JP2006122712A - 患者に流体薬品を投与する注射器及び投与する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体薬品の投与時に注射器の注射チューブに対して皮膚を効果的に安定状態に保持できる注射器及び流体薬品の投与方法を提供する。
【解決手段】注射器は、隔室40を形成された実質的に円筒形の部材と、注射チューブ42と、注射チューブ42を通して流体薬品を送出するために注射チューブ42に連結された駆動手段と、前記円筒形の部材の開端を患者に押当てて保持したときに隔室40の内部に部分真空を発生させるためのポンプとを有する。隔室40の内部に生じた真空は患者の皮膚を隔室40内に吸引して、患者の皮膚に対して注射チューブ42の先端を位置決めするとともに、皮膚を前記先端に対して相対移動しないように安定状態に保持し、その状態で流体薬品を投与する
【選択図】図3

Description

本発明は一般に流体薬品を患者に皮下投与するための注射器及び投与する方法に関する。さらに詳しくは、本発明はいわゆる無針注射器に関する。本発明は特に、しかし制限するわけではないが、流体薬品を注射するときに信頼性の高い皮膚−注射器の関係状態を保持するために注射チューブの先端を患者の皮膚に対して安定状態で保持する注射器として有用である。
長年にわたり、いわゆる無針注射器が流体薬品を患者に投与するために市販されてきた。この形式の注射器に対する関心は、主として安全目的で生まれている。何故なら、無針注射器は偶然または不用意に望まれない創傷や刺し傷を生じ得る鋭い突起を典型的に有していないからである。さらに詳しくは、無針注射器に対する関心は、エイズなどの厳しい病気が針を刺すことで伝染し得るという知識によって高められてきた。それ以外でも望ましいが、無針注射器の設計は、不適当に取り扱われたならば効果がなくなるような関係をバランスさせることを必要とする。
皮膚はもともと弾性であり、流体薬品を注射するときに無針注射器(injector/syringe)の注射チューブと患者の皮膚との間に形成される境界面が極めて重要となる。特に幾つかの相互に作用する因子を同時に考慮しなければならない。それらの因子には、シール圧力、保持力、皮膚の安定状態、および組織の損傷が含まれる。
シール圧力は、注射時に流体薬品の漏れを防止するような信頼性の高い皮膚−注射器の関係状態を確立しなければならないために重要である。このシール圧力の観点に多少関係して、注射時に注射器を皮膚に押当てて保持する十分な力も加えられるべきことが必要である。特に、処置者の手の動きで、または注射器の操作時に生じ得るあらゆる運動量のために注射器が皮膚から外れてしまうことを防止するという点で、保持力は重要である。+患者と無針注射器との間の相対移動に関する問題に加えて、注射時に皮膚を安定状態に保持するという重要な問題もある。特に、皮膚の弾性のために、流体薬品の投与時には、注射チューブが最初の刺激時に皮膚を通して形成した孔から外れるように移動しないことが非常に重要である。最後に、上述した因子を総合的に考慮して、皮膚損傷や痛みを生じ得る注射器上の鋭い縁部や突起を排除することで、組織の損傷を絶対的に最小限に抑制することが主要な設計上の考えである。
上述した注射器と皮膚との境界面に関する問題に対処するために、注射器の構造的な設計に関する幾つかの重要な問題を考慮しなければならない。シール圧力を注射器の皮膚との境界面に形成できる1つの方法は吸引である。吸引がこの目的で使用されるならば、注射チューブの周囲に吸引隔室(部分真空)を形成することが必要である。シール圧力および保持力の両方共、大きな吸引隔室および隔室内部の高い部分真空によって有利となる。一方、吸引隔室が大きすぎると、また吸引隔室内部の吸引力が大きすぎると、過大な皮膚の歪みを生じ、これは皮膚の安定状態の保持に逆作用する。さらに、吸引隔室内部の過大な吸引(部分真空)力は皮膚を過度に密接な状態となるように引っ張り、注射チューブの先端が皮膚を強く押圧しすぎる状態を生じる。これは、皮下血腫(毛細血管の破壊によって生じる)や、出血(皮膚に注射孔を形成するのに必要とされる限度を超えて皮膚を過度に刺傷することで生じる)のような組織の損傷をもたらす。要約すれば、高いシール圧力および大きな保持力は、皮膚を最大限に安定状態に保持し、また組織の損傷を最小限に抑制するという望ましい目的と矛盾することになる。特に、注射過程の初期段階で、流体薬品と皮膚との間の衝突が生じるときにそうである。
