JP2006140388A - 低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜および太陽電池の製造方法 - Google Patents

低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜および太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トンネル炉等の気密性の低い簡易な設備を用いて行うことができる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法を提供する。
【解決手段】水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する大気中で加熱処理を行うことで抵抗増加を防止し、かつ、簡易な設備で水素または低分子量有機化合物蒸気処理を行うことのできるフッ素ドープ酸化スズ膜およびフッ素ドープ酸化スズ膜を用いた太陽電池の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用透明導電基板に好適に用いられる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜および太陽電池の製造方法に関する。
従来、太陽電池用透明導電基板に用いられる透明導電膜として、ガラス基板上に形成させた酸化スズ膜や酸化インジウム膜などが知られており、中でも、酸化スズ膜は化学的に安定な材料であり、また低価格であるため、主としてアモルファス太陽電池用基板用について活発な研究が行われている。このような透明導電膜においては、導電性をできるだけ高く維持しつつ透明化を図ることが重要である。
ガラス基板上に酸化スズ膜を形成させる一般的な方法としては、四塩化スズを用いたスプレー法およびCVD法(化学気相蒸着法)が挙げられるが、特に高性能な導電膜を形成する場合には、活剤としてフッ素(F)をドーピングした酸化スズ膜をCVD法で成膜する方法が用いられる。しかしながら、このようにフッ素をドーピングする場合、酸化スズ膜の比抵抗は10−4Ωcm台にまで低減され、導電性の高い膜が比較的容易に得られるという利点を有するが、逆に透過率の高い膜が得にくいという傾向があった。これは、フッ素を用いた場合、伝導電子密度を比較的容易に増大させることが低抵抗化を可能にしているが、伝導電子の増加は光学吸収を増大させるため、透過率は逆に減少してしまうためである。逆に、伝導電子密度の小さい膜では透過率は向上するものの、抵抗が著しく増大し、太陽電池等に用いることができる程度に低抵抗の膜は得にくかった。また、伝導電子密度の小さい膜を低抵抗化するためには膜厚を厚くする必要があるが、これは吸収増大を招く。結果的に、高透明と低抵抗の両立は困難であった。
このような低抵抗かつ高透明という酸化スズ膜に対する要求に対し、引用文献1においては、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含み、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を基板上に形成し、フッ素ドープ酸化スズ膜を窒素等の非酸化性雰囲気に曝露することによりフッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化する方法が提案されている。また、引用文献2においては水蒸気雰囲気に暴露しても低抵抗化できることが提案されている。
特公平7−105166号公報 特開2003−81633号公報
従来技術の方法により、低抵抗かつ高透明のフッ素ドープ酸化スズ膜が得るには、非酸化性雰囲気の酸素濃度が極めて低い場合、例えば、真空チャンバを用いて密閉系で非酸化性雰囲気に曝露する必要があるが、真空チャンバ等の設備のコストが増大する。引用文献2で指摘されているように非酸化性雰囲気の酸素濃度がある程度高い場合には、太陽電池用の透明導電膜に要求される程度に低抵抗を実現することができないことが示されている。
また、特許文献2の方法は暴露雰囲気に水蒸気を導入することによって、雰囲気中の酸素濃度0.3%以下で水蒸気濃度14%以上では有用な低抵抗化が実現できるもの、空気雰囲気(およそ酸素20%)では十分な低抵抗化効果が得られないことが判明している。また、水蒸気濃度14%以上では露点はおよそ53℃であり、冷却過程で露点よりも低い部分と接すると結露して水滴となるため、設備の腐食や水滴落下によるガラス割れなど不都合が多いことが判明している。そこで、本発明者は空気雰囲気でもフッ素ドープ酸化錫膜を十分に低抵抗化させ、なおかつ水滴などによる設備上の不都合を排除する方法を提案することを目的とする。
透明導電基板の量産設備として、一般に、基板上に酸化スズ膜をCVD法により成膜した後、連続的にアニール処理(熱処理)および冷却を行う、トンネル型マッフル炉(以下、単に「トンネル炉」という。)が用いられているが、このトンネル炉は密閉系の装置ではないため、成膜直後に雰囲気を置換するなどして酸素濃度を最も低くした場合でも、酸素濃度は0.2〜0.3vol%程度であり、従来技術の方法を適用するのに十分低い酸素濃度を実現することは困難である。また、トンネル炉の先端側に真空装置をインラインでつけることは、設備コストが高くなってしまう。即ち、本発明者は、トンネル炉を用いた場合のように、酸素濃度がある程度高い場合に、従来技術の方法を適用することは困難であることを知見したのである。また、本発明者は、従来技術の方法により、基板温度150℃以上で非酸化性雰囲気に曝露して酸化スズ膜を低抵抗化した場合、その後、基板を冷却する工程で、酸化スズ膜が酸化性ガス(例えば、酸素)を含有する雰囲気に曝露されると、酸化スズ膜の抵抗値が上昇することを知見した。しかしながら、上述したトンネル炉において、冷却を行う部分(冷却ゾーン)の酸素濃度を極めて低くすることは、非酸化性雰囲気に曝露する際の酸素濃度を低くするのと同様に、困難である。
