JP2006133625A - 反射板及び該反射板を備える液晶表示装置 - Google Patents

反射板及び該反射板を備える液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸の規則性により生じる色付きの発生を防止することができる反射板及び該反射板を備える反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置の提供。
【解決手段】反射板を、凹凸パターンが形成される単位領域を1辺が単位画素の整数倍であってかつ1900μm以上、画面全体以下のサイズに規定し、各々の単位領域において、凹凸パターンを、辺の長さ又は中心間の距離が標準偏差が3〜14(好ましくは5〜14)のガウス分布に従うように規定し、また、辺の長さ又は中心間の距離が標準偏差が3〜14(好ましくは5〜14)のガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置することによって、単位領域内の反射板の凹凸の規則性や単位領域間の反射板の凹凸に起因する干渉を抑制し、色付きのない表示品位の優れた反射型又は半透過型液晶表示装置を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に、反射型又は半透過型液晶表示装置に形成される反射板に関する。
液晶表示装置は、小型、薄型、低消費電力という特徴から、OA機器、携帯機器等の広い分野で実用化が進められている。この液晶表示装置はCRTやEL表示装置と異なり自ら発光する機能を有していないため、透過型の液晶表示装置にはバックライト光源が設けられており、液晶パネルでバックライト光の透過/遮断を切り替えることによって表示が制御される。この透過型液晶表示装置では、バックライト光により周囲環境によらず明るい画面を得ることができるが、バックライト光源の消費電力が大きいため、特にバッテリーで駆動する場合には動作時間が短くなるという問題がある。
そこで、上記バックライト光源の消費電力の問題を解決するために、周囲光を利用して表示する反射型液晶表示装置が提案されている。この反射型液晶表示装置は、バックライト光源の代わりに反射板を設け、液晶パネルで反射板による周囲光の透過/遮断を切り替えることによって表示が制御されるため、消費電力の低減、小型化、軽量化を図ることができるが、一方、周囲が暗い場合には視認性が低下してしまうという問題もある。
そこで、バックライト光源による消費電力の増加、及び周囲の環境による視認性の低下を防止するために、各々の画素に透過領域と反射領域とが設けられた液晶表示装置(以下、透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置の機能を兼ね備えたものを半透過型液晶表示装置と呼ぶ。)も提案されている。
上記反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置では、通常、TFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が形成されるTFT基板上に凹凸を有する樹脂層を設け、その樹脂層の上に金属膜などの反射膜を設けることによって反射板を形成し、この反射板によって周囲光を乱反射させているが、樹脂層の凹凸が規則正しく配列されていると、特に直射日光のような指向性を持つ光が入射した場合に、各々の凹凸で反射された光が干渉して色付きが発生してしまうという問題がある。
この色付きについて図面を参照して説明する。図12は反射板の各々の凹凸部分で光が反射される様子を模式的に示す図であり、図12(a)に示すように凹凸が規則的に形成されている場合は凹凸の距離が等しく凹凸の傾斜も同じ方向を向いているため、一定の方向から入射する光は各々の凹凸で一定の方向に反射されて干渉が発生する。一方、図12(b)に示すように、凹凸をランダムに配置すれば凹凸間の距離が変化し凹凸の傾斜も様々な方向を向くため、指向性を持つ光が入射したとしても入射光を様々な方向に反射させることができ、これにより光の干渉を抑制することができる。
このように凹凸がランダムに形成された反射板を備える液晶表示装置として、例えば、下記特許文献1には、単位画素における凹凸散乱反射電極が、互いに隣接する凹部又は凸部の中心間距離分布の標準偏差が異なる複数の領域から構成されている反射型液晶表示装置が開示されている。また、下記特許文献2には、単位画素における凹凸散乱反射電極を、凸部又は凹部を規則正しく配置した領域と、凸部又は凹部をランダムに配置した領域とからなる複数の領域によって構成し、この複数の領域を行列状に配列した反射型液晶表示装置が開示されている。また、下記特許文献3及び特許文献4には、100〜2000ドット又は画面全体を一単位として、光透過部又は光不透過部を平面方向にランダムに配列するマスクが開示されている。
特開平11−337935号公報(第2−3頁、第1図) 特開2001−201743号公報(第2−3頁、第1図) 特開2003−302633号公報(第5−16頁、第2図) 特開2003−302742号公報(第5−16頁、第2図)
上述したように反射板の凹凸をランダムに配置することによって、干渉を抑制して色付きを低減することができるが、ランダム性の程度により干渉の度合いも変化するため、ランダム性の程度が低い場合には色付きを十分に低減することができないという問題がある。
この問題に対して、上記特許文献1及び2には、凹部又は凸部の中心間距離分布を標準偏差が異なる4つの領域で構成すると記載されているものの、標準偏差をどの程度変化させるかについては記載されておらず、また、特許文献3及び4には、光透過部又は光不透過部を平面方向にランダムに配列すると記載されているものの、ランダム性の程度については記載されていないため、特許文献1乃至4の技術を利用したとしても色付きを確実に防止することはできない。
また、上記色付きは、単位領域内における凹凸の規則性の他に、単位領域の大きさにも起因して発生する。すなわち、凹凸をランダムに配置することによって単位領域内で干渉を抑制することができたとしても、液晶表示装置内でその単位領域を繰り返し形成することによって、巨視的に見れば凹凸が規則性を持つことになるため、単位領域が小さければ凹凸の規則性によって色付きが発生してしまう。
この問題に対して、上記特許文献3及び4には、100〜2000ドット又は画面全体を単位領域とする旨が記載されているが、液晶表示装置を構成する画素のサイズは液晶表示装置毎に異なるため、ドット数を規定しても単位領域の実際のサイズを規定することができず、単位領域のサイズが所定の値以下の場合には、単位領域内で凹凸をどのようにランダムに配置したとしても単位領域間で凹凸に規則性が生じてしまい、色付きの発生を防止することができない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、凹凸の規則性により生じる色付きの発生を防止することができる反射板及び該反射板を備える反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、液晶表示装置に入射された光を反射して表示用光源として利用可能にする反射板において、前記反射板は、多角形からなる単位領域毎に、凹部又は凸部がランダムに配置された凹凸パターンを備え、前記単位領域は、前記多角形の一辺が単位画素の整数倍かつ略1900μm以上、前記液晶表示装置の画面全体以下のサイズに規定されているものである。
本発明においては、前記凹凸パターンは、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように規定された多角形を平面方向に繰り返したパターンであり、前記多角形の中心又は全ての辺が凹部又は凸部のいずれかで形成されている構成とすることができる。
また、本発明においては、前記凹凸パターンは、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置した多角形を平面方向に繰り返したパターンであり、前記多角形の中心又は全ての辺が凹部又は凸部のいずれかで形成されている構成とすることもできる。
また、本発明においては、前記凹凸パターンは、中心間の距離がガウス分布に従うように規定された円又は楕円を平面方向に繰り返したパターンであり、前記円又は楕円の中心又は全周が凹部又は凸部のいずれかで形成されている構成とすることもできる。
また、本発明においては、前記凹凸パターンは、中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心を配置した円又は楕円を平面方向に繰り返したパターンであり、前記円又は楕円の中心又は全周が凹部又は凸部のいずれかで形成されている構成とすることもできる。
また、本発明においては、前記ガウス分布の標準偏差が3以上、14以下、又は5以上、14以下であることが好ましい。
又、本発明の反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置は、上記記載の反射板を備えるものである。
このように、本発明の構成によれば、ランダムな凹凸パターンが形成される単位領域のサイズが規定され、更に、各々の単位領域内のおける凹凸パターンのランダム性もガウス分布の標準偏差で規定されるため、単位領域内における凹凸の規則性に起因する干渉及び単位領域間における凹凸の規則性に起因する干渉の双方を確実に抑制することができ、色付きのない表示品位の優れた反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置を実現することができる。
以上説明したように、本発明の液晶表示装置によれば下記記載の効果を奏する。
