JP2006140120A - 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ - Google Patents

平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ Download PDF

Info

Publication number
JP2006140120A
JP2006140120A JP2005019954A JP2005019954A JP2006140120A JP 2006140120 A JP2006140120 A JP 2006140120A JP 2005019954 A JP2005019954 A JP 2005019954A JP 2005019954 A JP2005019954 A JP 2005019954A JP 2006140120 A JP2006140120 A JP 2006140120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
envelope
glass
windshield
flat panel
rim
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005019954A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4586550B2 (ja
Inventor
Tsunehiko Sugawara
恒彦 菅原
Takahiro Murakami
隆弘 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2005019954A priority Critical patent/JP4586550B2/ja
Publication of JP2006140120A publication Critical patent/JP2006140120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4586550B2 publication Critical patent/JP4586550B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】FED等に用いる外囲器をスペーサレス構造としつつ、ガラスが厚くなることによる質量増加を抑える。またエミッタに接続された配線の取り回しが良好な構造とする。
【解決手段】ガラス容器とその変形を抑制する支持部材とからなる平板ディスプレイ用外囲器であって、ガラス容器はフロントガラスとリアガラスとからなり、支持部材はリム、ブリッジおよびリアプレートからなる。フロントガラスは画像を表示するフェース部と、該フェース部とリアガラスの間に介在するスカート部を有し、スカート部端部のシールエッジ部とリアガラスとが気密封着され、リムはスカート部およびフェース部外表面の外周を支持し、リアプレートはリアガラスに固着されてリアガラスを支持し、リムとリアプレートとが複数のブリッジを介して接合される。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィールドエミッションディスプレイ(以下、「FED」という)を代表とする、冷陰極型電子放出源を有する平板型のディスプレイと、それに用いるガラスと支持部材とからなる外囲器に関する。
近年、テレビジョン放送受像装置(以下、「テレビ」という)として、陰極線管を用いたテレビに替わり液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)やプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)等の平板ディスプレイ(フラットパネルディスプレイ。以下、「FPD」という)に対する需要が高まっている。前記のLCDやPDP以外のFPDとしてはFEDが知られている。前記のFEDは、PDP、陰極線管(以下、「CRT」という)およびLCDに比べて消費電力が小さく、かつLCD等に比べて高輝度・高精細で、視野角が広く見やすいのが特徴で、一般家庭への普及が期待されている。
FEDは、画素ごとに極微小なエミッタ(冷陰極素子)が配置され、CRTと同様に真空中でエミッタから蛍光体へ向け電子線を放出して画像を形成する画像表示装置である。エミッタを画素ごとに独立して駆動するFEDは、CRTと異なり電子ビームを広角度で走査させる必要がないので、CRTよりもはるかに奥行きが薄く、かつ平坦な画像表示面を形成できる。たとえば、特開平7−230776号公報(特許文献1)参照。
従来のFEDは、内部に大気圧に耐え得るための支持構造、且つ間隙保持部材としての複数のスペーサを配置し、蛍光体が塗布されたフロントガラスと、電子を放出するためのエミッタを有するリアガラスとが、側壁を形成する略矩形状の外枠を介して接合されている。すなわち、FEDの外囲器はフロントガラス、リアガラスおよび外枠からなっており、各部材は封着剤を用いて気密封着されている。また、前記のフロントガラスとリアガラスとは、複数のスペーサを介し対向している。
前記外囲器の内部空間、すなわち対向するフロントガラスとリアガラスとの間の空間は典型的には10−3〜10−6Paの高真空状態であり、リアガラス上のエミッタから前記空間中に放出された電子がフロントガラスの内面に形成された蛍光体に衝突して励起発光させる。その結果、画素が発色し画像が形成される。
前述のように外囲器の内部は高真空状態であるが、外囲器の外側から大気圧が負荷された状態においてもフロントガラスとリアガラスとの間の距離(典型的には1〜3mm)を保持する必要があるため、前述のとおり複数のスペーサがフロントガラスとリアガラスの間に介在している。しかしながら、上記のような構造のFEDにおいては、スペーサの存在によって以下のような問題が発生する。
第1の問題は、スペーサ表面でのチャージアップによって生じる、エミッタから放出された電子ビームの揺らぎや、スペーサから放出される2次電子が他の蛍光体を発光させる表示色純度不良などの画質の劣化である。
また、前記スペーサは、ガラス容器の外囲器の内側と外側との気圧差によって負荷された圧力に耐えうる支持構造の役割をも担っている。しかし、多数のスペーサに対し均一な圧力荷重が負荷されるように構成することは困難で、いずれかのスペーサに対し集中的に荷重が負荷される場合がある。
第2の問題は、前記の集中荷重が負荷されることにより、スペーサとフロントガラスとの接触面、および/またはスペーサとリアガラスとの接触面で亀裂の発生が懸念されることである。
第3の問題は、フロントガラスとリアガラスとの間に、アスペクト比が非常に大きいスペーサを多数配置する作業自体、技術的に難易度が高いことである。第4の問題は、スペーサを多数用いるため、部材点数および組み立て工程数が増加して製造工程の煩雑化や生産性の低下に繋がることである。第5の問題は、外囲器の内部を真空にする工程において、狭小な空間内にスペーサが多数個あることによって排気抵抗が増加し、これによって生産性が低下することである。
