JP2011041001A - 無線基地局、及び無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散アンテナシステムにおいてセル間干渉を低減させることが可能な無線基地局を提供すること。
【解決手段】自セル内に分散して配置された複数の分散アンテナと、前記複数の分散アンテナと、前記自セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する自セル内チャネル情報取得部と、前記複数の分散アンテナと、前記自セルに隣接する隣接セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する隣接セル内チャネル情報取得部と、前記自セル内チャネル情報取得部及び前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づき、前記自セルと前記隣接セルとの間のセル間干渉が抑制されるように、前記複数の分散アンテナを用いて送信する送信信号にビームフォーミングを施す送信ビームフォーミング部と、を備える、無線基地局が提供される。
【選択図】図4

Description

本発明は、無線基地局、及び無線通信方法に関する。特に、分散アンテナ無線アクセスシステムの下り回線において適用される送信ビームフォーミング方法に関する。
無線装置間の通信速度を高速化する技術の一つとして、多入力・多出力伝送(MIMO;Multiple Input Multiple Output)方式が知られている。この方式は、文字通り、複数のアンテナを用いた信号の入出力を基本としている。この方式の特徴は、異なる複数のアンテナを利用して、同じタイミング、かつ、同じ周波数で複数の送信データを一度に送信することが可能な点にある。そのため、同時に送信可能なチャネルの数が増加するにつれ、増加したチャネルの分だけ単位時間当たりに送信可能な情報量を増加させることが可能になる。また、この方式は、通信速度を向上させるに当たって、占有される周波数帯域が増加しないという利点も有する。
しかし、同一周波数の搬送波成分を有する複数の変調信号が同時に送信されるため、受信側において混信した変調信号を分離する手段が必要になる。そこで、受信側において、無線伝送路の伝送特性を表すチャネル行列が推定され、そのチャネル行列に基づき、受信信号から各サブストリームに対応する送信信号が分離される。尚、チャネル行列は、参照信号を用いて推定される。また、推定されたチャネル行列を用いて信号を検出する方法としては、例えば、MMSE(Minimum Mean Squared Error)検波方式やMLD(Maximum Likelihood Detection)検波方式を用いる方法が知られている。
最近では、複数の無線端末に向けて無線基地局に設置された複数のアンテナにより信号を送信して空間多重させ、受信して各信号を分離することにより、システム全体のスループットを向上させるマルチユーザMIMOシステムが利用されつつある。また、1つのセル内に複数のアンテナを分散して配置し(図1を参照)、これら複数のアンテナを用いて無線基地局と無線端末との間で無線通信を実現する分散アンテナ無線アクセスシステム(以下、分散アンテナシステム)の利用が企図されている。例えば、下記の非特許文献1には、zero−forcing beamforming(以下、ZFBF) multi−user MIMO伝送方式を適用した分散アンテナシステムのシステム構成が記載されている(図2を参照)。
C.B. Peel, B.M. Hochwald, and A.L. Swindlehurst, "A vector−perturbation technique for near−capacity multiantenna multiuser communication?Part I: channel inversion and regulation," IEEE Trans. Commun., vol.53, no.1, pp.195−202, January 2005
上記の非特許文献1に記載の技術は、ある無線基地局が管理する自セル内に複数のユーザが存在する環境において、自セル内の各ユーザに向けて送信される信号が互いに直交するようにZFBFを施すというものである。このような構成にすることにより、下り回線における各ユーザ向け信号の干渉を抑制することができる。しかしながら、同文献に記載の技術は、自セルに隣接する他セル(以下、隣接セル)との間の干渉を考慮したものではない。しかし、実際には、自セル内のユーザが隣接セルの近傍に位置する場合、自セルの分散アンテナシステムは、隣接セルの伝送信号による干渉の影響を被る(図3を参照)。特に、セル境界を隔てて複数のユーザが近接している場合には、相互に干渉の影響を及ぼし合い、いずれのユーザにおいても伝送特性が大幅に劣化してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、分散アンテナシステムにおいて自セルと隣接セルとの間のセル間干渉を低減させ、伝送特性を向上させることが可能な、新規かつ改良された無線基地局、及び無線通信方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、自セル内に分散して配置された複数の分散アンテナと、前記複数の分散アンテナと、前記自セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する自セル内チャネル情報取得部と、前記複数の分散アンテナと、前記自セルに隣接する隣接セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する隣接セル内チャネル情報取得部と、前記自セル内チャネル情報取得部及び前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づき、前記自セルと前記隣接セルとの間のセル間干渉が抑制されるように、前記複数の分散アンテナを用いて送信する送信信号にビームフォーミングを施す送信ビームフォーミング部と、を備える、無線基地局が提供される。
このように、分散アンテナシステムにおいて、隣接セル内に位置する無線端末を送信ビームフォーミングの対象ユーザに含めることにより、隣接セルとの間のセル間干渉を低減することが可能になる。その結果、隣接セルにおけるスループットが向上する。隣接セルにおいても同様の送信ビームフォーミングを行うことにより、相互にスループットを向上させることが可能になる。
また、上記の無線基地局は、前記隣接セル内に位置する無線端末から周波数分割多元接続方式で上り参照信号を取得する参照信号取得部をさらに備えていてもよい。この場合、前記参照信号取得部は、前記隣接セル内チャネル情報取得部におけるチャネル情報の取得に用いられる前記上り参照信号を取得する際、前記隣接セル内の無線端末に対して前記自セル内の無線端末とは異なる周波数分割多元接続信号の位相を割り当てる。上記の送信ビームフォーミングを行うためには、隣接セル内に位置するユーザのチャネル情報が必要になる。そのため、隣接セルユーザから上り参照信号を取得することが必要になる。このとき、上り参照信号を周波数分割多元接続方式で送信するように構成し、セル毎に異なる位相を割り当てることにより、上り参照信号の干渉を回避することが可能になる。
また、同じ周波数分割多元接続信号の位相が割り当てられた複数の前記隣接セルが存在する場合、前記隣接セル内チャネル情報取得部は、前記参照信号取得部により前記各隣接セルの近くに配置された一部の分散アンテナから取得された上り参照信号を用いてチャネル情報を取得し、当該チャネル情報を前記各隣接セル内の無線端末に関するチャネル情報とするように構成されていてもよい。
このように、ある隣接セルの近くに位置する自セル内の分散アンテナで受信された上り参照信号から推定されたチャネル情報を当該隣接セルのユーザに対応するチャネル情報と見なすことで、同じ周波数分割多元接続信号の位相が割り当てられた複数の隣接セルが存在しても、各隣接セルからのチャネル情報をそれぞれ区別して取得することが可能になる。
また、上記の無線基地局は、前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得された隣接セル内に位置する無線端末に関するチャネル情報に基づいて受信電力の大きな前記隣接セル内の無線端末を選択する端末選択部をさらに備えていてもよい。この場合、前記送信ビームフォーミング部は、前記端末選択部により選択された前記隣接セル内の無線端末に対する前記セル間干渉が抑制されるように、前記送信信号にビームフォーミングを施すように構成される。
このように、受信電力の大きな無線端末をセル間干渉の影響が大きなユーザとして選択することにより、送信ビームフォーミングの対象ユーザ数を低減させることができる。その結果、送信ビームフォーミング行列の生成及び利用の際に要する演算負荷を低減させることが可能になる。
また、上記の無線基地局は、前記隣接セルにおいて送信ビームフォーミングの対象として選択された無線端末を示す選択情報を当該隣接セルの無線基地局から取得する選択情報取得部をさらに備えていてもよい。この場合、前記送信ビームフォーミング部は、前記選択情報取得部により取得された選択情報が示す無線端末に関し、前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づいて当該無線端末に対するセル間干渉が抑制されるように、前記送信信号にビームフォーミングを施すように構成される。
