〔参考形態1〕
まず、本発明の参考となる第1の参考形態について図1ないし図3および図20に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本参考形態1に係る液晶表示装置は、図1に示すように、前述の従来の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4とを備えているが、さらにオフセット電圧設定部5および制御部6が付加されている。
液晶パネル1は、マトリクス基板11と、これと平行に対向して設けられた対向基板12と、両基板11・12との間に充填された液晶(図示せず)とを有している。マトリクス基板11上には、互いに交差する複数の走査線G(0) …G(3) および複数の信号線S(0) …S(3) と、マトリクス状に配置された表示セル13…とが設けられている。
表示セル13は、図20に示すように、隣接する2本の走査線G(j) ・G(j+1) と隣接する2本の信号線S(i) ・S(i+1) とで包囲された領域に形成される。この表示セル13は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以降、TFTと称する)14と、液晶容量CLCとによって構成される。パネルによっては、液晶容量CLCと並列に別途、補助容量を設ける場合があるが、その説明を簡略化のため省略する。
TFT14は、ゲートが走査線G(j) に接続され、ソース信号が信号線S(i)に接続される。ソース信号は、正極性用の信号電圧Vspおよび負極性用の信号電圧Vsnである。複数の階調を表示する場合は、正極性用および負極性用の信号電圧がそれぞれ必要となる場合場合があるが、その説明を簡略化のため省略する。
液晶容量CLCは、TFT14に接続される表示電極15と、これに対向する対向電極16と、両電極15・16間に挟持される液晶17とからなっている。対向電極16は、全表示セル13…に共通となるように対向基板12上に設けられている。
このような表示セル13において、表示電極15は、TFT14のドレインおよびソースを介して信号線S(i) と接続され、TFT14のゲートが走査線G(j) に接続されている。また、対向電極16は、バッファ回路4から出力される共通電圧Vcom が印加されている。これによって、TFT14がONしている期間に信号線S(i) から電圧が書き込まれ、この電圧と共通電圧Vcom との電位差により、液晶の透過率または反射率が変調され、表示セル13…に入力画像データに応じた画像が表示される。また、各表示セル13では、液晶容量CLCに蓄積された電荷が一定期間保持されるので、TFT14がOFFしても画像の表示がそれに応じて維持される。
走査線駆動回路2は、外部から与えられるスタートパルスをクロックのタイミングでシフトさせて、さらにバッファ回路を介して、走査線G(0) …G(3) を選択するための後述するゲートパルスを出力する。一方、信号線駆動回路3は、外部から与えられるスタートパルスをクロックのタイミングでシフトさせて、そのシフトパルスに基づいて映像データをサンプリングした後、ホールドして1ライン分の映像データをバッファ回路を介して走査線S(0) …S(3) に出力する。
オフセット設定部5は、抵抗5a・5bおよび切替スイッチ5cを有している。
電圧設定手段としての抵抗5a・5bは、ともに、一端に直流の基準電位Vref1が印加され、他端が接地されている。また、抵抗5a・5bは、可変抵抗であることによってオフセットの調整が可能であり、それぞれのタップから第1電圧Vcom1と第2電圧Vcom2とが取り出される。第1電圧Vcom1は、切替スイッチ5cの一方の接点に入力され、第2電圧Vcom2は、切替スイッチ5cの他方の接点に入力される。切替スイッチ5cは、後述する制御部6からの制御信号CONT1によって、入力される第1電圧Vcom1または第2電圧Vcom2のいずれか一方を切り替えてバッファ回路4に出力する。
バッファ回路4は、入力された第1電圧Vcom1または第2電圧Vcom2の一方を共通電圧Vcom として対向電極16に出力する。第1電圧Vcom1は、高速リフレッシュを行う表示モードAの場合の共通電圧Vcom の電圧レベルとなり、第2電圧Vcom2は、低速リフレッシュを行う表示モードBの場合の共通電圧Vcom の電圧レベルとなる。
制御部6は、CPUなどを含むシステムコントローラであり、表示モードAと表示モードBとを切り替える機能を有している。例えば、本液晶表示装置が携帯電話に組み込まれる場合、表示モードAでは、通話時などの通常表示状態で高速のリフレッシュ動作が行われる。また、表示モードBは、待機時などの必要最小限の表示状態で低速のリフレッシュ動作が行われる。また、テレビジョンやコンピュータのモニタなどに用いられる一般の液晶表示装置においては、次のような表示モードA・Bであってもよい。例えば、表示モードA・Bを変える場合として、コンピュータ表示で表示モードを変える場合や、TV表示モード(NTSCやPAL)を切り替える場合の他、小電力化を目的とした低周波駆動や休止駆動の場合がある。
ここで、上記のように構成される液晶表示装置における共通電圧Vcom の切り替え動作について説明する。
任意の表示セル13について着目し、その表示セル13を1回の書き込み走査毎に液晶17を交流駆動する場合、図2に示すように、表示モードAにおいて、最初のリフレッシュ期間Tv1で、電位差(Vgh−Vgl)のゲートパルス(ゲートON電圧Vgh,ゲートOFF電圧Vgl)が、走査線駆動回路2から走査線G(j)に出力されると、TFT14がONするので、その間に信号線駆動回路3から信号線S(i) に出力されている正極性の信号電圧Vspが、表示セル13に書き込まれ、その後は液晶容量CLCによって保持される。次のリフレッシュ期間Tv1では、同じくTFT14がONしている期間に、信号線駆動回路3から信号線S(i)に出力されている負極性の信号電圧Vsnが、同様に表示セル13に書き込まれて保持される。