本発明の第1の効果は、反射板で入射光を反射させる反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置において、単位領域内における反射板の凹凸の規則性に起因する干渉を抑制することができるということである。その理由は、単位領域内において、多角形、円、楕円などの基本図形を繰り返して形成される凹凸パターンを、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように規定し、また、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置しているからである。
また、本発明の第2の効果は、単位領域間における反射板の凹凸の規則性に起因する干渉を抑制することができるということである。その理由は、単位領域をドット数ではなく、実際の寸法で規定しているからである。
そして、単位領域内及び単位領域間双方における反射板の凹凸の規則性に起因する干渉を抑制することによって色付きの発生を防止し、表示品位の優れた反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置を実現することができる。
従来技術で示したように、反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置では、一方の基板に反射板を形成し、その反射板に凹凸を形成することによって周囲光を乱反射させているが、この凹凸が規則的に配置されていると直射日光などの指向性を持つ光が入射した場合に干渉し、その結果、色付きが発生するという問題があり、この色付きを低減させるためには、単位領域内における反射板の凹凸パターンのランダム性を高め、単位領域のサイズを大きくすることが重要である。そこで、色付きの発生を防止することができる凹凸パターンのランダム性及び単位領域のサイズを規定するために以下の実験を行った。
まず、色付きが発生しないランダム性を規定するために、基本図形が規則的に繰り返し配列された基本格子の格子間距離に対する凹凸パターンの頂点間距離(多角形の中心又は全ての辺を凹部又は凸部で形成した凹凸パターンの場合は辺の長さ又は中心間の距離、円又は楕円の中心又は全周を凹部又は凸部で形成した凹凸パターンの場合は円又は楕円の中心間距離)の分布を調べた。その結果を図2に示す。図2の横軸は、基本長からの移動長さ(格子間距離に対する頂点間距離の変化量)を示し、縦軸は頻度を規格化した値を示しており、図中のrndがランダムの程度を示している。このランダムの程度は規則的な基本格子の格子点をランダムに移動させた場合にその移動量の最大値で規定することが出来る。図2より、ランダムの程度が1.3μm、3.9μm、6.5μm、9.8μmの場合の分布は、各々、標準偏差が1、3、5、10のガウス分布とよく一致しており、ガウス分布での標準偏差を用いて凹凸パターンのランダムの程度を規定することができることが分かる。
次に、ガウス分布の標準偏差に対して色付きがどのように変化するかを調べた。その結果を図3に示す。図3の横軸は標準偏差(すなわち、正三角形を繰り返し配列した基本格子(図4(a)参照)の交点に対する凹凸パターンの頂点の変位量のランダムの程度)を示し、縦軸は正反射以外の部分の干渉による色付きの程度を示しており、×は明らかに輝線状の干渉が生じている状態、△は輝線がかなり細かく視認されるが表示した内容が判別できる状態、○は輝線がなく、表示した内容が問題なく確認できる状態を表している。図3より、標準偏差が小さい場合は凹凸の規則的が残っているために色付きが発生するが、標準偏差が3以上になると色付きが低減され、標準偏差が5以上、14以下になると色付きが発生しないことが分かる。この傾向は格子間距離(図のr)を変えても同様である。従って、凹凸パターンの頂点間距離を標準偏差が3以上、14以下(好ましくは5以上、14以下)のガウス分布に従うように規定、又は、凹凸パターンの頂点間距離が標準偏差が3以上、14以下(好ましくは5以上、14以下)のガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に凹凸パターンの中心又は各々の頂点を配置すれば、色付きの発生を確実に防止することができる。
なお、ここでは、図4(a)に示すように正三角形を繰り返し配列した基本格子について示したが、基本格子の基準となる基本図形の形状は特に限定されず、図4(b)に示すように正方形にしてもよいし、図4(c)に示すように六角形としてもよいし、長方形や斜方形などにしてもよく、任意の多角形とすることができる。また、凹凸パターンは、多角形の中心又は辺に対応する部分を凹状にしても凸状にしてもよいし、円又は楕円の中心又は全周を凹状又は凸状にしたドットパターンとしてもよい。
次に、色付きが発生しない単位領域の大きさを規定するために、単位領域の大きさを変えた場合に色付きがどのように変化するかを調べた。その結果を図5に示す。