したがって、本発明は、酸素濃度の比較的高い雰囲気を用いることができるため、トンネル炉等の気密性の低い簡易な設備を用いて行うことができる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法を提供することを第一の目的とする。また、本発明は、熱処理により低抵抗化した酸化スズ膜の抵抗値を冷却工程で上昇させないで、低抵抗のまま維持し、または更に低抵抗化することができる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法を提供することを第二の目的とする。
本発明者は、上記第一の目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のフッ素ドープ酸化スズ膜を太陽電池用として十分に低抵抗化させるための暴露雰囲気に水素または低分子量有機化合物蒸気を含有させた空気を用いることにより、十分低い抵抗値の酸化スズ膜を得ることができることを見出し、本発明の第一の態様を完成した。本発明の第一の態様は、基板上に形成された、フッ素(F原子換算)を酸化スズ(SnO換算)に対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度が150〜700℃で、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気に曝露することにより、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を得る低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法を提供する。
即ち、本発明の第一の態様は、基板上に形成された、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度が100〜700℃で、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気に曝露することにより低抵抗化する、フッ素ドープ酸化スズ膜の低抵抗化方法である。
また、本発明者は、上記第二の目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の熱処理の後の冷却工程において水素および低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気に暴露させることにより、特定の熱処理により低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗のまま維持し、または更に低抵抗化することができることを見出し、本発明の第二の態様を完成した。
本発明の第二の態様は、基板上に形成された、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度が150〜700℃で、酸素100ppm以下の非酸化性雰囲気に曝露するか、非酸化性ガスと、0.1vol%以上の水蒸気と100volppm〜21vol%の酸素とを含有する雰囲気に曝露するか、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気に曝露して得られる低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気で冷却して、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を製造する製造方法を提供する。
即ち、本発明の第二の態様は、基板上に形成された、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度が150〜700℃で、酸素100ppm以下の非酸化性雰囲気に曝露するか、非酸化性ガスと、0.1vol%以上の水蒸気と100volppm〜21vol%の酸素とを含有する雰囲気に曝露するか、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気非酸化性雰囲気に曝露するかして得られる低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を、曝露後に0.001〜10vol%の水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気で冷却する、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜の冷却する工程を持つ製造方法である。