このように、隣接セルにおいても送信ビームフォーミングの対象とされるユーザが選択される場合には、セル間で選択ユーザの情報を共有し、その選択ユーザの中からセル間干渉を大きく与えてしまうユーザを考慮して送信ビームフォーミングを行うことで、実際に信号の送受信を行うユーザの伝送特性を向上させることが可能になる。
また、上記の無線基地局は、前記自セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づいて前記自セル内の無線端末に対するビームフォーミング行列を算出する自セル内ビームフォーミング行列算出部と、前記自セル内ビームフォーミング行列算出部により算出されたビームフォーミング行列及び前記選択情報取得部により取得された選択情報に基づき、当該ビームフォーミング行列を用いてビームフォーミングを施した場合におけるセル間干渉量を算出するセル間干渉量算出部と、をさらに備えていてもよい。そして、前記端末選択部は、前記自セル内ビームフォーミング行列算出部により算出されたビームフォーミング行列を用いてビームフォーミングを施した場合に前記セル間干渉量算出部により算出されるセル間干渉量が大きくなる前記隣接セル内の無線端末を選択するように構成することが好ましい。
このように、自セル内のユーザに施す送信ビームフォーミングにより隣接セル内のユーザに与えるセル間干渉の影響を考慮して、送信ビームフォーミング行列を再計算することにより、さらにセル間干渉を低減させることが可能になる。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自セル内に分散して配置された複数の分散アンテナを有する無線基地局が、前記複数の分散アンテナと、前記自セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する自セル内チャネル情報取得ステップと、前記複数の分散アンテナと、前記自セルに隣接する隣接セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する隣接セル内チャネル情報取得ステップと、前記自セル内チャネル情報取得ステップ及び前記隣接セル内チャネル情報取得ステップで取得されたチャネル情報に基づき、前記自セルと前記隣接セルとの間のセル間干渉が抑制されるように、前記複数の分散アンテナを用いて送信する送信信号にビームフォーミングを施す送信ビームフォーミングステップと、を含む、無線通信方法が提供される。
このように、分散アンテナシステムにおいて、隣接セル内に位置する無線端末を送信ビームフォーミングの対象ユーザに含めることにより、隣接セルとの間のセル間干渉を低減することが可能になる。その結果、隣接セルにおけるスループットが向上する。隣接セルにおいても同様の送信ビームフォーミングを行うことにより、相互にスループットを向上させることが可能になる。
以上説明したように本発明によれば、分散アンテナシステムにおいて自セルと隣接セルとの間のセル間干渉を低減させ、伝送特性を向上させることが可能になる。
分散アンテナシステムにおけるアンテナ配置の一例を示す説明図である。 従来の分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例、及び当該無線基地局において実施される送信ビームフォーミングにおいて考慮されるユーザの構成例を示す説明図である。 従来の分散アンテナシステムにおいて生じるセル間干渉の問題を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例、及び当該無線基地局において実施される送信ビームフォーミングにおいて考慮されるユーザの構成例を示す説明図である。 本実施形態に係る分散アンテナシステムにおけるユーザ端末の機能構成例を示す説明図である。 本実施形態に係る分散アンテナシステムにおける周波数分割多元接続の位相割り当て方法の一例を示す説明図である。 本実施形態の第1変形例に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例を示す説明図である。 本実施形態の第1変形例に係る分散アンテナシステムのチャネル情報取得方法を示す説明図である。 本実施形態の第2変形例に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例を示す説明図である。 本実施形態の第3変形例に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例を示す説明図である。 本実施形態に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局の機能構成例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1〜図3を参照しながら、従来の分散アンテナシステムの構成について説明すると共に、従来の分散アンテナシステムが抱える問題点について述べる。次いで、図4〜図11を参照しながら、本実施形態に係る分散アンテナシステムの構成について説明する。
まず、図4を参照しながら、本実施形態に係る無線基地局100の機能構成について説明する。この中で、本実施形態に係る分散アンテナシステムの下り回線で用いられる送信ビームフォーミングの構成について説明する。次いで、図5、図6を参照しながら、本実施形態に係るユーザ端末200の機能構成、及び各セルへの周波数分割多元接続の位相割り当て方法について説明する。
次いで、図7、図8を参照しながら、本実施形態の第1変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。この中で、送信ビームフォーミング行列の算出に用いるチャネル情報を取得する際のアンテナ選択方法について説明する。次いで、図9を参照しながら、本実施形態の第2変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。この中で、隣接セルとのセル間干渉が大きいユーザを選択するためのユーザ選択方法について説明する。
次いで、図10を参照しながら、本実施形態の第3変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。この中で、自セル内ユーザ向けの送信ビームフォーミングを施すことで隣接セルに与える影響を考慮した送信ビームフォーミング方法について説明する。次いで、図11を参照しながら、本実施形態に係る無線基地局300の機能構成について説明する。この中で、セル間干渉の影響を大きく受けるユーザのランキングを行い、そのランキングに基づいて送信ビームフォーミングを施すべきユーザを選択する方法が提案される。また、より具体的な構成が示される。
<はじめに>
まず、従来の分散アンテナシステムの構成例、及び当該分散アンテナシステムが抱える問題点について簡単に説明する。なお、以下で説明する分散アンテナシステムにおいては、図1に示すように、複数の基地局アンテナがセル内に満遍なく分散して配置されているものとする。図1の例では、19本の基地局アンテナがセル内に配置されている。以下の説明においては、この基地局アンテナのことを分散アンテナと表記する。
(無線基地局10の構成)
ここで、図2を参照しながら、従来の分散アンテナシステムに含まれる無線基地局10の機能構成について説明する。図2には、(A)無線基地局10の機能構成例、及び(B)自セル内のユーザ分布の一例が示されている。ここで説明する無線基地局10は、自セル内のユーザ向けに送信される信号に対し、ユーザ間干渉が除去されるように送信ビームフォーミングを施す機能を有するものである。また、自セル内には、N本の分散アンテナが配置され、N台のユーザ端末が存在するものとする。
図2に示すように、無線基地局10は、主に、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部12と、送信ビームフォーミング行列計算部14と、送信ビームフォーミング部16とを有する。なお、無線基地局10が管理するセルのことを自セル、自セルとは異なるセルのことを他セル、自セルに隣接する他セルのことを隣接セルと表記する。また、ユーザ端末のことを単にユーザと表記する場合がある。
まず、無線基地局10は、N本の分散アンテナを介して自セル内の各ユーザからSounding参照信号(以下、上り参照信号)を受信する。分散アンテナを介して自セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部12に入力される。対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部12は、入力された上り参照信号に基づき、N本の分散アンテナとN台のユーザ端末との間のチャネル状態を示すチャネル情報(N行N列のチャネル行列H)を推定する。
対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部12により推定されたN行N列のチャネル行列Hは、送信ビームフォーミング行列計算部14に入力される。N行N列のチャネル行列Hが入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部14は、N行N列のチャネル行列Hの逆行列H −1を算出し、この逆行列H −1を用いて下記の式(1)からN行N列の送信ビームフォーミング行列Wを算出する。但し、受信側におけるSINRが最大化されるようにユーザ端末での雑音電力を対角項(γINU;INUは対角行列)に付加してある。また、上付きのHは、エルミート共役を意味する。
Figure 2011041001
このようにして送信ビームフォーミング行列計算部14により算出された送信ビームフォーミング行列Wは、送信ビームフォーミング部16に入力される。送信ビームフォーミグ行列Wが入力されると、送信ビームフォーミング部16は、下記の式(2)に示すように、N台のユーザ端末に向けて送信すべき送信シンボルベクトルsに送信ビームフォーミング行列Wを作用させ、送信ベクトルuを生成する。そして、送信ビームフォーミング部16は、生成した送信ベクトルuをN本の分散アンテナから送信する。但し、上付きのTは転置を意味する。
Figure 2011041001
このように、送信シンボルベクトルに送信ビームフォーミング(ZFBF)を施すことにより、下り回線で各ユーザ向けの信号が直交し、ユーザ間の干渉を抑制することができる。なお、自セル内のユーザ数がNより多い場合(例えば、ユーザ数K>Nの場合)には、N台のユーザ端末が予め選択される。
(課題の整理)
このように、無線基地局10の構成を適用することにより、自セル内のユーザ間干渉が抑制され、伝送特性を向上させることができる。しかしながら、従来の無線基地局10においては、上記のように自セル内のユーザ端末のみを対象にして送信ビームフォーミングが行われている。そのため、隣接セルのユーザ端末が自セルの境界近傍に位置する場合には、自セルの分散アンテナシステムによる伝送信号が、その隣接セルのユーザ端末に顕著な干渉を与えてしまう。逆に、自セル内のユーザ端末が隣接セルの境界近傍に位置する場合には、隣接セルの分散アンテナシステムの伝送信号から干渉を受けてしまう。その結果、セル境界を隔てて複数のユーザ端末が近接している場合には、図3に示すように、各ユーザ端末において大幅な伝送特性の劣化が生じてしまう。後述する実施形態においては、このような問題を解決する方法が提案される。
<実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、隣接セル内に位置するユーザ端末を考慮して下り回線の送信ビームフォーミングを行うことで、セル間干渉による伝送特性の劣化を抑制する方法に関する。
(無線基地局100の構成)
まず、図4を参照しながら、本実施形態に係る無線基地局100の機能構成について説明する。図4は、本実施形態に係る無線基地局100の機能構成例を示す説明図である。但し、図4(A)は無線基地局100の機能構成(A)を示す説明図であり、図4(B)は無線基地局100にて実施される送信ビームフォーミングの対象とされるユーザの一例を示す説明図である。なお、無線基地局100は、セル1を管理する無線基地局である。また、説明の都合上、自セル(セル1)内には、NT本の分散アンテナが配置され、N台のユーザ端末が存在するものと仮定する。
図4(A)に示すように、無線基地局100は、主に、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102と、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部104と、送信ビームフォーミング行列計算部106と、送信ビームフォーミング部108とを有する。なお、無線基地局100が管理するセル1のことを自セル、自セルとは異なるセルのことを他セル、自セルに隣接する他セル(セル2〜セル7)のことを隣接セルと表記する。また、ユーザ端末のことを単にユーザと表記する場合がある。
まず、無線基地局100は、N本の分散アンテナを介して自セル内の各ユーザ及び各隣接セル内の各ユーザからSounding参照信号(以下、上り参照信号)を受信する。分散アンテナを介して自セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102に入力される。一方、分散アンテナを介して隣接セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部104に入力される。このとき、隣接セル内に位置する全てのユーザ端末から上り参照信号を受信する必要はなく、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部104は、セル間干渉を与えそうなユーザ端末からのみ上り参照信号を受信すればよい。ここでは、説明の都合上、隣接セル内に位置するN台のユーザ端末から上り参照信号を受信するものと仮定する。
自セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102は、入力された上り参照信号に基づき、N本の分散アンテナとN台のユーザ端末との間のチャネル状態を示すチャネル情報(N行N列のチャネル行列H)を推定する。一方、隣接セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部104は、入力された上り参照信号に基づき、N本の分散アンテナとN台のユーザ端末との間のチャネル状態を示すチャネル情報(N行N列のチャネル行列H)を推定する。
対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102により推定されたN行N列のチャネル行列Hは、送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。同様に、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部104により推定されたN行N列のチャネル行列Hは、送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。自セル内ユーザに対応するN行N列のチャネル行列H、及び隣接セル内ユーザに対応するN行N列のチャネル行列Hが入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部106は、(N+N)行N列の拡張チャネル行列H’(下記の式(3))を生成する。
そして、送信ビームフォーミング行列計算部106は、拡張チャネル行列H’の逆行列H’−1を算出し、この逆行列H’−1を用いて下記の式(4)からN行(N+N)列の送信ビームフォーミング行列W’を算出する。
Figure 2011041001
このようにして送信ビームフォーミング行列計算部106により算出された送信ビームフォーミング行列W’は、送信ビームフォーミング部108に入力される。送信ビームフォーミグ行列W’が入力されると、送信ビームフォーミング部108は、N個の自セル内ユーザ向け送信シンボルで構成されるN個の要素に、値0を持つN個の要素を付加して送信シンボルベクトルs’を生成する。さらに、送信ビームフォーミング部108は、下記の式(5)に示すように、送信シンボルベクトルs’に送信ビームフォーミング行列W’を作用させて送信ベクトルu’を生成する。そして、送信ビームフォーミング部108は、生成した送信ベクトルu’をN本の分散アンテナから送信する。
Figure 2011041001
このように、隣接セル内に位置するユーザ端末との間の干渉を考慮して生成された送信ビームフォーミング行列W’を用いて送信シンボルベクトルに送信ビームフォーミング(ZFBF)を施すことにより、隣接セルとの間のセル間干渉を低減させることができる。その結果、セル境界の近傍に位置するユーザ端末の伝送特性が向上する。
以上、本実施形態に係る分散アンテナシステムに含まれる無線基地局100の構成、及び本実施形態に係る送信ビームフォーミング方法について説明した。本実施形態においては、セル間干渉を与えそうな隣接セルユーザも送信ビームフォーミングの対象に含めている。そのため、自セル内の各ユーザに対して形成されるビームは、自セル内の他ユーザだけでなく、隣接セルユーザに対しても指向性が抑えられたものとなり、セル間干渉が低減される。その結果、送信ビームフォーミングの対象とされた隣接セルユーザの伝送特性がセル間干渉により劣化することを抑制できる。
なお、分散アンテナシステムの場合、分散アンテナ数NTは、空間多重ユーザ数Nに比較して大きいため、arrayの自由度に余裕があり、送信ビームフォーミング行列を計算する際に抑圧すべき干渉数がN−1からN−1+Nに増加することによるarray自由度の不足は生じない。次に、本実施形態に係るユーザ端末200の構成、及び上り参照信号の送信方法について説明する。
(ユーザ端末200の構成)
まず、図5を参照しながら、本実施形態に係るユーザ端末200の機能構成について説明する。図5は、本実施形態に係るユーザ端末200の機能構成例を示す説明図である。なお、本実施形態に係る分散アンテナシステムにおいては、一例として、時分割複信(TDD;Time Division Duplex)にて上り回線と下り回線とを区別すると共に、周波数分割多元接続(FDMA;Frequency Division Multiple Access)方式により信号を送信することが想定されている。
