JP2006121915A - アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 - Google Patents
アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006121915A JP2006121915A JP2004310938A JP2004310938A JP2006121915A JP 2006121915 A JP2006121915 A JP 2006121915A JP 2004310938 A JP2004310938 A JP 2004310938A JP 2004310938 A JP2004310938 A JP 2004310938A JP 2006121915 A JP2006121915 A JP 2006121915A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- apoptosis
- peptide
- amino acid
- inducing
- sequence
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【解決手段】 本発明によって提供されるペプチドは、天然に存在しない人為的に設計されたアポトーシス誘導性ペプチドであって、(a)PRPRKIPR、および、(b)PPRKKRTVV、のうちのいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を含み、典型的にはペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が15以下である。
【選択図】 図1
Description
アポトーシス(細胞死)は、種々の物質によって誘導されることが知られている。従って、そのような物質を標的細胞(例えばガン細胞、ウイルス感染細胞)に付与することによって人為的にアポトーシスを誘導し、当該標的細胞を死滅させることが可能である。
例えば、特許文献1には、アポトーシスを誘導し得る物質としてデング熱ウイルス由来のタンパク質が紹介されている。特許文献2には、クサリヘビ科のヘビの毒腺由来のアポトーシス誘導性タンパク質が紹介されている。特許文献3には、細胞表面レセプターであるFasを介した細胞のアポトーシス誘導を増強し得るポリペプチドが紹介されている。また、特許文献4には、ランダムに作製された約6万種の合成ペンタペプチドのライブラリー中から、所定の細胞に対してアポトーシスを誘導し得ると評価されて単離された38種類のペンタペプチドのアミノ酸配列が記載されている。
そこで本発明は、上記公報に記載されているような従前の物質とは異なるアミノ酸配列から成り、優れたアポトーシス誘導性を示す人為的に設計されたペプチド及び該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することを目的とする。また、そのようなアポトーシス誘導性ペプチドを主成分とするアポトーシス誘導剤(薬学上の組成物)の提供を他の目的とする。
ここで開示される典型的なペプチドは、少なくとも1種の細胞に対してアポトーシスを誘導し得るペプチドであって、以下の2種類のアミノ酸配列:
(a)PRPRKIPR ;
(b)PPRKKRTVV;
のうちのいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を含む人為的に合成されたペプチドである。
本明細書において「アポトーシスを誘導し得るペプチド」及び「アポトーシス誘導性ペプチド」とは、少なくとも1種の細胞に対してアポトーシスの誘導活性を示し、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、当該アミノ酸ポリマーの存在形態(例えば塩の形態)や各アミノ酸残基における修飾の有無によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書におけるアポトーシス誘導性ペプチドに包含され得る。ここで「アポトーシス」とは、従来から当業者に理解される自発的な細胞死をいい、特定の現象に限定されない。核の分断、細胞の急激な萎縮や断片化(アポトーシス小体形成)、DNAラダーの検出等は、ここでいうアポトーシスに包含される典型的な現象である。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施された配列(アミノ酸配列)」とは、アポトーシス誘導活性を保持しつつ当該所定のアミノ酸配列について1個、2個または3個程度のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個〜数個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類アミノ酸置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば1〜数個の塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換して成る配列、或いは1〜数個のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基(典型的には化学構造の類似する他のアミノ酸残基)に置換して成る配列)、或いは、所定のアミノ酸配列に1個又は数個(一般には2〜3個程度)のアミノ酸残基が付加(挿入)された配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列」に包含され得る典型例である。
ここで開示されるアポトーシス誘導性ペプチドは、ペプチド鎖の主要構成要素として上記(a)若しくは(b)のアミノ酸配列又は該配列において部分的な改変が施されて成る改変配列(以下「改変配列」と略称する。)を包含することによって、少なくとも1種の細胞に対して実用的なアポトーシス誘導活性を発揮し得る。
ここで開示されるアポトーシス誘導性ペプチドとしては、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、アポトーシス誘導性ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させることができる。
また、アポトーシス誘導性ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が15以下であることが特に好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、アポトーシス誘導剤の主成分たるアポトーシス誘導性ペプチドとして使用し易い。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントがここでいうポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号1または2のいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列において部分的な改変が施されて成る改変配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えばそれら配列から実質的に構成されるポリヌクレオチド)が挙げられる。
全体のアミノ酸配列に対するアポトーシス誘導関連配列の占める割合(即ちペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に占めるアポトーシス誘導関連配列を構成するアミノ酸残基数の個数%)が80%以上であることが好ましく90%以上であることが特に好ましい。
なお、本発明のアポトーシス誘導性ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、アポトーシス誘導活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。また、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下でアポトーシス誘導能を発揮する限りにおいて特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点からもアポトーシス誘導剤に適用するアポトーシス誘導性ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(例えばアミノ酸残基数:8〜15、例えばアミノ酸残基数:9〜12)のものが好適である。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするアポトーシス誘導性ペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)から目的のポリペプチドを単離し、精製することによって、所望するアポトーシス誘導性ペプチドを得ることができる。なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ちアポトーシス誘導性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにして、利用するアミノ酸配列をひとたび決定し、ペプチド鎖を設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的のアポトーシス誘導性ペプチドを容易に合成・生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明のアポトーシス誘導性ペプチドを容易に生産することができる。
例えば、配列番号1又は配列番号2で示されるアポトーシス誘導関連配列から実質的に構成されるペプチドと該ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそのようなヌクレオチド配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。或いは、配列番号1又は配列番号2で示されるアポトーシス誘導関連配列のうちの1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が欠失及び/又は置換(例えば同類アミノ酸置換)された改変アミノ酸配列又は1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が該アポトーシス誘導関連配列に付加されたような改変アミノ酸配列から実質的に構成されるペプチドと該ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそのようなヌクレオチド配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNA等は二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、アポトーシス誘導性ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によって提供されるアポトーシス誘導剤は、生体内又は生体外において、標的細胞(例えばヒトその他の哺乳動物細胞)にアポトーシスを起こすために用いられ得る組成物(薬剤)であり得る。例えば、種々のガン細胞、自己免疫性T細胞等をアポトーシス誘導の標的細胞とすることにより、各種のガン或いは自己免疫疾患の治療剤として利用することができる。
アポトーシス誘導性ペプチドの他、アポトーシス誘導剤に含まれる担体すなわち副次的成分(典型的には用途に応じて薬学的に許容され得るもの)としては、アポトーシス誘導剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、水(例えば生理食塩水、種々の緩衝液であり得る。)、有機溶媒、種々の充填剤、増量剤、結合剤、滑剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、着色剤、保存剤、緩衝剤、香料等が挙げられる。
なお、アポトーシス誘導性ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
なお、アポトーシス誘導剤(薬剤)の用量は、投与方法、投与の目的、疾患の種類、症状、患者の性別、体重、年齢等に応じて個々に設定されればよく、特に限定されない。
このスクリーニング方法では、例えば、標的細胞内にアポトーシス誘導性ペプチドを導入する工程、或いは該アポトーシス誘導性ペプチドと共に標的細胞をインキュベートする工程の他、スクリーニング対象の物質を標的細胞に接触させる工程或いは標的細胞内に導入する工程と、該スクリーニング対象物質及びアポトーシス誘導性ペプチドの存在下における標的細胞のアポトーシスの有無及び/又は度合いを検出する工程を包含する。かかるスクリーニング方法によると、種々の標的細胞(又は該細胞から成る生体組織や器官)について本発明に係るアポトーシス誘導性ペプチドで誘導され得るアポトーシスを抑制又は阻害し得る物質をスクリーニング即ち選別し得、同定(単離)することができる。
計4種類のポリペプチド(サンプル1、サンプル2、比較サンプル1、比較サンプル2)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。即ち、サンプル1は、上記(a)配列で示される計8アミノ酸残基から成るペプチド(分子量:約1019)であり、サンプル2は、上記(b)配列で示される計9アミノ酸残基から成るペプチド(分子量:約1080)である。他方、比較サンプル1は、ウシラクトフェリンのN末端側の部分アミノ酸配列と等しいアミノ酸配列(配列番号3):APRKNVRWCTISQで示される計13アミノ酸残基から成るペプチド(分子量:約1559)であり、比較サンプル2は、ショウジョウバエ(Drosophila spp.)由来のNLSと等しいアミノ酸配列(配列番号4):KKKKRKREKで示される計9アミノ酸残基から成るペプチド(分子量:約1229)である。
なお、いずれのサンプル及び比較サンプルも、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH2)されている。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。すなわち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離したペプチド(サンプル2)の分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
上記実施例1で合成したペプチド(サンプル1,2、比較サンプル1,2)について、アポトーシス誘導活性の有無を市販の細胞死検出ELISAキットPLUS(ロシュ・ダイアグノスティックス社製品:カタログ番号1774425)を使用して調べた。
即ち、4.0×105cells/mLの濃度のHL−60(human leukemic HL-60)細胞培養液(10%ウシ胎児血清を含むイーグル培地、等)を100μLずつ上記キットに含まれる96穴プレート(ストレプトアビジンでコーティング済み)の各穴(ウェル)に添加した。
一方、上記実施例1で得られた各ペプチドサンプルを本実施例に係る担体である滅菌生理食塩水に溶解し、所定の濃度の薬剤(アポトーシス誘導剤)を調製した。具体的には、適当容量のエッペンドルフ(登録商標)チューブに適当量のペプチドサンプルを入れ、これを滅菌した生理食塩水で溶かして2mMの薬剤(ペプチド溶液)を調製するとともに該薬剤を更に生理食塩水で適宜希釈することによって一連の濃度のペプチド溶液を調製し、以後の試験に供した。
次いで、各実験区分の2ウェル分の液を合わせて遠心チューブに回収し、2000rpm、5分間の遠心分離を行った。遠心分離終了後、上清を別のチューブに移した。そして、遠心チューブに残った沈殿物(細胞)に培地1mLを添加して混合後、同様に遠心分離を行い、上清を除いた。その後、再び培地500μLをチューブに添加し、細胞を懸濁した。そして、細胞数として約6×104個となる量の懸濁液を別チューブに移した。これを同様に遠心分離し、上清を除いた。次いで、沈殿物に上記キットに含まれる細胞溶解用緩衝液(Lysis buffer)を500μL添加した。よく混合した後、細胞を溶解するために4℃で30分間静置した。
そして、上記キットのプロトコールに従って、ヒストンとDNAに対してそれぞれ特異性を有する2種のマウスモノクローナル抗体(一次抗体:ビオチン標識抗ヒストン抗体、二次抗体:POD標識抗DNA抗体)を用いたサンドイッチ酵素免疫法に基づいて該希釈液中のヌクレオソーム量を検出した。そして、各実験区分の吸光度(A405nm−A492nm)を測定するとともに、該測定した吸光度の値に基づき、DMSO添加区の細胞生存率を100としたときの各実験区分における細胞生存率(%)を求めた。結果を表1に示す。
即ち、4.0×105cells/mLの濃度のHL−60(human leukemic HL-60)細胞培養液(10%ウシ胎児血清を含むイーグル培地、等)を3mLずつ6穴マイクロタイタープレートの各穴(ウェル)に添加した。
次いで、上記のようにして調製した各ペプチド溶液又はアクチノマイシン溶液を添加した。具体的には、ウェル中の濃度が200μMとなるように、各ペプチド溶液を添加した。また、ポジティブコントロールとして、ウェル中の濃度が0.5μMとなるようにアクチノマイシン溶液を添加した。さらにネガティブコントロールとして、ウェル中の濃度が1%となるようにDMSOを添加した。
これら薬剤を添加後、上記キットに添付のプロトコールに従って処理を行い、各実験区 分の細胞懸濁液からDNA溶液を得た。但し、Proteinase K を含むEnzyme B溶液での処理は37℃で一晩とした。また、DNAの溶解性を高めるために一般的なフェノール・クロロホルム処理を追加した。尚、1試料(1ウェル)から抽出したDNAは、DNA溶解バッファー20μLに溶解した。そのうちの12μLを1μg/mLのエチジウムブロミドを含む1.2%アガロースゲル電気泳動(100V、30分間)に供した。結果を図1(ゲル写真)に示す。図中のゲルのレーン1はサイズマーカー(1kb)であり、レーン2は0.5μMのアクチノマイシンで処理した試料のDNA泳動パターンであり、レーン3は200μMのサンプル1で処理した試料のDNA泳動パターンであり、レーン4は200μMのサンプル2で処理した試料のDNA泳動パターンであり、レーン5は200μMの比較サンプル1で処理した試料のDNA泳動パターンであり、レーン6は200μMの比較サンプル2で処理した試料のDNA泳動パターンであり、レーン7は1%DMSOで処理した試料のDNA泳動パターンである。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
配列番号1 C末端にアミド基を含む合成ペプチド。
配列番号2 C末端にアミド基を含む合成ペプチド。
配列番号3 C末端にアミド基を含む合成ペプチド。
配列番号4 C末端にアミド基を含む合成ペプチド。
Claims (7)
- 少なくとも1種の細胞に対してアポトーシスを誘導し得るペプチドであって、
以下の2種類のアミノ酸配列:
(a)PRPRKIPR ;
(b)PPRKKRTVV;
のうちのいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を含み、
ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が15以下である、人為的に合成されたアポトーシス誘導性ペプチド。 - 少なくとも1種の細胞に対してアポトーシスを誘導し得るペプチドであって、
以下の2種類のアミノ酸配列:
(a)PRPRKIPR ;
(b)PPRKKRTVV;
のうちのいずれかのアミノ酸配列で構成される、人為的に合成されたアポトーシス誘導性ペプチド。 - 少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されている、請求項1又は2に記載のアポトーシス誘導性ペプチド。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアポトーシス誘導性ペプチドを主成分として含む、アポトーシス誘導剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド。
- アポトーシスを誘導し得るペプチドを製造する方法であって、
以下の2種類のアミノ酸配列:
(a)PRPRKIPR ;
(b)PPRKKRTVV;
のうちのいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を含み、且つ、少なくとも1種の細胞に対してアポトーシスを誘導し得るペプチド鎖を設計すること、および
前記設計したペプチド鎖を合成すること、