無針注射器で注射過程を開始するために、まず流体薬品を注入する「孔」を皮膚に形成することが必要なことは明白である。しかしながら、皮膚に適当な孔を形成することは流体薬品が相当に高い圧力のもとで初期投与されることの必要性が生じる。実際上の問題として、そのような孔を形成するのに必要な圧力は、その孔を通して流体薬品を注射するのに必要なその後の圧力よりも格段に高い。さらに、或る種の注射は筋肉内注射(例えば或る種のワクチン注射)を必要とし、その他は皮下注射(例えばインフルエンザ注射(flu shots)またはインシュリン)を必要とする一方、その他は皮内注射(例えばDNAワクチンおよびアレルギー・テスト)が好ましい。これらの全てにおける問題点は、無針注射器ではシール圧力、保持圧力、皮膚の安定保持、および組織の損傷があるといえども、それらの因子は設計の結果に影響されるということである。
上述したように、無針注射器の製造においては、創傷、刺傷またはその他に組織の圧迫を生じ得る鋭い縁および尖端を避けることが望ましい。一方、流体薬品を投与する注射チューブの先端は小さいことが望ましい。この1つの理由は、小さな先端は大きな先端の場合よりも一層効果的に力の集中を生じて、漏れを十分に防止できる流体シールを形成できるからである。勿論、これは組織の圧迫を生じないで達成される必要がある。さらに、それらのより効果的な流体シールによって、小さな先端は低い流体注射圧力の使用を可能にし、従って投与時間の遅延を達成できる。この結果、嵩ばらない薄い壁を有する安価な無針注射器が得られ、それ故に使用し易くなる。いずれの場合も、上述した他の因子、すなわちシール圧力、保持圧力、皮膚の安定保持、および組織の損傷という因子の全てを適当にバランスさせなければこれを達成できない。
上述に鑑み、本発明の目的は、組織の圧迫や損傷を回避する一方で緩やかに流体薬品を注射することのできる、患者に流体薬品を皮下投与するための注射器を提供することである。本発明の他の目的は、流体薬品の投与時に注射器の注射チューブに対して皮膚を効果的に安定状態に保持する、患者に流体薬品を皮下投与するための注射器を提供することである。本発明のさらに他の目的は、流体薬品の投与時に注射器が患者から外れるのを防止するために十分なシール圧力および十分な保持力を発生させ、これにより望ましくない裂傷や流体薬品の漏れを防止する、患者に流体薬品を皮下投与するための注射器を提供することである。本発明の他の目的は、筋肉内、皮下または皮内注射に使用するように構成できる射出注射器を提供することである。本発明のさらに他の目的は、「孔」の形成と、その孔を通しての引き続く流体薬品の注射との両方を行うのに有効な圧力変化を有する射出注射器を提供することである。本発明のさらに他の目的は、簡単に使用でき、比較的容易に製造でき、価格効果の比較的良好な、患者に流体薬品を皮下投与するための注射器を提供することである。
本発明によれば、患者に流体薬品を皮下投与するための注射器は、閉端および開端を有する実質的に円筒形の部材を含む。閉端は表面で形成され、この表面は注射器の基部材として効果的に機能する。円筒形部材の側面は閉端および開端の間隔距離を延在する外壁で形成される。従って隔室が形成される。特に、隔室は基部材(すなわち、円筒形部材の閉端)の内側表面、基部材から閉端および開端の間を延在する外壁、および外壁のリム(すなわち、円筒形部材の開端)によって境界される。
発明を実施するための形態