図5に示すように、ユーザ端末200は、主に、Zadoff−Chu系列生成部202と、サブキャリアマッピング部204と、IFFT+GI付加部206とを有する。なお、本実施形態においては、参照信号としてZadoff−Chu系列が用いられる。また、図6(A)に示すように、隣接セル間でセル間干渉が生じないように周波数分割され、各セルにdistributed FDMA信号の位相が割り当てられている。さらに、各セル内に位置する各ユーザには、各セルに割り当てられたdistributed FDMA信号の位相がさらに分割されて割り当てられている。
まず、Zadoff−Chu系列生成部202により、上り参照信号としてZadoff−Chu系列が生成される。このとき、各ユーザに割り当てられた位相を示す系列indexがZadoff−Chu系列生成部202に入力されており、その系列indexに基づいてZadoff−Chu系列が生成される。Zadoff−Chu系列生成部202により生成されたZadoff−Chu系列は、サブキャリアマッピング部204に入力される。
また、サブキャリアマッピング部204には、セル毎に割り当てられたdistributed FDMA信号の位相を示すFDMA信号位相indexが入力される。そこで、サブキャリアマッピング部204は、入力されたFDMA信号位相indexが示すサブキャリアに、入力されたZadoff−Chu系列をマッピングして変調信号を生成する。そして、サブキャリアマッピング部204により生成された変調信号は、IFFT+GI付加部206に入力される。
IFFT+GI付加部206では、変調信号に対し、逆フーリエ変換(IFFT;Inverse Fourier Transform)が施され、ガードインターバル(GI;Guard interval)が付加される。そして、GIが付加された信号は、無線基地局100に向けて送信される。なお、無線基地局100では、ユーザ端末200から受信した信号にフーリエ変換(FFT)を施して周波数領域の信号に変換し、デマッピング処理を行って各ユーザから送信されたZadoff−Chu系列を復元する。そして、無線基地局100は、復元されたZadoff−Chu系列に基づいてチャネル情報を推定する。
上記のように、本実施形態においては、隣接するセル間で異なるように、distributed FDMA信号の位相が割り当てられる。例えば、図6(A)(B)に示すように、セル1、セル2、セル3、セル4には異なる位相が割り当てられている。同様に、セル1、セル5、セル6、セル7には異なる位相が割り当てられている。このように、隣接セル間で異なる位相が割り当てられていることにより、各隣接セルが周波数分割され、セル間の干渉を回避することができる。
但し、セル2とセル5、セル3とセル6、セル4とセル7には、それぞれ同じ位相が割り当てられている。このように、隣接していないセル間では距離による電波の減衰が期待できるため、同じ位相を割り当ててもセル間干渉が問題になることは少ない。また、各セルにおいては、図6(A)に示すように、各ユーザに対してZadoff−Chu系列の一部要素が割り当てられている。但し、各ユーザに割り当てられる一部要素は、同一セル内の他のユーザと周波数帯が異なるように割り当てられており、同一セル内のユーザ間における干渉が回避されている。
上記の通り、隣接セルユーザのチャネル情報は、上り参照信号が隣接セル間で干渉し合わないように周波数分割して送信される。そして、このような構成にすることにより、隣接セルユーザに割り当てられているFDMA信号の位相で受信した上り参照信号から無線基地局100においてチャネル情報を得ることができるようになる。
[第1変形例:アンテナ選択方法]
次に、図7、図8を参照しながら、同じFDMA信号の位相を利用する複数の隣接セルに関し、当該各隣接セル内に位置するユーザ端末からチャネル情報を取得する方法について説明する。図6に例示したように、自セルを挟んで対向する隣接セル間においては、距離による電波の減衰が期待できるため、同じFDMA信号の位相を割り当てても、干渉による影響が少なくて済む。しかしながら、自セル内に配置された分散アンテナにおいては、両隣接セル内のユーザ端末から送信された上り参照信号が受信されるため、いずれの隣接セル内のユーザ端末から送信された上り参照信号かを区別する必要がある。
ここでは、同じFDMA信号位相を利用する隣接セルを区別するため、自セル内に配置された分散アンテナを図8に示すように複数のサブセットに分け、分散アンテナの各サブセットと各隣接セルとを対応付ける方法を提案する。図8には、同じFDMA信号位相を利用するセル4とセル7に対応する分散アンテナのサブセットが例示されている。図8の例では、セル4に対応する分散アンテナのサブセットには、分散アンテナ#3、#10、#11、#12、#17、#18、#19が含まれている。また、セル7に対応する分散アンテナのサブセットには、分散アンテナ#4、#5、#6、#7、#8、#13、#14、#15が含まれている。但し、サブセットの設定方法は図8の例に限定されない。
このように、対象とする隣接セルから近い位置に配置された分散アンテナのサブセットをその隣接セルに対応付ける。つまり、距離による電波の減衰を考慮し、ある隣接セルに近い分散アンテナには、その隣接セル内のユーザ端末から送信された信号が主に受信されるものと仮定しているのである。もちろん、ある隣接セルに対応付けられた分散アンテナのサブセットにおいても、他の隣接セル内のユーザ端末から送信された信号が受信されるが、距離による減衰により信号強度が弱まっているものとして無視し、ある分散アンテナのサブセットにおいて受信された上り参照信号は、そのサブセットに対応する隣接セル内のユーザ端末から送信されたものとしてしまう。
なお、いずれのサブセットにも含まれない分散アンテナで受信した上り参照信号は、両隣接セル内のユーザ端末との間のチャネル情報の推定に重複して利用してもよい。また、図8の例では、セル4とセル7に対応する分散アンテナのサブセットのみが示されたが、セル2とセル5、セル3とセル6についても、それぞれ同様に分散アンテナのサブセットが設定される。そして、いずれのサブセットで受信するかにより、上り参照信号を送信したユーザ端末が属する隣接セルを区別する。
(無線基地局100の構成)
上記のようにして同じFDMA信号位相を利用する隣接セルを区別するため、図4に示した無線基地局100の構成は、図7のように変形される。ここで、図7を参照しながら、本実施形態の第1変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。図7は、本変形例に係る無線基地局100の機能構成例を示す説明図である。なお、図4に示した無線基地局100と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付することで詳細な説明を省略する。
図7に示すように、無線基地局100は、主に、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102と、送信ビームフォーミング行列計算部106と、送信ビームフォーミング部108と、アンテナ選択部122、132と、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124、134と、セル間干渉量推定部126、136と、セル間干渉ユーザ存在判定部128、138と、を有する。
なお、図7において同一のハッチングが施された構成要素は、同じFDMA信号位相を利用する隣接セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号を処理するためのものである。例えば、アンテナ選択部122、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124、セル間干渉量推定部126、セル間干渉ユーザ存在判定部128は、セル2とセル5に割り当てられたFDMA信号位相に対応する。
同様に、アンテナ選択部132、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部134、セル間干渉量推定部136、セル間干渉ユーザ存在判定部138は、セル3とセル6に割り当てられたFDMA信号位相に対応する。もちろん、セル4とセル7に割り当てられたFDMA信号位相に対応する構成要素も設けられるが、図7においては記載を省略した。
まず、無線基地局100は、N本の分散アンテナを介して自セル内の各ユーザ及び各隣接セル内の各ユーザから上り参照信号を受信する。分散アンテナを介して自セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102に入力される。
自セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102は、入力された上り参照信号に基づいて自セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報を推定する。そして、対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部102により推定された自セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報(N行N列のチャネル行列H)は、送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。
