JP2006131342A - 乗客コンベアの手摺機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】 長い乗客コンベアの場合でも、手摺ベルトの摺動抵抗が少なく、折り返し部で発生する音が小さく、かつ長寿命である乗客コンベアの手摺機構を提供する。
【解決手段】 手摺ベルト3は綿布6a及び芯体6bを断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体6及びその外表面を覆う化粧部7を有している。手摺ベルトの内側には手摺ベルトをステップと同方向に循環移動させる駆動ローラ4が設けられている。手摺ベルトの折り返し部において手摺ベルトの内側には摩擦低減ローラ5が設けられている。手摺ベルトの積層体の内周面の一部には低摩擦性材料から成る被覆層9が設けられている。被覆層は摩擦低減ローラに接するとともに駆動ローラに接しないように配置されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、乗客コンベア(エスカレータ及び動く歩道)の手摺機構に関する。
一般に、乗客コンベアは、階段状又は床面状の複数個のステップを循環移動させ、そのステップ上に人を乗せて昇降又は移送する。複数個のステップの両側には欄干が設けられ、その欄干上には手摺ベルトが設けられている。
これは、人がステップに乗ったときに身体の安定を保つために、その手摺ベルトに手を掛けられるようにするためである。この手摺ベルトは、複数個のステップの循環速度に同期連動して動いている。
一般に、手摺ベルトは内側に綿布を施しており、手摺ベルトを摺動自在に案内する平面形状の硬いガイドレール上では、手摺ベルトは綿布の布地で摩擦を少なくして滑らされる。また、表面に樹脂が施されて手摺ベルトを駆動する駆動ローラに対しては、手摺ベルトは反対側から加圧ローラで加圧されて綿布の布地に駆動ローラが食い付くので、必要な摩擦を十分に確保して駆動される。
ところで、乗客コンベアは、近年、徐々に移動距離が長くなる傾向にあるので、手摺ベルトの摩擦による走行抵抗が長さに比例して増えている。そこで、特開平8−67487号公報や特開平10−7358号公報に示すような発明では、内周面の一部に樹脂を被覆もしくは含浸させた手摺ベルトを提案している。
これらの発明に係る手摺ベルトは、図8に示すように、断面略C型の手摺ベルト101の内側の両端部のガイドレール(図示せず)が当たる部分102に樹脂の被覆もしくは含浸を施すことにより、ガイドレールに対して滑り易くして摩擦を更に低減している。一方、駆動ローラ(図示せず)に当たる部分103には、樹脂の被覆もしくは含浸が施されていないので、従来通りに綿布の食い付きで駆動力を得ている。
また、乗客コンベアの移動距離が長くなると、手摺ベルトの折り返し部でも摩擦による抵抗が増える。すなわち、折り返し部では、例えば図9に示す側面図及びその要部拡大図である図10に示すように、欄干終端部の折り返し部201の案内レール202に沿ってリンク機構により連結しているリンク支持体203に複数のベアリング体204が取り付けられており、手摺ベルト205が折り返し部201を通過する時には、湾曲しているためベアリング体204に強く押し付けられて摩擦力が大きくなる。
その折り返し部に特開2003−221178号公報に示すような摩擦力を低減する摩擦低減ローラを用いることで摩擦力を低減することができるが、手摺ベルトの内側に施した綿布の上を摩擦低減ローラが転がるので音が発生する。
そこで、従来の乗客コンベアにおいては、音が発生しないように、表面に樹脂を施した市販品の摩擦低減ローラを用いることがある。このようなものを用いることで、摩擦力を低減するとともに、摩擦低減ローラが綿布の上を転がる音を低減することも可能にしている。
特開平8−67487号公報 特開平10−7358号公報 特開2003−221178号公報
しかしながら、このような小径の摩擦低減ローラは、特定の個所に配置したものに継続的に負荷がかかり、綿布の布地が絶えず食い込むので、表面に施した樹脂の寿命が短いという問題がある。