注射器の隔室内部には、円筒形部材の閉端を形成する表面から円筒形部材の開端へ向かって外方へ注射チューブが延在する。さらに、内壁も該表面から隔室内へ開端へ向かって外方へ延在する。従って、隔室は外壁および内壁の間に位置する外側隔壁と、内壁および注射チューブの間に位置する内側隔室とに分離される。外壁、内壁および注射チューブは同心とされることが好ましい。皮内(浅い)注射の場合には、外壁、内壁および注射チューブは全て隔室の閉端の表面から実質的に同じ距離を延在する。しかしながら、筋肉内または皮下(深い)注射の場合には、注射チューブが外壁を超えて延在し、外壁は内壁を超えて延在することが好ましい。
本発明の注射器はまた、内側隔室および外側隔室の両方と流体連通する状態に連結された吸引手段を含む。吸引手段は、流体薬品を注射するときに注射チューブを通して流体薬品を送出するために前記注射チューブに連結された駆動手段から独立して作動可能である。本発明で意図するように、円筒形部材の開端(壁のリム)が患者に押当てて保持されたとき、吸引手段が作動されて皮膚を隔室内へ吸引する。この部分真空によって皮膚を隔室内へ吸引することで、注射チューブの先端は患者の皮膚に押当てられて位置決めされ、両者の間に境界面シールが形成される。このようにして皮膚が保持された状態では、患者に対する流体薬品の注射時に注射チューブの先端に対する皮膚のあらゆる相対的な動きは最小限に抑制される。
注射時には、注射器の内壁は皮膚吸引深さの制御構造部として効果的に作用する。皮膚を通してそれぞれ筋肉組織または脂肪組織内へ流体薬品が注射される筋肉内または皮下注射では、内壁は外壁から、また注射チューブから凹んだ状態とされる。いずれの場合でも結果として皮膚に大きな張力が与えられ、その結果として注射流体の浸透深さは大きくなる。しかしながら張力が過大すぎると、皮膚の性質が弾性である結果として生じる「皮膚のクリープ」のような悪影響が生じ得る。内壁が吸引深さを制御する構造は、この張力を許容限界内に保持する。皮膚のクリープが大きな問題とならない皮内注射では、外壁、内壁および注射チューブの同延構造が皮膚の張力をかなり低減し、その結果として注射した流体の衝突深さを小さくする。さらに、浅い注入(すなわち皮内注射の場合)では、筋肉内注射の場合に使用されるよりも10〜12秒ほど長く吸引力を保持するならば一層効果的となる。
本発明の注射器の他の概念は、注射時に効果的な圧力変化を確立させる構造に関する。特に全ての場合において、注射器がまず皮膚に「孔」を形成すること、およびその後に実質的に定常な薬品の注入を保持することが望ましい。本発明を考えた場合、このことは注射チューブの先端部分に空気ポケットを形成することで達成できる。この空気ポケットの作用は、流体薬品が注射チューブから射出されるときの最初の高い瞬間圧力(圧力スパイク)を発生させることである。この圧力スパイクにより、「孔」が皮膚に開けられる。その後、低圧で通常の注入が続けられる。ある点まで、注射チューブの先端部分の空気ポケットが大きくなればなるほど、流体薬品の浸透は深くなることが生じる。従って皮内(浅い)場合には、空気ポケットの寸法を小さくすることで最も多くの利益を得られることになる。
本発明のこれに代わる実施例では、注射器は上述した皮膚吸引深さ制御構造を変化させるために使用できるインサートを受け入れるように構成されている。これらのインサートは幾つかの方法のいずれによっても構成できる。例えば、複数の内壁を有して、それぞれ複数の吸引隔室を注射チューブの周囲に形成することができ、または唯一の外壁、およびその外壁と注射チューブとの間を半径方向へ延在する複数のリブを有して構成できる。
本発明の注射器の作動では、吸引手段が皮膚を隔室内部に安定状態に保持したならば、注射チューブに連結された駆動手段が作動される。この駆動手段の作動によって、流体薬品が注射チューブを通して送出され、まず皮膚に孔を形成し、その後その孔を通して流体薬品を患者に注射する。注射の作業サイクルの例として、注射器の先端が安定状態に保持されると、駆動手段は大体1〜5秒間ほどさどされて約1ミリリットル流体薬品を注射する。
本発明のこの新規な特徴、ならびに構造およびその作動に係わる本発明そのものは、以下の説明と関係する添付図面から最もよく理解されるであろう。図面において、同じ符号は同じ部分を示している。
まず図1を参照すれば、本発明による流体薬品を投与するシステムが図示されており、全体を符号10で示されている。本発明の目的のために、システム10は筋肉(筋肉内)、皮下または皮膚内(皮内)のいずれかに流体薬品を選択して注射することで、患者12に流体薬品を投与するのに使用される。全ての作動モードに関して、システム10は基本的に注射装置14を含む。この注射装置14は無針注射器16を作動させるために使用され、注射装置14によって無針注射器16から流体薬品を送出する。注射時に注射器16を患者12の皮膚に対して安定状態に保持するために、システム10は真空ライン20を経て注射器16と流体連通状態に連結された吸引ポンプ18を含む。さらに詳しくは、注射器16と患者12の皮膚との間に部分真空を発生させると、少なくとも3つの機能を発揮する。第1に、部分真空は注射するために皮膚に望まれる張力を生じさせる。留意すべきは、筋肉内注射の場合の望まれる張力は皮内注射の場合の張力とは異なるということである。第2に、上述したように、部分真空は注射器16を患者12に対して安定状態に保持するのを助ける。第3に、部分真空は注射器16と患者12との間に流体シールを形成し、これは流体薬品54の投与すなわち注射を効果的に行えるようにする。
詳細に説明すれば、本発明の注射器16の好ましい実施例は図2、図3および図4を相互に参照して最もよく認識できる。図2では、注射器16がプランジャー22を含むことが見られる。特に、図2に示すように、プランジャー22は中心軸線26に沿って流体室24内へ推し進められる用に配置される。図示したように中心軸線26は流体室24を形成する円筒形の胴体28の長手方向軸線とされることが効果的である。
胴体28および流体室24の先端において注射器16は基部材30を形成されており、基部材30は流体室24から先端へ向かう方向へ向いている。図3および図4に示すように、基部材30は少なくとも1つの開口34を形成されており、開口34は基部材30を通って表面32へ延在する。また、基部材30は円筒形のスカート36を形成され、スカート36は表面32から先端へ向かって(外方へ)延在している。さらに詳しくは、スカート36は中心軸線26を中心とした円形リム38を有し、円形リム38は隔室40を形成する助けをなす。本発明の目的のために、注射器16の隔室40は基部材30の表面32と、その表面32から延在するスカート36と、円形リム38が位置する平面との間に囲まれた空間として一般に形成される。別な表現をすれば、隔室40は閉端(表面32)と、スカート36と、開端(リム38で形成される)とで境界される。
さらに図3を参照すれば、注射チューブ42は流体室24と基部材30の表面32との両方から先端へ向かって延在するのが見られる。さらに、注射チューブ42は先端44を形成され、先端44は一般に円形のポート46を形成されている。注射チューブ42の円形ポート46の直径に対する円形リム38の直径の比は約16:1であることが好ましい。また、図3に示すように、注射器16は当接部48を含み、この当接部48は一般に円筒形で、表面32から先端ヘ向かって(外方へ)延在する。図示したように、当接部48はスカート36と注射チューブ42との間で隔室40内部に配置される。当接部48およびスカート36が両方とも中心軸線26に対して同軸的に配向されることが好ましい。皮内注射(すなわち、皮膚内への注射)を行うことが望ましい本発明の実施例では、注射チューブ42の先端44、スカート36の円形リム38、および当接部48は全てが表面32から実質的に同じ距離を延在する。一方、筋肉内注射を行うことが望ましい本発明の実施例では、これらの部材は異なる長さを先端へ向かって延在する。特に、先端44はスカート36の円形リム38を超えて先端へ向かって延在し、スカート36の円形リム38は当接部48を超えて先端へ向かって延在する。この構造(筋肉内注射)の結果は図5を参照して最もよく認識される。
図5を参照すれば、吸引ポンプ18を作動された注射器16に患者12の皮膚が係合されて示されていることを認識しなければならない。特に、この係合により、真空ライン20は開口34を通して隔室40と流体連通状態にある。その結果、水銀柱で大体15.24〜30.48mmHg(6〜12inHg)の範囲の部分真空が隔室40の内部に形成される。この部分真空により、皮膚50は隔室40内に部分的に吸引される。特に、図示したように、皮膚50は当接部48と接触するまで40内に吸引される。重要なことに、これにより注射チューブ42の先端44が皮膚50に押当てられて位置された箇所において皮膚50は張力状態となされる。
図5はまた、注射の前に注射チューブ42内の、注射チューブ42の先端44と流体室24内の流体薬品54との間に空気ポケット52が形成されることも示している。本発明では、この空気ポケット52は当業者によく知られているいずれの方法でも形成でき、また望まれるいずれの体積とすることもできる。空気ポケット52の重要性はおそらく図6を参照することで最もよく認識される。
図6では、システム10が注射を行うために最初に作動される時刻t0において、流体薬品54は注射チューブ42を通して加速される。空気ポケット52の存在により、注射チューブ42を通る流体薬品54の最初の加速は比較的急激である。この急激な加速の結果としてt0およびt1の間の時間間隔内に流体薬品に圧力スパイク56を生じ、この圧力スパイクは最初に送出された流体薬品により皮膚50に孔を効果的に形成させる。t0およびt1の間の持続時間は、ほとんどの場合に約1ミリ秒(1ms)である。空気ポケット52の有効寸法には限界が生じる。この限界を超えると、圧力スパイク56の大きさは平坦となり、低下する場合すらある。孔が形成されたならば、また注射チューブ42にもはや空気ポケット52がなくなったならば、流体室24内に残留する流体薬品54の全ての注入は低下した注入圧力で遂行されることになる。図6に示すように、注入圧力58はt1〜t2の時間間隔を通して実質的に保持される。注入する流体薬品54の体積に応じて、t1〜t2の時間間隔は一般に1〜5秒の範囲とされ、また皮内注射の場合には最大20秒とすることができる。しかしながら、当業者には圧力スパイク56および注入圧力58の大きさ、ならびに注入持続時間は可変であって、関連技術分野で周知の方法で処置者が制御することができることは認識されるであろう。
上述で示したように、本発明のシステム10は筋肉内注射および皮内注射の場合に向けられる。上述で示したように、スカート36のリム38、当接部48、および注射チューブ42の先端44の間の関係はその適用に多少依存する。皮内注射の場合では、スカート36のリム38、当接部48の前縁60、および注射チューブ42の先端44の全ては実質的に同一平面内に位置される。
図7A、図7Bおよび図7Cは皮内注射の場合に使用できるさまざまな注射器構造をそれぞれ示している。特に、図7Aはスカート36のリム38、当接部48の前縁60、および注射チューブ42の先端44の全てが実質的に同一平面内に位置する注射器62を示している。図7Bおよび図7Cはそれぞれ注射器64,66を示しており、この構造は当接部48を複数の伸長部68(図7B)と置き換え、また当接部48を完全に除く代わりに鋭くない先端44’(図7C)を備えることによって多少変更されている。しかしながらこれらの全ての実施例で、スカート36のリム38および先端44(先端44’)は実質的に同一平面内に位置する。
システム10の作動は図8A、図8B、図8C、図8Dおよび図8Eを相互に参照することで最もよく認識される。まず、図8Aでは、注射装置14は駆動バー70を含み、駆動バー70は駆動ばね72の作用を受ける。さらに詳しくは、駆動ばね72はスライド部材74および基部材76の間に位置する。これらの部材の組み合わせにより、注射装置14はスライド部材74および基部材76の間の駆動ばね72を圧縮するようにそれらの部材を移動させることで簡単に装備できる。駆動ばね72の圧縮に加えて、この作動はまた駆動バー70を解放機構78に係合させる。詳しくは、駆動バー70が解放機構78へ向けて移動されると、駆動バー70の基端に形成されている凹み80がボール軸受82(図8B参照)と係合される。従って、駆動バー70は発射(コック(cocked))位置に保持される。