一方、分散アンテナを介して隣接セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、アンテナ選択部122、132等に入力される。アンテナ選択部122は、各FDMA信号位相について設けられている。例えば、セル2とセル5に割り当てられたFDMA信号位相を持つ上り参照信号は、アンテナ選択部122に入力される。
図7に示すように、アンテナ選択部122には、N本の分散アンテナにより受信された上り参照信号が入力される。そこで、アンテナ選択部122は、セル2に対応する分散アンテナのサブセットで受信した上り参照信号をセル2に対応する対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124に入力する。さらに、アンテナ選択部122は、セル5に対応する分散アンテナのサブセットで受信した上り参照信号をセル5に対応する対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124に入力する。
同様に、アンテナ選択部132には、N本の分散アンテナにより受信された上り参照信号が入力される。そこで、アンテナ選択部132は、セル3に対応する分散アンテナのサブセットで受信した上り参照信号をセル3に対応する対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部134に入力する。さらに、アンテナ選択部132は、セル6に対応する分散アンテナのサブセットで受信した上り参照信号をセル6に対応する対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部134に入力する。
それぞれ上り参照信号が入力されると、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124、134は、入力された上り参照信号に基づいて隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報を推定する。対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124、134により推定された隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報は、それぞれセル間干渉量推定部126、136に入力される。チャネル情報が入力されると、セル間干渉量推定部126、136は、入力されたチャネル情報に基づいて各ユーザ端末から受けた受信電力を算出し、その受信電力に基づいてセル間干渉量を推定する。
セル間干渉量推定部126、136により推定されたセル間干渉量は、それぞれセル間干渉ユーザ存在判定部128、138に入力される。セル間干渉量が入力されると、セル間干渉ユーザ存在判定部128、138は、入力されたセル間干渉量が所定の閾値を越えるユーザ端末を特定する。そして、セル間干渉ユーザ存在判定部128、138により特定されたユーザ端末は、自セルの分散アンテナシステムによるセル間干渉の影響を受けやすいユーザ端末であると判定される。このようにしてセル間干渉ユーザ存在判定部128、138により特定されたユーザ端末の情報は、送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。
例えば、セル間干渉量が所定の閾値を越えるユーザ端末がN台存在した場合、それらのユーザ端末から受信した上り参照信号に基づいて推定されたチャネル情報(N行N列のチャネル行列H)が送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。自セル内ユーザに対応するN行N列のチャネル行列H、及び隣接セル内ユーザに対応するN行N列のチャネル行列Hが入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部106は、(N+N)行N列の拡張チャネル行列H’を生成する。
そして、送信ビームフォーミング行列計算部106は、拡張チャネル行列H’の逆行列H’−1を算出し、この逆行列H’−1を用いてNT行(N+N)列の送信ビームフォーミング行列W’を算出する。このようにして送信ビームフォーミング行列計算部106により算出された送信ビームフォーミング行列W’は、送信ビームフォーミング部108に入力される。
送信ビームフォーミグ行列W’が入力されると、送信ビームフォーミング部108は、N個の自セル内ユーザ向け送信シンボルで構成されるN個の要素に、値0を持つN個の要素を付加して送信シンボルベクトルs’を生成する。さらに、送信ビームフォーミング部108は、送信シンボルベクトルs’に送信ビームフォーミング行列W’を作用させて送信ベクトルu’を生成する。そして、送信ビームフォーミング部108は、生成した送信ベクトルu’をN本の分散アンテナから送信する。
上記のように、同じFDMA信号位相を利用する隣接セルが複数存在する場合、自セル内に配置された分散アンテナを各隣接セルに対応するサブセットに分けて区別することにより、上り参照信号の送信元が属する隣接セルを判別することができる。つまり、異なる隣接セルに同一の周波数分割信号の同位相が割り当てられている場合には異なる隣接セルからの上り参照信号が干渉するが、各隣接セルから近い距離にあるセル内の分散アンテナで得られるチャネル情報を各隣接セルユーザからのチャネル情報として近似することにより対処することができるのである。
また、上記のように、隣接セルユーザから取得したチャネル情報に基づいて隣接セルユーザからの受信信号電力を計算し、受信信号電力が大きいユーザほどセル境界近傍に位置していると判断することにより、セル間干渉を与えやすい隣接セルユーザを容易に推定することができる。また、受信電力が大きい隣接セルユーザを送信ビームフォーミングの対象に含めることで、送信ビームフォーミングの対象とすべき隣接ユーザの数を抑えることができる。その結果、対象ユーザ数の増加に伴って送信ビームフォーミング行列の計算負荷が増大するのを抑制することが可能になる。
[第2変形例:ユーザ選択]
次に、図9を参照しながら、本実施形態の第2変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。図9は、本変形例に係る無線基地局100の機能構成例を示す説明図である。本変形例は、各セル内に位置するユーザ数が多い場合に、送信ビームフォーミングの対象ユーザを効率的に絞り込む方法に関する。以下、自セル内のユーザ数がK(K>N)、送信ビームフォーミングの対象とするユーザ数がNであるものとする。
図9に示すように、無線基地局100は、主に、送信ビームフォーミング行列計算部106と、送信ビームフォーミング部108と、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124と、セル間干渉量推定部126と、セル間干渉ユーザ存在判定部128と、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142と、ユーザ選択部144と、を有する。また、無線基地局100は、隣接セルの無線基地局(以下、隣接セル基地局)と有線で接続されており、任意の情報を送受信できるものとする。
まず、無線基地局100は、N本の分散アンテナを介して自セル内の各ユーザ及び各隣接セル内の各ユーザから上り参照信号を受信する。分散アンテナを介して自セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142に入力される。一方、分散アンテナを介して隣接セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124に入力される。
自セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142は、入力された上り参照信号に基づき、N本の分散アンテナとK台のユーザ端末との間のチャネル状態を示すチャネル情報を推定する。そして、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142により推定されたチャネル情報は、ユーザ選択部144に入力される。
チャネル情報が入力されると、ユーザ選択部144は、入力されたチャネル情報に基づいて送信ビームフォーミングの対象とする自セル内のNユーザを選択する。そして、ユーザ選択部144は、選択したNユーザのチャネル情報を送信ビームフォーミング行列計算部106に入力すると共に、選択したNユーザの情報(以下、自セルユーザ選択情報)を有線回線により隣接セル基地局に通知する。
一方、隣接セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124は、入力された上り参照信号に基づいて隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報を推定する。対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124により推定された隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報は、セル間干渉量推定部126に入力される。また、セル間干渉量推定部126には、隣接セル基地局から、当該隣接セル基地局が送信ビームフォーミングの対象として選択したユーザの情報(以下、隣接セルユーザ選択情報)が有線回線を通じて入力される。
チャネル情報及び隣接セルユーザ選択情報が入力されると、セル間干渉量推定部126は、入力されたチャネル情報に基づき、入力された隣接セルユーザ選択情報が示すユーザ端末から受けた受信電力を算出し、その受信電力に基づいてセル間干渉量を推定する。そして、セル間干渉量推定部126により推定されたセル間干渉量は、セル間干渉ユーザ存在判定部128に入力される。
セル間干渉量が入力されると、セル間干渉ユーザ存在判定部128は、入力されたセル間干渉量が所定の閾値を越えるユーザ端末を特定する。そして、セル間干渉ユーザ存在判定部128により特定されたユーザ端末は、自セルの分散アンテナシステムによるセル間干渉の影響を受けやすいユーザ端末であると判定される。このようにしてセル間干渉ユーザ存在判定部128により特定されたユーザ端末のチャネル情報は、送信ビームフォーミング行列計算部106に入力される。
ユーザ選択部144により選択されたNユーザのチャネル情報、及びセル間干渉ユーザ存在判定部128により特定された隣接セルユーザのチャネル情報が入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部106は、これらのチャネル情報に基づいて拡張チャネル行列を生成し、その拡張チャネル行列を用いて送信ビームフォーミング行列を算出する。そして、送信ビームフォーミング行列計算部106により算出された送信ビームフォーミング行列は、送信ビームフォーミング部108に入力される。送信ビームフォーミグ行列が入力されると、送信ビームフォーミング部108は、入力された送信ビームフォーミング行列を用いて送信シンボルベクトルに送信ビームフォーミングを施し、N本の分散アンテナから送信する。
このように、本変形例においては、自セル内に位置するKユーザのチャネル情報に基づいてユーザ選択を行い、その結果を隣接セルの基地局に有線回線で通知する。また、隣接セルの基地局で行われたユーザ選択の結果を取得し、その結果に基づいて隣接セル内に位置するユーザの中からセル間干渉量を算出するユーザを選択する。そして、選択した隣接セル内のユーザに対してセル間干渉を与えないような送信ビームフォーミング行列を計算する。このような構成にすることで、各セルにおいて送信ビームフォーミングの対象とされるユーザの選択が行われる場合に、そのユーザ選択の結果を自セルの基地局で行う送信ビームフォーミングの中で容易に考慮することができるようになる。
本変形例において想定する環境のように、多重するユーザ数よりも多くのユーザが存在する場合には、ユーザ選択又はユーザスケジューリングにより空間多重されるユーザを各セルで決定する必要がある。このようなユーザ選択結果の情報を隣接セル間で共有することにより、各セルの基地局が隣接セルユーザを正確に把握することが出来るようになるため、本変形例のような構成にすることにより、考慮すべき隣接セルユーザの絞込みが容易になるのである。
上記の通り、周波数分多元接続された隣接セルユーザから受信した上り参照信号に基づいてチャネル情報を取得しておき、隣接セルで選択されたユーザを示すユーザindexから、そのユーザのチャネル情報に基づいて受信電力が大きい隣接セルユーザを選択し、送信ビームフォーミングの対象に含める。このような操作を行うことにより、隣接セルにおいて送信対象とされ、かつ、自セルの送信信号によりセル間干渉を与えてしまう可能性が高いユーザを推定することができるようになるのである。
[第3変形例:送信ビームフォーミング行列の再計算]
次に、図10を参照しながら、本実施形態の第3変形例に係る無線基地局100の機能構成について説明する。図10は、本変形例に係る無線基地局100の機能構成例を示す説明図である。本変形例は、自セル内に位置するユーザ端末のみを対象にして送信ビームフォーミングを施した場合に隣接セルに与える干渉を抑制する方法に関する。
図10に示すように、無線基地局100は、主に、送信ビームフォーミング部108と、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124と、セル間干渉ユーザ存在判定部128と、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142と、ユーザ選択部144と、セル間ビーム干渉量推定部152と、送信ビームフォーミング行列再計算部154と、送信ビームフォーミング行列計算部156と、を有する。また、無線基地局100は、隣接セルの無線基地局(隣接セル基地局)と有線で接続されており、任意の情報を送受信できるものとする。
まず、無線基地局100は、N本の分散アンテナを介して自セル内の各ユーザ及び各隣接セル内の各ユーザから上り参照信号を受信する。分散アンテナを介して自セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142に入力される。一方、分散アンテナを介して隣接セル内の各ユーザから受信された上り参照信号は、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124に入力される。
自セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142は、入力された上り参照信号に基づき、N本の分散アンテナとK台のユーザ端末との間のチャネル状態を示すチャネル情報を推定する。そして、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部142により推定されたチャネル情報は、ユーザ選択部144に入力される。
チャネル情報が入力されると、ユーザ選択部144は、入力されたチャネル情報に基づいて送信ビームフォーミングの対象とする自セル内のNユーザを選択する。そして、ユーザ選択部144は、選択したNユーザのチャネル情報を送信ビームフォーミング行列再計算部154及び送信ビームフォーミング行列計算部156に入力する。さらに、ユーザ選択部144は、選択したNユーザの情報(自セルユーザ選択情報)を有線回線により隣接セル基地局に通知する。
ユーザ選択部144により選択されたNユーザのチャネル情報が入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部156は、入力されたチャネル情報に基づいてNユーザの信号を互いに直交させるための送信ビームフォーミング行列(以下、自セルユーザ向け送信ビームフォーミング行列)を算出する。そして、送信ビームフォーミング行列計算部156により算出された自セルユーザ向け送信ビームフォーミング行列は、セル間ビーム干渉量推定部152に入力される。
一方、隣接セル内のユーザ端末から受信した上り参照信号が入力されると、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124は、入力された上り参照信号に基づいて隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報を推定する。対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部124により推定された隣接セル内のユーザ端末に対応するチャネル情報は、セル間ビーム干渉量推定部152に入力される。
また、セル間ビーム干渉量推定部152には、隣接セル基地局から、当該隣接セル基地局が送信ビームフォーミングの対象として選択したユーザの情報(隣接セルユーザ選択情報)が有線回線を通じて入力される。このように、自セルユーザ向け送信ビームフォーミング行列、隣接セルユーザのチャネル情報、及び隣接セルユーザ選択情報が入力されると、セル間ビーム干渉量推定部152は、これらの情報に基づき、自セルユーザ向け送信ビームフォーミング行列に基づく送信ビームフォーミングにより、隣接セルユーザ選択情報が示すユーザに対して与えるセル間ビーム干渉量を推定する。
このセル間ビーム干渉量により、自セル向けの送信ビームフォーミングを施した送信信号が隣接セルユーザ選択情報に示されたユーザに与える干渉の大きさを推定することができる。セル間ビーム干渉量推定部152により推定されたセル間ビーム干渉量は、セル間干渉ユーザ存在判定部128に入力される。
セル間ビーム干渉量が入力されると、セル間干渉ユーザ存在判定部128は、入力されたセル間ビーム干渉量が所定の閾値を越えるユーザ端末を特定する。そして、セル間干渉ユーザ存在判定部128により特定されたユーザ端末は、自セルの分散アンテナシステムによるセル間干渉の影響を受けやすいユーザ端末であると判定される。このようにしてセル間干渉ユーザ存在判定部128により特定されたユーザ端末のチャネル情報は、送信ビームフォーミング行列再計算部154に入力される。
ユーザ選択部144により選択されたNユーザのチャネル情報、及びセル間干渉ユーザ存在判定部128により特定された隣接セルユーザのチャネル情報が入力されると、送信ビームフォーミング行列再計算部154は、これらのチャネル情報に基づいて拡張チャネル行列を生成し、その拡張チャネル行列を用いて送信ビームフォーミング行列を算出する。
そして、送信ビームフォーミング行列再計算部154により算出された送信ビームフォーミング行列は、送信ビームフォーミング部108に入力される。送信ビームフォーミグ行列が入力されると、送信ビームフォーミング部108は、入力された送信ビームフォーミング行列を用いて送信シンボルベクトルに送信ビームフォーミングを施し、N本の分散アンテナから送信する。
上記のように、本変形例においては、自セル内で選択したNユーザに対する送信ビームフォーミング行列を計算し、さらに隣接セルで選択されたユーザのチャネル情報からセル間ビーム干渉を計算し、そのセル間ビーム干渉量が大きい隣接セルユーザを送信ビームフォーミングの対象に含めて送信ビームフォーミング行列の再計算を行なう。このような操作を行うことにより、実際の送信ビームフォーミングによりセル間ビーム干渉を与えてしまうユーザをより正確に推定することが可能になり、セル間干渉の低減効果が向上する。
[具体例:無線基地局300の構成]
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る無線基地局300の構成について説明する。図11は、本実施形態に係る技術を実際に分散アンテナシステムに対して適用する場合に想定される具体的な基地局(無線基地局300)の構成例を示したものである。
図11に示すように、無線基地局300は、主に、ユーザ選択部302と、AMC部304と、ユーザ別参照信号多重部306と、送信ビームフォーミング部308と、アンテナ共通セル固有参照信号多重部310と、OFDM部312と、FFT部314と、対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部316と、ユーザ選択部318と、送信ビームフォーミング行列計算部320と、アンテナ選択部322、332と、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部324、334と、ユーザ選択部326、336と、セル間ビーム干渉量推定部328、338と、被セル間干渉ユーザランキング部330と、被干渉ユーザ選択部340と、送信ビームフォーミング行列再計算部342と、を有する。
まず、アンテナ共通セル固有参照信号多重部310において、N本の分散アンテナ間で共通の下り参照信号が生成される。そして、アンテナ共通セル固有参照信号多重部310は、送信データに下り参照信号を多重して送信フレームを生成する。アンテナ共通セル固有参照信号多重部310で生成された送信フレームは、各分散アンテナに対応するOFDM部312に入力される。OFDM部312は、送信フレームを直並列変換し、並列化されたビット列を互いに直交する複数のサブキャリア信号に変換した後、そのサブキャリア信号に逆フーリエ変換(IFFT)を施してOFDM信号を生成する。OFDM部312で生成されたOFDM信号は、それぞれ対応する分散アンテナから送信される。
このようにして時分割複信の下り回線で送信された下り参照信号は、各ユーザにおけるチャネル情報の推定に利用され、そのチャネル情報を用いて上り参照信号が送信される。例えば、各ユーザにおいて推定されたチャネル情報に基づいて上り参照信号用に送信ビームフォーミング行列が算出され、上り参照信号に対する送信ビームフォーミングに利用される。なお、上り参照信号もOFDM信号の形で送信されるものとする。時分割複信の上り回線で自セルのユーザ及び隣接セルのユーザから送信された上り参照信号は、自セル内に配置された分散アンテナにより受信される。
そして、受信された上り参照信号は、FFT部314により周波数領域に変換され、それぞれ対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部316、及びアンテナ選択部322、332に入力される。対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部316は、自セル内のユーザから受信した上り参照信号に基づいてチャネル情報を推定する。対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部316により推定されたチャネル情報は、ユーザ選択部318に入力される。
自セル内に存在するKユーザ(K>N;Nは下り回線で可能な空間多重数)のチャネル情報が入力されると、ユーザ選択部318は、送信ビームフォーミング後のデータ伝送スループットが最大となるようにNユーザを選択し、ユーザ選択の結果(自セルユーザ選択情報)を隣接セルの基地局に通知する。さらに、ユーザ選択部318は、自セルユーザ選択情報をユーザ選択部302に入力すると共に、選択したユーザのチャネル情報を送信ビームフォーミング行列計算部320、及び送信ビームフォーミング行列再計算部342に入力する。
選択ユーザのチャネル情報が入力されると、送信ビームフォーミング行列計算部320は、自セル内のNユーザに対する送信ビームフォーミング行列を計算する。そして、送信ビームフォーミング行列計算部320により算出された送信ビームフォーミング行列は、セル間ビーム干渉量推定部328、338に入力される。
一方で、アンテナ選択部322、332は、隣接セル毎に設定された分散アンテナのサブセットを選択し、各隣接セルに対応する上り参照信号を受信する。アンテナ選択部322、332により受信された上り参照信号は、それぞれ対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部324、334に入力される。上り参照信号が入力されると、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部324、334は、隣接セルユーザのチャネル情報を推定する。そして、対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部324、334により推定されたチャネル情報は、ユーザ選択部326、336に入力される。
ユーザ選択部326、336には、各隣接セル基地局から、各隣接セルにおけるユーザ選択結果を示す隣接セルユーザ選択情報が入力される。そこで、ユーザ選択部326、336は、隣接セルユーザ選択情報が示す隣接セルユーザを選択し、その選択ユーザのチャネル情報をセル間ビーム干渉量推定部328、338にそれぞれ入力する。隣接セルユーザのチャネル情報が入力されると、セル間ビーム干渉量推定部328、338は、入力されたチャネル情報、及び自セルユーザ向けの送信ビームフォーミング行列に基づき、その送信ビームフォーミング行列を用いた送信ビームフォーミングにより隣接セルユーザに与えるセル間ビーム干渉量を計算する。
セル間ビーム干渉量推定部328、338により算出されたセル間ビーム干渉量は、被セル間干渉ユーザランキング部330に入力される。各隣接セルユーザのセル間ビーム干渉量が入力されると、被セル間干渉ユーザランキング部330は、セル間ビーム干渉量が大きい順に隣接セルユーザをランキングする。そして、被セル間干渉ユーザランキング部330によるランキング結果は、被干渉ユーザ選択部340に入力される。ランキング結果が入力されると、被干渉ユーザ選択部340は、セル間ビーム干渉量が大きい順に所定数(例えば、Nユーザ)の隣接セルユーザを選択する。そして、被干渉ユーザ選択部340により選択された隣接セルユーザのチャネル情報が送信ビームフォーミング行列再計算部342に入力される。
送信ビームフォーミング行列再計算部342は、セル間ビーム干渉量が大きいNユーザのチャネル情報を用いて自セルユーザ向けのチャネル行列を拡張し、拡張チャネル行列を生成する。さらに、送信ビームフォーミング行列再計算部342は、生成した拡張チャネル行列を用いて送信ビームフォーミング行列を算出する。このようにセル間ビーム干渉量が大きいと推定された隣接ユーザを送信ビームフォーミングの対象ユーザに含めることにより、セル間ビーム干渉が抑制される。送信ビームフォーミング行列再計算部342により算出された送信ビームフォーミング行列は、送信ビームフォーミング部308に入力され、送信ビームフォーミングに利用される。
まず、ユーザ選択部302により、ユーザ選択部318から入力された選択ユーザの情報に基づいてユーザが選択され、その選択ユーザのユーザindexが送信ビームフォーミング部308に入力される。また、送信ビームフォーミング部308には、送信ビームフォーミング行列再計算部342により算出された送信ビームフォーミング行列が入力されている。さらに、送信ビームフォーミング部308には、ユーザ別参照信号多重部306により生成されたユーザ毎に固有の下り参照信号が入力される。
なお、ユーザ別参照信号多重部306で生成される下り参照信号は、アンテナ共通セル固有参照信号多重部310で生成される下り参照信号とは異なり、ユーザ選択部302で選択された各ユーザに対して生成された固有の下り参照信号である。この下り参照信号が入力されると、送信ビームフォーミング部308は、入力された送信ビームフォーミング行列を用いて下り参照信号に送信ビームフォーミングを施す。送信ビームフォーミング部308により送信ビームフォーミングが施されたユーザ毎に固有の下り参照信号は、OFDM部312に入力されてOFDM信号の形に変換された後、自セル内に配置された複数の分散アンテナから送信される。