表示モードAでは、オフセット電圧設定部5において、制御部6からの“H”レベルの制御信号CONT1によって、切替スイッチ5cが抵抗5a側に切り替えられる。これにより、第1電圧Vcom1が共通電圧Vcom として選択されて、対向電極16に印加される。すると、第1電圧Vcom1を基準として定まる、最初のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P1) と、次のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N1) とがほぼ等しくなる。
一方、表示モードBにおいては、表示モードAと同様にして、最初のリフレッシュ期間Tv2で、信号電圧Vspの書き込みおよび保持が行われ、次のリフレッシュ期間Tv2で、信号電圧Vsnの書き込みおよび保持が行われる。ただし、表示モードBでは、オフセット電圧設定部5において、制御部6からの“L”レベルの制御信号CONT1によって、切替スイッチ5cが抵抗5b側に切り替えられる。これにより、共通電圧Vcom が、第1電圧Vcom1より高い第2電圧Vcom2に切り替えられて対向電極16に印加される。すると、第2電圧Vcom2を基準として定まる、最初のリフレッシュ期間Tv2で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P3) と、次のリフレッシュ期間Tv2で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N3) とがほぼ等しくなる。
このように、本参考形態1の液晶表示装置では、オフセット電圧設定部5において、リフレッシュ期間Tv1・Tv2の長さがそれぞれ異なる表示モードA・Bに応じて共通電圧Vcom のレベルを切り替えるようにしている。これにより、リフレッシュ期間Tv1・Tv2でそれぞれ異なる共通電圧Vcom (第1および第2電圧Vcom1・Vcom2)が設定される。それゆえ、表示モードA・B間でTFT14のオフ時におけるリーク放電量の違いによって生じる正極性の実効電圧と負極性の実効電圧の不均衡を、上記のように共通電圧Vcom を適正に設定することによってほぼなくすことができる。
それゆえ、表示された画像に現れるフリッカが大幅に抑制されるので、表示画像の品位を向上させることができる。本参考形態1では、保持容量が液晶容量CLCのみで構成されているが、液晶容量CLCと補助容量とを組み合わせて補助容量が構成されていてもよい。また、電極構造としては、マトリクス基板11上に対向電極16が形成されている、いわゆるIPSモードのような構成であってもよい。
続いて、本参考形態1の変形例について説明する。
本変形例に係る液晶表示装置は、図3(a)に示すように、オフセット電圧設定部5が、前述の抵抗5a・5bに代えて電圧設定手段としての抵抗5e〜5hを有するとともに、前述の切替スイッチ5cに代えて切替スイッチ5iを有している。
抵抗5e・5fの一端には、ともに基準電位Vref1が印加されている。抵抗5eの他端は、切替スイッチ5iの一方の接点に接続され、抵抗5fの他端は、切替スイッチ5iの他方の接点に接続されている。抵抗5g・5hの一端は、ともに接地されている。抵抗5gの他端は、切替スイッチ5iの一方の接点に接続され、抵抗5hの他端は、切替スイッチ5iの他方の接点に接続されている。
切替スイッチ5iは、制御部6からの前述の制御信号CONT1が“H”レベルのとき、抵抗5e・5gが接続された接点をバッファ回路4に接続する。また、切替スイッチ5iは、制御信号CONT1が“L”レベルのとき、抵抗5f・5hが接続された接点をバッファ回路4に接続する。
このような構成では、表示モードAのときに、オフセット電圧設定部5において、切替スイッチ5iが抵抗5e・5gを直列に接続するので、基準電位Vref1が抵抗5e・5gによって分圧されて第1電圧Vcom1が得られる。一方、表示モードBのときには、切替スイッチ5iが抵抗5f・5hを直列に接続するので、基準電位Vref1が抵抗5f・5hによって分圧されて第2電圧Vcom2が得られる。
前述の抵抗5a・5bを用いたオフセット電圧設定部5では、切替スイッチ5cに接続されなくても抵抗5a・抵抗5bに常時電流が流れる。このため、異なる長さの表示モードがより多く設定されるのに伴って抵抗設定回路が増加し、それらの全てに電流が流れることによって消費電力が増大する。これに対し、上記の構成によれば、いずれか一方の抵抗5e・5gまたは抵抗5f・5hの抵抗対が切替スイッチ5iによって接続されないので、その抵抗対には電流が流れない。それゆえ、長さの異なる表示モードがより多く設定されるのに伴って抵抗設定回路が増加しても、消費電力は増大しない。
さらに、他の変形例に係る液晶表示装置は、図3(b)に示すように、オフセット電圧設定部5が、図1の抵抗5a・5bに代えて直列に接続された抵抗5j・5kを有している。電圧設定手段としての抵抗5j・5kは、可変抵抗であって、それぞれのタップから第1電圧Vcom1と第2電圧Vcom2とが取り出される。第1電圧Vcom1は、切替スイッチ5cの一方の接点に入力され、第2電圧Vcom2は、切替スイッチ5cの他方の接点に入力される。
このような構成では、表示モードAのときに、オフセット電圧設定部5において、切替スイッチ5cが低電位側の抵抗5jに接続されるので、共通電圧Vcomとして第1電圧Vcom1が得られる。一方、表示モードBのときには、切替スイッチ5cが高電位側の抵抗5kに接続されるので、共通電圧Vcom として第2電圧Vcom2が得られる。
上記の構成では、抵抗5j・5kが直列に接続されるので、異なる長さの表示モードがより多く設定されるのに伴って、より多くの共通電圧レベルが必要な場合でも、信号レベル取り出し用のタップの数を増加させればよい。それゆえ、共通電圧Vcom の電圧レベルが多く必要な場合でも、電流の流れる電流路が増加しないので、消費電力を増大させることがない。
なお、本参考形態1においては、電圧設定手段として抵抗を用いているが、それ以外に電圧の分圧が可能であるコンデンサなどであってもよい。これは、後述する実施の形態および各参考形態でも同様である。
〔参考形態2〕