上記のように、フロントガラスとリアガラスとの間にスペーサを介在させることによって様々な問題を引き起こしている。しかし、スペーサを用いない場合、外囲器の内側と外側の気圧差によってフロントガラスおよびリアガラスが大きく変形し、場合によってはこれらのガラスが破壊する。外囲器内部が前記のように高真空であるがゆえに、フロントガラスの外表面における、各辺に平行な2本の直交する軸(すなわち長軸および短軸)のうち、特に短軸の端部付近において、ガラスを大幅に厚くしない限り通常のガラスの強度を大きく超える引っ張り応力が発生し、破壊に至る。
また、フロントガラスとリアガラスとが直接封着された部分、またはフロントガラスと外枠との封着部分およびリアガラスと外枠との封着部分にも、該封着部分の幅を大幅に大きくしない限り封着強度を大きく上回る引っ張り応力が発生する。したがって、上記のような引っ張り応力に起因して、外囲器の破壊の可能性が懸念されるようになるのである。
引っ張り応力に起因する破壊を防ぐためには、フロントガラスおよびリアガラスを厚くすることによって解消できる。しかし、前述のようにリアガラスはその表面にエミッタが配設されるので、エミッタを配設する工程での取り扱い易さや種々の制約条件に配慮すると上記の引っ張り応力を十分に低下させるまで厚くすることは困難である。
また、フロントガラスとリアガラスを気圧差に耐えうる程度に厚くした場合、外囲器自体の質量が増大すると同時にFEDの奥行きが深くなるので、FEDが有する薄さという利点が幾分損なわれる。なお、本明細書において、FEDの奥行きまたはFED用の外囲器の奥行きとは、画像表示面に対する法線方向の深さをいうものである。
平板型表示装置に用いる、スペーサを使用しない真空容器構造のいくつかの例は、特開平2−239549号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献2の第1図には、平板状のフェースガラス(フロントガラスに相当)と、その後方に設けられた曲面状の耐圧容器と該耐圧容器の外側に接合された外装容器とを備えた真空容器の例が図示されている。
その他のスペーサを使用しない平板型表示装置の真空容器の例は、特開平5−190121号公報(特許文献3)、特開2000−68041号公報(特許文献4)、特開2000−231891号公報(特許文献5)、特開2000−231892号公報(特許文献6)、特開平7−220662号公報(特許文献7)等において開示されている。
前述の特許文献1の図6に示されるように、SED(Surface−conduction Electron−emitter Display:表面伝導型電子放出素子を用いたディスプレイ。FEDの一種)等のFEDのエミッタ(電子放出素子:特許文献1中の符号2074)は、配線(特許文献1中の符号:Dx、Dy)および結線(特許文献1中の符号:2075)とともにリアガラス(電子源基板:特許文献1中の符号2)上に配設されている。
しかし、前記特許文献2の第1図に係る真空外囲器(真空容器)は、外装容器が外側に位置し耐圧容器がその内側に位置する構造となって曲面状のリアパネルを形成している。そのため、特許文献1に係る発明のようにリアパネルの表面にエミッタ(カソード)を配置しようとすると、曲面にエミッタを配置しなければならず、平板に配置する場合と比べて、奥行きが増大するとともに製造が困難になるという問題がある。
したがって、特許文献1の図6に示されるように直接リアパネルにエミッタを配置することができず、特許文献2の第1図に示されるようにリアパネル(耐圧容器および外装容器)から分離してエミッタ(カソード)が設けられている。そのため、エミッタに接続された配線を外囲器の外側に取り出すことが困難になる問題がある。
さらに特許文献2の第5図には、前記の第1図に係る発明の別の態様として、フロントガラス(特許文献2中の符号1)とドーム状のリアパネル(特許文献2中の金属容器2)を熱融着剤(特許文献2中の符号4)で融着し、チャネルメンバー材5で前記のフロントガラスとリアパネルとを挟み込む発明が開示されている。しかしながら、この特許文献2の第5図に係る真空外囲器の場合も、リアパネル上にエミッタを配置することやエミッタに接続された配線を外囲器の外側に取り出すことが困難であるという問題があった。
また、特許文献6では、図2においてフェースパネルと後部外囲器と基板を有し、フェースパネルと後部外囲器の内部に基板を挟み込んで支持する構造が図示されている。また、その応用例として特許文献6の図8には、保持ピンを用いて前記の基板を支持する構造が開示されている。しかし、前述のようにフェースパネルと後部外囲器の間に基板を挟み込む構造の場合、フェースパネルと基板とを気密封着すると同時に、後部外囲器と基板とを気密封着する必要があり封着面が増加する。さらにフェースパネルの端部と後部外囲器の端部とがほぼ対向するように封着しなければならない。そのため前述の封着部分の信頼性が損なわれやすくなる。しかし、特許文献6ではこの封着部分における応力低減のための具体的手段は開示されていない。また、保持ピンで基板を支持する構造の場合、エミッタに接続された導線の取り扱いが困難になるという問題も有する。
特許文献7では、図2において大気側が凸面となっている表面パネルと、裏面パネルと、側板と、押さえ板からなる平面ディスプレイが開示されている。前記押さえ板は、特許文献7の請求項1によれば、パネルの面内方向に圧縮力を付与するものであることが記載されている。
更に前記特許文献7は、パネルの大気側表面に凸面を形成し、パネル端よりパネル面に沿って圧縮力を加えることにより、パネル部中央には、大気圧側に向かって膨らもうとする力が発生し、内部を減圧したことにより発生する力を打ち消す作用を開示している。しかし、パネルの大気側表面に形成される凸面が不十分の場合、パネル端に発生する引っ張り性の力を打ち消す効果が極めて少なくなるか、逆に減圧された内側に向かって凹みを生じて、その引っ張り性の力を高めて逆効果となる。即ち、かかる作用による効果を十分なものにするためには、前記凸面の曲率半径をより小さくしなければならない。
しかし、曲率半径を小さくすると平坦でなくなるため、画像表示部が「平面型」から「曲面型」になり本来のフラットディスプレイの特徴が損なわれ、視認性の問題等を生じる。仮に、画像表示部の曲率半径が大きいままで実用的な平坦度(フラットネス)を確保して前記のへこみを解消しようとすると、ガラスを厚くせざるを得ず、その場合は質量が増大するという問題につながる。
加えて、特許文献7の図2の構造では、表面パネルと側板との接点や裏面パネルと側板との接点を中心としたモーメントが働く。しかし、この構造では押さえ板による圧縮力の付与が一つの方向(面内方向)のみであるため前記モーメントの拘束が不十分で封着部分における引っ張り応力を十分に低減できない。さらに特許文献7の0009段落では、全体の剛性を保つため裏面パネルの大気側の面に補強を施すことが開示されている。しかし、前記の補強は裏面パネルの剛性を高める目的にのみ用いられるものであって、封着部分に発生する引っ張り応力低減には何ら寄与しない。その結果、前記封着部分における破壊の可能性が懸念されるが、特許文献7その具体的な解決策は開示されていない。
特開平7−230776号公報 特開平2−239549号公報 特開平5−190121号公報 特開2001−68041号公報 特開2000−231891号公報 特開2000−231892号公報 特開平7−220662号公報
