JP2006131713A - ハードコート用塗布組成物、ハードコートフィルム、反射防止フィルム及び画像表示装置 - Google Patents

ハードコート用塗布組成物、ハードコートフィルム、反射防止フィルム及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 微量のシリコンオイルの混入に起因するハジキ故障による点欠陥の少ないハードコートフィルムを提供すること。そのための塗布組成物を提供すること。ハジキ故障による点欠陥の少ない画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有し、シクロヘキサノンを全溶剤に対して5質量%以上25質量%以下含有するハードコート用塗布組成物とする。また、シクロヘキサノンを全溶剤に対して5質量%以上含有し、かつ溶解性パラメーター(SP値)が8.8以下の溶剤を全溶剤に対して10質量%以上含有するハードコート用塗布組成物とする。上記ハードコート用塗布組成物を透明基材フィルムに塗布し、電離放射線硬化してハードコート層6を形成したハードコートフィルム(反射防止フィルム)とする。上記ハードコートフィルム(反射防止フィルム)を搭載した画像表示装置とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、点欠陥のないハードコートフィルムを得るためのハードコート用塗布組成物およびそれを用いたハードコートフィルム、特に光学用ハードコートフィルムに関し、光学ハードコートフィルムを基材とした反射防止フィルム、光学反射防止フィルムを搭載した画像表示装置にも関する。
近年、透明プラスチック基材に電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含むハードコート用塗布組成物を塗布、乾燥、電離放射線硬化し、ハードコート層を積層したハードコートフィルムが、プラスチック製品、LCD、CRT、PDPなどの画像表示装置表面に貼合し耐擦傷性、反射防止、防汚性等の機能性付与を目的とした光学フィルムまたはその基材として使われている。
この様な光学ハードコートフィルム上に存在する点欠陥は、搭載した画像装置の品位を著しく低下させるために光学ハードコートフィルムの欠陥が極力少ないことが強く望まれる。従って光学ハードコートフィルムの製造業者においては点欠陥を極力発生させないことが重要な課題である。
この様に発生を極力押さえなければならない点欠陥のうち主要なものとして、硬化層形成時に発生するハジキ故障が挙げられる。このハジキ故障の原因の一つにシリコンオイルの塗布液への混入が挙げられる。非常に微量のシリコンオイルの塗布液への混入がハジキ故障の原因となる。
シリコンオイルの混入ルートは、原材料からの混入、調送液系を介しての混入、人を介しての混入等様々な場合が考えられる。更に、原材料からの混入に限っても、オルガノシロキサン化合物等を塗布液の原材料として用いている場合は、合成上の不純物として混入することなどが容易に考えられるが、本発明者等はシリコン原子と全く無縁の化合物を主成分とする原材料にすら微量のシリコンオイルが存在し、ハジキ故障となった非常に苦い経験を持つ。
要すれば、プラスチックフィルム基材にハードコート層を形成してハードコートフィルムを製造するとき、様々な混入経路で微量のシリコンオイルが混入しハジキ故障を引き起こす。
このハードコートフィルムを、例えば液晶ディスプレイ等画像表示装置用光学フィルムとして用いた場合、このハジキ故障は点欠陥として認識され、画像表示装置の品位を著しく低下させるため、このままでは全く使い物にはならない。
したがって、本発明の目的は、微量のシリコンオイルの混入に起因するハジキ故障による点欠陥の少ないハードコートフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、ハジキ故障による点欠陥の少ないハードコートフィルム上のハードコート層を形成するための塗布組成物を提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、ハジキ故障による点欠陥の少ないハードコートフィルムを基材とした反射防止フィルムを提供することにあり、更に反射防止フィルムを搭載した物品、特に点欠陥の少ない画像表示装置を提供することにある。
シリコンオイルの混入に起因するハジキ故障を撲滅するためにはシリコンオイルの混入路を断つことが本質的解決法ではあるが、混入路は多岐に渡っているため、非常に難しく、限界がある。観点を大きく変えて、極微量のシリコンオイルの混入ではハジキ故障にならない、ハジキ故障耐性の強い硬化性組成物の開発が必要である。
本発明者等はこの様な状況に鑑み、塗布液で用いている溶剤のシリコンオイルの溶解性に着目し、シリコンオイルの混入が起きた場合でもハジキ故障の起こり難い塗布液を開発し、本発明の完成に至った。
これまで、プラスチックフィルム上に有機溶剤を含有する塗布組成物を塗布し、硬化層を形成する工程において、ハジキ故障を撲滅させるために有機溶媒の物性を規定する検討に関する報告はなかった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ハードコート層を形成するための塗布組成物に用いられる有機溶剤の組成をコントロールすることにより、ハジキ故障を減少させるまたは限りなくゼロに近付けることができ、上記目的が達成されることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明によれば、下記構成のハードコート用塗布組成物、ハードコートフィルム、その製造方法、反射防止フィルム及び画像表示装置が提供される。
1.電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有し、シクロヘキサノンを全溶剤に対して5質量%以上25質量%以下含有することを特徴とするハードコート用塗布組成物。
2.シクロヘキサノンの全溶剤に対する含有量が5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする前記1に記載のハードコート用塗布組成物。
3.シクロヘキサノンの全溶剤に対する含有量が5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする前記1に記載のハードコート用塗布組成物。
4.電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有し、シクロヘキサノンの全溶剤に対する含有量が5質量%以上で、かつ溶解性パラメーター(SP値)が8.8以下の溶剤を全溶剤に対して10質量%以上含有することを特徴とするハードコート用塗布組成物。
5.SP値が8.8以下の溶剤を20質量%以上含有することを特徴とする前記4に記載のハードコート用塗布組成物。
6.SP値が8.8以下の溶剤を30質量%以上含有することを特徴とする前記4に記載のハードコート用塗布組成物。
7.SP値が8.8以下でかつ沸点が90℃以上である溶剤を10質量%以上含有することを特徴とする前記4〜6の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
8.SP値が8.8以下でかつ沸点が100℃以上である溶剤を10質量%以上含有することを特徴とする前記4〜6の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
9.SP値が8.8以下でかつ沸点が110℃以上である溶剤を10質量%以上含有することを特徴とする前記4〜6の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
10.SP値が8.8以下でかつ沸点が120℃以上である溶剤を10質量%以上含有することを特徴とする前記4〜6の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
11.少なくとも1種の面状改良剤を含有することを特徴とする前記1〜10の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
12.少なくとも1種のフッ素系面状改良剤を含有することを特徴とする前記11に記載のハードコート用塗布組成物。
13.フッ素系面状改良剤がフルオロ脂肪族基を含有する化合物であることを特徴とする前記12に記載のハードコート用塗布組成物。
14.フルオロ脂肪族基を含有する化合物が、下記一般式(i)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから形成されるポリマーであり、且つ該モノマーが全モノマー量に対して50モル%以上含有することを特徴とする前記13に記載のハードコート用塗布組成物。
Figure 2006131713
一般式(i)中、R21は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。X2は酸素原子、イオウ原子又は−N(R22)−を表す。R22は水素原子又は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは1〜6の整数を表し、bは1〜18の整数を表す。
15.シリコン系面状改良剤を含有することを特徴とする前記1〜14の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
16.形成されるハードコート層が光拡散層であることを特徴とする前記1〜15の何れかに記載の光拡散性ハードコート用塗布組成物。
17.粒径が1μm以上の表面ヘイズを付与する粒子を含有することを特徴とする前記16に記載の光拡散性ハードコート用塗布組成物。
18.粒径が1μm以上の内部ヘイズを付与する粒子を含有することを特徴とする前記16〜17の何れかに記載の光拡散性ハードコート用塗布組成物。
19.前記1〜18の何れかに記載のハードコート用塗布組成物をプラスチックフィルムに塗布し、ハードコート層を形成することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
20.ハードコート用塗布組成物塗布後の有機溶剤塗布量が1.5g/m2以上であることを特徴とする前記19に記載のハードコートフィルムの製造方法。
21.ハードコート用塗布組成物塗布後の有機溶剤塗布量が2.0g/m2以上であることを特徴とする前記19に記載のハードコートフィルムの製造方法。
22.ハードコート用塗布組成物塗布後の有機溶剤塗布量が2.5g/m2以上であることを特徴とする前記19に記載のハードコートフィルムの製造方法。
23.前記19〜22に記載の製造方法によって作製されたハードコートフィルム。
24.プラスチックフィルムがトリアセチルセルロース(TAC)フィルムであることを特徴とする前記23に記載のハードコートフィルム。
25.フィルムの残留溶剤中の溶解性パラメーター(SP値)が8.8以下の成分が10質量%以上であることを特徴とする前記24に記載のハードコートフィルム。
26.前記23〜25の何れかに記載のハードコートフィルムに直接または他の層を介してプラスチック支持体フィルムの屈折率より屈折率の低い低屈折率層を少なくとも1層積層したことを特徴とする反射防止フィルム。
27.前記26に記載の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして偏光膜の2枚の保護フィルムのうち少なくとも1方に有することを特徴とする偏光板。
28.前記23〜25の何れかに記載のハードコートフィルム、前記26に記載の反射防止フィルムまたは前記27に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
プラスチックフィルム基材上に、本発明の溶剤組成を規定したハードコート用塗布組成物を硬化して形成したハードコート層が積層されている本発明のハードコートフィルムは、微量のシリコンオイルの混入に起因するハジキ故障による点欠陥の発生が少なく、画像表示装置の保護フィルムとして好適に用いられる。
以下、本発明の点欠陥のないハードコート層付きハードコートフィルムを得るための塗布組成物及びそれを用いたハードコートフィルム、特に光学ハードコートフィルムに関して詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は、「数値1以上〜数値2以下」の意味を表す。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルムは光学異方性が小さく、TACフィルム上に電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有するハードコート用塗布組成物を塗布、乾燥、硬化することで、ハードコート層を形成し、光学ハードコートフィルムを作製することが行なわれている。
この時用いられる塗布組成物に微量のシリコンオイルが混入するとハジキ故障が発生することが本発明者等の検討で明らかとなった。
