JP2006137886A - 感温変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする式(1)の化合物からなる感温変色性色彩記憶性組成物。
【化1】
〔式中、R1 は水素原子又はメチル基、mは0〜2の整数、X1 、X2 のいずれか一方は−(CH2 )n OCOR2 又は−(CH2 )n COOR2 、他方は水素原子、nは0〜2の整数、R2 は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基、Y1 及びY2 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲン、r及びpは1〜3の整数を示す。但し、(ハ)として式(2)で示される化合物を除く。
【化2】
式中、R3 は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基。〕
【選択図】 なし
Description
前記感温変色性色彩記憶性材料は、従来の可逆熱変色性材料のように変色温度を境にその前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態はその状態が発現するのに要する熱または冷熱が適用されている間は維持され、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻るタイプと比較して、変色温度より低温側の色と高温側の色のいずれかを常温域において選択的に保持できるうえ、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより互変的に保持させることができ、感温記録材料、玩具類、装飾、印刷分野等多様な分野に適用されている。
本発明は、前記色彩記憶性効果を発現させる反応媒体となる化合物について、更に追求し、反応媒体の選択の自由度を高め、この種の感温変色性色彩記憶性材料の利用度を更に高めようとするものである。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(1)で示される化合物の均質相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を要件とする。
更には、前記感温変色性色彩記憶性組成物を内包してなる感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を要件とする。
更には、前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料が色濃度−温度曲線に関して8℃乃至70℃のヒステリシス幅を示して変色すること、完全消色温度(T4 )が40℃以上であり、且つ、発色開始温度(T2 )が20℃以下である、常温域で色彩記憶性を有すること等を要件とする。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T4 (以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる温度T3 (以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる温度T2 (以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T1 (以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記T1 とT4 間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるT2 とT3 間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
変色前後の各状態の保持できるΔH値は8℃乃至70℃の範囲である。ここで、T4 とT3 の差、或いは、T2 とT1 の差であるΔtが変色の鋭敏性を示す尺度であり、1℃乃至10℃の範囲が実用的である。
更に、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみ存在させるためには、完全消色温度(T4 )が40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、且つ、発色開始温度(T2 )が20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下である。
又、各成分は各々2種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を添加することができる。
又、一般顔料(非熱変色性)を配合することにより、有色〔1〕から有色〔2〕への色変化を付与することもできる。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、従来より公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
なお、前記フェノール性水酸基を有する化合物として、少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上、好ましくは分子量が250乃至500のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、下記式(3)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物を用いると、消色状態から発色状態に移行する際の変色感度をより鋭敏にすることができる。具体的には、図2に示すように完全消色状態を示す温度(T4 )から発色を開始する温度(T2 )を経て完全発色温度を示す温度(T1 )に達する際の変色挙動において、発色を開始する温度(T2 )が高温側にシフトして徐々に発色する挙動を示さず、図1のように発色を開始する温度(T2 )と完全発色温度を示す温度(T1 )の温度差が小さく、消色状態から発色状態に鋭敏に移行する挙動を示し易くなる。
前記少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)メチル〕−4−メチルフェノール、
4,4′−〔1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン〕ビスフェノール、
4,4′,4″−エチリデントリス〔2−メチルフェノール〕、
4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス[2,3,6−トリフェニルフェノール]、
2,2−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、
2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、
4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
2,4−ビス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェノール)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、
4,4′−[(3,4−ジ−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、
5,5′−(1−メチルエチリデン)ビス[1−フェニル−2−オール]、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、
4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、
4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、
5,5′−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス−[1−ビフェニル−2−オール]等が挙げられる。
前記式(3)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物としては、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ペンチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘプチル−4−ヒドキシフェニル)スルフィド、ビス(5−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記した化合物は、従来の感温変色性色彩記憶性組成物に用いられているエステル類を用いた場合と同程度、或いは、それ以上の広いヒステリシス幅が得られ、具体的にはヒステリシス幅(ΔH)が8〜70℃である。