本発明は、前述のスペーサの影響による種々の問題を解消するため、FED等のFPDに用いる外囲器を、スペーサを使用しない構造(以下、「スペーサレス構造」という。)とすることを第一の目的とするものである。なお、スペーサレス構造とするにあたっては、ガラスが厚くなることによる質量の増加を抑えることも目的とする。また、エミッタに接続された配線の取り回しが良好な構造とすることを第二の目的とする。
前記第一の目的を達成するため、本発明は、
密封可能なガラス容器と、該ガラス容器の内外に圧力差が生じた際の変形を抑制する支持部材とからなり、
前記ガラス容器は、フロントガラスとリアガラスとからなり、
前記支持部材は、リム、ブリッジおよびリアプレートからなるものであって、
前記フロントガラスは、略矩形の画像を表示するフェース部と、該フェース部と前記リアガラスとの間に介在するスカート部とを有し、該スカート部の端部のシールエッジ部と、陰極が配置される平板状の前記リアガラスとが気密封着され、
前記リムは、スカート部およびフェース部外表面の外周を支持し、
前記リアプレートは、リアガラスに固着されてリアガラスを支持し、
前記リムとリアプレートとが、複数のブリッジを介して接合されていることを特徴とする平板ディスプレイ用外囲器を提供する。
また、前記ブリッジは、リムの長辺の中央とリアプレートとを接合していると好ましく、加えてリムの短辺の中央とリアプレートとを接合しているとより好ましく、さらに加えて前記ブリッジが、リムのコーナー部とリアプレートとを接合していると一層好ましい。
さらに、前記密封ガラス容器の内部を真空にしたとき、少なくともフロントガラスのフェース部の端部の外表面に発生する引っ張り応力が最大となる位置に、最外面の圧縮応力値が30MPa以上である圧縮応力層が形成されているとより一層好ましい。
第二の目的を達成するためには、前記フロントガラスのスカート部と、リアガラスとを接着剤を用いて気密封着する場合に、シールエッジ部の外周よりもリアガラスの外周が全周において大きいことが好ましい。そして、前記リムとリアプレートとの間に間隙を有し、リアプレート上の陰極に接続された導線を前記の間隙から外部へと取り出し可能になるように形成されていることが好ましい。
また、前記ブリッジが設けられた位置に対応するリアガラスの縁辺には、凹状の切り欠き部が設けられていることが好ましい。
また、前記リムとフロントガラスとの間には、ヤング率が45〜80GPaである緩衝材が介在していることが好ましい。前記緩衝材は、アルミニウム、カーボン、マグネシウムおよび低融点粉末ガラスのうちの少なくとも一つからなるものであるとより好ましい。
さらに、前記リムとフロントガラスとの間には、ヤング率が3〜80GPaである接着剤が介在していることが好ましい。前記接着剤は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド、インジウム、ポリオキシメチレン共重合体、シリコーン樹脂、低融点粉末ガラスのうちの少なくとも一つからなるものであるとより好ましい。また、前記の緩衝材と接着剤とを併用してもよい。
さらに、前記リアガラスとリアプレートの両者に、これらを連通する排気管が一つ以上設けられているとより好ましい。
また、前記フロントガラスにおいて、フェース部の最外周からとスカート部へとつながる位置に凹部が設けられ段差が形成されているとさらに好ましい。
本発明の平板ディスプレイ用外囲器によれば、ガラス容器の変形を抑える支持構造をガラス容器の外部に設けているので、フロントガラスとリアガラスの間にスペーサを配設しなくても、大気圧が負荷された際に封着部に発生する引っ張り性の応力を低く抑えることができ、安全性を確保することができる。
また、本発明の平板ディスプレイ用外囲器は、エミッタに接続された導線を外部に取り出しやすく形成されているため、電気系統の接続工程等における作業性がよく、生産性が向上するという効果を奏する。すなわち、軽量で安全な平板ディスプレイを効率よく生産できるようになるものであり、特に冷陰極型電子放出源を有するディスプレイにおいて好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において平板ディスプレイとは、本質的に内部が高真空状態で、エミッタから放射された電子線を用いて蛍光体を励起発光させる自発光型の平板ディスプレイをいう。そして、図1に示した本発明の平板ディスプレイ用外囲器1は、ガラス容器と支持部材とから構成されるものである。前記ガラス容器はフロントガラス2およびリアガラス3からなり、これら二つの部品を封着して密封できる構造になっている。模式的に、フロントガラス2およびリアガラス3のみからなるガラス容器4を図2に示す。なお、前記のフロントガラス2およびリアガラス3は、ヤング率(縦弾性係数)が70〜80GPaであれば好ましい。
また、平板ディスプレイ用外囲器1から前記ガラス容器4を省略し、支持部材のみを図3に示す。なお、図1の平板ディスプレイ用外囲器1、図2のガラス容器4および図3の支持部材は、簡略的に全体の4分の1を示したものであり、実際の製品は各図中の軸Aを中心とする対称形である。また、これら図は特徴部を誇張して示したものであり、各部位の寸法比は実際の製品とは異なるものである。なお、本明細書において断ることなく単に「外囲器」と記載する場合は、平板ディスプレイ用外囲器をいうものとする。
前記の支持部材は、リム5、ブリッジ6およびリアプレート7からなる。リム5は、前記フロントガラス2のスカート部8および略矩形のフェース部9の外表面の外周を支持し、リアプレート7は、前記リアガラス3に固着されてリアガラス3を支持し、リム5とリアプレート7とが、複数のブリッジ6を介して接合されているものである。なお前記のリム5とブリッジ6は、一体的に形成されているものでも、二つ以上の部材が接合されるものであってもよい。
また、前記のリム5、ブリッジ6、およびリアプレート7は、ヤング率が110〜250GPaの金属であれば好ましく、160〜210GPaであればさらに好ましい。具体的には、ニッケル(ヤング率=160GPa)、チタン(ヤング率=110GPa)、ステンレス(ヤング率=210GPa)、シリコン含有アルミニウム(ヤング率=220GPa)が好適である。実際には、ヤング率の増加につれて、比重が大きくなり、また熱膨張率も大きくなって、フロントガラスおよびリアガラスとの熱膨張率の差が大きくなる傾向があるので、上記の範囲が好ましい。
気密封着された前記ガラス容器4は、排気することによってその内部10を10−3〜10−6Paの高真空状態にできる。前記ガラス容器4の内部10が高真空となり外表面に大気圧が負荷されると、その気圧差によってガラス容器4を変形しようとする力が働く。しかし、リム5、ブリッジ6およびリアプレート7からなる支持部材が設けられていることによってこのような変形を抑制できるのである。
前記フロントガラス2は、略矩形の画像を表示するフェース部9と、該フェース部9と前記リアガラス3との間に介在するスカート部8とを有している。そして、スカート部8の端部のシールエッジ部11と、陰極が配置された平板状の前記リアガラス3とが気密封着されることで、ガラス容器4が形成される。
気密封着されたガラス容器4は、その内部を真空にしたとき、前記フェース部9が内側方向に湾曲しようとする力が作用する。そのためフェース部9は、曲率を有し外側に凸状の形状になっていることが好ましい。フェース部9が、曲率を有し外側に凸状になっている場合、ガラス容器4の内部が真空になりフェース部9に大気圧が働いた際、該フェース部9が比較的平坦になる。そのため、映像の視認性が向上するだけでなく、フェース部9とリアガラス3との間隙をより均一にでき、画質の向上を図ることができる。
