JP2004159402A - 電動機及び電動発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータの冷却性能の向上を図る。
【解決手段】ロータシャフト10の軸方向両端部に流入口22及び流出口23を設けると共に前記流入口22から前記流出口23まで延びる冷媒流路16〜19をロータシャフト10及びロータコア12の内部に設け、電動機1の駆動時に前記冷媒流路16〜19に冷媒を流通させた。これにより、ロータ6を内部から冷却することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ロータシャフト10の軸方向両端部に流入口22及び流出口23を設けると共に前記流入口22から前記流出口23まで延びる冷媒流路16〜19をロータシャフト10及びロータコア12の内部に設け、電動機1の駆動時に前記冷媒流路16〜19に冷媒を流通させた。これにより、ロータ6を内部から冷却することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒を循環させてロータを冷却する電動機及びこのような電動機を備えた電動発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動機には、ロータコアの全体を覆いロータと一体的に回転するロータキャンを設け、ロータコアとロータキャンとの間に冷媒を流通させてロータコアを冷却するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−163682号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の電動機では、冷媒流路がロータコアの外部にのみ設けられており、ロータ全体を十分に冷却することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータの冷却性能の向上を図った電動機及び電動発電機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の電動機は、ステータと、前記ステータと径方向に対向配置されたロータコア及びロータシャフトを有するロータと、前記ロータシャフトの軸方向両端部に設けられた流入口及び流出口と、前記ロータシャフト及び前記ロータコアの内部を貫通し前記流入口から前記流出口まで延びる冷媒流路とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、冷媒流路に冷媒を流通させることによりロータシャフト及びロータコアを内部から冷却することができる。
【0007】
本発明の請求項2の電動機は、前記流出口をロータシャフトの外周面に開口するように構成したことを特徴とする。
上記構成によれば、ロータシャフトの回転時における遠心力によって冷媒流路の冷媒を流出口から流出させることができる。また、流入口及び流出口のいずれもがロータシャフトの両端面に開口していると、ロータシャフトに取付ける負荷装置の内部を冷媒が流通する構成にする必要があり構成が複雑になる。上記構成によれば、前記ロータシャフトの流出口よりも先の部分に負荷装置を取付けることにより、前記負荷装置の内部に冷媒を流通させなくても済む。
【0008】
本発明の請求項3の電動機では、冷媒流路の断面積を流入口側よりも流出口側の方が大きくなるように構成している。このような構成によれば、流入口側と流出口側との間に生じる圧力差により、冷媒が流通し易くなる。
【0009】
本発明の請求項4の電動機は、ロータシャフトと一体的に回転し冷媒流路内の冷媒を流入口から流出口に向かって圧送するインペラを設け、前記インペラをロータシャフト及びロータコアよりも熱伝導率が高い材料から構成したことを特徴とする。
上記構成によれば、前記インペラを放熱フィンとしても機能させることができる。
【0010】
本発明の請求項5の電動機は、ロータシャフトの内部を貫通する冷媒流路を、その軸方向中心が前記ロータシャフトの軸方向中心と略一致するように構成すると共に、その内周面に軸方向に延びる螺旋状の溝部を設けたことを特徴とする。上記構成によれば、ロータシャフトの回転に伴いロータシャフトの冷媒流路を流通する冷媒が前記溝部によって流出口側に押し出される。
【0011】
この場合、前記ロータシャフトの冷媒流路に前記ロータシャフトよりも熱伝導率が高い材料からなる溝部形成部材を嵌め込むことにより前記溝部を構成すると良い(請求項6の発明)。上記構成によれば、簡単にロータシャフトの冷媒流路内に溝部を設けることができる。また、溝部形成部材が放熱フィンとして機能するため、ロータシャフトの冷却性能が向上する。
【0012】
本発明の請求項7は、前記ロータの内部に永久磁石を組み込んでなる電動機において、前記永久磁石の近傍に冷媒流路を設けたところに特徴を有する。
上記構成によれば、永久磁石の温度上昇による磁気特性の低下、即ちモータ特性の低下を抑えることができる。
【0013】
本発明の請求項8の電動発電機は、請求項1ないし7のうちのいずれかに記載の電動機と、前記電動機に連結された発電機とを備えて構成したものであり、このような構成においても上記した作用、効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図4を参照しながら説明する。まず、本実施例に係る電動機の全体構成を示す図1において、電動機1のケーシング2は、仕切板3により内部がモータ室4と圧送室5とに区画されている。
【0015】
前記モータ室4には、ロータ6及びステータ7が配置されている。ステータ7は、モータ室4の側壁部の内面に固定されたステータコア8及びステータコア8に巻装された巻線9から構成されている。前記ステータコア8は、所定形状のけい素鋼板を多数枚積層して構成されている。
【0016】
前記ロータ6は、前記ステータ7の内周部に配置されており、モータ室4及び圧送室5を貫通するように設けられた例えば鉄製のロータシャフト10を備えている。前記モータシャフト10は、圧送室5の下部(仕切板3の上面)及びモータ室4の下部に固定された軸受11,11により回転可能に支持されている。
【0017】
図1から図3に示すように、前記ロータシャフト10のうちモータ室4に位置する部分にはロータコア12及び前記ロータコア12の上下両端部に取付けられた円筒容器状のケース13a、13bが嵌合されている。前記ロータコア12の外周面は前記ステータコア8の内周面と間隙を介して対向している。ロータシャフト10、ロータコア12、ケース13a,13bからロータ6が構成されている。尚、ロータコア12とケース13a,13bとの間は水密に封止されている。また、ロータコア12とロータシャフト10とは樹脂により一体成形されている。
【0018】
ロータコア12はロータシャフト10を挿通するための孔部を中央に有する例えば電磁鉄板を多数枚積層することにより構成されている。ロータコア12の内部にはV字状に配置された複数対例えば8対の挿入孔14が設けられており、各挿入孔14にはそれぞれ磁極形成用の永久磁石15が組み込まれている。一対の挿入孔14は、内周側から外周側に向かって間隔が広くなるように配置されている。
【0019】
前記ロータコア12の外周部のうち各挿入孔14の間に位置する部分には前記ロータコア12を軸方向に貫通する断面矩形状の空隙部16,17がそれぞれ設けられている。また、ロータコア12のうち一対の挿入孔14の内周側端部に位置する部分には前記ロータコア12を軸方向に貫通する断面菱形状の空隙部18が設けられている。詳しい説明は省略するが、前記空隙部16〜18は永久磁石15を出入りする磁束の有効利用を図るため及びトルク変動を抑制するために設けられており、後述するように冷媒流路としても機能する。
【0020】
前記ロータシャフト10の内部には、ロータシャフト10の下端部から圧送室5内に位置する部分まで延びる断面略円形状の管路19(冷媒流路に相当)が設けられている。図示は省略するが、前記管路19の内径寸法は下部から上部に向かって徐々に大きくなるように構成されている。また、前記管路19は、その軸方向中心がロータシャフト10の軸方向中心と一致するように設けられている。
【0021】
また、図4に示すように、前記管路19の内面には下部から上部に向かって螺旋状に延びる溝部20が設けられている。前記溝部20は、管路19の内部にばね状部材21(溝部形成部材に相当)を嵌め込むことにより構成されている。このような構成により、管路19内に溝部20を比較的簡単に形成することができる。前記ばね状部材21は、ロータシャフト10及びロータコア12よりも熱伝導率が高い材料例えばアルミニウムから形成されている。
【0022】
前記ロータシャフト10の下端部の開口は流入口22とされており、前記流入口22を通して図示しない冷媒供給源から冷媒(例えば水)が前記管路19内に供給されるようになっている。前記ロータシャフト10のうち前記管路19の上部に位置する部分には、前記管路19と圧送室5とを連通する流出口23が設けられている。また、ロータシャフト10のうち前記ケース13a,13bで覆われる部分には、管路19に連通する開口24,25がそれぞれ複数ずつ設けられている。
【0023】
一方、前記圧送室5の側壁部には開口26が設けられており、前記開口26には還流路27が接続されている。前記ロータシャフト10の外周面のうち前記流出口23の近傍にはインペラ28が設けられている。前記インペラ28は、圧送室5内の冷媒を開口26から還流路27内に排出させるためのものであり、ロータシャフト10よりも熱伝導率が高い材料、例えばアルミニウムから構成されている。前記還流路27には前記冷媒供給源が接続されている。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。前記電動機1が駆動されてロータ6が回転すると、ロータシャフト10と一体的に回転するインペラ28のポンプ作用により流入口22から管路19内に冷媒が流入し、流出口23に向かって流れる。また、管路19に流入した冷媒は、ロータシャフト10と共に回転する溝部20によって上方に押し出される。更に、管路19の内径寸法が上方に向かって徐々に大きくなっており管路19内の上部と下部において圧力差が生じる。このため、管路19内の冷媒は上方に向かって効率良く流れる。
【0025】
