JP2006132417A - ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸流インペラと遠心インペラとを組み合わせたインペラを備えたポンプにおいて、ポンプの吐出性能の向上とポンプの小型化とを図る。
【解決手段】 インペラ4は軸流インペラ13と遠心インペラ14とからなる。軸流インペラ13は、第1円柱形状部13aとその外周部に螺旋状に形成された螺旋状溝13bとを有する。遠心インペラ14は、第2円柱形状部14aとその外周部に形成されて一端が螺旋状溝13bに接続され、螺旋状溝13bとの接続部分から第2円柱形状部14aの外周面方向に向けて回転中心からの距離が次第に大きくなる遠心方向拡開溝14bとを有する。螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝14bとの接続部分では、螺旋状溝13bの端部と遠心方向拡開溝14bの端部とが滑らかに連続している。これにより、搬送される液体の軸流インペラ13から遠心インペラ14への受け渡しを、乱流の発生を抑制してスムーズに行える。
【選択図】 図1
【解決手段】 インペラ4は軸流インペラ13と遠心インペラ14とからなる。軸流インペラ13は、第1円柱形状部13aとその外周部に螺旋状に形成された螺旋状溝13bとを有する。遠心インペラ14は、第2円柱形状部14aとその外周部に形成されて一端が螺旋状溝13bに接続され、螺旋状溝13bとの接続部分から第2円柱形状部14aの外周面方向に向けて回転中心からの距離が次第に大きくなる遠心方向拡開溝14bとを有する。螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝14bとの接続部分では、螺旋状溝13bの端部と遠心方向拡開溝14bの端部とが滑らかに連続している。これにより、搬送される液体の軸流インペラ13から遠心インペラ14への受け渡しを、乱流の発生を抑制してスムーズに行える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軸流インペラと遠心インペラとを組み合わせたインペラを備えたポンプに関する。
従来、液体の搬送にはインペラを備えたポンプが広く用いられており、その一例として、軸流インペラと遠心インペラとを組み合わせたインペラを用いたポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
軸流インペラと遠心インペラとを組み合わせたインペラを使用するポンプでは、液体が軸流インペラの回転により軸流インペラの軸心に沿って搬送され、ついで、その液体が遠心インペラの回転により遠心インペラの遠心方向に排出される。
軸流インペラにより搬送された液体が遠心インペラに受け渡される部分では、液体の進行方向が切り替わることにより乱流が発生し、この乱流の影響で遠心インペラからの液体の吐出性能が低下するという問題が生じる。
この乱流を防止するためには、軸流インペラと遠心インペラとの間に整流板を設ける必要がある。
しかし、軸流インペラと遠心インペラとの間に整流板を設けると、インペラ全体の構造が複雑になり、しかも、インペラ全体が大型化する。
本発明の目的は、軸流インペラと遠心インペラとを組み合わせたインペラを使用するポンプにおいて、軸流インペラと遠心インペラとの間での乱流の発生を整流板を用いることなく抑制し、液体の吐出性能の向上及びポンプの小型化を図ることである。
本発明のポンプは、内部に円柱形状の流路が形成されたケースと、前記流路の一端側に接続された吸入口と、前記流路の他端側に接続された排出口と、前記流路内に中心線回りに回転可能に収納され、回転することにより前記吸入口から液体を吸入して該液体を前記排出口から排出させるインペラと、前記インペラを中心線回りに回転させる駆動部と、を有し、前記インペラは、第1円柱形状部とこの第1円柱形状部の外周部に螺旋状に形成された螺旋状溝とを有して前記吸入口側に位置する軸流インペラ、及び、第2円柱形状部とこの第2円柱形状部の外周部に形成されて一端が前記螺旋状溝に接続され、この螺旋状溝との接続部分から前記第2円柱形状部の外周面方向に向けて回転中心からの距離が次第に大きくなる遠心方向拡開溝とを有する遠心インペラからなり、前記螺旋状溝の端部と前記遠心方向拡開溝の端部とが滑らかに連続して形成されている。