図5の横軸は単位領域の一辺の寸法を示し、縦軸は干渉又は繰り返し(単位領域内の凹凸の分布が視認される現象)の有無を示している。図5より、単位領域が小さい場合には干渉が発生しているが、単位領域のサイズが大きくなるにしたがって徐々に干渉が低減し、単位領域のサイズが約700μm以上では干渉が発生しないことが分かる。また、単位領域がある程度の大きさになると単位領域内の凹凸の分布に偏りが生じる場合があり、その場合に単位領域がある範囲では凹凸の分布の偏りが繰り返しパターンとして認識されてしまうが、単位領域が約1900μm以上ではこの繰り返しも発生しないことが分かる。この結果から、単位領域の大きさに起因する色付きを低減するためには、単位領域を単位画素の整数倍かつ一辺が1900μm以上、画面全体以下のサイズに規定すればよいことが分かる。
以上の結果から、図1に示すように、単位領域を単位画素の整数倍かつ一辺が1900μm以上、画面全体以下のサイズに規定し、各々の単位領域において、多角形、円、楕円などの基本図形を繰り返して形成される凹凸パターンを、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように規定し、また、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置することによって、単位領域内の反射板の凹凸の規則性や単位領域間の反射板の凹凸に起因する干渉を十分に抑制することができ、上記規定に従って凹凸が形成された反射板を液晶表示装置内に形成することによって色付きのない表示品位の優れた反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置を実現することができる。
上記した本発明の実施の形態について詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る反射板及び該反射板を備える液晶表示装置について、図6乃至図11を参照して説明する。図6は、本発明の一実施例に係る反射型液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図であり、図7は、その製造方法を示す工程断面図である。また、図8は、本発明の一実施例に係る半透過型液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図であり、図9は、その製造方法を示す工程断面図である。また、図10は、反射型液晶表示装置における回折像の観察結果を示す図であり、図11は、半透過型液晶表示装置における回折像の観察結果を示す図である。
図6に示すように、反射型液晶表示装置は、TFTなどのスイッチング素子が形成された一方の基板(ここではTFT基板1aとする。)と、一方の基板に対向する対向基板1bと、両基板間に狭持される液晶18とから構成される。また、TFT基板1aは、透明絶縁基板5上に、ゲート線及びゲート電極6、ゲート絶縁膜7、半導体層8、データ線及びソース/ドレイン電極9a、9bが各々形成され、それらを覆うパッシベーション膜10上に有機凹凸膜11が形成されている。この有機凹凸膜11には、1辺が単位画素の整数倍であってかつ1900μm以上、画面全体以下のサイズを単位領域とし、単位領域内に、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように規定され、また、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置された凹凸パターンが形成されており、その有機凹凸膜11上にAlやAl合金などの金属材料が形成されて反射板を兼ねる画素電極12が形成されている。また、対向基板1bは、透明絶縁基板14上にRGB各色のカラー表示を行うためのカラーフィルタ15と、余分な光を遮光するためのブラックマトリクスと、ITO(indium tin oxide)からなる対向電極16とが形成されている。そして、両基板の対向面側には配向膜13、17が設けられ、スペーサを介して両基板が貼り合わされて所望のギャップが形成され、このギャップに液晶18が狭持されて反射型液晶表示装置が形成される。
上記反射型液晶表示装置を構成するTFT基板1aの製造方法について、図7を参照して説明する。
まず、図7(a)に示すように、ガラス等の透明絶縁性基板5上にCr等の金属を堆積し、公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてゲート線、ゲート電極6を形成する。次に、SiO、SiNx、SiOx等のゲート絶縁膜7を介してa−Si等の半導体層8を堆積し、島状にパターニングした後、Cr等の金属を堆積、パターニングして、データ線、ソース電極9a、ドレイン電極9bを形成する。その後、SiNx等をプラズマCVD法などにより堆積し、TFTを保護するパッシベーション膜10を形成する。