微量のシリコンオイルがプラスチックフィルム上に塗布された組成物にシリコンオイルが溶け込んでいた場合、乾燥工程で溶剤が蒸発し溶解度を越えたところでシリコンオイルの析出が始まる。シリコンオイルの溶解性の低い溶剤を用いた場合、より多くの溶剤を含有した状態でシリコンオイルの析出が始まる。
一般にハードコート用塗布組成物に用いられる電離放射線硬化型性樹脂として多官能アクリレート等の高粘度の材料が用いられるため、塗布組成物は溶剤の含有量が少なくなると高粘度化し流動性が低下する。ハジキは塗布液の流動性が高いほど起き易いと考えられるため、組成物にシリコンオイルに対する溶解性の低い溶剤を用いた場合はシリコンオイルの析出が始まる時、塗布後の組成物は溶剤を多く含み流動性が高いためハジキが発生し易い。これに対してシリコンオイルの溶解性の高い溶剤を用いた場合はシリコンオイルの析出が始まる時には流動性が小さくハジキは起き難い。
この推定メカニズムに従ってハジキの発生は単一組成の溶剤を用いた場合はシリコンオイルの溶解性が低い溶剤を用いた場合ほど発生頻度が高く、また、シリコンオイルの溶解性が同じである場合、沸点が高い溶剤を用いた場合ほど発生頻度が低い。
また、シリコンオイルの溶解性が同じ場合、溶剤の沸点が高いほどハジキが発生し易いと考えられる。沸点が低い溶剤は乾燥工程での溶剤の蒸発速度が遅く、不純物成分の濃縮化が徐々に進行し、溶解度を越えた分が析出、徐々に微細油滴として成長し、ある大きさを越えるとハジキを生じると考えられる。沸点が低く、蒸発速度の速い溶媒では過飽和状態として溶解状態を維持する。不純物が析出しても微細油滴として成長し難いこと、蒸発が急激に進むことで塗布物の流動性が急激に失われるためハジキが起き難くなると考えられる。
複数の溶媒を用いている場合は、沸点が最も高い溶媒が乾燥工程で最後に残るため、支配的である。
シクロヘキサノンはハードコート層とトリアセチルセルロース(TAC)フィルムの密着性を確保することができ、かつ沸点が高い溶剤であり扱い易く、基材をTACフィルムとした場合のハードコート用塗布液として頻繁に使用される。
しかしながら、シクロヘキサノンはシリコンオイルに対する溶解度が低い上、沸点が高いため、組成物中に多量に含まれると上記の理由からハジキ故障がおき易くなる。
[ハードコート用塗布組成物]
以上の状況から本発明の塗布組成物は電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤とを含有するハードコートフィルム用塗布組成物に関する。以下、有機溶剤について説明し、電離放射線硬化型樹脂については、[ハードコート層]の欄で説明する。
<有機溶剤>
一般に溶解性パラメーター(SP値)の近い溶液同士は溶解性が高い傾向にある。シリコンオイルのSP値は7〜8であり、極性は低く溶剤は7〜8に近いものほど溶解度は高い。一般にハードコート用塗布組成物にはSP値が7〜12の溶剤が使われる。このうちSP値が9.5以上の溶剤はシリコンオイルのSP値との差が大きいためシリコンオイルの溶解性は低く、SP値が8.8以下の溶剤はシリコンオイルの溶解性が高い。
本発明のハードコート用塗布組成物に含まれるシクロへキサノンの含量は5質量%以上が好ましい。5質量%以下になるとTACフィルムとの密着性が確保し難い。また、一方シクロヘキサノンはSP値が9.9と高くシリコンオイルの溶解度が低い上、沸点が156℃と高沸点であるため、乾燥工程の後期まで残る溶剤である。これ等の理由から、含量が25質量%を越えるとシリコンオイルに対するハジキ耐性が悪化する。シクロヘキサノンの塗布組成物に含まれる全溶剤に対する割合は25質量%以下が好ましい。従ってTACフィルムの密着性の観点と合わせると、5〜25質量%が好ましく、5〜15質量%が更に好ましく、5〜10質量%が特に好ましい。
また、この用なシクロヘキサノンをある程度含有する系においてはSP値が8.8以下のシリコンオイル可溶化溶剤を含有させることでハジキ耐性が改良できる。SP値が8.8以下の溶剤の全溶剤にたいする割合は10質量%以上が好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましい。
また、SP値が8.8以下の溶剤の沸点は高沸点であるほどシリコンオイルの析出を遅らせる効果があるため、沸点は90℃以上であることが好ましく、100℃以上であることが更に好ましく、110℃以上であることが更に好ましく、120℃以上であることが特に好ましい。
本発明にシリコンオイル可溶化剤として好ましく用いられるSP値が8.8以下の溶剤としては次のものが例示される。ペンタン(7.0)、ヘプタン(7.4)、オクタン(7.6)、キシレン(8.8)、ジエチルエーテル(7.4)、ジブチルエーテル(7.8)、ジオキサン(7.9)、酢酸ブチル(8.5)メチルブチルケトン(8.3)、メチルイソブチルケトン(8.4)、四塩化炭素(8.6)。
この中でも特に沸点が高く、SP値の低い以下の溶剤がシリコンオイル可溶化溶剤として好ましい。
酢酸ブチル(沸点:126.3℃、SP値:8.5)、メチルイソブチルケトン(沸点:116.7℃、SP値:8.4)、o,m,p,−キシレン(沸点144〜138.4℃、SP値:8.8)
また、有機溶剤組成が同じでも有機溶剤塗布量が多いほどシリコンオイルが溶解し難い溶剤がより残ることから本発明の有機溶剤と不良は1.5g/m2以上が好ましく、2.0g/m2以上がより好ましく、2.5g/m2以上が特に好ましい。
<溶解性パラメーター(SP値)>
本発明における溶解性パラメーター(SP値)とは、σ=[(△H−RT)/VL]1/2(ここで、σ:溶解性パラメーター、△H:蒸発熱、VL:モル体積、R:気体定数を表す)の式により求めた値であり、△Hは、Hidebrand ruleに従って、沸点より計算される、△H298=23.7Tb+0.020Tb2−2950の値とする(ここで、Tb:沸点)。従って、溶解性パラメーターも298°Kの値とする。なお、Hidebrand ruleにより求められた溶解性パラメーターの具体例は、例えばJ.BRANDRUP, E.H.IMMERGUT, and,E.A.GRULKE“POLYMER HANDBOOK FORTH EDITION” VII/688−694(1998),JOHN WILEY & SONS,INC.に一部具体的に記載されている。またHidebrand ruleによる溶解度パラメーターの計算方法に関しては、J.H.Hildebrand,"Solubility of Nonelectrolytes"424−427(1950),Reinhold Publishing Co.に記載されている。
代表的な化合物のSP値を表1に示す。
Figure 2006131713
[プラスチックフィルム基材]
プラスチックフィルムとしてはセルロースエステルセルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
透明支持体がトリアセチルセルロースアシレートフィルムの場合、トリアセチルセルロースアシレートを溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースアシレートドープを単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製したトリアセチルセルロースアシレートフィルムが好ましい。
特に、環境保全の観点から、トリアセチルセルロースアシレートを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースアシレートドープを用いて作製したトリアセチルセルロースアシレートフィルムが好ましい。
本発明に好ましく用いられるトリアセチルセルロースアシレートフィルムについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745)に例示されている。
上記の透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は1〜300μmがよく、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは40〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
透明支持体のヘイズは低い方が好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
透明支持体の屈折率は、1.40〜1.70であることが好ましい。
本発明に係る透明支持体はウェブ状で用いられ、それの表面粗さの中心線平均粗さ(Ra)が1μm以下、あるいは1μmより大きい凹凸部分が塗布進行方向において連続して10cm未満のウェブを用いることが、塗布スジ故障低減のために好ましく、Raが0μm以上0.8μm以下で、凹凸部分が進行方向において連続して5cm未満であることがさらに好ましい。
透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、透明支持体には、滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理とコロナ放電処理が特に好ましい。
[ハードコート層]
本発明の硬化性塗布組成物がハードコート層形成用組成物である場合、ハードコート層はプラスチックフィルムに電離放射線硬化型樹脂の硬化層を形成することで物理強度を付与することができる。この様なハードコート層形成用組成物によって作成されるハードコートフィルムは更に低屈折率層などの反射防止層を積層した反射防止フィルムの基材としても用いることができる。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成された層は、広義にハードコート層と称することができる。ハードコート層は、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗料を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋又は重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、帯電防止層で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましい。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗料を塗布することで構築することが好ましい。
塗布溶媒としては、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類であることが好ましい。 特に、ケトン系溶媒を用いることで、例えば、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。
特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
ハードコート層が電離放射線硬化性の化合物の架橋又は重合反応により作製される場合、架橋又は重合反応は酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、物理強度(耐擦傷性など)や耐薬品性に優れたハードコート層を作製することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜7μm、特に好ましくは3〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層には樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改良剤、などを添加することもできる。
また、ハードコート層には、層の硬度を硬くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で、後述する一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を添加することができる。
さらには、光拡散機能を付与する目的で後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有することもできる。
<光学機能フィルムの表面の凹凸>
本発明の硬化性組成物によって作製される光学機能フィルムは、プラスチックフィルム基材とは反対面の表面に凹凸を形成し、防眩性を付与することもできる。
防眩性は表面の平均表面粗さ(Ra)と相関している。表面の凹凸は100cm2の面積の中からランダムに1mm2を取り出し、取り出した表面の1mm2の面積当たりに対し、平均表面粗さ(Ra)が0.01〜1μm以下であり、0.01〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μm、特に好ましくは0.07〜0.2μmである。平均表面粗さ(Ra)に関しては、奈良次郎著、テクノコンパクトシリーズ(6)「表面粗さの測定・評価法」((株)総合技術センター)に記載されている。