管路19を上方に向かって流れた冷媒は、流出口23から圧送室5内に排出される。このとき、流出口23はロータシャフト10の外周面に開口しているため、管路19内の冷媒はロータシャフト10の回転に伴う遠心力によって効率良く圧送室5内に排出される。圧送室5内に排出された冷媒は、インペラ28によって還流路27内に圧送され冷媒供給源に戻される。
【0026】
また、管路19を上方に向かって流れる冷媒の一部は開口25からケース13b内に流入する。そして、空隙部16〜18を通って上昇し、ケース13a内に流入した後、開口24から管路19に戻される。
【0027】
このように、本実施例では、ロータシャフト10の内部を貫通する管路19及びロータコア12の内部を貫通する空隙部16〜18に冷媒を流通させるように構成した。従って、電動機の駆動に伴うロータシャフト10やロータコア12の温度上昇を抑えることができる。
【0028】
また、前記空隙部16〜18は磁束の有効利用を図るため及びトルク変動を抑制するために永久磁石15の近傍に配置されているものである。従って、ロータコア12の冷却のために冷媒流路を特別に設けなくても済み、しかも、永久磁石15の温度上昇を効率良く抑えて磁気特性の低下即ちモータ特性の低下を抑えることができる。
【0029】
ロータシャフト10にインペラ28を設けて、電動機1自身の駆動力(ロータ6の回転推力)によって管路19内に冷媒を流通させるようにした。このため、電動機外にポンプ装置などを設けなくても済む。しかも、管路19の内部に螺旋状の溝部20を設けると共に管路19の内径寸法を下部よりも上部の方が大きくなるように構成した。従って、管路19内の冷媒を下部から上部に向かって流れ易くすることができる。
【0030】
ロータシャフト10の上部の外周部に流出口23を設けた。従って、管路19内の冷媒をロータシャフト10の回転に伴う遠心力によって効率良く流出口23から流出させることができる。また、流出口23がロータシャフト10の上端部において開口する構成ではないため、ロータシャフト10の上端部に取付ける負荷装置に冷媒を流通させなくても済み、負荷装置の構成を簡単にすることができる。
【0031】
また、ばね状部材21及びインペラ28をロータシャフト10よりも熱伝導率が高い材料から構成し、放熱フィンとして機能するように構成した。従って、ロータ6の冷却性能を一層高めることができる。
【0032】
図5は本発明の第2の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には同一符号を付している。この第2の実施例では、ケーシング2の外面に還流路31を設けている。前記還流路31は、圧送室5の開口26から排出された冷媒を流入口22に戻すためのものであり、ケーシング2の外面に沿って延びている。
【0033】
上記構成によれば、還流路31を流れる冷媒によってケーシング2及びステータ7が冷却されることにより、ロータ6を外部からも冷却することができる。
【0034】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく例えば次のような変形が可能である。
電動機の外部に冷媒を冷媒流路に供給するためのポンプ装置を設けても良い。この場合は、上記実施例において冷媒流路内に設けた溝部を省略することができる。
【0035】
溝部は、中空状のロータシャフトの内面に直接的に形成しても良い。
本発明は、インダクションモータやリラクタンスモータにも適用できる。また、アウタロータ形の電動機に限らずインナーロータ形の電動機にも適用できる。更に、上記構成の電動機に発電機を連結してなる電動発電機にも適用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の電動機は、ロータシャフトの軸方向両端部に流入口及び流出口を設けると共に前記ロータシャフト及び前記ロータコアの内部を貫通し前記流入口から前記流出口まで延びる冷媒流路を設けたので、ロータシャフト及びロータコアを内部から効率良く冷却することができ、温度上昇による特性低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電動機の全体構成を示す縦断正面図
【図2】ロータコアの上面図
【図3】ロータの分解斜視図
【図4】ロータシャフトの一部を拡大して示す縦断面図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は電動機、2はケーシング、6はロータ、7はステータ、10はロータシャフト、12はロータコア、15は永久磁石、16〜18は空隙部(冷媒流路)、19は管路(冷媒流路)、20は溝部、21はばね状部材(溝部形成部材)、22は流入口、23は流出口、28はインペラ、31は還流路を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒を循環させてロータを冷却する電動機及びこのような電動機を備えた電動発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動機には、ロータコアの全体を覆いロータと一体的に回転するロータキャンを設け、ロータコアとロータキャンとの間に冷媒を流通させてロータコアを冷却するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