JP2006123852A - ラックバー - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化しながら、同時に曲げ強度の向上と焼入れ後の歪修正の容易化とを実現可能なラックバーを提供する。
【解決手段】本発明のラックバー1は中空状であり、ラック用軸部10とパワーアシスト用軸部20とを有する。ラック用軸部10には、操舵により回転するピニオン9により軸方向の駆動力が伝達されるラック歯11が軸方向に沿って形成されている。パワーアシスト用軸部20には、軸方向の駆動力を伝達するパワーアシスト手段8が設置されている。このラックバー1は、パワーアシスト手段8とともに電動パワーステアリング装置99を構成する。このラックバー1において、ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20は、両者間に焼入れによる歪を逆向き曲げ負荷によって修正するための非焼入れ領域である中間部30を残して焼入れされ、中間部30内には中間部30の曲げ強度を向上させる補強部40が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明はラックバーに関する。
特許文献1に従来のパワーステアリング装置が開示されている。このパワーステアリング装置は、操舵により回転するピニオンと、ピニオンの回転により軸方向の駆動力が伝達されるラックバーと、パワーアシスト手段等により構成されている。
特許文献1開示のラックバーは1本の中実体である。このラックバーは、一方側にはピニオンと噛み合うラック歯が軸方向に沿って形成されたラック用軸部を有しており、他方側には軸方向の駆動力を伝達するパワーアシスト手段が設置されるパワーアシスト用軸部を有している。
パワーアシスト手段は、特許文献1に示されたボールねじ機構や、その他の機構として知られる油圧機構等からなるものであり、パワーアシスト用軸部に設置されている。そして、このパワーアシスト手段は、操舵トルクに応じて、パワーアシスト用軸部に軸方向の駆動力を伝達するようにされている。
このため、このパワーステアリング装置は、例えば、自動車に搭載されることにより、操縦者が操舵する際に、過大な操作力を必要とすることがなく、車輪の方向を変えることが可能となっている。
このようなパワーステアリング装置については、自動車の低燃費化や性能向上のニーズが近年ますます高くなっていることから、一層の軽量化が求められている。このため、パワーステアリング装置に適用されるラックバーについても、例えば、特許文献2に開示されているように中空状として、軽量化を図ったものが開発されている。
特開2003−26007号公報 特開2004−44720号公報
しかし、上記のようにラックバーを中空状として軽量化した場合、中実状のラックバーと比較して、曲げ強度が低下し易いという問題がある。このため、中空状のラックバーは、例えば、自動車に適用された場合、悪路走行時や高速走行時における路面からの大きな衝撃等に対して、折れ曲がり等の不具合を生じるおそれが高くなる。具体的には、悪路走行時や高速走行時における路面からの大きな衝撃は、ラックバーの軸芯に対して平行な方向のみに作用するわけではないので、ラックバーには圧縮力だけでなく、曲げ力が作用することとなる。このため、ラックバーのラック用軸部とパワーアシスト用軸部との間では、特に応力集中が生じ易くなり、折れ曲がり等の発生等の不具合のおそれが高くなる。
このような不具合を解消するため、中空状のラックバーの曲げ強度を向上させる具体的手段として、中空状のラックバーに対する焼入れ等が検討されている(「豊田工機技報」VOL.43、No.3(2003.3))。しかし、ラックバーに対する焼入れ範囲を広くすれば、ラックバー全体の靭性が低下するとともに、歪みが大きくなり、外形状に反り等の寸法変化が生じることとなる。また、その場合、靭性低下により、そのような歪の修正も困難となる。他方、ラックバーに対する焼入れ範囲を狭くすると、反り等の寸法変化も減少し、歪の修正も容易になる方向ではあるが、充分な曲げ強度を得ることが困難な場合がある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、軽量化しながら、同時に曲げ強度の向上と焼入れ後の歪修正の容易化とを実現可能なラックバーを提供することを解決すべき課題としている。
本発明のラックバーは、軸方向の一方側に位置し、操舵により回転するピニオンにより軸方向の駆動力が伝達されるラック歯が軸方向に沿って形成されたラック用軸部と、軸方向の他方側に位置し、軸方向の駆動力を伝達するパワーアシスト手段が設置されるパワーアシスト用軸部とを有し、該パワーアシスト手段とともにパワーステアリング装置を構成する中空状のラックバーにおいて、
前記ラック用軸部及び前記パワーアシスト用軸部は、両者間に焼入れによる歪を逆向き曲げ負荷によって修正するための非焼入れ領域である中間部を残して焼入れされ、該中間部内には該中間部の曲げ強度を向上させる補強部が設けられていることを特徴とする。
本発明のラックバーは1本の金属製の中空状のものであり、これにより軽量化が図られている。そして、中空状であることによって曲げ強度が低下するという不具合は、焼入れにより解決しようとしている。また、焼入れによって、外形状に反り等の寸法変化が生じ、その歪の修正が困難になるという不具合は、その焼入れをラック用軸部及びパワーアシスト用軸部に限ることにより解決しようとしている。こうしてラック用軸部及びパワーアシスト用軸部に焼入れを制限すれば、歪を逆向き曲げ負荷によって修正するためにそれらの間の非焼入れ領域である中間部を用いることができるからである。なお、こうしてラック用軸部及びパワーアシスト用軸部に焼入れを行えば、ラック用軸部及びパワーアシスト用軸部の曲げ強度の向上ばかりでなく、表面硬度も向上させることもできる。そして、焼入れをラック用軸部及びパワーアシスト用軸部に限ることによる中間部の曲げ強度の低下の懸念は、内部に設ける補強部によって払拭する。
したがって、本発明のラックバーは、軽量化しながら、同時に曲げ強度の向上と焼入れ後の歪修正の容易化とを実現することができる。このため、このラックバーは、パワーステアリング装置に組み込まれて自動車に適用された場合、その自動車の軽量化に寄与して省燃費を実現しつつ、悪路走行時や高速走行時における路面からの大きな衝撃等によっても折れ曲がり等の発生等の不具合を生じ難くなっている。
焼入れは、ラック用軸部及びパワーアシスト用軸部に対して、同時に実施してもかまわないし、同時に別々に実施してもかまわない。焼入れの温度条件や処理時間を最適化することによって焼入れ深さ等を調整し、各々に必要な表面硬度や強度を得ることができる。
補強部の長さは、ラックバーにおいて所望の曲げ強度を実現できるのであれば、どのような長さでもかまわない。一般論として、補強部の長さが中間部の長さより長いほうが、確実にラックバーの曲げ強度を向上させることができるので好ましい。
本発明のラックバーにおいて、補強部には、ラック用軸部内及びパワーアシスト用軸部内の少なくとも一方を負圧にしない連通孔が貫設され得る。
このラックバーが組み込まれるパワーステアリング装置において、ラックバーの両端側に各々設けられるステアリングブーツの内部空間は、操舵によってラックバーが移動することにより、容積が増減する。この際、このラックバーは中空状であり、かつ補強部には、ラック用軸部内及びパワーアシスト用軸部内の少なくとも一方を負圧にしない連通孔が貫設されている。このため、増減した容積に応じて、内部空間とパワーステアリング装置内の空間との間で空気が行き来することができる。このため、内部空間内の圧力が低くなり過ぎたり、高くなり過ぎたりすることがないため、ステアリングブーツが負圧により潰れてラックバーと接触することにより損傷したり、ステアリングブーツが高圧により膨れて破れたりするという不具合を生じ難くすることができる。
本発明のラックバーは、ラック用軸部、パワーアシスト用軸部、中間部及び補強部が一体でもよく、ラック用軸部、パワーアシスト用軸部及び中間部と補強部とが別体でもよい。
ラック用軸部、パワーアシスト用軸部及び中間部と補強部とが別体の場合、ラック用軸部、パワーアシスト用軸部及び中間部は筒状のバー本体により形成され、補強部はバー本体内に挿入されて固定され得る。この場合、冷間塑性加工によりラック用軸部やパワーアシスト用軸部を容易に形成することが可能となるため、切削加工等の生産コストの高い加工方法の適用を大幅に削減することが可能となる。また、バー本体に等断面の鋼管等を使用することができるため、材料費及び加工費の低廉化を実現できる。このため、この場合には、ラックバーの製造コストの低廉化を実現できる。
バー本体と補強部とが別体の場合、バー本体を先に焼入れしてもよく、バー本体に補強部を挿入後に焼入れしてもよい。バー本体を先に焼入れする場合には、バー本体に補強部を挿入後に焼入れする場合と比べ、歪修正のための逆向き負荷が小さい荷重で充分となり、歪の修正を確実に行うことができるとともに、そのコストの低廉化を実現できる。
補強部の固定は、圧入によって、バー本体の内筒面と補強部との間でしまりばめとなるようにしてもよいし、バー本体の内筒面と補強部との間に隙間を設けて、その隙間に接着剤を充填してもよい。
本発明のラックバーにおいて、バー本体と補強部とは同じ材質のものとすることが好ましい。この場合、バー本体と補強部との特性が同一になるので、線熱膨張係数の違いによる補強部とバー本体との間での熱応力歪の増大等の不具合を生じるおそれを小さくすることができ、本発明の効果をより確実に奏することが可能となる。
本発明のラックバーにおいて、パワーアシスト手段は、パワーアシスト用軸部に形成された螺旋状のボールねじ溝と、ボールねじ溝にボールを介して係合するボールねじナットと、ボールねじナットを回転駆動する電動モータ機構とを備え得る。
この場合、パワーアシスト手段は、油圧機構等その他の機構と比較して、より高度な制御をされながら、ラックバーに対して、軸方向の駆動力を伝達することが可能となる。例えば、操舵トルクだけでなく、速度や舵角に応じて、電動モータ機構が制御されることにより、パワーアシスト手段は、状況に応じて最適な駆動力をラックバーに対して伝達することが可能となる。このため、このラックバーが組み付けられるパワーステアリング装置は、操縦者にとって一層快適な操縦性を実現することが可能となる。かかる場合、パワーアシスト用軸部のボールねじ溝はラック用軸部のラック歯と同様に十分な硬度が要求され、そのためにパワーアシスト用軸部とラック用軸部とがともに十分に焼入れされることが必要になる。このため、この場合には本発明の作用効果を顕著に奏することとなる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例1を説明する。
まず、図1(a)及び(b)に示すように、実施例1のラックバー1を適用した電動パワーステアリング装置99を説明する。
この電動パワーステアリング装置99は、操舵により回転するピニオン9と、ピニオン9の回転により軸方向の駆動力が伝達されるラックバー1と、パワーアシスト手段8等により構成されている。
ラックバー1は、図1(b)の概略断面図(模式図)である図2に示すように、一方側にラック用軸部10を有し、他方側にパワーアシスト用軸部20を有している。また、ラックバー1は、ラック用軸部10とパワーアシスト用軸部20との間に中間部30を有している。これらラック用軸部10、パワーアシスト用軸部20及び中間部30は、筒状のバー本体2により形成されている。また、バー本体2の内筒面2aの中間部30に相当する位置には、補強部40が圧入されている。バー本体2及び補強部40はともに鉄鋼製で同一の材質のものである。
補強部40には、連通孔41a、41bが設けられている。連通孔41bは、補強部40により区切られたバー本体2の内部空間を軸方向で連通している。また、バー本体2の中間部30には外周面と内筒面2aとを径方向で繋ぐ連通孔30aが形成されており、連通孔41aはこの連通孔30aと連通孔41bとを連通している。
ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20には、各々の機能や使用される状況に応じた強度と表面硬度とを得るため、各々別々に所定の焼入れ条件で焼入れがされている。この際、中間部30は、焼入れによりラックバー1に生じる歪を逆向き曲げ負荷によって修正するための非焼入れ領域とされている。
このようなラックバー1の製造方法について、図2〜5を示しながら、順次説明する。このラックバー1の製造方法は下記の各工程からなる。なお、各工程間や全工程終了後にこれら以外の工程を実施し得る。
第1工程として、電縫管等の円筒状の鋼管からなるバー本体2を準備した。そして、冷間塑性加工によりラック用軸部10及び中間部30を形成した後、パワーアシスト用軸部20のボールねじ溝21を切削加工等により形成した。こうして、バー本体2を図3に示す通りに加工した。
第2工程として、ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20に焼入れをした。焼入れの範囲は図3に示す二点鎖線で囲まれた領域である。焼入れは高周波焼入れを適用し、ラック用軸部10aとパワーアシスト用軸部20aとに対して、各々所望の強度や表面硬度が得られるように、別々に所定の焼入れ条件で焼入れを行った。こうして、ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20には、図4に示すように、各々所望の強度や表面硬度を有する焼入れ領域(黒塗り潰し領域)が形成された。この際、中間部30は非焼入れ領域とされた。
第3工程として、焼入れによりバー本体2に生じた歪を逆向き曲げ負荷Fにより修正した。具体的には、図4に示すように、わずかな上に凸をなすように外形状が変形したバー本体2の両端側を支持し、中間部30付近に逆向き曲げ負荷Fを作用させて、軸芯が真直になるように修正した。この際、中間部30は非焼入れ領域とされているので、逆向き曲げ負荷Fにより、中間部30において、歪修正のための塑性変形が生じ易くなっている。このため、バー本体2の歪を容易に修正することができた。
第4工程として、図5に示すように、補強部40をバー本体2の内筒面2a側に挿入し、固定した。具体的には、補強部40は、パワーアシスト用軸部20の側のバー本体2の端面から、バー本体2の内筒面2aの中間部30に相当する位置まで圧入した。圧入後の補強部40は、バー本体2の内筒面2aとしまりばめの状態となり、堅固に固定された状態となった。なお、この補強部40には、バー本体2の軸芯と平行な連通孔41bがあらかじめ貫設されている。
第5工程として、図2に示すように、バー本体2に連通孔30aを貫設するとともに、補強部40に連通孔41aを貫設した。こうしてラックバー1が完成する。得られたラックバー1によって電動パワーステアリング装置99が得られる。
図1(a)に示すように、パワーアシスト手段8は、パワーアシスト用軸部20に形成された螺旋状のボールねじ溝21と、ボールねじ溝21にボール81を介して係合するボールねじナット82と、ボールねじナット82を回転駆動する電動モータ機構83とを備えるボールねじ機構である。
電動モータ機構83は、ハウジング98内に設置された電機子鉄心84(コイル、給電端子85)と、ハウジング98内にベアリング96、97を介して回転可能に支承された円筒状のモーターシャフト86と、モータシャフト86の外筒面に一体に装着されたリングマグネット87とを有する。また、モーターシャフト86の内筒面には、ボールねじナット82が一体に設置されている。
このようなパワーアシスト手段8では、操舵の際、操舵トルクに応じて制御された電流が給電端子85から電機子鉄心84に給電され、電機子鉄心84とリングマグネット87との間の電磁力の作用により、モータシャフト86が回転駆動される。このため、モータシャフト86に一体に設置されたボールねじナット82も同時に回転し、ボール81及びボールねじ溝21を介して、パワーアシスト用軸部20に軸方向に駆動力が伝達されるようになっている。
以上の構成をした電動パワーステアリング装置99は、自動車に搭載された場合、操縦者が操舵する際の操舵トルクに応じてパワーアシスト手段8がラックバー1を補助的に駆動するので、過大な操作力を必要とすることなく、ラックバー1の両端1L、1Rに接続された図示しないタイロッドを介して図示しない車輪の方向を変えることが可能となっている。
ここで、実施例1のラックバー1には、中空状であり、中間部30内に補強部40が設けられているだけであるので、中実状のものと比較して大幅に軽量化されている。
また、このラックバー1において、ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20は、別々に所定の焼入れ条件で焼入れされている。このため、各々の機能や使用される状況に応じて、ラック用軸部10及びパワーアシスト用軸部20の表面硬度を高くしたり、強度を高くしたりすることができている。このため、焼入れの温度条件や処理時間を最適化することによって焼入れ深さ等を調整し、各部に必要な表面硬度や強度を得ることができている。
さらに、このラックバー1において、中間部30は非焼入れ領域とされているので、焼入れによって歪が生じ、反り等の寸法変化が発生したラックバー1に対して、反り等の変形とは逆向きに曲げの荷重Fを負荷することにより、特に非焼入れ領域である中間部30において塑性変形を生じさせ易くなっている。このため、このラックバー1は、歪を容易に修正して軸芯を真直にすることを容易に実施できている。
また、ラックバー1の中間部30内には補強部40が設けられているので、ラックバー1の曲げ強度も向上している。このため、ラックバー1に対して曲げ力が作用しても、ラックバー1のラック用軸部10とパワーアシスト用軸部20との間が補強され、応力集中に充分耐え得る曲げ強度を有している。このため、ラックバー1は、折れ曲がり等の発生等の不具合を生じ難くなっている。このため、このラックバー1は、自動車の電動パワーステアリング装置99において、悪路走行時や高速走行時における路面からの大きな衝撃等によっても折れ曲がり等の発生等の不具合を生じ難くなっている
したがって、実施例1のラックバー1は、軽量化しながら、同時に曲げ強度の向上と焼入れ後の歪修正の容易化とを実現することができている。
このため、このラックバー1は、自動車の電動パワーステアリング装置99において、その自動車の軽量化に寄与して省燃費を実現しつつ、悪路走行時や高速走行時における路面からの大きな衝撃等によっても折れ曲がり等の発生等の不具合を生じ難くなっている。特に、この電動パワーステアリング装置99は、パワーアシスト手段8がボールねじ機構であるため、この作用効果が顕著である。
また、この電動パワーステアリング装置99において、操縦者が操舵する際のラックバー1の移動に対応して、ステアリングブーツ7L、7Rも伸縮する。そして、ステアリングブーツ7L、7Rの車輪側はホイールハブ等と接続されて、外部に開放されていない。このため、ステアリングブーツ7L、7Rの内部空間は、ラックバー1が移動することにより、伸縮して容積が増減する。この際、ラックバー1のバー本体2が筒状であり、補強部40には連通孔41a、41bが設けられ、バー本体2の中間部30に連通孔30aが設けられているので、例えば、一方のステアリングブーツ7Lの内部空間の容積が減少すれば、減少分の空気がバー本体2の内部空間及び連通孔41a、41b、30aを介して、他方のステアリングブーツ8Rの内部空間やラックバー1を覆うハウジング98内に移動する。このため、ステアリングブーツ7L、7Rは、ラックバー1が移動することによってステアリングブーツ7L、7Rの内部空間の容積が増減しても、内部空間内の圧力が低くなり過ぎたり、高くなり過ぎたりすることがない。このため、ステアリングブーツ7L、7Rが負圧により潰れ、ラックバー1と接触して損傷したり、ステアリングブーツ7L、7Rが高圧により膨れて破れたりするという不具合を生じ難くすることができている。
さらに、このラックバー1では、ラック用軸部10、パワーアシスト用軸部20及び中間部30は筒状のバー本体2により形成され、補強部40はバー本体2内に挿入されて固定されている。このため、冷間塑性加工によりラック用軸部10やパワーアシスト用軸部20を容易に形成することが可能であるため、切削加工等の生産コストの高い加工方法の適用を大幅に削減することが可能となっている。また、バー本体1に等断面の鋼管等を使用することができるため、材料費及び加工費の低廉化を実現できる。このため、ラックバー1の製造コストの低廉化も実現できている。
また、このラックバー1において、バー本体2と補強部40とは、鉄鋼製であり、同じ材質のものとされている。このため、バー本体2と補強部40との特性が同一であるので、線熱膨張係数の違いによる補強部40とバー本体2との間での熱応力歪の増大等の不具合を生じるおそれを小さくすることができており、本発明の効果をより確実に奏することができている。
以上において、本発明を実施例1に即して説明したが、本発明は上記実施例1に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明はパワーステアリング装置に利用可能である。
実施例1のラックバーに係り、(a)は実施例1のラックバーを適用した電動パワーステアリング装置の概略断面図であり、(b)は実施例1のラックバーの概略側面図である。 実施例1のラックバーの概略断面図(模式図)である。 実施例1のラックバーの製造工程を示す概略断面図(模式図)である。 実施例1のラックバーの製造工程を示す概略断面図(模式図)である。 実施例1のラックバーの製造工程を示す概略断面図(模式図)である。
符号の説明
1…ラックバー
2…バー本体
8…パワーアシスト手段
9…ピニオン
10…ラック用軸部
11…ラック歯
20…パワーアシスト用軸部
21…ボールねじ溝
30…中間部
40…補強部
41a、41b…連通孔
81…ボール
82…ボールねじナット
83…電動モータ機構
99…電動パワーステアリング装置

Claims (5)

  1. 軸方向の一方側に位置し、操舵により回転するピニオンにより軸方向の駆動力が伝達されるラック歯が軸方向に沿って形成されたラック用軸部と、軸方向の他方側に位置し、軸方向の駆動力を伝達するパワーアシスト手段が設置されるパワーアシスト用軸部とを有し、該パワーアシスト手段とともにパワーステアリング装置を構成する中空状のラックバーにおいて、
    前記ラック用軸部及び前記パワーアシスト用軸部は、両者間に焼入れによる歪を逆向き曲げ負荷によって修正するための非焼入れ領域である中間部を残して焼入れされ、該中間部内には該中間部の曲げ強度を向上させる補強部が設けられていることを特徴とするラックバー。
  2. 前記補強部には、前記ラック用軸部内及び前記パワーアシスト用軸部内の少なくとも一方を負圧にしない連通孔が貫設されていることを特徴とする請求項1記載のラックバー。
  3. 前記ラック用軸部、前記パワーアシスト用軸部及び前記中間部は筒状のバー本体により形成され、前記補強部は該バー本体内に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のラックバー。
  4. 前記バー本体と前記補強部とは同じ材質のものであることを特徴とする請求項3記載のラックバー。
  5. 前記パワーアシスト手段は、前記パワーアシスト用軸部に形成された螺旋状のボールねじ溝と、該ボールねじ溝にボールを介して係合するボールねじナットと、該ボールねじナットを回転駆動する電動モータ機構とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のラックバー。
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