JP2006126359A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂中に着色剤及び離型剤が均一に分散しているとともに、揮発性有機化合物の残留量が低減され、高精度で微細な印字画像を得ることができる静電荷像現像用トナーを製造する方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対して非相溶性の分散媒とを、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練し、得られた混練物から前記分散媒を溶解除去して前記樹脂組成物の微粒子を単離することにより、静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、前記分散媒として加熱混練温度で溶融する水溶性重合体を使用し、かつ前記加熱混練温度で前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と前記水溶性重合体の溶融粘度(B)との比率(A/B)を0.01〜100とすることにより、前記樹脂組成物が前記分散媒中に微粒子状に均一に分散した混練物を生成し、前記混練物を水中で攪拌することにより、前記水溶性重合体を溶解させて除去する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は静電荷像現像用トナーを樹脂相分離法により製造する方法に関する。
複写機又はプリンター等の電子写真装置において、感光体の表面に形成された静電荷像を現像するために、熱可塑性樹脂結着剤中に着色剤(カーボンブラック、着色顔料及び染料等)及び離型剤(ワックス等)が分散されたトナーが使用されている。静電荷像現像用トナーは種々の方法で製造することができるが、原料の乾式混合、加熱混練、冷却・固化、粉砕及び分級等の工程を含む粉砕法が一般的である。しかし、粉砕法により得られるトナーは粒度分布が広く、また不定形状を呈するという欠点を有する。しかしディジタル複合機等では高精細画像を生成するために粒度分布が狭い球形トナーが要求されており、このような用途には粉砕法により得られたトナーは適さない。
球形トナーの製造方法として、重合性単量体を着色剤や離型剤等と混合し、懸濁重合法又は乳化重合法により重合する方法が実用化されている。しかし、重合法により得られた球形トナー中には微量の未反応性単量体が残留し、熱定着工程で単量体が揮発して臭気を発生したり、トナーの保存安定性が低い(ブロッキングが発生し易い)という問題がある。そのため、特開2002-258529号(特許文献1)は、重合性単量体、着色剤、離型剤等を含有する組成物を分散剤を含有する水系媒体中で重合して得られた分散液をストリッピングカラムの上部から供給するとともに、カラムの下部から分散液を加熱してスチームを発生させ、発生したスチームと分散液との向流接触により分散液から揮発性化合物(重合性単量体、分散剤等)を留去し、着色剤、離型剤等を含有する重合体粒子を単離するトナーの製造方法を提案している。
また特開2004-20805号(特許文献2)は、重合トナーを使用した場合の画像欠陥を防止するために、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する感光体と、ヘッドスペース法により測定した揮発性芳香族化合物の量が5〜30 ppmであるトナーを使用する画像形成方法を提案している。この方法では、重合トナー中の全揮発性芳香族化合物の量は、製造工程の最後に行う減圧乾燥の程度を調整することによりコントロールされている。また特許文献2は、乾燥工程で揮発性溶媒等で重合トナーを洗浄することにより、揮発性芳香族化合物を除去しても良いとも記載している。
しかし、重合法により得られた球形トナーは、低粘度の条件で混合するので着色剤の分散が十分ではなく、粉砕トナーよりも発色性が劣ることがある。そのため、重合法以外の方法で球形トナーを製造することが検討されている。例えば特開平9-297431号(特許文献3)は、有機溶媒中に着色剤と結着用樹脂とを必須成分として含有する分散液と水性媒体とを連続式乳化分散機中で乳化させて着色微粒子を形成した後、有機溶媒を除去する転相乳化法を提案している。この転相乳化法は連続式乳化分散機中で行うので、量産化に適しているが、得られた球形トナー粒子から有機溶媒を減圧留去する後処理が必要である。その上、ワックス(離型剤)を結着用樹脂とともに有機溶媒に溶解させるので、使用可能なワックスや有機溶媒が限定されるという問題もある。
特開2002-296839号(特許文献4)は、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含むトナー原料を溶融混練し、得られた混練物を結着樹脂が溶解又は膨潤可能な有機溶媒に溶解又は分散させ、さらにそれを水性媒体中に乳化分散させた後、凝集させることにより電子写真用トナーを製造する方法を提案している。この方法では材料選択の自由度が高く、また良好な特性のトナーを得ることできるが、乳化分散工程で分散剤として界面活性剤を使用するので、得られたトナーに界面活性剤が残留し、大気中の湿度によりトナーの帯電性が低下するという問題がある。トナーに残留する界面活性剤を少なくするためには、洗浄を繰り返すことが必要で、生産性が低下する。
特開2001-114901号(特許文献5)は、充填剤を含有する熱可塑性樹脂粒子からなる球状複合粉体の製造方法として、熱可塑性樹脂と有機又は無機充填剤からなる組成物とそれと相溶性のない分散媒とを、組成物の融点以上の温度で加熱しながら混合することにより、前記組成物を微粒子状に分散させ、得られた微粒子をその融点以下の温度まで冷却する方法(樹脂相分離法)を提案している。特許文献5は、得られた球状複合粉体は複写機用トナーに使用できることも記載している。
特許文献5に記載された樹脂相分離法によれば、平均粒子径が数μmの球形粒子を得ることは可能であるが、トナーとして使用するためには、熱可塑樹脂中に着色剤や離型剤が均一に分散され、かつ揮発性有機化合物の残留量を少なくする必要がある。しかしながら、特許文献5には、熱可塑樹脂中に着色剤や離型剤を均一に分散する手段や揮発性有機化合物の残留量を低減するための手段が開示されていない。しかも、これらの点はその他の特許文献にも記載されていない。このように、熱可塑樹脂中に着色剤及び離型剤が均一に分散しているとともに、揮発性有機化合物の残留量が低減したトナーは、今日まで提案されていない。
特開2002-258529号公報(第3〜4頁) 特開2004-20805号公報(第3〜4頁) 特開平9-297431号公報(第2〜3頁) 特開2002-296839号公報(第4〜5頁) 特開2001-114901号公報(第2〜4頁)
従って、本発明の目的は、熱可塑樹脂中に着色剤及び離型剤が均一に分散しているとともに、揮発性有機化合物の残留量が低減され、高精度で微細な印字画像を形成するのに好適な静電荷像現像用トナーを製造する方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物と相溶性がない分散媒とを混合し、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練した後、分散媒を水等の溶媒に溶解させて除去すると、熱可塑性樹脂中に着色剤が均一に分散するとともに、未反応単量体等の揮発性有機化合物の残留量が低減されることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は以下の手段により達成される。
(1) 熱可塑性樹脂と着色剤を含む樹脂組成物をこの樹脂組成物と相溶性がない分散媒と混合し、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度に加熱混練して樹脂組成物を微粒子に分散する微粒子分散工程、
前記分散媒を溶解除去することにより得られた樹脂組成物の微粒子を分散媒と分離する微粒子分離工程、及び
分離した樹脂微粒子の表面に流動化剤を付着させる流動化工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(2) (1) に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と前記分散媒の溶融粘度(B)との比率(A/B)が0.01以上100以下の範囲になるような温度において微粒子に分散する微粒子分散工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(3) (1)又は(2)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記分散媒として、粘度平均分子量が10万〜40万の範囲にあるポリエチレンオキサイドを使用する請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記樹脂組成物100容量部に対して110容量部以上の前記分散媒を加熱混練することを特徴とする方法。
(5) 熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対して非相溶性の分散媒とを、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練し、得られた混練物から前記分散媒を溶解除去して前記樹脂組成物の微粒子を単離することにより、静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、前記分散媒として加熱混練温度で溶融する水溶性重合体を使用し、かつ前記加熱混練温度で前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と前記水溶性重合体の溶融粘度(B)との比率(A/B)を0.01〜100とすることにより、前記樹脂組成物が前記分散媒中に微粒子状に均一に分散した混練物を生成し、前記混練物を水中で攪拌することにより、前記水溶性重合体を溶解させて除去することを特徴とする方法。
(6) (5)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記水溶性重合体が10万〜40万の粘度平均分子量を有するポリエチレンオキサイドであることを特徴とする方法。
(7) (5)又は(6)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記微粒子の表面に流動化剤を付着させることを特徴とする方法。
本発明によれば、着色剤及び離型剤等を均一に含有する熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を非相溶性の分散媒とともに加熱混練するので、樹脂組成物は分散媒中に微細な粒子として分散し、いわゆる海−島構造の混練物が得られる。この混練物中では、樹脂組成物粒子は非常に均一な粒径の球状で分散しているので、得られるトナーも非常に均一な粒径を有する。さらに、着色剤及び離型剤等を均一に含有する樹脂組成物を使用するので、得られるトナー中の着色剤及び離型剤等の分散も均一である。その上、樹脂組成物と水溶性重合体分散媒の混練物を水中で攪拌するので分散媒は水に十分に溶解し、揮発性有機化合物の残留量が大幅に低減された球形のトナー粒子が得られる。
[1] トナーの組成
(1) 熱可塑性樹脂
本発明で使用できる熱可塑性樹脂として、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の公知のトナー用樹脂を用いることができ、トナーの定着方式に応じて選定する。例えば熱ロール定着方式に使用されるトナーの場合、ビニル系樹脂又はポリエステル樹脂が好適である。
ビニル系樹脂の単量体として、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-クロルスチレン等のスチレン又はその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸イソ−ペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3-(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3-(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。これらの単量体を重合して得られるビニル系樹脂のうちとして、一種の単量体の重合に限らず、二種以上の単量体の共重合でも良い。特にスチレン又はその誘導体と、メタクリル酸アルキルエステル類又はアルキル酸アルキルエステル類とを共重合して得られるスチレン−アクリル系共重合体が好ましい。スチレン−アクリル系共重合体の物性として、分子量のピーク値が2×103〜5×104で、ガラス転移温度が60〜70℃で、軟化温度が90〜160℃であるのが好ましい。分子量のピーク値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した分子量分布から算出したものである。またビニル系樹脂として環状オレフィン樹脂を用いても良い。
ポリエステル樹脂として、線状又は非線状(芳香属系)のポリエステル樹脂を使用できるが、2価又は3価以上の多価アルコールと2価又は3価以上の多価カルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル樹脂が好ましい。2価アルコールとして、ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)-2,2ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上の多価アルコールとして、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-プタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価の多価カルボン酸成分として、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分として、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメット酸)、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクテンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸等が挙げられる。またこれらの酸の無水物又は低級アルキルエステル類を用いても良い。特にポリエステル樹脂として、ガラス転移温度が65〜75℃で、軟化温度が90〜160℃の物性を有するものが好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化温度は、フローテスター((株)島津製作所製CFT-500)を使用し、直径1mm及び長さ10 mmのダイスから、30 kgf/cm2の圧力及び3℃/分の昇温速度で
1cm3の試料を流出させた時、流出開始点の温度と定義する。またガラス転移温度は、示差走査熱量計[セイコー電子工業(株)製DSC-200]を使用し、アルミナをリファレンスとして、10 mgの試料を10℃/分の昇温速度で20℃から160℃に加熱した時、メイン吸熱ピークの変曲点の接線が横軸と交わる点の温度と定義する。
(2) 着色剤
白黒又はカラーの画像を得るために、トナー粒子に所望の着色剤を添加する。着色剤としては、公知の無機顔料、有機顔料又は染料を使用できる。赤色着色剤として、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、黄色着色剤として、クロムエロー、セラミックエロー、緑色着色剤として、クロムグリーン、フタロシアニングリーン、青色着色剤としては、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー等が挙げられる。これらの着色剤は熱可塑性樹脂との相溶性を考慮して選定するのが望ましい。
(3) 荷電制御物質
トナーに適切な帯電性を付与するために、(a) 熱可塑性樹脂として、例えば水酸基やアミノ基等の極性基を有し、正極性又は負極性に帯電し易い樹脂を選択するか、(b) 熱可塑性樹脂に正極性又は負極性の電荷を付与する荷電制御物質を添加するのが好ましい。正の荷電制御物質として、例えば、ニグロシン塩基類及びその誘導体、四級アンモニウム塩、ナフテン酸又は高級脂肪酸塩類、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、トリフェニルメタン染料、側鎖にこれら正極性物質をもつオリゴマー又はポリマー、四級ピリジニウム、高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。負の荷電制御物質として、含金属(Cr又はFe)アゾ錯体染料、サリチル酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体等が挙げられる。但し、これらの荷電制御物質は熱可塑性樹脂と分散媒に対して溶解度の差があり、熱可塑性樹脂に対する溶解度が高い材料又は熱可塑性樹脂に分散した際の親和性が高い材料を使用するのが望ましい。荷電制御性物質の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部当たり0.5〜5質量部の範囲にあるのが好ましい。荷電制御物質の含有量が0.5質量部未満であるとトナーの帯電量が不足し、一方その含有量が5質量部を超えると地かぶりが増大する。
(4) 離型剤
熱ロール定着方式の場合、オフセット防止のために、トナー粒子の内部及び/又は表面に離型剤を添加するのが好ましい。離型剤として、例えばポリオレフィンワックス(ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等)、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類を使用する。離型剤の含有量は、1〜10質量%の範囲にあるのが好ましい。離型剤の含有量が1質量%未満であるとオフセット防止効果が少なく、一方その含有量が10質量%を超えると帯電性が低下する。
(5) 流動化剤
トナーの流動性を向上させるために、トナー粒子の表面に、流動化剤、例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化処理された無機微粉末(シリカ、チタニア、アルミナ等)を添加しても良い。その添加量は、トナー粒子100質量部当たり0.3〜1質量部の範囲にあるのが好ましい。この添加量範囲であれば、トナーの流動性が良く、鮮明な画像が得られる。
[2] トナーの製造方法
本発明のトナーの製造方法は、(1) 熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂組成物を作製する工程と、(2) 前記樹脂組成物に対して非相溶性の分散媒とを、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練して、前記樹脂組成物が前記分散媒中に微粒子状に分散した混練物を作製する工程と、(3) 前記混練物から前記分散媒を溶解除去することにより前記樹脂組成物の微粒子を分離する工程とを有する。
(1) 樹脂組成物の生成
熱可塑性樹脂、着色剤、荷電制御物質及び離型剤の混練は、着色剤、荷電制御物質及び離型剤が均一に分散される限りいかなる混練装置で行っても良い。混練温度は熱可塑性樹脂が十分に溶融する温度であるのが好ましい。混練温度は特に限定されないが、分散媒の熱分解等を抑制するために、例えば200℃以下であるのが好ましい。
(2) 樹脂組成物と分散媒の加熱混練
樹脂組成物と分散媒を、例えば二軸混練押出機に投入し、熱可塑性樹脂及び分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練することにより、樹脂組成物は分散媒中に球形の微細な粒子として分散し、いわゆる海(樹脂組成物)−島(分散媒)構造の混練物を生成する。
分散媒として、熱可塑性樹脂と非相溶性の(実質的に膨潤又は溶解しない)水溶性重合体を使用するのが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂の溶解度パラメータ{SP値(MJ/m31/2}(Mは分子量であり、MJは分子の凝集エネルギーである。)と離れたSP値を有する水溶性重合体を選定する。分散媒のSP値と熱可塑性樹脂のSP値との差は、5以上であるのが好ましく、10以上であるのがより好ましい。具体的な水溶性重合体としては、ポリエチレンオキサイド、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(SP値:29.1)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニールアルコール等が挙げられる。分散媒を溶解除去し易くするために、軟化点が低い(130℃以下の)水溶性重合体、例えばポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合体又は酸化エチレンの重合体でその両末端にヒドロキシル基をもつ化合物)が好ましい。ポリエチレングリコールは熱可塑性樹脂の溶融温度又は粘度を低下させる機能を有するので好ましい。特に粘度平均分子量Mvが10万〜40万のポリエチレンオキサイドを用いるのが好ましい。粘度平均分子量Mvは、高分子化合物溶液の極限粘度数ηから、式:η=KMvαにより求めることができる。極限粘度数ηの測定方法は「JIS K7367-3:1999」に規定されている。K及びαは定数で、K=6.4×10-5、α=0.82である。
熱可塑性樹脂のSP値は、例えばポリスチレン:18.7(理論値、以下も同様)、ポリプロピレン16.6である。本明細書で使用するSP値は、「大石:高分子材料の耐久性、第74頁、工業調査会(1993)」に記載された値である。
樹脂組成物100容量部と加熱混練する分散媒の量は110容量部以上であるのが好ましい。分散媒の量が110容量部未満であると、熱可塑性樹脂が分散媒に微細な島状に分散した海−島構造の混練物が得られにくい。なお分散媒の量の上限については、生産効率を別にすれば特に限定されない。
加熱混度が低すぎると、樹脂組成物は混練物中で球形の微粒子状に分散されない。また加熱混練温度が高すぎると、混練物の溶融粘度が低すぎ、やはり樹脂組成物の十分な分散が得られない。軟化点は熱可塑性樹脂の種類により異なるので、加熱混練温度は使用する熱可塑性樹脂に応じて適宜変更する必要がある。
樹脂組成物と分散媒の加熱混練温度においては、熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と分散媒の溶融粘度(B)との比率(A/B)は0.01〜100の範囲内であるのが好ましい。A/B比が0.01〜100の範囲内であれば、実質的に熱可塑性樹脂のみからなる粒子(空玉)の生成が防止され、均一な粒径分布を有する球状の微細なトナーが得られる。
(3) 分散媒の除去
分散媒は水溶性であるので、混練物を水中に投入して攪拌することにより、分散媒は水に溶解し、混練物から除去される。熱水にすると分散媒の除去時間を短縮することができるので好ましい。分散媒の溶解後、遠心分離機等により樹脂組成物微粒子を水と分離すれば、樹脂組成物微粒子を捕集することができる。得られた樹脂組成物微粒子は洗浄(例えば水洗及びアルコール洗浄)した後、乾燥する。
(4) 後処理
高速ミキサー等により樹脂組成物微粒子に流動化剤を乾式混合することにより、微粒子の表面に流動化剤を付着させる。流動化剤の量は、樹脂組成物微粒子100質量部当たり0.01〜1質量部で良い。
本発明においては、重合性単量体や有機溶媒を使用せずに、樹脂を実質的に膨潤もしくは溶解しない分散媒を使用して、トナー粒子を作成するので、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素化合物に代表される揮発性有機化合物(以下VOCという)の残留量を大幅に低減することができる。
トナー中に含まれるVOCの含有量は、例えば、ヘッドスペース装置(日本分析工業(株)製JHS-100)と、GC-MS装置(ガスクロマトグラフィー質量分析装置)((株)島津製作所製QP‐5050AGC‐17)により、測定することができる。これらの測定装置により、試料が充填された分離カラムをヘッドスペース装置に装着し、キャリアガス(He)を50 ml/分の流量で流しながら分離カラムを10 分で90℃まで加熱することによりVOCをガス化させた後濃縮し、次いでGC-MS装置に打ち込むことにより測定された値である。
[3] トナーの特性
本発明の方法により得られたトナーは、高品質の画像を得るために次のような特性を有するのが好ましい。例えばトナーの体積平均粒径は2〜10μmであるのが好ましく、4〜8μmであるのがより好ましい。体積平均粒径が2μm未満であると地かぶりが多くなり、また体積平均粒径が10μmを超えると精細な画像が得られなくなり好ましくない。体積平均粒径は、コールターマルチサイザー(米国コールター社製)により測定した粒度分布から算出する。
鮮明なトナー像を得るために、トナー粒子は絶縁性を有するのが好ましい。具体的には、並行平板セルにおいてDC 1000 V/cmの電界でトナーの体積固有抵抗値を測定したときに、トナーの体積固有抵抗が1014Ω・cm以上であるのが好ましい。さらに鮮明な画像を得るために、トナー粒子の摩擦帯電量は絶対値で10〜60μc/gであるのが好ましい。摩擦帯電量の値は、トナーをフェライトキャリア(平均粒径100μm、Cu-Zn系フェライト)と混合し(トナー濃度5質量%)、振動させて摩擦帯電させた後、市販のブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製TB-500)により測定する。
[4] 画像形成方法
上記トナーを使用して、例えば次のような工程にしたがって画像を形成することができる。一様帯電した感光体の表面を露光することにより静電荷像を形成し、静電潜像にトナーを付着させることにより現像する(トナー像が形成する)。静電荷像の現像方法としては、(a) 非磁性トナーのみからなる現像剤を現像ロールに供給し、規制ブレードを現像ロールに圧接してトナーの薄層を形成し、現像領域で静電荷像に付着させる方法、(b) 非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を、表面に複数の磁極を有する磁石ロールを内蔵した非磁性スリーブからなる現像ロール上に供給し、磁気ブラシ現像法により静電荷像を現像する方法等がある。得られたトナー像を普通紙上に転写し、熱ロール定着することにより、最終画像が形成される。トナー像の転写は、静電転写又はローラを用いた加圧転写等の公知の手法を用いることができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお実施例及び参考例において、「部」は全て「質量部」を意味する。
実施例1
スチレン−アクリル系共重合体(三井化学(株)製CPR600、軟化温度:110℃)85部、負荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製ボントロンE304)2部、カーミン6B系マスターバッチ(顔料40質量%)8部、及びポリエチレン系ワックス(日本油脂(株)製WEP-5)5部をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練し、樹脂組成物を生成した。混練中ベントから減圧ポンプによる吸引を行った。
得られた樹脂組成物のペレット100部に、分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量25万、軟化温度:66℃)120部を加え、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練した。混練温度は145℃であり、この温度でスチレン−アクリル系共重合体の溶融粘度は1×104ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は2×105ポアズであった。得られた混練物の断面を電子顕微鏡で観察すると、樹脂中に添加物(負荷電制御剤等)が分散されていることが確認された。
混練物を熱水に投入し、攪拌しながら分散媒を溶解させた。次いで遠心分離機を用いて樹脂組成物微粒子を単離した。得られた微粒子を水洗し、次いでアルコールで洗浄した後、減圧乾燥機を用いて50℃の温度で12時間乾燥させた。得られた粉体に2種類の疎水性シリカ粉末(ワッカー・エヌエスシーイー(株)製のH3004と、日本アエロジル(株)製のNAX50)を各1部ずつ添加し、高速ミキサーで混合することにより、体積平均粒径が8.5μmの球形トナーを作成した。
得られた球形トナーには凝集がなく、1μm以下の粒径の微粒子はほとんど存在せず、さらに熱可塑性樹脂のみからなる粒子(空玉)もほとんど存在しなかった。球形トナーの体積固有抵抗は、1000 V/cmの直流電界下で2.5×1014Ω・cmであり、十分な絶縁性を示した。またブローオフ法によりトナーの摩擦帯電量を測定した結果、−48μc/gであった。
OPC(負帯電型有機感光体)ドラムの周囲に、非磁性金属スリーブからなる現像ロールと樹脂被覆規制ブレードを有する現像装置を設けたプリンター(セイコーエプソン(株)製LP900C)からクリーナブレードを除去した印字装置に、上記トナーを供給し、20℃及び60%RHの環境下で1万2千枚の印字試験を行った。その結果、画像濃度が高く、定着性が良好でまた光沢度のバランスが良く、さらに地かぶりや画像欠陥のない良質の画像が得られた。
揮発性有機化合物(VOC)の含有量について、実施例1のトナーを市販のトナー(参考例1,2)と比較した。それぞれのVOCの測定結果を表1に示す。参考例1のトナーは、懸濁重合により製造された市販の球形トナーであり、参考例2のトナーは粉砕法により得られた市販のポリエステル系不定形トナーである。VOCは、20 ccの容器内に充填したトナーを90℃に10分間加熱し、Heガス(流量50 ml/分)を流しながら、発生したガスを−60℃のガラスウールに吸着させ、次いでガラスウールを255℃に29秒間加熱して、ガスを脱離させ、分析装置(日本分析工業(株)製、JHS-100)で測定した。
Figure 2006126359
表1から、本発明のトナーは他の製造方法によるトナーよりVOCが大幅に低減されていることが分かる。
実施例2
環状オレフィン重合体((株)ティコナ製TOPAS TB、軟化温度:112℃)85部、負荷電制御剤(保土ヶ谷化学工業(株)製T77)2部、カーボンブラック(リーガル330R)8部、及びポリエチレン系ワックス(日本油脂(株)製WEP-5)5部を実施例1と同様に加熱混練した。
得られた樹脂組成物のペレット100部に、分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:40万、軟化温度:67℃)120部を加え、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練した。混練温度は160℃であり、この温度で環状オレフィン重合体の溶融粘度は2×104ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は1×105ポアズであった。混練物の断面を電子顕微鏡で観察すると、樹脂中に添加物が分散されていることが確認された。
混練物に対して実施例1と同様に熱水処理及び後処理を行うことにより、体積平均粒径が7.0μmの球形トナーを作成した。得られた球形トナーには凝集がなく、1μm以下の微粒子はほとんど存在せず、さらに熱可塑性樹脂のみからなる粒子(空玉)もほとんど存在しなかった。球形トナーの体積固有抵抗は、1000 V/cmの直流電界下で2.5×1014Ω・cmで、十分な絶縁性を示した。またブローオフ法によりトナーの摩擦帯電量を測定した結果、−57μc/gを示すことが確認された。球形トナーを用いて、実施例1と同様の条件で印字した結果、良好な画像が得られた。
実施例3
スチレン−アクリル系共重合体(三洋化成工業(株)製SB308、軟化温度:95℃)85部、負荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製ボントロンE84)2部、フタロシアニン系マスターバッチ(顔料40質量%)8部、及びポリエチレン系ワックス(日本油脂(株)製WEP-5)5部を実施例1と同様に加熱混練した。
得られた樹脂組成物のペレットに、分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:20万、軟化温度:66℃)120部を加え、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練した。混練温度は130℃であり、この温度でスチレン−アクリル系共重合体の溶融粘度は1×104ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は2.5×105ポアズであった。混練物の断面を電子顕微鏡で観察すると、樹脂中に添加物が分散されていることが確認された。
混練物に対して実施例1と同様に熱水処理及び後処理を行うことにより、体積平均粒径が6.5μmの球形トナーを作成した。球形トナーには凝集がなく、1μm以下の微粒子はほとんど存在せず、さらに熱可塑性樹脂のみからなる粒子(空玉)もほとんど存在しなかった。球形トナーの体積固有抵抗は、1000 V/cmの直流電界下で2.5×1014Ω・cmで、十分な絶縁性を示した。またブローオフ法によりトナーの摩擦帯電量を測定した結果、−42μc/gを示すことが確認された。球形トナーを用いて、実施例1と同様の条件で印字した結果、良好な画像が得られた。
実施例4
ポリエステル樹脂(三井化学(株)製XPE2749、軟化温度:120℃)91部、正荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製ボントロンN04)2部、カーボンブラック(三菱化学(株)製#44)5部、及びポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール550P)2部を実施例1と同様に加熱混練した。
得られた樹脂組成物のペレット100部に、分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:15万、軟化温度:65℃)100部と液状のポリエチレングリコール(粘度平均分子量:5000)20部を加え、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練した。混練温度は150℃であり、この温度でポリエステル樹脂の溶融粘度は7.5×104ポアズであり、分散媒(ポリエチレンオキサイド+ポリエチレングリコール)の溶融粘度は1×104ポアズであった。混練物の断面を電子顕微鏡で観察すると、樹脂中に添加物が分散されていることが確認された。
樹脂組成物微粒子に2種類のシリカ(H30TA 0.5部及びH05TA 0.5部、ともに(株)ワッカー・エヌエスシーイー製)を被覆した以外は、実施例1と同様の手順で熱水処理及び後処理を行うことにより、体積平均粒径が10.0μmの球形トナーを作成した。球形トナーには凝集がなく、1μm以下の微粒子はほとんど存在せず、さらにポリエステル樹脂のみからなる粒子(空玉)もほとんど存在しなかった。球形トナーの体積固有抵抗は、1000 V/cmの直流電界下で2.5×1014Ω・cmで、十分な絶縁性を示した。またブローオフ法によりトナーの摩擦帯電量を測定した結果、+23μc/gを示すことが確認された。球形トナーを用いて、市販のプリンター(重合トナー用、HL1850、ブラザー工業(株)製)で6500枚の印字を行った結果、画像濃度が1.4で地かぶりがなく、転写効率が良好でゴーストのない良好な画像が得られた。
実施例5
スチレン−アクリル系共重合体(三井化学(株)製CPR400、軟化温度:105℃)90部、負荷電制御剤(保土ヶ谷化学工業(株)工業製スピロンブラックTRH)1部、カーボンブラック(リーガル330R)5部、ポリエチレン系ワックス(日本油脂(株)製WEP-5)2部、及びポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール550P)2部を実施例1と同様に加熱混練した。
得られた樹脂組成物のペレット100部に、分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:10万、軟化温度:65℃)120部を加え、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX30)により回転数100 rpmで加熱混練した。混練温度は120℃であり、この温度でスチレン−アクリル系共重合体の溶融粘度は2.5×105ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は1×104ポアズであった。この混練物の断面を電子顕微鏡で観察すると、樹脂中に添加物が分散されていることが確認された。
混練物に対して実施例1と同様の手順で熱水処理及び後処理を行うことにより、体積平均粒径が10μmの球形トナーを作成した。球形トナーには凝集がなく、1μm以下の微粒子はほとんど存在せず、さらにスチレン−アクリル系共重合体のみからなる粒子(空玉)もほとんど存在しなかった。このトナーの体積固有抵抗は、1000 V/cmの直流電界下で2.5×1014Ω・cmで、十分な絶縁性を示した。またブローオフ法によりトナーの摩擦帯電量を測定した結果、−52μc/gを示すことが確認された。球形トナーを用いて、実施例1と同様の条件で印字試験を行った結果、良好な画像が得られた。
参考例3
分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:8万、軟化温度:64℃)を使用し、110℃で加熱混練した以外、実施例1と同様の条件でトナーを作成した。110℃でのスチレン−アクリル系共重合体の溶融粘度は1.1×106ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は1×104ポアズであった。トナーの体積平均粒径は15.0μmと大きく、かつ粒度分布も広く、4μm以下の微粉も多かった。このトナーを用いて、実施例1と同様の条件で印字試験を行った結果、地かぶりの多い画像が得られた。
参考例4
分散媒としてポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:45万、軟化温度:67℃)を使用し、混練温度を150℃とした以外、実施例3と同様の条件でトナーを作成した。150℃でのスチレン−アクリル系共重合体の溶融粘度は2×103ポアズであり、ポリエチレンオキサイドの溶融粘度は5×105ポアズであった。得られたトナーの体積平均粒径は3.5μmと小さく微粉が多かった。このトナーを用いて、実施例1と同様の条件で印字試験を行った結果、初期画像は良好であるが、1千枚の印字でブレードにトナーが固着し、黒すじが発生した。
実施例1〜5及び参考例3、4のトナーについて、熱可塑性樹脂の軟化温度、混練温度、熱可塑性樹脂及び分散媒の溶融粘度及びその比率、及びトナーの体積平均粒径を表2に示す。
Figure 2006126359
注:(1) 熱可塑性樹脂の軟化温度。
(2) 空玉あり。
表2から分かるように、溶融粘度の比率が0.05〜100の範囲内の場合、平均粒径が好適で、均一な粒度分布を有する球形トナーが得られた。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と着色剤を含む樹脂組成物をこの樹脂組成物と相溶性がない分散媒と混合し、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度に加熱混練して樹脂組成物を微粒子に分散する微粒子分散工程、
    前記分散媒を溶解除去することにより得られた樹脂組成物の微粒子を分散媒と分離する微粒子分離工程、及び
    分離した樹脂微粒子の表面に流動化剤を付着させる流動化工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と前記分散媒の溶融粘度(B)との比率(A/B)が0.01以上100以下の範囲になるような温度において微粒子に分散する微粒子分散工程を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記分散媒として、粘度平均分子量が10万〜40万の範囲にあるポリエチレンオキサイドを使用する請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記樹脂組成物100容量部に対して110容量部以上の前記分散媒を加熱混練することを特徴とする方法。
  5. 熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対して非相溶性の分散媒とを、前記熱可塑性樹脂及び前記分散媒の軟化点以上の温度で加熱混練し、得られた混練物から前記分散媒を溶解除去して前記樹脂組成物の微粒子を単離することにより、静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、前記分散媒として加熱混練温度で溶融する水溶性重合体を使用し、かつ前記加熱混練温度で前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(A)と前記水溶性重合体の溶融粘度(B)との比率(A/B)を0.01〜100とすることにより、前記樹脂組成物が前記分散媒中に微粒子状に均一に分散した混練物を生成し、前記混練物を水中で攪拌することにより、前記水溶性重合体を溶解させて除去することを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記水溶性重合体が10万〜40万の粘度平均分子量を有するポリエチレンオキサイドであることを特徴とする方法。
  7. 請求項5又は6に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記微粒子の表面に流動化剤を付着させることを特徴とする方法。
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