次に、図7(b)に示すように、パッシベーション膜10の上に反射板の凹凸を形成するための有機凹凸膜11となる感光性樹脂11aをスピン塗布法により塗布する。この感光性樹脂11aの種類は特に限定されず、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ファノール系樹脂などを用いることができ、感光性のアクリル樹脂としては、例えばJSR製PC403、415G、405Gなどを用いることができる。
次に、フォトマスクを用いて感光性樹脂11aを露光して、その表層に所定の凹凸パターンを形成する。ここで、従来の液晶表示装置では、凹凸の規則性に起因する干渉を抑制するために、単位領域内に凹部又は凸部の中心間距離分布の標準偏差が異なる4つの領域を設けたり(特許文献1)、単位領域内に凹凸が規則的に配置される領域とランダムに配置される領域とを交互に設けたり(特許文献2)、100〜2000ドットの単位領域内に凹凸をランダムに設けたが(特許文献3及び4)、実施形態で示したように、凹凸の規則性に起因する干渉を確実に抑制するためには、単位領域のサイズ及び単位領域内の凹凸パターンのランダム性の双方を規定する必要があることから、従来の構造では干渉による色付きの発生を防止することができなかった。
そこで、本実施例では、感光性樹脂11aに露光するにあたって、単位領域を1辺が1900μm以上のサイズとし、各々の単位領域内において、各々の単位領域内において、凹凸パターンの頂点を、基本図形(正三角形、正方形、矩形などその形状は問わない。)を規則的に配列した基本格子の交点をランダムに移動させることにより格子点間の距離が標準偏差が3以上14以下、好ましくは5以上14以下のガウス分布に従うように配置したフォトマスクを用いて露光を行っている。
上記凹凸の形成方法は特に限定されないが、例えば、凹凸パターンの凹部に相当する部分には少なめの露光量によりアンダー露光し、凸部に相当する部分は未露光とし、ソース電極9a上のコンタクトホールに相当する部分は十分な露光量により露光する。このような露光を行うために複数のフォトマスク(凹部に相当する部分を露光するフォトマスクとコンタクトホールに相当する部分を露光するフォトマスクなど)を用いてもよいが、凸部に対応する部分に反射膜が形成され、コンタクトホールなどの感光性樹脂11aを完全に除去する領域に対応する部分に透過膜が形成され、凹部に対応する部分に半透過膜が形成されたハーフトーン(グレートーン)マスクを用いることもでき、ハーフトーンマスクを用いることにより、1回の露光で凹凸を形成することができる。
その後、図7(c)に示すように、アルカリ現像液を用い、凹部、凸部、コンタクトホール等のそれぞれのアルカリ溶液への溶解速度の差を利用して感光性樹脂11aの表層に凹凸を形成した後、例えば、220℃で1時間程度キュアすることにより所望の形状の有機凹凸膜11が形成される。
次に、図7(d)に示すように、スパッタ法又は蒸着法等を用いて、有機凹凸膜11の上部及びソース電極9a上に設けたコンタクトホール内部にAlやAl合金などの金属材料を成膜し、ソース電極9aに接続された画素電極12を形成し、この画素電極12を反射板として利用する。その後、画素電極12上にポリイミドからなる配向膜13を形成してTFT基板1aが製造される。そして、カラーフィルタ15、ブラックマトリクス、対向電極16が形成され、その上に配向膜17が塗布された対向基板1bとの間に液晶を狭持し、対向基板1bの外側に位相差板と偏光板を配設して反射型液晶表示装置が形成される。
上記説明は反射型液晶表示装置の場合であるが、図8に示すように、1画素内に反射領域と透過領域とが形成され、反射領域にのみ反射板が形成される半透過型液晶表示装置についても本発明を適用することができる。以下、半透過型液晶表示装置を構成するTFT基板1aの製造方法について、図9を参照して概説する。
まず、図9(a)に示すように、反射型液晶表示装置と同様に、ガラス等の透明絶縁性基板5上にCr等の金属を堆積し、ゲート線、ゲート電極6を形成する。次に、SiO、SiNx、SiOx等のゲート絶縁膜7を介してa−Si等の半導体層8を堆積し島状にパターニングした後、Cr等の金属を堆積し、データ線、ソース電極9a、ドレイン電極9bを形成する。その後、SiNx膜等をプラズマCVD法などにより堆積し、TFTを保護するパッシベーション膜10を形成する。
次に、半透過型液晶表示装置の場合は、透過領域に金属材料からなる画素電極を形成できないため、ソース電極9a上に開口部を設けた後、ITOなどの透明性導電膜をスパッタ法により全面に形成し、パターニングして、各々の画素上に透明電極19を形成する。その後、図9(b)に示すように、透明電極19の上に反射板の凹凸を形成するための有機凹凸膜11となる感光性樹脂11aをスピン塗布法により塗布する。