本発明の第2の参考形態について図4ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本参考形態2において、前述の参考形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
本参考形態2に係る液晶表示装置は、図4に示すように、前述の参考形態1の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4とを備えている。また、本液晶表示装置は、参考形態1のオフセット電圧設定部5および制御部6(図1参照)に代えて、オフセット電圧設定部7および制御部8を備えている。本液晶表示装置では、参考形態1の液晶表示装置と異なり、対向電極16(図20参照)に付与する共通電圧Vcom を一定値に固定する一方、信号線駆動回路3に与える信号電圧Vsp・Vsnを表示モードに対応してオフセットさせる。
オフセット電圧設定部7は、抵抗7a〜7dおよび切替スイッチ7e・7fを有している。
電圧設定手段としての抵抗7a〜7dは、ともに、一端に基準電位Vref2が印加され、他端が接地されている。また、抵抗7a〜7dは、可変抵抗であることによってオフセットの調整が可能であり、それぞれのタップから第1電圧Vsp1と、第2電圧Vsp2 と、第1電圧Vsn1 と、第2電圧Vsn2 とが取り出される。
第1電圧Vsp1 は、切替スイッチ7eの一方の接点に入力され、第2電圧Vsp2 は、切替スイッチ7eの他方の接点に入力される。切替スイッチ7eは、後述する制御部8からの制御信号CONT2によって、入力される第1電圧Vsp1 または第2電圧sp2 のいずれか一方を切り替えて信号線駆動回路3に出力する。一方、第1電圧Vsn1 は、切替スイッチ7fの一方の接点に入力され、第2電圧Vsn2 は、切替スイッチ7fの他方の接点に入力される。切替スイッチ7fは、上記の制御信号CONT2によって、切替スイッチ7eと同期して入力される第1電圧Vsn1 または第2電圧sn2 のいずれか一方を切り替えて信号線駆動回路3に出力する。
制御部8は、CPUなどを含むシステムコントローラであり、参考形態1の制御部6(図1参照)と同様に、表示モードAおよび表示モードBを切り替える機能を有している。制御部8は、表示モードAが設定されるとき、“H”レベルの制御信号CONT2を出力し、表示モードBが設定されるとき、“L”レベルの制御信号CONT2を出力する。
ここで、上記のように構成される液晶表示装置における信号電圧Vsp・Vsnの切り替え動作について説明する。
任意の表示セル13について着目し、その表示セル13を1回の書き込み走査毎に液晶17を交流駆動する場合、図5に示すように、表示モードAにおいて、最初のリフレッシュ期間Tv1で、電位差(Vgh−Vgl)のゲートパルス(ゲートON電圧Vgh,ゲートOFF電圧Vgl)が、走査線駆動回路2から走査線G(j)に出力されると、TFT14がONするので、その間に信号線駆動回路3から信号線S(i) に出力されている正極性の信号電圧Vspが、表示セル13に書き込まれ、その後は液晶容量CLCによって保持される。次のリフレッシュ期間Tv1では、同じくTFT14がONしている期間に、信号線駆動回路3から信号線S(i)に出力されている負極性の信号電圧Vsnが、同様に表示セル13に書き込まれて保持される。
表示モードAでは、オフセット電圧設定部7において、制御部8からの“H”レベルの制御信号CONT2によって、切替スイッチ7e・7fが抵抗7a・7c側に切り替えられる。これにより、第1電圧Vsp1 ・Vsn1 がそれぞれ信号電圧Vsp・Vsnとして選択されて、信号線駆動回路3に印加される。すると、第1電圧Vsp1 ・Vsn1 に基づいて定まる、最初のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P1) と、次のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N1) とがほぼ等しくなる。
一方、表示モードBにおいては、表示モードAと同様にして、最初のリフレッシュ期間Tv2で、信号電圧Vspの書き込みおよび保持が行われ、次のリフレッシュ期間Tv2で、信号電圧Vsnの書き込みおよび保持が行われる。ただし、表示モードBでは、オフセット電圧設定部7において、制御部8からの“L”レベルの制御信号CONT2によって、切替スイッチ7e・7fが抵抗7b・7d側に切り替えられる。これにより、信号電圧Vsp・Vsnが、それぞれ第1電圧Vsp1 ・Vsn1 より低い第2電圧Vsp2 ・Vsn2 に切り替えられて信号線駆動回路3に印加される。すると、第2電圧Vsp2 ・Vsn2 に基づいて定まる、最初のリフレッシュ期間Tv2で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P4) と、次のリフレッシュ期間Tv2で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N4) とがほぼ等しくなる。
このように、本参考形態の液晶表示装置では、オフセット電圧設定部7において、リフレッシュ期間Tv1・Tv2の長さがそれぞれ異なる表示モードA・Bに応じて信号電圧Vsp・Vsnのレベルを同時に切り替えるようにしている。これにより、リフレッシュ期間Tv1・Tv2でそれぞれ異なる信号電圧Vsp・Vsn(第1電圧Vsp1 ・Vsn1 および第2電圧Vsp2 ・Vsn2 )が設定される。それゆえ、表示モードA・B間でTFT14のオフ時におけるリーク放電量の違いによって生じる正極性の実効電圧と負極性の実効電圧の不均衡を、上記のように信号電圧Vsp・Vsnを適正に設定することによってほぼなくすことができる。
それゆえ、表示された画像に現れるフリッカが大幅に抑制されるので、表示画像の品位を向上させることができる。
続いて、本参考形態2の変形例について説明する。
