JP2009173778A - 感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料 - Google Patents

感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料 Download PDF

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JP2009173778A JP2008014349A JP2008014349A JP2009173778A JP 2009173778 A JP2009173778 A JP 2009173778A JP 2008014349 A JP2008014349 A JP 2008014349A JP 2008014349 A JP2008014349 A JP 2008014349A JP 2009173778 A JP2009173778 A JP 2009173778A
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Abstract

【課題】変色温度より低温側の色と高温側の色の両方を互変的に記憶保持できる特性を備えた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料に必要な耐光性を向上させることにより、利便性に富み、商品価値の高い感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を提供する。
【解決手段】(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体、(ニ)クロマン系化合物等の特定化合物を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
【選択図】なし

Description

本発明は感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料に関する。さらに詳細には、温度変化により大きなヒステリシス特性を示して可逆的変色を呈し、変色に要した熱又は冷熱の適用を取り去った後にあっても、発色状態と消色状態のいずれかを互変的且つ可逆的に保持する感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料に関する。
本出願人は、可逆熱変色性組成物を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料について先に提案している(例えば、特許文献1、2参照)。
前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、発色状態と消色状態のいずれかを常温域において選択的に保持できるうえ、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより互変的に保持させることができるため、多様な分野に適用されている。
しかしながら、一般的に内包される可逆熱変色性組成物は耐光性に乏しく、光に晒されると発色時の色濃度が低下したり、消色時に褐変等の残色を生じることがある。
感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は発色時と消色時の状態を互変的に保持することができるため、それぞれの状態において耐光性向上を考慮する必要がある。
耐光性を向上させる一例として、消色状態の可逆熱変色性組成物の耐光性向上には紫外線吸収剤を配合することが有効であるが、発色状態の可逆熱変色性組成物の耐光性向上にはほとんど効果がなく、特に屋内等での間接光に対しては全く効果がない。
特開2005−1369号公報 特開2006−137886号公報
本発明は、前記した温度変化より発色状態と消色状態のいずれかを選択的に保持できる感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料において、特に発色状態の耐光性を向上させるものである。
本発明者は、特定構造を有する化合物を適用した系にあって、発色状態における光劣化、特に間接光に対して耐光性向上効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体、(ニ)下記式(1)及び/又は式(2)で示される化合物の均質相溶体からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなり、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、該顔料は有色状態から温度が上昇する過程では、温度tに達すると消色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度tに達すると着色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、温度tが40℃以上であり、且つ、温度tが10℃以下である感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を要件とする。
Figure 2009173778
(式中、R、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、Rは炭素数1乃至20の直鎖又は分岐したアルキル基又は環状構造の炭化水素基を示し、X、Xはそれぞれ水素原子、水酸基、炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルコキシ基のいずれかを示し、Aは酸素原子、硫黄原子又は直接結合であり、mは0又は1の整数を示す。)
Figure 2009173778
(式中、R、R、R、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、X、X、X、Xはそれぞれ水素原子、水酸基、炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルコキシ基のいずれかを示し、A、Aはそれぞれ酸素原子、硫黄原子又は直接結合であり、m、nはそれぞれ0又は1の整数を示す。)
更には、前記マイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至80℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、前記(ハ)成分が下記式(3)で示される化合物であること、
Figure 2009173778
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分と、紫外線吸収剤とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料であること等を要件とする。
本発明は、変色温度より低温側の色と高温側の色の両方を互変的に記憶保持できる特性を備えた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料に必要な発色状態と消色状態の耐光性のうち、特に発色状態の耐光性を向上させることにより、利便性に富み、商品価値の高い感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を提供できる。