特に、本発明の第一の態様と第二の態様を組み合わせた低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法が好ましい。即ち、基板上に形成されたフッ素を酸化スズに対し、0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm-3であるフッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度が150〜700℃で、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気に曝露し、その後、水素または低分子量有機化合物蒸気0.001〜10vol%を含有した空気雰囲気で冷却して、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を得る、低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法は、本発明の好適な態様の一つである。
本発明によれば、フッ素ドープ酸化スズ膜の透過率を維持したまま、導電性を大きく改善することが可能となる。したがって高透明かつ低抵抗が要求される太陽電池用の透明導電基板に用いた場合、入射光の損失と電流損失を最小限に留めることができ、太陽電池の光電変換効率を大きく向上することができる。
また本発明によれば、処理雰囲気として高純度の窒素や多量の水蒸気を使用する必要がなく、主成分として空気を用いることが可能であり、雰囲気を確保するために気密性の高い設備や高純度のガス原料を使用する必要がないため、安価な設備および原料を用いることができる。
またトンネル型の連続処理炉を用いた場合、冷却工程で炉壁は低温になるため、多量の水蒸気雰囲気では炉壁への結露による障害が多々発生する。しかし本発明によれば、水素あるいは蒸気圧の高い低分子量有機化合物蒸気を用いること、および低濃度でも十分な低抵抗化が可能であることにより、低温でも結露しない条件を作ることが可能であり、設備を簡素化することができる。
特に常圧熱CVD法は加熱、製膜および冷却を連続的に行う方法であり、徐冷または冷却工程で本発明による低抵抗化処理方法を使用することにより、低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜を容易に連続生産することができるので、製造コストを抑え極めて有用である。
なお、フッ素ドープ酸化スズ導電膜上に被膜が積層されている場合でも、該被膜が酸素原子の透過性を有している限りにおいては本発明による導電膜の低抵抗化は可能である。該被膜材料としては膜厚約100nm以下のアルミニウム、チタン、亜鉛、シリコンなどの酸化物が挙げられる。
また、本発明により透過率が高く、伝導性の高いフッ素ドープ酸化スズ膜を製造コストを抑えて製造することができるために、前記フッ素ドープ酸化スズ膜を使用した太陽電池の製造コストの低減を行える。
以下に、本発明を詳細に説明する。初めに、本発明の第一の態様について説明する。本発明の第一の態様に用いられるフッ素ドープ酸化スズ膜は、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3である。本発明においては、フッ素ドープ酸化スズ膜が水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する非酸化性雰囲気に曝露されることによって、酸化スズ膜から酸素原子が一部除去され酸素不足の状態となって粒界近傍のキャリア濃度が増大し、ホール移動度が増大するため、低抵抗化が促進されるものと考えられる。
そして、このような効果は、フッ素が酸化スズに対し4mol%以下含有され、キャリア濃度が4×1020cm−3以下であるようなフッ素ドープ酸化スズ膜において、最も顕著であると考えられる。本発明において、酸化スズ膜中のフッ素濃度が酸化スズに対し4mol%以下であるときに顕著な低抵抗化が認められるのは、フッ素が4mol%超含有されていると、膜中にSn−F結合ができたり、粒界にFが偏析したりするために、酸素原子が除去されてホール移動度が増大するのが妨げられるからと考えられる。フッ素濃度が0.01mol%未満であると、酸化スズ膜の結晶性が悪くなり、抵抗値が高くなってしまう。フッ素濃度が酸化スズに対し0.01mol%以上4mol%以下であると、熱処理した場合に、低抵抗化し、かつ、高い透過率を維持することができる。好ましくは、フッ素を酸化スズに対し0.1mol%以上含有する。この場合、特に高透明かつ低抵抗の優れた透明導電膜が得られる。
また、伝導電子密度が4×1020cm−3以下であるときに顕著な低抵抗化が認められるのは、4×1020cm−3を超えると、Fの粒界への偏析が発生し、上記と同様に、酸素原子が除去されてホール移動度が増大するのが妨げられるからと考えられる。また、伝導電子密度が4×1020cm−3を超えると、自由電子による光の吸収が多くなり、透過率が低くなってしまうという欠点もある。また、抵抗値は伝導電子密度と移動度の積に反比例するため、伝導電子密度が5×1019cm−3未満であると、抵抗値の絶対値が高くなり、低抵抗の透明導電膜として実用的でなくなるため、好ましくない。伝導電子密度が5×1019cm−3以上かつ4×1020cm−3以下であると、水素または低分子量有機化合物蒸気雰囲気に曝露した場合に、低抵抗化し、かつ、高い透過率を維持することができる。好ましくは、伝導電子密度が1×1020以上である。