本発明の平板ディスプレイ用外囲器1のように、フロントガラス2のスカート部8およびフェース部9の外表面の外周を支持する支持部材を設けることにより、前述のような気圧差に起因する変形を抑え、その結果として発生する応力を低減することができる。そのため、フロントガラス2とリアガラス3の間にスペーサを配設しなくても、シールエッジ部11の幅を大きくすることなくガラスの変形や破壊を防止できるようになるのである。
前記フロントガラス2のスカート部8と、リアガラス3とを接着剤を用いて気密封着する場合に、接着剤とガラスとの接合形状を安定させる上で、図2に示すようにシールエッジ部11の外周よりもリアガラス3の外周が全周において接着剤のはみ出し幅より十分大きい状態にすることが好ましい。さらにはリアガラス3上に配置されているエミッタ(図示しない)に接続された多数の導線12の配線加工や取り出しが容易になる。さらに、シールエッジ部11の外周とリアガラス3の外周が同じ寸法である場合、両部材の封着時に高精度の位置あわせが要求されるようになると同時に、位置あわせの精度が悪いと封着部に応力集中が生じ強度上の問題が発生する。
前述の気圧差がガラス容器4の内外に生じた場合、略矩形のフェース部9の長辺中央(短軸端部)13の近傍に最も高い引っ張り性の応力が発生し、この応力がガラス容器4の破壊の可能性を高めることにつながる。したがって、前記支持部材のうちのリム5とリアプレート7とをつなぐブリッジ6は、フェース部9の長辺の中央13にあたる位置、すなわちフェース部9の短軸の延長線上に設けられていることが好ましい。このように設けられたブリッジ6により、ガラスの変形や破壊を効果的に防止できるのである。
さらに、前記の引っ張り応力は、フェース部の短辺中央(長軸端部)14の近傍や、フェース部9のコーナー部(対角軸端部)15の近傍にも発生する。したがって、リム5とリアプレート7とをつなぐブリッジ6は、フェース部9の短辺の中央14にあたる位置、および/またはフェース部9のコーナー部15にあたる位置にも設けられているとより好ましい。すなわちブリッジ6は、フェース部9の短軸の延長線上、および/またはフェース部9の対角軸の延長線上に設けられていると好ましいのである。これにより、ガラス容器4を変形しようとする力を抑え、破壊をより一層効果的に防止できる。
さらに、前記リム5は、シールエッジ部11とリアガラス3との間の封着部からはみ出した封着材に対する覆いの役割も兼ねており、各種製造工程において治具が封着材に衝突して強度を低下させることを防止する効果も有する。
前記のようにブリッジ6を設けた場合、フェース部9の長辺中央(短軸端部)13にあたる位置、フェース部の短辺中央(長軸端部)14にあたる位置、およびフェース部のコーナー部15にあたる位置のいずれにも該当しない位置には、特にブリッジ6を設けなくてもよい。そのため、リム5とリアプレート7との間に間隙16を設けることができる。このような構造にすると、エミッタに接続された前述の導線12を間隙16より取り出すことができ、導線12の取り扱いが容易になるので、前記間隙を設けることが好ましい。
前記リム5は、上述のようにフロントガラス2のスカート部8およびフェース部9の外表面の外周を支持するものであるが、リム5とフロントガラス2との間にヤング率が45〜80GPaである緩衝材を介在させるとより好ましい。前記緩衝材として、フロントガラス2およびリム5にヤング率が比較的近いものを介在させることにより、これらが接着されていなくても、フロントガラス2とリム5の相対変位を小さくでき、リム5とそれに接するフロントガラス2との間で発生する応力を低減できる。ただし、緩衝材が必要以上に厚い場合(厚さが1mm以上の場合)や、緩衝材とフロントガラスおよびリムとの間に十分な摩擦力が生じない場合は、リムとフロントガラスとの相対変位を小さくする効果が少なくなり、上記の効果は得られない。
前記緩衝材自体のヤング率は45GPa未満であるとフロントガラス2の周辺に対する十分な補強効果が得られず、80GPaを超えると緩衝材のヤング率がフロントガラスのヤング率より大きくなり、緩衝材とフロントガラス2との間に発生する応力が著しく大きくなるという問題が生じるので、45〜80GPaであると好適である。前記緩衝材のヤング率は70〜80GPaであればより好ましい。
緩衝材として具体的には、アルミニウム(ヤング率:69GPa)、カーボン(ヤング率:70GPa)、マグネシウム(ヤング率:45GPa)、封着用ガラス組成物(ヤング率:70GPa)のうちの少なくとも一つからなるものであると前記の効果を得るために好適である。なお、本発明における前記の封着用ガラス組成物とは、低融点ガラス粉末を含むフリットペーストが焼成されたものをいう。
また、リム5とフロントガラス2との間にヤング率が3〜80GPaである接着剤を介在させることも好ましい。接着剤を介在させることにより、接着剤の薄い層でリムとフロントガラスの相対変位を抑制し、リムおよびブリッジによる補強効果を高くできる。前記接着剤自体のヤング率は3GPa未満であると、接着剤の層が薄い場合でも相対変位を抑制する効果が小さく、80GPaを超えると接着剤のヤング率がフロントガラスのヤング率より大きくなり、接着剤とフロントガラス2との間に発生する応力が著しく大きくなるという問題が生じるので、3〜80GPaであると好適である。前記接着剤のヤング率は、40〜80GPaであればリム5とフロントガラス2の相対変位を高度に抑制できるのでより好ましい。
接着剤として具体的には、ポリイミド(ヤング率:3GPa)、ポリエーテルイミド(ヤング率:9GPa)、ポリフェニレンスルフィド(ヤング率:4GPa)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド(アラミド)(ヤング率:80GPa)、インジウム(ヤング率:10GPa)、ポリオキシメチレン共重合体(ヤング率:3GPa)、シリコーン樹脂(ヤング率:3GPa)、封着用ガラス組成物(ヤング率:70GPa)のうちの少なくとも一つからなるものであると前記の効果を得るために好適である。
また、前記ガラス容器4の内部を真空にしたとき、少なくともフロントガラス2のフェース部9の外表面の最外面に発生する引っ張り応力が最大となる位置に、最外面において30MPa以上の圧縮応力値を有する圧縮応力層が物理強化法または化学強化法によって形成されているとさらに好ましい。前記圧縮応力層が設けられていることにより、未強化のガラスが有する強度をさらに向上できるため、フロントガラスを薄くすることが可能となり、軽量化できる。
前記圧縮応力層を形成する方法としては、特許第2904067号明細書に例示されているような物理強化法や、歪点以下の温度でガラス中の特定のアルカリイオンをそれよりも大きいイオンで置換し、その容積増加で表面に圧縮応力層を形成する化学強化法(イオン交換法)のいずれでもよく、またその他の方法であってもよい。