前記したヒステリシス幅を有することにより、変色温度より低温側の色と高温側の色のいずれかを選択的に保持できる機能に優れ、様々な用途への応用性に優れる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは、1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、最大外径の平均値が、50μmを越える系では、インキ、塗料、或いは熱可塑性樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が0.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
また、カプセルを微小粒子化することにより、ΔH値は必須3成分の組成物の均質相溶体のΔHと比較し、更にΔHを拡大することができる。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
なお、マイクロカプセル顔料には、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
なお、前記支持体の材質は特定されず、総て有効であり、紙、合成紙、繊維、布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示でき、平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
前記支持体上に非熱変色性着色層(像を含む)が予め形成されているものにあっては、温度変化により前記着色層を隠顕させることができ、変化の様相を更に多様化させることができる。
更に、前記感温変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレット、粉末、又はペースト形態として感温変色性色彩記憶性成形用樹脂組成物として利用できる。
前記成形用樹脂を用いて、汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フイルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
前記添加剤としては、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
なお、前記液状組成物や成形用樹脂組成物中に一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
前記液状物によって支持体に可逆熱変色層を形成した積層体、或いは、成形体上には、光安定剤及び/又は透明性金属光沢顔料を含む層を積層することによって耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
前記透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料を例示できる。
各実施例における感温変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包したマイクロカプセル顔料の製造方法と、感温変色性色彩記憶性組成物及びマイクロカプセル顔料の温度変化によるヒステリシス特性の測定方法について説明する。
なお、実施例中の部は重量部を示す。
感温変色性色彩記憶性組成物の調製方法
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)〔(イ)成分A〕1.0部、( ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン〔(ロ)成分a〕3.0部、(ハ)成分としてデカン酸4−(4−メチルベンジル)オキシフェニルエチル〔(ハ)成分化合物4〕50.0部を均質に相溶して感温変色性色彩記憶性組成物を得た。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は青色から無色に変色するものであった。
前記感温変色性色彩記憶性組成物のメチルエチルケトン溶液(20重量%)を濾紙〔東洋濾紙株、No.2濾紙〕に含浸し、メチルエチルケトンを完全に蒸発させて測定試料を得た。
色差計〔TC−3600型色差計、東京電色株製〕の測定部に前記測定試料をセットし、完全発色温度以下から完全消色温度以上までの温度範囲で10℃/分の速度で前記測定試料を加熱及び冷却し、各温度における色濃度を測定した。
各温度において色差計に表示された明度値をグラフ上にプロットして、図1の色濃度−温度曲線を作成し、測定試料のT1 (完全発色温度)、T2 (発色開始温度)、T3 (消色開始温度)、T4 (完全消色温度)、TH 〔T1 とT2 の中点の温度(T1 +T2 )/2〕、TG 〔T3 とT4 の中点の温度(T3 +T4 )/2〕、ΔH(ヒステリシス幅TG −TH )を求めた。
感温変色性色彩記憶性組成物の(ハ)成分を以下の表に記載した化合物に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7の感温変色性色彩記憶性組成物を調製し、ヒステリシス特性を測定した。
実施例2〜7の感温変色性色彩記憶性組成物の(ハ)成分及びT1 、T2 、T3 、T4 、TH 、TG 、ΔHの値を以下の表に示す。
なお、(イ)、(ロ)、(ハ)成分の重量部は実施例1と同様であり、青色から無色に変色するものである。
感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の調製方法(界面重合法)
(イ)成分として3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド〔(イ)成分B〕2.0部、( ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン〔(ロ)成分a〕6.0部、(ハ)成分としてデカン酸4−(4−メチルベンジル)オキシフェニルエチル〔(ハ)成分化合物4〕50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20.0部、助溶剤50部を混合した溶液を6%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴に乳化分散し、70℃約1時間攪拌を続けた後、水溶性脂肪族アミン2.5部を加え、更に6時間攪拌を続けて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料の懸濁液から遠心分離により、マイクロカプセル顔料を単離し青色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た(平均粒子径:3μm)。
エチレン−酢酸ビニルエマルジョンをバインダー樹脂として含有する水性スクリーン印刷インキビヒクル60部に、前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料40部(固形分24部)を加えて均一に分散して得た感温変色性色彩記憶性インキを用いて、上質紙にスクリーン印刷を行い、測定試料を作製した。
実施例1と同様の方法で、前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料のヒステリシス特性を測定した。
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる感温変色性色彩記憶性組成物を実施例8と同様の方法でマイクロカプセルに内包させて、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を調製し、実施例8と同様にしてヒステリシス特性を測定した。
実施例8〜18のマイクロカプセル顔料中に内包される前記感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分とその配合量及びカプセルの平均粒子径を以下の表に示す。
感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の調製方法(in Situ重合法)
(イ)成分として3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド〔(イ)成分B〕2.0部、( ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン〔(ロ)成分a〕6.0部、(ハ)成分としてヘキサデカン酸2−フェニルエチルオキシフェニルメチル〔(ハ)成分化合物141〕50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を均一に加温溶解した溶液を、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂(10%)/水酸化ナトリウム(2%)水溶液中で微小滴に乳化分散し、壁膜材料としてメラミン8部と37%ホルムアルデヒド水溶液20部を加温均一溶解した溶液を加えた後、80℃で約3時間攪拌を続けて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の一次懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料の一次懸濁液から遠心分離により単離したマイクロカプセル顔料を、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂(10%)、水酸化ナトリウム(2%)水溶液中に再分散し、メラミン8部と37%ホルムアルデヒド水溶液20部を加温均一溶解した溶液を加えた後、80℃で約3時間攪拌を続けて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の懸濁液を得た