−163682号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の電動機では、冷媒流路がロータコアの外部にのみ設けられており、ロータ全体を十分に冷却することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータの冷却性能の向上を図った電動機及び電動発電機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の電動機は、ステータと、前記ステータと径方向に対向配置されたロータコア及びロータシャフトを有するロータと、前記ロータシャフトの軸方向両端部に設けられた流入口及び流出口と、前記ロータシャフト及び前記ロータコアの内部を貫通し前記流入口から前記流出口まで延びる冷媒流路とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、冷媒流路に冷媒を流通させることによりロータシャフト及びロータコアを内部から冷却することができる。
【0007】
本発明の請求項2の電動機は、前記流出口をロータシャフトの外周面に開口するように構成したことを特徴とする。
上記構成によれば、ロータシャフトの回転時における遠心力によって冷媒流路の冷媒を流出口から流出させることができる。また、流入口及び流出口のいずれもがロータシャフトの両端面に開口していると、ロータシャフトに取付ける負荷装置の内部を冷媒が流通する構成にする必要があり構成が複雑になる。上記構成によれば、前記ロータシャフトの流出口よりも先の部分に負荷装置を取付けることにより、前記負荷装置の内部に冷媒を流通させなくても済む。
【0008】
本発明の請求項3の電動機では、冷媒流路の断面積を流入口側よりも流出口側の方が大きくなるように構成している。このような構成によれば、流入口側と流出口側との間に生じる圧力差により、冷媒が流通し易くなる。
【0009】
本発明の請求項4の電動機は、ロータシャフトと一体的に回転し冷媒流路内の冷媒を流入口から流出口に向かって圧送するインペラを設け、前記インペラをロータシャフト及びロータコアよりも熱伝導率が高い材料から構成したことを特徴とする。
上記構成によれば、前記インペラを放熱フィンとしても機能させることができる。
【0010】
本発明の請求項5の電動機は、ロータシャフトの内部を貫通する冷媒流路を、その軸方向中心が前記ロータシャフトの軸方向中心と略一致するように構成すると共に、その内周面に軸方向に延びる螺旋状の溝部を設けたことを特徴とする。上記構成によれば、ロータシャフトの回転に伴いロータシャフトの冷媒流路を流通する冷媒が前記溝部によって流出口側に押し出される。
【0011】
この場合、前記ロータシャフトの冷媒流路に前記ロータシャフトよりも熱伝導率が高い材料からなる溝部形成部材を嵌め込むことにより前記溝部を構成すると良い(請求項6の発明)。上記構成によれば、簡単にロータシャフトの冷媒流路内に溝部を設けることができる。また、溝部形成部材が放熱フィンとして機能するため、ロータシャフトの冷却性能が向上する。
【0012】
本発明の請求項7は、前記ロータの内部に永久磁石を組み込んでなる電動機において、前記永久磁石の近傍に冷媒流路を設けたところに特徴を有する。
上記構成によれば、永久磁石の温度上昇による磁気特性の低下、即ちモータ特性の低下を抑えることができる。
【0013】
本発明の請求項8の電動発電機は、請求項1ないし7のうちのいずれかに記載の電動機と、前記電動機に連結された発電機とを備えて構成したものであり、このような構成においても上記した作用、効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図4を参照しながら説明する。まず、本実施例に係る電動機の全体構成を示す図1において、電動機1のケーシング2は、仕切板3により内部がモータ室4と圧送室5とに区画されている。
【0015】
前記モータ室4には、ロータ6及びステータ7が配置されている。ステータ7は、モータ室4の側壁部の内面に固定されたステータコア8及びステータコア8に巻装された巻線9から構成されている。前記ステータコア8は、所定形状のけい素鋼板を多数枚積層して構成されている。
【0016】
前記ロータ6は、前記ステータ7の内周部に配置されており、モータ室4及び圧送室5を貫通するように設けられた例えば鉄製のロータシャフト10を備えている。前記モータシャフト10は、圧送室5の下部(仕切板3の上面)及びモータ室4の下部に固定された軸受11,11により回転可能に支持されている。
【0017】
図1から図3に示すように、前記ロータシャフト10のうちモータ室4に位置する部分にはロータコア12及び前記ロータコア12の上下両端部に取付けられた円筒容器状のケース13a、13bが嵌合されている。前記ロータコア12の外周面は前記ステータコア8の内周面と間隙を介して対向している。ロータシャフト10、ロータコア12、ケース13a,13bからロータ6が構成されている。尚、ロータコア12とケース13a,13bとの間は水密に封止されている。また、ロータコア12とロータシャフト10とは樹脂により一体成形されている。
【0018】
ロータコア12はロータシャフト10を挿通するための孔部を中央に有する例えば電磁鉄板を多数枚積層することにより構成されている。ロータコア12の内部にはV字状に配置された複数対例えば8対の挿入孔14が設けられており、各挿入孔14にはそれぞれ磁極形成用の永久磁石15が組み込まれている。一対の挿入孔14は、内周側から外周側に向かって間隔が広くなるように配置されている。
【0019】
前記ロータコア12の外周部のうち各挿入孔14の間に位置する部分には前記ロータコア12を軸方向に貫通する断面矩形状の空隙部16,17がそれぞれ設けられている。また、ロータコア12のうち一対の挿入孔14の内周側端部に位置する部分には前記ロータコア12を軸方向に貫通する断面菱形状の空隙部18が設けられている。詳しい説明は省略するが、前記空隙部16〜18は永久磁石15を出入りする磁束の有効利用を図るため及びトルク変動を抑制するために設けられており、後述するように冷媒流路としても機能する。
【0020】
前記ロータシャフト10の内部には、ロータシャフト10の下端部から圧送室5内に位置する部分まで延びる断面略円形状の管路19(冷媒流路に相当)が設けられている。図示は省略するが、前記管路19の内径寸法は下部から上部に向かって徐々に大きくなるように構成されている。また、前記管路19は、その軸方向中心がロータシャフト10の軸方向中心と一致するように設けられている。
【0021】
また、図4に示すように、前記管路19の内面には下部から上部に向かって螺旋状に延びる溝部20が設けられている。前記溝部20は、管路19の内部にばね状部材21(溝部形成部材に相当)を嵌め込むことにより構成されている。このような構成により、管路19内に溝部20を比較的簡単に形成することができる。前記ばね状部材21は、ロータシャフト10及びロータコア12よりも熱伝導率が高い材料例えばアルミニウムから形成されている。
【0022】
前記ロータシャフト10の下端部の開口は流入口22とされており、前記流入口22を通して図示しない冷媒供給源から冷媒(例えば水)が前記管路19内に供給されるようになっている。前記ロータシャフト10のうち前記管路19の上部に位置する部分には、前記管路19と圧送室5とを連通する流出口23が設けられている。また、ロータシャフト10のうち前記ケース13a,13bで覆われる部分には、管路19に連通する開口24,25がそれぞれ複数ずつ設けられている。
【0023】
一方、前記圧送室5の側壁部には開口26が設けられており、前記開口26には還流路27が接続されている。前記ロータシャフト10の外周面のうち前記流出口23の近傍にはインペラ28が設けられている。前記インペラ28は、圧送室5内の冷媒を開口26から還流路27内に排出させるためのものであり、ロータシャフト10よりも熱伝導率が高い材料、例えばアルミニウムから構成されている。前記還流路27には前記冷媒供給源が接続されている。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。前記電動機1が駆動されてロータ6が回転すると、ロータシャフト10と一体的に回転するインペラ28のポンプ作用により流入口22から管路19内に冷媒が流入し、流出口23に向かって流れる。また、管路19に流入した冷媒は、ロータシャフト10と共に回転する溝部20によって上方に押し出される。更に、管路19の内径寸法が上方に向かって徐々に大きくなっており管路19内の上部と下部において圧力差が生じる。このため、管路19内の冷媒は上方に向かって効率良く流れる。
【0025】
管路19を上方に向かって流れた冷媒は、流出口23から圧送室5内に排出される。このとき、流出口23はロータシャフト10の外周面に開口しているため、管路19内の冷媒はロータシャフト10の回転に伴う遠心力によって効率良く圧送室5内に排出される。圧送室5内に排出された冷媒は、インペラ28によって還流路27内に圧送され冷媒供給源に戻される。
【0026】
また、管路19を上方に向かって流れる冷媒の一部は開口25からケース13b内に流入する。そして、空隙部16〜18を通って上昇し、ケース13a内に流入した後、開口24から管路19に戻される。
【0027】
このように、本実施例では、ロータシャフト10の内部を貫通する管路19及びロータコア12の内部を貫通する空隙部16〜18に冷媒を流通させるように構成した。従って、電動機の駆動に伴うロータシャフト10やロータコア12の温度上昇を抑えることができる。
【0028】
また、前記空隙部16〜18は磁束の有効利用を図るため及びトルク変動を抑制するために永久磁石15の近傍に配置されているものである。従って、ロータコア12の冷却のために冷媒流路を特別に設けなくても済み、しかも、永久磁石15の温度上昇を効率良く抑えて磁気特性の低下即ちモータ特性の低下を抑えることができる。
【0029】
ロータシャフト10にインペラ28を設けて、電動機1自身の駆動力(ロータ6の回転推力)によって管路19内に冷媒を流通させるようにした。このため、電動機外にポンプ装置などを設けなくても済む。しかも、管路19の内部に螺旋状の溝部20を設けると共に管路19の内径寸法を下部よりも上部の方が大きくなるように構成した。従って、管路19内の冷媒を下部から上部に向かって流れ易くすることができる。