この場合、特に高透明かつ低抵抗の優れた透明導電膜が得られる。フッ素ドープ酸化スズ膜の膜厚は、太陽電池の透明電極の用途に、透過率および抵抗値を満足するようにするためには、50nm以上1500nm以下であるのが好ましく、600nm以上1200nm以下であるのがより好ましい。
このような比較的厚い膜厚の範囲において、本発明による低抵抗化の効果が特に顕著に表れる。なお、フッ素ドープ酸化スズ膜の膜厚は、熱処理(例えば、後述する水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気での曝露)や、冷却(例えば、後述する水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気での冷却)を行った後でも、ほぼ同じである。
上記フッ素ドープ酸化スズ膜が形成される基板は、透光性基板であれば特に限定されないが、透明性、光学的特性、耐久性、電気的特性等の点で、ソーダライムシリケートガラス板、アルミノシリケートガラス板、ホウケイ酸塩ガラス板、リチウムアルミノシリケートガラス板等のアルカリ含有ガラス板、低アルカリ含有ガラス板、無アルカリガラス板、石英ガラス板が好ましい。場合によっては、透明性プラスチック板や透明性プラスチックフィルムを使用することもできる。
なお、ソーダライムシリケートガラス板等のアルカリ含有ガラス板、または低アルカリ含有ガラス板においては、その表面のアルカリ成分が溶出して、その上に形成される酸化スズ膜に欠点が発生する場合があるので、これを防止するために基板の酸化スズ膜形成面に、SiO、Al、ZrO等の酸化物を主体とするアルカリ成分の拡散を防止するコート(アルカリバリヤーコート)を形成した後に酸化スズ膜を形成するのが好ましい。基板上にフッ素ドープ酸化スズ膜を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、スプレー法;CVD法;真空蒸着、スパッタリング等のPVD法を用いることができる。中でも、量産性が高く良質な膜が容易に得られる点で、CVD法が好ましい。
本発明の第一の態様においては、上記基板上に形成された、上記フッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度150〜700℃で低分子量有機化合物蒸気を含有した空気雰囲気に曝露することにより、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を得る。
以下、水素または低分子量有機化合物蒸気を含有した空気雰囲気での曝露の条件について、詳細に説明する。発明の第一の態様に用いられる暴露雰囲気は、非酸化性ガスと、0.001〜10vol%以上の水素または低分子量有機化合物蒸気と、100volppm〜21vol%の酸素とを含有する。非酸化性ガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。さらにはこれらの混合物である空気でもよい。コストおよび取扱い易さの点で、空気が最も好適である。
本発明の第一の態様においては、空気雰囲気に水素または低分子量有機化合物蒸気を含有することが必須であり、その含有量は、0.001〜10vol%である。雰囲気中に水素または低分子量有機化合物蒸気が上記範囲で含有されることにより、雰囲気中の酸素濃度が高い空気でも酸化スズ膜の低抵抗化を実現できる。また、雰囲気中の水素または低分子量有機化合物蒸気の含有量の上限は、特に限定されず、雰囲気ガスがすべて水素または低分子量有機化合物蒸気であってもよいが、水素または低分子量有機化合物蒸気は一般に可燃性や爆発性が高いため、可能な限り低濃度で使用することが望ましい。水素または低分子量有機化合物蒸気含有量が多いほど、フッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化する効果が大きいが、低分子量有機化合物の種類、高温、長時間暴露では酸素原子が過剰除去されて逆に抵抗が増大することも考えられる。また、雰囲気中の低分子量有機化合物蒸気の含有量は、後工程の冷却時に結露が生じない程度であることが好ましく、蒸気圧の高い低分子量有機化合物を選択することが望ましい。
即ち、蒸気圧が高く、可燃性、爆発性が低く、動植物への有害性が低く、低濃度でも低抵抗化効果の高い低分子量有機化合物が好適である。低分子量有機化合物蒸気としてはパラフィン類、オレフィン類、アセチレン類、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、脂肪酸類、エステル類、アミン類などはいずれも効果が期待できるが、蒸気圧が高いため低濃度でも低抵抗化効果の高い低分子量有機化合物としてはアルコール類が好適であり、特にエチルアルコールを用いるとよい。エチルアルコールを使用する場合ではエチルアルコール蒸気の含有量は、0.001vol%以上であることが好ましく、また、3vol%以下であることが好ましい。雰囲気ガスの主成分を空気とし、低分子量有機化合物蒸気を含有させる場合に、著しく低抵抗化できることは、本発明の第一の態様に特有の顕著な効果である。
本発明の第一の目的は、トンネル炉等の気密性の低い簡易な設備を用いて行うことができる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法を提供することである。気密性の低い簡易な設備を用いて酸素の含有量を100volppm未満とすることは現実的ではなく、1%程度としても大量の窒素などの雰囲気ガスを使用することになり、原料費増大や気流制御など設備を複雑化してしまい、効率的ではない。気密性の低い簡易な設備においても、酸素の含有量が、大気の酸素濃度である21vol%を超えることは考えにくく、空気を雰囲気ガスの主成分として使用しても、得られる酸化スズ膜の抵抗値が十分低くすることができ、酸素濃度を制御する必要がなく好適である。また、非酸化性雰囲気の全圧は、気密性の低い簡易な設備においては、ほぼ大気圧(1.013×10Pa)であるが、特に限定されない。
基板温度(最高基板温度)は、150〜700℃とする。特に、低抵抗化が顕著となることから、200〜700℃、更には、300〜500℃とすることが好ましい。なお、低抵抗化の反応速度は比較的早く、5分程度で約90%の反応は進むが、十分に低抵抗化させるためには、最高基板温度を保持する時間は10〜20分程度が好ましい。本発明の第一の態様によれば、酸素濃度がある程度高い場合であっても、太陽電池用として十分な程度まで、フッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化できるので、気密性の低い簡易な設備を用いることができる。特に、トンネル炉を用いると、量産が可能となるので有用である。
上述したように、フッ素ドープ酸化スズ膜が水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気に曝露されると、酸化スズ膜から酸素原子が一部除去され酸素不足の状態となって粒界近傍のキャリア濃度が増大し、ホール移動度が増大するため、低抵抗化が促進されるものと考えられている。本発明の第一の態様において、雰囲気中に水素または低分子量有機化合物蒸気が含有されると、酸素濃度が高くてもフッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化できる理由は明らかではないが、酸化スズ膜の表面で水素または低分子量有機化合物低分子量有機化合物蒸気が吸着され、酸化スズ膜から一旦除去された酸素原子が再度酸化スズ膜に取り込まれるのをブロックしているという機構が推定される。
本発明の第一の態様により得られた低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜は、その後、冷却されて、太陽電池用等の種々の用途に用いられる。この冷却の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、後述する本発明の第二の態様により冷却されるのが好ましい。本発明の第一の態様により得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜は、比抵抗が1×10−3Ωcm以下であるのが好ましく、8×10−4Ωcm以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、十分に抵抗が低く、太陽電池用として実用的である。本発明の第一の態様を実施する装置は、特に限定されず、例えば、量産設備として一般的なトンネル炉を好適に用いることができる。トンネル炉を用いることにより、フッ素ドープ酸化スズ膜の成膜と、本発明の第一の態様による熱処理と、その後の冷却とを連続的に行うことができる。その場合、冷却方法として、本発明の第二の態様を用いることができる点でも好ましい。
つぎに、本発明の第二の態様について説明する。本発明の第二の態様に用いられるフッ素ドープ酸化スズ膜は、フッ素を酸化スズに対し0.01〜4mol%含有し、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であり、本発明の第一の態様に用いられるフッ素ドープ酸化スズ膜と全く同様である。また、本発明の第二の態様に用いられる基板も、本発明の第一の態様に用いられる基板と全く同様である。本発明の第二の態様に用いられる低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜は、上記フッ素ドープ酸化スズ膜を、基板温度(最高基板温度)が150〜700℃で、非酸化性雰囲気に曝露するか、水蒸気を含む非酸化性ガスに暴露するか、あるいは0.001〜10vol%の水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する空気雰囲気に曝露するかして得られる。この場合の非酸化性雰囲気での曝露の条件は、特に限定されず、例えば、引用文献1に記載されている水素プラズマ、アルゴンまたは窒素を非酸化性雰囲気として用いる方法が挙げられる。中でも、本発明の第一の態様である、基板温度が150〜700℃で、非酸化性ガスと、0.001〜10vol%の水素または低分子量有機化合物蒸気と、100volppm〜21vol%の酸素とを含有する雰囲気に曝露する方法が、雰囲気の酸素濃度が比較的高い場合にも、低抵抗化を実現することができる点で好ましい。
本発明の第二の態様においては、上述したように、特定のフッ素ドープ酸化スズ膜を熱処理して得られる低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を、熱処理後に0.001〜10vol%以上の水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気で冷却して、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜を得る。以下、水蒸気を含有する雰囲気での冷却の条件について、詳細に説明する。
本発明の第二の態様においては、冷却の際の雰囲気が水素または低分子量有機化合物蒸気を含有することが必須であり、その含有量は、0.001〜10vol%の範囲である。冷却の際の雰囲気が水素または低分子量有機化合物蒸気を上記範囲で含有することにより、酸素濃度が空気と同等に高い場合であっても、低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜が再び高抵抗化することを防止できる。一般に含有量が多いほど、フッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化する効果が大きいが、過剰に高濃度場合や基板温度が過剰に高い場合には逆に抵抗が高くなることがある。これはフッ素ドープ酸化スズ膜の酸素原子が過剰に除去されるためと推定される。なお、雰囲気中の低分子量有機化合物蒸気の含有量は、結露を生じない程度であるのが好ましく、特に、エチルアルコール蒸気の場合、含有量が3vol%以下であると、10℃程度(例えば、冷却部での最低壁面温度)まで冷却した場合においても、結露が生じないので好ましい。低分子量有機化合物蒸気の含有量は、低温壁面への結露のないことから上限が選択され、低抵抗化の効果が十分となることから下限を選択することが望ましい。
冷却の際の暴露雰囲気は、非酸化性ガスと、0.001〜10vol%以上の水素または低分子量有機化合物蒸気と、100volppm〜21vol%の酸素とを含有する。非酸化性ガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO)が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、さらにはこれらの混合物である空気でもよい。コストおよび取扱い易さの点で、空気が最も好適である。酸化性ガスとしては、通常、酸素が含有される。酸素の含有量は、特に限定されないが、通常、100volppm〜21vol%である。
トンネル炉等の気密性の低い簡易な設備を用いて冷却を行う場合には酸素の含有量を100volppm未満とすることは現実的ではなく、1%程度としても大量の雰囲気ガスを使用することになり、設備を複雑化させるために効率的ではない。気密性の低い簡易な設備においても、酸素の含有量が、大気の酸素濃度である21vol%を超えることは考えにくく、空気を雰囲気ガスの主成分として使用しても、得られる酸化スズ膜の抵抗値が十分低くすることができ、酸素濃度を制御する必要がなく好適である。冷却の際の雰囲気の全圧は、気密性の低い簡易な設備においては、ほぼ大気圧(約1.013×10Pa)であるが、特に限定されない。冷却時の基板温度は、熱処理工程に導入される際の基板温度にもよるが、通常、冷却開始時において150〜700℃とし、また、冷却終了時において150℃以下とする。
本発明の第二の態様によれば、酸化性ガスの濃度がある程度高い場合であっても、太陽電池用として十分な程度に低く、フッ素ドープ酸化スズ膜の抵抗率を維持し、または更に低抵抗化することができるので、気密性の低い簡易な設備を用いることができる。特に、トンネル炉を用いると、量産が可能になるので有用である。上述したように、熱処理されて低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜が、冷却工程において酸化性ガスを含有する雰囲気に曝露されると、酸化スズ膜の抵抗値が上昇する。この理由は明らかでないが、雰囲気中に含有される酸化性ガスの原子、イオン(例えば、酸素原子や酸素イオン)が、酸化スズ膜に取り込まれ、粒界近傍のキャリア濃度が低下し、ホール移動度が低下するため、再び高抵抗化するものと考えられる。さらには、水素または低分子量有機化合物が酸化される際に、膜内に取り込まれた酸素を還元して抵抗増加を抑制しているものと考えられる。
本発明の第二の態様においては、酸化スズ膜の表面に水素または低分子量有機化合物蒸気が吸着し、冷却の際の雰囲気の含有する酸素原子等が酸化スズ膜に取り込まれるのをブロックしているという機構が推定される。本発明の第二の態様においては、熱処理されて低抵抗化したフッ素ドープ酸化スズ膜が、熱処理後に水素または低分子量有機化合物蒸気を含有する雰囲気で冷却され、抵抗値を維持し、または更に低抵抗化するが、「抵抗値を維持」することには、抵抗値を実質的に上昇させないことのほか、目的に応じた限度で抵抗値の上昇を許容することが含まれる。したがって、冷却条件その他の諸条件によっては、冷却により抵抗値が多少上昇する場合もありうるが、冷却後の抵抗値が目的を達成しうる値であれば、本発明の範囲に含まれる。本発明の第二の態様により得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜は、比抵抗が1×10−3Ωcm以下であるのが好ましく、8×10−4Ωcm以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、十分に抵抗が低く、太陽電池用として実用的である。
本発明の第二の態様を実施する装置は、特に限定されず、例えば、量産設備として一般的なトンネル炉を好適に用いることができる。トンネル炉を用いることにより、フッ素ドープ酸化スズ膜の成膜と、低抵抗化のための熱処理と、その後の本発明の第二の態様による冷却とを連続的に行うことが可能となる。その場合、低抵抗化のための熱処理の方法として、本発明の第一の態様を用いることができる点でも好ましい。また、本発明の第二の態様を実施する装置は、雰囲気中の水素または低分子量有機化合物蒸気含有量が位置によって異なる装置であってもよい。具体的には、例えば、炉壁で結露が生じないように、炉壁温度に応じて水素または低分子量有機化合物蒸気含有量が各場所の温度での飽和蒸気量以下で分布するトンネル炉が挙げられる。即ち、炉壁温度が高い部分(一般に、冷却工程の開始部分)では低分子量有機化合物蒸気含有量が高く、炉壁温度が低い部分(一般に、冷却工程の終了部分)では低分子量有機化合物蒸気含有量が低くなっていて、いずれの部分においても結露を生じないトンネル炉である。このようなトンネル炉を用いれば、炉壁温度が高い部分において、炉壁温度が低い部分よりも水素または低分子量有機化合物蒸気含有量を高くすることができるので、水素または低分子量有機化合物蒸気によりフッ素ドープ酸化スズ膜を低抵抗化のまま維持し、または更に低抵抗化する効果がより強くなるので好ましい。
具体的に説明すると、炉壁温度が冷却工程の開始部分から終了部分に向かって100℃程度から10℃程度まで下がっていくようなトンネル炉においては、炉内の気圧を約1気圧と考え、低分子量有機化合物蒸気をエチルアルコールとした場合の含有量は3vol%以下であると、結露が生じないので好ましい。そして、その間においては、20vol%以上で結露が生じない限度(各場所の温度での飽和水蒸気量)まで低分子量有機化合物蒸気含有量を多くすることができる。
本発明の第一および第二の態様で得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜は、用途を特に限定されないが、本発明の第一および第二の態様で得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜が形成された基板を用いて、従来公知の方法により、太陽電池を製造できる。図2に、本発明の第一および第二の態様で得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜を透明電極として用いた太陽電池の一例の一部縦断面図を示す。図2に示すように、太陽電池30は、透光性基板12と、アルカリバリヤーコート32と、本発明の第一および第二の態様で得られる低抵抗化フッ素ドープ酸化スズ膜からなる第1透明電極14と、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)からなる光電変換層34と、第2導電膜36とを備え、導線38によって光電変換層34において得られた起電力を取り出すことができる。
(実施例1)
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(フッ素ドープ酸化スズ膜の形)
アルカリバリヤーコートとして膜厚約100nmのシリカ膜が形成されたガラス基板(10cm×10cm×1mm)を用意し、十分に洗浄した後、常圧CVD法により四塩化スズを主原料とし、フッ化水素酸をドーパントとして、水との加水分解反応により、膜厚約1000nmのフッ素ドープ酸化スズ膜をシリカ膜上に形成させた。成膜時の基板温度は500〜600℃であった。得られたフッ素ドープ酸化スズ膜は、フッ素含有量が酸化スズに対しおよそ1.0mol%であり、伝導電子密度がおよそ1.6×1020cm−3であり、比抵抗が2.13×10−3Ωcmであった。なお、膜中のフッ素含有量は、フッ素ドープ酸化スズ膜を、亜鉛を含有する塩酸中で溶解した後、ガスクロマトグラフィーにより定量分析を行うことにより得た。また、伝導電子密度はホール効果(van・der・Pauw法)の測定により求めた。ここでは事前にフッ素ドープ酸化スズ膜を形成しておいて、その後熱処理に用いたが、フッ素ドープ酸化スズ膜の形成から熱処理を連続に行ってもよい。
(実験1)
上記で得られたフッ素ドープ酸化スズ膜を、図1に示す装置を用いて、熱処理し、その後、冷却した。図1に示す装置は、トンネル炉(トンネル型マッフル炉)の側面図である。フッ素ドープ酸化スズ膜14が形成された基板12は、ベルトコンベア16でトンネル18内に搬送され、熱処理部20aで熱処理を行い、冷却部20bで冷却を行い取り出す。熱処理部20a、冷却部20bではそれぞれ雰囲気ガスを調整できるが、同一の雰囲気ガスを用いた。基板12の搬送速度は一定で、500mm/minにした。
雰囲気ガス、空気とエタノールで、エタノールの濃度を1.04%、0.42%、0.10%、0.01%、0.001%と順に変化させて基板の熱処理を行った実施例を例1〜5として表1に示す。エタノールの濃度を0%の場合を比較例として例6として表1に示す。また、処理前の抵抗値は10.2Ω/□の基板を用いた。
熱処理温度は、熱処理部20aで最高基板温度が350℃であり、冷却部20bをでたところでの基板温度は150℃であった。結果を表1に示す。
(実験2)
実験1と雰囲気ガス種類を変化させた以外は同様に行った。
