JP2020049989A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】転舵シャフトの端部に過大な負荷が入力されても、転舵シャフトが備える外周転動溝の端部を起点とする転舵シャフトの撓みを従来よりも抑制できるステアリング装置を提供する。【解決手段】ステアリング装置10において、転舵シャフト20は、第一端部25aのうち端面と外周転動溝20aまでの長さよりも短い所定長さL1の区間を第一区間Ar1と定義し、第一端部25aのうち第一区間Ar1以外の区間であって外周転動溝20aと隣接する区間を第二区間Ar2と定義し、第二区間Ar2と外周転動溝との境界を起点とする外周転動溝の区間であって外周転動溝が形成された区間の軸方向長さよりも短い所定長さの区間を第三区間Ar3と定義し、外周転動溝のうち第三区間以外の区間を第四区間Ar4と定義した場合に、第二区間Ar2における焼き入れ深さの最大値は、第一区間Ar1における焼き入れ深さより大きい。【選択図】図3
Description
本発明は、ステアリング装置に関する。
モータの駆動力によって転舵シャフトに対し軸力をアシストする転舵補助装置(転舵力付与装置)を備えた電動パワーステアリング装置がある。このような電動パワーステアリング装置の一例として、ラック歯とボールねじ装置のねじ軸を備える、所謂、ラックアンドピニオン方式の電動パワーステアリング装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。ラックアンドピニオン方式の電動パワーステアリング装置では、転舵補助装置が、モータの駆動力を、ボールねじ装置を介して転舵シャフトの軸線方向への軸力に変換し、転舵シャフトに付与する。転舵補助装置は、タイロッドを介して転舵輪に連結される転舵シャフトを軸線方向に往復移動させ転舵輪を転向させる。
しかし、このような構成において、例えば、転舵輪が縁石に乗り上げてしまったような場合、反力として転舵輪側から転舵シャフトの端部に対し、曲げ方向の大きな力が入力される場合がある。このような場合、転舵シャフトの外周面に形成されボールねじ装置を構成する外周転動溝の軸線方向における端部、即ち、曲げ方向の力が入力された側における転舵シャフトの円柱状の端部と外周転動溝との間の境界部には曲げ応力が集中しやすい。
しかしながら、特許文献1には、軸線方向における転舵シャフトの各部位において、硬度と深さを所望の大きさにそれぞれ変更することは記載されているが、曲げ応力が集中しやすい部位に対して焼き入れの硬度や深さを変える思想は開示されていない。また、特許文献2には、低コスト化のため、ボールねじ装置を構成する転舵シャフトの外周転動溝のうち、実際にボールねじ装置のボールが転動する部分のみに熱処理(焼き入れ)を行ない、外周転動溝の硬度を向上させるとのみ記載されている。しかし、曲げ応力が集中しやすい部位に対して焼き入れの硬度や深さを変える思想は開示されていない。このため、転舵シャフトの端部に入力される曲げ方向の力が過大である場合、外周転動溝と端部との境界を起点として転舵シャフトに撓みが生じる虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、転舵シャフトの端部に過大な負荷が入力されても、転舵シャフトが備える外周転動溝の端部を起点とする転舵シャフトの撓みを従来よりも抑制できるステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明に係る、ステアリング装置は、ハウジングと、前記ハウジングに支持され両端がタイロッドを介して転舵輪に連結されるとともに、前記ハウジングに対して軸線方向に相対移動して前記転舵輪を転向させる転舵シャフトと、モータを駆動源とし前記転舵シャフトに軸力を付与する転舵力付与装置と、前記転舵力付与装置に含まれ、軸力を前記転舵シャフトに直接、伝達するボールねじ装置と、を備える。
前記転舵シャフトは、両端に端面から所定長さの円柱状の端部を備え、前記軸線方向における両端部の間の外周面に形成され、前記ボールねじ装置を構成する螺旋状の外周転動溝を備える。前記軸線方向において、前記外周転動溝は、前記両端部のうちの一方の端部である第一端部に接して形成され、前記第一端部のうち端面と前記外周転動溝までの長さよりも短い所定長さの区間を第一区間と定義し、前記第一端部のうち前記第一区間以外の区間であって前記外周転動溝と隣接する前記区間を第二区間と定義し、前記第二区間と前記外周転動溝との境界を起点とする前記外周転動溝の区間であって前記外周転動溝が形成された区間の軸方向長さよりも短い所定長さの前記区間を第三区間と定義し、前記外周転動溝のうち前記第三区間以外の区間を第四区間と定義した場合に、前記第二区間における焼き入れ深さの最大値は、前記第一区間における焼き入れ深さより大きい。