そこで、本発明の目的は、長い乗客コンベアの場合でも、手摺ベルトの摺動抵抗が少なく、折り返し部で発生する音が小さく、かつ長寿命である乗客コンベアの手摺機構を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
循環移動する複数個のステップの両側に立設された欄干の周縁部に摺動自在に支持され、綿布及び芯体を断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体及びその外表面を覆う化粧部を有する無端状の手摺ベルトと、
手摺ベルトの内側に設けられ、手摺ベルトをステップと同方向に循環移動させる駆動ローラと、
手摺ベルトの折り返し部において手摺ベルトの内側に設けられた摩擦低減ローラと、
摩擦低減ローラに接するとともに駆動ローラに接しないように手摺ベルトの積層体の内周面の一部に設けられ、低摩擦性材料から成る被覆層又は樹脂含浸部と、
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの手摺機構である。
また、第2の発明は、
循環移動する複数個のステップの両側に立設された欄干の周縁部に摺動自在に支持され、綿布及び芯体を断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体及びその外表面を覆う化粧部を有する無端状の手摺ベルトと、
手摺ベルトの内側に設けられ、手摺ベルトをステップと同方向に循環移動させる駆動ローラとを備え、
綿布の少なくとも表層側は、その両側縁部において糸の端部間の間隔が不規則に変化していることを特徴とする乗客コンベアの手摺機構である。
第1の発明によれば、長い乗客コンベアの場合でも、摺動抵抗が少なく、折り返し部で発生する音が小さく、かつ長寿命の乗客コンベアの手摺機構を提供することができる。
また、手摺ベルトとガイドレールの摩擦が少ないので、長い乗客コンベアでも、手摺ベルトとガイドレールの摩擦による負荷を低減することができる。
第2の発明によれば、手摺ベルトに駆動ローラが当接しても、綿布が特定の周波数の音を発生することがなく、手摺ベルトの折り返し部や駆動部での静粛性が向上する。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は本発明の第1の実施形態の要部縦断面図、図3は第1の実施形態の要部分解斜視図である。
図1において、1は欄干のパネルで、循環移動する複数個のステップ(図示せず)の両側に立設されており、その周縁部にはガイドレール2が装着されている。
本実施形態の手摺機構は、ガイドレール2上に摺動自在に支持された手摺ベルト3と、その内側に設けられ、手摺ベルト3をステップと同方向に循環移動させる駆動ローラ4(図2参照)と、手摺ベルト3の折り返し部において手摺ベルト3の内側に設けられた摩擦低減ローラ5とを備えている。
手摺ベルト3は、綿布6a及び剛性の高い材料から成る帯状の芯体6bを断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体6及びその外表面を覆うゴム製の化粧部7を有している。そして、積層体6の内周面の一部には、手摺ベルト3をガイドレール2に対して滑り易くするために、低摩擦性樹脂から成る被覆層9が設けられている。なお、芯体6bは図示しないが、複数本のワイヤを並べた構成としてもよい。
被覆層9は、例えばフッ素樹脂、シリコン樹脂、高密度ポリエチレン、ポリアクリレート樹脂等を塗布することにより形成される。なお、このような被覆層9に代えて、例えば上記のような樹脂を含浸させた樹脂含浸部を設けるようにしてもよい。
被覆層9又は樹脂含浸部は、摩擦低減ローラ5(図1参照)には接するが、駆動ローラ4(図2参照)には接しないように設けられている。
図3に示すように、摩擦低減ローラ5は、手摺ベルト3の折り返し部に設けられた湾曲したガイドレール2に装着されている。
ガイドレール2は、断面ハット形の一対のレール構成部材10A、10Bの凸部同士を突き合わせることにより形成され、外側のレール構成部材10Aは、断面U字形の凹部11と、その両側壁の端部から側方に向けて突出した一対のフランジ部12とを有している。
そして、フランジ部12とこれに連続する凹部11の側壁との間にまたがるように貫通穴13が形成され、この貫通穴13は、レール構成部材10Aの長さ方向及び幅方向に所定間隔をおいて複数個設けられている。
レール構成部材10Aの凹部11には直方体状のブロック14が収納され、このブロック14の両側面にはネジ穴15が形成されている。ブロック14の両側には板状のスペーサ16が配置され、これらのスペーサ16にはブロック14のネジ穴15と対向するように貫通穴17が設けられている。
摩擦低減ローラ5の中心部及びスペーサ16の貫通穴17にはネジ18の軸部が貫通している。このネジ18の先端面に設けられた六角形状の穴18aに六角レンチの端部を挿入してネジ18を回転させることでネジ18の軸部がブロック14のネジ穴15に螺合し、摩擦低減ローラ5はスペーサ16、ブロック14と一体化された状態となる。なお、摩擦低減ローラ5とネジ18の間にはベアリング(図示せず)が設けられており、ネジ18を締め付けても摩擦低減ローラ5は滑らかに回転する。
ブロック14及びスペーサ16と一体化された摩擦低減ローラ5は、スペーサ16とともにレール構成部材10Aの貫通穴13内に挿入され、外周面の一部がフランジ部12の外面よりも外方に突出した状態となる。
なお、摩擦低減ローラ5は、手摺ベルト3との摩擦をより低減するために、外周面に樹脂を施したものとしてもよい。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図1に示すように、断面略C字形の手摺ベルト3の内側のガイドレール2が当接する部分を被覆層9又は樹脂含浸部で滑り易くしているので、ガイドレール2との摩擦が少なくなっている。
一方、図2に示すように、手摺ベルト3における駆動ローラ4が当接する部分には、被覆層9又は樹脂含浸部は存在しないので、従来と同様に綿布の食い付きで駆動力を得ている。
また、図1に示すように、手摺ベルト3における摩擦低減ローラ5が当接する部分には、被覆層9又は樹脂含浸部が存在するので、表面に樹脂を施した摩擦低減ローラ5を用いない場合でも音は低減する。
表面に樹脂を施した摩擦低減ローラ5を用いれば、手摺ベルト3の折り返し部での静粛性はより向上する。
さらに、手摺ベルト3は摩擦低減ローラ5から比較的大きい力を受けるが、被覆層9又は樹脂含浸部の部分については、手摺ベルト3が一巡すると一回の頻度で力を受けるだけであり、寿命への影響は低い。
本実施形態によれば、手摺ベルト3におけるガイドレール2が当接する部分を被覆層9又は樹脂含浸部で滑り易くしており、ガイドレール2との摩擦を更に低減しているので、移動距離が長い乗客コンベアでも、手摺ベルト3の摩擦による負荷を低減することができる。
一方、駆動ローラ4が当接する部分には、被覆層9又は樹脂含浸部が存在せず、従来通りに綿布の食い付きで駆動力を得ているので、移動距離が長い乗客コンベアでも駆動できる。
また、図3において、手摺ベルト3における摩擦低減ローラ5が当接する部分には、被覆層9又は樹脂含浸部が存在し、表面に樹脂を施した摩擦低減ローラを用いなくても音が低減するので、安価なベアリング等を用いることもできる。
なお、表面に樹脂を施した摩擦低減ローラを用いれば、手摺ベルト3の折り返し部での静粛性は一層向上する。
さらに、手摺ベルト3は摩擦低減ローラ5から比較的大きい力を受けるが、被覆層9又は樹脂含浸部の部分は、手摺ベルト3が一巡して一回の頻度で力を受けるだけなので、寿命への影響が極めて低い。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4、図5は本発明の第2の実施形態に用いる綿布の構成を示す模式図である。
本実施形態では、手摺ベルトの綿布を構成する布のうち、少なくともローラに対向する表層側の布を、図4に示すように、生地を裁断する際に、その両側縁部が周期性無く蛇行するようにし、これを裁断後に伸ばして両側縁部が真っ直ぐになるようにしている。