本変形例に係る液晶表示装置でも、オフセット電圧設定部7として図3(a)および(b)のような構成を採用することができる。具体的には、図6(a)に示すように、オフセット電圧設定部7が、前述の抵抗7a〜7dに代えて電圧設定手段としての抵抗7g〜7nを有するとともに、前述の切替スイッチ7e・7fに代えて切替スイッチ7o・7pを有している。
このような構成では、表示モードAのときに、オフセット電圧設定部7において、“H”レベルの制御信号CONT2によって、切替スイッチ7oが抵抗7g・7iを直列に接続するとともに、切替スイッチ7pが抵抗7k・7mを直列に接続するので、基準電位Vref2が抵抗7g・7iおよび抵抗7k・7mによって分圧されて第1電圧Vsn1 ・Vsp1 が得られる。一方、表示モードBのときには、“L”レベルの制御信号CONT2によって、切替スイッチ7oが抵抗7h・7jを直列に接続するとともに、切替スイッチ7pが抵抗7l・7nを直列に接続するので、基準電位Vref2が抵抗7h・7jおよび抵抗7l・7nによって分圧されて第2電圧Vsn2 ・Vsp2 が得られる。
他の変形例に係る液晶表示装置は、図6(b)に示すように、オフセット電圧設定部7が、図4の抵抗7a〜7dに代えて直列に接続された抵抗7r〜7uを有している。電圧設定手段としての抵抗7r〜7uは、可変抵抗であって、それぞれのタップから第1電圧Vsp1 と、第2電圧Vsp2 と、第1電圧Vsn1 と、第2電圧Vsn2 とが取り出される。第1電圧Vsp1 ・Vsn1 は、それぞれ切替スイッチ7e・7fの一方の接点に入力され、第2電圧Vsp2 ・Vsn2 は、それぞれ切替スイッチ7e・7fの他方の接点に入力される。
このような構成では、表示モードAのときに、オフセット電圧設定部7において、切替スイッチ7e・7fが抵抗7r・7tに接続されるので、信号電圧Vsp・Vsnとして第1電圧Vsp1 ・Vsn1 が得られる。一方、表示モードBのときには、切替スイッチ7e・7fが抵抗7s・7uに接続されるので、信号電圧Vsp・Vsnとして第1電圧Vsp2 ・Vsn2 が得られる。
上記の図6(a)および(b)に示す構成では、参考形態1の図3(a)および(b)の構成と同様、信号電圧Vsp・Vsnを出力しないときに電流の流れる電流路が増加しないので、消費電力を増大させることがない。
さらに他の変形例に係る液晶表示装置は、信号電圧Vsp・Vsnのいずれか一方のみをオフセットさせ、他方を一定値に固定する。これを実現するため、図4のオフセット電圧設定部7は、例えば、抵抗7bおよび切替スイッチ7eを省き、信号電圧Vspが抵抗7aから直接得られるように構成されている。これにより、図7に示すように、最初のリフレッシュ期間Tv2では、一定の信号電圧Vspの書き込みおよび保持が行われ、次のリフレッシュ期間Tv2では、第1電圧Vsn1 から第2電圧Vsn2 に切り替えられた信号電圧Vsnの書き込みおよび保持が行われる。
この液晶表示装置では、信号電圧Vspが一定値に固定されるため、信号電圧Vsnのオフセット量(第1電圧Vsn1 と第2電圧Vsn2 との差の絶対値)は、実効電圧Vrms(P5) と実効電圧Vrms(N5) とが等しくなるように設定される。
また、信号電圧Vsnを一定値に固定するとともに、信号電圧Vspのみをオフセットさせるようにしても、同様に実効電圧Vrms(P5) と実効電圧Vrms(N5) とを等しくすることができる。
上記のような構成では、信号電圧Vsp・Vsnのいずれか一方のみをオフセットさせるので、オフセット電圧設定部7の構成を簡素化することができる。
〔参考形態3〕
本発明の第3の参考形態について図8および図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本参考形態3において、前述の参考形態1および2における構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
本参考形態3に係る液晶表示装置は、図8に示すように、前述の参考形態2の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4と、制御部8とを備えている。また、本液晶表示装置は、参考形態2のオフセット電圧設定部7(図4参照)に代えて、オフセット電圧設定部9を備えている。本液晶表示装置では、参考形態2の液晶表示装置と異なり、リフレッシュ周期が長い場合におけるTFT14(図20参照)のオフ時のリーク電流などによるリフレッシュ期間Tv1・Tv2の電圧実効値の不均衡を補正する。
オフセット電圧設定部9は、抵抗9a〜9dおよび切替スイッチ9e・9fを有している。
電圧設定手段としての抵抗9a〜9dは、ともに、一端に基準電位Vref2が印加され、他端が接地されている。また、抵抗9a〜9dは、可変抵抗であることによってオフセットの調整が可能であり、それぞれのタップから第1電圧Vsp1と、第3電圧Vsp3 と、第1電圧Vsn1 と、第3電圧Vsn3 とが取り出される。第3電圧Vsp3 ・Vsn3 は、前述の第2電圧Vsp2 ・Vsn2 (図5参照)に対し、電圧保持期間が長くなったリフレッシュ期間Tv2におけるTFT14のオフ時のリーク電流などによる保持電圧低下を補償する電圧がリフレッシュ期間Tv2の長さに応じて加味されている。
第1電圧Vsp1 は、切替スイッチ9eの一方の接点に入力され、第3電圧Vsp3 は、切替スイッチ9eの他方の接点に入力される。切替スイッチ9eは、制御部8からの制御信号CONT2によって、入力される第1電圧Vsp1 または第3電圧sp3 のいずれか一方を切り替えて信号線駆動回路3に出力する。一方、第1電圧Vsn1 は、切替スイッチ9fの一方の接点に入力され、第3電圧Vsn3 は、切替スイッチ9fの他方の接点に入力される。切替スイッチ9fは、上記の制御信号CONT2によって、切替スイッチ9eと同期して入力される第1電圧Vsn1 または第3電圧sn3 のいずれか一方を切り替えて信号線駆動回路3に出力する。
上記のように構成される液晶表示装置では、参考形態2の液晶表示装置と同様にして、オフセット電圧設定部9によって信号電圧Vsp・Vsnの切り替え動作が行われる。この結果、表示モードAでは、オフセット電圧設定部9において、第1電圧Vsp1 ・Vsn1 がそれぞれ信号電圧Vsp・Vsnとして選択されて、信号線駆動回路3に印加される。すると、第1電圧Vsp1 ・Vsn1 に基づいて定まる、最初のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P1) と、次のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N1) とがほぼ等しくなる。
一方、表示モードBにおいては、表示モードAと同様にして、信号電圧Vsp・Vsnの書き込みおよび保持が行われる。ただし、ここでは、最初のリフレッシュ期間Tv2で、第1電圧Vsp1 より高い第3電圧Vsp3 の書き込みおよび保持が行われ、次のリフレッシュ期間Tv2で、第1電圧Vsn1 より低い第3電圧Vsn3 の書き込みおよび保持が行われる。
参考形態2の液晶表示装置では、リフレッシュ期間Tv2が長くなることによって、TFT14のオフ時のリーク放電量が多くなると、リフレッシュ期間Tv2において保持電圧が大きく低下してしまう。このため、参考形態2の図5で示すように、リフレッシュ期間Tv1・Tv2で同じ振幅の信号電圧Vsp・Vsnを印加したときに、|Vrms(P1) |=|Vrms(N1) |および|Vrms(P4) |=|Vrms(N4) |であっても、|Vrms(P1) |>|Vrms(P4) |および|Vrms(N1) |>|Vrms(N4) |となって、リフレッシュ期間Tv2での表示品位が低下する。
これに対し、本参考形態3の液晶表示装置では、信号電圧として上記のリーク放電量の補償分を含んだ第3電圧Vsp3 ・Vsn3 をリフレッシュ期間Tv2に印加するので、実効電圧Vrms(N1) ・Vrms(N6) ・Vrms(P1) ・Vrms(P6) が全て等しくなり、リフレッシュ期間が異なっても表示品位を保つことが可能になる。
また、本液晶表示装置のオフセット電圧設定部9も、参考形態2における図6(a)および(b)のオフセット電圧設定部7と同様に構成されていてもよいのは勿論である。これにより、本液晶表示装置でも、消費電力の増大を回避することができる。
〔実施の形態〕
本発明の一実施の形態について図10ないし図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において、前述の参考形態1および2における構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
本実施の形態に係る液晶表示装置は、図10に示すように、前述の参考形態2の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4と、制御部8とを備えている。また、本液晶表示装置は、参考形態2のオフセット電圧設定部7(図4参照)に代えて、オフセット電圧設定部21を備えている。本液晶表示装置では、参考形態2の液晶表示装置と異なり、図11に示すように、ソース信号Vs を1水平ライン毎に反転させ、かつソース信号Vs の振幅中心電位すなわちソース信号Vs のレベルをオフセットさせる。ソース信号Vs は、後述のように、信号電圧Vsp(第1電圧Vsp1および第2電圧sp2 )と信号電圧Vsn(第1電圧Vsn1 および第2電圧sn2 )の差の振幅を有するパルス信号Vs(ref)(図10参照)を基にオフセット電圧設定部21によって生成される。
図10に示すように、オフセット電圧設定部21は、抵抗21a・21b、切替スイッチ21cおよびACカップリングコンデンサ21dを有している。
抵抗21a・21bは、ともに、一端に基準電位Vref3が入力され、他端が接地されている。また、抵抗21a・21bは、可変抵抗であることによってオフセットの調整が可能であり、それぞれのタップから高電位側の振幅中心電位Vs(offset1)と、低電位側の振幅中心電位Vs(offset2)とが取り出される。
振幅中心電位Vs(offset1)は、切替スイッチ21cの一方の接点に入力され、振幅中心電位Vs(offset2)は、切替スイッチ21cの他方の接点に入力される。切替スイッチ21cは、制御部8からの制御信号CONT2によって、入力される振幅中心電位Vs(offset1)または振幅中心電位Vs(offset2)のいずれか一方を切り替えて信号線駆動回路3に出力する。ACカップリングコンデンサ21dは、一端に信号電圧Vsp・Vsnの差の振幅を有し、1水平ライン毎に極性が判定するパルス信号Vs(ref)が入力され、他端が切替スイッチ21cの出力端子側に接続されている。
上記のように構成される液晶表示装置では、オフセット電圧設定部21において、切替スイッチ21cの切替動作によって振幅中心電位Vs(offset1)または振幅中心電位Vs(offset2)のいずれか一方が出力される。そして、それにACカップリングコンデンサ21dによってDC成分が除去されたパルス信号Vs(ref)が重畳される。これにより、リフレッシュ期間Tv1・Tv2でそれぞれ異なるソース信号Vs1・Vs2が信号線駆動回路3に付与される。
まず、表示モードAでは、オフセット電圧設定部21において、ソース信号Vs1が選択されて、信号線駆動回路3に付与される。すると、図11に示すように、最初のリフレッシュ期間Tv1では、ソース信号Vs1の第1電圧Vsp1 ・Vsn1(円内の値)がゲートパルスの期間に書き込まれて保持される一方、次のリフレッシュ期間Tv1では、ソース信号Vs1の第1電圧Vsn1 の電圧がゲートパルスの期間に書き込まれて保持される。このとき、最初のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(P1) と、次のリフレッシュ期間Tv1で液晶17に印加される実効電圧Vrms(N1) とが、第1電圧Vsp1 ・Vsn1 の値の設定によってほぼ等しくなっている。