このように、第一端部においては、外周転動溝と隣接する第二区間における焼き入れ深さの最大値の方が外周転動溝と接しない第一区間における焼き入れ深さよりも深い。このため、転舵シャフトの端部に負荷が入力され、転舵シャフトに過大な曲げ方向の応力が付与された場合においても、転舵シャフトは、大きな応力を受ける外周転動溝の端部(境界)の軸線方向両側に配置された焼き入れ深さが深い第二区間及び第三区間によって撓みが良好に規制される。また、このとき、撓みを規制するのに必要な区間(第二区間及び第三区間)に対してのみ、焼き入れ深さを深くするので、全体においては熱処理のためのサイクルタイムを短くでき低コスト化が図れる。
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置(ステアリング装置に相当)の全体を示す図である。電動パワーステアリング装置は、転舵シャフト20に軸力を付与することによって、操舵を補助するステアリング装置である。
(1.ステアリング装置の構成)
電動パワーステアリング装置10(以後、ステアリング装置10とのみ称する)は、車両の転舵輪28,28に連結される転舵シャフト20を、転舵シャフト20の軸線方向と一致するA方向(図1の左右方向)に往復移動させることにより、転舵輪28,28の向きを転舵させる装置である。なお、以下の説明においては、図1中、軸線方向Aに沿った左側を「一方」側、右側を「他方」側として説明する場合がある。
電動パワーステアリング装置10(以後、ステアリング装置10とのみ称する)は、車両の転舵輪28,28に連結される転舵シャフト20を、転舵シャフト20の軸線方向と一致するA方向(図1の左右方向)に往復移動させることにより、転舵輪28,28の向きを転舵させる装置である。なお、以下の説明においては、図1中、軸線方向Aに沿った左側を「一方」側、右側を「他方」側として説明する場合がある。
図1に示すように、ステアリング装置10は、転舵シャフト20を収容し支持するハウジング11と、ステアリングホイール12と、ステアリングシャフト13と、トルク検出装置14と、電動モータM(モータに相当。以後、モータMとのみ称す)と、前述した転舵シャフト20と、転舵力付与装置30と、ボールねじ装置40と、ダンパ部50を備える。
ハウジング11は、車両に固定される固定部材である。ハウジング11は、筒状に形成され、転舵シャフト20をA方向に往復移動可能に挿通し支持する。ハウジング11は、第一ハウジング11aと、第一ハウジング11aのA方向一方側に固定された第二ハウジング11bと、を備える。
ステアリングホイール12は、ステアリングシャフト13の端部に固定され、車室内において回転可能に支持される。ステアリングシャフト13は、運転者の操作によってステアリングホイール12に加えられるトルクを転舵シャフト20に伝達する。
ステアリングシャフト13の転舵シャフト20側の端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン13aが形成される。ピニオン13aは、ステアリングホイール12の回動に伴い回転する。トルク検出装置14は、ステアリングシャフト13の捩れ量に基づいて、ステアリングシャフト13に加えられるトルクを検出する。
転舵シャフト20は、A方向に延伸している。転舵シャフト20は、ハウジング11に支持され、円柱状の両端部25(第一端部25a、第二端部25b)が、ジョイントである大径部51,51及びタイロッド26,26を介して左右の転舵輪28,28に連結される。転舵シャフト20は、ステアリングホイール12の回動に伴いA方向(軸線方向)に相対移動して転舵輪28,28を転向させる。
転舵シャフト20の外周面の一部には、ラック歯22が形成される。ラック歯22は、ピニオン13aに噛合し、ピニオン13aとともに上述のラックアンドピニオン機構を構成する。ラックアンドピニオン機構は、ステアリング装置10の用途等に基づいて、ステアリングシャフト13と転舵シャフト20との間で伝達可能な最大軸力が設定される。なお、転舵シャフト20の詳細については、後に詳述する。
転舵シャフト20に設けられる大径部51,51は、両端部25(第一端部25a、第二端部25b)の端面外側にそれぞれ螺着されて固定される。大径部51,51の両端外側に、タイロッド26,26が連結される。タイロッド26,26の先端は、ナックルアーム27,27を介して左右の転舵輪28,28に連結される。
これにより、ステアリングホイール12が操舵されると、ラックアンドピニオン機構を介して、転舵シャフト20がA方向(軸線方向)に直線往復移動される。このA方向に沿った移動がタイロッド26,26を介してナックルアーム27,27に伝達されることにより、図1に示すように転舵輪28,28が転舵され、車両の進行方向が変更される。このとき、タイロッド26,26は、図1に示すように転舵シャフト20の軸線に対し所定の角度を有して配置される。
また、図1、図3に示すように、転舵シャフト20は、ラック歯22とは異なる位置の外周面に外周転動溝20aが形成される。外周転動溝20aは、後述するナット21の内周転動溝21aとともにボールねじ装置40を構成し、転舵力付与装置30により軸力が伝達される。詳細については、のちに述べる。
前述したように転舵力付与装置30は、ハウジング11に固定されるモータMを駆動源として転舵シャフト20にボールねじ装置40を介して軸力を付与する装置である。図1に示すように、転舵力付与装置30は、モータM,モータMを駆動する制御部ECU及び駆動力伝達装置32を備える。モータM及び制御部ECUは、ハウジング11の第一ハウジング11aに固定されるケース31に固定され収容される。制御部ECUは、トルク検出装置14の出力信号に基づいて操舵補助トルクを決定しモータMの出力を制御する。
図2に示すように、駆動力伝達装置32は、駆動プーリ36,従動プーリ34及び歯付きベルト35を備える。駆動プーリ36,及び従動プーリ34は、それぞれ、はす歯の外歯を備える歯付きのプーリである。歯付きベルト35は、はす歯で形成された内歯を内周側に複数有する円環状のゴムベルトである。
駆動プーリ36は、モータMの出力シャフト37に出力シャフト37と一体回転可能に設けられる。出力シャフト37は、転舵シャフト20の軸線と所定量だけ平行にオフセットされて配置される。このとき、オフセットされる所定量は任意に設定すればよい。従動プーリ34は、筒状の部材である。従動プーリ34は、歯付きベルト35を介して駆動プーリ36と連結され、ナット21の外周側にナット21と一体回転可能に設けられる。
歯付きベルト35は、従動プーリ34の外周と駆動プーリ36の外周との間に、各外周に設けられた各はす歯と噛合した状態で掛け渡される。このとき、歯付きベルト35は、従動プーリ34及び駆動プーリ36との噛合が外れないように所定の張力を有した状態で従動プーリ34と駆動プーリ36との間に掛け渡される。
これにより、駆動力伝達装置32は、駆動プーリ36と従動プーリ34との間で回転駆動力(駆動力)を伝達する。また、ナット21の一方側端部は、図略の軸受を介して第二ハウジング11bの内周面11b1に相対回転可能に支持される。これにより、ナット21が軸受を介してハウジング11に相対回転可能に支持される。
図2に示すように、ボールねじ装置40は、前述した転舵シャフト20の外周面に形成される外周転動溝20a、外周転動溝20aの径方向外側に配置され内周面に内周転動溝21aが形成される前述のナット21,外周転動溝20aと内周転動溝21aとの間に配列される複数の転動ボール24,及び図略のデフレクタを備える。ボールねじ装置40は転舵力付与装置30と転舵シャフト20との間に配置され、軸力を転舵シャフト20に伝達する。
図3に示すように、ボールねじ装置40を構成する外周転動溝20aは、転舵シャフト20において、軸線方向における両端部25(第一端部25a、第二端部25b)の間に形成される。図2に示すように、外周転動溝20aは、転舵シャフト20の外周面に複数巻き螺旋状に巻回されて形成される。ナット21は、筒状に形成され、外周転動溝20aの径方向外方に外周転動溝20a(転舵シャフト20)と同軸になるよう配置される。
前述したように、ナット21は、内周面に内周転動溝21aを備える。内周転動溝21aは、外周転動溝20a(転舵シャフト20)と径方向外方で対向し螺旋状に形成される。内周転動溝21aは、複数巻き巻回されて形成される。外周転動溝20aとナット21の内周転動溝21aとが対向して配置され、それぞれ対応する外周転動溝20aと内周転動溝21aとの間で複数の転動ボール24が転動する転動路R1が形成される。
複数の転動ボール24は、転動路R1内に転動可能に配列される。これにより、転舵シャフト20の外周転動溝20aと、ナット21の内周転動溝21aとが、複数の転動ボール24を介して螺合する。転動路R1を転動する複数の転動ボール24は、ナット21内に配置されたデフレクタ(図略)と、ナット21内に形成され各デフレクタ間を接続する通路(図略)と、を介して無限循環される。デフレクタによる転動ボール24の無限循環については、公知の技術であるので、詳細な説明については省略する。
上記の構成により、転舵力付与装置30は、ステアリングホイール12の回転操作に応じてモータMを駆動し、モータMの出力シャフト37及び駆動プーリ36を回転させる。駆動プーリ36の回転は、歯付きベルト35を介して従動プーリ34に伝達され、従動プーリ34を回転させることにより、従動プーリ34に一体的に設けられるナット21が回転する。そして、ナット21が回転することにより、転舵シャフト20の軸線方向への軸力が、ボールねじ装置40が有する複数の転動ボール24を介して転舵シャフト20に伝達される。これにより、転舵シャフト20がA方向に往復移動される。
図1に示すように、ダンパ部50は、運転者がステアリングホイール12を回転操作(操舵)することに伴い入力される正入力、又は車両の外部から転舵輪28を介して入力される逆入力が転舵シャフト20に入力され、転舵シャフト20がA方向に移動された場合において、転舵シャフト20の大径部51と衝突させ、移動の衝突衝撃(エネルギー)を吸収する部位である。
なお、実施形態のダンパ部50は、図1に示すように、ステアリング装置10のA方向両側の2カ所に装着される。ダンパ部50は、円筒状でゴム製の弾性体53と、弾性体53と大径部51との間に介在し、大径部51の端面51aと直接当接する金属製の当接部54を備える。なお、ダンパ部50は、公知であるため、これ以上の詳細な説明については省略する。
また、図1に示すように、軸線方向左側に配置されたダンパ部50の軸線方向内側には、円筒状のラックブッシュ52が配置される。ラックブッシュ52は、後述する転舵シャフト20の両端部25のうち第一端部25aを内周面で支持する。
(2.転舵シャフト20の詳細な説明)
上述したように、ボールねじ装置40を構成する転舵シャフト20の外周転動溝20aは、軸線方向における両端部25(第一端部25a、第二端部25b)の間の外周面に形成される。また、外周転動溝20aは、軸線方向において、両端部25のうちの一方の端部である第一端部25aに接して形成される。図1、図3に示すように、ラック歯22は、軸線方向において、外周転動溝20aと転舵シャフト20の両端部25のうちの他方の端部である第二端部25bとの間で、外周転動溝20aと第二端部25b側で隣接する円柱部20dの第二端部25b側に隣接して配置される。
上述したように、ボールねじ装置40を構成する転舵シャフト20の外周転動溝20aは、軸線方向における両端部25(第一端部25a、第二端部25b)の間の外周面に形成される。また、外周転動溝20aは、軸線方向において、両端部25のうちの一方の端部である第一端部25aに接して形成される。図1、図3に示すように、ラック歯22は、軸線方向において、外周転動溝20aと転舵シャフト20の両端部25のうちの他方の端部である第二端部25bとの間で、外周転動溝20aと第二端部25b側で隣接する円柱部20dの第二端部25b側に隣接して配置される。
ラック歯22は、ステアリングホイール12の回動に伴って回転するピニオン13aに噛合する。そして、ステアリングホイール12、即ち、ピ二オン13aの回転に応じて、ピ二オン13aと噛合するラック歯22の噛合位置が軸線方向で移動し、転舵シャフト20がA方向に往復動される。
次に、転舵シャフト20に施される熱処理(焼き入れ)について説明する。図3に示すように、本実施形態では、転舵シャフト20を、軸線方向において、下記のようにそれぞれ定義される六つの区間(第一〜第六区間)に区分する。そして、焼き入れ深さが、それぞれ六つの区間ごとに設定された焼き入れ深さとなるよう、焼き入れ処理(熱処理)を行なう。なお、本実施形態において、焼き入れ処理(熱処理)は、高周波焼き入れとする。このときの焼き入れ方法は、各区間における焼き入れ深さに応じて加熱時間および加熱温度の少なくとも一方を変化させる、所謂、移動焼きである。
第一区間Ar1(図3参照)は、軸線方向において、外周転動溝20aと接する一方の端部である第一端部25aのうち、第一端部25aの端面から外周転動溝20aまでの間の長さよりも短い所定長さL1の区間であると定義する。第一端部25aは円柱状を呈する。第一端部25aの直径は、外周転動溝20aの溝底の直径より小さく形成されているため、外周転動溝20aを加工する際に工具が第一端部25a外周を加工せず、第一端部25aは円柱形に保たれる。
ただし、第一端部25aの端面に形成されためねじ孔(図略)には、大径部51のおねじ部(図略)が螺着されており、おねじ部とめねじ部とで円柱を形成するものとする。ここで、第一区間Ar1における焼き入れ深さをaとする(図4参照)。なお、上記の焼き入れ深さとは、材料硬さが所定値以上に硬化している領域における材料表面からの深さである。この硬度の所定値は、転舵シャフト20の曲げ強度を所定量だけ向上させるのに貢献する硬度の下限規格値である。また、焼き入れ深さaは、従来技術において、通常、第一端部25aの全域に施す焼き入れ深さと同等程度の深さである。
なお、図3において、第一区間Ar1は、第一端部25aの端面位置を含むよう記載されているが、この態様には限らない。第一区間Ar1と端面位置との間には、熱処理が施されていない部分、若しくは、熱処理が施されていても、第一区間Ar1における焼き入れ深さaよりも浅い焼き入れ深さを備えた部分を有していてもよい。本実施形態において、一方側のダンパ部50及びラックブッシュ52は、第一端部25aの第一区間Ar1内に配置される。
第二区間Ar2(図3参照)は、第一端部25aのうち第一区間Ar1以外の区間であって、外周転動溝20aと隣接する(接する)所定長さL2の区間であると定義する。本実施形態においては、所定長さL2は、第一端部25aの軸線方向長さLAから、第一区間Ar1における所定長さL1を減算した長さ(L2=LA−L1)となる。第二区間Ar2における焼き入れ深さの最大値をbとする(図4参照)。このとき、第二区間Ar2における焼き入れ深さの最大値bは、第一区間Ar1における焼き入れ深さaより大きい。
