ素子
Claims (9)
- 複数の周波数を用いて通信を行う基地局装置が、ランダムビームフォーミング方式によってプリコーディングされた送信サブストリームを無線端末装置に割り当てるよう構成された無線通信システムであって、
前記基地局装置は、送信サブストリームに対して、周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行って、無線端末装置に対する通信を行うよう構成され、
前記基地局装置から送信された信号の受信信号及び周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列に基づいて、通信品質が良好となる送信サブストリーム候補及び周波数を選択する手段と、
選択された送信サブストリーム候補を示す情報及び周波数を示す情報を、前記基地局装置へ通知する手段と、
を備え、
前記基地局装置が、選択された送信サブストリーム候補を示す前記情報及び周波数を示す前記情報に基づいて、前記無線端末装置に割り当てられる送信サブストリーム及び周波数を決定する手段を備える
ことを特徴とする無線通信システム。 - 前記基地局装置は、時間領域における送信サブストリームに対して、前記ランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う処理部を備える請求項1記載の無線通信システム。
- 前記処理部は、周波数領域における送信サブストリームを時間領域の送信サブストリームに変換し、時間領域に変換された送信サブストリームに対して、前記ランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項2記載の無線通信システム。
- 前記処理部は、時間領域における遅延処理、並びに時間領域における加算処理によって、前記ランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項2又は3記載の無線通信システム。
- 前記処理部は、
各送信サブストリームに対して時間領域における遅延処理を行う複数の遅延処理部、
前記遅延処理が行われた前記送信サブストリームと、前記遅延処理が行われていない送信サブストリームと、を時間領域における加算処理で加算する複数の第1加算処理部、並びに
前記第1加算処理部の出力同士を加算する複数の第2加算処理部、
を備えている
請求項4記載の無線通信システム。 - 前記基地局装置は、複数のアンテナ素子を備え、
前記複数の遅延処理部は、各送信サブストリームに対して遅延処理を行い、各遅延処理部の出力が、前記複数のアンテナ素子それぞれに至る各経路に分配される
請求項5記載の無線通信システム。 - 前記基地局装置は、周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列を、前記無線端末装置に通知し、
前記無線端末装置は、前記基地局装置から通知されたランダムビームフォーミング行列に基づいて、通信品質が良好となる送信サブストリーム候補及び周波数を選択する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線通信システム。 - 複数の周波数を用いて通信を行う基地局装置であって、
送信サブストリームに対して、周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行って、無線端末装置に対する通信を行うよう構成されており、
複数のアンテナ素子と、
無線端末装置が周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列に基づいて選択した送信サブストリーム候補を示す情報及び周波数を示す情報を、前記無線端末装置から受信する手段と、
受信した送信サブストリーム候補を示す情報及び周波数を示す前記情報に基づいて、前記無線端末装置に割り当てられる送信サブストリーム及び周波数を決定する手段と、
を備えることを特徴とする基地局装置。 - 複数の周波数を用いて通信を行う無線端末装置であって、
基地局装置において、送信サブストリームに対して、周波数の関数行列として構成されたランダムビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行って送信された信号の受信信号及び周波数の関数として構成されたランダムビームフォーミング行列に基づいて、通信品質が良好となる送信サブストリーム候補及び周波数を選択する手段と、
選択された送信サブストリーム候補を示す情報及び周波数を示す情報を、基地局装置へ通知する通知する手段と、
を備えることを特徴とする無線端末装置。
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