JP2006128232A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンデンサ素子の陰極形成部と陽極引出部とに分離、区画するための絶縁帯層が、陰極形成用の各種溶液に曝しても確実に固着され、また、絶縁帯層の被覆が容易にでき、漏れ電流が小さく小型で大容量の固体電解コンデンサを安価で歩留まり良く提供。
【解決手段】 弁金属からなる粗面化された陽極体1の表面に誘電体酸化皮膜2を形成し、該陽極体上に絶縁帯層3を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とに区画し、陰極形成部に、順次、固体電解質4、陰極導電層5を形成させたコンデンサ素子が具備されてなる固体電解コンデンサであって、前記絶縁帯層3は、ポリイミドフィルム、PTFEフィルム、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム等の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材を形成させた熱硬化性テープを接着することにより形成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサに関するものである。
近年、電子機器の高性能化にともない、高周波領域においてもインピーダンスが低いコンデンサが要望され、このような用途向けに、現在、高周波特性に優れた導電性高分子を固体電解質に使用した固体電解コンデンサが提案され、商品化されている。
固体電解質である導電性高分子の形成方法としては、誘電体酸化皮膜を形成した弁作用金属表面に、導電性プレコート層として化学重合によりポリピロールを形成し、これを陽極として電解重合によりポリピロールを形成する方法(例えば、特許文献1参照)や、粗面化された金属箔からなる陽極体に誘電体酸化皮膜を形成した後、硝酸マンガン水溶液に含浸させて熱分解処理を施して誘電体酸化皮膜の表面全体に二酸化マンガン層からなる導電性プレコート層を形成し、電解重合液中で二酸化マンガン層に電流を流して、該二酸化マンガン層上に導電性高分子を形成する方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
上記固体電解質の形成方法においては、粗面化し誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属からなる陽極体表面に絶縁帯層を設け、該絶縁帯層によりコンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とに分離し、その後、陰極形成部に水系、有機系溶液などを用いた各種の処理をおこなうことにより、陰極層として、固体電解質である導電性高分子層、カーボン層、銀層を順次形成させている。この陰極層形成時には、陰極層と陽極部との電気的接触を防止するため、両者を絶縁帯層により確実に区画する必要がある。
コンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とを絶縁帯層により分離、区画する方法としては、陽極体表面にマスキングテープを接着する方法や、絶縁性樹脂を塗布する方法が提案されている。
特許文献3には、粗面化された陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この誘電体酸化皮膜上にポリイミド樹脂よりなる耐熱性基材とシリコーン系粘着材よりなる耐熱性粘着材を用いて構成された耐熱性テープを接着することにより絶縁帯層を形成させ、コンデンサ素子の陰極形成部と陽極引出部に分離した固体電解コンデンサが開示されている。
上記耐熱性テープを用いた固体電解コンデンサは、陰極形成時に用いられる水系、有機系溶液や洗浄液が、陽極体の細孔内部に浸透し、粘着材の粘着性を低下させ、耐熱テープが弁金属陽極体表面から剥離してしまうという不都合があった。また、粘着材の粘着性が低下することにより、細孔内部に空洞を生じ、陰極形成用の溶液が細孔内を透過し、陽極引出部に接触してしまい、コンデンサの漏れ電流が増大、あるいは、ショート不良を引き起こすという問題点があった。また、該テープを絶縁帯層に用いた固体電解コンデンサにおいては、該陽極体との確実な粘着力を持たせるために、特許文献3第1図に示されているように、テープ幅を大きく設計する必要があり、コンデンサ素子の小型化が困難であった。
また、特許文献3に記載のテープは、導電性プレコート層である二酸化マンガン層の形成時に、約300℃と高温での熱処理が必要であるため、使用可能なテープ基材及び粘着材が限られ、高価なポリイミドテープ及びシリコーン系粘着材が用いられていた。
特許文献4には、陽極引出部と陰極形成部とを確実に絶縁するため、金属の芯金まで十分に浸透する樹脂マスキング材の使用が提案されているが、テープを用いた場合と比較して、以下の点で取り扱い難く、生産性に劣る。すなわち、粗面化された金属箔上にペースト状のマスキング材を塗布するため滲み易く、陰極形成部の規制面積が安定せず容量精度が悪い、絶縁性の高い厚膜を形成するには複数回塗布する必要がある、また連続的に塗布すると塗布ロールなどが徐々に汚染され露出している陰極形成部などを汚染してしまう等の不都合が発生するため、特殊な塗布装置を使用する必要があり、装置コストが高くなるという欠点があげられる。
特開平5−47604号公報 特開2000−235937号公報 特許登録第2969703号公報 国際公開番号WO00/67267
本発明の目的は、上記課題に鑑み、コンデンサ素子の陰極形成部と陽極引出部とに分離、区画するための絶縁帯層が安価な材料あるいは容易な方法で被覆された絶縁帯層を具備し、かつ該絶縁帯層が陰極形成用の各種溶液に曝されても確実に固着され、漏れ電流が小さく小型で安価な固体電解コンデンサを提供することである。
本発明者らは、弁金属からなる粗面化された陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この誘電体酸化皮膜上に熱硬化性物質からなる絶縁帯層を形成することにより、コンデンサ素子の陰極形成部と陽極引出部とが確実に分離、区画され、上記課題を解決しうることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下、(1)から(8)の少なくとも1項から構成される固体電解コンデンサである。
(1)弁金属からなる粗面化された陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成し、該陽極体上に絶縁帯層を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とに区画し、陰極形成部に、順次、固体電解質、陰極導電層を形成させたコンデンサ素子が具備されてなる固体電解コンデンサにおいて、前記絶縁帯層が熱硬化性物質からなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
(2)絶縁帯層が、耐熱性を有する基材表面に、熱硬化性を有する粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする(1)に記載の固体電解コンデンサ。
(3)絶縁帯層が、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記する。)フィルム及びガラスクロスから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
(4)絶縁帯層が、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
(5)絶縁帯層が、プリプレグからなることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
(6)前記(1)から(5)のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサにおいて、絶縁帯層の少なくとも一部を片面もしくは両面切削し、陽極体を露出させて陽極引出部が形成され、かつ、陽極引出部の一部を残して裁断されてなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
(7)固体電解質が、導電性高分子からなることを特徴とする(1)から(6)のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
(8)固体電解質が、化学重合により形成させたポリピロールの導電性プレコート層と、該導電性プレコート層上に電解重合により形成させたポリピロール層とからなることを特徴とする(1)から(7)のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
本発明の固体電解コンデンサは、弁金属からなる粗面化された陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成し、該陽極体上に絶縁帯層を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とに区画し、前記陰極形成部に、順次、固体電解質、陰極導電層を形成させたコンデンサ素子が具備されてなり、該絶縁帯層は、陽極体表面の細孔内部まで熱硬化性物質を十分浸透させ、熱硬化させて形成されているので、陰極形成用の溶液に曝されても確実に固着された絶縁帯層が形成される。そして、該絶縁帯層により、コンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とが確実に分離、区画されているので、陰極形成用の溶液が陽極へ透過することがなく、漏れ電流の小さい固体電解コンデンサを得ることができる。
また、本発明によれば、絶縁帯層を必要最低限の幅に残存するよう陽極引出部および絶縁帯層を適宜切削し、加えて、陽極引出部の一部を残して裁断することにより、小型のコンデンサ素子が得られ、該コンデンサ素子を具備することにより固体電解コンデンサの小型化が可能である。
また、本発明の固体電解コンデンサは、固体電解質として二酸化マンガン等の酸化物半導体や導電性高分子等を用いることができるが、導電性高分子を用いることにより、陰極形成時の熱処理温度を低くでき、絶縁帯層として安価な熱硬化性物質が使用可能であり、また、特殊な塗布装置も必要としないことから、安価に固体電解コンデンサを得ることができる。
本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の固体電解コンデンサに具備されるコンデンサ素子の断面模式図を示し、図2は、本発明の固体電解コンデンサの断面模式図を示す。
本発明は、弁金属からなる粗面化された陽極体1表面に誘電体酸化皮膜2を形成し、該誘電体酸化皮膜上に絶縁帯層3を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部1aと陰極形成部1bとに区画し、陰極形成部に、順次、固体電解質4、陰極導電層5を形成させたコンデンサ素子が具備されてなる固体電解コンデンサにおいて、前記絶縁帯層3が熱硬化性物質からなることを特徴とする固体電解コンデンサである。
陽極基体としては、弁作用を有するアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンあるいはこれらの合金からなる金属箔、焼結体等があげられ、従来公知の方法により表面を粗面化し、化成処理して誘電体酸化皮膜が形成される。
上記陽極体に絶縁帯層3を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部1aと陰極形成部1bとに区画する。この絶縁帯層は、耐熱性を有する基材表面に、熱硬化性を有する粘着層を形成させた熱硬化性テープが用いられる。
上記熱硬化性テープとしては、ポリイミドフィルム、PTFEフィルム及びガラスクロスから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させたものや、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させたものが用いられる。
上記熱硬化性テープは、後工程の固体電解質及び陰極導電層の形成条件、例えば、熱処理温度や溶媒の種類等によって、適宜選ばれる。
すなわち、固体電解質及び陰極導電層がおおむね180℃以上の高温度領域で処理される場合には、耐熱性の高い絶縁帯層を形成する必要があり、ポリイミドフィルム、PTFEフィルム及びガラスクロスから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープが用いられ、おおむね180℃未満の低温度領域で処理される場合は、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープを使用することが望ましい。
上記シリコーン系熱硬化性粘着材のシリコーン成分としては、シロキサン結合を主鎖にもつ重合体を含むものであれば、特に制限せずに使用することができる。また、ゴム系熱硬化性粘着材のゴム成分としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴム、メチルゴム、クロロプレンゴム等があげられる。
また、上記熱硬化性テープに代えて、プリプレグを用いることができ、具体的には、基材にユーピレックス50RN、樹脂にエポキシ樹脂を使用した片面タイプのプリプレグ(株式会社有沢製作所製)等があげられる。
上記熱硬化性物質を用いて、陽極体表面に絶縁帯層を形成させ、陰極形成部と陽極引出部とに分離、区画し、該陰極形成部には、順次、固体電解質4、陰極導電層5を形成させる。
固体電解質としては、例えば、二酸化マンガン等の半導体酸化物や、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンまたはポリ(エチレンジオキシチオフェン)などのチオフェン誘導体ポリマー等の導電性高分子があげられ、これらの固体電解質は、従来公知の方法により形成することができる。
固体電解質層に二酸化マンガン層を用いる場合は、例えば、硝酸マンガン水溶液を陰極形成部に含浸させた後、300℃で熱分解することにより形成される。この場合、熱処理温度が高いため、比較的高価な耐熱性テープ、すなわち、ポリイミドフィルム、PTFEフィルム及びガラスクロスから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープを用いることが望ましいが、製造コストは高くなり不利である。
本発明に用いることのできる固体電解質のなかでも、導電性高分子を用いる場合、高温での処理を必要とせず、安価な熱硬化性テープ、すなわち、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれるいずれか1種の基材表面に、ゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープを適用することができ、安価な固体電解コンデンサとすることができる。
導電性高分子を形成するには、ペルオキソ二硫酸アンモニウムなどを溶解させた酸化剤溶液、ピロールなどのモノマーを希釈したモノマー溶液等の陰極形成用溶液が用いられるが、本発明により形成させた絶縁帯層は、粘着材を熱硬化することにより粘着層中のシリコーンあるいはゴムと、含有樹脂とが架橋結合し、より大きな粘着力・結合力を発揮するとともに、耐溶剤性、耐熱性を高め、そして更には粘着材システムに良好な粘着性を与えるための粘着付与剤が与えられているため、陰極形成用溶液に曝されても確実に固着されており、陰極形成部と陽極引出部とを確実に分離、区画することができ、陰極形成用の溶液が陽極引出部に透過することなく、漏れ電流の小さな固体電解コンデンサが得られる。また、誘電体酸化皮膜を形成、修復するためのアジピン酸アンモニウム水溶液やリン酸アンモニウム水溶液や陰極導電層を形成するためのカーボンペースト、銀ペーストに曝されても絶縁帯層は確実に固着されており、漏れ電流の特性の良好な固体電解コンデンサを歩留まりよく製造することができる。
本発明を実施する上では、固体電解質の形成が低温度領域で処理できる点、コンデンサの電気特性が優れる点等から、化学重合により形成させたポリピロールの導電性プレコート層と、該プレコート層上に電解重合により形成させたポリピロール層とからなる固体電解質が好適である。
上記固体電解質上には、従来公知の方法により、カーボンペースト及び銀ペーストを塗布した後、加熱、乾燥させて陰極導電層を形成し、図1に示すコンデンサ素子を得る。
本発明の固体電解コンデンサにおいては、図1中、絶縁帯層3を必要最低限の幅に残存するよう、陽極引出部の点線A部に沿って、絶縁帯層3の一部及び陽極体の誘電体酸化皮膜2を切削して陽極基体を露出させ、ついで、B−B’に沿って裁断し、陽極引出部を所望の長さに調整することにより、小型のコンデンサ素子が得られ、固体電解コンデンサを小型化することが可能となる。
得られたコンデンサ素子を、図2に示すようにリードフレームに載置し、陽極引出部1aを陽極リードフレーム6に溶接または導電性接着剤等で接合させ、また、陰極導電層5を導電性接着剤7を介して陰極リードフレーム7に接合させ、エポキシ樹脂等による外装樹脂9を施して、本発明の固体電解コンデンサを完成する。
以下、本発明を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
図1において、弁金属からなる粗面化された箔状の陽極体1として電気化学的にエッチングされたアルミニウム箔(厚さ200μm)を使用し、この陽極体1の表面に、アジピン酸アンモニウム中、化成電圧11Vで20分間化成処理して、誘電体酸化皮膜2を形成させた。
上記陽極箔を、幅2.5mm、長さ8mmに裁断してアルミニウム箔素子を作製し、前記素子を陽極引出部1aと陰極形成部1bとに分離、区画するため、PTFEフィルム基材にシリコーン系熱硬化性粘着材を被覆した幅0.8mmの熱硬化性テープを接着し、260℃のオーブンで24時間熱処理することにより、前記粘着材を熱硬化させて絶縁帯層3を形成させた。上記陰極形成部は4mm×2.5mmである。なお、上記熱硬化性テープ(幅0.8mm)は、通常市販されていないため、特注品を使用した。
ついで、上記素子を、絶縁帯層部までリン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、化成電圧11Vで20分間化成処理をおこない、素子断面に誘電体酸化皮膜を形成した。この際、粘着材により、陰極形成部と陽極引出部とが確実に分離、区画されているため、化成時における化成液の滲み上がりによる漏れ電流の増大及び両極の短絡は発生しなかった。
その後陰極形成部1bを絶縁帯層部まで過硫酸アンモニウム溶液/p−トルエンスルホン酸/水を質量比1:1:10で混合した酸化剤溶液に浸漬し、引き上げ後、すぐにピロール蒸気に曝した。この操作を3回繰り返し導電性プレコート層である化学重合ポリピロール層を形成させた。
化学重合ポリピロール層形成時においては、誘電体酸化皮膜が酸性雰囲気下に曝され誘電体酸化皮膜に欠損を生じやすいため、誘電体酸化皮膜の欠損部修復を目的に化学重合ポリピロール層形成後アジピン酸アンモニウム中、11Vで15分間再化成処理をおこなった。
ついで、陰極形成部をピロール/p−トルエンスルホン酸/水を質量比1:1:50で混合した電解重合溶液に浸漬し、化学重合ポリピロール層に外部補助電極を接触させて陽極とし、同溶液中に設けた陰極との間で定電流電解重合をおこない、電解重合ポリピロール層を形成した。このようにして、化学重合ポリピロール層及び電解重合ポリピロール層からなる固体電解質層4を形成させた。
その後、上記素子をカーボンペーストに浸漬し、引き上げ後、120℃で30分間熱処理させ、ついで、銀ペーストに浸漬、引き上げ後、150℃で30分間熱処理させて、カーボン層及び銀層からなる陰極導電層5を形成し、コンデンサ素子を得た。
上記素子を、図2に示すようにリードフレームに載置し、コンデンサ素子の陽極引出部1aをリードフレームの陽極端子6に超音波溶接し、陰極導電層5を導電性ペースト7を用いてリードフレームの陰極端子8に接着し、エポキシ樹脂でモールドすることにより外装樹脂9を施して、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを完成させた。得られたコンデンサ10個について、周波数120Hzの静電容量(C)、定格電圧6.3V印加させ1分後の漏れ電流(LC)を測定し、その結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様の陽極箔を、幅2.5mm、長さ15mmに裁断したアルミニウム箔素子を用い、また、絶縁帯層には、PTFEフィルム基材にシリコーン系熱硬化性粘着材を被覆した熱硬化性テープ(幅6mm)を用いて、陰極形成部と陽極引出部とに分離、区画した。
ついで、実施例1と同様の方法により、固体電解質及び陰極導電層を形成させた。
その後、上記コンデンサ素子の陽極引出部に形成させた絶縁帯層及び誘電体酸化皮膜をダイシングソーを用いて図1中、点線A部を両面切削し、絶縁帯層のテープ幅が0.4mm残存するように加工した。また、図中、陽極引出部B−B’に沿って裁断して、全長5.4mm長のコンデンサ素子を得た。
得られた素子を用いた以外は、実施例1と同様の処理を施して、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを完成させた。得られたコンデンサ10個の静電容量及び漏れ電流の測定結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同様のアルミニウム箔素子(2.5mm×8mm×厚さ200μm)上、エポキシフィルム基材にゴム系熱硬化性粘着材を被覆させた幅0.8mmの熱硬化性テープを接着し、150℃のオーブンで1時間熱処理して、粘着材を熱硬化して、絶縁帯層を形成させた。
その後、実施例1と同様の処理を施して、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを得た。得られたコンデンサ10個の静電容量及び漏れ電流の測定結果を表1に示す。
実施例4
実施例1と同様にのアルミニウム箔(2.5mm×8mm×厚さ200μm)上、ユーピレックス50RN基材にエポキシ樹脂からなる樹脂剤を被覆した片面タイプのプリプレグ(幅0.8mm)を接着して、絶縁帯層を形成させた。なお、接着工程において、まず40℃、5kg/cmで30分間圧着した後、150℃のオーブンで3時間熱処理し、エポキシ樹脂を本硬化させた。
その後、実施例1と同様の処理を施して、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを完成させた。得られたコンデンサ10個の静電容量及び漏れ電流の測定結果を表2に示す。
実施例5
実施例1と同様に、表面に電気化学的エッチング及び誘電体酸化皮膜を形成させたアルミニウム箔(厚さ200μm)上、陽極引出部1aと陰極形成部1bとを分離、区画するため、ポリエステルフィルム基材にゴム系熱硬化性粘着材を被覆させた熱硬化性テープ(幅0.8mm)を接着し、150℃のオーブンで1時間熱処理して、粘着材を熱硬化させた。
その後、実施例1と同様の処理を施して、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを得た。得られたコンデンサ10個の静電容量及び漏れ電流の測定結果を表2に示す。
比較例
実施例3において、熱硬化性テープの代わりに幅0.8mmのポリイミドフィルム基材にシリコーン系粘着材を被覆させた耐熱性を有するテープを使用した以外は、実施例3と同様にして、定格電圧6.3WVの固体電解コンデンサを得た。得られたコンデンサ10個の静電容量及び漏れ電流の測定結果を表2に示す。
Figure 2006128232
Figure 2006128232
表1及び表2の結果から、実施例においては各熱硬化性テープが陰極形成用の各種溶液に曝されても確実に固着され、陰極形成部と陽極引出部とに確実に分離、区画されているため、歩留まり良く漏れ電流の小さな固体電解コンデンサが得られた。一方、比較例においては耐熱性テープが陰極形成溶液に曝されることにより剥離もしくは粘着性の低下を引き起こし、陰極形成用の溶液が細孔内を透過して陽極引出し部に接触してしまうため、漏れ電流の増大やショート不良が多い固体電解コンデンサとなった。
また、実施例2においては、点線A部で切削及び陽極引出部B−B’に沿って裁断したが、他の実施例と同様漏れ電流の小さい固体電解コンデンサが得られた。本実施例においては、熱硬化性粘着層が、粗面化されたアルミニウム箔の細孔内部まで浸透し、陽極引出部と絶縁帯層が一体化して形成されたため、陽極引出部の切削及び裁断によっても絶縁帯層が剥離することなく漏れ電流不良を引き起こさない結果であった。従って、本発明によれば、容易な方法で絶縁帯層及び陽極引出部の幅を狭くすることができるため、小型の固体電解コンデンサが提供できる。
本発明の固体電解コンデンサに具備されるコンデンサ素子の断面模式図を示す。 本発明の固体電解コンデンサの断面模式図を示す。
符号の説明
1 陽極体
1a 陽極引出部
1b 陰極形成部
2 エッチング層及び誘電体酸化皮膜
3 絶縁帯層
4 固体電解質層
5 陰極導電層
6 リードフレームの陽極端子
7 導電性接着剤
8 リードフレームの陰極端子
9 外装樹脂
A 切削部
B−B’裁断部

Claims (8)

  1. 弁金属からなる粗面化された陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成し、該陽極体上に絶縁帯層を形成させてコンデンサ素子の陽極引出部と陰極形成部とに区画し、陰極形成部に、順次、固体電解質、陰極導電層を形成させたコンデンサ素子が具備されてなる固体電解コンデンサにおいて、前記絶縁帯層が熱硬化性物質からなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 絶縁帯層が、耐熱性を有する基材表面に、熱硬化性を有する粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 絶縁帯層が、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム及びガラスクロスから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  4. 絶縁帯層が、エポキシフィルム、エポキシポリエステルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれるいずれか1種の基材表面に、シリコーン系熱硬化性粘着材及び/またはゴム系熱硬化性粘着材からなる粘着層を形成させた熱硬化性テープからなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 絶縁帯層が、プリプレグからなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサにおいて、絶縁帯層の少なくとも一部を片面もしくは両面切削し、陽極体を露出させて陽極引出部が形成され、かつ、陽極引出部の一部を残して裁断されてなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  7. 固体電解質が、導電性高分子からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 固体電解質が、化学重合により形成させたポリピロールの導電性プレコート層と、該導電性プレコート層上に電解重合により形成させたポリピロール層とからなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
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