一方、表示モードBにおいては、オフセット電圧設定部21において、ソース信号Vs2が選択される。すると、表示モードAの場合と同様にして、ソース信号Vs2の第2電圧Vsp2 ・Vsn2 (円内の値)の書き込みおよび保持が行われる。これにより、参考形態2の液晶表示装置と同様に、実効電圧Vrms(P7) と実効電圧Vrms(N7) とがほぼ等しくなる。
このように、本実施の形態の液晶表示装置では、1水平ライン毎に反転するソース信号Vs をオフセットさせることによっても、参考形態2の液晶表示装置と同様、表示画像の品位を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、ソース信号Vs (ソース信号Vs1・Vs2)の振幅が一定であるが、ソース信号Vs1・Vs2の振幅を異ならせてもよい。具体的には、ソース信号Vs2の振幅がソース信号Vs1の振幅より大きく設定されている。
このように振幅の異なるソース信号Vs1・Vs2は、図12に示すように、オフセット電圧設定部21が、前述のACカップリングコンデンサ21dに代えて、ACカップリングコンデンサ21e・21fと、振幅変更手段としての抵抗21g(可変抵抗)とを有している。ACカップリングコンデンサ21eは、一端に前記のパルス信号Vs(ref)が入力され、他端が切替スイッチ21cにおける抵抗21b側の入力端子に接続されている。ACカップリングコンデンサ21fは、一端に抵抗21gを介してパルス信号Vs(ref)が入力され、他端が切替スイッチ21cにおける抵抗21a側の入力端子に接続されている。
上記のオフセット電圧設定部21では、パルス信号Vs(ref)の振幅が抵抗21gによって縮小することによって、小さい振幅を有するソース信号Vs1が得られる。一方、ACカップリングコンデンサ21eから、ソース信号Vs1より振幅の大きいソース信号Vs2が得られる。このような振幅の異なるソース信号Vs1・Vs2を用いれば、参考形態3の液晶表示装置と同様、リーク放電量の補償分を含んだ電圧をリフレッシュ期間Tv2に印加する。それゆえ、実効電圧Vrms(N1) ・Vrms(N2) ・Vrms(P1) ・Vrms(P2) を全て等しくすることができる。
〔参考形態4〕
本発明の第4の参考形態について図13および図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本参考形態において、前述の参考形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
本参考形態4に係る液晶表示装置は、図13に示すように、前述の参考形態1の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4と、制御部6とを備えている。また、本液晶表示装置は、参考形態1のオフセット電圧設定部5(図1参照)に代えて、オフセット電圧設定部22を備えている。本液晶表示装置では、参考形態1の液晶表示装置と異なり、図14に示すように、共通電圧(交流電圧)として、1水平ライン毎に反転する共通信号Vcom(AC) を用い、かつ共通信号Vcom(AC) の振幅中心電位すなわち共通信号Vcom(AC) のレベルをオフセットさせる。共通信号Vcom(AC) は、最小値と最大値との差の振幅を有しており、オフセット電圧設定部22の外部に設けられた、反転する共通信号(後述のパルス信号Vcom(ref))を生成するための周知の回路から供給される。
図13に示すように、オフセット電圧設定部22は、抵抗22a・22b、切替スイッチ22cおよびACカップリングコンデンサ22d・22eを有している。
電圧設定手段としての抵抗22a・22bは、ともに、一端に一定の基準電位Vref が入力され、他端が接地されている。また、抵抗22a・22bは、可変抵抗であることによってオフセットの調整が可能であり、それぞれのタップから高電位側の振幅中心電位Vcom(offset1)と、低電位側の振幅中心電位Vcom(offset2)とが取り出される。
振幅中心電位Vcom(offset1)は、切替スイッチ22cの一方の接点に入力され、振幅中心電位Vcom(offset2)は、切替スイッチ22cの他方の接点に入力される。切替スイッチ22cは、制御部6からの制御信号CONT1によって、入力される振幅中心電位Vcom(offset1)または振幅中心電位Vcom(offset2)のいずれか一方を切り替えて対向電極16(図20参照)に出力する。また、ACカップリングコンデンサ22d・22eは、ともに、一端に1水平ライン毎に反転するパルス信号Vcom(ref)が入力されている。ACカップリングコンデンサ22dの他端は、切替スイッチ22cにおける抵抗22a側の入力端子に接続され、ACカップリングコンデンサ22eの他端は、切替スイッチ22cにおける抵抗22b側の入力端子に接続されている。
上記のように構成される液晶表示装置では、オフセット電圧設定部22において、切替スイッチ22cの切替動作によって振幅中心電位Vcom(offset1)または振幅中心電位Vcom(offset2)のいずれか一方が出力される。そして、それにACカップリングコンデンサ22d・22eによってDC成分が除去されたパルス信号Vcom(ref)が重畳される。これにより、リフレッシュ期間Tv1・Tv2でそれぞれ異なる第1および第2信号Vcom1・Vcom2が上記の対向電極16に付与される。
まず、表示モードAでは、オフセット電圧設定部22において、第1信号Vcom1が共通信号Vcom(AC) として選択されて、対向電極16に付与される。すると、図14に示すように、最初のリフレッシュ期間Tv1では、ゲートパルスの期間に取り込まれたソース信号Vs の電圧と共通信号Vcom(AC) との差電圧(円内の値)が書き込まれて駆動電圧として保持される一方、次のリフレッシュ期間Tv1では、上記の差電圧と逆極性の差電圧がゲートパルスの期間に書き込まれて保持される。このとき、最初のリフレッシュ期間Tv1における液晶駆動電圧VCLC の実効電圧Vrms(P1) と、次のリフレッシュ期間Tv1における液晶駆動電圧VCLCの実効電圧Vrms(N1) とが、第1信号Vcom1の値の設定によってほぼ等しくなっている。