本発明の可逆熱変色性組成物を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、発色状態又は消色状態のいずれかの状態を長期間に亘って維持することができるため、その状態で光に晒されることになる。
可逆熱変色性組成物を構成する電子供与性有機化合物が電子を供与した発色状態、即ち、イオン化された状態における耐光性の低下は可視光線により発生するところが大きく、特に可視光線領域部分の含有比率が高い間接光ではその影響が大きい。一方、消色状態はイオン化されてなく、無色の分子状態であるため、可視光線の影響はほとんどない。
よって、変色状態によって耐光性の強度が異なり、耐光性劣化によって生じる発色時の濃度低下と消色時の残色や褐変の程度が異なる場合が多いため、長期間放置された場合は再度変色させた際に不具合を生じ易い。
これを支持体上に感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を含むインキを用いて可逆変色層を設けた表示体について説明すると、可逆熱変色層を部分的に変色させて像を形成した状態で光に晒すと、像を形成した部分と、像を形成していない部分で耐光性劣化により発色時の色濃度低下と消色時の残色や褐変の度合いが異なるため、表示体は発色箇所と消色箇所で色調が異なる不均一な状態となる。従って、再度可逆変色層全体を加熱又は冷却しても以前に形成した像が残像として視認されることになり、繰り返しの実用性を損なう。
耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を添加すると、消色状態の耐光性向上には効果を有する。これは、消色状態で電子供与性有機化合物は分子状態となっており、無色で可視光線を吸収しないため、紫外線のカットだけで十分な耐光性向上効果があるからである。しかし、電子を供与した発色状態(イオン化された状態)では紫外線のカットだけでは不十分である。
本発明で使用する(ニ)成分として一般式(1)又は(2)で示される化合物は、可逆熱変色性組成物の発色状態での耐光性向上効果が特に大きく、可視光や間接光による耐光性劣化の抑制に有効である。
前記一般式(1)又は(2)で示される化合物として具体的には、
6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、5−ヒドロキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−エトキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−エトキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−エトキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−ヒドロキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5−エトキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジエトキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]、5,5′−ジエトキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]等が挙げられる。
本発明の(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効なピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を用いることもできる。
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分としては、特開昭60−264285号公報、特開平7−33997号公報、特開2004−107367号公報に記載されたエステル系化合物、特開平7−179777号公報、特開平8−39936号公報に記載されたケトン系化合物を用いることができる。
また、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載されている下記一般式(3)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2009173778
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(3)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(3)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(4)で示される化合物が用いられる。
Figure 2009173778
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、特開2006−188660号公報に記載されている下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2009173778
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2009173778
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分と共に、紫外線吸収剤をマイクロカプセル中に内包させると、発色状態ののみならず消色状態の可逆熱変色性組成物の耐光性も向上させることができる。
前記紫外線吸収剤としては、
2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン、
2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、
2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
サリチル酸フェニル、
サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル、
サリチル酸パラオクチルフェニル、
2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート、
レゾルシノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、
メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール、
2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール、
2−(3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1′−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル)−ベンゾトリアゾール、
2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(3″4″5″6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)、
2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記成分からなる可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包させて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を形成する。
前記マイクロカプセルで保護することによって酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性を向上させることができる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは、1〜20μmの範囲が実用性を満たす。50μmを越える系では、インキ、塗料、或いは熱可塑性樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。0.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
また、カプセルを微小粒子化することにより、ΔH値は必須3成分の組成物の均質相溶体のΔHと比較し、更にΔHを拡大することができる。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(質量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
なお、マイクロカプセル顔料には、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
以下に本発明の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図1のグラフについて説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全に消色する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全に発色する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記tとt間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとt間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
変色前後の各状態の保持できるΔH値は40℃乃至80℃、好ましくは45乃至80℃、より好ましくは50乃至80℃の範囲である。ここで、tとtの差、或いは、tとtの差であるΔtが変色の鋭敏性を示す尺度であり、1℃乃至10℃の範囲が実用的である。
更に、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみ存在させるためには、完全消色温度(t)が40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、且つ、発色開始温度(t)が10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃以下である。
本発明における(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分の構成成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200、(ニ)成分0.1〜50、好ましくは0.3〜20の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
又、各成分は各々2種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で紫外線吸収剤を添加することができる。
前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、必要により添加剤を含むビヒクル中に分散してスクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷インキ、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料、インクジェット用インキ、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具又は塗布具用インキ、クレヨン、絵の具、化粧料、繊維用着色液等の感温変色性色彩記憶性液状組成物として利用できる。
なお、前記液状組成物を塗布又は印刷する支持体の材質は特定されず、総て有効であり、紙、合成紙、繊維、布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示でき、平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
前記支持体上に非熱変色性着色層(像を含む)が予め形成されているものにあっては、温度変化により前記着色層を隠顕させることができ、変化の様相を更に多様化させることができる。
更に、前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレット、粉末、又はペースト形態として感温変色性色彩記憶性成形用樹脂組成物として利用できる。
前記成形用樹脂を用いて、汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フイルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
前記添加剤としては、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
なお、前記液状組成物や成形用樹脂組成物中に一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた製品として具体的には、人形又は動物形象玩具、人形又は動物形象玩具用毛髪、人形の家や家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具、Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、ふろしき等の布製身の回り品、絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、額縁、造花等の屋内装飾品、布団、枕、マットレス等の寝具、指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ等のアクセサリー、筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、粘着テープ等の文房具類、口紅、アイシャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等の台所用品、カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、手袋、ネクタイ、帽子、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、歯ブラシ、コースター、時計、眼鏡、照明器具、冷暖房器具、楽器、カイロ、蓄冷剤、写真立て、財布等の袋物、傘、家具、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具を例示できる。