なお、圧縮応力層の応力値を実測する場合は、次の様に測定する。ガラスの応力測定法の1つとして、ガラスが力を受けた時に生じる主応力方向の屈折率の差がその応力差に比例するという性質を利用して測定する方法がある。応力の加わったガラスに直線偏光を通すとその透過光はそれぞれの主応力の方向に互いに直交する偏光面を持ち、かつ速度の異なる成分波に分解される。それぞれの成分波はガラスを透過した後に一方は他方よりも遅れ、またガラスの屈折率も成分波の速度に応じて、各主応力方向に異なっている。ガラスの応力差は、屈折率の差、いわゆる複屈折に比例するので成分波の位相差がわかれば応力を測定することができる。
この原理を利用した偏光顕微鏡により、残留応力のあるガラス断面に光を透過して、透過後の主応力方向に振動する成分の位相差を測定することにより応力を測定する。この際、ガラス透過前に偏光子を配設し、ガラス透過後に位相差を持つ板と偏光を検出する検光子を配設する。位相差を持つ板の例として、ベレックコンペンセータ、バビネコンペンセータおよび1/4波長板がある。これらを利用することにより測定したい領域の位相差をゼロとするように暗線をつくることができるのでコンペンセータの調節量から応力の値を知ることができる。
また、上記各種コンペンセータの変わりに、565nm前後の光路差を持たせた、わずかな光路差の変化で干渉色が変化する鋭敏色板を利用することにより、ガラス透過後のわずかな複屈折による位相差に応じた干渉色を表すことができ、色によって応力のレベルを識別可能にすることができる。この性質を利用して、ガラス断面を観察し、応力層の厚さを測定する。
さらに、前記フロントガラスにおいては、フェース部の対角軸方向における最大外径dに対して、フェース部の中心の厚さtを所定の範囲の厚さとすることが好ましい。具体的には、フェース部の端部の外表面に発生する引っ張り応力が最大となる位置において、物理強化法や化学強化法等によって圧縮応力層が形成されておらず、公知の方法よって成形した際に意図せず生じる圧縮応力のみが観察されるか、または圧縮応力が観察されない場合においては0.028≦t/d<0.04とすることが好ましい。一方、フェース部の端部の外表面に発生する引っ張り応力が最大となる位置において、物理強化法や化学強化法等によって圧縮応力層が形成されている場合は0.003≦t/d<0.028とすることが好ましい。
このように、フェース部を薄くすることにより、フロントガラスの安全性を確保しつつ軽量化を図ることが可能になるのである。
また、本発明の平板ディスプレイ用外囲器1においては、ガラス容器4の内部10を真空にする排気工程での作業性向上のため、前記リアガラス3とリアプレート7とに、これらを連通する排気管(図示しない)が一つ以上設けられていることが好ましい。
さらに図4に図示するように、前記フロントガラス2においては、フェース部9の最外周からスカート部8へとつながる位置に凹部17が設けられていることが好ましい。この場合、断面は段差が形成された形状となる。通常、フェース部9とスカート部8とをつなぐ位置(以下、「ブレンドR部」という)は、フェース部9とスカート部8に比べてガラスが厚くなる。そのため、ブレンドR部は成型時に加熱した後も熱が蓄えられやすい。
これに対し、比較的薄肉であるフェース部の中央は速やかに放熱し冷却されるため、フェース部9中央とブレンドR部との間に温度差が生じ、フロントガラス2には不適切な変形やクラックを生じるおそれがある。
しかしながら、本発明のようにブレンドR部に凹部が設けられていると、当該箇所が薄肉になるだけでなく表面積も広くなるので効率的な放熱・冷却効果が得られ、フェース部9中央との温度差を縮小できる。したがってフロントガラス2に生じる前記の問題を解消できるのである。
さらに、ブレンドR部とその周辺部の熱容量が小さくなるため、容器を真空にするための排気時の加熱工程においてもフロントガラス2全体をより迅速かつ均一に加熱できる。そのため、前記の凹部17を設けたフロントガラス2は、その製造時において温度差に起因する不要な引張応力の発生を抑制できる。
なお、上述のようにフロントガラス2のブレンドR部に凹部17が設けられている場合、図6に示すように前記フロントガラス2を支持するリム5の形状に凸部を設け、リム5とフロントガラス2が密着するように構成することが好ましい。
以下、本発明の平板ディスプレイ用外囲器を実施例に基づいて詳細に説明する。本実施例においては、以下の値(表1に記載する)を条件とした。
Figure 2006140120
上記の条件のもと、図1に示されるような外囲器の4分の1のモデルに関し、実施例として有限要素法(10節点4面体要素)によってフェース部に大気圧が負荷された場合の応力の数値解析を行った(例1〜4)。また、比較例として、支持部材のうちのリムとブリッジを備えずガラス容器とリアガラスの補強板(リアプレート)のみからなるモデルについても同様に応力の数値解析を行った(例5〜例8)。例7は、封着部に発生する引張応力の最大値が4MPaになるようにシールエッジ部の幅を設定した例である。例8は、フェース部短軸端部に発生する引張応力の最大値がが11MPaになるようにフロントガラスのフェース部中央のガラスの厚さを設定したものである。
なお、例1〜8においては、リアプレート、リムおよびブリッジがいずれもニッケル(ヤング率:160GPa)からなるものと設定した。以下、例1〜8について説明する。
(例1)フロントガラスのシールエッジ部の幅を20mm、フェース部中央の厚さ(t)を15mm、リアプレートの厚さを15mmとし、リム、ブリッジおよびリアプレートからなる支持部材を有する外囲器の実施例である。
(例2)フェース部中央の厚さを例1よりも10mm厚くし、その他は例1と同じ条件とした実施例である。
(例3)フェース部中央の厚さを例1よりも15mm厚くし、その他は例1と同じ条件とした実施例である。
(例4)フェース部中央の厚さを例1よりも23mm厚くし、その他は例1と同じ条件とした実施例である。
(例5)シールエッジ部の幅が例1よりも10mm薄く、リアプレートを備えているもののリムおよびブリッジを備えていない外囲器である(比較例)。その他は例1と同じ条件である。
(例6)シールエッジ部の幅を例5よりも10mm厚くし、その他は例5と同じ条件とした比較例である。
(例7)封着部に発生する引張応力の最大値を4MPa以下に抑えるため、シールエッジ部の幅を調整し、その他は例5と同じ条件とした比較例である。
(例8)封着部に発生する引張応力の最大値を4MPa以下に抑えるため、シールエッジ部の幅を調整し、フェース部中央の厚さを例5よりも10mm厚くし、その他は例5と同じ条件とした比較例である。
上記の例1〜例8について、フェース部中央のたわみ、封着部およびフェース部短軸端部に発生する引っ張り応力の最大値を表2および表3に示す。
Figure 2006140120
Figure 2006140120
上記の数値解析の結果より、リム、ブリッジおよびリアプレートが一体となった本発明の支持部材を備えた例1〜4の外囲器は、リムおよびブリッジを備えない例5および例6の外囲器に比べてフロントガラスのたわみが小さいことが分かる。また本発明の外囲器は、内部にスペーサを持たない構造であるにもかかわらず、シールエッジ部の幅を過剰に大きくすることなく、大気圧が負荷された際の「封着部に発生する引張応力の最大値」が極めて小さなものになることが分かった。
なお、例1および例2の実施例はフェース部の短軸端部に圧縮応力層を形成することを前提としているため、当該箇所には比較的高い最大引張応力が発生している。したがって、表中のフェース部短軸端部における最大引張応力によって破壊しないための強化圧縮応力を導入することが必要となる。