図8Cに示されるように、駆動バー70がコック位置に保持されたならば、注射器16は注射装置14に係合できる。これは注射装置14のグリップ84を注射器16に形成されている耳86に係合させて行われる。この係合はまた注射器16のプランジャー22を注射装置14の駆動バー70と整合させる。参考として、この整合は実質的に中心軸線26に沿って行われる。
注射装置14を発射するために発射キャップ88を図8Cに示す位置から図8Dに示す位置へ押圧することが必要である。これは2つのことを行う。第1に、発射キャップ88を押圧することでその発射キャップ88内に取り付けられている発射ばね組立体90が圧縮される。第2に、発射キャップ88の押圧はボール軸受82を発射キャップ88内に形成されている凹部92と整合させる。これらの全ての結果として、圧縮された発射ばね組立体90は駆動バー70を押圧し、その駆動バー70を中心軸線26に沿って先端へ向けて移動させる。この作動は、さらにボール軸受82を凹部92内へ移動させる。この状態で、駆動バー70はボール軸受82のグリップから解放され、駆動ばね72は伸長される。これにより駆動ばね72は駆動バー70をプランジャー22に接触させるように押圧する。
上述の開示によれば、プランジャー22が流体室24を通って前進するとき、注射チューブ42内のどのような空気ポケット52も圧力スパイク56を発生させる。再び説明すれば、この圧力スパイク56は患者12の皮膚50に容易に孔を開ける。その後、駆動ばね72は駆動バー70およびプランジャー22に対して作用して、注入圧力58を生じる。
本発明の代替実施例では、注射器16はインサート94を備える。特に、インサート94はシステム10の望まれる使用に関して適当な当接部96を備えて構成できる。図9に示すように、当接部96は複数の半径方向に配向したリブを含む。当接部96の他の形態も使用でき、当接部は筋肉内注射または皮内注射のいずれの場合も受け入れるように寸法決めすることができる。
本明細書で詳細に図示し説明した特定の噴射注射器は本明細書で先に記載した目的を達成し、利点を与えることが完全に可能であるが、本発明の現在好ましいとされる実施例の単なる図解であり、特許請求の範囲に記載する以外の本明細書に示された構造および設計の詳細に限定する意図は全くないことを理解すべきである。
本発明の無針注射器を備えた装置を使用する患者の斜視図である。 明瞭化のために部分を破断した本発明の組み立てられた無針注射器の立面図である。 図2の線3−3に沿って見た無針注射器の横断面図である。 図2の線4−4に沿って見た無針注射器の前端面図である。 流体薬品を充填された図3に見られる無針注射器の図面である。 注射時における流体薬品の圧力変化を時間に沿ってプロットしたグラフである。 皮内注射の場合に使用するのに適した無針注射器の代替実施例の前端面図。 図7Aの線A−Aに沿って見た無針注射器の横断面図。 皮内注射の場合に使用するのに適した無針注射器の代替実施例の前端面図。 図7Bの線B−Bに沿って見た無針注射器の横断面図。 皮内注射の場合に使用するのに適した無針注射器の代替実施例の前端面図。 図7Cの線C−Cに沿って見た無針注射器の横断面図。 本発明の注射器と共に使用するのに適当なアクチュエータの、そのアクチュエータが装備される前の形状での立面横断面図。 コック状態での図8Aのアクチュエータの図面。 本発明の注射器と係合され、トリガー解放機構が作動された図8Aのアクチュエータの図面。 発射のための形状である図8Cのアクチュエータの図面。 発射手順後の状態の図8Cのアクチュエータの図面。 インサートを組み込んだ注射器の代替実施例の分解図である。
符号の説明
10 システム
12 患者
14 注射装置
16 注射器
18 吸引ポンプ
20 真空ライン
22 プランジャー
24 流体室
26 中心軸線
28 胴体
30 基部材
32 表面
34 開口
36 スカート
38 円形リム
40 隔室
42 注射チューブ
44 先端
46 ポート
48 当接部
50 皮膚
52 空気ポケット
54 流体薬品
56 圧力スパイク
58 注入圧力
60 前縁
62 注射器
64 注射器
66 注射器