また、上記表面の1mm2の面積当たりに対し、面積が100μm2以上の凹部分が存在しないことが好ましい。面積100μm2以上の凹が存在すると反射防止フィルムを画素のサイズが小さい画像表示装置の表面に配置したとき、画素中に存在する3原色(赤,緑,青)のいずれかの色が強調されて目に見える故障(ギラツキ故障)を引き起こし、著しく画質を悪化させることがある。特に、断面積80μm2以上の凹部分が存在しないことが好ましい。
本発明に用いる反射防止フィルムの表面のこのような凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
表面の凹凸の形成法としては公知の手法が用いられる。本発明では、フィルムの表面に高い圧力で凹凸の形状を有する版を押し当てる(例えば、エンボス加工)ことにより形成する手法、また、後述する反射防止フィルム上のいずれかの層に粒子を含有させて、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成する手法が好ましい。特に、後述する平均粒径が0.2〜10μmの粒子をいずれかの層に含有させ、該層表面に凹凸を形成し、該層上に最外層を形成することで最外層の表面に凹凸を形成する手法が好ましい。
エンボス加工により表面に凹凸を形成する方法では、公知の手法が適用できるが、特開2000−329905号公報に記載されている手法により凹凸を形成することが特に好ましい。
<光拡散層>
本発明の硬化性組成物が光拡散層形成用組成物である場合、光拡散層は実質的にハードコート機能を兼ねることもでき、前記ハードコート層に光拡散機能を付与した層を光拡散層と称することもできる。この様な光拡散層形成用組成物によって作成される光拡散フィルムは更に低屈折率層を積層した反射防止性光拡散フィルムの基材として用いられる。光拡散層は基材フィルムと反対面の表面に凹凸を形成して防眩機能を付与したり、液晶表示装置の視野角拡大機能を付与する目的でマトリックスと屈折率差を設けて光を拡散させるために、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有する。光拡散層は前記、表面凹凸形成、内部での光拡散機能のうちのどちらか一方の機能を有するだけでもよい。
(平均粒径が0.2〜10μmの粒子)
光拡散層に含有する粒子としては、無機粒子と有機粒子が挙げられる。ここでいう平均粒径は、二次粒子(粒子が凝集していない場合は一次粒子)の質量平均径である。
光拡散層でハジキが発生すると、ハジキが発生した部分は光拡散性が消失し、ハジキ部分と正常部の差がはっきりする。従って、本発明のハジキ耐性の改良は光拡散層での効果は大きく、光拡散層に応用することは好ましい態様である。
無機粒子の具体例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウムなどの粒子が挙げられる。二酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
有機粒子としては樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子の具体例としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メチルメタクリレート/スチレン)共重合樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂から作製される粒子などが挙げられる。好ましくは、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メチルメタクリレート/スチレン)共重合樹脂、から作製される粒子であり、特に好ましくはポリメチルメタクリレート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メチルメタクリレート/スチレン)共重合樹脂、から作製される粒子である。
これらの樹脂粒子は共重合樹脂粒子でもよく、さらには、架橋剤成分を含有した架橋樹脂粒子であることが好ましい。
粒子の平均粒径は、好ましくは0.2〜10μm、更に好ましくは0.5〜7.0μm、特に好ましくは1.0〜5.0μmである。
粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。
粒子の屈折率と、層のマトリックスの屈折率をほぼ同じにすることで、反射防止フィルムを画像表示面に装着したときのコントラストが改良される。一方、粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付けることで、反射防止フィルムを液晶表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、液晶表示装置の視野角特性など)が改良される。
粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付ける場合、その差は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、光拡散層以外には、前記のハードコート層、帯電防止層、最外層、低屈折率層、後述する高屈折率層、中屈折率層であってもよい。好ましくは光拡散層、ハードコート層、帯電防止層、高屈折率層、である。また、粒子を含有する層は最外層と隣接する層であることが最も好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子は、平均粒径の異なる粒子を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記帯電防止層、ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層のヘイズは、3〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜60%、特に好ましくは7〜50%、最も好ましくは10〜40%である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(平均粒径が1〜200nmの無機微粒子)
本発明の光学機能フィルムにおいて、透明支持体と最外層の間に一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層を構築することが好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を1〜200nmにすることで透明性を損なわない層を作製できる。
一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で用いられる。
無機微粒子としては、帯電防止層、最外層で例示した無機微粒子(導電性微粒子、充填剤など)に加え、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、平均粒径の異なる粒子を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200nmであり、より好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは20〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。
層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、分散剤を用いて分散されていることが好ましい。層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。特に、光学干渉層に用いる場合は、200nm以下であることが好ましい。
分散剤および分散方法については、前述の帯電防止層で説明した事項を適用できる。
層における無機微粒子の含有量は、層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
高い屈折率を有する層(例えば、高屈折率層、中屈折率層など)を作製する場合、帯電防止層で記載した手法を用いて高い屈折率を有する無機微粒子(例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛など)を微細に分散して層に含有させて作製することが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層として好ましいのは、前記ハードコート層、光拡散層、後述する光学干渉層(高屈折率層、中屈折率層など)である。また、平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層は最外層と隣接する層であることが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層の屈折率は、1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.65〜2.20、特に好ましくは1.65〜2.00である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
光拡散層には塗布液の粘度調整の目的で、ウレタン、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)の樹脂類を含有することも好ましい。
(面状改良剤)
本発明の透明支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗料には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及び/又はシリコーン系の面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗料の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗料の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗料の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗料の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。
好ましくは、塗料の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物(「フッ素系面状改良剤」と略記する)が挙げられる。特に、下記一般式(i)のモノマーに相当する繰り返し単位、及び、下記一般式(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が好ましい。
このような単量体としては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることが好ましい。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
Figure 2006131713
一般式(i)においてR21は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。X2は酸素原子、イオウ原子又は−N(R22)−を表し、酸素原子又は−N(R22)−がより好ましく、特に酸素原子が好ましい。R22は水素原子又は、炭素数1〜8のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。aは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが特に好ましい。bは1〜18の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が特に好ましい。
フッ素系面状改良剤中に一般式(i)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていてもよい。
Figure 2006131713
一般式(ii)において、R23は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Y2は酸素原子、イオウ原子又は−N(R25)−を表し、酸素原子又は−N(R25)−がより好ましく、特に酸素原子が好ましい。R25は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
24は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、又は置換もしくは無置換の芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、又は総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基が更に好ましい。以下でポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
ポリ(アルキレンオキシ)基は、−(OR)−を繰り返し単位とした基であり、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−が挙げられる。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位(前記−OR−)はポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであってもよく、直鎖もしくは分岐状のオキシプロピレンもしくはオキシエチレン単位であったり、または直鎖もしくは分岐状のオキシプロピレン単位のブロックもしくはオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであってもよい。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つまたはそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名"プルロニック"[Pluronic](旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)、“カルボワックス”[Carbowax](グリコ・プロダクス)、“トリトン”[Toriton](ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)社製)およびPEG(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明で用いられるフッ素系面状改良剤において、フッ素系面状改良剤の形成に用いられる全モノマー量に対する一般式(i)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量が50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70〜100モル%であり、特に好ましくは80〜100モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系面状改良剤の好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましく、8,000〜60,000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量は、TSKgel GMHXL、TSKgel G4000HXL、TSKgel G2000HXL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
更に、本発明で用いられるフッ素系面状改良剤の好ましい添加量は、添加する層の塗料に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
以下、本発明によるフッ素系面状改良剤の具体的な構造の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2006131713
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本発明の面状改良剤は、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)を含有する塗料に用いることが好ましい。特に、ケトン系溶媒が好ましい。ケトン系溶媒の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが好ましい。
また、特にケトン系溶媒を全溶媒の10質量%以上含有する塗料であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
塗料の溶媒は、ケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。例えば、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)などがあげられる。
面状改良剤は、層と層の界面の密着性を悪化させることがある。従って、層の表面に存在する面状改良剤を、該層の隣接層を形成する塗料中に溶出させて、層と層の界面近傍に面状改良剤が残らないようにすることが好ましい。そのため、隣接層の塗料中に面状改良剤を溶解する溶媒を含有させることが好ましい。そのような溶媒としては、上記ケトン系溶媒が好ましい。
透明支持体上に形成する層の塗料において、面状改良剤を添加するのが特に好ましいのは、ハードコート層、光散乱層、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層を形成するための塗料であり、特に好ましいのはハードコート層、光拡散層、を形成するための塗料である。
<低屈折率層>
本発明の硬化性組成物を用いて透明プラスチックフィルム上に何れかの層を形成した後、更に低屈折率層を作製することができる。
本発明の低屈折率層は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、含フッ素化合物を主体とする低屈折率層を構築することが好ましい。含フッ素化合物を主体とする低屈折率層は最外層として保護層又は防汚層として機能することができる。ここで、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層の中に含まれる構成成分のうち、含フッ素化合物の質量比が最も大きいことを意味し、含フッ素化合物の含有率が低屈折率層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましい。
本発明の含フッ素化合物を有する低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで作製できる点で塗布法が好ましい。
塗布法で作製する場合、低屈折率層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋又は重合反応により形成することが好ましく、該架橋又は重合性の官能基は電離放射線硬化性の官能基であることが好ましい。以下、低屈折率層に含まれる含フッ素化合物について記載する。
(含フッ素化合物)
低屈折率層に含まれる含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47、さらに好ましくは1.38〜1.45である。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素シラン化合物、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテルなどが挙げられる。
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの架橋又は重合反応により合成されたものが挙げられる。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが含まれる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位とフッ素原子を含まない繰り返し構造単位からなる共重合体も用いることができる。
上記共重合体は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーとフッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることができる。
フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物などが挙げられる。
含フッ素界面活性剤は、疎水性部分を構成する炭化水素の水素原子の一部または全部が、フッ素原子により置換されているもので、その親水性部分はアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性のいずれであってもよい。
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルとしては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
低屈折率層の含フッ素化合物としては、架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーが特に好ましい。架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーは、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物を架橋又は重合させることにより得られる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有さない含フッ素化合物に、架橋又は重合性の官能基を側鎖として導入することにより得ることができる。架橋又は重合性の官能基としては、光(好ましくは紫外線照射)、電子ビーム(EB)照射あるいは加熱などにより反応して含フッ素ポリマーが架橋又は重合構造を有するようになる官能基であることが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロールおよび活性メチレン等の基が挙げられる。架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物として、市販品を用いてもよい。
低屈折率層の含フッ素化合物は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位をからなる共重合体を主成分として含有することが好ましい。該共重合体由来の成分は最外層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。以下に、最外層に用いられるのに好ましい上記共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%であり、特に好ましくは30〜50質量%である。
上記共重合体は(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を有する。(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)または(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位は、上記共重合体中に5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
上記共重合体には、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合させることもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006131713
一般式(1)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式(1)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006131713
一般式(2)中、X、x、yはそれぞれ一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(1)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
本発明で有用な共重合体の好ましい例として、特開2004−45462号公報の[0043]〜[0047]に記載されたものが挙げられる。また、それらの共重合体の合成法も該公報に詳しく記載されている。
また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
本発明の低屈折率層を作製するのに用いる組成物は、塗料の形態をとることが好ましく、含フッ素化合物を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが0.01〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層は、目的に応じて充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)、オルガノシラン化合物及びその誘導体、バインダー、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。特に、充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)を添加することは好ましい。
以下に、低屈折率層に用いる好ましい充填剤、滑り剤等について記載する。
(低屈折率層の好ましい充填剤)