を包含する方法。 - ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が15以下となるように該ペプチド鎖を設計する、請求項6に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004310938A JP4507084B2 (ja) | 2004-10-26 | 2004-10-26 | アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004310938A JP4507084B2 (ja) | 2004-10-26 | 2004-10-26 | アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006121915A true JP2006121915A (ja) | 2006-05-18 |
JP4507084B2 JP4507084B2 (ja) | 2010-07-21 |
Family
ID=36717217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004310938A Expired - Fee Related JP4507084B2 (ja) | 2004-10-26 | 2004-10-26 | アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4507084B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008050898A1 (fr) * | 2006-10-24 | 2008-05-02 | Univ Okayama Nat Univ Corp | FRAGMENT PARTIEL DU GÈNE REIC/Dkk-3 ET AGENT THÉRAPEUTIQUE POUR LE CANCER CONTENANT CELUI-CI |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002053596A (ja) * | 2000-08-08 | 2002-02-19 | Masao Tanihara | アポトーシス誘導ペプチド、そのスクリーニング方法およびアポトーシス誘導剤 |
WO2003091429A1 (fr) * | 2002-04-25 | 2003-11-06 | Toagosei Co.,Ltd. | Polypeptide microbicide et ses utilisations |
-
2004
- 2004-10-26 JP JP2004310938A patent/JP4507084B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002053596A (ja) * | 2000-08-08 | 2002-02-19 | Masao Tanihara | アポトーシス誘導ペプチド、そのスクリーニング方法およびアポトーシス誘導剤 |
WO2003091429A1 (fr) * | 2002-04-25 | 2003-11-06 | Toagosei Co.,Ltd. | Polypeptide microbicide et ses utilisations |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008050898A1 (fr) * | 2006-10-24 | 2008-05-02 | Univ Okayama Nat Univ Corp | FRAGMENT PARTIEL DU GÈNE REIC/Dkk-3 ET AGENT THÉRAPEUTIQUE POUR LE CANCER CONTENANT CELUI-CI |
US8618273B2 (en) | 2006-10-24 | 2013-12-31 | Hiromi Kumon | Partial fragment of REIC/Dkk-3 gene and cancer therapeutic agent comprising the same |
US9475865B2 (en) | 2006-10-24 | 2016-10-25 | Hiromi Kumon | Direct administration of REIC/Dkk-3 to mesothelioma |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4507084B2 (ja) | 2010-07-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4934034B2 (ja) | 神経分化誘導ペプチド及びその利用 | |
JP4573143B2 (ja) | 人工ペプチド及びその利用 | |
JP5709013B2 (ja) | 神経分化誘導ペプチド及びその利用 | |
JP5709012B2 (ja) | 神経分化誘導ペプチド及びその利用 | |
JP4730584B2 (ja) | 抗菌ペプチド及びその利用 | |
JPWO2008081812A1 (ja) | 抗腫瘍ペプチド及びその利用 | |
JP5041231B2 (ja) | 抗菌ペプチド及びその利用 | |
JP4788958B2 (ja) | 抗ウイルス性ペプチドおよびその利用 | |
JP4507084B2 (ja) | アポトーシス誘導性ペプチド及びその利用 | |
JP4831410B2 (ja) | 抗ウイルス性ペプチドおよび抗ウイルス剤 | |
US7615534B2 (en) | Antimicrobial peptides and use thereof | |
EP2706113B1 (en) | Synthetic peptide capable of inducing expression of type-2 tnf receptor and use thereof | |
JP4677319B2 (ja) | 神経分化抑制ペプチド及びその利用 | |
JP3972108B2 (ja) | 細胞死誘導のためのペプチド | |
WO2022230484A1 (ja) | ペプチドフラグメントおよびその利用 | |
JP2005192415A (ja) | プリオン病治療用ペプチド及びその利用 | |
JP2006238751A (ja) | ベロ毒素結合性を有する抗菌ペプチド及びその利用 | |
JP5034005B2 (ja) | 細胞死誘導ペプチド、map化細胞死誘導ペプチド、細胞死誘導剤及び抗癌剤 | |
WO2008032777A1 (fr) | Peptide antibactérien et son utilisation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091203 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100408 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100421 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140514 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |