JP2006130850A - インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクの着弾位置精度が良いとともに、電極の接続の信頼性が高く高品位な製品及び画像を形成できるインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 インクジェットヘッド100は、ヘッド本体1、マニホールド2A,2B及びノズルプレート3を備えている。ヘッド本体1は、4枚の圧電体基板10A〜10Dが貼り合わされてなり、3列のインク室列120A〜120Cを有する。ヘッド本体1のノズルプレート接合面11は、一括して切断されることで単一の平面に形成され、インクの着弾位置精度が向上されている。また、ヘッド本体の背面14は、圧電体基板10A〜10Dごとに段違いとなる階段状に形成され、フレキシブル基板4A〜4Cが容易かつ確実に接続される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、インク室内のインクを加圧して記録媒体上に吐出することによって画像形成を行うインクジェットヘッド、および、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
インクジェットヘッドとして、溝状のインク室を挟む一対の隔壁の各内側面に電極を形成し、外部駆動回路からの電極に対する駆動パルスの印加によって隔壁を変形させてインク室内のインクを吐出するようにしたものがある。このようなインクジェットヘッドは、インクジェットプリンタに搭載され用紙に画像を形成するために用いられるだけでなく、近年では、製造装置に搭載され微細パターンの描画技術として用いられる場合がある。
インクジェットヘッドが製造装置に搭載される場合、複数種類のインク(液滴材料)を同時に吐出可能であること、および、それぞれのインクの着弾位置精度が良いことが、インクジェットヘッドに要求される。また、インクジェットヘッドがインクジェットプリンタに搭載される場合、高速かつ高精度に画像を形成できることがインクジェットヘッドに要求される。
そこで、インクジェットヘッドとして、所定方向に配列された複数のインク室からなるインク室列を複数有するものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなインクジェットヘッドは、製造装置に搭載された場合、各インク室列から異なるインクを吐出し、インクジェットプリンタに搭載された場合、複数のインク室列から同時にインクを吐出することで複数行の印刷を同時に行い、高速に画像形成を行う。
しかし、インクの着弾位置精度及び画像精度を高めるためには、各インク室列を厳密に平行に配置し、ノズルプレートが接合されるノズルプレート接合面を単一の平面にする必要がある。ノズルプレートは各インク室に対応する複数のノズル孔を有し、ノズルプレート接合面が厳密に単一の平面に形成された場合は、インクの着弾位置精度が高められる。
特許文献1の技術では、それぞれ単一のインク室列を有する複数のヘッドユニットをそれぞれ枠体に固定した後に、ノズルプレートをヘッドユニット及び枠体に接合している。このように、複数のヘッドユニットを基準部材(この場合は、枠体)に取り付ける構成では、ノズルプレート接合面を厳密に単一の平面にすることができず、インク室列ごとにインク室の開口面方向が異なるためにインクの吐出方向が乱れ、着弾位置精度が低下する。例えば、2列のインク室列間の平行度に0.1度のずれがあり、インクの吐出面からインクの到着面までの距離が1mmである場合、ずれが約2μm大きくなる。
また、複数のインク室列を有するインクジェットヘッドの場合、インク室内に形成された電極と外部駆動回路とを電気的に確実に接続することが困難になる場合がある。外部駆動回路と一部のインク室の電極とが断線した場合、インクが吐出されない部分が生じ、高品位な製品及び画像を形成することができなくなる。さらに、電極が断線した場合、歩留まりが低下し、コストの高騰を招く。
このような問題を解決しようとする技術として、インク室の背面部に導電性樹脂を充填し、インク室の背面側に導電性樹脂を露出させることで、インク室に対して直角方向に外部接続用基板を接続するものがある(例えば、特許文献2参照。)。また、他に、インクジェットヘッドの背面部を階段状に形成することで、インクジェットヘッドが3列以上のインク室列を有する場合でも電極と外部駆動回路とを容易に接続しようとするものがある(例えば、特許文献3参照。)。
特許第3215789号公報 特開2002−178518公報 特開2002−178509公報
しかし、特許文献2の技術は、インク室内に形成された電極と外部駆動回路とを接続する電極を引き出すための領域をインク室内に形成する必要がなく材料コストを削減できる等の効果を有する反面、インク室内に充填した導電性樹脂が、経時劣化によってインク室内に溶出し又は破壊され、インクジェットヘッドの寿命を縮める場合があるという問題を有する。また、導電性樹脂はダイシング等の機械加工性が悪く、切断カスがインク室内に混入し、切断カスを除去できなくなる場合があるという問題も有する。さらに、導電性樹脂に外部接続用基板を取り付ける際に外部接続用基板にツールで機械的な圧力を印加した場合、導電性樹脂の裏面がインク室であり中空であるため、圧力の逃げが生じて接続不良が生じること、または、導電性樹脂が破損されることがある。
また、特許文献2の技術では、2列のインク室列を有するインクジェットヘッドにおいては2枚の外部接続用基板を上下方向に付き合わせるように配置して各インク室列の電極に取り付けることで電極と外部接続用基板とを容易に接続することができるが、3列以上のインク室列を有するインクジェットヘッドに特許文献2の技術を適用することは困難である。