以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部を表す。
実施例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分Aとして3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部、(ニ)成分として6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−2,2’−スピロビクロマン2.5部を加温して均質に溶解して可逆熱変色性組成物を得た。
前記可逆熱変色性組成物は青色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の調製
前記可逆熱変色性組成物58.5部、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40部を混合した溶液を15%ゼラチン水溶液100部中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性アミン化合物〔ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:jERキュアU、エポキシ樹脂のアミン付加物〕2部を水23部に溶解させた水溶液を攪拌しながら徐々に添加し、さらに攪拌を続けて感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料の懸濁液から、遠心分離により感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を単離して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た(平均粒子径:3μm、固形分約60%)。
実施例2〜5
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分を用いた以外は実施例1と同様にして可逆熱変色性組成物を調製し、次いで実施例1と同様の方法により感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を調製した。
Figure 2009173778
実施例6〜10
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分と、紫外線吸収剤として2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビンPS、チバガイギー社製)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆熱変色性組成物を調製し、次いで実施例1と同様の方法により感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を調製した。
Figure 2009173778
比較例1〜6
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分と、紫外線吸収剤を用いた以外は実施例1と同様の方法により可逆熱変色性組成物を調製し、次いで実施例1と同様の方法により感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を調製した。
Figure 2009173778
ヒステリシス特性測定試料の作製
エチレン−酢酸ビニルエマルジョンをバインダー樹脂として含有する水性スクリーン印刷インキビヒクル60部に、各実施例及び比較例で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料40部(固形分約24部)を加えて均一に分散して得た感温変色性色彩記憶性インキを用いて、上質紙にスクリーン印刷を行い、ヒステリシス特性測定試料を作製した。
ヒステリシス特性の測定
色差計〔TC−3600型色差計、東京電色(株)製〕の測定部に前記測定試料をセットし、完全発色温度以下から完全消色温度以上までの温度範囲で10℃/分の速度で前記測定試料を加熱及び冷却し、各温度における色濃度を測定した。
各温度において色差計に表示された明度値をグラフ上にプロットして、図1の色濃度−温度曲線を作成し、測定試料のt(完全発色温度)、t(発色開始温度)、t(消色開始温度)、t(完全消色温度)、t〔tとtの中点の温度(t+t)/2〕、t〔tとtの中点の温度(t+t)/2〕、ΔH(ヒステリシス幅t−t)を求めた。
以下の表に実施例1乃至10及び比較例1乃至6の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料のt、t、t、t、t、t、ΔHの値を示す。
Figure 2009173778
耐光性試験試料の作製
エチレン−酢酸ビニルエマルジョンをバインダー樹脂として含有する水性スクリーン印刷インキビヒクル80部に、各実施例及び比較例で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料20部(固形分約12部)を加えて均一に分散して得た感温変色性色彩記憶性インキを用いて、上質紙にスクリーン印刷を行い、耐光性試験試料を作製した。
耐光性試験A(発色状態)
各試験試料の可逆熱変色層を発色させた状態でキセノンアーク耐光性試験機(SUNTEST GPS、Heraeus社製)を使用して、試験試料部分の照度が75000lux、紫外線強度が2.6mW/cmの光強度となる照射条件で光照射を行った。
耐光性試験B(消色状態)
各試験試料の可逆熱変色層を消色させた状態でキセノンアーク耐光性試験機(SUNTEST GPS、Heraeus社製)を使用して、試料部分の照度が75000lux、紫外線強度が2.6mW/cmの光強度となる照射条件で光照射を行った。
なお、耐光性試験A、Bは、試験試料の背面の金属製保持板内部に冷水を循環させて試験試料を冷却しながら発色状態、消色状態のそれぞれの変色状態を保持し、発色濃度と消色時の残色を評価した。
以下の表に耐光性試験結果として、発色濃度が耐光性試験前の初期濃度の1/2になるまでの時間(濃度半減時間)、消色時の残色が実用上不具合を生じると判断されるまでの時間(残色発生時間)を示す。
Figure 2009173778
前記実施例中、(ニ)成分として6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−2,2’−スピロビクロマンを用いた実施例1、4、5、6、9、10及び比較例1〜6の発色状態での耐光性試験結果(耐光性試験A)を(ニ)成分及び紫外線吸収剤の有無別に以下の表に示す。
Figure 2009173778
前記実施例中、(ニ)成分として6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−2,2’−スピロビクロマンを用いた実施例1、4、5、6、9、10及び比較例1〜6の消色状態での耐光性試験結果(耐光性試験B)を(ニ)成分及び紫外線吸収剤の有無別に以下の表に示す。
Figure 2009173778
(ニ)成分として6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−2,2’−スピロビクロマンを用いた実施例及び比較例の耐光性試験結果において、(イ)成分の種類によって耐光性強度は異なっているが、(ニ)成分、紫外線吸収剤の添加による耐光性向上効果はほぼ同様の傾向を示している。