第三区間Ar3(図3参照)は、第二区間Ar2と外周転動溝20aとの境界B1を起点とする外周転動溝20a内の区間であって、外周転動溝20aが形成された区間の軸方向長さLBよりも短い所定長さL3の区間であると定義する。このとき、所定長さL3は、第一端部25aの第二区間Ar2の長さL2よりも短い方が好ましい。具体的には、所定長さL3は、外周転動溝20aのリードで換算すると5リード分程度であることが好ましい。また、第二区間Ar2の軸線方向における長さL2は、外周転動溝20aのリードで換算すると10リード分程度であることが好ましい。
これにより、第二区間Ar2と外周転動溝20a(第三区間Ar3)との境界B1近傍における転舵シャフト20の曲げ強度を所望の曲げ強度とすることができる。ただし、この態様に限らず、所定長さL3及び長さL2は任意に設定しても良い。また、所定長さL3及び長さL2の大小関係が逆転していても良い。これらによっても相応の効果は期待できる。そして、第三区間Ar3における焼き入れ深さをcとする(図4参照)。なお、第三区間Ar3における焼き入れ深さとは、外周転動溝20aの、溝底からの深さをいう。
第四区間Ar4(図3参照)は、外周転動溝20aのうち第三区間Ar3以外の区間であると定義する。つまり、第四区間Ar4の軸線方向長さL4は、外周転動溝20aの軸線方向長さLBから、第三区間Ar3の所定長さL3を減算した長さ(L4=LB−L3)となる。従って、通常、第四区間Ar4の軸線方向長さL4は、5リード分程度の長さの所定長さL3よりも長い。そして、第四区間Ar4における焼き入れ深さをdとする(図4参照)。なお、第四区間Ar4における焼き入れ深さとは、第三区間Ar3における焼き入れ深さと同様に外周転動溝20aの、溝底からの深さをいう。焼き入れ深さdは、従来技術において、通常、外周転動溝20aに施す焼き入れ深さと同等程度の深さである。
また、第五区間Ar5(図3参照)は、軸線方向において、外周転動溝20aと第二端部25b側で隣接する円柱部20dと、円柱部20dと第二端部25b側で隣接するラック歯22のうち円柱部20dとの境界B2を起点とする一部の区間とを合わせた所定長さL5の区間であると定義する。このとき、所定長さL5を構成する円柱部20dの長さ、及びラック歯22の一部の区間の長さの比率は任意に設定すればよい。そして、第五区間Ar5における焼き入れ深さをeとする(図4参照)。ここで、ラック歯22の一部の区間における焼き入れ深さとは、ラック歯22の歯底からの深さをいう。
なお、転舵シャフト20においては、ラック歯22の背面、及びラック歯22と背面との挟まれる側面にも焼き入れがなされている。熱処理時、これらの部位の表面と、加熱コイルとの距離は近いため、ラック歯22の歯底からの焼き入れ深さに比べて背面及び側面の焼き入れ深さは深くなる。しかし、車両で要求される転舵シャフトの曲げ方向における曲げ強さに最も寄与するのは歯底からの焼き入れ深さであるため、歯底からの焼き入れ深さを代表値としている。
また、第六区間Ar6(図3参照)は、少なくともラック歯22のうち第五区間Ar5を構成する部分以外の区間であると定義する。本実施形態においては、第六区間Ar6は、ラック歯22のうち第五区間Ar5を構成する部分以外の区間に、第二端部25bを加えた区間とする。そして、第六区間Ar6における焼き入れ深さをfとする(図4参照)。なお、第二端部25bには、他方側のダンパ部50が配置されている。
このとき、第六区間Ar6におけるラック歯22部分の焼き入れ深さは、第五区間Ar5におけるラック歯22の焼き入れ深さと同様にラック歯22の歯底からの深さをいう。焼き入れ深さfは、従来技術において、通常、ラック歯22の全域に施す焼き入れ深さと同等程度の深さである。また、歯底からの焼き入れ深さと、背面及び側面の焼き入れ深さとの関係及び位置づけは第五区間Ar5と同様である。また、第五区間Ar5における焼き入れ深さeは、第六区間Ar6における焼き入れ深さfより大きい。
上記のように定義された第一区間Ar1〜第六区間Ar6における焼き入れ深さa〜fの大小関係は、さらに、図4に示すように、下記式(1)を満たす。このとき、焼き入れ深さを各区間ごとに設定する方法としては、上述したように、高周波焼き入れにおいて、焼き入れ深さに応じた加熱時間および加熱温度の少なくとも一方を変化させることにより、所望の焼き入れ深さを得る。
b>a≧c>d>e>f・・・・(1)
以上で述べた焼き入れ深さa、c、d、e、fは、各区間において、ほぼ一定、かつほぼ中央値となる焼き入れ深さの値である。なお、第一区間Ar1−第六区間Ar6での焼き入れ深さにおける材料硬さの所定値は等しい。
b>a≧c>d>e>f・・・・(1)
以上で述べた焼き入れ深さa、c、d、e、fは、各区間において、ほぼ一定、かつほぼ中央値となる焼き入れ深さの値である。なお、第一区間Ar1−第六区間Ar6での焼き入れ深さにおける材料硬さの所定値は等しい。
ただし、上記式(1)を全て満たさずとも、上述した様に、第二区間Ar2における焼き入れ深さの最大値bが、第一区間Ar1における焼き入れ深さaより大きい(b>a)だけでもよい。また、第三区間Ar3における焼き入れ深さcは、第四区間Ar4における焼き入れ深さdより大きい。さらに、上述したb>aに加え、第五区間Ar5における焼き入れ深さeが、第四区間Ar4における焼き入れ深さdより小さい(d>e)ことを満足するだけでもよい。これによっても、相応の効果は得られる。
(3.作用)
上記のように、第一区間Ar〜第六区間Ar6における焼き入れ深さa〜fが設定された状態で、例えば、一方側(図1において左側)の転舵輪28が縁石に乗り上げた場合を想定する。この場合、転舵輪28が縁石に乗り上げた際の縁石からの反力F1が、大径部51、即ち、転舵シャフト20の第一端部25aに、図5に示すよう入力される場合がある。
上記のように、第一区間Ar〜第六区間Ar6における焼き入れ深さa〜fが設定された状態で、例えば、一方側(図1において左側)の転舵輪28が縁石に乗り上げた場合を想定する。この場合、転舵輪28が縁石に乗り上げた際の縁石からの反力F1が、大径部51、即ち、転舵シャフト20の第一端部25aに、図5に示すよう入力される場合がある。
なお、図5は、転舵シャフト20が左方向に移動し、右側の大径部51が他方側のダンパ部50に当接している状態を示している。このとき、タイロッド26,26は、図1に示すように転舵シャフト20の軸線に対して、所定の角度を有して傾いている。
また、図5において、支持位置Q1は、左側のダンパ部50による転舵シャフト20の支持位置である。支持位置Q2は、他方側のダンパ部50による転舵シャフト20の支持位置である。また、支持位置Q3は、ラックブッシュ52による転舵シャフト20の第一端部25aの支持位置である。さらに、支持位置Q4は、噛合するピニオン13aによる、ラック歯22の支持位置である。
この場合、転舵シャフト20は、例えば、支持位置Q1、及びナット21の軸線方向における中央位置Rを支点として図6に示すように撓む虞がある。しかし、このとき、支持位置Q1及び中央位置Rの間において最も応力が集中しやすい外周転動溝20aと第一端部25aとの境界B1及び境界B1の軸線方向両側部、即ち第二区間Ar2、及び第三区間Ar3は、第一区間Ar1の焼き入れ深さa及び第四区間Ar4の焼き入れ深さdに対し、それぞれ焼き入れ深さb,及び焼き入れ深さcが所定量だけ大きくなっている。これにより、転舵シャフト20は、曲げに対する強度、特に降伏強度が向上し、除荷後の残留変形が良好に抑制される。
また、例えば、他方側(図1において右側)の転舵輪28が、縁石に乗り上げた場合を想定する。この場合、転舵輪28が縁石に乗り上げた際の縁石からの反力F2が、転舵シャフト20の第二端部25bに、図7に示すよう入力される場合がある。なお、図7は、転舵シャフト20が右方向に移動し、左側の大径部51が一方側のダンパ部50と当接している状態を示している。このとき、タイロッド26,26は、図1に示すように転舵シャフト20の軸線に対して、所定の角度を有して傾いている。
この場合、転舵シャフト20は、例えば、他方側のダンパ部50による支持位置Q2、及びナット21の軸線方向における中央位置Rを支点として図8に示すように撓む虞がある。しかし、このとき、支持位置Q2及び支持位置Rの間において最も応力が集中しやすい円柱部20dとラック歯22との境界B2及び境界B2の軸線方向両側部、即ち第五区間Ar5では、第六区間Ar6の焼き入れ深さfに対し、焼き入れ深さeが所定量だけ大きくなっている。これにより、転舵シャフト20は、曲げに対する強度、特に降伏強度が向上し、除荷後の残留変形が良好に抑制される。
なお、第一区間Ar1〜第六区間Ar6における焼き入れ深さa〜fの大小関係は、第一実施形態で示した順序に限らず、下記式(2)を満たすようにしてもよい。これによっても上記実施形態と同様の効果が期待できる。
b≧c>a>d>e>f・・・・(2)
b≧c>a>d>e>f・・・・(2)
(4.第一実施形態による効果)
上記第一実施形態によれば、ステアリング装置10が備える転舵シャフト20は、軸線方向において、外周転動溝20aは、両端部25のうちの一方の端部である第一端部25aに接して形成され、第一端部25aのうち端面から外周転動溝20aまでの長さよりも短い所定長さL1の端面側の区間を第一区間Ar1と定義する。また、第一端部25aのうち第一区間Ar1以外の区間であって外周転動溝20aと隣接する区間を第二区間Ar2と定義する。また、第二区間Ar2と外周転動溝20aとの境界B1を起点とする外周転動溝20aの区間であって外周転動溝20aが形成された区間の軸方向長さLBよりも短い所定長さL3の区間を第三区間Ar3と定義する。また、外周転動溝20aのうち第三区間Ar3以外の区間を第四区間Ar4と定義する。このように第一区間Ar1−第四区間Ar4を定義した場合に、第二区間Ar2における焼き入れ深さbの最大値は、第一区間Ar1における焼き入れ深さaより大きい。
上記第一実施形態によれば、ステアリング装置10が備える転舵シャフト20は、軸線方向において、外周転動溝20aは、両端部25のうちの一方の端部である第一端部25aに接して形成され、第一端部25aのうち端面から外周転動溝20aまでの長さよりも短い所定長さL1の端面側の区間を第一区間Ar1と定義する。また、第一端部25aのうち第一区間Ar1以外の区間であって外周転動溝20aと隣接する区間を第二区間Ar2と定義する。また、第二区間Ar2と外周転動溝20aとの境界B1を起点とする外周転動溝20aの区間であって外周転動溝20aが形成された区間の軸方向長さLBよりも短い所定長さL3の区間を第三区間Ar3と定義する。また、外周転動溝20aのうち第三区間Ar3以外の区間を第四区間Ar4と定義する。このように第一区間Ar1−第四区間Ar4を定義した場合に、第二区間Ar2における焼き入れ深さbの最大値は、第一区間Ar1における焼き入れ深さaより大きい。
このように、第一端部25aにおいては、外周転動溝20aと隣接する第二区間Ar2における焼き入れ深さbの方が外周転動溝20aと隣接しない第一区間Ar1における焼き入れ深さaよりも所定量だけ深い。また、外周転動溝20aにおいては、第一端部25a(第二区間Ar2)に隣接する第三区間Ar3における焼き入れ深さcの方が、第一端部25a(第二区間Ar2)に隣接しない第四区間Ar4における焼き入れ深さdよりも所定量だけ深い。
このため、転舵シャフト20の第一端部25a側に転舵輪28からの反力F1が入力され、転舵シャフト20に過大な曲げ方向の負荷が加わった場合においても、転舵シャフト20は、大きな応力を受ける外周転動溝20aの端部(境界B1)の軸線方向両側に配置された焼き入れ深さが深い第二区間Ar2及び第三区間Ar3によって除荷後の残留変形(撓み)が良好に抑制される。また、このとき、残留変形(撓み)を規制するのに必要な区間(第二区間Ar2及び第三区間Ar3)に対してのみ、焼き入れ深さb,cを深くするので、全体においては熱処理のためのサイクルタイムを短くでき低コスト化が図れる。
また、上記第一実施形態によれば、軸線方向において、転舵シャフト20の第二区間Ar2の長さL2は、第三区間Ar3の長さL3よりも長い。これにより、熱処理に時間がかかる外周転動溝20aにおける第三区間Ar3を短くできるので、低コストに対応できる。
また、上記第一実施形態によれば、ステアリング装置10の転舵シャフト20は、ピニオン13aを備え、転舵シャフト20は、軸線方向における外周転動溝20aと、両端部25のうちの他方の端部である第二端部25bとの間で、外周転動溝20aと隣接する円柱部20dに隣接して配置され、ステアリングホイール12の回動に伴い回転するピ二オン13aと噛合するラック歯22を備える。そして、軸線方向において、外周転動溝20aと第二端部25b側で隣接する円柱部20dと、円柱部20dと第二端部25b側で隣接するラック歯22のうち円柱部20dとの境界B2を起点とする一部の区間とを合わせた所定長さL5の区間を第五区間Ar5と定義する。また、ラック歯22のうち第五区間Ar5以外の区間を第六区間Ar6と定義する。このように第五区間Ar5及び第六区間Ar6を定義した場合に、第五区間Ar5における焼き入れ深さeは、第六区間Ar6における焼き入れ深さfより大きい(e>f)。
このため、転舵シャフト20の第二端部25bに転舵輪28からの反力F2が入力され、転舵シャフト20に過大な曲げ方向の負荷が加わった場合においても、転舵シャフト20は、大きな応力を受けるラック歯22の端部(境界B2)の軸線方向両側に配置された焼き入れ深さが深い第五区間Ar5によって撓みが良好に規制される。
また、このとき、撓みを規制するのに必要な区間(第五区間Ar5)に対してのみ、焼き入れ深さeを深くするので、ラック歯22全域においては熱処理のためのサイクルタイムを短くでき低コスト化が図れる。また、第五区間Ar5における焼き入れ深さeは、外周転動溝20aの第四区間Ar4における焼き入れ深さdより浅くても、十分、撓みに対する強度が確保できる。つまり、ラック歯22の背面側は、円周面を有している。このため、外周転動溝20aよりも大きな断面係数が確保でき、焼き入れ深さeを、第四区間Ar4における焼き入れ深さdよりも浅くすることができる。これによっても、熱処理のためのサイクルタイムを短くでき低コスト化が図れる。
(5.その他)
なお、上記第一実施形態では、転舵シャフト20の第一区間Ar1における焼き入れ深さaは一定であるとして説明した。しかしこの態様には限らない。変形例1として、図9に示すように第一区間Ar1における焼き入れ深さaは、第一端部25aの端面側から第二区間Ar2までの間において徐変しながら増加しても良い。これにより、第一区間Ar1における焼き入れのサイクルタイムをさらに短縮できる。
なお、上記第一実施形態では、転舵シャフト20の第一区間Ar1における焼き入れ深さaは一定であるとして説明した。しかしこの態様には限らない。変形例1として、図9に示すように第一区間Ar1における焼き入れ深さaは、第一端部25aの端面側から第二区間Ar2までの間において徐変しながら増加しても良い。これにより、第一区間Ar1における焼き入れのサイクルタイムをさらに短縮できる。
また、上記第一実施形態では、転舵シャフト20の第六区間Ar6における焼き入れ深さfは一定であるとして説明した。しかしこの態様には限らない。変形例2として、図9に示すように第六区間Ar6における焼き入れ深さfは、第五区間Ar5との境界から第二端部25bに向かって徐変しながら減少させてもよい。これにより、第六区間における焼き入れのサイクルタイムをさらに短縮できる。
また、上記実施形態では、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置10を前提として説明した。しかし、この態様には限らない。他の実施形態として、電動パワーステアリング装置は、例えば、特開2011−105075号公報に記載されるような、ラック軸とモータとが同軸に配置される、所謂、ラックダイレクト型の電動ステアリング装置であってもよい。また、その他、ステアリングホイールと機械的に連結されない転舵シャフトを転舵力付与装置が備えるモータで駆動するステアバイワイヤ(SBW)のステアリング装置であってもよい。さらには、自動運転で適用されるステアリング装置であってもよい。
10:電動パワーステアリング装置(ステアリング装置)、 11:ハウジング、 12:ステアリングホイール、 13a:ピニオン、 20:転舵シャフト、 20a:外周転動溝、 20d:円柱部、 22:ラック歯、 25a:第一端部、 25b:第二端部、 30:転舵力付与装置、 40:ボールねじ装置、 Ar1−Ar6:第一区間−第六区間、 B1,B2:境界、 F1:反力、 F2:反力。
Claims (7)
- ハウジングと、
前記ハウジングに支持され両端がタイロッドを介して転舵輪に連結されるとともに、前記ハウジングに対して軸線方向に相対移動して前記転舵輪を転向させる転舵シャフトと、
モータを駆動源とし前記転舵シャフトに軸力を付与する転舵力付与装置と、
前記転舵力付与装置に含まれ、軸力を前記転舵シャフトに直接、伝達するボールねじ装置と、
を備える、ステアリング装置であって、
前記転舵シャフトは、
両端に端面から所定長さの円柱状の端部を備え、
前記軸線方向における両端部の間の外周面に形成され、前記ボールねじ装置を構成する螺旋状の外周転動溝を備え、
前記軸線方向において、
前記外周転動溝は、前記両端部のうちの一方の端部である第一端部に接して形成され、
前記第一端部のうち、前記端面から前記外周転動溝までの長さよりも短い所定長さの前記端面側の区間を第一区間と定義し、
前記第一端部のうち前記第一区間以外の区間であって前記外周転動溝と隣接する前記区間を第二区間と定義し、
前記第二区間と前記外周転動溝との境界を起点とする前記外周転動溝の区間であって前記外周転動溝が形成された区間の軸方向長さよりも短い所定長さの前記区間を第三区間と定義し、
前記外周転動溝のうち前記第三区間以外の区間を第四区間と定義した場合に、
前記第二区間における焼き入れ深さの最大値は、前記第一区間における焼き入れ深さより大きい、ステアリング装置。 - 前記第三区間における焼き入れ深さは前記第四区間における焼き入れ深さより大きい、請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記軸線方向において、
前記第二区間の長さは、前記第三区間の長さよりも長い、請求項1又は2に記載のステアリング装置。 - 前記第一区間における前記焼き入れ深さは、前記端面側から前記第二区間までの間において徐変しながら増加する、請求項1−3の何れか1項に記載のステアリング装置。
- ピニオンを備え、
前記転舵シャフトは、
前記軸線方向における前記外周転動溝と、前記両端部のうちの他方の端部である第二端部との間で、前記外周転動溝と隣接する円柱部に隣接して配置され、ステアリングホイールの回動に伴い回転する前記ピニオンと噛合するラック歯を備え、
前記軸線方向において、前記外周転動溝と前記第二端部側で隣接する前記円柱部と、前記円柱部と前記第二端部側で隣接する前記ラック歯のうち前記円柱部との境界を起点とする一部の区間とを合わせた所定長さの区間を第五区間と定義し、
少なくとも前記ラック歯のうち前記第五区間以外の区間を第六区間と定義した場合に、
前記第五区間における焼き入れ深さは、前記第六区間における焼き入れ深さより大きい、請求項1−3の何れか1項に記載のステアリング装置。 - 前記第五区間における焼き入れ深さは、前記第四区間における焼き入れ深さより小さい、請求項5に記載のステアリング装置。
- 前記第六区間における前記焼き入れ深さは、前記第五区間との境界から前記第二端部の前記端面側に向かって徐変しながら減少する、請求項5又は6に記載のステアリング装置。
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