また、特許文献3の技術では、インク室となる複数の溝を形成された4枚の圧電体基板を接合することでインクジェットヘッドを形成するので、ノズルプレート接合面を厳密に単一の平面にすることができない。ノズルプレート接合面に圧電体基板ごとの凹凸がある場合、ノズルプレートとノズルプレート接合面との平行度が低下し、圧電体基板ごとに突き出し量が異なるので、インクの着弾位置精度が悪化する。また、ノズルプレートとノズルプレート接合面との間に局所的に不接合部分が生じ、隣接するインク室が連通するという不具合が生じる場合がある。さらに、複数のインク室列の各インク室に、単一の導入流路が連通しているので、1個のインクジェットヘッドで複数の異なるインクを吐出することができず、インクジェットヘッドの使用用途の自由度が狭い。また、インク室を区画する隔壁の高さ方向に共通の液体供給路が形成された構造であるため、液体供給路部分にある隔壁の剛性が弱く破損しやすいという欠点があった。
この発明の目的は、インクの着弾位置精度が良いとともに、電極の接続の信頼性が高く高品位な製品及び画像を形成できるインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
この発明のインクジェットヘッドは、上述の課題を解決するために以下のように構成される。
(1)溝状のインク室を挟む一対の隔壁の各内側面に外部駆動回路に電気的に接続された電極を有し、外部駆動回路からの前記電極に対する駆動パルスの印加によって前記隔壁を変形させて前記インク室内のインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、3枚以上の圧電体基板が貼り合わされてなり、前記圧電体基板のそれぞれの間に、所定方向に配列された複数のインク室からなるインク室列を有するヘッド本体と、前記各インク室に対応する位置にノズル孔を有し、インク吐出方向における前記ヘッド本体の下流側端面に接合されるノズルプレートと、を備え、前記インク吐出方向における前記ヘッド本体の下流側端面は、単一の切断面で形成され、前記ヘッド本体の上流側端面は、圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成されることを特徴とする。
この構成においては、ヘッド本体は、3枚以上の圧電体基板が貼り合わされてなり、2列以上のインク室列を有する。このようなヘッド本体は、3枚以上の圧電体基板が貼り合わされた後に、インク吐出方向におけるヘッド本体の下流側端面が一括して切断されることで形成される。したがって、ヘッド本体に設けられた複数のインク室列が厳密に平行に配置され、ヘッド本体におけるノズルプレートが接合される面であるノズルプレート接合面が単一の平面に形成される。
また、ヘッド本体の上流側端面は、圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成されるので、各圧電体基板の上流側端部において、各インク室に設けられた電極と外部駆動回路とが容易かつ確実に電気的に接続される。
ここで、この明細書において、インクとは、インクジェットヘッドを微細パターンの描画を行う製造装置に用いた場合にインクジェットヘッドから吐出する液滴材料を含む意味である。
(2)前記インク室列ごとに設けられ、前記ヘッド本体を前記インク室の配列方向に貫通し、前記インク室列に含まれる各インク室と連通する導入流路をさらに備える。
この構成においては、各インク室にインクを供給する導入流路が、インク室列ごとに分離して設けられる。そして、インクは、導入流路がヘッド本体をインク室の配列方向に貫通することで形成される開口から各導入流路へ供給され、それぞれの導入流路に連通するインク室から吐出される。
(3)前記インク室の配列方向における前記ヘッド本体の両方の端面にそれぞれ接合され、前記各導入流路と連通する複数の接続口を有するマニホールドをさらに備えることを特徴とする。
この構成においては、ヘッド本体の両側面に導入流路が開口し、ヘッド本体の両側面にマニホールドが接合される。マニホールドは各導入流路と連通する複数の接続口を有し、接続口からインクが供給される。したがって、ヘッド本体の両側面から導入流路にインクが供給される。
(4)前記ヘッド本体は、所定方向に配列された複数の第1の溝部を上面に有し、前記第1の溝部と直交する方向に貫通する第2の溝部を下面に有する単一又は複数の第1の圧電体基板と、第2の溝部を下面に有し、前記第1の圧電体基板の上側に配置される単一の第2の圧電体基板と、第1の溝部を上面に有し、前記第1の圧電体基板の下側に配置される単一の第3の圧電体基板と、が貼り合わされてなることを特徴とする。
この構成においては、第1の溝部の上方が上側に配置される圧電体基板で塞がれることで、インク室が形成され、第2の溝部の下方が下側に配置される圧電体基板で塞がれることで、導入流路が形成される。したがって、1枚の圧電体基板の中に管状のインク室を形成する場合より、上下方向の壁面が1枚で済む分だけ、ヘッド本体の寸法が減少される。また、第2の溝部は圧電体基板を貫通する単純な形状であるので、第1の溝部を形成するためのダイシング等の機械的加工手段によって形成することができる。
(5)前記インク室は、前記インク室が設けられた圧電体基板の下面に設けられた導入流路の裏面となる位置に、インク吐出方向における上流側に向けて上り傾斜する傾斜部を備え、前記導入流路の上面は、前記傾斜部と略平行に形成されることを特徴とする。
この構成においては、インク吐出方向における導入流路の上流側の断面積が大きくインクが流れる際の抵抗が小さいので、インクは上流側から導入され、徐々に下流側に供給されて、各インク室に供給される。したがって、インク室へ供給されるインクに対するエアーの噛み込みが減少する。