発色状態(耐光性試験A)では、濃度半減時間は(ニ)成分と紫外線吸収剤の両者を含むもの(実施例6、9、10)が最も長く、次いで(ニ)成分のみを含むもの(実施例1、4、5)、紫外線吸収剤のみを含むもの(比較例4、5、6)、いずれも含まないもの(比較例1、2、3)の順に短くなっており、特に(ニ)成分の有無による差が大きい。
残色発生時間も残色の発生し難い(イ)成分Aでは差が無いが、(イ)成分B、Cでは(ニ)成分を含むもの(実施例4、5、9、10)の方が含まないもの(比較例2、3、5、6)よりも長く、発色状態では濃度保持、残色発生抑制のいずれに対しても(ニ)成分の効果が大きい。
消色状態(耐光性試験B)では、濃度半減時間は(ニ)成分と紫外線吸収剤の両者を含むもの(実施例6、9、10)が最も良好であり、次いで紫外線吸収剤のみを含むもの(比較例4、5、6)も効果があるが、(ニ)成分のみを含むもの(実施例1、4、5)はいずれも含まないもの(比較例1、2、3)と同等である。
残色発生時間も(イ)成分A、Cでは残色の発生は無いが、(イ)成分Bでは紫外線吸収剤を含むもの(実施例9、比較例5)が含まないもの(実施例4、比較例2)よりも長く、消色状態では濃度保持、残色発生抑制のいずれにも紫外線吸収剤の効果が大きいことが判る。
従って、(ニ)成分と紫外線吸収剤を併用することにより、発色状態と消色状態の両状態、とりわけ発色状態の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の耐光性を向上させることができる。
応用例1
実施例4で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料(予め−20℃に冷却して黒色に発色させたもの)25.0部(固形分約15部)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10.0部、グリセリン10.0部、ノニオン系界面活性剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.2部、水53.77部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
筆記具の作製
前記インキをポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、後軸筒を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、感温変色性色彩記憶性筆記具(ボールペン)を得た。
なお、前記後軸筒には摩擦体としてSEBS製ゴムを装着してなる。
応用例2
比較例2で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例1と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例1と同様にして感温変色性色彩記憶性筆記具を得た。
応用例3
比較例5で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例1と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例1と同様にして感温変色性色彩記憶性筆記具を得た。
前記応用例1乃至3で得られた筆記具を用い、上質紙に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡はいずれも室温(25℃)では黒色を呈しており、この状態を室温で維持することができた。
摩擦体を用いて前記筆跡を擦過すると、いずれの筆跡も消色して無色となり、筆跡を視認することができなかった。
前記筆跡(発色状態)を屋内の北向きの窓際(10月)に7日間放置した後に摩擦体を用いて擦過したところ、応用例1(実施例4で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の筆跡は放置前と同様に消色して無色となり、筆跡を視認することができなかったが、応用例2及び3(比較例2、5で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の筆記具の筆跡は擦過しても褐色の筆跡が視認された。
応用例4
マイクロカプセル粒子の調製
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、パルミチン酸ブチル50部、を均一に加温溶解し、さらに壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40部を混合した溶液を15%ゼラチン水溶液100部中に投入し、微小滴になるように乳化分散した。前記分散液を70℃で約1時間攪拌を続けた後、水溶性アミン化合物〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:jERキュアU、エポキシ樹脂のアミン付加物〕2部を水23部に溶解させた水溶液を攪拌しながら徐々に添加し、さらに液温を90℃に保って約3時間攪拌を続けてマイクロカプセル粒子の懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル粒子を単離した(平均粒子径:3μm、固形分約60%)。
筆記具用インキの調製
実施例5で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料(予め−20℃に冷却してピンク色に発色させたもの)13.0部(固形分約7.8部)及び前記マイクロカプセル粒子7.0部(固形分約4.2部)を、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、グリセリン15.0部、消泡剤0.2部、防腐剤1.0部、水63.3部からなる水性インキビヒクルに均一に分散して感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
筆記具の作製
前記インキと攪拌球を軸筒内に内蔵し、弁機構を介在させて先端部にマーキングペン体(チゼル型繊維ペン体)を取り付け、感温変色性色彩記憶性筆記具(マーキングペン)を得た。
尚、前記弁機構は、弁体と、前記弁体を弁座に圧接するように付勢する金属製スプリングからなり、筆記時のペン体への筆圧で弁が開く構造である。
前記筆記具には着脱自在のキャップを備えてなり、前記キャップには頂部に擦過体としてSEBS樹脂を装着してなる。
応用例5
比較例3で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例4と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例4と同様にして感温変色性色彩記憶性筆記具を得た。
応用例6
比較例6で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例4と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例4と同様にして感温変色性色彩記憶性筆記具を得た。
前記応用例4乃至6で得られた筆記具を用いて上質紙に筆記してピンク色の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡はいずれも室温(25℃)ではピンク色を呈しており、この状態を室温で維持することができた。