雰囲気ガスは窒素と酸素で、酸素の濃度を21%、13.2%、5.3%、1.3%、0.13%、0.013%、0.001%と順に変化させて基板の熱処理を行った比較例の結果を順に例7〜13として表2に示す。
(実験3)
実験1と雰囲気ガス種類を変化させた以外は同様に行った。
雰囲気ガスは窒素と水蒸気と酸素で、水蒸気濃度を14%に固定し、酸素の濃度を20%、2%、0.4%、0.05%、0.002%と順に変化させて基板の熱処理を行った比較例の結果を順に例14〜18として表3に示す。
Figure 2006140388
表1の酸素は空気中の酸素成分を記載した。
なお、表内での0%は、添加していないことを示し、装置外から侵入する大気中の成分は無視した。
Figure 2006140388
なお、表内での0%は、添加していないことを示し、装置外から侵入する大気中の成分は無視した。
Figure 2006140388
なお、表内での0%は、添加していないことを示し、装置外から侵入する大気中の成分は無視した。
上記のようにして熱処理および冷却を受けて得られた各種のフッ素ドープ酸化スズ膜について、シート抵抗を測定し、評価を行った。なお、各フッ素ドープ酸化スズ膜は、太陽電池用として十分な可視光透過率(約85%)を有していた。
実施例の例1〜5の場合では、酸素濃度が約20%の空気の場合でも、エチルアルコール濃度0.01〜1.04%の広い範囲で低抵抗化を十分に実現できており、エチルアルコール0.01〜0.001%領域でも効果は少ないが低抵抗化は行えている。したがって、エチルアルコール添加では広い濃度範囲で低抵抗化することが可能であるために管理が簡単である。また、装置運転中、停止後において結露はなかった。また、酸素濃度は21%と装置内雰囲気ガスが空気でもよいために設備の気密性は既安易なもので済み設備コストが安いことから、極めて好適である。
実験2では酸素濃度は低いほどシート抵抗は低下しているが、0.013%(例11)でも低抵抗化は飽和していない。少なくとも酸素濃度は0.01%以下にする必要があり、厳密な雰囲気制御が必要となり、気密性の高い高価な設備が必要となり設備コスト(製造コスト)が必要になり、実用に向かない。
実験3の窒素、酸素、水蒸気系では、水蒸気添加の効果により酸素濃度の20%(例14)でも不十分であるが低抵抗化が行える。さらに、酸素濃度の低いところ(例16〜18)では低抵抗化は行えるが、気密性の高い高価な設備が必要で設備コストが掛かり、実用に向かない。また、水蒸気による結露が装置停止後に確認されたため、結露対策の設備費も必要になり、実用的でない。
本発明に関わる低抵抗化方法によれば、処理設備の気密性、結露や腐食の問題から解放されるため、廉価な設備が使用可能となる。よって本発明により導電性が高く、透明性に優れたフッ素ドープ酸化スズ膜を製造でき、そして製造コストを低減することができる。このために、本発明で作成されるフッ素ドープ酸化スズ膜は、アモルファスシリコン型や微結晶シリコン型、化合物半導体型、色素増感型などの薄膜型太陽電池用の透明導電膜として極めて有用である。
フッ素ドープ酸化スズ膜の製造方法するトンネル炉の模式図 フッ素ドープ酸化スズ膜を透明電極として用いた太陽電池の一例の断面図
符号の説明
12:透光性基板
14:フッ素ドープ酸化スズ膜(第1透明電極)
16:ベルトコンベア
18:トンネル
20:気体供給源
22:非酸化性雰囲気
24:曝露ゾーン
26:冷却ゾーン
32:アルカリバリヤーコート
34:光電変換層
36:第2導電膜
38:導線

Claims (6)

  1. フッ素を酸化錫に対し0.01〜4mol%含み、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化錫膜を基板上に形成し、基板温度150℃〜700℃で水素または低分子量有機化合物蒸気からなる少なくとも1種類の気体を含有する雰囲気に暴露すること特徴とするフッ素ドープ酸化錫膜の製造方法。
  2. 水素または低分子量有機化合物蒸気濃度が0.001〜10vol%の雰囲気であることを特徴とする請求項1記載のフッ素ドープ酸化錫膜の製造方法。
  3. 水素または低分子量有機化合物蒸気以外の雰囲気ガスは窒素、空気、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、二酸化窒素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の気体であることを特徴とする請求項2記載のフッ素ドープ酸化錫膜の製造方法。
  4. 低分子量有機化合物蒸気の低分子量有機化合物がアルコール類であることを特徴とする請求項1、2、または3記載のフッ素ドープ酸化錫膜の製造方法。
  5. 低分子量有機化合物蒸気の低分子量有機化合物がエチルアルコールであることを特徴とする請求項4記載のフッ素ドープ酸化錫膜の製造方法。
  6. フッ素を酸化錫に対して0.01〜4mol%含み、伝導電子密度が5×1019〜4×1020cm−3であるフッ素ドープ酸化錫膜からなる第1透明電極を形成し、水素または低分子量有機化合物蒸気雰囲気に暴露し、次いで水素プラズマを用いてアモルファスまたは結晶性のシリコン光電変換層を形成し、次いで第2導電膜を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
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