したがって、インペラが回転することにより、吸入口から吸入された液体が軸流インペラの螺旋状溝内を搬送され、ついで、遠心インペラの遠心方向拡開溝内を搬送されて排出口から排出される。このインペラでは、軸流インペラの螺旋状溝の端部と遠心インペラの遠心方向拡開溝の端部とが滑らかに連続して形成されているので、搬送される液体は螺旋状溝から遠心方向拡開溝へスムーズに受け渡され、この受け渡し部分において整流板を用いることなく乱流の発生が抑制される。
本発明のポンプによれば、搬送される液体が軸流インペラから遠心インペラへ受け渡される過程での乱流の発生を整流板を用いることなく抑制することができ、ポンプから吐出される液体の吐出性能を整流板を用いることなく向上させることができ、整流板を用いないことによりポンプの小型化を達成することができる。
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は、ポンプ1を示す縦断断面図である。このポンプ1は、内部に円柱形状の流路2が形成されたケース3と、流路2内に中心線回りに回転可能に収納されたインペラ4とを有している。流路2の一端側には吸入口5が接続され、流路2の他端側には排出口6が接続されている。
図1は、ポンプ1を示す縦断断面図である。このポンプ1は、内部に円柱形状の流路2が形成されたケース3と、流路2内に中心線回りに回転可能に収納されたインペラ4とを有している。流路2の一端側には吸入口5が接続され、流路2の他端側には排出口6が接続されている。
ケース3内には、インペラ4を中心線回りに回転させる駆動部であるステータ7が設けられている。ステータ7は、ステータコア8、巻線9、ボビン10により形成されている。ステータコア8は、リング状に形成された珪素鋼板を積層して形成され、内周方向に向けて突出した6個の突部8aが周方向に沿って60°間隔で形成されている。巻線8は、各凸部8aに巻かれており、この巻線8に通電することにより各凸部8aが磁化される。ボビン10は、巻線9と突部8aとの間に設けられて両者を絶縁する絶縁部材である。ボビン10と突部8aとの間には、粘性を有する熱伝導部材であるシリコーングリース11が設けられている。シリコーングリース11は、ボビン10と突部8aとの隙間を埋めるように充填されている。このシリコーングリース11は、熱伝導性の良い粉末であるアルミナが配合された半固体状の油性物質である。
ケース3内の流路2の内周部には、ステータ7を防水するための円筒状のキャン12が配置されている。キャン12は金属などの伝熱製が良好な材料で形成され、ステータ7を防水することに加え、ステータ7で発生した熱を流路2内を流れる液体に放熱する機能を有する。
インペラ4は、軸流インペラ13と遠心インペラ14とを一体化して形成され、軸流インペラ13が吸入口5側に位置し、遠心インペラ14が排出口6側に位置する向きに流路2内に収納されている。
インペラ4は回転軸15を有し、この回転軸15の両端を軸受16、17で軸支されることにより中心線回りに回転可能に保持されている。
軸流インペラ13は、円柱形状に形成された第1円柱形状部13aと、この第1円柱形状部13aの外周面に螺旋状に形成された2条の螺旋状溝13bとを有している。遠心インペラ14は、第1円柱形状部13aより大径である円柱形状に形成された第2円柱形状部14aと、この第2円柱形状部14aの外周面に螺旋状に形成された2条の遠心方向拡開溝14bとを有している。
第1円柱形状部13aの内部であってケース3内に設けられたステータ7の磁極(突部8aに巻線9が巻かれた部分)に対向する部分には永久磁石(図示せず)がモールドされている。この永久弱磁石は、インペラ4の中心線回りの放射状位置に配置され、周方向に沿って交互に異極となるように90°間隔で配置されている。
図2はインペラ4を示す斜視図、図3はインペラ4を示す平面図である。
軸流インペラ13の螺旋状溝13bは、インペラ4の回転中心から螺旋状溝13bの底面13cまでの距離が、螺旋状溝13bの全領域で等しく形成されている。また、螺旋状溝13bは、インペラ4の回転中心に対して12〜25°の傾斜をもって形成されている。
遠心インペラ14の遠心方向拡開溝14bは、一端が螺旋状溝13bの端部に接続されている。インペラ4の回転中心から遠心方向拡開溝14bの底面14cまでの距離は、螺旋状溝13bとの接続部分Aから第2円柱形状部14aの外周面方向に向けて次第に大きくなるように設定されている。また、螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝との接続部分Aにおいて、螺旋状溝13bの底面13cと遠心方向拡開溝14bの底面14cとが滑らかに連続している。さらに、遠心方向拡開溝14bの底面14cの幅寸法は、この遠心方向拡開溝14bが螺旋状に形成されているため、図2のB、B′で示すように、第2円柱形状部14aの外周面方向に向けて次第に小さく形成されている。
このような構成において、このポンプ1では、巻線9への通電を行ってステータ7の凸部8aを順次励磁して極性を切り替えることにより、インペラ4が図2及び図3に示す矢印C方向に中心線回りに回転駆動される。
インペラ4が回転駆動されることにより、吸入口5から液体が吸入され、吸入された液体は軸流インペラ13の螺旋状溝13b内を搬送され、螺旋状溝13b内を搬送された液体は螺旋状溝13bの端部から遠心方向拡開溝14bに受け渡される。そして、遠心方向拡開溝14bに受け渡された液体は、遠心方向拡開溝14bの底面14cにより矢印Dで示す方向に跳ね飛ばされ、排出口6から排出される。
ここで、螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝14bとの接続部分Aでは、螺旋状溝13bの端部と遠心方向拡開溝14bの端部とが滑らかに連続して形成されている。本実施の形態では、軸流インペラ13と遠心インペラ14とが一体成形で螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝14bとが連続的に段差がないように形成されている場合を例示したが、軸流インペラと遠心インペラとを別個に形成した後に各インペラに形成されている螺旋状溝と遠心方向拡開溝とが滑らかに連続するように連結してもよい。このような構成により、搬送される液体が螺旋状溝13bから遠心方向拡開溝14bに受け渡される過程において螺旋状溝13bと遠心方向拡開溝14bとの接続部分Aでの乱流発生が抑制され、液体の受け渡しがスムーズに行われる。このため、軸流インペラ13と遠心インペラ14との間に、搬送される液体の乱流発生を抑制するための整流板を設ける必要がなくなる。
これにより、整流板を用いることなくポンプ1の吐出性能を向上させることができる。しかも、整流板や整流板を設けるスペースを確保する必要がなくなるため、ポンプ1の小型化を図ることができる。
また、遠心方向拡開溝14bの底面14cの幅寸法が、図2のB、B′に示すように、第2円柱形状部14aの外周面方向に向けて次第に小さく形成されているので、液体を跳ね飛ばす際においてインペラ4に作用する負荷が軽減される。
本発明の第2の実施の形態を図4ないし図6に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
図4は本実施の形態のポンプで使用するインペラ20を示す斜視図、図5はインペラ20を示す平面図である。
図4は本実施の形態のポンプで使用するインペラ20を示す斜視図、図5はインペラ20を示す平面図である。
本実施の形態のインペラ20は、第1の実施の形態で説明したインペラ4と基本的構造は同じであり、このインペラ20が、第1の実施の形態で説明したケース3に形成された流路2内に中心線回りに回転可能に収納されている。流路2の一端側には吸入口5が接続され、流路2の他端側には排出口6が接続されている(図1参照)。
インペラ20は、軸流インペラ13と遠心インペラ14Aとを一体化して形成され、軸流インペラ13が吸入口5側に位置し、遠心インペラ14Aが排出口6側に位置する向きに流路2内に収納されている。
軸流インペラ13は、円柱形状に形成された第1円柱形状部13aと、この第1円柱形状部13aの外周面に螺旋状に形成された2条の螺旋状溝13bとを有している。遠心インペラ14Aは、第1円柱形状部13aより大径である円柱形状に形成された第2円柱形状部14aと、この第2円柱形状部14aの外周面に螺旋状に形成された2条の遠心方向拡開溝14bと、第2円柱形状部14aの外周面側に位置する遠心方向拡開溝14bの先端側に形成されて、インペラ20の回転方向に沿った方向であって第2円柱形状部14aの外周面に対する接線方向に沿った方向へ流体を押出す湾曲面形状の接線方向押出面部21とが形成されている。
接線方向押出面部21は、遠心方向拡開溝14bの底面14cの一部として形成され、接線方向押出面部21の面積は遠心方向拡開溝14bの底面14cの全面積の30%以下に設定されている。
このような構成において、このポンプ1では、巻線9への通電を行ってステータ7の磁極を順次励磁して極性を切り替えることにより、インペラ20が図4及び図5に示す矢印C方向に中心線回りに回転駆動される。
インペラ20が回転駆動されることにより、吸入口5から液体が吸入され、吸入された液体は軸流インペラ13の螺旋状溝13b内を搬送され、螺旋状溝13b内を搬送された液体は螺旋状溝13bの端部から遠心方向拡開溝14bに受け渡される。そして、遠心方向拡開溝14bに受け渡された液体は、遠心方向拡開溝14bの底面14cにより矢印Dで示す方向に跳ね飛ばされ、排出口6から排出される。
さらに、遠心方向拡開溝14bの先端側において、遠心方向拡開溝14b内を搬送された液体の一部は接線方向押出面部21によって押圧され、この液体は、インペラ20の回転方向に沿った方向であって第2円柱形状部14aの外周面に対する接線方向に沿った方向(図5に示す矢印E方向)へ跳ね飛ばされる。
この接線方向押出面部21を形成することにより、このポンプで搬送する液体中に気体が混入した場合には、液体中に混入された気体が接線方向押出面部21により跳ね飛ばされてポンプの排出口側へ送り出され、排出口から排出される。このため、ポンプ内に気泡が滞留することが防止され、ポンプ内に滞留した気泡によるポンプの出力性能の低下を防止できる。
図6は、遠心方向拡開溝14bの底面14cの全面積に対する接線方向押出面部21の面積の比率と、それぞれの比率における混入気体を排出する性能比率と、ポンプに作用する負荷レベルとの関係を示すグラフである。接線方向押出面部21の面積の比率を大きくすると、混入気体を排出する性能は高くなるものの、同時に、ポンプに作用する負荷レベルも増大する。このため、接線方向押出面部21の面積を、遠心方向拡開溝14bの底面14cの全面積の30%以下とすることが好適である。
2 流路
3 ケース
4 インペラ
5 吸入口
6 排出口
7 駆動部、ステータ
13 軸心インペラ
13a 第1円柱形状部
13b 螺旋状溝
13c 底面
14 遠心インペラ
14A 遠心インペラ
14a 第2円柱形状部
14b 螺旋状溝
14c 底面
20 インペラ
21 接線方向押出面部
3 ケース
4 インペラ
5 吸入口
6 排出口
7 駆動部、ステータ
13 軸心インペラ
13a 第1円柱形状部
13b 螺旋状溝
13c 底面
14 遠心インペラ
14A 遠心インペラ
14a 第2円柱形状部
14b 螺旋状溝
14c 底面
20 インペラ
21 接線方向押出面部
Claims (5)
- 内部に円柱形状の流路が形成されたケースと、
前記流路の一端側に接続された吸入口と、
前記流路の他端側に接続された排出口と、
前記流路内に中心線回りに回転可能に収納され、回転することにより前記吸入口から液体を吸入して該液体を前記排出口から排出させるインペラと、
前記インペラを中心線回りに回転させる駆動部と、を有し、
前記インペラは、第1円柱形状部とこの第1円柱形状部の外周部に螺旋状に形成された螺旋状溝とを有して前記吸入口側に位置する軸流インペラ、及び、第2円柱形状部とこの第2円柱形状部の外周部に形成されて一端が前記螺旋状溝に接続され、この螺旋状溝との接続部分から前記第2円柱形状部の外周面方向に向けて回転中心からの距離が次第に大きくなる遠心方向拡開溝とを有する遠心インペラからなり、前記螺旋状溝の端部と前記遠心方向拡開溝の端部とが滑らかに連続して形成されているポンプ。 - 前記第2円柱形状部の外周面側に位置する前記遠心方向拡開溝の先端側に、前記インペラの回転方向に沿った方向であって前記第2円柱形状部の外周面に対する接線方向に沿った方向へ流体を押出す接線方向押出面部が形成されている請求項1記載のポンプ。
- 前記接線方向押出面部は前記遠心方向拡開溝の底面の一部として形成され、前記接線方向押出面部の面積は前記遠心方向拡開溝の底面の全面積の30%以下である請求項2記載のポンプ。
- 前記遠心方向拡開溝の底面の幅寸法は前記第2円柱形状部の外周面方向に向けて次第に小さく形成されている請求項1ないし3のいずれか一記載のポンプ。
- 前記インペラには中心線回りの放射状位置に配置された永久磁石が設けられ、前記駆動部は、前記ケースに設けられて前記永久磁石の周囲に配置されたステータである請求項1ないし4のいずれか一記載のポンプ。
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