次に、フォトマスクを用いて、凹凸パターンの凹部に相当する部分には少なめの露光量によりアンダー露光し、凸部に相当する部分は未露光とし、透過領域に相当する部分は十分な露光量により露光して、反射領域の表層に所定の凹凸パターンを形成する。その際、本実施例でも、感光性樹脂11aを露光するにあたって、単位領域を1辺が単位画素の整数倍であってかつ1900μm以上、画面全体以下のサイズとし、各々の単位領域内において、凹凸パターンの頂点を、基本図形を規則的に配列した基本格子の交点をランダムに移動させることにより格子点間の距離が標準偏差が3以上14以下、好ましくは5以上14以下のガウス分布に従うように配置したフォトマスクを用いて露光を行っている。
その後、図9(c)に示すように、アルカリ現像液を用い、凹部、凸部、透過領域等のそれぞれのアルカリ溶液への溶解速度の差を利用して感光性樹脂11aの表層に凹凸を形成した後、例えば、220℃で1時間程度キュアすることにより所望の形状の有機凹凸膜11が形成される。
次に、図9(d)に示すように、スパッタ法又は蒸着法等を用いて、有機凹凸膜11の上部及び透明電極膜19の一部にAlやAl合金などの金属材料を成膜し、透明電極19に接続された画素電極12(反射板)を形成する。その後、透明電極19及び反射板上にポリイミドからなる配向膜13を形成してTFT基板1aが製造され、カラーフィルタ15、ブラックマトリクス、対向電極16が形成され、その上に配向膜17が塗布された対向基板1bとの間に液晶を狭持し、対向基板1bの外側に位相差板と偏光板を配設して半透過型液晶表示装置が形成される。
次に、本発明の効果を確認するために、上記方法を用いて、基本格子の格子間距離に対する凹凸パターンの辺の長さの分布が標準偏差(以後、ガウス分布の標準偏差の値をランダム性とする。)を各々1、3、5であるガウス分布におおよそ従うようにした試料を作成し、各々の試料について、波長670.5nm、径2mmのレーザ光を照射してその回折像を測定した。その結果を図10及び図11に示す。図10は反射型の液晶表示装置にレーザ光を照射した場合の回折像であり、図11は、半透過型の液晶表示装置にレーザ光を照射した場合の回折像である。
図10より、反射型液晶表示装置では、ランダム性が1の場合は4回以上の回折像まで観測されるのに対して、ランダム性が3になると3回回折像までとなり、更にランダム性が5となると2回回折像までしか観測されない。また、図11より、半透過型液晶表示装置では、ランダム性が1の場合は2回以上の回折像まで観測されるのに対して、ランダム性が3及び5の場合には回折像は観測されない。
この結果から、単位領域内における凹凸パターンのランダム性を5以上とする(すなわち、凹部又は凸部の頂点位置又は頂点間距離を標準偏差が5以上のガウス分布に従ってランダムに配置する)ことによって回折数を2回以下とすることができ、凹凸の規則性に起因する干渉を抑制することができることが確認できた。また、ランダム性が3〜5の間にある場合は、干渉による色付きにより視認性が低下するが、3よりも小さい場合と比べると改善されていることが確認できた。なお、反射型液晶表示装置と半透過型液晶表示装置とで、ランダム性に対する回折数が異なるのは、半透過型液晶表示装置では相隣り合う画素の凹凸パターンの間に凹凸のない透過領域が形成されており、回折が起こりにくいためと考えられる。
このように、本実施例の液晶表示装置によれば、反射型液晶表示装置又は半透過型液晶表示装置で用いられる反射板を、単位領域を1辺が単位画素の整数倍であってかつ1900μm以上、画面全体以下のサイズとし、各々の単位領域内において、多角形、円、楕円などの基本図形を繰り返して形成される凹凸パターンを、辺の長さ又は中心間の距離が標準偏差が3〜14(好ましくは5〜14)のガウス分布に従うように規定し、また、辺の長さ又は中心間の距離が標準偏差が3〜14(好ましくは5〜14)のガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置することによって、単位領域内の凹凸の規則性及び単位領域間の凹凸の規則性の双方に起因する干渉を抑制して色付きを防止し、表示品位の優れた液晶表示装置を実現することができる。
また、このような反射板を形成することによって、TiOなどが分散された拡散のりを塗布したり、防眩処理(アンチグレア処理:AG処理)を施す必要がなくなるため、これらの処理に要する工数や材料を削減することができ、また、拡散のりによる拡散によって生じていた反射特性及び透過特性の低下を防止することもできる。
なお、上記実施例では有機凹凸膜11のみで凹凸を形成したが、2層以上の有機膜を用いて凹凸を形成してもよい。また、上記実施例では有機凹凸膜11の表層部に凹凸を形成したが、有機膜を島状に分断して凹凸を形成してもよい。また、上記実施例ではTFT基板1a側に反射板を形成したが、TFT基板1aの裏面側を表示面とする場合には対向基板1b側に反射板を形成してもよく、一対の基板の外部に上記規定に従って凹凸パターンが形成された反射板を別途設置する構成としてもよい。