摩擦体を用いて前記筆跡を擦過すると、いずれの筆跡も消色して無色となった。
前記筆跡(発色状態)を屋内の北向きの窓際(10月)に7日間放置したところ、応用例4(実施例5で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の直液式筆記具の筆跡は発色濃度に変化が無かったが、応用例5及び6(比較例3、6で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の筆記具の筆跡は発色濃度が半減していた。さらに放置後の前記筆跡を摩擦体を用いて擦過したところ、応用例2の筆跡は放置前と同様に消色して無色となったが、応用例5、6の筆記具の筆跡は擦過しても淡ピンク色の筆跡が視認された。
応用例7
実施例9で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料(予め−20℃に冷却して黒色に発色させたもの)40.0部(固形分約24部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50.0部、消泡剤1.0部、粘度調整剤1.0部、水8.0部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
前記インキを用いて、A4サイズの白色合成紙(厚み200μm)上に可逆熱変色層を設けて感温変色性色彩記憶性記録材を得た。
応用例8
比較例2で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例7と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例7と同様にして感温変色性色彩記憶性記録材を得た。
応用例9
比較例5で得られた感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いた以外は応用例7と同様にして、感温変色性色彩記憶性インキを調製し、応用例7と同様にして感温変色性色彩記憶性記録材を得た。
前記応用例7乃至9で得られた記録材にサーマルプリンター(昭和情報機器株式会社製、品番:S4870)を用いて文字を印字し、案内板を作成した。
前記案内板はいずれも黒色の背景に白地の文字が明瞭に視認され、室温(25℃)下で前記文字を保持できた。いずれの案内板も全体を70℃に加熱したところ、黒色の背景部分も消色して白色となり、文字を消去することができた。
更に、前記感温変色性色彩記憶性記録材を−20℃に冷却放置したとろころ、いずれの記録材も再び全面が均一濃度の黒色に発色し、再び印字して案内板として使用できる状態となった。
印字状態の前記案内板を屋内の北向きの窓際(10月)に7日間放置したところ、応用例7(実施例9で調製したマイクロカプセル顔料を使用)及び応用例9(比較例5で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の記録材を用いた案内板は放置前と表示状態に変化が無かったが、応用例8(比較例2で調製したマイクロカプセル顔料を使用)の記録材を用いた案内板は印字文字部分がやや褐色を帯びた状態となった。
前記放置後の案内板を70℃に加熱して案内板全体を消色させたところ、応用例7の記録材を用いた案内板は放置前と同様に白色となったが、応用例8の記録材を用いた案内板は印字部、背景部分共に淡褐色に着色した状態となり、応用例9の記録材を用いた案内板は背景部分のみが淡褐色に着色した状態となって印字されていた文字が白色で視認された。
次いで、全面消色させた前記記録材を−20℃に放置したところ、応用例7及び応用例9の記録材を用いた案内板は放置前と同様の全面が黒色の状態となったが、応用例8の記録材を用いた案内板は背景として放置されていた部分よりも印字状態で放置されていた部分の方が濃度が淡色化して印字が残像として視認された。
本発明感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
符号の説明
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (4)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体、(ニ)下記式(1)及び/又は式(2)で示される化合物の均質相溶体からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなり、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、該顔料は有色状態から温度が上昇する過程では、温度tに達すると消色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度tに達すると着色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、温度tが40℃以上であり、且つ、温度tが10℃以下である感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
    Figure 2009173778
    (式中、R、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、Rは炭素数1乃至20の直鎖又は分岐したアルキル基又は環状構造の炭化水素基を示し、X、Xはそれぞれ水素原子、水酸基、炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルコキシ基のいずれかを示し、Aは酸素原子、硫黄原子又は直接結合であり、mは0又は1の整数を示す。)
    Figure 2009173778
    (式中、R、R、R、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、X、X、X、Xはそれぞれ水素原子、水酸基、炭素数1乃至5の直鎖又は分岐したアルコキシ基のいずれかを示し、A、Aはそれぞれ酸素原子、硫黄原子又は直接結合であり、m、nはそれぞれ0又は1の整数を示す。)
  2. 前記マイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至80℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項1記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
  3. 前記(ハ)成分が下記式(3)で示される化合物である請求項1又は2記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
    Figure 2009173778
    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
  4. 前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分と、紫外線吸収剤とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
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