各ユーザにおいては、無線基地局300から受信したユーザ毎に固有の下り参照信号に基づいてSINRが推定される。さらに、推定されたSINRに基づいて、誤り無く復号可能であり、かつ、最大の伝送速度を達成することが可能なModulation and coding set(MCS)が選択される。そして、各ユーザにおいて選択されたMCSを示すMCSインデックスが無線基地局300に帰還される。そして、無線基地局300に帰還されたMCSインデックスは、AMC部304に入力される。
MCSインデックスが帰還されると、AMC部304は、入力されたMCSインデックスに基づいて送信データに誤り訂正符号化及び変調マッピングを施す。なお、誤り訂正符号としては、例えば、Turbo符号が用いられる。また、AMCは、Adaptive Modulation and Codingの略である。
AMC部304により誤り訂正符号化及び変調マッピングが施された送信データは、送信ビームフォーミング部308に入力される。そして、送信ビームフォーミング部308は、AMC部304で誤り訂正符号化及び変調マッピングが施された送信データに送信ビームフォーミングを施す。送信ビームフォーミング部308により送信ビームフォーミングが施された送信データは、OFDM部312に入力されてOFDM信号に変換され、自セル内に設置された複数の分散アンテナから送信される。
以上、本実施形態に係る無線基地局300の構成例について説明した。このように、分散アンテナシステムの下り回線において、セル間干渉を与えそうな隣接セルユーザを推定し、自セルユーザと共に送信ビームフォーミングの対象ユーザとして考慮することにより、セル間干渉による伝送特性の劣化を低減させることが可能になる。その結果、隣接セルのスループットを向上させることが可能になる。また、隣接セルにおいても同様の処理を行なうことにより、自セルのスループットが向上する。このような効果は、既に説明した本実施形態に係る各構成を適用することにより得られる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 無線基地局
12 対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部
14 送信ビームフォーミング行列計算部
16 送信ビームフォーミング部
100 無線基地局
102 対自セル内Nユーザ用チャネルベクトル推定部
104 対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部
106、156 送信ビームフォーミング行列計算部
108 送信ビームフォーミング部
122、132 アンテナ選択部
124、134 対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部
126、136 セル間干渉量推定部
128、138 セル間干渉ユーザ存在判定部
142 対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部
144 ユーザ選択部
152 セル間ビーム干渉量推定部
154 送信ビームフォーミング行列再計算部
200 ユーザ端末
202 Zadoff−Chu系列生成部
204 サブキャリアマッピング部
206 IFFT+GI付加部
300 無線基地局
302 ユーザ選択部
304 AMC部
306 ユーザ別参照信号多重部
308 送信ビームフォーミング部
310 アンテナ共通セル固有参照信号多重部
312 OFDM部
314 FFT部
316 対自セル内Kユーザ用チャネルベクトル推定部
318 ユーザ選択部
320 送信ビームフォーミング行列計算部
322、332 アンテナ選択部
324、334 対隣接セル内ユーザ用チャネルベクトル推定部
326、336 ユーザ選択部
328、338 セル間ビーム干渉量推定部
330 被セル間干渉ユーザランキング部
340 被干渉ユーザ選択部
342 送信ビームフォーミング行列再計算部

Claims (7)

  1. 自セル内に分散して配置された複数の分散アンテナと、
    前記複数の分散アンテナと、前記自セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する自セル内チャネル情報取得部と、
    前記複数の分散アンテナと、前記自セルに隣接する隣接セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する隣接セル内チャネル情報取得部と、
    前記自セル内チャネル情報取得部及び前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づき、前記自セルと前記隣接セルとの間のセル間干渉が抑制されるように、前記複数の分散アンテナを用いて送信する送信信号にビームフォーミングを施す送信ビームフォーミング部と、
    を備えることを特徴とする、無線基地局。
  2. 前記隣接セル内に位置する無線端末から周波数分割多元接続方式で上り参照信号を取得する参照信号取得部をさらに備え、
    前記参照信号取得部は、前記隣接セル内チャネル情報取得部におけるチャネル情報の取得に用いられる前記上り参照信号を取得する際、前記隣接セル内の無線端末に対して前記自セル内の無線端末とは異なる周波数分割多元接続信号の位相を割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の無線基地局。
  3. 同じ周波数分割多元接続信号の位相が割り当てられた複数の前記隣接セルが存在する場合、前記隣接セル内チャネル情報取得部は、前記参照信号取得部により前記各隣接セルの近くに配置された一部の分散アンテナから取得された上り参照信号を用いてチャネル情報を取得し、当該チャネル情報を前記各隣接セル内の無線端末に関するチャネル情報とすることを特徴とする、請求項2に記載の無線基地局。
  4. 前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得された隣接セル内に位置する無線端末に関するチャネル情報に基づいて受信電力の大きな前記隣接セル内の無線端末を選択する端末選択部をさらに備え、
    前記送信ビームフォーミング部は、前記端末選択部により選択された前記隣接セル内の無線端末に対する前記セル間干渉が抑制されるように、前記送信信号にビームフォーミングを施すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線基地局。
  5. 前記隣接セルにおいて送信ビームフォーミングの対象として選択された無線端末を示す選択情報を当該隣接セルの無線基地局から取得する選択情報取得部をさらに備え、
    前記送信ビームフォーミング部は、前記選択情報取得部により取得された選択情報が示す無線端末に関し、前記隣接セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づいて当該無線端末に対するセル間干渉が抑制されるように、前記送信信号にビームフォーミングを施すことを特徴とする、請求項4に記載の無線基地局。
  6. 前記自セル内チャネル情報取得部により取得されたチャネル情報に基づいて前記自セル内の無線端末に対するビームフォーミング行列を算出する自セル内ビームフォーミング行列算出部と、
    前記自セル内ビームフォーミング行列算出部により算出されたビームフォーミング行列及び前記選択情報取得部により取得された選択情報に基づき、当該ビームフォーミング行列を用いてビームフォーミングを施した場合におけるセル間干渉量を算出するセル間干渉量算出部と、
    をさらに備え、
    前記端末選択部は、前記自セル内ビームフォーミング行列算出部により算出されたビームフォーミング行列を用いてビームフォーミングを施した場合に前記セル間干渉量算出部により算出されるセル間干渉量が大きくなる前記隣接セル内の無線端末を選択することを特徴とする、請求項5に記載の無線基地局。
  7. 自セル内に分散して配置された複数の分散アンテナを有する無線基地局が、
    前記複数の分散アンテナと、前記自セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する自セル内チャネル情報取得ステップと、
    前記複数の分散アンテナと、前記自セルに隣接する隣接セル内に位置する無線端末のアンテナとの間のチャネル情報を取得する隣接セル内チャネル情報取得ステップと、
    前記自セル内チャネル情報取得ステップ及び前記隣接セル内チャネル情報取得ステップで取得されたチャネル情報に基づき、前記自セルと前記隣接セルとの間のセル間干渉が抑制されるように、前記複数の分散アンテナを用いて送信する送信信号にビームフォーミングを施す送信ビームフォーミングステップと、
    を含むことを特徴とする、無線通信方法。
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