【0030】
ロータシャフト10の上部の外周部に流出口23を設けた。従って、管路19内の冷媒をロータシャフト10の回転に伴う遠心力によって効率良く流出口23から流出させることができる。また、流出口23がロータシャフト10の上端部において開口する構成ではないため、ロータシャフト10の上端部に取付ける負荷装置に冷媒を流通させなくても済み、負荷装置の構成を簡単にすることができる。
【0031】
また、ばね状部材21及びインペラ28をロータシャフト10よりも熱伝導率が高い材料から構成し、放熱フィンとして機能するように構成した。従って、ロータ6の冷却性能を一層高めることができる。
【0032】
図5は本発明の第2の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には同一符号を付している。この第2の実施例では、ケーシング2の外面に還流路31を設けている。前記還流路31は、圧送室5の開口26から排出された冷媒を流入口22に戻すためのものであり、ケーシング2の外面に沿って延びている。
【0033】
上記構成によれば、還流路31を流れる冷媒によってケーシング2及びステータ7が冷却されることにより、ロータ6を外部からも冷却することができる。
【0034】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく例えば次のような変形が可能である。
電動機の外部に冷媒を冷媒流路に供給するためのポンプ装置を設けても良い。この場合は、上記実施例において冷媒流路内に設けた溝部を省略することができる。
【0035】
溝部は、中空状のロータシャフトの内面に直接的に形成しても良い。
本発明は、インダクションモータやリラクタンスモータにも適用できる。また、アウタロータ形の電動機に限らずインナーロータ形の電動機にも適用できる。更に、上記構成の電動機に発電機を連結してなる電動発電機にも適用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の電動機は、ロータシャフトの軸方向両端部に流入口及び流出口を設けると共に前記ロータシャフト及び前記ロータコアの内部を貫通し前記流入口から前記流出口まで延びる冷媒流路を設けたので、ロータシャフト及びロータコアを内部から効率良く冷却することができ、温度上昇による特性低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電動機の全体構成を示す縦断正面図
【図2】ロータコアの上面図
【図3】ロータの分解斜視図
【図4】ロータシャフトの一部を拡大して示す縦断面図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は電動機、2はケーシング、6はロータ、7はステータ、10はロータシャフト、12はロータコア、15は永久磁石、16〜18は空隙部(冷媒流路)、19は管路(冷媒流路)、20は溝部、21はばね状部材(溝部形成部材)、22は流入口、23は流出口、28はインペラ、31は還流路を示す。
Claims (8)
- ステータと、
前記ステータと径方向に対向配置されたロータコア及びロータシャフトを有するロータと、
前記ロータシャフトの軸方向両端部に設けられた流入口及び流出口と、
前記ロータシャフト及び前記ロータコアの内部を貫通し前記流入口から前記流出口まで延びる冷媒流路とを備えることを特徴とする電動機。 - 流出口は、ロータシャフトの外周面に開口するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 冷媒流路の断面積は、流入口側よりも流出口側の方が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- ロータシャフトと一体的に回転するように設けられ冷媒流路内の冷媒を流入口から流出口に向かって圧送するインペラを備えると共に、前記インペラは、ロータシャフト及びロータコアよりも熱伝導率が高い材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- ロータシャフトの内部を貫通する冷媒流路は、その軸方向中心が前記ロータシャフトの軸方向中心と略一致するように構成されていると共に、その内周面には軸方向に延びる螺旋状の溝部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 溝部は、ロータシャフトの内部を貫通する冷媒流路に前記ロータシャフトよりも熱伝導率が高い材料からなる溝部形成部材を嵌め込むことにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の電動機。
- ロータコアは、内部に永久磁石が組み込まれて構成されていると共に前記永久磁石の近傍に冷媒流路が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 請求項1ないし7のうちのいずれかに記載の電動機と、前記電動機に連結された発電機とを備えてなる電動発電機。
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