このようにすることで、図5に示すように、綿布6aの両側縁部では、糸6aaの端部の間の間隔が不規則になるので、ローラが綿布6a上を転がる際に生じる振動の周波数が綿布6aの長さ方向に不規則に変化し、音が発生しにくくなる。
このような綿布6aを用いた手摺ベルトでは、摩擦低減ローラや駆動ローラが当接しても、綿布が特定の周波数の音を発生することがなく、卓越音を低減できるので、手摺ベルトの折り返し部や駆動部での静粛性が一層向上する。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図6は本発明の第3の実施形態に用いる綿布の製造方法の説明図、図7は第3の実施形態に用いる綿布の構成を示す模式図である。
本実施形態では、図6に示すように、綿布6aを構成する布を積層する前に三つの加圧ローラユニット20〜22に通し、両側の加圧ローラユニット20、22は一定速度で回転させ、中央の加圧ローラユニット21は速度を不規則に変化させながら回転させる。
このようにすることで、図7に示すように、綿布6aの両側縁部では、糸6aaの端部の間の間隔が不規則になるので、ローラが綿布6a上を転がる際に生じる振動の周波数が綿布6aの長さ方向に不規則に変化し、音が発生しにくくなる。
このような綿布を用いた手摺ベルトでは、摩擦低減ローラや駆動ローラが当接しても、綿布が特定の周波数の音を発生することがなく、卓越音を低減できるので、手摺ベルトの折り返し部や駆動部での静粛性が一層向上する。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施形態に種々の改変を施すことができる。
本発明の第1の実施形態の要部縦断面図。 第1の実施形態の要部縦断面図。 第1の実施形態の要部分解斜視図。 第2の実施形態に用いる綿布の構成を示す模式図。 第2の実施形態に用いる綿布の構成を示す模式図。 第3の実施形態に用いる綿布の製造方法の説明図。 第3の実施形態に用いる綿布の構成を示す模式図。 従来の手摺ベルトの構造を示す断面図。 従来の手摺機構を備えた乗客コンベアの端部の側面図。 図10の要部拡大図。
符号の説明
2 ガイドレール
3 手摺ベルト
4 駆動ローラ
5 摩擦低減ローラ
6 積層体
6a 綿布
6b 芯体
7 化粧部
9 被覆層

Claims (4)

  1. 循環移動する複数個のステップの両側に立設された欄干の周縁部に摺動自在に支持され、綿布及び芯体を断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体及びその外表面を覆う化粧部を有する無端状の手摺ベルトと、
    前記手摺ベルトの内側に設けられ、前記手摺ベルトを前記ステップと同方向に循環移動させる駆動ローラと、
    前記手摺ベルトの折り返し部において前記手摺ベルトの内側に設けられた摩擦低減ローラと、
    前記摩擦低減ローラに接するとともに前記駆動ローラに接しないように前記手摺ベルトの積層体の内周面の一部に設けられ、低摩擦性材料から成る被覆層又は樹脂含浸部と、
    を備えたことを特徴とする乗客コンベアの手摺機構。
  2. 前記摩擦低減ローラは、表面に樹脂を施したものであることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの手摺機構。
  3. 前記綿布の少なくとも表層側は、その両側縁部において糸の端部間の間隔が不規則に変化していることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの手摺機構。
  4. 循環移動する複数個のステップの両側に立設された欄干の周縁部に摺動自在に支持され、綿布及び芯体を断面略C字形を成すように積層一体化して成る積層体及びその外表面を覆う化粧部を有する無端状の手摺ベルトと、
    前記手摺ベルトの内側に設けられ、前記手摺ベルトを前記ステップと同方向に循環移動させる駆動ローラとを備え、
    前記綿布の少なくとも表層側は、その両側縁部において糸の端部間の間隔が不規則に変化していることを特徴とする乗客コンベアの手摺機構。
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