なお、図14においては、簡略化のためソース信号Vs を直流として描いているが、実際には、共通信号Vcom(AC) と同位相または逆位相のパルス信号であってもよい。ソース信号Vs が2VのDCであり、共通信号Vcom(AC) が0Vの最小値と4Vの最大値を有する場合、液晶駆動電圧が±2Vの電圧間で極性を反転する。
一方、表示モードBにおいては、オフセット電圧設定部22において、第2信号Vcom2が共通信号Vcom(AC) として選択される。すると、表示モードAの場合と同様にして、差電圧(円内の値)の書き込みおよび保持が行われる。これにより、参考形態1の液晶表示装置と同様に、実効電圧Vrms(P8) と実効電圧Vrms(N8) とがほぼ等しくなる。
このように、本参考形態4の液晶表示装置では、1水平ライン毎に反転する共通信号Vcom(AC) の振幅中心電位(共通電圧のレベル)をオフセットさせることによっても、参考形態1の液晶表示装置と同様、表示画像の品位を向上させることができる。
〔参考形態5〕
本発明の第5の参考形態について図15および図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本参考形態において、前述の参考形態4における構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
本参考形態5に係る液晶表示装置は、図15に示すように、前述の参考形態4の液晶表示装置と同様に、液晶パネル1と、走査線駆動回路2と、信号線駆動回路3と、バッファ回路4と、制御部6とを備えている。また、本液晶表示装置は、参考形態4のオフセット電圧設定部22(図13参照)に代えて、オフセット電圧設定部23を備えている。本液晶表示装置では、参考形態4の液晶表示装置と同様に、リフレッシュ期間Tv1・Tv2で共通信号Vcom(AC) の振幅中心電位をオフセットさせているが、さらにその振幅を異ならせている。
オフセット電圧設定部23は、オフセット電圧設定部22における抵抗22a・22b、切替スイッチ22cおよびACカップリングコンデンサ22d・22eとそれぞれ同等の機能を有する抵抗23a・23b、切替スイッチ23cおよびACカップリングコンデンサ23d・23eを有し、さらに振幅変更手段としての抵抗23fを有している。オフセット電圧設定部23は、オフセット電圧設定部22と異なり、パルス信号Vcom(ref)が可変抵抗である抵抗23fを介してACカップリングコンデンサ23dに入力される。
上記のオフセット電圧設定部23では、抵抗23fによってパルス信号Vcom(ref)の振幅が縮小されて、その縮小された振幅AC1を有する第1共通電圧Vcom1が得られる。一方、ACカップリングコンデンサ23eから、振幅AC1より大きい振幅AC2を有する第2共通電圧Vcom2が得られる。これにより、中心電位だけではなく、振幅も異なる第1および第2共通電圧Vcom1・Vcom2が得られる。そして、その共通電圧Vcom1・Vcom2が、リフレッシュ期間Tv1・Tv2で上記の対向電極16に付与される。
まず、表示モードAでは、切替スイッチ23によって、第1共通電圧Vcom1が共通信号Vcom(AC) として選択されて、対向電極16に付与される。すると、図16に示すように、最初のリフレッシュ期間Tv1では、ゲートパルスの期間に取り込まれたソース信号Vs の電圧と第1共通電圧Vcom1との差電圧(円内の値)が書き込まれて保持される一方、次のリフレッシュ期間Tv1では、上記の差電圧と逆極性の差電圧がゲートパルスの期間に書き込まれて保持される。このとき、最初のリフレッシュ期間Tv1における液晶駆動電圧VCLCの実効電圧Vrms(P1)と、次のリフレッシュ期間Tv1における液晶駆動電圧VCLC の実効電圧Vrms(N1) とが、第1共通電圧Vcom1の値の設定によってほぼ等しくなっている。
一方、表示モードBにおいては、切替スイッチ23によって、第2共通信号Vcom2が共通信号Vcom(AC) として選択される。すると、表示モードAの場合と同様にして、差電圧(円内の値)の書き込みおよび保持が行われる。これにより、参考形態1の液晶表示装置と同様に、実効電圧Vrms(P9) と実効電圧Vrms(N9) とがほぼ等しくなる。しかも、リフレッシュ期間Tv2で共通信号Vcom(AC) の振幅を大きくしているので、液晶駆動電圧VCLCの振幅が大きくなる。それゆえ、前述の参考形態3の液晶表示装置と同様、リフレッシュ期間Tv2が長くなることによって、TFT14のオフ時におけるリーク放電のために生じる保持電圧の低下を防止することができる。したがって、実効電圧Vrms(N1) ・Vrms(N9)・Vrms(P1) ・Vrms(P9) を全て等しくすることができる。
また、本参考形態5の液晶表示装置でも、参考形態4の液晶表示装置と同様、1水平ライン毎に反転する共通信号Vcom(AC) をオフセットさせることによっても、表示画像の品位を向上させることができる。
なお、図16においては、簡略化のためソース信号Vs を直流として描いているが、実際には、共通信号Vcom(AC) と同位相または逆位相のパルス信号であってもよい。表示モードAでは、ソース信号Vs が2VのDCであり、共通信号Vcom(AC) が4VのACである場合、液晶駆動電圧VCLC が±2Vの電圧間で極性を反転する。また、表示モードBでは、同様にソース信号Vs が2VのDCである一方、共通信号Vcom(AC) の振幅(HレベルとLレベルとの差)が同じ5VのACである場合、液晶駆動電圧VCLC が±2.5Vの電圧間で極性を反転する。
このような場合、実効電圧Vrms(N1) ・Vrms(N9) ・Vrms(P1) ・Vrms(P9) がいずれも等しくなる。
なお、本実施の形態および前述の参考形態では、フィールドまたはフレーム反転やライン反転の交流駆動方法について説明したが、本発明は、ドット反転、ソース反転などの他の周知の反転駆動方法にも適用できる。
また、本実施の形態および前述の参考形態では、液晶表示装置の駆動方法とそれを用いた液晶表示装置について述べてきたが、液晶容量と補助容量が並列に構成されたいわゆる補助容量付きの液晶表示装置や、対向電極がTFTと同じマトリクス基板側に設けられているIPSモードの液晶表示装置にも適用できる。また、表示装置としてはアクティブマトリクス液晶表示装置に限らず、EL(Electro Luminescence) 表示装置などでもよい。また、上記の表示装置は、携帯電話、ポケットゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants) 、携帯TV、リモートコントロール、ノート型パーソナルコンピュータ、その他の携帯端末などに搭載可能である。これらの携帯機器はバッテリー駆動されることが多く、良好な表示品位を保ったままの低消費電力化が図れる表示装置を搭載しているこ
とにより、長時間駆動が容易になる。
さらに、本実施の形態および前述の参考形態では、1画面分の表示セル13への書き込みを行う走査期間が終了した後に、走査期間より長い非走査期間で各表示セル13の電圧状態を保持するようにしてもよい。これにより、非走査期間では走査が行われないので、駆動関連回路を休止させることができる。それゆえ、消費電力を低減することができる。また、前述のように表示セル13が電圧を保持する期間が長くなると、TFTのリーク特性などにより正負極性間で保持電圧に不均衡が生じる。これに対し、上記のように共通電圧Vcom および共通信号Vcom(AC) または信号電圧Vsp・Vsnおよびソース信号Vs のレベル(交流の場合、振幅中心電位)を異ならせることで、そのような不均衡の発生を回避することができる。
〔液晶表示装置の構成〕
ここで、図17および図18に基づいて、前述の実施の形態および参考形態に共通する液晶表示装置の構成例について説明する。ここでは、液晶容量と並列に設けられた補助容量を有する反射型液晶表示装置を例にとって説明する。
図17に液晶パネル1の断面構成を示す。同図は後述する図18のC−C断面図に相当する。液晶パネル1は反射型のアクティブマトリクス型液晶パネルであり、マトリクス基板11と対向基板12との間にネマチック液晶などの液晶17が挟持され、マトリクス基板11上にアクティブ素子としてのTFT14…が形成された基本構成を有している。なお、本実施の形態ではアクティブ素子としてTFTを用いるが、MIM(Metal Insulator Metal) やTFT以外のアクティブ素子を用いることもできる。対向基板12の上面には、入射光の状態を制御するための位相差板41、偏光板42、および反射防止膜43がこの順で設けられている。対向基板12の下面には、RGBのカラーフィルタ44、および透明な対向電極16がこの順で設けられている。カラーフィルタ44によりカラー表示が
可能となっている。
各TFT14においては、マトリクス基板11上に設けられた走査線の一部をゲート電極45とし、その上にゲート絶縁膜46が形成されている。ゲート絶縁膜46を挟んでゲート電極45と対向する位置にi型アモルファスシリコン層47が設けられ、i型アモルファスシリコン層47のチャネル領域を挟むようにn+ 型アモルファスシリコン層48が2箇所形成されている。一方のn+ 型アモルファスシリコン層48の上面には信号線の一部をなすデータ電極49が形成され、他方のn+ 型アモルファスシリコン層48の上面からゲート絶縁膜46の平坦部上面にわたってドレイン電極50が引き出されて形成されている。ドレイン電極50の引き出し開始箇所と反対側の一端は、後述する図18に示すように補助容量配線53と対向する矩形の補助容量用電極パッド15aと接続されている。TFT14…の上面には層間絶縁膜51が形成されており、層間絶縁膜51の上面には反射電極15b…が設けられている。反射電極15b…は周囲光を用いて反射型表示を行うための反射部材である。反射電極15b…による反射光の方向を制御するために、層間絶縁膜51の表面には微細な凹凸が形成されている。
さらに、各反射電極15bは、層間絶縁膜51に設けたコンタクトホール52を通じてドレイン電極50と導通している。すなわち、データ電極49から印加されてTFT14により制御される電圧は、ドレイン電極50からコンタクトホール52を介して表示電極15に印加され、反射電極15bと対向電極16との間の電圧によって液晶17が駆動される。すなわち、補助容量用電極パッド15aと反射電極15bとは互いに導通し、また反射電極15bと対向電極16との間に液晶17が介在している。このように、補助容量用電極パッド15aと反射電極15bとは画素電極15を構成している。透過型の液晶表示装置の場合は、上記各電極に相当するように配置された透明電極が画素電極となる。
さらに液晶パネル2には、図17のうち液晶17より下方の部分を上方から見た図18に示すように、TFT14のゲート電極45に走査信号を供給する走査線G(j) …と、TFT14のデータ電極49にデータ信号を供給する信号線S(i) …とがマトリクス基板11上に直交するように設けられている。そして、補助容量用電極パッド15a…のそれぞれとの間に画素の補助容量を形成する補助容量電極としての補助容量配線53…が設けられている。補助容量配線53…は走査線G(j) …以外の位置で、一部がゲート絶縁膜46を挟んで補助容量用電極パッド15a…と対をなすようにマトリクス基板11上に走査線G(j) …と平行に設けられている。この場合に限らず、補助容量配線53…は走査線G(j) …の位置を避けて設けられていればよい。なお、図18では補助容量用電極パッド15a…と補助容量配線53…との位置関係が明確になるように反射電極15b…の図示を一部省略してある。また、図17における層間絶縁膜51の表面の凹凸は図18では図示していない。
上記のような反射型アクティブマトリクス型液晶表示装置は、電力を非常に多く消費するバックライトが不要なため、携帯電話を含む携帯情報端末などに好適に用いられる反射型アクティブマトリクス型液晶表示装置のように、動画表示に対応した高速リフレッシュ表示モードと省電力を重視した低速リフレッシュ表示モードとが必要に応じて切り替わっても、このような液晶表示装置で現れやすいフリッカの影響を大幅に軽減することができる。