また、インク室が傾斜部を備え、導入流路の上面がインク室の傾斜部に略平行に形成されるので、導入流路の断面積として所定の面積を確保した場合でもヘッド本体の寸法が縮小される。
(6)溝状のインク室を挟む一対の隔壁の各内側面に外部駆動回路に電気的に接続された電極を有し、外部駆動回路からの前記電極に対する駆動パルスの印加によって前記隔壁を変形させて前記インク室内のインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、所定方向に配列された複数の第1の溝部を上面に有し、前記第1の溝部と直交する方向に貫通する第2の溝部を下面に有する単一又は複数の第1の圧電体基板と、第2の溝部を下面に有し、前記第1の圧電体基板の上側に配置される単一の第2の圧電体基板と、第1の溝部を上面に有し、前記第1の圧電体基板の下側に配置される単一の第3の圧電体基板と、を積層して互いに貼り合わせる工程と、前記貼り合わされた複数の圧電体基板のインク吐出方向における第2の溝部の上流側の部分を圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成する工程と、前記貼り合わされた複数の圧電体基板の第1の溝部を垂直方向に一括して切断する工程と、前記切断された端面に、前記第1の溝部に対応するノズル孔を有するノズルプレートを接合する工程と、を備えることを特徴とする。
この構成においては、3枚以上の圧電体基板が重ね合わされた後に、インク吐出方向におけるヘッド本体の下流側端面が単一の切断面で形成される。したがって、ヘッド本体に設けられた複数のインク室列が厳密に平行に配置され、ヘッド本体におけるノズルプレートが接合される面であるノズルプレート接合面が単一の平面に形成される。
また、ヘッド本体の上流側端面は、圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成されるので、各圧電体基板の上流側端部において、各インク室に設けられた電極と外部駆動回路とが容易かつ確実に電気的に接続される。
さらに、所定間隔をあけて導入流路を形成し、重ね合わせた圧電体基板を所定の位置で切断した場合、複数のヘッド本体が一括して製造される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ヘッド本体のノズルプレート接合面を単一の平面に形成することで、インクの着弾位置精度を高めることができる。また、各インク室に設けた電極と外部駆動回路とを容易かつ確実に電気的に接続できるので、電極の接続の信頼性を高めることができる。したがって、電極の断線によるインクの吐出不良を防ぎ、高品位な製品及び画像を形成することができる。さらに、電極の接続不良による歩留まりの低下に起因する製造コストの高騰を抑制することができる。
(2)導入流路をインク室列ごとに分離して設けることで、インク室列ごとに異なるインクを吐出することができる。
(3)ヘッド本体の両側面からインクを供給するので、各インク室へのインクの供給圧を略平等にすることができる。
(4)ヘッド本体を小型化することができる。また、同一寸法のヘッド本体において多数のインク室列を設けることができる。したがって、吐出するインクの種類を増やすことができる。
また、1枚の圧電体基板にインク室となる第1の溝部と導入流路となる第2の溝部とを形成するので、材料コストを抑制して製造コストを低下させることができる。
さらに、第1の溝部の加工手段と第2の溝部の加工手段とを共用できるので、これによっても製造コストを低下させることができる。
(5)インク室へ供給されるインクに対するエアーの噛み込みを減少させて、インクの吐出の安定性を高めることができる。また、導入流路の断面積を確保しながらヘッド本体の寸法を縮小することができる。さらに、同一寸法のヘッド本体においてインク室列の数を増加させることができる。
(6)ヘッド本体のノズルプレート接合面を単一の平面に形成することで、インクの着弾位置精度を高めることができる。また、各インク室に設けた電極と外部駆動回路とを容易かつ確実に電気的に接続できるので、電極の接続の信頼性を高めることができる。したがって、電極の断線によるインクの吐出不良を防ぎ、高品位な製品及び画像を形成することができる。さらに、電極の接続不良による歩留まりの低下に起因する製造コストの高騰を抑制することができる。
また、ヘッド本体を容易に大量生産することができる。したがって、製造コストを低下させることができる。
以下に、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを分解した状態を示す斜視図である。図2は、インクジェットヘッドの構成を示す側面断面図である。この実施形態に係るインクジェットヘッド100は、ヘッド本体1、ヘッド本体1の側面に接合された2個のマニホールド2A,2B、ヘッド本体1の前面に接合されたノズルプレート3、および、ヘッド本体1の背面14に接続された3枚のフレキシブル基板4A〜4Cを備えている。フレキシブル基板4A〜4Cは、図示しない外部駆動回路に電気的に接続されている。ここで、前面とは、インク吐出方向におけるヘッド本体1の下流側端面(ノズルプレート接合面11)を意味し、側面とは、後述するインク室12A〜12Cの配列方向(各インク室12A〜12Cと直交する方向)の端面を意味し、背面14とは、前面に対向する面を意味している。
ヘッド本体1は、分極した4枚の厚さ0.7mmの圧電体基板10A〜10Dが貼り合わされてなり、圧電体基板10A〜10Dのそれぞれの間に、3列のインク室列120A〜120Cを有する。インク室列120A〜120Cはそれぞれ、所定方向に配列された複数のインク室12A〜12Cからなる。各インク室12A〜12Cは、ノズルプレート3が接合されるヘッド本体1のノズルプレート接合面11に開口している。ノズルプレート接合面11は、数μm以上の凹凸がないように、単一の切断面で形成されている。この実施形態では、ノズルプレート接合面11は、2.8mm×30mmの大きさに形成され、ヘッド本体1の奥行き寸法は7mmに形成されている。なお、圧電体基板10B,10Cはこの発明の第1の圧電体基板に相当し、圧電体基板10Aはこの発明の第2の圧電体基板に相当し、圧電体基板10Dはこの発明の第3の圧電体基板に相当する。
また、4枚の圧電体基板10A〜10Dのそれぞれの間に、ヘッド本体1をインク室12A〜12Cの配列方向に貫通するように、導入流路13A〜13Cが設けられている。ヘッド本体1の内部の背面14近傍において、インク室列120Aの全てのインク室12Aはそれぞれ導入流路13Aと連通し、インク室列120Bの全てのインク室12Bはそれぞれ導入流路13Bと連通し、インク室列120Cの全てのインク室12Cはそれぞれ導入流路13Cと連通している。導入流路13A〜13C及び各導入流路13A〜13Cと連通するインク室12A〜12Cは、3系統に分離されている。
マニホールド2A,2Bはそれぞれ、外方に突出する3個のインレット22、及び、各インレット22と連通する3個の開口部21を有する。マニホールド2A,2Bは、ヘッド本体1の両側面に接着され、各開口部21が各導入流路13A〜13Cと連通する。インレット22は、樹脂製のチューブ等を容易に接続できる形状に形成されている。マニホールド2A,2Bは、ヘッド本体1の導入流路13A〜13Cと図示しないインクタンクとを接続しやすくするための中間配管部材の一部として機能する。
ノズルプレート3は、各インク室12A〜12Cに対応する位置に円形のノズル孔31を有する。ノズルプレート3は、ヘッド本体のノズルプレート接合面11に接着剤によって接着されている。
上述のように、この発明のインクジェットヘッド100は、ヘッド本体1、マニホールド2A,2B、ノズルプレート3およびフレキシブル基板4A〜4Cを備えているが、ヘッド本体1の構造及び製造方法に最大の特徴を有している。したがって、以下に、ヘッド本体1の詳細な構造等について説明する。
ヘッド本体1は、上述のように4枚の圧電体基板10A〜10Dが貼り合わされてなる。この実施形態では、厚さ0.7mmの圧電体基板10A〜10Dが用いられている。インクは、図2において左方向へ吐出される。インク吐出方向における圧電体基板10A〜10Dの寸法は、上側の圧電体基板10Aほど大きく、下側の圧電体基板10Dほど小さくされており、ヘッド本体1の背面14は圧電体基板10A〜10Dごとに段違いとなる階段状に形成されている。
上側から1枚目〜3枚目の圧電体基板10A〜10Cの下面にそれぞれ導入流路13A〜13Cとなる溝(この発明の第2の溝部に相当)が形成されている。また、上側から2枚目〜4枚目の圧電体基板10B〜10Dの上面にそれぞれインク室12A〜12Cとなる溝(この発明の第1の溝部に相当)が形成されている。上述の各溝は、圧電体基板10A〜10Dが積層され貼り合わされることで、導入流路13A〜13C及びインク室12A〜12Cを構成する。この実施形態では、インク室12A〜12Cの深さは0.2mmに形成され、導入流路13A〜13Cの深さは0.4mmに形成される。
インクタンクのインクは、マニホールド2A,2Bを介して各導入流路13A〜13Bに供給され、さらに各インク室12A〜12Cに供給されて、ノズル孔31から図2における左方向へ吐出される。
上側から1枚目〜3枚目の圧電体基板10A〜10Cの下面にはそれぞれ、インク吐出方向における導入流路13A〜13Cの下流側に、間隙部16が設けられている。間隙部16は、約10μm〜20μmの深さに形成され、互いに隣接するインク室12A〜12Cを連通させている。間隙部16が形成されていることによって、インクの吐出時の残留振動が減少し、約100kHzでの高速吐出が初めて可能となる。
各インク室12A〜12Cは、上述するように分極した圧電体基板10A〜10Dに溝を掘ることで形成され、インク室12A〜12Cを挟む一対の隔壁19(図4参照)の各内側面に、真空蒸着等によって電極15A〜15Cが形成されている。
インク室12A〜12Cとなる溝は、インク吐出方向における上流側ほど浅くなる傾斜部K1を有し、傾斜部K1よりさらに上流側の溝の深さは約5μm〜10μmとなっている。傾斜部K1は、曲面状に形成されている。
各インク室12A〜12Cの隔壁19に設けられた電極15A〜15Cは、引き出し電極17(図3参照)と電気的に接続されている。引き出し電極17は、隔壁19の内側面で電極15A〜15Cと接続され、インク室12A〜12Cの溝が浅くなるにしたがって溝の底面にも形成され、図3に示すようにインク室12A〜12Cの溝に沿ってヘッド本体1の背面14まで引き出されている。したがって、引き出し電極17は、階段状に形成されたヘッド本体1の背面14の各段部に露出している。なお、各引き出し電極17は、隔壁19の頂上部18に電極が形成されないことで、互いに電気的に独立している。
フレキシブル基板4A〜4Cはそれぞれ、ドライバIC41を備え、配線がある側の面を下向きにし、配線と引き出し電極17とを接合させるように位置決めされ、異方性導電膜を介してヘッド本体1の背面14の各段部に取り付けられる。この際、フレキシブル基板4A〜4Cは、フレキシブル基板4A〜4Cの裏面側からボンディングツールを押し当てられ加熱硬化処理されることで、ヘッド本体1に固定される。フレキシブル基板4A〜4Cは、ヘッド本体1の背面14の下側の段部から順に取り付けられる。したがって、全てのフレキシブル基板4A〜4Cの取り付けにおいて、ボンディングツールを使用可能である。
また、この実施形態では、インク室12A〜12Cの内面、導入流路13A〜13Cの内面及び電極15A〜15Cの全てを、パラキシレン膜で被覆し、インク室12A〜12C、導入流路13A〜13C及び電極15A〜15Cを保護している。
図4は、インクジェットヘッド100のノズルプレート3の一部を切り欠いた状態を示す正面図である。各インク室列120A〜120Cの複数のインク室12A〜12Cは狭ピッチで規則的に配列され、インク室列120A〜120Cは互いに平行に配列されている。ノズルプレート3は、ヘッド本体1の前面に接合され、ノズルプレート3のノズル孔31は、各インク室12A〜12Cの開口と同じ位置に形成されている。
圧電体基板10B〜10Dは、高さ方向における隔壁19の中央部で分極方向が逆転しており、隔壁19の内側面の全体に電極15A〜15Cが形成されている。インク室12A〜12Cに供給されたインクは、分極した圧電体からなる隔壁19のせん断方向の変形力によって吐出される。
インク室12CBからインクを吐出する場合を例にあげて具体的に説明する。電極15CA及び電極15CCと電極15CBとの間に10数ボルトの電位差の駆動パルスを印加することで、隔壁19BCは、くの字形(<)に変形し、隔壁19ABは、逆くの字形(>)に変形して、インク室12CB内の体積が増加する。インク室12CBの体積の増加した場合、インク室12CB内の圧力は他の部分に比べて減少するので、インク室12CBに対して導入流路13Cからインクを供給しようとする圧力波が伝播してくる。そして、インク室12CB内で反射した圧力波と次に伝播してきた圧力波とが重ね合わされるタイミングで、電極15CA及び15CCと電極15CBとの間に印加している10数ボルトの電位差の駆動パルスを逆転させる。これによって、隔壁19BCは、逆くの字形(>)に変形し、隔壁19ABは、くの字形(<)に変形して、インク室12CB内の体積が減少し、インクに圧力が印加され、ノズル孔31からインクの滴が吐出する。
つぎに、インクジェットヘッド100のヘッド本体1の製造方法について説明する。図5及び図6は、インクジェットヘッド100のヘッド本体1の製造過程の一部を示している。
圧電体基板10A〜10Dとして、分極した厚板状の圧電体基板上に、後に形成するインク室12A〜12Cとなる溝112A〜112Cの深さの半分の厚みの分極した薄板を、分極方向が異なるように貼り合わせたものを用いる。
まず、第1の工程として、各圧電体基板10A〜10Dに必要に応じて、インク室12A〜12Cとなる流路溝112A〜112C、および、導入流路13A〜13Cとなる突っ切り溝110A〜110Cなどを形成する。流路溝112A〜112Cは、この発明の第1の溝部に相当し、突っ切り溝110A〜110Cは、この発明の第2の溝部に相当する。溝112A〜112C及び溝110A〜110Cを形成する工程では、ダイヤモンドブレードを高速回転させながら研削加工するダイシング装置を用いる。
圧電体基板10Aには、厚さ1mmのダイヤモンドブレードを用いて、幅2mmの突っ切り溝110Aを、下面に形成する。そして、突っ切り溝110Aと0.5mmの間隔をあけて外側に、逃げ溝111Aを形成する。溝110A,111Aの幅は、ダイヤモンドブレードの走査回数及びオフセット量によって調整する。
圧電体基板10Bには、下面に、圧電体基板10Aの突っ切り溝110A及び逃げ溝111Aと同様の突っ切り溝110B及び逃げ溝111Bを形成する。ここで、突っ切り溝110Bは、圧電体基板10Aの突っ切り溝110Aと相対的に同じ位置に形成し、逃げ溝111Bは、突っ切り溝110Bと1mmの間隔をあけて外側に形成する。
また、圧電体基板10Bの上面に、厚さ約0.08mmのダイヤモンドブレードを用いて、突っ切り溝110Bと直交する方向に、幅0.08mmの規則的に配列された複数の流路溝112Aを形成する。図6に示すように、流路溝112Aには、深さ0.24mmのストレート部Sと、ストレート部Sの両側に配置された曲面状の傾斜部K1と、傾斜部K1の上り方向の端部に続けて形成される深さ0.01mmの浅溝部Tと、が規則的に連続して形成される。具体的には、左側から順に、浅溝部T、下り傾斜する傾斜部K1、ストレート部S、上り傾斜する傾斜部K1、および浅溝部T、が繰り返し形成される。圧電体基板10Bの上面には、流路溝112Aを0.16mmの間隔で複数形成し、インク室列120Aとなる溝列を形成する。ここで、流路溝112Aの裏面に導入流路13Bとなる突っ切り溝110Bが配置されるように、流路溝112A及び突っ切り溝110Bを形成する。なお、図5は、説明の便宜上、圧電体基板10A〜10Dの一部のみを示しており、実際には図5に示すような圧電体基板10A〜10Dが規則的に配列された大面積の圧電体基板が用いられる。
圧電体基板10Cには、圧電体基板10Bの場合と同様に、上面に、複数の流路溝112Bを形成し、下面に、突っ切り溝110C及び逃げ溝111Cを形成する。ここで、逃げ溝111Cは、突っ切り溝110Cと1.5mmの間隔をあけて外側に形成される。
圧電体基板10Dには、上面に、圧電体基板10B,10Cと同様に、流路溝112Cが形成される。なお、圧電体基板10Dの下面には、溝は形成されない。
つぎに、第2の工程として、流路溝112A〜112Cの側面及び底面に、電極15A〜15C及び引き出し電極17をそれぞれ形成する。この工程では、スパッタリング装置を用い、流路溝112A〜112Cの上方から銅をスパッタリングして、流路溝112A〜112Cの側面及び底面に、電極となる銅の被膜を形成する。また、隣接する流路溝112A〜112Cを隔てる隔壁19の上部に形成された銅の被膜を、隔壁19の上部を研削することで隔壁19の上部から除去し、隣接する流路溝112A〜112Cに形成された電極15A〜15C,17を電気的に分離させる。
つぎに、第3の工程として、上述のようにして形成した4枚の圧電体基板10A〜10Dを一括して接着する。4枚の圧電体基板10A〜10Dのそれぞれの下面に、厚さ2μm〜4μmの接着剤を金属ローラを用いて均一に塗布し、専用冶具で位置決めしながら4枚の圧電体基板10A〜10Dを貼り合わせ、面加圧しながら接着剤を硬化させる。
つぎに、第4の工程として、ヘッド本体1の階段状の背面14となる部分を形成する。図6(a)〜図6(d)は、この順に加工手順を示している。図6(a)に示すように、突っ切り溝110A〜110Cは、上下方向において同位置に形成されている。また、逃げ溝111A〜111Cについては、水平方向においてそれぞれの中心位置は同一である一方、幅寸法が異なり、下側の逃げ溝111Cの幅寸法ほど小さく形成されている。
まず、図6(a)に示すように、厚さ0.5mmのダイヤモンドブレード8を図6の紙面の奥行き方向に走査して、ダイヤモンドブレード8が逃げ溝111Aの両側面に沿うように圧電体基板10Aの2箇所を切断する。これによって、逃げ溝111Aは上方に開口する。
つぎに、図6(b)に示すように、厚さ0.5mmのダイヤモンドブレード8を図6の紙面の奥行き方向に走査して、ダイヤモンドブレード8が逃げ溝111Bの両側面に沿うように圧電体基板10Bの2箇所を切断する。これによって、逃げ溝111Bは上方に開口する。
同様に、図6(c)に示すように、厚さ0.5mmのダイヤモンドブレード8を図6の紙面の奥行き方向に走査して、ダイヤモンドブレード8が逃げ溝111Cの両側面に沿うように圧電体基板10Cの2箇所を切断する。これによって、逃げ溝111Cは上方に開口する。
つぎに、厚さ0.5mmのダイヤモンドブレード8を図6の紙面の奥行き方向に走査して、水平方向における逃げ溝111Cの中央部を切断する。
この工程によって、貼り合わされた4枚の圧電体基板10A〜10Dは複数個に分断され、ヘッド本体1の背面14となる部分が階段状に形成される。
最後に、第5の工程として、ヘッド本体のノズルプレート接合面11となる部分を形成する。導入流路13Aとなる2個の突っ切り溝110Aの中央部であって、インク室12Aのストレート部Sがある部分を、厚さ0.5mmのダイヤモンドブレードによって、圧電体基板10Dの下側に配置した図示しないダイシングテープを切断するように、4枚の圧電体基板10A〜10Dを垂直方向に一括して切断する。ここで切断した切断面は、ヘッド本体1のノズルプレート接合面11になる。ノズルプレート接合面11は、上述のように一括して切断されるので、単一の平面に形成される。上述のようにして、貼り合わされた4枚の圧電体基板10A〜10Dから、複数個のヘッド本体1が形成される。
つぎに、上述のようにして形成されたヘッド本体1を用いて、インクジェットヘッド100を製造する工程を説明する。まず、ヘッド本体1の背面14の各段部に、フレキシブル基板4A〜4Cをそれぞれ接続する。つぎに、図2に示すように、ヘッド本体1とフレキシブル基板4A〜4Cのそれぞれの接続部に接着剤43を流して、接続部を補強する。つぎに、公知のパラキシレン成膜装置を用いて昇華方式で、厚さ数μmのパラキシレン膜で接続部を被覆し、接続部を保護する。最後に、ヘッド本体1の両側面にそれぞれマニホールド2A,2Bを接合し、ヘッド本体1のノズルプレート接合面11にノズルプレート3を接合することで、インクジェットヘッド100の製造が完成する。
この実施形態では、上述のように、厚さ0.7mmの圧電体基板10A〜10Dを用い、インク室12A〜12Cの深さを0.2mm、導入流路13A〜13Cの深さを0.4mmに形成し、ヘッド本体1のノズルプレート接合面11を2.8mm×30mm、ヘッド本体1の奥行き寸法を7mmに形成した。また、この実施形態で用いた公知のダイシング装置では5mmの厚さの基板まで容易に切断することができる。したがって、厚さ0.7mmの圧電体基板10A〜10Dを用いた場合、7列のインク室列を有するインクジェットヘッドを容易に製造することができ、7種類のインク(液滴材料)を吐出させることができる。
インクジェットヘッド100によれば、ヘッド本体1のノズルプレート接合面11を単一の平面に形成したことで、インクの着弾位置精度を向上させることができる。また、各インク室12A〜12Cに設けた電極15A〜15Cと外部駆動回路とを容易かつ確実に電気的に接続できるので、電極15A〜15Cの接続の信頼性を高めることができる。したがって、電極15A〜15Cの断線によるインクの吐出不良を防ぎ、高品位な製品及び画像を形成することができる。さらに、電極15A〜15Cの接続不良による歩留まりの低下に起因する製造コストの高騰を抑制することができる。
また、ヘッド本体1を容易に大量生産することができる。したがって、製造コストを低下させることができる。
さらに、導入流路13A〜13Cをインク室列120A〜120Cごとに分離して設けたことで、インク室列120A〜120Cごとに異なるインクを吐出することが可能となる。
また、ヘッド本体1の両側面からインクを供給するので、各インク室12A〜12Cへのインクの供給圧を略平等にすることができ、インク室列120A〜120C間の圧力状態が安定して、インク室列120A〜120C間の吐出特性のばらつきを低減させることができる。なお、各インク室列120A〜120Cに同一のインクを導入した場合も同様の効果が得られる。
さらに、流路溝112A〜112Cの上方が上側に配置される圧電体基板10A〜10Cで塞がれることで、インク室12A〜12Cが形成され、突っ切り溝110A〜110Cの下方が下側に配置される圧電体基板10B〜10Dで塞がれることで、導入流路13A〜13Cが形成される。したがって、1枚の圧電体基板の中に管状のインク室を形成する場合より、上下方向の壁面が1枚で済む分だけ、ヘッド本体1の寸法が減少される。したがって、ヘッド本体1を小型化することができる。また、同一寸法のヘッド本体1において多数のインク室列を設けることができる。したがって、1個のインクジェットヘッドから吐出可能なインクの種類を増やすことができる。
また、1枚の圧電体基板10B,10Cにインク室12A,12Bとなる流路溝112A,112Bと導入流路13B,13Cとなる突っ切り溝110B,110Cとを形成するので、材料コストを抑制して製造コストを低下させることができる。
さらに、突っ切り溝110A〜110Cは圧電体基板10A〜10Cを貫通する単純な形状であるので、突っ切り溝110A〜110Cと流路溝112A〜112Cとを同じダイシング装置によって形成することができ、これによっても製造コストを低下させることができる。
図7は、他の実施形態に係るインクジェットヘッド100Aの構成を示す側面断面図である。インクジェットヘッド100Aは、上述の実施形態に係るインクジェットヘッド100と、導入流路131A〜131Cの断面形状を除いて同様に形成されている。したがって、説明の便宜上、インクジェットヘッド100と同様の構成については同じ符号を使用する。
インクジェットヘッド100Aのインク室12A〜12Cは、インクの吐出方向の上流側に向けて上り傾斜する曲面状の傾斜部K1を有している。導入流路131B,131Cは、圧電体基板10B,10Cの下面のうちインク室12A,12Bの傾斜部K1の裏面となる位置に形成されている。導入流路131Aは、水平方向において導入流路131B,131Cと同位置に形成されている。そして、導入流路131A〜131Cの上面K2は、インク室12A〜12Cの傾斜部K1と略平行に形成されている。このため、導入流路131A〜131Cの断面形状は、側面同士が平行な横向きの台形となっている。
ここで、導入流路131A〜131Cの断面形状における角部分は、R形状にされ又はC面取りされていることが好ましい。このようにすれば、インクに対するエアーの噛み込みが低減される。
導入流路131A〜131Cの上面K2を、上述のように、傾斜部K1と略平行となる方向に傾斜させて形成する製造方法の一例について説明する。上述のインクジェットヘッド100の製造方法の第1の工程における突っ切り溝110A〜110Cの形成において、先端面が傾斜したダイヤモンドブレードを用いる。そして、導入流路131A〜131Cの上面K2となる突っ切り溝の底面を、ダイヤモンドブレードの先端面の形状を転写したような形状に形成する。すなわち、形成しようとする導入流路131A〜131Cの上面K2と同じ角度で傾斜した先端面を有するダイヤモンドブレードを用いて加工する。
インクジェットヘッド100Aによれば、インク吐出方向における導入流路131A〜131Cの上流側(ヘッド本体1Aの背面14側)の断面積が大きくインクが流れる際の抵抗が小さいので、インクは上流側から導入され、徐々に下流側に供給されて、各インク室12A〜12Cに供給される。したがって、インク室12A〜12Cへ供給されるインクに対するエアーの噛み込みを減少させ、インクの吐出の安定性を高めることができる。
また、インク室12A〜12Cが傾斜部K1を備え、導入流路131A〜131Cの上面K2がインク室12A〜12Cの傾斜部K1に略平行に形成されているので、同一寸法のヘッド本体において、導入流路131A〜131Cの断面積を増加させることができる。したがって、各インク室12A〜12Cへいっそう円滑にインクを供給することができる。
さらに、導入流路131A〜131Cの断面積として所定の面積(例えば、導入流路13A〜13Cと同面積)を確保しながらヘッド本体1Aの上下方向の寸法を縮小することができる。したがって、圧電体基板10A〜10Dの厚さを小さくすることができ、材料コストを低減させることができる。また、同一寸法のヘッド本体においてインク室列の数を増加させることができ、多数のインク室列を備え高密度化されたインクジェットヘッドを形成することができる。
ここで、例えば、インク室12A〜12Cの傾斜部K1の曲率半径を約26mmにした場合、ヘッド本体1Aの断面積はヘッド本体1の断面積と比較して、約10%〜20%減少する。したがって、インクジェットヘッド100の場合と同様に、厚さ0.7mmの圧電体基板10A〜10Dと、厚さ6mm程度の基板まで容易に切断できる公知のダイシング装置と、を用いた場合、インクジェットヘッド100の場合はインク室列を7列まで形成できたが、この実施形態では、厚さ0.6mmのインク室列を8列有するインクジェットヘッドを容易に製造することができ、8種類のインク(液滴材料)を吐出させることができる。
なお、上述の実施形態では、圧電体基板10A〜10Dをダイヤモンドブレードで切断し、ダイヤモンドブレードの側面を利用してノズルプレート接合面11を研削することでノズルプレート接合面11を単一の平面に形成しているが、後工程で研磨処理することでノズルプレート接合面11を単一の平面に形成することもできる。
また、上述のように、この明細書において、インクとは、インクジェットヘッド100,100Aを微細パターンの描画を行う製造装置に適用した場合にインクジェットヘッドから吐出する液滴材料を含む意味である。
また、上述の実施形態ではインク室列120A〜120C毎に異なるインクを導入しているが、複数のインク室列120A〜120Cのうちのいくつかに同一のインクを導入しても良い。
この発明に係るインクジェットヘッド100,100Aは、例えば、用紙等の記録媒体に対してインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリンタの一部品として利用される他に、材料となる基板に対して液滴材料を吐出して微細パターンの描画を行う製造装置の一部品として利用される。
この発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを分解した状態を示す斜視図である。 前記インクジェットヘッドの構成を示す側面断面図である。 前記インクジェットヘッドの背面の一部の構成を示す斜視図である。 前記インクジェットヘッドのノズルプレートの一部を切り欠いた状態を示す正面図である。 前記インクジェットヘッドの製造過程の一部を示す斜視図である。 前記インクジェットヘッドの製造過程の一部を示す断面図である。 他の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を示す側面断面図である。
符号の説明
1,1A ヘッド本体
2A,2B マニホールド
3 ノズルプレート
4A〜4C フレキシブル基板
10A〜10D 圧電体基板
11 ノズルプレート接合面(インク吐出方向におけるヘッド本体の下流側端面)
12A〜12C インク室
13A〜13C,131A〜131C 導入流路
15A〜15C 電極
17 引き出し電極
19 隔壁
31 ノズル孔
100,100A インクジェットヘッド
110A〜110C 突っ切り溝(第2の溝部)
111A〜111C 逃げ溝
112A〜112C 流路溝(第1の溝部)
120A〜120C インク室列
K1 傾斜部
K2 導入流路の上面

Claims (6)

  1. 溝状のインク室を挟む一対の隔壁の各内側面に外部駆動回路に電気的に接続された電極を有し、外部駆動回路からの前記電極に対する駆動パルスの印加によって前記隔壁を変形させて前記インク室内のインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、
    3枚以上の圧電体基板が貼り合わされてなり、前記圧電体基板のそれぞれの間に、所定方向に配列された複数のインク室からなるインク室列を有するヘッド本体と、
    前記各インク室に対応する位置にノズル孔を有し、インク吐出方向における前記ヘッド本体の下流側端面に接合されるノズルプレートと、を備え、
    前記インク吐出方向における前記ヘッド本体の下流側端面は、単一の切断面で形成され、前記ヘッド本体の上流側端面は、圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成されることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記インク室列ごとに設けられ、前記ヘッド本体を前記インク室の配列方向に貫通し、前記インク室列に含まれる各インク室と連通する導入流路をさらに備える請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記インク室の配列方向における前記ヘッド本体の両方の端面にそれぞれ接合され、前記各導入流路と連通する複数の接続口を有するマニホールドをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記ヘッド本体は、
    所定方向に配列された複数の第1の溝部を上面に有し、前記第1の溝部と直交する方向に貫通する第2の溝部を下面に有する単一又は複数の第1の圧電体基板と、
    第2の溝部を下面に有し、前記第1の圧電体基板の上側に配置される単一の第2の圧電体基板と、
    第1の溝部を上面に有し、前記第1の圧電体基板の下側に配置される単一の第3の圧電体基板と、が貼り合わされてなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記インク室は、前記インク室が設けられた圧電体基板の下面に設けられた導入流路の裏面となる位置に、インク吐出方向における上流側に向けて上り傾斜する傾斜部を備え、
    前記導入流路の上面は、前記傾斜部と略平行に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  6. 溝状のインク室を挟む一対の隔壁の各内側面に外部駆動回路に電気的に接続された電極を有し、外部駆動回路からの前記電極に対する駆動パルスの印加によって前記隔壁を変形させて前記インク室内のインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、
    所定方向に配列された複数の第1の溝部を上面に有し、前記第1の溝部と直交する方向に貫通する第2の溝部を下面に有する単一又は複数の第1の圧電体基板と、第2の溝部を下面に有し、前記第1の圧電体基板の上側に配置される単一の第2の圧電体基板と、第1の溝部を上面に有し、前記第1の圧電体基板の下側に配置される単一の第3の圧電体基板と、を積層して互いに貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わされた複数の圧電体基板のインク吐出方向における第2の溝部の上流側の部分を圧電体基板ごとに段違いとなる階段状に形成する工程と、
    前記貼り合わされた複数の圧電体基板の第1の溝部を垂直方向に一括して切断する工程と、
    前記切断された端面に、前記第1の溝部に対応するノズル孔を有するノズルプレートを接合する工程と、を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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