また、本発明の液晶表示装置は、各々の基板に透明電極を設け、基板間の縦方向の電界により液晶を駆動するTN方式の液晶表示装置や、一方の基板に櫛歯状の電極を設け、櫛歯電極間の電界で液晶を駆動するIPS方式の液晶表示装置等、任意の駆動方式の液晶表示装置に適用することができる。
本発明の一実施例に係る液晶表示装置の反射板に形成する凹凸パターンの単位領域、及び凹凸パターンのランダム性を説明する図である。 凹凸パターンのランダム性とガウス分布の標準偏差との対応関係を示す図である。 標準偏差と色付きの程度との相関を示す図である。 単位領域を構成する単位格子の形状のバリエーションを示す図である。 凹凸パターンが形成される単位領域のサイズと干渉/繰り返しの有り無しとの相関を示す図である。 本発明の一実施例に係る反射型液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施例に係る反射型液晶表示装置の製造方法を示す工程断面図である。 本発明の一実施例に係る半透過型液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施例に係る半透過型液晶表示装置の製造方法を示す工程断面図である。 反射型液晶表示装置における凹凸パターンのランダム性と回折数との相関を示す図である。 半透過型液晶表示装置における凹凸パターンのランダム性と回折数との相関を示す図である。 凹凸が規則的に配置された場合とランダムに配置された場合の光の反射の様子を模式的に示す図である。
符号の説明
1 液晶パネル
1a TFT基板
1b 対向基板
2 単位領域
3 基本格子
4 凹部又は凸部の頂点位置
5 透明絶縁基板
6 ゲート電極
7 ゲート絶縁膜
8 半導体層
9a ソース電極
9b ドレイン電極
10 パッシベーション膜
11 有機凹凸膜
11a 感光性樹脂
12 画素電極(反射板)
13 配向膜
14 透明絶縁基板
15 カラーフィルタ
16 対向電極
17 配向膜
18 液晶
19 画素電極(透明電極)

Claims (9)

  1. 液晶表示装置に入射された光を反射して表示用光源として利用可能にする反射板において、
    前記反射板は、多角形からなる単位領域毎に、凹部又は凸部がランダムに配置された凹凸パターンを備え、前記単位領域は、前記多角形の一辺が単位画素の整数倍かつ略1900μm以上、前記液晶表示装置の画面全体以下のサイズに規定されていることを特徴とする反射板。
  2. 前記凹凸パターンは、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように規定された多角形を平面方向に繰り返したパターンであり、
    前記多角形の中心又は全ての辺が凹部又は凸部のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射板。
  3. 前記凹凸パターンは、辺の長さ又は中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心又は各々の頂点を配置した多角形を平面方向に繰り返したパターンであり、
    前記多角形の中心又は全ての辺が凹部又は凸部のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射板。
  4. 前記凹凸パターンは、中心間の距離がガウス分布に従うように規定された円又は楕円を平面方向に繰り返したパターンであり、
    前記円又は楕円の中心又は全周が凹部又は凸部のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射板。
  5. 前記凹凸パターンは、中心間の距離がガウス分布に従うように、規則的な格子の交点を移動させた位置に該中心を配置した円又は楕円を平面方向に繰り返したパターンであり、
    前記円又は楕円の中心又は全周が凹部又は凸部のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射板。
  6. 前記ガウス分布の標準偏差が3以上、14以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の反射板。
  7. 前記ガウス分布の標準偏差が5以上、14以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の反射板。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一に記載の反射板を備えることを特徴とする反射型液晶表示装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一に記載の反射板を備えることを特徴とする半透過型液晶表示装置。
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