充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)を改良する点で、添加することが好ましい。低屈折率層に添加する充填剤としては無機微粒子が好ましく、中でも屈折率が低い二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)である。
充填剤の一次粒子の質量平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。低屈折率層において充填剤は、より微細に分散されていることが好ましい。充填剤の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。特に好ましいのは、球形状、不定形状である。充填剤は、結晶質、非晶質のいずれでも良い。
充填剤は、分散液中又は塗料中で、分散安定化を図るために、あるいは低屈折率層の構成成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤による表面処理が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシ化合物(例、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。特に、シランカップリング剤処理が有効である。
充填剤の表面処理は、低屈折率層の塗料の調製前にあらかじめ表面処理を実施しておくことが好ましいが、カップリング剤による表面処理の場合、塗料の調製時に塗料中にカップリング剤を添加して実施することも好ましい。
充填剤は、媒体(溶媒など)中に予め分散されていることが好ましい。
充填剤の添加量は、低屈折率層の全質量に対し5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。少なすぎると物理強度(耐擦傷性など)の改良効果が減り、多すぎると低屈折率層が白濁することがある。
充填剤の平均粒径は、低屈折率層の膜厚に対し20〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%、特に好ましくは30%〜50%である。
低屈折率層に添加する充填剤が二酸化珪素微粒子の場合、中空の二酸化珪素微粒子を用いることが特に好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式で表される空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号や特開2002−79616号に記載されている。
中空シリカの塗布量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上80nm以下、最も好ましくは40nm以上60nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
(低屈折率層の好ましい滑り剤)
滑り剤は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、防汚性を改良する点で添加することが好ましい。
滑り剤としては、含フッ素エーテル化合物(パーフルオロポリエーテル、及び、その誘導体など)、ポリシロキサン化合物(ジメチルポリシロキサン、及び、その誘導体など)などが挙げられる。ポリシロキサン化合物が好ましい。
ポリシロキサン化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の末端、及び/又は、側鎖に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物中にはジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位(置換基)を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。
好ましい置換基の例としては(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
滑り剤の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シロキサン化合物のSi原子含有量には特に制限はないが5質量%以上であることが好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましく、15〜50質量%であることが最も好ましい。
特に好ましい滑り剤は、下記一般式(A)で表される架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及びその誘導体(誘導体とは、例えば、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物の架橋又は重合体、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物とポリシロキサン化合物以外の架橋又は重合可能な官能基を有する化合物との反応生成物など)である。
Figure 2006131713
一般式(A)中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を表し、それぞれの基が複数ある場合それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、R1、R3、R4のうち少なくとも一つの基が架橋又は重合性の官能基を表す。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、rは0≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われているポリシロキサン部分はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
本発明の低屈折率層は、一般式(A)で表される架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体と含フッ素化合物とを含む硬化物を含有することが好ましい。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の含有量は、含フッ素化合物に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体において、好ましい架橋又は重合性の官能基は、低屈折率層の他の構成成分(含フッ素化合物、バインダー、など)と架橋又は重合反応して結合を形成することができる官能基であればよく、例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等)、ラジカル種による架橋または重合が可能な不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、酸無水物、イソシアネート基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの架橋又は重合性官能基は最外層の構成成分に合わせて適宜選択される。好ましくは、電離放射線硬化性の官能基である。
また、一般式(A)の架橋又は重合性の官能基は、含フッ素化合物が有する架橋又は、重合性の官能基と架橋又は重合反応することが好ましく、特に好ましい官能基はカチオン開環重合反応性基(特に、エポキシ基、オキセタニル基など)、ラジカル重合反応性基(特に、(メタ)アクリロイル基)である。
一般式(A)のR2が表す置換基は、炭素数1〜20の置換又は無置換の有機基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基等)、フッ素化アルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)または炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、フッ素化アルキル基またはフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。これらはさらに置換基で置換されていてもよい。
一般式(A)のR1、R3、R4が架橋又は重合性の官能基でない場合、上記有機基をとることができる。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦q≦400であり、特に好ましくは100≦q≦300である。rは0≦r≦500を満たす整数を表し、好ましくは0≦r≦qであり、特に好ましくは0≦r≦0.5qである。
一般式(A)で表される化合物のポリシロキサン構造は、その繰り返し単位(−OSi(R2)2−)が単一の置換基(R2)のみで構成された単独重合体であっても、異なる置換基を有する繰り返し単位の組み合わせによって構成されたランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
一般式(A)で表される化合物の質量平均分子量は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105である。
一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物は市販されているもの、例えば、KF−100T、X−22−169AS、KF−102、X−22−3701IE、X−22−164B、X−22−164C、X−22−5002、X−22−173B、X−22−174D、X−22−167B、X−22−161AS、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(信越化学工業(株)製)、AK−5、AK−30、AK−32(東亜合成化学(株)製)、サイラプレーンFM−0275、FM−0721、FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(チッソ(株)製)等を用いることもできる。また、市販のポリシロキサン化合物が含有する水酸基、アミノ基、メルカプト基等に架橋、又は、重合性官能基を導入することで作製することもできる。
以下に、一般式(A)で表される好ましいポリシロキサン化合物の具体例としては、特開2003−329804号公報の[0041]〜[0045]に記載された化合物S−(1)〜S−(32)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、最外層の全固形分に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
(低屈折率層及びその形成法)
低屈折率層は、上記含フッ素化合物、さらに必要に応じて、上記充填剤、上記ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、を溶媒に溶解、又は、分散した塗料を塗布することにより作製することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
2種類以上の溶剤を併用することもできる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物であれば、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、含フッ素化合物を架橋又は重合反応させ、低屈折率層を作製することが好ましい。
含フッ素化合物が、ラジカルで架橋又は重合する官能基を有していれば、ラジカル重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。また、カチオンで架橋又は重合する官能基を有していれば、カチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するものが好ましい。特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤は前記帯電防止層の項に記載のものが好ましく用いられる。
光ラジカル重合開始剤は、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましくこれについては、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
光重合開始剤は、含フッ素化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
さらには、これらの光重合開始剤と併用して光増感剤も好ましく用いることができ、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤も好ましく用いることができ、帯電防止層で記載した増感剤等が挙げられる。
バインダーは、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、低屈折率層と隣接する層との密着性を改良する点で、添加することが好ましい。
含フッ素化合物が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーは含フッ素化合物と架橋又は重合する官能基を有するバインダーであることが好ましい。
特に、含フッ素化合物が、光架橋又は光重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーとして光架橋又は光重合性の官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、帯電防止層で記載したものが挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
最外層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、及び/又は、該架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と架橋又は重合するバインダーとから形成される硬化物であることが好ましい。
低屈折率層は、含フッ素化合物、その他最外層の構成成分を溶解あるいは分散させた塗料を、塗布と同時又は塗布後に、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させ、作製することが好ましい。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
低屈折率層の作製は、特に最外層として電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
低屈折率層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、低屈折率層と低屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
低屈折率層の膜厚は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜150nm、特に好ましくは60〜120nmである。
また低屈折率層の上にさらに最外層(例えば防汚層)を用いる場合、最外層の膜厚は3〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜35nm、特に好ましくは7〜25nmである。
低屈折率層は反射防止フィルムの物理強度を改良するために、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
また、低屈折率層の表面の水に対する接触角は後述する鹸化処理の前後で変わらないことが望ましく、鹸化処理の前後で変化量が10°以内であることが好ましく、特に好ましくは5°以内である。
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。 また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
低屈折率層には、前記の成分(含フッ素化合物、重合開始剤、光増感剤、充填剤、滑り剤、バインダーなど)以外に、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改良剤、などを添加することもできる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は、ケイ素化合物を含むことが好ましい。
また、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50、更に好ましくは1.35〜1.48、特に好ましくは1.37〜1.45である。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は塗布法または気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により作製することができる。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層を塗布で作製する場合、下記一般式(I)で表されるケイ素化合物、及び、その誘導体(加水分解物、および該加水分解物が縮合して生成した架橋ケイ素化合物など)からなる群から選ばれた化合物で作製することもできる。この場合架橋、又は、重合ケイ素化合物で作製することが好ましい。
一般式(I) (X1)a(Y1)bSi(Z1)4-a-b
一般式(I)中:X1は、炭素数1〜12の有機基(例えばアルキル、アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基等)を表す。Y1は、炭素数1〜3の炭化水素基である。Z1は、ハロゲン原子またはアルコキシ基(例えば、OCH3、OC25、OC37等)を表す。aおよびbは、同一または異なってもよく、0〜2の整数である。
特に限定されないが、一般式(I)の具体例として、メチルシリケート、エチルシリケート等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのジアルコキシ又はジアシルオキシシラン類などが挙げられる。
特に硬度を必要とする場合には、電離放射線硬化性ケイ素化合物、特に、電離放射線によって架橋又は重合反応する複数の官能基を有する分子量5,000以下のケイ素化合物が好ましい。例えば、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。エポキシ基、(メタ)アクリロイル基を含むケイ素化合物が好ましい。これらのケイ素化合物は単独又は2種類以上組み合わせることができる。
これらのケイ素化合物は各種硬化剤、触媒を用いて硬化することが好ましく、例えば、ルイス酸、ルイス塩基を含む各種酸・塩基、及びこれらから作製される中性又は塩基性塩、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸の金属塩、特にアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムのアルコキシド又はこれらの錯化合物などが挙げられる。特に、好ましいのはアルミキレート化合物で、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセテートなどである。
また、低屈折率層には、無機微粒子、例えばLiF、MgF2、SiO2等の微粒子を添加することが好ましく、なかでもSiO2が特に好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明において、反射防止フィルムの各層に特に好ましく用いることができるオルガノシラン化合物について記載する。
皮膜の物理強度(耐擦傷性など)、皮膜と皮膜に隣接する層の密着性を改良する点でオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を透明支持体上のいずれかの層に添加することが好ましい。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体としては、下記一般式(a)で表される化合物及び/又はその誘導体を用いることができる。好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するオルガノシラン化合物であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイルなど)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノなど)を含有するオルガノシラン化合物である。
一般式(a) (R10)s−Si(Z)4-s
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6である。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表す。好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、tert−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよい。
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。特に、架橋又は重合性の官能基が好ましく、エポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)が好ましい。またこれら置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及びその誘導体の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体が好ましい。
Figure 2006131713
一般式(b)において、R11は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合、*−COO−**、*−CONH−**、*−O−**、又は*−NH−CO−NH−**を表し、単結合、*−COO−**、*−CONH−**が好ましく、単結合、*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。ここで、*は=C(R11)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
1は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
tは0または1を表す。tとして好ましくは0である。
10は一般式(a)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(a)、一般式(b)の化合物、及びその誘導体は、2種類以上を併用してもよい。
一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の好ましい具体例としては、特開2004−170901号公報の[0036]〜[0044]に記載されたM−1〜M−60が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
本発明において、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の誘導体とは、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物、部分縮合物などを意味する。以下、本発明で用いるオルガノシラン化合物の好ましい誘導体(加水分解物及び/又は部分縮合物)について説明する。
オルガノシラン化合物の加水分解反応及び/又は縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒を塗料あるいは塗料の一部として用いることが好ましく、その他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。 該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明では、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR13)p1(R14COCHCOR15)p2、Ti(OR13)q1(R14COCHCOR15)q2、およびAl(OR13)r1(R14COCHCOR15)r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR13およびR14は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R15は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1およびr2は、それぞれ、p1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
金属キレート化合物の具体例としは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、等が好ましい。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が低下するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が低下するおそれがあり好ましくない。
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体(加水分解物、部分縮合物)、さらに必要に応じて添加される金属キレート化合物などを含む組成物に、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加することが好ましい。
<塗工>
本発明の硬化層の作製は、ポリカーボネートフィルム基材上に硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、紫外線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
<光学機能フィルム>
本発明の光学機能フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で最外層を有する側の表面を移動させたときの、最外層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
さらに反射防止フィルムは、防汚性能を改良するために、最外層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
光学機能フィルムが防眩機能を持たない場合、ヘイズは低いほど好ましい。
光学機能フィルムが防眩機能を有する場合、ヘイズは、0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、1〜30%であることが最も好ましい。
本発明の光学機能フィルムの反射率は低いほど好ましく、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。
本発明の光学機能フィルムは、紫外線照射硬化後の膜厚で、200nm以下の塗布層が少なくとも1層塗布される。200nm以下の層は、より好ましくは160nm〜20nmであり、さらに好ましくは120nm〜40nmである。200nmの層以外の構成層としてこれより膜厚の厚い層が塗布されていてもよい。
(光学機能フィルムの構成)
本発明の光学ハードコートフィルムを防眩性反射防止フィルムを例にとって、構成例を図面を引用しながら説明する。
図1に示す態様は、透明支持体1、光拡散層6、そして低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。光拡散層に含まれる粒子7は、平均粒径が0.2〜10μmの粒子である。
図1に示す態様では透明支持体1、低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。すなわち、透明支持体1の屈折率>低屈折率層4の屈折率。
図1のような層構成では、低屈折率層4が下記数式を満足することが優れた反射防止フィルムとすることができる点で好ましい。
(mλ/4)×0.7<nd<(mλ/4)×1.3
数式中、mは正の奇数(一般に1)であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の層厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
(偏光板用保護フィルム)
本発明の反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いることができる。この場合、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。さらに好ましくは30°以下であり、特に好ましくは25°以下である。接触角を40°以下にすることは、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。この接触角は下記の鹸化処理の処理条件により調整することができる。
偏光板用保護フィルムとして用いる反射防止フィルムの透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、帯電防止層、ハードコート層、低屈折率層、高屈折率層、最外層など)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、帯電防止層、ハードコート層、低屈折率層、最外層など)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法。
上記(1)の手法において、透明支持体の一方の面のみが鹸化処理されている場合、各層は鹸化処理されていない側に塗設する。透明支持体の両方の面が鹸化処理されている場合、各層を塗設する側の鹸化処理した透明支持体の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理などの手法により表面処理し、その後、各層を塗設することが好ましい。
上記(2)において、反射防止フィルム全体を鹸化液に浸漬することが好ましい。この場合、反射防止フィルムは各層を有する側の表面を保護フィルムで保護して鹸化液に浸せきし、偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面を鹸化処理することもできる。
さらにまた、反射防止フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理することもできる。
鹸化処理は、保護フィルムの上に反射防止性能を付与した後に実施することで、よりコストを削減でき、特に(2)の手法が、偏光板用保護フィルムを安価に製造できる点で好ましい。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性(耐湿熱性、耐光性)において、本発明の反射防止フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、最外層を有する側の表面の水に対する接触角は90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
(鹸化処理)
上記の鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に透明支持体、又は、反射防止フィルムを適切な時間浸漬して実施するのが好ましい。
アルカリ液は、水酸化カリウム水溶液、及び/又は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3規定であり、特に好ましくは1〜2規定である。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは25゜以下である。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、上記のように、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを2枚の保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムをもう一方に用いた偏光板は、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角を非常に広げることができるので、好ましい。
<光学補償フィルム>
上記光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック化合物とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向で変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。すなわち、ディスコティック構造単位を有する化合物の配向状態としては、例えば、ハイブリッド配向、ベント配向、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向等であることが好ましく、ハイブリッド配向であることが特に好ましい。該角度は、層全体として見ると光学異方性層中で光学補償フィルムの支持体面側からの距離の増加とともに総じて増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と光学補償フィルムの透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の一軸性を有し、且つ該透明支持体面の法線方向に光軸を有する態様、更に下記の条件を満足する態様も好ましい。
20≦Rth(λ)≦400
式中、nxは面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、nzは面に垂直方向の屈折率である。本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
<画像表示装置>
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止フィルムは、反射防止フィルムの透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
図2及び図3は本発明の反射防止フィルムの画像表示装置に適用する様々な態様を模式的に示す概略断面図である。
図2(a)は、反射防止フィルムを画像表示装置、特に、PDP、ELD、CRTに適用する好ましい態様である。この反射防止フィルムは、透明支持体1を粘着剤層8を介して画像表示装置の画像表示面に接着することができる。
図2(b)と図3(c)及び(d)は、反射防止フィルムをLCDに適用する好ましい態様である。
図2(b)では、反射防止フィルムの透明支持体1が粘着剤層8を介して偏光膜11の保護フィルム9に接着している。もう一方の偏光膜の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図3(c)では、反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の透明支持体1が粘着剤層8を介して偏光膜11に接着しており、偏光膜11のもう一方の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図3(d)では、本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)は透明支持体1が直接偏光膜11に接着しており、偏光膜11のもう一方の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。粘着剤層8には、粒子、染料などの添加剤を添加してもよい。
本発明に用いる反射防止フィルム及び偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、上記の光学補償フィルムと反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板を用いることで、視野角特性と反射防止特性を大幅に改良できる。
また、さらに市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、透過型または半透過型の液晶表示装置において、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
(実施例A)
<光拡散層用塗布液の調製>
(光拡散層用塗料(I−1〜8)の調製)
市販の紫外線硬化型樹脂(PETA、日本化薬製、屈折率:1.51)50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア184)2.5質量部、第1の透光性粒子として平均粒子径が3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(綜研化学製、屈折率:1.55)を2質量部、第2の透光性粒子として平均粒子径が3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(綜研化学製、屈折率:1.60)を3質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製)6.19質量部、フッ素系面状改良剤前記F−12、0.05質量部、これらをトルエン52.6質量部とシクロヘキサノン4.0質量%とよく混合したあと、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散層用塗料(I−1)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.51であった。
なお、光拡散層用塗料(I−1)において、塗料の表面張力は32mN/mであり、架橋ポリスチレン粒子の粒度分布S値は0.8であった。
(I−1)に対し溶剤組成を表2に示す様に変更し塗料I−2〜8を調製した。
(光拡散層用塗料(II−1〜3)の調製)
光拡散層用塗料(I−1)に対して、フッ素系面状改良剤F−12を添加しない光拡散層用塗料(II−1)を作製した。塗料の表面張力は35mN/mであり、塗料(I−1)と比較して3mN/m高かった。この塗料による塗膜の屈折率は1.51であった。
(II−1)に対し溶剤組成を表2に示す様に変更し塗料II−2〜3を調製した。
(光拡散層用塗料(III)の調製)
酸化ジルコニウム微粒子を含有する透明高屈折率ハードコート材料(デソライトZ7404、JSR(株)製)285.0質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製)28.0質量部、シクロヘキサノン10.0質量部、メチルイソブチルケトン55.0質量部、メチルエチルケトン12.0質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.0μmの分級を強化した架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液35.0質量部、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスターKE−P150、(株)日本触媒製)の30%メチルエチルケトン分散液90.0質量部を添加し、更にフッ素系面状改良剤F−12を3.5質量部添加して撹拌した。孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散層用塗料(III)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.61であった。
なお、光拡散層用塗料(III)の表面張力は24mN/mであった。
[ハジキ耐性の評価]
上記で作製した硬化性組成物にKF96L1.0CS(信越化学工業製シリコーンオイル)が固形分当たり150ppm(質量比)になる様に添加してハジキ耐性評価用塗料を調製した。
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)上に上記ハジキ耐性評価用塗料をマイクログラビア塗工方式で塗布速度15m/分にて塗布を行ない、塗布後、60℃で150秒乾燥後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線照射して塗布膜を硬化させ、膜厚6μmの防眩性のある光拡散層を有するフィルム資料を作製し、目視にてハジキの数を数えた。結果を表1に示す。
Figure 2006131713
表2に示される結果から、以下のことが明らかである。
硬化性組成物中SP値が9.5以上ある溶媒であるシクロヘキサノンの比率を25質量%以下にするとハジキの数が大幅に減少し、その比率を更に下げて行くとそれに伴ってハジキ数が減少する。(実施例1〜3と比較例1、実施例8,9と比較例3)
硬化性組成物中SP値が8.8以下の溶媒を10質量%以上含有することでハジキの数が大幅に減少する。(実施例1〜3に対して実施例6,7,10)
同じ溶媒組成でも固形分濃度が低いほどハジキの発生は多い。(実施例1に対して実施例4,5)
同じ溶剤組成でも溶剤塗布量が少ないほどハジキの発生は少ない。(比較例1に対し比較例2)
フッ素系面状改良剤がある方が同じ溶媒組成でもハジキの発生が多い。(実施例1と3に対して実施例8と9)
(実施例B)
<反射防止フィルムの作製>
(低屈折率層用塗料(a)の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228A、固形分濃度6%、JSR(株)製)13.0質量部に、シリカ微粒子のMEK分散液(MEK−ST−L、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学工業(株)製)1.3質量部、上記オルガノシラン化合物A溶液0.6質量部、およびメチルエチルケトン5.0質量部、シクロヘキサノン0.6質量部を添加して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗料(a)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.42であり、水に対する接触角は96°であった。
(反射防止フィルムの作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)の上に、光拡散層用塗料(I−1)〜(III)をマイクログラビアコーターを用いて15m/分の塗布速度で塗布した。
塗布後、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚6μmの防眩性のある光拡散層を有するフィルム試料を作製した。
上記光拡散層の各々の試料上に、低屈折率層用塗料(a)をマイクログラビアコーターを用いて20m/分の塗布速度で塗布した。
塗布後、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚95nmの低屈折率層(最外層)を有するフィルム試料作製した。
(反射防止フィルムの評価)
得られた反射防止フィルムの中から抜粋して表3に記載の試料に付いて下記項目の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
(1)平均反射率の評価
分光光度計(日本分光(株)製;V−550)を用いて、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
(2)防汚性の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面に油性マジック(ZEBRAマッキー、赤)を付着させて30分経時させ、それをクリーニングクロスで拭き取った時の状態を観察して、以下の3段階で評価した。
○:マジックが完全に拭き取れたもの
△:マジックの一部が拭き取れずに残ったもの
×:マジックのほとんどが拭き取れずに残ったもの
(3)動摩擦係数の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面の滑り性の指標として動摩擦係数を評価した。動摩擦係数は試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、動摩擦測定機(HEIDON−14)で、直径5mmのステンレス剛球を用い、荷重0.98N、速度60cm/分で測定した。
Figure 2006131713
表3の結果から、本発明の光拡散層用硬化性組成物を用いることで、優れた反射防止フィルムを作製できることが分かる。
(実施例C)
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。さらに、0.01Nの希硫酸水溶液を調製した。
前記表3に記載した試料(A−1〜A−8)について、低屈折率層(最外層)を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄して、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明支持体の表面の水に対する接触角を評価したところ、40°以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
PVAフィルムをヨウ素5.0g/l、ヨウ化カリウム10.0g/lの水溶液に25℃にて90秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、60℃90%雰囲気下で7.0倍に一旦延伸した後5.3倍まで収縮させ、以降幅を一定に保ち、70℃で乾燥した後テンターより離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの揮発分率は31%で、乾燥後の揮発分率は1.5%であった。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、0゜であった。テンター出口におけるシワ、フィルムの寄りは観察されなかった。この偏光フィルムの一方の面に、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として用いて、本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム(株)製フジタック、レターデーション値3.0nm)を同じ接着剤を用いて貼り合わせた。このようにして、本発明の偏光板を作製した。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(実施例D)
(偏光板の作製)
光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製)の、光学異方性層を有する側とは反対側の表面を実施例Cと同様の条件で鹸化処理した。
実施例Cと同様にして、偏光膜の一方の面に、実施例Cで作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう一方の面に、鹸化処理した上記光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同様にして貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が広く、さらに、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
特に、光拡散層用塗料として(I)、(II)、(III)を用いて作製した反射防止フィルムにおいて、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン粒子、架橋PMMA粒子、シリカ粒子による透過光の光散乱効果により、特に下方向の視野角が顕著に広がり、左右方向の黄色味が改善されていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(実施例E)
(画像表示装置の評価)
前記表3に記載した反射防止フィルムを、有機EL表示装置に装着したところ、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
また、偏光膜の一方の面に実施例Eで作製した偏光板用保護フィルム、もう一方の面にλ/4板を有する偏光板を実施例Eと同様にして作製した。上記の偏光板を有機EL表示装置に装着したところ、偏光板を貼ったガラス表面からの光の反射もカットされ、極めて視認性の高い表示装置が得られた。
本発明のハードコートフィルム(反射防止フィルム)の層構成の一例を模式的に示す概略断面図である。 (a)本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に適用するための態様の一例を模式的に示す概略断面図である。(b)本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に適用するための態様の一例を模式的に示す概略断面図である。 (c)本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に適用するための態様の一例を模式的に示す概略断面図である。(d)本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に適用するための態様の一例を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明支持体
4 低屈折率層(最外層)
6 ハードコート層(光拡散層)
7 平均粒径が0.2〜10μmの粒子
8 粘着剤層
9 偏光膜の保護フィルム
10 偏光膜の保護フィルム
11 偏光膜

Claims (10)

  1. 電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有し、シクロヘキサノンを全溶剤に対して5質量%以上25質量%以下含有することを特徴とするハードコート用塗布組成物。
  2. 電離放射線硬化型樹脂と有機溶剤を含有し、シクロヘキサノンを全溶剤に対して5質量%以上含有し、かつ溶解性パラメーター(SP値)が8.8以下の溶剤を全溶剤に対して10質量%以上含有することを特徴とするハードコート用塗布組成物。
  3. フッ素系面状改良剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
  4. シリコン系面状改良剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
  5. 粒径が1μm以上の表面ヘイズを付与する粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
  6. 粒径が1μm以上の内部ヘイズを付与する粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のハードコート用塗布組成物。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載のハードコート用塗布組成物を透明基材フィルムに塗布し、電離放射線硬化してハードコート層を形成したことを特徴とするハードコートフィルム。
  8. ハードコート層の残留溶剤中の溶解性パラメーター(SP値)が8.8以下の成分が10質量%以上であることを特徴とする請求項7に記載のハードコートフィルム。
  9. 請求項7〜8の何れかに記載のハードコートフィルムのハードコート層に直接または他の層を介して少なくとも1層の低屈折率層を積層したことを特徴とする反射防止フィルム。
  10. 請求項7〜8の何れかに記載のハードコートフィルムまたは請求項9に記載の反射防止フィルムを搭載した画像表示装置。
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