一方、例3および例4の実施例は、フェース部を厚くすることによりフェース部短軸端部に発生する最大引張応力が小さくなっているので、強化圧縮応力の付与(圧縮応力層の形成)は必要ない。
例1の実施例は、例2〜4に比べてフロントガラスのフェース部中央のたわみが大きいが、外囲器内部を真空にする前の時点でフェース部が外側に凸状となるように湾曲させることによって前記の「フェース部中央のたわみ」を抑制できる。
具体的には、「外囲器内部を真空にする前にはフェース部が平坦であるが、外囲器内部を真空にした後、フェース部が外囲器の内側方向へa(mm)たわむ」というフロントガラスの場合、真空にする前の時点でフェース部中心が外側にa(mm)凸状になるようにフェース部形状を湾曲させることにより、真空にした後のフェース部をほぼ平坦にできる。その結果、フェース部が平坦であっても過剰にガラスを厚くすることなく、大気圧に耐えうる外囲器を提供できるので好ましい。
また、リムおよびブリッジを備えずシールエッジ部の幅を大きくすることで封着部に発生する引張応力の最大値を、例3および例4と同様に4MPaに抑えようとすると、例7および例8の比較例のようにシールエッジ部の幅を35mmにしなければならない。そのため、本発明の実施例(例1〜4)のシールエッジ部の幅(20mm)に比べて大幅に大きくなる。
前記例7および例8の比較例のようにシールエッジ部の幅が大きくなると、封着材(接着剤)を塗布する面積が大きくなるので、封着時において封着材に適切な加熱が施される部分と十分に熱が届かない部分との差が生じて封着むらとなる。その結果、封着強度の低下につながり適切な真空度を保つことが困難になる。また、フェース部の対角軸方向における最大外径をdを一定にした場合、シールエッジ部の幅が大きくなると蛍光体を塗布する画像表示域が小さくなる。
さらに、リムおよびブリッジを備えずシールエッジ部の幅を大きくし、かつフェース部中央のガラスを厚くすることでフェース部短軸端部に発生する最大引張応力を低く(11MPa)抑えようとすると、例8のようにシールエッジ部の幅を35mmとすると同時にフェース部中央のガラスの厚さを25mmにしなければならず、一層の質量増加につながる。
前記例1の有効面積に等しく、リムおよびブリッジを備えない場合には、同程度の封着部の最大応力に抑えようとすると、フロントガラスの外径を大きくしなければならない。
たとえば、シールエッジ部の幅を35mmとし、有効画面の面積を例1と等しくし、リムおよびブリッジを備えず、かつ例4と同様にフェース部短軸端部に発生する最大引張応力を7MPaに抑え、かつ封着部に発生する最大引張応力を4MPaに抑えようとするとフェース部中央は35mmとなり、例8(t=25mm)よりも厚くなる。このようなフロントガラスの場合、例1のフロントガラスの質量の2.53倍、例4のフロントパネルの質量の1.02倍となる。すなわち、リムおよびブリッジを備えていないことによって、一層の質量増加につながる。
次に、フロントガラスのブレンドR部に凹部を持たせることによって得られる効果について示す。ここではブレンドR部に凹部を有する例(例11)と、ブレンドR部に凹部がない例(例12)の2つについて、冷却開始から所定時間経過後の温度を示す。具体的には、表4に示す条件で有限要素法による非定常熱伝導解析を行い、ガラス全体の温度が1000℃から常温になるまでのガラス温度を数値計算により求めた。なお、前記数値計算は軸対称解析であり、解析の対象とした断面形状を図5に示す。図5の(a)は例11のフロントガラスの断面を示し、図5の(b)は例12のフロントガラスの断面を示す。また、図5中の点Mは、ガラス周辺部での温度参照点を示す。
Figure 2006140120
前述の例11および例12の冷却開始後の温度変化を表5に示す。下記のT(℃)は、図5に示した温度参照点Mにおける温度である。またT(℃)は、外表面上におけるフェース部の中心の温度である。
Figure 2006140120
上記表5の結果より、周辺部のブレンドR部に凹部を有する本発明のフロントガラス(例11)は、凹部を有しないフロントガラス(例12)に比べて、冷却過程におけるフェース部中央と周辺部の温度差が非常に小さい。そのため、温度差に起因する不要な引張応力の発生を低減できると同時に、常温までの冷却時間を短縮できるため、製品品質の観点および成形効率の観点で有利である。
本発明の平板ディスプレイ用外囲器は、大気圧が負荷された際に発生する応力に耐えうる強度を有しているので、フロントガラスとリアガラスとの間にスペーサを配設する必要がなく、スペーサに起因する種々の問題を解消できる。また、エミッタに接続された導線の取り扱いが容易であるため、製造工程での作業性に優れ有用である。
本発明の平板ディスプレイ用外囲器の一部(4分の1)を示す説明図。 本発明の平板ディスプレイ用外囲器におけるガラス容器の一部(4分の1)を示す説明図。 本発明の平板ディスプレイ用外囲器における支持部材の一部(4分の1)を示す説明図。 本発明の平板ディスプレイ用外囲器におけるフロントガラスの周辺形状を示す説明図。 ブレンドR部に凹部を有するフロントガラスおよびブレンドR部に凹部がないフロントガラスの断面形状と温度参照点を示す説明図。 ブレンドR部に凹部を有するフロントガラスを有する本発明の平板ディスプレイ用外囲器の一部(4分の1)を示す説明図。
符号の説明
1:平板ディスプレイ用外囲器
2:フロントガラス
3:リアガラス
4:ガラス容器
5:リム
6:ブリッジ
7:リアプレート
8:スカート部
9:フェース部
11:シールエッジ部
12:導線
13:フェース部の長辺中央
14:フェース部の短辺中央
15:フェース部のコーナー部
17:凹部

Claims (20)

  1. 密封可能なガラス容器と、該ガラス容器の内外に圧力差が生じた際の変形を抑制する支持部材とからなり、
    前記ガラス容器は、フロントガラスとリアガラスとからなり、
    前記支持部材は、リム、ブリッジおよびリアプレートからなるものであって、
    前記フロントガラスは、略矩形の画像を表示するフェース部と、該フェース部と前記リアガラスとの間に介在するスカート部とを有し、該スカート部の端部のシールエッジ部と、陰極が配置される平板状の前記リアガラスとが気密封着され、
    前記リムは、スカート部およびフェース部外表面の外周を支持し、
    前記リアプレートは、リアガラスに固着されてリアガラスを支持し、
    前記リムとリアプレートとが、複数のブリッジを介して接合されていることを特徴とする平板ディスプレイ用外囲器。
  2. 前記フロントガラスのスカート部と、リアガラスとを気密封着したときにおいて、シールエッジ部の外周よりもリアガラスの外周が全周において大きい請求項1記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  3. 前記ブリッジが、少なくともリムの長辺の中央とリアプレートとを接合している請求項1または請求項2に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  4. 前記ブリッジが、リムの短辺の中央とリアプレートとを接合している請求項3に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  5. 前記ブリッジが、リムのコーナー部とリアプレートとを接合している請求項4に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  6. 前記リムとリアプレートとの間に間隙を有し、リアプレート上の陰極に接続された導線を前記の間隙から外部へと取り出し可能に形成されている請求項3、請求項4または請求項5に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  7. 前記ブリッジが設けられた位置に対応するリアガラスの縁辺に、凹状の切り欠き部が設けられている請求項3〜6に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  8. 前記リムとフロントガラスとの間に、ヤング率が45〜80GPaである緩衝材が介在している請求項1〜7に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  9. 前記リムとフロントガラスとの間に、固化時のヤング率が3〜80GPaである接着層が介在している請求項1〜7に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  10. 前記リムとフロントガラスとの間に、ヤング率が45〜80GPaである緩衝材および固化時のヤング率が3〜80GPaである接着層が介在している請求項1〜7に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  11. 前記緩衝材が、アルミニウム、マグネシウム、カーボンおよび封着用ガラス組成物のうちの少なくとも一つからなる請求項8または請求項10に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  12. 前記接着剤が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド、インジウム、ポリオキシメチレン共重合体、シリコーン樹脂および封着用ガラス組成物のうちの少なくとも一つからなる請求項9または請求項10に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  13. 前記ガラス容器の内部を真空にしたとき、少なくともフロントガラスのフェース部の端部の外表面に発生する引っ張り応力が最大となる位置に、最外面において30MPa以上の圧縮応力値を有する圧縮応力層が物理強化法または化学強化法によって形成されている請求項1〜12に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  14. 前記フロントガラスにおいて、フェース部の対角軸方向における最大外径をd、フェース部の中心の厚さをtとするとき、0.028≦t/d<0.04なる関係を有する請求項1〜12に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  15. 前記フロントガラスにおいて、フェース部の対角軸方向における最大外径をd、フェース部の中心の厚さをtとするとき、0.003≦t/d<0.028なる関係を有する請求項13に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  16. 前記リアガラスとリアプレートとに、これらを連通する排気管が一つ以上設けられている請求項1〜15に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  17. 前記フロントガラスとリアガラスとが封着剤によって封着され、前記リムは、そのリアガラス側の下端部に外側へ突出したフランジ部を有し、該フランジ部の幅をw、前記封着剤がフロントガラスのシールエッジ部の幅を超えてはみ出た領域の最大はみ出し幅をwとするとき、w>wなる関係を有する請求項1〜16に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  18. 前記フロントガラスにおいて、フェース部の最外周からスカート部へとつながる位置に凹部が設けられている請求項1〜17に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  19. 前記フロントガラスのフェース部が、外側に凸状となるように湾曲している請求項1〜18に記載の平板ディスプレイ用外囲器。
  20. 冷陰極型電子放出源を有し、請求項1〜19に記載の平板ディスプレイ用外囲器を用いたことを特徴とする平板ディスプレイ。
JP2005019954A 2004-01-29 2005-01-27 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ Expired - Fee Related JP4586550B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005019954A JP4586550B2 (ja) 2004-01-29 2005-01-27 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004021788 2004-01-29
JP2004300076 2004-10-14
JP2005019954A JP4586550B2 (ja) 2004-01-29 2005-01-27 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006140120A true JP2006140120A (ja) 2006-06-01
JP4586550B2 JP4586550B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=36620800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005019954A Expired - Fee Related JP4586550B2 (ja) 2004-01-29 2005-01-27 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4586550B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110264874A (zh) * 2014-08-22 2019-09-20 Agc株式会社 车载显示装置

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61121243A (ja) * 1984-11-16 1986-06-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 真空容器
JPH04315742A (ja) * 1991-03-07 1992-11-06 Mitsubishi Electric Corp 画像表示装置
JPH05144387A (ja) * 1991-11-18 1993-06-11 Mitsubishi Electric Corp 陰極線管装置
JPH07142016A (ja) * 1993-11-22 1995-06-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 平面型画像表示装置
JPH09199060A (ja) * 1996-01-18 1997-07-31 Canon Inc 画像形成装置
JPH11185669A (ja) * 1997-12-18 1999-07-09 Matsushita Electron Corp 平板型画像表示装置
JP2001035419A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Asahi Glass Co Ltd 防爆型陰極線管
JP2003109528A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Works Ltd 表示装置
JP2003109526A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Works Ltd 表示装置
JP3179633U (ja) * 2006-10-11 2012-11-08 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト 印刷機のインキ溝

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61121243A (ja) * 1984-11-16 1986-06-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 真空容器
JPH04315742A (ja) * 1991-03-07 1992-11-06 Mitsubishi Electric Corp 画像表示装置
JPH05144387A (ja) * 1991-11-18 1993-06-11 Mitsubishi Electric Corp 陰極線管装置
JPH07142016A (ja) * 1993-11-22 1995-06-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 平面型画像表示装置
JPH09199060A (ja) * 1996-01-18 1997-07-31 Canon Inc 画像形成装置
JPH11185669A (ja) * 1997-12-18 1999-07-09 Matsushita Electron Corp 平板型画像表示装置
JP2001035419A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Asahi Glass Co Ltd 防爆型陰極線管
JP2003109528A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Works Ltd 表示装置
JP2003109526A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Works Ltd 表示装置
JP3179633U (ja) * 2006-10-11 2012-11-08 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト 印刷機のインキ溝

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110264874A (zh) * 2014-08-22 2019-09-20 Agc株式会社 车载显示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4586550B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1560251B1 (en) Envelope for a flat panel display and flat panel display employing the envelope
US20070171350A1 (en) Hermetic container and image display apparatus
JP4586550B2 (ja) 平板ディスプレイ用外囲器およびそれを用いた平板ディスプレイ
US7817221B2 (en) Image display apparatus
JP5627370B2 (ja) 減圧気密容器及び画像表示装置の製造方法
KR100648987B1 (ko) 화상표시장치의 제조방법, 화상표시장치 및 tv장치
US6987351B2 (en) Flat panel for use in a cathode ray tube
US6919677B2 (en) Glass funnel for a cathode ray tube and cathode ray tube
US7771558B2 (en) Adhesive and method of manufacturing image display apparatus using the same
JP2007115524A (ja) 平板ディスプレイ用外囲器及び平板ディスプレイ
JP2002319346A (ja) 表示装置およびその製造方法
JP2006351429A (ja) 陰極線管
US8310140B2 (en) Airtight container and image displaying apparatus using the same
JP2000231891A (ja) 画像表示装置
JP2011081414A (ja) 表示装置
JPH0589795A (ja) 真空容器
JP2005332730A (ja) ディスプレイ装置並びにディスプレイモジュール及びディスプレイパネル
KR20020091806A (ko) 컬러 음극선관용 유리 벌브 및 컬러 음극선관
JP2006294569A (ja) 平板ディスプレイ用外囲器及び平板ディスプレイ
US20070029923A1 (en) Display panel
US7629732B2 (en) Cathode ray tube having a scatter-proof band
KR20030001294A (ko) 음극 선관 및 표시 장치
JP2001143641A (ja) ディスプレイ用真空容器
EP1388881A2 (en) Glass bulb for a cathode ray tube and cathode ray tube
JP2007188784A (ja) 画像表示装置およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070926

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090323

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100730

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20100810

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20100823

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees