JP2006120364A - 同軸細線コネクタの製造方法 - Google Patents

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康史 正木
Yoshio Mori
好男 森
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信 佐藤
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公輔 吉岡
Takashi Shindo
崇 進藤
Yoshiyuki Uchinono
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Abstract

【課題】同軸極細線とコネクタとの接続において、半田付け又はかしめ接合を用いず、また、接続後の同軸極細線の不要部の切断に機械的なせん断加工を用いずに、レーザを用いた非接触による同軸極細線とコネクタの接合、及び同軸極細線の切断を行うことにより、高品質、高信頼性の同軸細線コネクタの製造を可能にする。
【解決手段】芯線のばらけ防止部6を有した状態の同軸極細線3の芯線4を、コネクタ1の金属端子2に当接させて装着し、レーザを照射することにより、芯線4と金属端子2を微細溶接する溶接ステップを行い、この溶接ステップの後に、不要となるばらけ防止部6含む芯線部分をレーザ照射により切断する切断ステップを経て、同軸極細線3とコネクタ1との接続を行うことにより、非接触で接合、切断ができ、接合力の強い、加工精度の高い同軸細線コネクタを製造する。
【選択図】図5

Description

本発明は、小型電子機器などに用いる、多芯で、極細の導体を用いた電気コネクタ及びコネクタへのケーブルの接続を含む同軸細線コネクタの製造方法に関するものである。
近年、高集積度LSIの出現により電気信号の出力端子数が激増し、これに伴い接続するコネクタのケーブル数も増大してきており、コネクタの小型化の点から、このような多芯のケーブルを出来るだけコンパクトにする必要があり、極細の導体サイズの電線が使用されてきている。そして、従来、ケーブルとコネクタなどとの接続におけるコネクタの金属端子と同軸の細線を接合する手段としては、かしめによる圧着接合や、半田によるろう接合が主として用いられている。
従来、かしめによる圧着接合では、電線の太さ、すなわち導体のサイズ及び絶縁の厚さに合わせた圧着端子を選択し、これを電線の端部にかしめ、この圧着端子を介して接続する方法が広く用いられている。しかし、極細の導体サイズのように、導体が極めて細くなると、これに適合するサイズの圧着端子がないという問題がある。そのため、電線の中心導体に対しては、やや大きめの圧着端子を使用せざるを得ず、圧着機の圧着部分を極端に小さくし、むりやりかしめると、中心導体が安定して保持されなくなり、接触抵抗や引張り破断強度が安定しにくいという性能上の問題が生じたり、圧着機の無理な力を加えてかしめるため、これらの消耗、破損が生じやすいという問題が生じる。
これに対し、極細の導体の電線に圧着端子をかしめるに際し、ダミーの導体を設け、中心導体に加えてダミーの導体を一緒にして太くすることにより、かしめ易くして、導体を保持する圧着方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合、ダミーの導体を必要とし、作業を複雑化する問題があった。
一方、半田付けによるろう接合では、コネクタの端子配列面上に複数の端子の接続部が配列されて、それらの複数の接続部はそれぞれ平面を成し、互いに密に近接して列を成して、ケーブルの芯線が対応接続部にそれぞれ半田接続される。各芯線または接続部にクリーム半田を付着させてから、しかる後に、クリーム半田を加熱して、接続部と芯線との半田結線を行っている。
ところが、芯線が細線のときにはクリーム半田の量が十分でなく、その結果、半田不良の可能性があった。また、クリーム半田の供給に手間がかり、さらには、クリーム半田が流れて隣接する接続部同士間で短絡してしまうという問題もあった。これに対して、隣接せる二つのリブ部により各端子の接続部を離間して配列する溝部を形成することより、隣接せる接続部同士間で短絡の虞れのない電気コネクタも提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合においても、端子の加工精度が一段と高く要求されると共に、極細線の接続における半田付け作業がますます微細化し、手間が掛かるという問題があった。
ここで、従来のコネクタと同軸極細線の接続のプロセス例を図17を用いて簡単に説明する。同図(a)は、金属端子2を備えるコネクタ1の構成を示し、同図(b)は、コネクタ1に装着する同軸極細線3の構成を示し、同軸極細線3は端部において被覆を所定長だけストリップして剥がした中心導体の芯線4(切断後の分離された部分を4aと表示)を持ち、グランドバー5は同軸極細線3をコネクタ1に取り付けるための金属製の金具であり、芯線4に貼り付けられた樹脂又は紙製のフィルムによるばらけ防止部6は、芯線4がばらばらにならないように芯線4の先端部間を固定する。同軸極細線3は、同軸を形成する中心導体の芯線4と外部導体7及び両者間の絶縁体(図示していない)と、外部導体7を他の絶縁体(図示していない)で被覆して構成される。同図(c)は、同軸極細線3をコネクタ1に取り付けた状態を示し、芯線4は半田付け又はかしめにより金属端子2と接合される。この従来のプロセスでは、芯線4をコネクタ1の金属端子2に当接する際、同図(b)に示すように予め芯線4を接合部以外で、ばらけ防止部6を含めカットする必要がある。このカットによりばらけ防止部6が切り取られるため、多芯線である同軸極細線3の芯線4がばらばらになり、同図(c)における同軸極細線3の芯線4の金属端子2上での接合のための位置設定のセットに手間取っていた。さらに、半田付け作業、又はかしめ作業においても、上記のように種々の問題を抱えていた。
特開平06−084547号公報 特開2001−006794号公報
上述のように、従来のコネクタの金属端子と同軸線を接合する手段として用いるかしめ(特に0.4mmピッチの金属端子への接合では主流)による圧着接合や、半田付けによるろう接合においては、コネクタが多端子化されてくると、これに伴い接続ケーブルもさらに多芯細線化され、金属端子のピッチが0.3mmのように微細の同軸極細線の接合になってくると、かしめによる圧着接合では、ますます、かしめ部の肉厚がとれず、接合力が弱くなるという問題が生じ、一方、半田付けによるろう接合においては、半田接合部が硬くなることによる脆弱化の問題が生じてくる。
さらに、同軸極細線を切断するプロセスにおいて、通常は機械的なせん断加工等を用いて行うが、特に、接合前に切断を行う場合では、同軸極細線の芯線部の整列(パターン上に芯線を倣わせる)に時間が掛かるという問題が生じ、接合後に行う場合では、切断時にコネクタや接合部を傷つけるという問題が生じている。このように、同軸極細線のコネクタ接続においては、細線化、多芯化、及び小型化に伴い、接合、切断作業工程のより緻密な高精度性、高速性、及び高品質性が要求される。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、レーザを用いて非接触により、芯線を溶融させて金属端子と接合させる接合プロセス、及び接合後に芯線を非接触で切断するレーザ切断プロセスを用いることにより、極細線接合加工に対し、接合力が強く、加工精度が高くかつ加工の容易な、品質の安定する信頼性の高い同軸細線コネクタの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、芯線のばらけ防止部を有した同軸細線の芯線をコネクタの金属端子に当接させた状態でレーザを照射することにより、芯線と金属端子を微細溶接する溶接ステップと、前記溶接ステップの後に、不要となるばらけ防止部をレーザ照射により切断する切断ステップとを備えた同軸細線コネクタの製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の製造方法おいて、前記同軸細線を、かしめを備えた前記金属端子のかしめ位置にセットした状態で、レーザを照射して溶接を行うものである。
請求項3の発明は、請求項1に記載の製造方法において、前記同軸細線を前記コネクタの金属端子上に整列させてセットし、斜め方向からレーザを照射して溶接を行うものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の製造方法おいて、前記同軸細線を、前記金属端子のパターン上のレーザ照射方向から遠ざかる端側に寄せてセットするものである。
請求項5の発明は、請求項3に記載の製造方法において、前記セットした前記同軸細線の両サイドからレーザを照射するものである。
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の製造方法において、前記同軸細線のレーザによる接合部、及び/又は切断部を、予め、つぶしによって圧縮しておくものである。
請求項7の発明は、請求項6に記載の製造方法において、前記つぶしによって前記接合部のつぶされた面が粗面化されるようにするものである。
請求項8の発明は、請求項1に記載の製造方法において、前記同軸細線の溶接と切断を同時に行うものである。
請求項9の発明は、請求項8に記載の製造方法において、前記同軸細線のレーザにより溶接及び切断する箇所に、予めV溝を形成しておくものである。
請求項10の発明は、請求項9に記載の製造方法において、前記V溝の片面側にレーザを照射して、前記同軸細線を溶接及び切断するものである。
請求項1の発明によれば、コネクタと同軸細線との接合において、半田付けやかしめ加工ではなく、レーザを用いて非接触による接合プロセスにより、微細で強固な接合を精度よく確実に行うことができ、さらに接合後の切断においては、機械的なせん断加工ではなく、芯線を非接触で切断するレーザ切断プロセスを用いることにより、不要となるばらけ防止部の切断時にコネクタや接合部を傷付けることなく安全に切断することができる。また、同軸細線のばらけ防止部の付いた状態で芯線の金属端子への当接ができることにより、この当接作業が簡単に素早く確実に行える。さらに、半田付けを使用しないので、半田による同軸細線の芯線と金属端子との接合部における脆弱化がなくなり、また、非接触で接合,切断を行うことにより、接合表面への不純物付着等が無く、清浄な接合が可能となり、さらにまた、非半田接合なので、フラックスを使用しないため、フラックスによる端子部汚染やマイグレーション等の心配が無くなる。このように細線接合加工に対し、接合力の強い、加工が容易でかつ加工精度の高い、品質的に安定した信頼性の高い同軸細線のコネクタの製造方法を実現することができる。
請求項2の発明によれば、同軸細線を同軸細線コネクタに接合する際に、同軸細線を同軸細線コネクタのかしめ位置にセットできるのでセットが容易になる。
請求項3の発明によれば、芯線の真上からレーザ照射して芯線内部の伝熱効果により間接的に金属端子との界面において溶着を起こさせるのではなく、斜め照射により、直接、界面にレーザを照射させることにより、効率良く界面部を溶着させることができる。
請求項4の発明によれば、芯線を金属端子幅の端に寄せることにより、芯線と金属端子面の両方を見た照射面が広くなり、レーザ光を芯線と金属端子面以外に当たらないようにするレーザ照射のセットが容易になる。
請求項5の発明によれば、レーザを芯線の左右両方向から照射するのでレーザパワーが倍となり、1方向からのレーザ照射に比べ強力に照射することができ、界面部を極めて強固に、高速に溶着させることができる
請求項6の発明によれば、同軸細線の芯線はより線で構成されているので、このより線をつぶして圧着し、互いに密着させ、等価的に細線の接合部の物理的容量を減らしておくことにより、溶接界面への熱伝導を良くすることができ、より効率的に、容易に接合、切断を行うことが可能となる。
請求項7の発明によれば、レーザの当たる接合部を粗面化することにより、レーザ光の乱反射を促進し接合部の熱吸収を高めることが可能となり、溶着し易くなる。
請求項8の発明によれば、同軸細線の接合,切断工程を一つの工程に集約させることができ、工程を簡略化できる。
請求項9の発明によれば、溶接界面への熱伝達速度が向上して同軸細線の接合を容易にすると同時に同軸細線を切り離し易くする。
請求項10の発明によれば、溶接側の同軸細線のV溝面にレーザ照射を行うことにより、確実に同軸細線の溶接側と切断側を常に一定方向に分離することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る同軸極細線コネクタの製造方法について図面を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法で用いるコネクタの構造を示す。絶縁材から作られたコネクタ1は、同軸極細線の芯線と接合するための複数の金属端子2が植設されている。図2は、コネクタ1に装着される同軸極細線3の構造を示す。同軸極細線3の中心導体の芯線4は、同軸極細線3の端部において、同軸線を形成する外部導体7と絶縁層(図示していない)及び絶縁カバー(図示していない)の被覆を所定長だけストリップして剥がされており、金属製のグランドバー5は同軸極細線3をコネクタ1に取り付けるために備えられたものであり、ばらけ防止部6は芯線がばらばらにならないように固定するために、芯線に樹脂又は紙製のフィルムが貼り付けられている。外部導体7は同軸極細線3の同軸を形成する金属のシールド層であり、グランドバー5と電気的に接続されている。また、この外部導体7と中心導体の芯線4との間はフッ素系樹脂からなる絶縁層を持ち、外部導体7の外側はフッ素系樹脂からなる絶縁カバーで被覆されている。
次に、前述の図1のコネクタ1に、図2の同軸極細線3を取り付ける細線同軸コネクタの製造のプロセスについて、図3〜図6を参照して説明する。なお、図1〜図6はいずれも平面図で示している。
図3は、コネクタ1に同軸極細線3を装着した状態を示し、同軸極細線3の芯線4がばらけ防止部6により固定されたまま、同軸極細線3の芯線4が金属端子2上にくるように当接され、金属端子2と密着して位置設定される。同図において、点線で囲んだAの部分は、ばらけ防止部6で固定された芯線4と金属端子2との当接部分の一部を示し、このA部の拡大図を、図4に示す。同図で、芯線4はコネクタ1の金属端子2の長手方向のほぼ中心に当接される。
次に、図5は、同軸細線コネクタの製造方法によるコネクタ1と同軸極細線3の接合と切断のステップを示す図である。同図において、同軸極細線3の芯線4はコネクタ1の金属端子2に当接され、金属端子2上の接合部8にレーザが照射されると、芯線4とコネクタ1の金属端子2は微細溶接による溶接ステップにより接合される。そして、この溶接ステップの後に、不要となるばらけ防止部6がレーザ照射により切断される。同図において、二点鎖線で囲んだ部分9はレーザによる切断部を示し、同軸極細線3はレーザによる切断ステップにより切断処理さる。また同図の点線で囲んだBの部分は、レーザによる接合、切断により分離される芯線4の一部を示す。図6は、図5のB部の拡大図を示し、芯線4は金属端子2と接合部8でレーザ10の照射により溶接される。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップの他の実施形態について、図7を用いて説明する。図7は、図4の金属端子2をかしめ11を備えた金属端子2とした状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、芯線4を金属端子2に装着する際に、かしめ11により芯線4がガイドされるので芯線4の位置決めが極めて簡単に行え、また、このかしめの状態のままレーザ10を照射して金属端子2に溶接できるので、芯線4のセットに手間が掛からず位置精度の良い接合ができる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップの別の実施形態について、図8を用いて説明する。図8は、接合プロセスにおいて、レーザ10を斜め方向から照射して芯線4と金属端子2を溶接する状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、同軸極細線3の芯線4を金属端子2上に整列させて、斜め方向からレーザ10を照射することにより、直接的に接合界面に照射し、間接的にしか照射できない真上からのレーザ照射に比べ、接合界面への熱伝導が間接的でなく直接的に作用するので、芯線4と金属端子2の溶着をより効率的に行うことができる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップのさらに別の実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、図4において、同軸極細線3の芯線4を金属端子2上の幅方向の端に寄せて位置設定して溶接する状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、芯線4を金属端子2上の幅方向の端に寄せることにより、レーザ10を照射する斜め方向からは、芯線4に接する金属端子2の溶接箇所が広く見通せ、溶接箇所へのレーザ10の照射の設定が容易になる。特に、溶接強度を高めるために、接合部8に対するレーザ10の光量を多くする際に、レーザ光のスポットサイズを同軸極細線3の芯線4の太さ(約75μm)より大きく(スポットサイズ約100μm)する場合には、芯線4と金属端子2以外の部分(コネクタ1の樹脂部など)に間違って照射しないようにセットすることが必要であるが、このような場合、本方法は有効に作用する。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップのさらに別の実施形態について、図10を用いて説明する。図10は、接合プロセスにおいて、レーザ10をセットした同軸極細線3の芯線4の両サイドから照射して溶接する状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、レーザパワーが倍になり、より強力に高速に溶着することができる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップのさらに別の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、図4において、同軸極細線3の芯線4のレーザ10による溶接箇所に、予め、つぶし又は切り欠き12を入れて圧縮した状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、同軸極細線3の芯線4はより線なので、芯線4をつぶして小さく圧縮しておくことにより、溶接界面への熱伝導が良くなり、効率的な溶接が可能となる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップのさらに別の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、図11における芯線4のつぶし12の面を荒くして、粗面化したつぶし13を設けた状態における、図4のI−I線断面に相当する図である。この実施形態においては、粗面化されたつぶし13により、照射面がレーザ10を全反射せずに、乱反射させることによって、レーザ10の接合面以外への反射をできるだけ抑えて、接合面のレーザ光の熱吸収を高めることにより、効率的なレーザ溶接が可能となる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップのさらに別の実施形態について、図13を用いて説明する。図13は、図4において、同軸極細線3のレーザ10による切断部に、予め、つぶし又は切り欠き14を入れて圧縮した状態における、図4のII−II線断面に相当する図である。この実施形態においては、芯線4につぶし又は切り欠き14を入れたことにより、つぶし又は切り欠き14の部分の熱伝導性が良くなり、レーザ10が照射されると芯線4は簡単に切断される。なお、コネクタ1の金属端子2と芯線4の溶接箇所にできる塊15は、溶接過程で溶融凝固してできるナゲットである。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップと切断ステップを同時に行う他の実施形態について、図14を用いて説明する。図14は、1回のレーザ照射で溶接と切断を同時に行う方法を平面図で示している。同軸極細線3の芯線4とコネクタ1の金属端子2との微細溶接による溶接ステップ時に、不要となるばらけ防止部6を含む芯線4をレーザ照射により切断する切断ステップにおいて、ばらけ防止部6側から同軸極細線3の芯線4を矢印16の方向へ引っ張り張力を掛けておき、レーザ10の照射による溶接時に、ナゲット15(図13に示す)の形成と同時に、芯線4を切断するようにする。このように溶接と切断を同時に行うことにより、同軸極細線3の芯線4の接合、切断を1つの工程に集約させることができ、工程作業が効率化できる。
次に、本発明の同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップと切断ステップを同時に行う他の実施形態について、図15(a)、(b)を用いて説明する。図15(a)、(b)は、図4において芯線4のレーザ10で溶接、切断する箇所に、予めV溝17を形成して接合、切断するプロセスの切断前と切断後の状態における、図4のII−II線断面に相当する図である。この実施形態においては、コネクタ1の金属端子2上に芯線4が当接され、芯線4に設けたV溝17にレーザ10が照射されると、V溝17により溶接箇所の熱伝達性が向上して同軸極細線3の芯線4の溶接を容易にすると共に、同時にV溝17の谷間で芯線4を切り易くでき、接合、切断をスムーズに行うことができる。芯線4は金属端子2と接合する部分と、切断により切り離される部分4−1にV溝17の両側で分離される。ここでは、切断された芯線4−1は、紙面に向かって左方向に分離されているが、分離される方向は一定でなく、同図と逆の方向の場合もあり得る。
次に、本発明の一実施形態に係る同軸極細線コネクタの製造方法における溶接ステップと切断ステップを同時に行う他の実施形態について、図16(a)、(b)を用いて説明する。図16(a)、(b)は、前述の図15(a)において、溶接、切断する箇所に設けられたV溝17へのレーザ10を、V溝17の片面側19に照射するものである。この実施形態においては、V溝17の中央に照射する場合に比べ、芯線4の金属端子2に溶接される側にレーザ10を集中させることにより、強い接合と切断が同時にできる。また、溶接側を確実に溶着すると共に、切断される側の方向を常に一定にすることができ、不要な芯線4−2を決まった方向に確実に分離することができる。
以上述べたように、本発明による同軸極細線コネクタの製造方法によれば、コネクタと同軸極細線との接合において、半田付けやかしめ加工ではなく、レーザを用いて非接触で芯線を溶融させて金属端子と接合させる接合プロセスを用いることより、微細で強固な接合を精度よく確実に行うことができ、さらに接合後の切断においては、機械的なせん断加工ではなく、芯線を非接触で切断するレーザ切断プロセスを用いることにより、不要となるばらけ防止部を含む芯線の切断時に、コネクタや接合部を傷付けることなく安全に切断でき、極細線接合加工に対し、接合力の強い、加工が容易でかつ加工精度の高い、品質的に安定した信頼性の高い同軸極細線コネクタを製造することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。同軸極細線を同軸細線コネクタに接合する際に、同軸極細線をかしめを設けた同軸細線コネクタのかしめ位置にセットすることで芯線の位置設定が極めて容易にできる。
また、レーザを斜め方向から照射することにより、直接、接合界面部にレーザを照射させることができ、効率良く接合界面部を溶着させることができると共に、芯線を金属端子の幅方向の端に当接することにより、接合界面部に対し容易で確実なレーザの照射を行うことができる。さらに、レーザを芯線の左右両度サイドから照射することでレーザパワーを倍増し、接合界面部を極めて強固に、素早く溶着させることができる。
また、芯線の接合部をつぶし等で圧着することで、溶接による接合界面部への熱伝導を良くすることができると共に、つぶし内面を粗面化することにより、レーザからの熱吸収をさらに高めることができ、より効率的で容易な接合、切断を行うことが可能となる。
さらに、同軸極細線の接合,切断工程を1回のレーザ照射で同時に行うことにより、接合、切断工程を一つの工程に集約させることができ、製造工程を簡単に、作業を効率化することができる。
本発明の同軸細線コネクタの製造方法が適用されるコネクタの一実施形態を示す平面図。 本発明の同軸細線コネクタの製造方法が適用される同軸極細線の一実施形態を示す平面図。 同上のコネクタに同軸極細線を当接した状態を示す平面図。 図3のA部の拡大図。 本発明の一実施形態による同軸細線コネクタの製造方法における接合と切断プロセスを示す平面図。 図5のB部の拡大図。 本発明の他の実施形態による金属端子にかしめを備えて同軸極細線を当接した接合プロセスにおける図4のI−I線断面相当図。 本発明の他の実施形態による金属端子に芯線を当接してレーザを斜め照射する接合プロセスにおける図4のI−I線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線を金属端子の端側に当接した接合プロセスにおける図4のI−I線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線の接合部に左右両面からレーザ照射する接合プロセスにおける図4のI−I線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線の接合部につぶしを設けた接合プロセスにおける図4のII−II線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線の接合部のつぶしの内面を粗面化した接合プロセスにおける図4のII−II線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線の切断部につぶしを設けた切断プロセスにおける図4のII−II線断面相当図。 本発明の他の実施形態による芯線と金属端子の接合、切断を同時に行う接合、切断プロセスを示す平面図。 本発明の他の実施形態による芯線の接合、切断部にV溝を設けた接合、切断プロセスにおける図4のII−II線断面相当図であり、(a)は切断前の状態を示す図、(b)は切断後の状態を示す図。 本発明の他の実施形態による芯線の接合、切断部に設けたV溝の片面のみにレーザ照射を行う接合、切断プロセスにおける図4のII−II線断面相当図であり、(a)は切断前の状態を示す図、(b)は切断後の状態を示す図。 従来の同軸細線コネクタの製造方法を説明する図であり、(a)はコネクタの平面図、(b)は切断された同軸細線を示す平面図、(c)はコネクタに同軸細線を当接した状態を示す平面図。
符号の説明
1 コネクタ
2 金属端子
3 同軸極細線
4 芯線
6 ばらけ防止部
8 接合部
9 切断部
11 かしめ
10 レーザ
12 接合部のつぶし又は切り欠け
13 粗面化されたつぶし
14 切断部のつぶし又は切り欠け
17 V溝
19 V溝の片方斜面

Claims (10)

  1. 芯線のばらけ防止部を有した同軸細線の芯線をコネクタの金属端子に当接させた状態でレーザを照射することにより、芯線と金属端子を微細溶接する溶接ステップと、
    前記溶接ステップの後に、不要となるばらけ防止部をレーザ照射により切断する切断ステップと、
    を備えたことを特徴とする同軸細線コネクタの製造方法。
  2. 前記同軸細線を、かしめを備えた前記金属端子のかしめ位置にセットした状態で、レーザを照射して溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  3. 前記同軸細線を前記コネクタの金属端子上に整列させてセットし、斜め方向からレーザを照射して溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  4. 前記同軸細線を、前記金属端子のパターン上のレーザ照射方向から遠ざかる端側に寄せてセットすることを特徴とする請求項3に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  5. 前記セットした前記同軸細線の両サイドからレーザを照射することを特徴とする請求項3に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  6. 前記同軸細線のレーザによる接合部、及び/又は切断部を、予め、つぶしによって圧縮しておくことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  7. 前記つぶしによって前記接合部のつぶされた面が粗面化されるようにすることを特徴とする請求項6に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  8. 前記同軸細線の溶接と切断を同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  9. 前記同軸細線のレーザにより溶接及び切断する箇所に、予めV溝を形成しておくことを特徴とする請求項8に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
  10. 前記V溝の片面側にレーザを照射して、前記同軸細線を溶接及び切断することを特徴とする請求項9に記載の同軸細線コネクタの製造方法。
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