前記マイクロカプセル顔料の懸濁液から遠心分離により、マイクロカプセル顔料を単離し青色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た(平均粒子径3μm)。
実施例8と同様の方法で前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の測定試料を作製し、ヒステリシス特性を測定した。
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる感温変色性色彩記憶性組成物を実施例19と同様の方法でマイクロカプセルに内包させて、実施例20〜28の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を調製し、実施例8と同様にしてヒステリシス特性を測定した。
実施例19〜28のマイクロカプセル顔料中に内包される前記感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分とその配合量及びカプセルの平均粒子径を以下の表に示す。
C:2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−〔1〕ベンゾピラノ〔2,3−g〕ピリミジン−5,1’(3’,H)−イソベンゾフラン〕−3−オン
表中の(ロ)成分b,cは以下の化合物である。
b:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
c:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン
実施例10で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料40部(固形分24部)を、エチレン−酢酸ビニルエマルジョンをバインダー樹脂として含有する水性スクリーン印刷インキビヒクル60部に加えて均一分散し、感温変色性色彩記憶性インキを調製した。前記感温変色性色彩記憶性インキにより、白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)上にスクリーン印刷を行い可逆熱変色層を設け、更にその上に透明ポリエステルフィルム(厚み16μm)でラミネート処理して、感温変色性色彩記憶性表示体を得た。
前記表示体を−7℃以下に冷却して可逆熱変色層を青色の状態に完全発色させた後、熱転写プリンター〔品番:S4870、昭和情報機器株製〕を用いて印字を行い、白色の抜き文字を形成した。
前記白色の抜き文字は、前記表示体が5℃〜43℃の温度域に保持されている限り視認される。
また、前記表示体を再び−7℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に青色状態に発色させると白色の抜き文字は視認されなくなり、前記熱転写プリンターを用いて白色の抜き文字を形成する操作を繰り返し行うことができた。
実施例18で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料40部(固形分24部)を、エチレン−酢酸ビニルエマルジョンをバインダー樹脂として含有する水性スクリーン印刷インキビヒクル60部に加えて均一分散し、感温変色性色彩記憶性インキを調製した。前記感温変色性色彩記憶性インキにより、白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)上にスクリーン印刷を行い可逆熱変色層を設け、更にその上に透明ポリエステルフィルム(厚み16μm)でラミネート処理して、感温変色性色彩記憶性表示体を得た。
前記表示体を−18℃以下に冷却して可逆熱変色層を青色の状態に完全発色させた後、熱転写プリンター〔品番:S4870、昭和情報機器株製〕を用いて印字を行い、白色の抜き文字を形成した。
前記白色の抜き文字は、前記表示体が−10℃〜42℃の温度域に保持されている限り視認され、通常の使用状態では文字が視認された状態を維持することができるため、低温域や高温域に達した際の履歴を不可逆的に検知可能なインジケーターとして使用することができた。
実施例14で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料27.0部(固形分16.2部)、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透剤性付与剤〔商品名:ノプコSW−WET−366、サンノプコ株製〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔商品名:ノプコ8034、サンノプコ株製〕0.1部、防黴剤〔商品名:プロキセルXL−2、ゼネカ株製〕0.2部、水51.77部からなる感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
前記感温変色性色彩記憶性インキ(予め2℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を発色させた後、室温下に放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプに0.97g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、感温変色性色彩記憶性ボールペンを得た。
なお、前記キャップには頂部に摩擦体としてSEBS製ゴムを装着してなる。
前記筆跡は、室温(25℃)で青色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は10℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、前記紙面を冷凍庫に入れて2℃以下に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料22部(固形分13.2部)を、グリセリン5部、防黴剤〔商品名:プロキセルXL−2、ゼネカ株製〕1.0部、シリコーン系消泡剤〔商品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株製〕0.1部、水63.9部からなる水性媒体中に均一に分散した後、ヒドロキシエチルセルロース〔水溶性高分子凝集剤、商品名:セロサイズWP−09L、ユニオンカーバイド日本株製〕5%水溶液8部を攪拌しながら、前記分散状態にある液中に添加して、前記マイクロカプセル顔料をゆるやかな凝集状態に懸濁させたた感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した繊維集束インキ吸臓体(気孔率約80%)に、前記感温変色性色彩記憶性インキ(予め7℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を発色させた後、室温下に放置したもの)を含浸させて軸筒内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(気孔率約50%)と接触状態に組み立て、キャップを嵌めて感温変色性色彩記憶性マーキングペンを得た。
なお、前記キャップには頂部に摩擦体としてシリコーンゴムを装着してなる。
前記文字の修飾箇所は、室温(25℃)ではピンク色を呈しており、摩擦体を用いて擦過すると、該修飾箇所は変色して無色となり、この状態は13℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、前記紙面を冷凍庫に入れて7℃以下に冷却すると、再び修飾箇所がピンク色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
Claims (4)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(1)で示される化合物の均質相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物。
- 請求項1の感温変色性色彩記憶性組成物を内包してなる感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 色濃度−温度曲線に関して8℃乃至70℃のヒステリシス幅を示して変色する請求項2記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 色濃度−温度曲線に関して、完全消色温度(T4 )が40℃以上であり、且つ、発色開始温度(T2 )が20℃以下である、常温域で色彩記憶性を有する請求項2又は3記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
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