68 伸長部
70 駆動バー
72 駆動ばね
74 スライド部材
76 基部材
78 解放機構
80 凹み
82 ボール軸受
84 グリップ
86 耳
88 発射キャップ
90 発射ばね組立体
92 凹部
94 インサート
96 当接部

Claims (4)

  1. 基部材によって閉鎖されている閉端と、外周壁を形成するスカートと、スカートの先端の円形リムによって形成された開端とを有していて、前記スカートと前記基部材の内側表面との間に隔室を形成された中空の実質的に円筒形の部材を含み、前記基部材は前記隔室に連通する開口を有しており、また、
    患者に対して流体薬品を注射するために前記基部材の内側表面から前記隔室を通って延在する注射チューブと、
    前記基部材の前記内側表面から前記スカートと前記注射チューブとの間の前記隔室内に突出する当接部と、
    前記流体薬品を注射するときに前記注射チューブを通して前記流体薬品を送出するために前記注射チューブに連結された駆動手段と、
    前記スカートの前記リムを患者に押当てて保持したとき、前記隔室内に部分真空を発生させるために前記基部材の前記内側表面を通して前記隔室と流体連通される吸引手段であって、皮膚を吸引して当接部に接触させて、皮膚と注射チューブとの間に境界面シールが形成されるように前記注射チューブの先端を患者の皮膚に押当て、また前記流体薬品を注射するとき、前記先端に対する皮膚の相対的な動きを最小限に抑えるために前記先端の近くで前記先端に対して皮膚を安定状態に保持する前記吸引手段とを含み、該吸引手段が、前記開口を介して前記隔室に流体連通する吸引ポンプを含んでおり、また、該吸引手段が前記駆動手段から独立して作動可能になっている患者に流体薬品を投与する注射器。
  2. 前記注射チューブの前記先端が前記スカートの前記リムを超えて延在し、前記スカートの前記リムは前記当接部を超えて延在している請求項1に記載された注射器。
  3. 中央軸線を有し、また、閉端および開端を有していて、閉端および開端の間に隔室を形成された中空の実質的に円筒形の部材と、
    先端を有し、前記閉端から前記中央軸線に沿って前記隔室を通って延在する注射チューブと、
    前記流体薬品を注射するときに前記注射チューブを通して前記流体薬品を送出するために前記注射チューブに連結された駆動手段と、
    前記円筒形部材の前記開端を患者に押当てて保持したときに前記隔室内部に部分真空を発生させるために前記隔室に流体連通された吸引手段であって、前記注射チューブを通して流体薬品を注射するときに、前記真空が患者の皮膚を前記隔室内に吸引して、患者の皮膚に対して前記注射チューブの前記先端を位置決めすると共に、前記先端に対して皮膚が相対移動しないように皮膚を前記先端の付近に安定状態に保持する、前記駆動手段から独立して作動可能な前記吸引手段とを含む患者に流体薬品を投与する注射器。
  4. 閉端および開端を有し、閉端および開端の間に隔室を形成された中空の実質的に円筒形の部材と、先端を有し、前記閉端から前記隔室を通って延在する注射チューブと、前記隔室に流体連通された吸引手段と、前記注射チューブを通して流体薬品を注射するために前記注射チューブに連結された駆動手段とを含んで成る注射器を患者の皮膚に押当てて位置決めする段階と、
    前記円筒形部材の前記開端を患者に押当てて保持する段階と、
    前記注射チューブを通して前記流体薬品を注射するときに、患者の皮膚を前記隔室内に吸引して、患者の皮膚に対して前記注射チューブの前記先端を位置決めすると共に、前記先端に対して皮膚が相対移動しないように皮膚を前記先端の付近に安定状態に保持する部分真空を前記隔室内部に発生させるために前記吸引手段を作動させる段階と、
    前記隔室内に部分的真空を生じるために前記吸引手段を作動した後に、前記流体薬品を患者に皮下投与するために前記注射チューブを通して流体薬品を送出するために前記駆動手段を作動させる段階とを含む患者に流体薬品を投与する方法。
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